日本で暮らす外国人のかかえる問題

日本で暮らす外国人のかかえる問題
∼ フィリピン人技能実習生の問題を中心として ∼
労働問題・日系人・偽装結婚・DV・JFCなど
技能実習生問題については私の HP http://www.srk2002.com/ の中に掲載している、
「外国人労働者を巡る労働問題 ∼ 技能実習生を中心として」をご参照ください。
はじめに
1. 外国人問題に 係った経 緯
∼
現在 の状況
2. カトリック教 会での外 国人支援体制
3. 日系フィリピ ン人
4. 問題の事例
(1)不法就労とフィリピン人同士の問題
A 技能実習生の不法就労
B その他
(2)離婚にかかわる問題
①フィリピンには離婚の法律が無い。
②離婚と在留資格
(3)偽装結婚等の問題
【人身売買と思われる事例】
(4)死亡を巡る問題
①日本人夫の死亡での遺産分割について
②日系フィリピン人夫婦の例
(広での実習生の交通事故死・フィリピンでの葬儀)
(5)JFCを巡る問題・・・「寿寿」と「国際財団」との例
【介護施設寿寿】
【一般財団法人国際財団】
A
広島での事例の経過と問題点
5. 技能実習生問 題
(1) 技能実習生制度について
(2) 技能実習生問題のキーワード
①本音と建前
②コンプライアンス
③恐怖感
(3)
国際交流と労働契約=恩顧と収奪の問題
(4)
問題の事例
①強制帰国・保護
②会社、協同組合と送出し機関からの嚇し・同僚からの敵視
③賃金・残業代
④住居と家賃
(5)
技能実習生全員に係る問題・・実習生とされることでの不利益問題
①脱退一時金とその所得税還付
②所得税・扶養控除
③帰国時の年末調整
6
ネットワーク 造りの必 要性
【新居浜の事例】
おわりに
1
はじ めに
今 日 は標 記の 、「「 外国 人 技 能実 習生 制 度」と そ の 現状 を知 る ……私 た ち にで きる こ と は
何 か ? …… 」 につ い てお 話 し をさ せ てい た だき ま す 。こ う した 問 題は 新 聞 等で も 時々 報道
さ れ て いま す ので ご 存知 の 方 も少 な く無 い と思 い ま す。 報 道さ れ てい る 内 容自 体 に問 題は
有 り ま せん が 、そ こ に付 け ら れる 識 者の コ メン ト や 支援 者 側の 文 章と し て 発表 さ れた もの
な ど を 見る と 事件 と して 表 に 現れ た 部分 に つい て も ので し かな く 、そ れ ら の背 景 にあ る事
件 と は 直接 関 係の な い問 題 に 触れ ら れる こ とは 少 な いよ う です 。 私自 身 同 じよ う な問 題に
遭遇し、解決したあと振り返ってみると、事件の部分については「ひどい話だった。」で済
ん で し まい ま すが 、 その 背 景 にあ る もの を 考え る と 、何 と も割 り 切れ な い 思い を 抱く こと
も 少 な くあ り ませ ん 。キ リ ス ト教 会 とし て 外国 人 の 問題 に 取り 組 もう と す ると 、 こう した
事 件 の 背景 に ある も のを 把 握 して 、 納得 し たう え で 事が 解 決し た 後ま で も 関与 し てい く必
要 が あ るの で はな い かと 考 え てい ま す。 こ うし た 立 場か ら する と 、弁 護 士 さん や ユニ オン
の 立 場 とは 違 った も のが 見 え てき ま すし 、 違っ た 角 度か ら 見て い かざ る を 得な い 部分 もあ
るとおもいます。
1. 外国人問題に 係った経 緯
∼
現在 の状況
平成 19 年 8 月ごろ教会の会報でフィリピン人たちが広島フィリピン人協会(HFA)を結
成 し た こと を 知り 、 自分 の 専 門の 労 働に 関 する 問 題 で相 談 にの れ るこ と も あろ う かと 声を
掛 け ま した 。 それ ま で、 フ ィ リピ ン 人が 教 会に い る こと も 日曜 日 の午 後 英 語ミ サ があ るこ
と も 知 りま せ んで し た。 H F Aと 仲 良く な り、 英 語 ミサ に 出る よ うに な る につ れ 相談 も増
え て き まし た 。相 談 を仲 介 す るの は フィ リ ピン の 食 料品 な どの 移 動販 売 を して い る人 達や
こ れ ま でフ ィリ ピ ン人の 相 談 セン ター 的 な役割 を し てい たフ ィ リピン 人 女 性が 中心 で した 。
活 動 が 進む 中 で呉 教 会の フ ィ リピ ン 人た ち と関 係 が 出来 て いき ま した 。 盆 地状 の 小さ な
町 で あ り、 カ トリ ッ ク教 会 も あり 、 フィ リ ピン 人 が 経営 す るス ト アも あ る こと か らフ ィリ
ピ ン 人 に関 す る情 報 が集 ま り やす く 自然 に 密接 な 関 係が 築 けて い きま し た 。そ う した 関係
が 出 来 上が っ たの も 保護 し た 技能 実 習生 の 住居 と し て教 会 の一 室 を長 期 間 提供 し てい ただ
い た 呉 教会 の 神父 さ まの お か げと い えま す 。延 べ 4 名、 1 0カ 月 間、 教 会 のそ の 部屋 を独
占 す る こと に なり ま した 。 当 然利 用 でき な くな っ た 日本 人 の信 者 さん か ら 沢山 の 苦情 が寄
せ ら れ たと 聞 いて い ます 。 こ のお か げで 住 居費 の 負 担が 不 要に な り、 月 々 の生 活 費だ け用
意 す れ ば良 か った の です が 、 この 年 は、 延 べ7 0 万 円、 同 時期 に 50 万 円 の立 替 金が 発生
しました。こうしたことから基金造りを思い立ち、
「フィリピン人労働者を支援する会」を
受 け 皿 とし て 基金 募 集を 開 始 しま し た。 こ うし た 非 常時 の 基金 積 立て だ け が目 的 であ るた
めメンバーはいませんし、これまで活動費に一切支出してきませんでしたが、今年初めて、
福 岡 県 小郡 市 の技 能 実習 生 か らの 相 談に 応 じる た め 初め て 交通 費 等の 支 出 をお こ ない まし
ま し た 。こ の 基金 が 無か っ た ら、 対 応を 断 るか 、 ど こか 対 応し て くれ る ユ ニオ ン を探 さざ
るをえなかったところです。
こ の 福 岡か ら の相 談 に直 接 対 応す る こと に した 背 景 には 、 以前 四 国の ユ ニ オン に 依頼 し
た と こ ろ、 帰 国ま で に解 決 で きず 、 帰国 後 も進 展 し ない 為 、フ イ リピ ン か ら私 に 委任 状を
送 ら せ 、同 時 に、 こ ちら で 作 成し た 書類 を フィ リ ピ ンか ら 労基 署 と入 管 に 送ら せ て私 が労
基 署 と 対応 し たこ と があ り ま した 。 外国 人 の問 題 は 、最 悪 の場 合 、強 制 帰 国さ せ られ るこ
と も 考 える 必 要が あ り、 帰 国 まで に は解 決 を図 ら な けれ ば 裁判 以 外解 決 が 難し く なる ため
です。活動するためには様々な出費を伴います。広島・呉間の交通費は往復で 1000 円程度
な の で まだ い いの で すが 、 保 護し て 住居 費 や生 活 費 また 弁 護士 費 用を 立 て 替え る とな ると
ボランティアとしての活動範囲を大きく超えてしまいます。
「金の切れ目が縁の切れ目」と
な ら な いよ う に基 金 の積 み 立 て第 一 とし て 通常 の 活 動費 へ の支 出 は一 切 行 わな い 方針 で運
用してきました。
次 に 毎 年の 相 談件 数 につ い て は、 相 談受 付 窓口 を 設 けて い る訳 で もな い の です が 記録 に
2
残 し た もの だ けで も 毎年 5 0 件程 度 のさ ま ざま な 相 談が 寄 せら れ てい ま す 。一 般 的な 流れ
は 、 私 の知 り 合い の フィ リ ピ ン人 達 が窓 口 とな っ て 私に 繋 いで き ます 。 相 談を 受 けた 人が
通 訳 と して 本 人を 連 れて き ま す。 労 働問 題 であ れ ば 、話 し を聞 い て問 題 点 を整 理 し、 残業
代 等 の 労働 問 題で あ れば 、 未 払残 業 代を 計 算し た 段 階で 、 ユニ オ ンに 加 入 させ て 、ユ ニオ
ン と 共 に団 体 交渉 に 入る と 言 う流 れ で対 応 して い ま す。 相 談を う ける 場 所 を持 っ てい ない
為、衆人環視の中ですが教会のロビーが相談場所となっています。
こ う し た 活 動 の 中 から 、 広 島 市 の ス ク ラ ムユ ニ オ ン ひ ろ し ま 、 福山 市 の 福 山 ユ ニ オ ン た
ん ぽ ぽ 、 呉 市 の 働 く 者の 相 談 室 く れ や 弁 護 士さ ん 方 と の 関 係 を 築 くこ と が で き 活 動 の 支 え
となっています。
記録に残したもの
55件 の内訳
労 働 問 題
脱 退
強制 賃金
労
解雇 その他 一時金
帰国 残業
災
2
5
8
婚姻
関係
DV
在留
資格
2
3
8
12
国別等
フィリピン
中國
ベトナム
スリランカ
日本
41
2
4
1
7
市町村別
広島市
22
呉江田島
12
東広島
1
福山
2
今治
1
その他
不法
その他
就労
2
法 律
相談会
セミナ
4
1
13
−
フェースブック(再掲)
宇部
1
国内から
フィリピンから
2
12
福岡
1
その他
3
フィリピン
12
2. カトリック教 会での外 国人支援体制
キリスト教は困っている人に対しての慈善活動を当初からおこなっています。日本では、キリシ
タン到来以来、ミゼリコルジアといった組織がつくられるなどさまざまな活動が行われてきており
長崎に本部のある「お告げのマリア修道会」などに受け継がれてきています。
キリシタンの教理書であるどちりなキリシタンの中に、慈悲の所作として、つぎの7項目がまと
められています。(マタイ 25 章 35∼36 あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせ、かわいてい
たときに飲ませ、旅人であったときに宿を貸し、 裸であったときに着せ、病気のときに見舞い、獄
にいたときに尋ねてくれたからである。)
じひのしよさ
一には、飢えたる者に 食を与ふる事
二には、渇 (かっ) したる人に 飲みものを与ふる事
三には、肌へを隠しかぬる者に 衣類を与ふる事
四には、病人と牢者を いたわり 見舞ふ事
五には、行脚 ( あんぎゃ ) の者に 宿を貸す事
六には、囚われ人の 身を受くる事
七には、死がいをおさむる事
これなり。
ここに書かれていることは外国人の抱える問題すべてを網羅している内容といえます。カトリッ
ク教会では、こうした外国人の問題に対応するため、日本の中心的組織であるカトリック中央協議
会の中に日本カトリック難民移動移住者委員会(J-CaRM)がおかれています。
「民族的排他主義が根強い日本社会で、多くの難民・移住者・移動者の人権や”いのち”
の尊厳が侵害されている。本委員会は福音に基づき、多民族・多国籍・多文化共生社会
をめざし、すべての人が神の子として、平等で基本的人権が尊重され、相互の文化・民
3
族性を尊敬し、ともに兄弟・姉妹として生きることのできる社会の実現のために働く。
そのために難民・移住者・移動者に対する各教区の司牧活動に恊働する。
」
こ の 委 員 会 の も と に 1 6 の 司 教 区 に 日 本 カ ト リ ッ ク 難 民 移 動 移 住 者 委 員 会 (J-CaRM)が組
織 さ れ て い ま す 。 こ の委 員 会 の 目 的 の 中 心 は司 牧 で あ り 、 外 国 人 個々 人 が 抱 え る 問 題 に 対
す る 解 決 へ の 対 応 は 中心 的 な 問 題 で は な い 為 ??、 教 会 関 係 者 と 外 部 の支 援 団 体 と の 共 同 と
いう形で進められている状況といえます。中でも大教区である東京教区はCTIC(カトリ
ック東京国際センター)を、大阪教区はシナピス(からしだね)を組織して外国人の相談から
解 決 に 向 か っ て の 支 援を 行 な っ て い ま す 。 昨年 、 札 幌 教 区 で は 従 来か ら 設 置 し て い た 「 う
えるかむはうす」にパートの専従職員を置いて対応するようになったと聞いています。
私 の 「 フ ィ リ ピ ン 人 労 働 者 を 支 援 す る 会 」 は 教 会 と は 関 係 の な い 組 織 で あ る た め 住 所地
は 教 会 で は な く 私 の 自宅 と な っ て い ま す 。 しか し 教 会 の 施 設 を 使 用す る こ と に は 何 ら 支 障
は あ り ま せ ん 。 現 在 相談 窓 口 は 有 り ま せ ん が、 教 会 が 相 談 窓 口 を 設け れ ば 相 談 は 大 き く 増
加 す る と 考 え ら れ ま す。 ま た 私 の 活 動 は 、 フィ リ ピ ン 人 の 友 人 を 介し て も の で あ り 、 同 じ
問 題 を 抱 え た 、 ベ ト ナム 人 、 ブ ラ ジ ル 人 や その 他 の 外 国 人 と の ル ート は 何 も あ り ま せ ん 。
相 談 窓 口 が 出 来 る こ とで 、 各 国 語 で の 宣 伝 が出 来 ま す し 、 当 然 同 じ問 題 を 抱 え た 日 本 人 か
ら の 相 談 も 出 て く る はず で す 。 ブ ラ ッ ク 企 業や 学 生 の ブ ラ ッ ク バ イト の 被 害 者 も 少 な く は
な い は ず で す 。 た だ 相談 窓 口 が 問 題 解 決 ま で対 応 す る 必 要 は な く 、確 実 に 解 決 に 向 か っ て
対 応 し て く れ る ユ ニ オン 等 に 繋 ぐ こ と が で きれ ば そ れ で 十 分 だ と 言え ま す 。 ま た 正 式 に 相
談 窓 口 が 出 来 れ ば 教 会内 外 の 知 識 経 験 を 有 した 人 達 か ら の 支 援 も 期待 で き る の で は な い か
と考えます。
3. 日系フィリピ ン人
これまでの経験から、フィリピン人を、「一般のフィリピン人∼日本での生活基盤が出来
ている人達」、良く問題にされる「技能実習生」そして「日系フィリピン人」の三つのグル
ープに分けて考えています。日系人は 3 世までであれば来日して何の制約もなく労働する
こ と が で き る と 言 う とこ ろ が 他 の 外 国 人 と 違い 、 簡 単 に 導 入 で き る便 利 な 低 賃 金 労 働 者 と
してひどい扱いを受けています。
日 系 フ ィ リ ピ ン 人 を 一 つ の グ ル ー プ と し て 考 え る よ う に な っ た の は 、 広 島 の カ キ 養 殖業
を 支 え て い る の は 、 中国 人 技 能 実 習 生 と こ の日 系 フ ィ リ ピ ン 人 達 であ る こ と で す 。 明 確 な
統 計 は 有 り ま せ ん が 、カ キ 養 殖 業 で 働 く 人 の3 分 の 2 強 が 外 国 人 で中 国 人 技 能 実 習 生 と 日
系 フ ィ リ ピ ン 人 が 同 数程 度 で は な い か と 考 えて い ま す 。 技 能 実 習 生は 制 度 で 守 ら れ て い ま
す が 、 日 系 フ ィ リ ピ ン人 は そ う し た も の も なく 社 会 保 険 や 労 働 保 険へ の 加 入 は 無 視 さ れ 、
長 年 働 き な が ら も 夏 場は 仕 事 が 無 く 帰 国 せ ざる を 得 な い 状 況 に 置 かれ て い ま す 。 日 系 フ ィ
リ ピ ン 人 が 来 日 す る パタ ー ン は 、 フ ィ リ ピ ンの 送 出 機 関 が 人 を 集 め、 日 本 の 派 遣 会 社 が 来
日 か ら 派 遣 先 で の 管 理を 行 な っ て い ま す 。 来日 に 要 す る 費 用 と 当 座の 生 活 費 は 派 遣 会 社 が
貸 付 け 、 そ の 返 済 が 住む ま で は 拘 束 さ れ る と言 っ た 状 況 に あ り ま す。 辺 鄙 な 場 所 で 外 部 と
の 接 触 も 少 な い ま ま 長年 日 本 で 生 活 し て い るた め 日 本 語 が 全 く 話 せな い 人 達 が 少 な く あ り
ま せ ん 。 都 市 部 で 生 活す る 日 系 人 に は 言 葉 の問 題 は 少 な い よ う で す。 広 島 の 重 要 な 水 産 業
で あ る カ キ 養 殖 に 日 系フ ィ リ ピ ン 人 が 沢 山 いる こ と か ら 問 題 意 識 を持 ち ま し た 。 全 国 的 に
日系フィリピン人に共通する問題だと考えています。
先日読んだ本に「ルポニッポン絶望工場)」(講談社+α新書)があります。この本の中でベ
ト ナ ム 人 留 学 生 の 問 題が 大 き く 取 り 上 げ ら れて い ま し た 。 留 学 生 と言 っ て も 大 半 が 日 本 語
学 校 へ の 留 学 生 で 実 態は 出 稼 ぎ 労 働 者 で あ るこ と で す 。 こ の グ ル ープ も 日 系 フ ィ リ ピ ン 人
同 様 制 度 で 守 ら れ て いる 訳 で は な い 為 、 と 言う よ り は 「 留 学 」 と 言う 在 留 資 格 の 制 約 か ら
4
労 働 問 題 と は 違 っ た 問題 を 抱 え る グ ル ー プ とい え ま す 。 ベ ト ナ ム から の 技 能 実 習 生 や 留 学
生は凄まじい伸びを見せており、1∼2 年内には技能実習生のトップの座は中国からベトナ
ムに代ると考えられます。
4. 問題の事例
(1)不法就労と フィリピン人 同士の問題
A 技能実習生 の不法就労
①
今年の6月の終わりに、ユニオンから、山口市の警察にフィリピン人技能実習生女
性 2 名とインドネシア人技能実習生女性 1 名が捕まっており、弁護士が接見に行くの
で通訳を紹介して欲しいと連絡がありました。捕まった原因は、製パン業で実習中で
あるが、終業後、社長が経営するレストランで働かされていたところに、警察署の会
合があったことで実習生と分かり捕まった。不起訴となり、協同組合が移籍先を探す
とのことになったとのこと。
②
8月の初旬、明石市で英会話学校を経営する人から11月まで技能実習で在留資格
のあるフィリピン人を雇っている。以前勤めていた会社で暴力を振るわれたり、ひど
い扱いを受けて辞めたとのことで、在留期間があり、紳士で、英語もうまいため雇っ
ているが雇用してもいいのか不安になったとのこと。不法就労助長罪に問われるので、
大阪教区社会活動センター(シナピス)に連絡して対応を依頼するよう伝えた。
③
カトリック東京国際センターから、今年の1月に実習先から逃走し、知り合いの所
で 働い ていた が在留 期限 が1 週間ほ どに迫 った ので 帰国の 相談に 来た 。労 災事故 後、
ボヤを出したことから社長の妻からひどく叱責されたことが原因。どのように進める
かの相談だった。管轄入管は名古屋のため出頭すると3か月の特定活動の在留資格が
認められた。監督署も協力的であった。目黒教会に宿泊し、日曜日に川口教会のミサ
にでるとのこと。所持金は1万円程度らしい。
B その他
①
短期ビザでお姉さんを訪ねてきて姉の職場で働いた。
②
フイリピン人のクラブ経営者が短期ビザで来日していたタレント資格を持っている
フィリピン人を紹介され雇用したが、すぐ通報された。嵌められた。
③
短期ビザで繰り返し来日して飲み屋で働いていた
フィリピン人の不法就労で挙げられた話しを聞いていると自分に反感をもっている身近
なフィリピン人の同僚が警察なり入管に連絡したと当事者から良く聞きます。誰かが連絡し
なければ警察や入管が出張ってくることはまずないので正しいのかもしれません。また短期
ビザで頻繁に来日を繰り返していたフィリピン人に入管が不審を持ち、張り込みの結果不法
就労で逮捕された例もありました。
フィリピン人の問題に係っているとこうしたフイリピン人同士の個人的な確執やビサヤ
語を話すグループとイロカノ語を話すグループとの確執また会社の通訳がその権力を背景
に支配すると言った問題で私たちの活動が阻害されることが少なくありません。
5
(2)離婚にかか わる問題
離婚に関する問題は非常に多く、相談を聞いても 2 回目に続かない例ばかりです。その
原因はフィリピン人は噂話が好きなので噂話として広がるのを心配しているのだと説明さ
れることがあります。
①フ ィリピンには 離婚の法 律が無い 。
日本では法律上離婚は 簡単な話ですが、フィ リピンには離婚の法律 が無いため、日本で
離婚が成立したとしても、フィリピンの戸籍は婚姻したままの状態が継続します。そのた
め婚姻無効の裁判を起こして婚姻自体を無かったことにする必要があります。裁判費用は
60万円以上、期間も6か月以上かかるとのことです。これは分割で支払う場合とのこと。
一括で支払うと早く終わるとのこと。フィリピン独特のスタイルのようです。
②離 婚と在留資格
婚姻無効の裁判はフィ リピン人独特の問題で すが、全ての外国人に とって重要な問題
として在留資格の問題があります。結婚して来日すると在留資格は「日本人の配偶者等」
になりま す。こ の在留 資格は、 離婚し たり、 御主人が 死亡す ると在 留理由が 消滅し て、
現在持っ ている 在留期 限が切れ るまで に出国 する必要 があり ます。 日本人と の間に 子供
が生まれ ており 、その 子が日本 国籍を 持って いれば「 定住者 」の資 格に変更 するこ とで
在留可能です。子供がいない場合であっても、5 年程度以上婚姻生活が続くと「永住者」
という在留資格に変更可能となり、永住権を取得できます。
(3)偽装結婚等 の問題
①「偽装結婚して日本に来ている。」
②「結婚して来日したが、腎臓移植に応じなければ帰国させる」
③「最初にタレントとして日本に来たときは年齢の関係で他人のパスポートを使った。
④「親戚の子が誰かにパスポートを使われて外国に行かれない。」
等の話しがよく聞かれますが捕まったと言う話はほとんど聞いたことがありません。
来日前にフィリピン人との間に産んだ20歳を超えている女の子を来日させるため日本
人の知人と偽装結婚させたが何度申請しても入管が認めてくれないと言ったものがありま
した。この例では日本人が生活保護を受給していたから当然許可されることは無いでしょう
し、さたまさしの関白宣言のような誓約書に両親ともどもサインさせられている人もありま
したし、社長が自分の会社の社員と結婚させて愛人として囲っていたと言う例もありました。
これはDVで飛び込んできた例でした。
【人 身売買と思わ れる事例 】
①
技能実習生の時、日本人と結婚しているフィリピン人夫婦から日本人を紹介され、帰
国後結婚して来日した。日本人夫 63 歳、フィリピン人 32 歳、夫の妹 61 歳が同居
②
結 婚 し た 理 由 は 。「フ ィ リ ピ ン に 帰 っ て も仕 事 が 無 い し 、 家 族 の生 活 を 助 け る た め 結
婚する。」と言うもので見合い結婚と考えていた。
③
仕事を始めると夫から給料の半分を出すように言われ困ったが、同居中の主人の妹か
らも「あげないと主人が可哀想」いわれ、最初 3 万 円 、 後 に 5 万 円渡 す よ う に な っ た 。
④
彼 女が仕 事 (マ ツダの 一次 下請け )で遅 くなっ たと き個人 タク シーの 運転 手をし てい る
夫に迎えを頼むと料金を取られていた。
⑤
タクシー代のことまた生活上のことなどで相談にのってくれないため口論となり、彼
女 が 「私 の こと が嫌 だっ た らフ ィ リピ ンに 帰る 。」 と言 うと 「 フィ リピ ン に帰 る か、 別
6
のアパートに移るならビザはOK」と言われる。
⑥
数日後には、仕事が終わって家に帰ると、離婚届に署名するように言われ、パソコン、
携帯など買い与えたものを返せと言われたため家を出てアパートを借りた。
⑦
最近は離婚届を書かせたい様子で派遣会社に電話してきた。
⑧
主 人 の 話 し で は 、照 会 し た 日 本 人 か ら 「働 く 様 に な れ ば 給 料 の半 額 が も ら え る 。」 と
の条件を提示されたから結婚したとのこと
彼女を紹介した夫婦は彼女にはお見合い相手の紹介とだけ話し、日本人には「働く様にな
れば給料の半分がもらえる。」と持ちかけていたと思われます。来日して仕事をするようにな
っ た フ ィ リ ピ ン 人 が 給料 の 半 分 の 支 払 い を 強要 さ れ る と 、 そ れ に 従が わ な け れ ば 離 婚 =帰国
とならざるを得ず、帰国すれば結婚無効の裁判の費用負担が生じ、しぶしぶ了承せざるを得
ないのではないでしょうか。仲介した男が紹介手数料を日本人から取っているかどうかは不
明ですが、偽装結婚仲介と言うよりは日本人との結婚を餌にした人身売買と考えられます。
(4)死亡を巡る 問題
日本人の主人が死亡したことからの問題は少なくありません。例外なく親族がフィリピン
人の妻に財産の相続させないため帰国させようとするものです。ただ相談に出てくる者はほ
とんどありませんでした。
①日 本人夫の死亡 での遺産 分割について
①
結婚後10年経過し、夫が自宅の階段から落ちて死亡した。同居家族は夫と90歳ぐ
らいの夫の母親との3人暮らしで、夫は年金生活、妻は水産会社で働いている。
②
夫には日本人と離婚し、元妻のもとに子供が一人いる。
③
近所に住んでいる夫の妹から次のような内容の遺産分割協議書にサインを求められ
ている。
(A)自宅は妹が相続し
(B)別にある土地は妹が500万で購入し、妻と子供が折半する。
©夫の預金通帳は6冊 あるが全て残 高がゼロ 、口頭で、4 年間はこ の家に住んで いいと
のこと。これは母親の面倒をみさせたいためと思われる。
④
弁 護 士 に 依 頼 す るこ と で 話 が 終 わ っ た が、 数 日 後 、 怖 い の で この ま ま で い い と の 連 絡
がある。
②日 系フィリピン 人夫婦の 例
(広での実習生の交通事故死・フィリピンでの葬儀)
心 臓 発作 で夫 が突 然亡く な りま した 。こ の情報 は この 夫妻 の友 人から 教 会の 世話 をし て
い るフ ィリ ピン 人に 「明 日葬 儀が ある 」と 連絡 があ りま した 。い つで も行 ける よう に神 父
様 の日 程も すべ てキ ャン セル して もら って 待機 して いた とこ ろ葬 儀の 日の 早朝 連絡 があ り
直 ぐ行 くと 葬儀 のた め沢 山人 が集 まっ てい まし たが 、ど のよ うな 宗教 での 葬儀 か分 かり ま
せんでしたし、死亡した夫の兄弟は名古屋からまだ着いてはいませんでした。妻の、
「親戚
が そろ うの を待 って ミサ をあ げて もら いた い」 との 希望 から この 日の 葬儀 は中 止と なり ま
し た。 この 会社 には 40 数名 のフ ィリ ピン 人が おり 、日 本人 と結 婚し てい るフ ィリ ピン 人
女 性が 会社 の通 訳と して この 人達 の世 話を して いる のに 教会 には 一切 連絡 して きて いま せ
ん。
こ の 背景 には 、こ の会社 で 、仕 事を 巡る 諍いか ら フィ リピ ン人 女性が フ ィリ ピン 人男 性
か ら暴 力を 受け 流産 する と言 う事 件が あり まし た。 会社 の対 応が 充分 では なく 、不 満の 収
ま らな い彼 女が 私た ちに 加害 者を 警察 に捕 まえ ても らい たい と連 絡し てき たも ので した 。
7
彼 女の 話し を聞 いて いる 中で 、通 勤災 害、 残業 問題 や社 会保 険未 適用 など 様々 な問 題が あ
る こと が分 かり 、ユ ニオ ンに 加入 させ て団 体交 渉に 入っ たこ とを この 通訳 は自 分の 立場 を
脅 かす もの と捉 えた よう です 。こ の通 訳は 江田 島に 住む 日系 フィ リピ ン人 達に 富山 の置 き
薬 の形 態で 物品 販売 も行 って いま すし 、病 気な どの 場合 には よく 世話 を焼 いて いま す。 し
かし江田島で始めた月 1 回のミサに対しては皆に参加しないようにと圧力をかけてきまし
た。
こうした物品販売をする人達は私たちの活動にとっては大きな情報源として機能しますが、
彼女のように会社に所属している人達は自分の仕事を守るため私たちの活動を阻害する方向
に動いていきます。協同組合の通訳をしている人達も同様で、フィリピン人の神父さまの要
請でユニオンと私で行なった英語ミサ後のセミナーに自分に関係する実習生を参加させず連
れて帰ったこともありました。
(5)JFCを巡 る問題・・・「 寿寿」と「 国際財団」 との例
JFCの問題には様々なものがありますが、日本人の父親から認知を求めて来日し、裁判
を起こす人たちがいます。このこと自体悪いことではないけれども、
「良いことなのか?」と
考えると疑問があります。子供が自分の意志で、自分のルーツを求めて父親探しに来日する
のであれば問題は無いでしょう。認知されていない小さな日本人の子供を連れて認知の裁判
を目的として来日する人達がいます。しかしその本来の目的は子供が日本国籍を取得すれば
日本で働くことができるし、養育費等をもらうことができると言うところにあるのではない
かと思います。こうした思いに付け込んで、認知されていない子供の親や子供たちを探し出
して食い物にしようとする人たちがいます。そうした問題として大きな事件が二つありまし
た。一つは、平成26年7月に報道された奈良県の老人介護施設寿寿、あと一つは平成27
年2月に報道され た岐 阜県で不法就労で 摘発 された JFC を食い物にした国際財団を 巡る 問
題です。
【介 護施設寿寿】
認知されている子やこれから裁判で認知を求める親子を援助するとして来日させたもので
す。こうした人達や日系フィリピン人を招来し、老人介護施設で働かせること自体目の付け
所もいいし、特別問題は無いといえますが、来日に要した費用を貸し付けることで転職の自
由を奪い、日勤のみと言う労働条件を守らず宿直勤務も月13回組み込み、さらには過労死
した時には損害賠償の権利を放棄するなど記載された契約書に署名させるなど人権を無視し
た奴隷的状態で拘束されていたためこうした過酷な状況から助けを求めて逃走したと言う事
件です。
【一 般財団法人国 際財団】
この事件は平成27年2月に毎日新聞がトップ記事として報道しています。概要は日本人
との間にできた子供を持つ母親や認知を望む子供たちを集めて来日させて裁判を行なう期間
中パブ等で不法就労させていたものです。来日費用に60万円かかったなど不当な借金を負
わせられて酷使されたため、逃走して助けを求めたものです。この事件の中心には法務局に
一般財団法人国際財団として登記された組織があります。国際財団には弁護士が評議員に名
を連ねており、この弁護士が中心となって全国的に認知裁判を行っているようです。フィリ
ピンで認知可能な子供を持ったフィリピン人を探し出すブローカーがこうした人達を来日さ
せています。その中でも岐阜の例は異常なものでほとんどはこうした問題も無く静かに進ん
8
でいます。しかしそこにはビジネスとして動いているため様々な問題が潜んでいます。
この報道の1か月前認知裁判進行中の人から相談が寄せられていたのでその辺りからこの
組織と問題点を見ていきます。
A
事例の経過と 問題点
①来日までの流 れ・・ タレントで来た ときの ブローカーKか ら認知 セミナ−に誘わ れ、認
知の可能性が高いため選ばれて来日し、世話を受けている。
②日本での関係 者・・ Kと大家と弁護 士がワ ンセット・・国 際財団 がどのような利 益を得
ているか不明
③来日時の費用 等・・ 来日時費用等は K、家 賃は大家に、裁 判手続 きと入管関係は 弁護士
で弁護士費用が90万円、在留資格更新が5万円
④相談に来た原因・・裁判が長引き、家賃等の費用を支払っていない状況から、
「フィリピ
ンの家を売ってこれらの費用にしたらどうか」と弁護士からいわれ
たことから不信感が募った。来日時の費用等も不明確だった。
⑤子供の学校・ ・・・ 1年たつがその 間子供 は学校に行かせ てもら っていない。た ちまち
は市の国際セン ターの 日本語教室に通 うよう にし、4月から 小学校
に通えるようKに話しをさせた。
⑥認知される・ ・・・ 27年7月に認 知の裁 判が勝訴となる が、弁 護士から、今ま で支払
いを受けた残りが70万円あり、月3万円の返済契約書にサインさ
せられた。同時に、生活保護を受けてはいけないと言われた。
⑦認知後・・・ ・・・ 労働可能となり 就職す るが低賃金で生 活は苦 しかったため生 活保護
の手続を行なう。その後、バスの中で知り合ったフィリピン人から
その人が働いている造船所の仕事を紹介され生活が安定した。
28年7月下旬に在留資格申請の更新の保証人を依頼してきた
ため、入管に同行して手続を行なった。
⑧問題点
・認知裁判を行なっている状況等を隠ぺいするため生活上いろいろ制約をうけている。
子供が学校に通学させてもらえていない、教会に行ってはいけないなど。
・認知後生活保護の受給を弁護士から禁止された。
・裁判に父親が出廷せず、子供と会えないことから、子供が父親に憎しみを抱く。
・子供は 現在1 1才で あり、日 本語は 話せる ようにな ってい るが、 読解能力 は小学 校低
学年レベルで、これから高校大学への進学できるか。フィリピンにいれば生活に困る
ことは無く大学まで進学できている。
・弁護士費用 90 万円は常識外の金額あり、勝訴で獲得できる慰謝料や賠償金で費用が賄
え る こ と を 前 提 と して来 日 さ せ て お り 、 そうし た も の を 取 得 で きない と き に は こ の 例
のように大きな借金を負うことになる。
・弁護士費用の他にブローカーに支払った費用が不透明で不信感を抱いている。
・このケ ースで はフィ リピンで 家賃収 入があ り仕送り で生活 が出来 ているが 、他の 家族
は裁判中の生活費を稼ぐため不法就労している人もいた。
・母親は 、子供 の父親 とタレン ト時代 知り合 い、妊娠 したこ とから 帰国させ られ、 仕送
り等受け、家を2軒建ててもらっている。
・ 多くの 例が タレン ト時 代の不 倫ない し、 恋愛 関係で 出産し てお りそ れなり に補償 を受
9
けていたりするが、それが無くなったからまた日本で生活できるとの誘惑からかなりの
歳月が経過した後に裁判のため来日している。
・ 子供の 認知 と言っ た面 からみ ると問 題な いと しても 、こう した 状況 を考え ると何 とも
言えない気持ちになる。
5. 技能実習生問 題
技 能実 習生 制度 にに つい て、 支援 する 弁護 士さ んや ユニ オン また マス コミ を始 めそ の他 の支
援 団体 の人 達は アメ リカ 国務 省の 「奴 隷制 度で ある 」と の指 摘を 支持 して 廃止 しな けれ ばな ら
な いと 言っ てい ます 。し かし 、そ れが 事実 なの かと なる と即 断は でき ませ ん。 彼ら はそ の根 拠
の 一つ とし て労 基署 の調 査に 基づ いて 受け 入れ 企業 の7 0% に問 題が ある こと を挙 げて います。
し かし 日本 人を 対象 にし ても 同じ よう な数 字が 出て きま す。 技能 実習 生の 場合 、労 基署 の調 査
結 果 を 見 る と 残 業 代 や解 雇 等 で 問 題 が あ る のは 3 0 %前 後 の 企 業 に つ い て で す 。 当 然 、 全て が
悪 質な もの では なく 、そ うし た問 題が あっ たと 言う もの も含 まれ てお り、 悪質 な企 業の 割合 は
明 確で はあ りま せん 。技 能実 習生 達は 色々 な情 報を 探し てユ ニオ ンに 相談 に行 く例 が少 なく あ
り ませ んが 、悪 質な もの ばか りで はあ りま せん し、 相談 に来 るの は氷 山の 一角 でし かな いの は
事 実で す。 その 内の 特に 悪質 なも のが 裁判 に進 むこ とに なり ます 。こ うし た事 例を 取り 上げ て
「 奴隷 制度 」と 一括 りに して 批判 する こと には 問題 を感 じま す。 弁護 士さ んや ユニ オン は相 談
に 来た 人達 だけ との 接触 しか ない ため 「扱 った 事例 が全 て」 と短 絡し た発 言と 言え ます 。当 然
そうしないと技能実習生制度の抱える問題を解決できないからかもしれません。
しかし日ごろから技能実習生と接している者にとっては多少の問題は有りながらも仕事と日
本での生活を楽しんでいる技能実習生達の方がはるかに大勢いると感じています。ただ縫製業
等一部の業種については過重労働と低額な残業代で酷使され問題が集注しています。実際に悪
い企業がどの程度あるかとなると統計自体が無いので何とも言えませんが労基署の調査結果や
私の周りの人達の話しから推測するとほんとに悪い企業が30%前後、問題の無い企業も同程
度で後は多少の問題がある企業と見ています。ただ問題が無い企業とは言っても低賃金・使い
捨て労働者との感覚がそれなりに有るところに大きな問題があるといえます。
ちなみに入管が発表した平成 27 年の不正行為報告 238
件の内訳を見ると、1位が繊維衣服関係の
94 件(39.5%)、
団体管理型での実習実施機関の業種別
2位が農業漁業関係の 67 件(29.1%)、3 位が 建設関係の
「不正行為」機関数
(平成 27 度入管
20 件 (8.4%)とな って いま す。 一部 の業 種に 問題 が集 注 し
資料表 3)
25 年 26 年 27 年 ています
また受入事業所の規模で見ると H26 年実習実施機関の規
繊維・衣服関係
75
76
94
農業・漁業関係
建設関係
食品製造関係
機械・金属関係
その他
計
79
16
15
7
18
210
88
16
11
12
15
218
【参考】平成 27 年度 12 月
都道
府県
広
岡
山
島
鳥
島
山
口
根
取
外国人
総 数
42,899
22,439
13,875
6,600
3,965
67
20
19
10
28
238
10 人未満の事業所で 50.9%、50
模(法務省)
人未満では 81.7%となっています。
こうした事業所では最低賃金で雇
用できる技能実習生は不可欠の労
働力と言えるでしょう。
10 人未満
10∼19 人
20∼49 人
50∼99 人
100∼299 人
300 人以上
50.9%
15.5%
15.3%
9.3%
6.5%
2.4%
※その他の大半はベトナム人と考えられます
技能実習生
合計
中国
10,692
5,446
2,564
1,352
1,069
4,540
2,541
1,358
803
491
フイリピン
1,700
326
190
25
15
10
その他
4,452
2,579
1,016
524
563
留学生
3,649
3,300
1,304
264
216
国籍別総数
フイリピン
6,265
1,682
1,203
835
503
ベトナム
4,859
2,939
1,269
362
453
(1) 技能実習生制度について
公益財団法人 国際
法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の五省共管により外国人技能実習制
研 修 協 力 機 構
度・研修制度の適正かつ円滑な推進に寄与することを目的として 1991 年に設立
(JITCO)
された財団法人。
関係機関
①送出機関・・・・・・・・・・募集、出国前の日本語教育や帰国までの管理等
②第1次受入機関(協同組合)・・日本での実習中の管理
③第 2 次受入機関(会社)・・・・労働契約を結び実習を実施
労働組合
①水産業では海員組合への加入が義務付けられている。
②組合会費は月 3000 円
③海員組合が技能実習生と接触することは無い。
管理費
①実習生管理のため協同組合は会社から管理費を徴集している。
②ある組合では、実習生一人につき毎月35千円の管理費を徴集している。この
内5千円は送出機関分。
会社への監査
①協同組合には毎月及び3カ月に一回の監査が義務付けられている。
②JITCO も随時立入り調査をしている。
実習期間
①3年の実習期間が原則で、2年目に進むためには技能認定試験合格が必要。
②技能実習で来日は1回限り。
在留資格と雇用契
①在留資格は「技能実習」で、1年ごとに更新。
約
②雇用契約は在留資格更新に合わせて更新される。
③団体交渉途中に契約更新時期が来ると次年度契約を拒否してくる場合がある。
④入国申請時には3年間の労働契約書と3年間の実習計画書が入管に提出され
ており、実習生も3年間の労働契約と認識している。(個人情報開示で入手可)
転職・アルバイト
①指定された職種また会社でしか労働できない。
②会社の業績不振で休業が続いてもアルバイトができず生活が苦しくなる
賃金
①日本人並みの賃金と指導されているが最低賃金で支払われている。
②各種手当類はなく基本給のみが普通。
③基本給は時間給支払であるが、支給方法として次の二つの方法がある。
a 毎月「出勤日数×所定労働時間×最低賃金」で計算
b 上記算式で1年間の賃金総額を算出してその12分の1を月給で支給
※「a」の方式では8月と年末年始など月の半分が休日になり賃金が半額とな
り生活に困窮する例がある。
④残業が無い場合の賃金: 13 万円-5 万円(社保家賃)−4 万円(仕送)=4 万円
家賃
①一般的に老朽化した居室に多人数で生活し、実費換算すると過剰な家賃が徴収
されている。
②福岡県の例では、4室の戸建て住宅に18人が入り、光熱費込みで一人当たり
25千円、合計45万円徴収されていた。
③最低賃金改正により増加した賃金と同額を家賃に上乗せする。
他の会社への移籍
①会社の業績悪化や倒産で解雇となると実習職種に該当する移籍先があれば実
習継続可能。なければ帰国となる。
②実習職種外での実習が判明すると前項同様となる。
③実習先に問題があるとの実習生からの訴えで移籍させる協同組合もある。
母国での保証金
①保証金を積んで来日することは認められていない。
②フィリピン以外は保証金がある様子。
往復旅費
①いかなる場合であっても受入機関の負担となる。
②本人の帰国希望の為本人負担と言うことは無い。
11
(2) 技能実習生問題のキーワード
技能実習生の問題は例外なく賃金未払や年次有給休暇や解雇などの労働問題です。これら
は日本人にとっても共通の問題といえます。
しかし、技能実習生という立場から発生してくる問題を理解していないと技能実習生の問
題を正しく把握できませんし、支援する場合にも対応を間違ってしまうことになりかねませ
ん。(①技能認定試験、②強制帰国、③会社・協同組合・母国からの脅しに屈する)
そのため技能実習生問題を理解するためには、三つのキーワードから見ていくのが良いと
考えています。①本音と建前、②コンプライアンス、③恐怖感、の三つです。
①本 音と建前
技能実習生制度の建前は、日本の進んだ技能等を技能実習生に覚えてもらい、その国の
経済発展を担う人材育成を目的とした、我が国の国際協力・国際貢献というものですが、
本音は、日本人が働きたがらない3K職場での労働力確保のため、3年を限った低賃金労
働者の導入ということになります。
一方、技能実習生にしても、技術の習得が目的ではなく、出稼ぎが目的です。帰国して
も仕事が見つからない為、中近東や韓国などに出稼ぎに行くことを予定している人も少な
くありません。中には、事業拡張の資金稼ぎを目的とした人達や、裕福な家庭の子弟もお
り、留学生として再来日してきた人もいます。
②コ ンプライアン ス
本音の部分は受け入れる側も技能実習生も利害が一致しているので特別問題がありませ
ん。しかしこの本音の部分である低賃金労働者の確保が出来なければ会社は倒産すること
をしっかり認識できず、労働法を無視したり、人里離れた土地に監禁状態にしたり、携帯
の所持禁止や教会に行ってはいけないなどと人権を無視して、技能実習生制度を「使い捨
て労働者の受け入れ制度」と勘違いしている会社があります。中には「借してもいない借
用書にサインさせ、それを毎月返済させている。」会社もあるそうです。
こうしたコンプライアンスを守らない一部の会社によって技能実習生制度は奴隷制度と
して批判を受けています。実際こうした会社がどの程度あるかは分かりませんが、個人的
な感覚では 20∼30%程度がかなり悪い会社、特別問題のない会社も同じ程度ではないかと
感じています。
ただ問題のない会社であっても寮の規則違反等些細な問題で見せしめのために帰国さ
せると言ったことが当然のこととして行われています。こうしたところにこの制度に係る
人達の不気味さを感じさせられます。
技能実習生制度が「本音と建前」の世界で運用されている趣旨を理解できないこうした
行為をみると、せっかくのいい制度なのに自分で自分の首を絞めているとしか言えません。
③恐 怖感
私たち日本人にとって日本は非常に安全な国と意識しています。財布や携帯を落として
もまず手元に返ってきます。しかし外国ではそうでしょうか。技能実習生の裁判で弁護士
さんと打合せした帰り道、この技能実習生から、
「あの弁護士は信用できるのか。フィリピ
ンでは相手がお金を渡せば相手の味方をする。」と言われました。
確かに、フィリピンも中国も、警察でさえお金を渡せばどうにでもなるという話しを聞
きます。そうした世界から来ている人達が支援している私自身また教会に来ている人達を
含めて信用できるはずがありません。相談すると会社に通報されるのではないかと不安を
持っています。ですから相談に来る人達は切羽詰まった人達か、私たちと信頼関係が築け
た勇気ある人達に限られます。
今、呉市の造船所で働く技能実習生が仕事中に目を怪我して、ものが二重に見える状態
12
になって、仕事を休んでいます。いくつかのルートで相談に来るよう話しをしてもらって
いますが、「教会に行ってはいけない。」との指導をしっかり守っています。彼にとって、
信用できるとすれば常に接触のある協同組合や会社また同国人の通訳であって見ず知らず
の私たちや教会ではありません。
(3)
国際交流 と労働契約= 恩顧と収奪の 問題
雇用主にとって、技能実習生は、外国人であると同時に自分の雇用している労働者であ
るといった二つの面を持っています。外国人に対して国際交流の立場から接していくのは
良いことですが、この二つの立場をしっかりと分けて考えることができず、混同してしま
うと思わぬ問題が発生してしまいます。
要するに日本人の意識の中にある「良くしてもらっているから少々のことなら我慢しよ
う。」という意識を外国人に対しても自分勝手に押し付けて考えているところです。例えば、
バーべキューパーティーを開いてやった、宮島に連れて行ってやったのにわずかな残業代
をなぜ問題にするのか、言ったものです。江田島での事件の報道を見ても被害者はこうし
た感情を持っていました。
(4)
問題の事 例
①強 制帰国・保護
a 見せしめとしての強制帰国
・技能実習生が会社に残業代等の改善を要求した場合
・寮の規則違反、妊娠等
b 会社の業績悪化による解雇。移籍先が無ければ帰国。
c 認 定 職 種 以 外 で 労 働さ せ ら れ て い る こ とが判 明 し 、 移 籍 先 が 見つか ら な け れ ば 帰 国 。
d ユニオンとの団交中の契約更新の拒否等
全て事業主側の都合によって帰国させるものです。次年度の契約をしないと言った問題
は労働法上は問題ないとしても技能実習生制度のもとになっている入管法から見ると大い
に問題があります。技能実習生制度は3年の実習を前提とした制度です。そのため入国前
に在留資格の許可を得るためには3年間の実習計画書と3年間の期間を定めた労働契約書
が入管に提出されています。こうした強制帰国がされると労働契約違反として残りの期間
に対する損害賠償の請求が可能といえます。また団体交渉中であれば労働委員会に不当労
働行為として提訴することになります。
②会 社、協同組合 と送出し 機関からの嚇 し・同僚 からの敵視
ユニオンから団体交渉の文書を出すと、送出し機関や家族からユニオンを脱退するよう
にとの連絡が入ります。例外なく、ユニオンは金儲けのために行っているとか入管のブラ
ックリストに載って再度外国に出かけることができなくなるなどの嚇しが入ります。また
会社や協同組合からもユニオン脱退の嚇しがあり、ひどいものでは、本人達が「会社の物
品を盗んで母国に送ったから警察に訴える。」とか「日本では 10 万円も出せばマフィアが
こうやってくれる(ピストルで撃つ格好)。フィリピンも同じ。」との脅しがありました。こ
うした脅しに耐えるためには私たちとの信頼関係を築くことと、常に連絡がとれる体制を
作っておく必要があります。
また協同組合が、他の実習生たちに、彼女たちの訴えが原因となって全員帰国させられ
るかもしれないと言った話がされることで、他の技能実習生達から冷ややかな態度を取ら
れたり、不安を募らせて文句を言って来たり、ものを投げ散らしたりされ、言い争いが発
生するなど、仲間割れを誘発してきます。
13
③賃 金・残業代
賃金関係では。残業代の未払が中心になります。その手口として。
福岡県の農業の例では、残業単価が 1 年目 300 円、2 年目以降 450 円、日曜日が 4000
a
円とされていました。月曜日から土曜日まで働いているため土曜日は残業扱いとなり
25%増しとなりますがこれも無視されていました。
b
子供が病気で帰国したいが帰国させてもらえないと相談に来た広島の事例では、残業
代の問題は無いと本人たちは言っていましたが、調べてみると、始業前の 10 分間のミ
ィーティング、昼休みが 10 分短縮、終業時間が 10 分延長され合計 30 分の未払があり
ました。
c
こうした残業代をチェックするためには、違法な手口を頭に置いたうえでの聞取り調
査と労働契約書とタイムカードなどの記録が必要になります。タイムカードが無い場合
には、一定期間ノートに記録を取ってもらいそれから残業代を計算します。長い人では
1 年間記録した後に交渉に入ったこともあります。これは「怖いから帰国が近くなって
から会社と交渉してもらいたい。」との要望があったためです。注意しなければならな
いのは労基法上の時効が 2 年間であるため、帰国が近くなるほど請求できる期間が短く
なることです。
④住 居と家賃
a
老朽化した住居、狭いスペースに大人数が押し込まれ、高額な費用を徴集されている。
b
先の福岡の例ですが。4 部屋の戸建て住宅に 18 名が住んでいました。家賃は光熱費込
みで 1 人 25 千円で合計すると 45 万円となります。協同組合の事務所の横に 1 階部分が
駐車者スペースのプレハブを建て、2 階に間仕切りはしてあるとのことですが 40∼50 名
が住んでいると聞いています。家賃は同じです。もし火事になれば逃げることは難しい
と思われます。(労基法による寄宿舎としての届出が必要だが無視されている。)
c
この組合の管理費は 15 千円とのことでしたので事業主からもらうべき管理費の一部を
実習生の家賃に振り替えているといえます。
d
(5)
別な例では。最低賃金変更による賃金増加部分を家賃に上乗している例もありました。
技能実習 生全員に係る 問題・・実習 生とされ ることでの不 利益問題
技能実習生問題は、これまでお話ししたような賃金未払や解雇や労災事故などに対する一
部の会社の理不尽な問題ばかり取り上げられ、
「 技能実習生制度は廃止しなければならない。」
と批判されています。弁護士さんやユニオンが技能実習生と接触するのはそうした酷い事例
ばかりだからやむを得ないかもしれません。
しかし全ての技能実習生がそのような環境にある訳ではありません。特別悪い事例ばかり
を取り上げて技能実習生制度を云々するのではなく、全ての技能実習生に関係する些細な問
題に目を向けてみと改善を図らなければいけない問題も少なくありません。
今日はこの問題について詳しくは触れませんが、技能実習生全員に、また全ての外国人に
関係する問題を 3 点紹介させていただきます。これは特別難しい問題ではありませんので、
皆様の周りにいる外国人に対して力になっていただければ幸いです。
①
脱退一時金と その所得 税還付
日本に 在住す る全 ての 人は年 金に加 入す る義 務があ ります 。技 能実 習生の 多くは 厚生年
金に加入して います。 3 年間で帰国 すると年 金保険料の掛 け捨てと なるため、こ の防止策
と して保 険料の 一部 が還 付され る脱退 一時 金と いう制 度があ りま す。 簡単な 手続き ですが
少 なから ず問題 が発 生し ている ため年 金セ ンタ ーに送 る書類 のコ ピー を取っ ておく ように
指 導して います 。も しト ラブル が発生 した ら、 委任状 とこの コピ ーと 年金セ ンター からの
手紙のコピーを取り寄せれば年金事務所でどうなっているか調べることができます。
14
ま た脱 退一時 金に は退職 所得 とし て 20.42%の 所得 税が課 税さ れます 。こ の源泉 所得 税
に ついて は日本 に住 んで いる人 を納税 管理 人と し確定 申告す れば 還付 しても らうこ とがで
きます。必要な書類は、委任状と脱退一時金の支給決定通知書の二つが必要になります。
脱 退一時 金に 係る源 泉所 得税の 問題 は行政 の嫌 らしさ と言 うか外 国人 差別と しか 言いよ
う があり ません 。日本人 であれ ば、「 退職所 得の 受給に 関する 申告 (退職所得 申告)」を会
社 に提出 するだ けで 課税 される ことは 有り ませ ん。脱 退一時 金申 請書 にこれ を添付 すれば
済 む話し なので 、こ の点 を年金 センタ ーに 問い 合わせ た所こ の手 続き は認め ていな いとの
ことでした。
ちなみに 3 年間で 7∼8 万円程度の源泉所得税が控除されています。現在 18 万人強の技
能実習生がおり、毎年 3 分の 1 の 6 万人が入れ替わるとすると源泉所得税の額は 42∼48
億円となります。国は毎年技能実習生からこのお金を搾取していることになります
※
留学生も国民年金への加入義務があります。しかし市役所に行って学生免除の手続を
とることで年金保険料を払うことなく障害を負ったときには障害基礎年金を受けるこ
とができます。意外とこの手続きが取られていません。
②
所得税・扶養 控除
給料を もらう とき 所得 税が控 除され ます 。も し自分 に扶養 して いる 家族が いれば その人
数 に応じ て所得 税が 減額 されま す。外 国人 の場 合も同 じです 。生 活の 一部を 送金に 頼って
い る奥さ んや両 親等 は被 扶養者 として 扶養 控除 の対象 となり ます 。技 能実習 生だけ でなく
定 住して いる外 国人 でも この手 続きし てい る人 は多く ないと 思い ます 。この 手続き は毎年
1 回会社に書類を提出するだけの手続きで済みます。
16 歳 未 満 の 子 供 に つ い て は 子 供 手 当 が 支 給 さ れ る た め 扶 養 控 除 の 対 象 と な っ て い ま せ
ん 。ただ 子供手 当は 日本 国内に 居住し てい ない 子供に 対して は支 給さ れない 決まり となっ
ているため技能実習生にとっては不満の残るところです。
※
中国人の技能実習生と留学生については租税条約によって所得税が課税されること
はありません。技能実習生については問題ありませんが、留学生のアルバイトについて
は本人にも会社にこの知識が無いため課税されているようです。
③
帰国時の年末 調整
サラリーマンの所得税は毎年年末調整として会社が 1 年間の賃金を基に所得税を計算し
て 清算し てくれ ます 。年 度の途 中で帰 国す る外 国人に ついて は、 帰国 時に年 末調整 する必
要 があり ますが 、こ れが 無視さ れてい るの が現 実です 。会社 が年 末調 整して いなけ れば、
日本に住んでいる人を納税管理人として確定申告すれば還付されます。
6
ネットワーク 造りの必 要性
外 国人 の問 題へ の支 援に とど まら ず何 らか の活 動を 行な おう とす る場 合に は、 同じ 目的 を持
っ た仲 間を 見つ け出 す必 要が あり ます 。ま たそ れぞ れの 問題 を得 意と する グル ープ との 関係 づ
く りを 進め るこ とで 効率 的な 支援 活動 が可 能と なり ます 。当 然、 主義 主張 を超 えた 連携 体制 が
必 要と いえ ます し、 市内 から 県内 、県 内か ら他 県へ と連 携体 制が 広が って いけ ばよ り広 域で の
支援が可能になります。
【新 居浜の事例】
広域での支援体制が機能した例として、新居浜の造船所で働くインドネシア人技能実習生 18
名の問題がありました。宗教はムスリムでした。大雑把な流れは次の通りです。
(1)
日曜日しか休みが無く、それが当たり前と思っていたら、お祭りで仕事が休みになり、遊
びに出て、他の会社で働く同じ国の技能実習生と出会い、休みが少ないことや残業代が無い
ことはあり得ないと教えられたので会社に話したら即帰国させられることになり、今日市役
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所に手続に行った。残りの半分は明日市役所に行き、2・3 日以内に帰国させられる。
(2)
彼らのうちの一人が知り合いの、北九州市に住む大学の先生に支援依頼をする。
(3)
先生はあちこちに支援依頼をするがすべて断られた。
(4)
支援依頼された一人にカトリック松山教会の J-CaRM のメンバーの社労士がいた。
(5)
彼が岡山で開催された J-CaRM の全国大会で私の講演を聞いており、思い出して、連絡し
てきたので、了承した。
(6)
大学の先生を介して実習生達と連絡を取る一方、J-CaRM の会議で知り合いとなっていた
高松教区の J-CaRM 責任者が新居浜教会の司祭をしていたので、通訳、宿泊先の確保と宿舎
から移送する際の車両の手配を依頼した。
(7)
同時に広島のユニオンに支援依頼をし、新居浜へ同行の承諾を得る。
(8)
この計画が漏れ、母国の家族や送出し機関から思いとどまるよう連絡がはいり、会社が残
業代を支払うと言っているのでこれを受け入れて帰国するとの連絡があったため実際に動
くことは無かった。
(9)
残業代は 1 人 70 万円程度、総額 1200 万円程度と考えていた。受領額不明。
おわ りに
外国 人の 抱え る問 題を お話 しさ せて い頂 きま した が、 一番 難し いの は問 題を 抱え た外 国人 と
の 関係 づく りと いえ ます 。教 会に 来て いる 人達 は生 活の 安定 した 人達 であ り、 日本 の社 会に な
じ んで おり 自分 自身 で問 題を 解決 する こと がで きま す。 この グル ープ との 関係 で外 国人 問題 へ
の 取組 を考 えて いく と単 なる 国際 交流 に終 わっ てし まい かね ませ ん。 しか も教 会に 来て いる 人
達 は極 わず かで す。 遠隔 地に 住ん でい たり 、教 会の 近所 の歓 楽街 で夜 の仕 事を して いた り、 日
曜 日も 仕事 をし てい たり と様 々な 理由 で教 会に 来る こと がで きな い外 国人 が沢 山い ます 。こ う
し た外 国人 との 関係 づく りを どの よう に進 める かは 私た ち支 援す る側 の課 題で ある と同 時に 教
会の課題でもあるといえます。
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