ウィンタースポーツの可能性を実感!! 長野県冬季観光説明・商談会 –SNOW RESORT NAGANO- の開催 中国国内では多くの日本の自治体が観光説明・商談会の取り組みを行っています。広大 な中国において、活動の場所や活動の方法、アプローチの仕方などの組み合わせは無数に あるといえます。こうした中、今回長野県がテーマとしたのは「スキー」、そして中国有数 の訪日旅行市場であり、スキー人口も多い北京市をその舞台として、観光プロモーション が行われました。中国からは北京市政府関係者、中国滑雪協会のほか、旅行会社やメディ ア関係者など予想を上回る約 90 名が来場され、長野県が持つ観光の魅力に対する強い関心 をうかがうことができました。冒頭、主催者を代表して(社)信州・長野県観光協会の両 角良昭専務理事から「北京市はウィンタースポーツに非常に関心の高い地域であるため、 多くの方に長野県に来ていただきたい」という挨拶がありました。その後、日本でスキー が発祥して来年(2011)で 100 周年を迎えるほか、その翌年(2012)には長野県のスキー が発祥してから 100 周年を迎えるにあたり、1998 年の冬季オリンピック会場でもあり日本 を代表するウィンターリゾート地でもある長野県の観光プレゼンテーションが行われまし た。長野県のスキーが歩んできた歴史が紹介された後、県内に約 100 箇所あるスキー場の うち白馬や志賀高原、野沢温泉、妙高高原といった日本国内でも有名なスキー場、そして 近隣に湧き出る温泉をはじめとした豊かな観光資源が紹介されました。また、そうした長 野県の魅力を体感できる旅行ルートの提案がなされました。この提案の中で特に春、満開 の桜の花のバックにスキーを楽しむことができる雪山が拡がる風景写真は大変印象的で、 桜と雪を楽しむことができる数少ない観光地として多くの来場者の興味をひいたのでは、 と思います。 <桜と雪山> <スキー!> 続いて、中国滑雪協会の楊軍副秘書長より中国のスキー事情に関する説明が行われまし た。この中では「中国では近年スキーがブームになっており産業化もすすんでいる。そし て国内のスキー客は年間 300 万人に達しており、増加傾向にある。中でも北京市のスキー 客は 100 万人とその3分の1を占めている。中国の人口を考えると割合としては低い現状 にあるが、この 15 年間で国内 15 省市に 200 以上のスキー場が建設され、経済発展に伴い 今後スキー関連産業は爆発的に拡大する可能性を秘めている。成長産業であるがゆえ同時 に中国国内の環境整備を行っていく必要があり、また大型のプロジェクトも開始されてい る」といった点が説明されました。楊副秘書長のこの指摘は多くのスキー場を有する日本 の各自治体にとっても大変示唆に富んだものであると思います。 <説明会来場者> <中国滑雪協会楊軍副秘書長による講演> その後、長野県のホテルや観光協会など 14 団体によりブースが設けられ観光商談会が行 われました。ある旅行会社の方に話を伺うと「冬季の旅行商品として長野県を訪れる企画 をすでに進めていたところだ。これからの冬季シーズンから早速販売できればと考えてお り、多くの人気を集めるものと思う。今回の商談会では関係者に話を聞くことができたの で、商品の開発においても有用であった」という感想を聞くことができました。 当日の観光説明・商談会に引き続き、翌2日間は南山スキー場、軍都山スキー場や鳥の 巣(北京国家体育場)といった北京近郊のスキー場を視察し、中国国内のスキー関係者と 意見交換を通じて交流を深められたということです。そして今後も引き続き中国国内のス キー専門紙への広告掲載などを通じて長野県の魅力発信を行っていく予定とされておりま す。 <南山スキー場> ウィンタースポーツをテーマとした観光プロモーションをスキー人口が集中し、そして これからも増加していくことが期待される北京で開催することができたことについて、長 野県関係者は多いに手ごたえを感じているようでした。こうした取り組みを通じて中日双 方のスキー振興が図られていき中日相互のスキー旅行の往来を通じて友情が育まれていく ことを願っています。 兵庫県紹介 ~中国人来訪者の拡大に期待を寄せる兵庫~ ■はじめに 人口約 560 万人の兵庫県は、北は日本海、南は瀬 戸内海を隔てて太平洋に面した日本唯一の県です。 大都市から農山村、離島まで、さまざまな地域で構 成され、 「日本の縮図」と言われています。県庁所在 地は南東部の瀬戸内海に面する神戸市ですが、中国 をはじめとする海外の方にはこの神戸という地名の 方が知られているのではないでしょうか。 兵庫県は、他の多くの自治体同様、観光を中心と <姫路城> した来訪人口拡大を地域活性化の起爆剤として期待しています。中国からの誘客は外国 人旅行者の入込を促進するうえでの一つの鍵であり、取組を強化しています。 今回、対中誘客 PR という視点で、兵庫県を簡単に紹介したいと思います。 ■中国人旅行者の入込状況と兵庫の魅力 日本政府観光局(JNTO)の調査に基づく推計によると、2009 年、訪日中国人旅 行者全体の 6.7%に相当する約6万7千人が兵庫県を訪問しています。都道府県別の 順位では、東京と大阪を結ぶ「ゴールデンルート」上の東京、大阪、神奈川、京都と いった地域が上位を占める中、兵庫県は全 47 都道府県中の第9位となっています。 上記 JNTO の調査によると、2009 年における中国人観光客に関し、訪日前に期待 したことの上位は、「温泉」「ショッピング」「食事」「自然環境・田園風景」「伝統的 な景観・旧跡」の順になっています。兵庫県の地域資源に関して、温泉では日本三大 古湯である有馬温泉をはじめ、城崎、湯村といった温泉地が整備されています。食事 では世界的に有名な神戸ビーフをはじめ、松葉ガニ、鯛、タコといった水産物なども 名物として広く知られています。日本三大中華街の一つである「神戸南京町」には、 東西約 200m、南北約 110mの範囲に本場の味を提供する中華料理店が数多く立ち並 んでいます。また、伝統的な景観・旧跡では世界遺産に登録されている姫路城をはじ め、孫文を顕彰する日本唯一の博物館である孫文記念館、近代西洋建築が立ち並ぶ神 戸北野地区などがあります。これら兵庫県の地域資源は、中国人観光客には魅力にな っていると思います。 ■新たな観光拠点 観光客を中心とする旅行者の入込数拡大に向けては、新たな魅力の整備・発信も 重要となります。そこで、兵庫県内の新たな観光拠点を紹介します。 兵庫県を中心に東は京都府、西は鳥取県に続く日本海沿岸の山陰海岸ジオパーク が、2010 年 10 月3日、世界ジオパークネットワークに加盟承認されました。山陰海 岸が有する地質遺産の重要性が世界に認められたもので、より多くの人に訪れてい ただける自然公園としての再整備が進められています。 神戸市南西部に位置する同市長田区は、1995 年の阪神・淡路大震災において火災 による被害が甚大であった地域であり、震災以降、街の再開発が進められてきた地 域です。この神戸市長田区には、神戸出身の著名な漫画家である横山光輝氏にちな んだ観光スポットが整備されつつあります。2009 年には漫画「鉄人 28 号」に登場するロボットの巨 大像が設置されたほか、「漫画三国志」に登場する 関羽雲長、劉備玄徳、諸葛孔明の立像設置が進めら れています。 これら新たな観光拠点は、日本の自然環境やアニ メ文化に興味を有する中国の方には関心を持って <山陰海岸ジオパーク> いただけるのではないでしょうか。 ■映画を通じた知名度向上への期待 村上春樹氏は日本を代表する小説家として世界に知られています。同氏の作品は中 国語に翻訳され中国でも出版されており、広く人気を集めています。この村上氏の代 表作の一つである「ノルウェイの森」が映画化され、この 12 月より日本全国の映画 館で上映されています。映画の中心ロケ地の一つは、兵庫県のほぼ中央部に位置する ススキ野の景色が美しい、神河町の砥峰高原です。多くの中国の方にも鑑賞いただく ことができ、兵庫県の知名度向上につながることを期待しています。 ■おわりに 兵庫県は、訪日中国人旅行における「ゴールデンルート」の西の中心である大阪・ 京都の西側に隣接しており、中国人旅行者には比較的訪れていただきやすい地理的 条件を備えています。近年における訪日中国人旅行者数の増加傾向を背景に、兵庫 県を訪問いただく中国人旅行者数も着実な増加傾向にあります。 一方、訪日中国人旅行者全体に占める兵庫県への訪問率や都道府県別の順位にお いては横ばい傾向に留まっており、日帰り客に対する宿泊客の割合が少ないという 従来からの課題も残されたままです。 中国人向け訪日個人観光査証の発給要件が大幅に緩和されるとともに、訪日中国 人旅行者に占めるリピータの割合はまだまだ低く拡大の余地が大きいことなどから、 中国人の訪日旅行については、今後、量的な拡大のみならず、ルート設定を含めた 質的な多様化が進むことが期待されています。 このような状況において、兵庫県は、一人でも多くの中国人旅行者に訪問・宿泊 いただくべく、既存地域資源の PR や新たな観光拠点の整備のみならず、訪問客受 け入れにおいて最も重要となるホスピタリティ精神の向上に官民一体となって取り 組んでいます。 「兵庫へいらっしゃい」 。
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