CSRトピックス 2010年度 No.7

No.10-041
No.10-001
2010.11
CSR トピックス
<2010 No.7>
CSR トピックスは、CSR(企業の社会的責任)およびこれに関連する「内部統制」「コンプライアンス
(法令等遵守)」「リスクマネジメント」「環境」「品質」「CS(顧客満足)」「労働安全衛生」「従業員満
足」
「人権」
「社会貢献」
「CSR 調達」等の諸テーマについて、国内外の動向や企業の抱える疑問などに
ついて紹介・コメントした情報誌です。
国内トピックス:2010 年 9 月に公開された国内の CSR 等に関する主な動向をご紹介、コメントします。
<CSR>
○コンビがベビー用品の無料引き取りリサイクルサービス「ecoact(エコアクト)
」を開始
(関連情報:2010 年 9 月 28 日
日刊自動車新聞、同社プレスリリース)
ベビー用品メーカーのコンビは、長期利用により不要になった同社製品を無料で引き取り、リ
サイクルを行うサービス「エコアクト」を開始すると発表した。同社によれば、国内のベビー用
品メーカーで初めての取組という。
「ベビー用品は想い出の品だから捨てるのには抵抗感がある」とのユーザーの声を受けて開始
するもの。同社では、ベビーカーの保有経験のある母親 400 名を対象としたインターネット調査
も併せて実施しており、約 9 割がベビー用品を捨てることに抵抗感がある、との調査結果を得た
という。
エコアクト対応商品について、購入後半年以内にユーザー登録を行うと、購入日より 2 年以上
7 年以内であれば、同サービスを受けられる。
Poi n t!
本サービスは、ベビー用品廃棄に抵抗感を感じるというユーザーの声に応えたもので、
顧客満足度向上を通じた同業他社との差別化を狙ったものといえます。また、同社が無料
で引き取りを行うので、ユーザーは本サービスの利用により、自己の負担なく環境負荷軽
減に貢献できることになります。本件は、製品廃棄への抵抗感と環境への関心の両面から
のアプローチにより顧客の関心を引き出し、販促を図るものといえ、参考にすることがで
きます。
<CSR>
○花王グループが乳がん早期発見啓発活動「ピンクリボンキャンペーン」を実施
(関連情報:2010 年 9 月 28 日
同社ホームページ)
花王、カネボウ化粧品など花王グループ各社は、社会貢献活動の一環として、本年 10 月 1 日か
ら 11 月 30 日まで、「花王グループ
ピンクリボン(*)キャンペーン」を実施する。同キャンペ
ーンの実施は、本年で 4 回目となる。
同キャンペーンでは、花王ソフィーナ・エストの「ビューティ・アドバイザー」
、カネボウ化粧
品の「ビューティカウンセラー」が、オリジナルデザインのピンクリボンバッジを襟元に着用し、
化粧品コーナーに来店した顧客に、乳がん早期発見のための啓発リーフレットを配布する。また、
香港や上海でも同様の取組みを実施するとしている。
1
同社によれば、本活動を契機に乳がん検診を申し込んだとの顧客からの声も寄せられていると
のことで、今後も乳がん早期発見の大切さを伝えたいとしている。
*ピンクリボン:乳がん早期発見・早期診断・早期治療の重要性を訴える世界規模の運動。わ
が国でも乳がんに罹患する女性の数や乳がんによる死亡者は増加傾向にあり、協賛する団体
や企業も増加している。
Poi n t!
本事例は、啓発の対象が同社グループ商品の購買層でもあり、社会貢献とマーケティン
グの双方の効果を志向した取組といえます。商品販売の機会を捉えて本キャンペーンを実
施し、顧客の美容に加えて健康への関心に訴えかけることにより、同社グループおよび商
品・サービスのブランドイメージをより強く印象付ける効果が期待できます。
海外トピックス:2010 年 9 月に公開された海外の CSR 等に関する主な動向をご紹介、コメントします。
○CSR 国際規格化が決定、11 月 1 日発行へ
(関連情報:2010 年 9 月 14 日
国際標準化機構/ISO Social Responsibility Website)
企業を含むすべての「組織」の社会的責任(SR)の世界共通の指針を目指す国際規格「ISO26000」
が、正式に誕生することが決まった。今年 7 月 12 日から 9 月 12 日にかけて、作成作業に当たっ
たワーキンググループ(WG)の参加メンバー国による投票結果を受けて、国際標準化機構(ISO)
が 14 日に発表した。今後は、規格条文の最終的なチェック・校正作業を行い、11 月 1 日に発行す
る予定。
ISO の発表によると、投票結果は、WG の中心メンバー国では賛成 66 に対し反対 5、オブザ
ーバー国を含めた総数では賛成 72 に対し反対 5 だった(いずれも棄権を除く)
。国際規格化の要
件「中心メンバー3 分の 2 以上の賛成かつ総数の 4 分の 1 以下の反対」を満たした。
P oi n t!
2001 年 4 月に ISO 理事会による実現可能性の調査着手の決定から約 10 年の検討作業を
経て、いよいよ CSR の国際規格化が実現することになりました。
本規格の顕著な特徴として次の3つを挙げることができます。
第一に、「企業の社会的責任(CSR)」に標準的な概念を明示したことです。本規格では
第4章で、社会の持続可能な開発・発展に貢献するために、組織が自らの活動を通じて果
たすべき社会的責任の7つの基本原則(*1)を提示。さらに第6章で、社会的責任を実
践する上で対処すべき7つの具体的課題(*2)を提示しました。従来の「CSR 課題は多
種多様・広範囲でとらえどころがない」という旧来の疑問に一定の具体像を示しました。
第二に、CSR の各種課題に関する目標のレベルを間接的に提示した点です。規格全体を
通じて各課題等において達成すべき目標として、
「国際行動規範」(ILO 条約や国際人権規
約等の多国間条約等を指す)の準拠を提唱しています。
第三に、内容の普遍性が挙げられます。WG には、99 カ国と 42 国際機関から政府、産
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業界、労働、消費者、非政府組織(NGO)、その他有識者の6つのステークホルダーが参
加。その数は計 400 人以上に上り、他の国際規格では類を見ない規模です。幅広いステー
クホルダーの価値観を反映し練り上げられた結果、国や組織の違いを越えて共有可能な内
容になっているといえます。
以上の特徴を踏まえると、本規格が名実ともに CSR のグローバルスタンダードの枠組み
として位置づけられることは間違いありません。実際に、日本経団連が今年 9 月、企業行
動憲章の改定に際して同規格の内容が反映する等の動きが出始めています。
しかしながら、本規格は、CSR の一定の指針を示した文書であり、これに準拠すれば自
社の社会的責任の履行は万全と言い切るためのツールではありません。これは、規格自身
が「認証を目的にした規格ではない」と強調している所以でもあります。
CSR の本分は、ステークホルダー及び自社の活動で生じる影響・課題を自ら特定・評価
し、ステークホルダーの声を把握しつつ、自社の課題・活動を改善していくことにありま
す。その過程で、実践・達成すべき課題や対応すべきステークホルダーの期待に抜け漏れ
がないかを確認するためのツールとして本規格を活用することが得策といえます。
*1:
「説明責任」
「透明性」
「倫理的な行動」
「ステークホルダーの利害の尊重」
「法の支配の尊
重」
「国際行動規範の尊重」
「人権の尊重」
*2:
「組織と組織統治」
「人権」「労働慣行」
「環境」
「公正な業務履行」「消費者課題」
「コミュ
ニティ参画及び開発」
○ワールド・コミュニティ・グリッドが水問題解決に向けた研究プロジェクトを展開
(関連情報: 2010 年 9 月 7 日
IBM(米国)プレスリリース
http://www.ibm.com/press/us/en/pressrelease/32422.wss)
9 月 7 日、IBM は同社が実施する社会貢献プログラムの一つであるワールド・コミュニティ・
グリッド(*)を通じて、水不足問題解決に向けて、清潔で安全な水を届ける技術開発のための
プロジェクトに協力することを発表した。具体的な協力内容は以下のとおり。
・アメリカ西海岸におけるチェーサピーク湾流域での人間の活動と環境システムのプロセスが
与える影響についてのシミュレーションに関する研究
・高度な水ろ過技術の研究
・水を介した感染症の治療方法確立に関する研究
*IBM が社会貢献活動として実施しているプログラムであり、社会的に意義の高い研究活動に
対し、ボランティアのパソコンによって構成されるネットワークを通して、世界最大規模の
演算処理能力を提供する活動をしている。
P oi n t!
水問題は、全世界的な課題として認識され、企業においても解決に向けた取組が進めら
れつつあります。特に事業活動において水資源を大量に使用する企業における水使用量の
削減や医療・化学メーカーなどでの安全な水の提供に向けた取組みなどが代表的なもので
す。
この点、IBM の事業活動と水資源問題との関連性は一見薄いようにも思えますが、グロ
ーバルに事業展開する同社として限られた経営資源で全世界的な課題解決にいかに貢献す
るかを検討した結果、本プロジェクトの実施に至ったものと思われます。
3
企業がより効果的な社会貢献活動を検討する上で、本事例のアプローチの仕方は参考に
なるものといえます。
Q&A:CSR 等に関するさまざまなご質問についての解説を行うコーナーです。
Q u e s ti on
最近、「プロボノ」といわれる形式のボランティア活動をよく耳にしますが、具体的にはどのよ
うなものでしょうか。また、企業の社会貢献活動との関係をどう考えればよいのでしょうか。
A n sw e r
「プロボノ」とは、
「公共善のために」を意味するラテン語”pro bono publico”からきたもので、
元々は欧米で弁護士や会計士などが実施してきた無料の法律相談など、無報酬で行う公益事業な
どを指していました。
現在では、法曹等に限らず、様々な分野の専門家や企業実務者などが、自身の専門性やノウハ
ウ・スキルなどを活かして、NPO や社会起業家を通じて社会貢献活動を行うことを指しており、
わが国でも急速に広がりつつあります。例えば自組織の PR に悩んでいる NPO に対して、自社の
広告宣伝・マーケティングのノウハウを活かして PR 活動を支援する、といった活動が挙げられま
す。
NPO や社会起業家にとっては、金銭だけでは解決できない専門性・ノウハウ等の不足が補われ
る点でメリットがありますし、参加者にとっても、自身の得意分野で貢献できることから、参加
意欲が高まりやすいといえます。また、プロボノの活動を通じて参加者の専門性・ノウハウ等が
更に向上し、参加者の属する企業の本業に貢献できる側面もあるといわれています。
もっとも、NPO などが求める専門性やノウハウ等と自身の専門性等を活かして社会貢献したい
と考えている人とがマッチングしなければ、プロボノは成立しません。そこで最近は、企業がマ
ッチングに関与するケースもみられます。例えば NEC では社会起業家のニーズに対し、グループ
社員を公募してマッチングさせる「NEC 社会起業塾ビジネスサポーター(NEC 版プロボノ)」
(http://www.nec.co.jp/press/ja/1004/2702.html)を今年度より実施しています。
プロボノの主体はあくまで個人であり、所属企業の事業外の活動です。しかし一方で、上記の
NEC のように、企業が間接的に関与するケースもありますし、今後更に拡がっていくと予想され
ます。
では今後、企業としてプロボノとどう向き合えばよいのでしょうか。
そもそも、企業による社会貢献の本旨は、自社が有する様々な経営資源や強みを活用し、社会
的な課題の解決に貢献することにあります。その意味で、企業で培ったノウハウ等をベースに活
動がなされていること、企業にも活動の成果がもたらされる可能性があることに鑑みれば、自社
従業員のプロボノ参加(またはこれを推奨すること)は、企業による間接的な社会貢献活動とい
えます。従来からの企業が主体となって自社資源を直接投入する社会貢献活動に加え、プロボノ
への関与を含めた様々なアプローチにより、社会の課題・ニーズに応じたより多様な貢献が可能
となるのです。
また、企業がマッチングに関与することは、企業として従業員の能力発揮の機会を創出するこ
4
とであり、従業員の満足度向上の効果も期待できます。
社会・企業双方にとっての効果を志向し、プロボノへの関与を主体的かつ戦略的に考えていく
ことが、今後企業に求められることになるでしょう。
以
上
本誌は、マスコミ報道など公開されている情報に基づいて作成しております。
また、本誌は、読者の方々に対して企業の CSR 活動等に役立てていただくことを目的としたもの
であり、事案そのものに対する批評その他を意図しているものではありません。
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ントについての調査研究及びコンサルティングに関する専門会社です。
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