「SEL8つの能力」尺度 - 国立大学法人福岡教育大学

子 どもの健 康科 学
11(2)17… 30 2011(平
23)
原著〕
〔
小学生版 「社会性と情動」尺度
(Soё hland
Emoゼ ontt AЫ l面 es
:篭
Scale for Elementary School Children:SES‐ C)(D引冒
東京福祉 大学・ 大学院短期 大学部 こども学科
田中芳幸
小金井第 二 小学校
真井晃子
久留米大学文学部心理学科
津田
彰
医療 法人根岸会足利 富 士 見 台病 院
田中
早
〔抄 録 〕
社会性 と情動の学習 (SEL)プ ログラムが育成 目的 としており「生 きる力」 にも通 じる5つ の 「基礎的な社
会的能力」 と3つ の 「応用的な社会的能力」 を測定するための 「小学生版 『社会性 と情動』尺度」 (SES― C)
を開発 した。尺度開発 にあたつては、小学校 1年 生 か ら6年 生 までの児童 に共通 して利用できるものにするこ
とを考慮 しながら妥当性 と信頼性 の確認を行 つた。また、SELの 概念 と合致 した理論的妥当性を重視 した尺度
構成を目指 した。
3つ の小学校 の1年 生 から6年 生 までの児童、計942名 に対 して調査を行 つた。調査 には予備調査を経 て作成
したSEL概 念 に基づ く8つ の能力の それぞれに当てはまる計45項 目を用 いた。
項 目選択 と探索的因子分析 によつて、SEL概 念 の5つ の 「基礎的な社会的能力」 (15項 目)と 3つ の 「応用的
な社会的能力」 (9項 目)に 合致す る因子を抽出 した。各因子内の α係数も十分 な値であ つた (a=0.53‐ 0.68)。
累積寄与率も高値 を示 し
(「
基礎的な社会的能力」 で40.33、 「応用的な社会的能力」 で42.48)、 下位尺度間の
相関 はいずれの組 み合 わせでも低 から中程度 (r〓 o.27¨ 0.52)で あ つた。学年区分 (低 学年=102年 生、中学年
〓304年 生、高学年=506年 生)ご とに確証的因子分析を行 つたところ、いずれの学年区分 でも非常 に高 い適
合性 の値を得 た (GF:〓 0.93‐ 0.97、 AGF:〓 0.90‐ 0.95、
RMSEA〓
0。
04-0。 07)。
以上の結果 から、理論的妥当性 と因子的妥当性および内的一貫信頼性 を満た し、SELの 概念 に基づ く能力を
包括的 に、小学 1年 生から6年 生 まで測定可能なSES¨ Cを 開発 した。児童の様 々な能力を包括的 に評価 したり、
SELプ ログラム等の効果を測定 したりといつた今後 の活用を期待 できる。
は じめに
30日 以上 の 欠席者 は、 2009年 度 で依 然 と して12万
現代 の学校現場 では不登校 や い じめ、校 内暴力 な
°
6,637人 とい う多数 である 。小学校児童 に限定 して
どに代表 され るよ うに様 々な 問題 が存在 して お り、
不 登 校 率 の 推移 をみ る と、 2005年 度 か らの 過去 5
早急 な解決 が求 め られて い る。 これ らの様 々な問題
年 間 で0.32%か ら0。 34%の 間 で 増減 を繰 り返 して い
行動 はマス メデ ィアや研究論文 で数 多 く取 り上 げ ら
る。 さらに、少子化や学校外 の適応指導教 室 の増加
れ てい るが、 中で も非社会的問題行動 の代表例 とさ
を考慮す ると依然 として高 率 で あ り事態 は深刻 で あ
れ る不登校問題 に関す る報告 は 多い。不登校児童生
る。 また、不 登校 を経験 した生 徒 の 約 40%が 義務
徒数 につ いて数年来 の増加傾 向 が止 まった とす る報
教育課程卒業 か ら 5年 後 に も人付 き合 いや 自己主張
告 が散見 され るが、全国 の不登校 を理 由 とす る年間
などの社会 生活 における課題 を抱 えて い ると指摘 さ
17
小学生版「社会性と情動」尺度
(SociJ and Emolonal Abil聞 es Scale for Elementary School Children:SES‐ C)の 開発
れ てい る"。
一方、反社会的問題行動 の代表例 とされ る少年犯
罪 につい ては、少年 による刑法犯 の検挙人員 (触 法
は「知識 と知性」「思 いや り」「責任感」 がある「健
の
康」 な人間の育成 を目的 としてい る 。
め
我 が国の学校教育 において 「生 きる力」 の必要
少年 の補導人員 も含 む)が 2009年 で13万 2,594人 と
°
報告 されて い る 。我 が 国 の全少年人 口に対す る比
性 が謳われ て久 しいが、 これ は「確 かな学力、豊
率 の推 移 をみ る と、2004年 以降毎年減少 し続 け て
にSELプ ログ ラムによる児童 生徒 の育成 目的 に合
は い る。 1970年 代 後期 か ら80年 代 初期 にか け ての
9。
致するものであろう 児童生徒 の「生 きる力」 の
少年犯罪数 ピー ク時 と比較す ると、半減 しているよ
必要性や先に述べ た様 々な問題行動の状況 を考 える
うに もみ える。 また、 マスメデ ィアでは近年 の少年
と、我 が国 で もSELプ ログラムの実践 が不可欠 で
犯罪 の凶悪化 や児童 生徒 の キ レや す さとして この 間
はないだろうか。
か な人間性、健康 ・体 力」 を意味 してお り、 まさ
実際我 が国 に も、 日本SEL研 究会 を中心 に小学
題 が取 り上 げ られ る こと もあ るが、実 際 は2009年
の犯罪別 の構成比 では窃盗 が61.6%と 最 も高値 であ
1°
校へのSELプ ログラム導入がはじまってい る 。た
る。 しか しなが ら児童 生徒 の身近 な環境 に 目を向け
だ し、我 が国 の学校現場 の状況 は、問題行動 が顕
る と、 家庭 内暴 力事件 が2000年 代初 期 に急増 して
在化 しているとはい え、銃 などの脅威 が子 どもた
以降減少 せ ず に2009年 で は1,181件 、校 内暴 力事件
ちの身近 に存在 し、暴力や薬物 などとい った問題
に至 って は近年増加傾 向 にあ り2009年 で 1,124件 と
が表面化 してい る米国 の状況 と比較す ると大 きく
い う状況 である。つ ま り、こ うい っ た事態 の背後 に、
異 なって い る。 このため、 ここでのSELプ ログラ
従来 は情緒的 または社会的 な結びつ きが強 か った家
ムでは日本 の状況 を考慮 しなが らCollaborative for
族や学校教職員 または友人 とい った身近 な他者 との
Academic,Social,and Emotional Learning9や
関係性 を、現代 の児童 生徒 は構築 で きに くい心理社
et al。
会的状況 が推察 され る。 また、校 内暴力事件数 の増
つ の 社会 的能 力 を育成 す る こ と を 目指 して い る (表
加 を鑑み て も、 この事態 へ の学校 現場 での早急 な対
概 念 が 統 合 ・ 整 理 され、 児 童 に 対 して 8
1)11)。
『他
『自己への気づ き』
この8つ の社会的能力 とは、
応 が必要 であろう。
これ らの 問題行動 や心理社会 的 な状況 に対 す る
『対人関係』
『自己のコン トロール』
『責
者への気づ き』
予 防的 ・ 開発 的援助 方 法 と して、児童生徒 の 社会
°
的能力 へ の アプ ローチ な どが検討 されて い る 。社
任 ある意思決定』 とい う5つ の 「基礎的な社会的能
会性 と情動 の学習 (Social and EmOtional Learning
問題防止のスキル』『人生の重要事態に対処す る能
SEL)プ ロ グ ラ ム は この一 例 で あ る。 米 国 の 小 中
力』『積極的・貢献的な奉仕活動』の 3つ の 「応用
学校 で も、退学や落第 がな く、安全 で薬物 のない健
的な社会的能力」が形成 されると考 えるものである。
全 な学校 づ くりの強化 が迫 られてお り、各州や地域
この ように、 ここでのSELプ ログラムは、米国 に
にて様 々 なSELプ ロ グ ラ ム が導 入 。実践 され て い
おける様 々なSELプ ログラムや 「生 きる力」 と共
る9。 例 えば、13万 人 が住 む コネチ カ ッ ト州 ニ ュ ー
通の育成 目的を有 しながらも、我が国の現状に適合
ヘ ブン市 では、幼稚園 か ら12年 生 (高 校 3年 生 )ま
す るようなプログラムとして改訂がなされている。
で を カバ ー したSELプ ログ ラムが作成 されてお り、
また、 8つ の社会性や情動処理の能力から構成 され
10年 以上 にわ た る実践 の有 力 な効果 が 報告 されて
い る°。 これ らのSELプ ログ ラム には共通 して 「良
てお り、人間像などの理念に通ず る認知面から行動
き市民」 とい う目指す べ き人間像 があ り、具体的 に
18
つの
Elias
力」をもとに、それらに支えられる形で 『生活上の
面までを含む具体的な学習すべ き能力が分か りやす
い
。
田中芳幸、真井晃子、津田
表
1 5つ の基礎的 な社会的能力 と3つ の応用的な社会的能力
彰、 田 中
早
(小 泉 ,200811))を 改編 )
基礎 的 な社 会 的 能 力
自己へ の気 づ き
自分 の感情 に気 づ き、 また、 自己 の能力 につい て現実的 で根拠 の ある評価 をす る力。
他者 へ の気 づ き
多様 な人 がい る こと をみ とめ、 良
他者 の感情 を理解 し、他者 の立場 に立 つ ことがで きるとと
好 な関係 を持 つ ことがで きる力。
自己の コ ン トロール
物事 を適切 に処理 で きるよ うに情動 を コ ン トロール し、挫折 や失敗 を乗 り越 え、 また妥協 に よる一
時的 な満足 に とどまることな く、 日標 を達成 で きるよ うに一生 懸命取 り組 む力。
対人関係
周囲の人 との関係 において情動 を効果的 に処理 し、協力的で、必要 ならば援助 を得 られるような健
全 で価値 の ある関係 を築 き、維持す る力。ただ し、悪 い誘 いは断 り、意見が衝突 して も解決策 を探 る
ことがで きるようにす る力。
責任 ある意思決定
関連す る全 ての要因 と、 い ろい ろな選択肢 を選 んだ場合 に予想 され る結果 を十分 に考慮 し、意思決
定 を行 う力。 その 際 に、他者 を尊重 し、 自己 の決定 については責任 をもつ 力。
応 用 的 な社 会 的 能 力
生活上 の問題防 上 のスキル
アル コール ・煙草 。薬物乱用防止、病気 とけがの予防、性教育 の成果 を含 めた健 全 な家庭 生活、 身
体活動 プ ログ ラム を取 り入れ た運動 の習慣化、暴力 や喧 嘩 の 回避、精神衛 生 の促進 などに必要 な スキル 。
人生 の重 要事態 に対処 す る能力
中学校 ・高校進学 へ の対処、緊張緩和 や葛藤解消 の方法、支援 の求 め方 (サ ポ ー ト源 の知識や アク
セス方法)、 家族内 の大 きな問題 (例 :両 親 の離婚 や別 居)や 死別 へ の対処 などに関す るスキル 。
積
献 的 な奉 仕活動
ボラ ンテ ィア精神 の保持 と育成、 ボ ランテ ィア活動
"貢
(学 級 内、異学年間、 地域社会 での活動 )へ の
意欲 と実践 力。
laの
詳細 に つ いて は割
我 が 国 のSELプ ロ グ ラ ム
題防止のプ ログ ラムは学校 の 中で特別活動 や総合 的
愛す るが、学校教育 の カ リキュラム全体 の 中 に位置
な学習 の一 部 の 時間 を割 いて 行われ る ことが 多 く、
づ け る ことが 可能 で あ る点 や SELで ね らい とす る
学校教育 で最 も時間数 の 多 い教科指導 や生 徒指導 ・
8つ の能力す べ て を包括的 に育成 で きると ころに も
教育相談 との 関連 づ け は少 ない
9。
特殊教育 や 進路
他 に も1990年 代 ごろよ り問題行動 の
指導 とのかかわ りに至 ってはほ とん ど考慮 されて い
発生 を未然 に防 ご うとす る予防的 な指導や開発的 な
ない。 この意味 で も、SELプ ログ ラム は 「生 きる
1°
支援 の 技法 と して 、 ソ ー シ ャル ス キ ル 教育 や 構
力」 に通ず る能力を包括的に視野 に入れなが ら、 カ
9。
特徴 がある
成 的 グル ー プ エ ンカ ウ ンター
1°
、 ス トレスマ ネ ジ
メン ト19や アサ ーシ ョン トレーニ ング
1°
などとい っ
た心理教育 プ ログ ラムが注 目 されて きた。 しか しこ
リキュラム上の特定部分 に偏 ることな く、該当する
教科 ・領域 などの児童生徒 の学校生活全般 にわたっ
て展開できる点で有意義 であろう。
れ らは、いずれ も何 らかの心理療法的手法 か ら発展
しか しなが らここに、SELプ ログ ラムの効果測
してお り、対人関係や ス トレスヘの対処 とい った特
定 に関す る難 しさが存在す ることになる。従来 の心
定 の能力 に特化 してい る。 また暴力防止のCAPlつ
や保健指導領域 を中心 に導入 されたライフスキル
理教育 プ ログラムであれば、例 えば児童生徒 のソー
シ ャルスキル19や ス トレス20に つ いて評価すれ ば
の よ うに、SELで い うと ころの 「応用的 な社会的
十分であ り、そのための心理測定尺度 も多数作成 さ
能力」 の一部分 にのみ特化 した問題防止のプ ログラ
れている。 しか し、「生 きる力」 に通ず ると考 えら
ム も存在 している。 こうい った従来の心理教育や問
れ る能力 (SELの 8つ の能力)を 包括的 に測定 で
1°
19
小学生版「社会性と情動」尺度
(SociJ and Emotional AbilⅢ es ScJe for Elementary School Children:SES¨
C)の 開発
きる尺度 は見当 た らない。 さらに、従来 の特定 の授
調査 :2004年 7月 に、F県 内 の 3つ の 小学校 に通 う
業時間 を割 いたプ ログ ラムの場合 にはその 時間 に行
調査 時 に欠席 した 児童 を除 いた942名 (男 子410名 、
われ たプ ログ ラムの効果測定 をすれば事足 りていた
女子 404名 、性 別 へ の 回答 が なか っ た者 128名 )に
が、 SELプ ロ グ ラ ム は 学校 生活全般 に位 置 づ け ら
対 して 調査 を行 っ た。 この 調査 に第 1回 調査校 は含
れ るためそ うい ったわけ にはいかない。例 えば小学
まれておらず、
低学年
校 の課程 のみ を取 り上 げ たとして も、長期的 には児
4年 生)300名 、高学年
童 の入学 か ら卒業 まで の変化 を追わ なければ、その
以上 の ように両調査 ともに男女比 はほぼ均等であっ
課程 での効果 を判断す る ことがで きない。短 くとも
た。性別への回答 がなか ったデータも統計学的解析
1回 や数回 の授業 時間 での変化 ではな く、1学 期 間
に用いることにして、欠損値 に関 しては分析 ごとに
や年間のカ リキュラム を通 しての変化 とい った 中長
除外 した。本論文 には、本調査 のデ ー タに関す る統
期的 な視 座 が必 要 で あ ろ う。 さらに言 えばSELプ
計学的解析結果 を記 した。
(1・
2年 生)322名 、中学年
(5・
(3・
6年 生)320名 であった。
ログラムが 目指す 「人間像」 を鑑みるに、 中学校 や
高等学校 を経 た後 まで共通 した方法での評価 が望 ま
れ る。既 にSELプ ログ ラムが浸透 して い る米国 に
学年 と性別、および、SEL概 念 に基 づ く 5つ の
おいて も効果測定 のための指標の工夫や評価方法策
「基礎的 な社会的能力」 と 3つ の 「応用的 な社会的
定の必要性 が指摘 されており、我 が国の「指導 と評
能力」 の それぞれ に 当てはまると考 えた項 目を作
21)を
価 の一体化」 の重 要性 に関す る指摘
考慮 して
成 して調査 した。予備調査 にて計39項 目を作成 し、
もSELプ ログ ラムの効果 を適切 に評価 で きる尺度
本調査 には 6項 目を追加 した計45項 目を用いた
が必要であろう。
2)。
そ こで本研究 では、社会性 と情動 の学習 (SEL)
(表
回答 は項 目ごとに異 なるが、「① いつ もそうす
る (4点 )」 「② ときどきそ うす る (3点 )」 「③ あ
プログラムが育成 目的 とす る 5つ の「基礎的 な社会
ま りそ う しない (2点 )」 「④ ぜ んぜ んそ う しない
的能力」 と 3つ の 「応用的 な社会的能力」の それぞ
(1点 )」 などの各項 目に適切 な 4件 法 として、織 田
れを包括的 に測定す るための 「小学生版 『社会性 と
(1990)221を 参考 に段階間の心理的距離 がで きるだ
情動』尺度」 を開発す ることを目的 とした。尺度開
け等分 になるように設定 した。全学年 に共通の項 目
発にあたっては、小学校 1年 生 か ら6年 生 までの児
としたが、教育課程 に合わせて漢字 に仮名 を振 るな
童 に共通 して利用できるものにす ることを考慮 しな
どの工夫を行った。
が ら心理統計学的な妥 当性 と信頼性 の確認 を行 っ
項 目の作成 にあたっては、我 が国の実情 に即 しな
た。 また、開発す る尺度 とSELプ ログ ラム との一
が ら独 自開発 されたSELプ ログ ラムの 各社会的能
貫性 を考慮 して、SELの 概念 と合致 した理 論的妥
力 と合致 したものとす るために、 日本語版 の情動知
当性 を重視 した尺度構成 を目指 した。
能
方 法
小学校 の年間計画表 や教育内容 にかかわる文書 も参
1.調 査時期および対象
考 にした。「基礎的な社会的能 力」 の うち、『自己ヘ
予備調査 :2004年 5月 に、F県 内公立小学校 の 中
学年 (3・
4年 生 )で あ り調査時 に欠席 した児童
を除 いた343名
(男 子 151名 、女子 185名 、性別 へ の
回答 がなかった者7名 )に 対 して調査 を行った。本
20
2.調 査内容
20ゃ 自己像20、 ソ_シ ャル ス キルl° 、 ス トレス
マ ネ ジメン ト2D、 健康教育20な どに加 えて、対象
『自己の コ ン トロール』
『他者へ の気づ き』
の気づ き』
20を
については情動知能
『責
『対人関係』
中心 として、
1°
任 ある意思決定』 について はソーシ ャル ス キル
を中心 として項 目を参照 しつつ、項 目内容 や文言 を
田中芳 幸、真井晃子 、津田
表
2
彰、田中
早
作成 された項 目と反応偏 向
SEL能 力区分
1各 選択肢 へ の 回答率 (%)
項
基礎的 な社会的能力
│
1)自 分 の得意 な ことと苦手な ことが わ か ってい る
2)自 分 の 気持 ちがわ か る
3)自 分 のいい ところと悪 い ところをわか って い る
4)自 分 ので きることとで きない ことが わ か っている
5)自 分 の 気持 ちの変化 がわか る
自己へ の 気づ き
自己 コ ン トロール
応用的な社会 的能力
人生 の重要事態 に
対処す る能 力
積極的 ・貢献 的な
奉仕活動
自己 の コ ン ト
│
4.3
1.0811.28
7
29.3
7.2
2.8
1藉 611.44
111791 1.50
2.6
33.9
44.4
15.3
6.4
-0.101 0.71
37.2
45.5
13.2
4.1
0.191 0.77
49.9
33.8
10.7
5.5
0.4411.09
27.7
36.5
30.5
5.3 -0.891 0.20
10)迷 っ た ときに自分 で 決め られ る
35.3
41.3
18.0
5.4
11)い や な ことが あって も、やつ あた り しない
12)は じめた ことは最後 までや る
13)ム カつ いて もどな らない
35.5
31.6
23.2
9.8
46.2
39.5
12.0
2.3
29.5
32.1
24.6
13.8
2.0
7.3 -0.121 0.86
44.0
42.9
11.1
72,6
47.3
22.3
37.9
3.9
1.2
10.1
4.8
38.3
44.0
13.0
4.7
12.5
31.7
42.6
13.2
36.7
47.6
12.1
3.7
56.6
32.9
6.4
34.0
50.1
12.5
3.4
14.2
32.9
40.1
12.7
34.3
33.9
21.6
10.2
26)外 か ら帰 って きた ら手 を洗 う
27)知 らない人 につ いていか ない
40.4
13.5
7.2
-0.0610.82
39.2
18.9
8.1
-0.5110.59
28)あ ぶ な い遊 びは しない
29)あ さとよるに歯 をみ が く
30)あ ぶ ない ところにひ とりで行か ない
21.5
8.6
4.1
11■ 1391
3.3 11:プ も
3.1
0.9
1.0 36103111151791
17.9
9.3
3.1
31)家 族 の誰 かが急 に病 気 にな った ときに、 どうした らよいか わ か る
32)将 来 どんな仕 事 を したいか考 えて い る
33)転 校す ることになって もうま くや ってい ける
34)困 った ことが あった ときに誰 かに相談 で きる
6113
35)バ スや電 車でお としよ りに席 をゆず って あげる
36)困 って い る人 を見 ると何 か して あげた くなる
45.3
33.5
13.1
8.1
47.5
32.9
13.9
5.6
37)自 分 が して もらいたい ことを友 だちに も して あげ る
38)人 の役 に立 ちたい
39)す す んで 家 の人 のお手伝 い をす る
48.9
33.3
46.7
37.6
10.9
4.8
1 35.5
47.2
12.7
4.5
26.3
8.5
3.4
78121 13.3
53.9 30.3
6.6
1.9
9
6.0
64.3: 20。 7
8.0
7.0
9。
10。 9
■891111計
:
6.9
│
40)友 だちとケンカをして も自分か ら仲直 りができる
41)い やなときには、人 とケ ンカにならずに、「いやだ」 といえる
29.3
7.6
2.7
1.41
42.2
15.9
6.9
0.70
42)朝 や帰 りに、他 の人 にあい さつ す る
43)グ ル ープ学習 や係 りの仕事 を、他 の人 と協力 してや る ことがで きる
38.3
12.5
6.2
36.2
17.9
7.2
28.4
9.2
4.0
1.33
36.9
10.5
2.8
1.02
人生 の重要事態 に 144)わ からないことがあるとき、だまっていないでまわりの人 に聞くことができる
対処す る能 力 145)自 分 の伝 えたい ことをわか って もらえるよ うに、 きちん と伝 えられ る
回答信頼性項 目
1.9 13=2111」 83
8.3
│
生活上 の
問題防止 ス キル
本調査での 追加項 目
4.9
32.5
7.3
13.8
21)も の ごとをよ く考 えて決め ることがで きる
23)自 分 だけ意 見 がちが って も意 見 をい う
24)係 りの仕事 をす るとき何 をどうや った らいいか をい う
25)他 の 人 に左右 され な いで 、 自分 の意見で行動す る
責任 ある意思決定
23.8
54.9
62.9 27.2
42.9 36.1
14)人 の話を しっか りき聞 く
15)何 か して もらったときに 「ありがとう」 といえる
16)友 だちが元気がないときはげます
17)相 手が傷つかないように話す
19)友 だちの気持ちを考 えなが ら話す
20)友 だちが何か上手 にで きたとき、「じょうず だね」 とほめる
対人関係
16914‐
60。
6)友 だちの 気持 ちがわか る
7)友 だちのいい ところを見つ ける ことがで きる
8)人 が うれ しい と自分 もうれ しい
9)人 がいやが ることを しない
他者 へ の 気づ き
尖度
1111[2][31[4]
18)う そをついたことがない
22)悪 口をいったことがない
│“ 4認
■
&7291■
∝
IL%
144.538.613.0 3.910.1610.89
は、60%以 上の回答偏向または1.5を 超える尖度・歪度
各社会的能力 に適合す るように改 変 した。 3つ の
した。 これ らの 項 目文面 そ の もの や 項 目 とSELの
「応用的な社会的能力」 については、既存 の質問表
概 念 との一 貫性 につ いて、 SELに 詳 しい 教育 心理
にある項 目はその内容 が合致 しないと考 えられたた
学 を専門 とす る大学教員 や小 学校教員、 スクール カ
め、小学校 の年間計画表等 の文書 を参考 に して作成
ウ ンセ ラー を行 ってい る臨床心理 士 、学校 ス トレス
21
小学生版「社会性と情動」尺度
(Social and Emolonal AbilⅢ es ScJe for Elementary School Childreni SES‐ C)の 開発
に詳 しい健康 心理学 を専門 とす る大学教員等 、複数
存在 を考慮 してプ ロマ ックス回転 を行 った。
因子 ご とにCronbachの α係 数 を用 いて 内的 一 貫
の専門家 に よる検討 が行われ た。
信頼 性 を算 出 し、項 目間 お よび因子 間 の相 関関係
3.調 査手続 きと倫理 的配慮
の 検 討 にはPearsOnの 偏差 積率相 関係 数 (r)を 適
調査 はクラス ごとの一 斉法 によ り、授業時間 を利
用 した。 各 項 目が 1つ の 下 位 尺 度 に 属 す る と い う
用 して質問紙法 で行 った。担任教諭 によ り各項 目が
尺度 の利 便性 を考慮 してバ リマ ックス 回転 に基 づ
読 まれ た後 に各児童 が回答 した。低学年児童 および
くモ デ ル を作成 し、最尤法 に よる確 証 的因子 分析
特別 に配慮 を要す る児童 につい ては、副担任 な どが
を行 った。 デ ー タとモ デル との適合 度 の算 出 には、
同席 して語旬 の意味 などを説明 しなが ら行 った。
AMOS18.0の 統計 ソフ トを利用 した。適合性指標 に
本研究 の実施 にあた っては、児童 の個人情報保護
2値
は、 分析対象者 が 多 い ことか ら χ
の 結果 で はな
方針や期待 され る教育効果等 につ いて、事前 に対象
く、適 合 度 GFIと 修 正 適合 度 AGFIの 値 を用 い た。
校 を所管す る教育委員会 の質疑 を経 た。 また、 教育
GFIの 値 が0。 9以 上で あ り、GFIと AGFIと に0。 1以 上
へ の利 用 も想定 した対 象校 の 全 児童 に対 す るア ン
の よ うな極端 な差 がない ことに よ り適合性 が良 い と
ケ ー ト調査 としたため、対象校 の実情 に合 わせて代
判 断 され る。 また モ デル の 複 雑 さに よ る見 か け上
諾者 として 当該 の教育委員会、 および、対象校学校
の 適合度 の 良 さを考慮 してRMSEAの 値 も用 い た。
長 と担任教諭 の承諾 を得 た。 さらに、対象児童本人
RMSEA=0.08以 下 で適合度 が高 い と判断 され る。
に対 して もイ ンフ ォーム ドコ ンセ ン トを行 い、回答
した くない項 目には答 えな くて も良 い ことを伝 える
結
などの配慮 を行 った。
1.項 目作成 と回答偏 向
回収 した質 問紙 は ク ラ ス ご とに封 入 した うえで
果
予備調査 に先立 ち、先行研究等 を参考 に しなが ら
回答信頼性 に 関す る
デ ー タ入力者 に渡 された。デ ー タ入力者 とは別の者
計 39項 目を作成 した (表
が統計学的解析 を行 った。学校 ごとに学校長 に対 し
2項 目
て、 および、 クラスごとに各担任 に対 して、結果 の
礎的な社会的能力」 に該当すると考 えられる5つ の
フ ィー ドバ ック を行 った。
各社会的能力 (項 目 1か ら25ま で)と 「応用的 な
(項
2)。
目18と 22)に 加えて、SEL概 念上で「基
社会的能力」に該当するとされる3つ の各社会的能
4.統 計学的解析法
22
力
(項
目26か ら39ま で)の それぞれに 4項 目か ら
WindowsttSPSS 1 8.Ojの 統 計 ソフ トを用 いて 分
6項 目ずつ を配 した。 これ らの39項 目を用いて予
析 を行 った。質問項 目の作成過程 において、反応偏
備調査を行い、項目間相関や各項目内での回答偏向
向 および尖度 ・歪度 の確認 を行 っ た。 SPSSに よる
の確認、概念上での各社会的能力の違いについての
解析 で は、尖度 と歪度 と もに0の 場合 を標準曲線 に
再検討などを行った。その結果、特に「基礎的な社
一 致す る状態 として結果 が表示 され る。 そ こで 、歪
会的能力」である『他者への気づ き』 と『自己コン
2つ
とは異 なる有意点 で ある尖度 また
度・尖度検定表
トロール』や 『対人関係』 との間で強い相関関係が
は歪度 のいず れ かが絶対値 1.5を 超 えるか否 か を 1
みとめられ、理論的にも作成 された項目群ではこれ
つの基準 とした。理論上の妥当性 を考慮 しつつ、正
らの社会的能力間の違いが明確 にな りがたい とい う
規分布 を仮定せ ず に より厳密 な分析 を行 うために、
結論を得た。また、特に「応用的な社会的能力」 に
最尤法 による因子分析 を用 いて妥当性 を検討 した。
含 まれる『人生の重要事態 に対処す る能力』 にて、
この探索的因子分析 の過程 では、因子間の関連性 の
全 4項 目で選択肢①への60%以 上の回答偏向がみと
田中芳幸、真井晃子、津田 彰、田中 早
2.各 社会的能力 を反映す る項 目の 決定
められ た。
そ こで本調査 では、社会的能力間の違 いや回答偏
(探 索的因
子分析 )
向を防 ぐことを意識 しなが ら、『自己の コ ン トロー
回答偏向 のため除外 した 4項 目 と回答信頼性 の 2
ル』『対人関係』『人生 の重要事態 に対処す る能力』
項 目を除いた39項 目の うち、「基礎的な社会的能力」
に 2項 目ずつ を追加 して、全45項 目を用いた。本調
のために作成 した25項 目を用 いて探索的因子分析
査 における全45項 目の各選択肢への回答率、および、
を行 った。SELの 概念 では 5つ の社会的能力 か ら
尖度 と歪度 を表 2に 示 した。選択肢①への回答偏向
「基礎 的な社会的能力」 が構成 され るため、5因 子
および尖度 と歪 度 の偏 りの全 てが示 された 4項 目
解 に固定 して解析 を行った。所属因子へ の負荷量 が
32)を 以降の統計学的解析 か ら除
0.40未 満 の項 目を除外 して同様 の解析 を行 うとい う
外 した。『生活上 の 問題防止 のスキル』 として作成
手順 を繰 り返 した。ある因子の項 目が 2項 目となっ
した項 目28と 30に ついては、 この除外基準 に該当 し
た場合 には、直前の解析 で除外 した項 目を戻 して解
た ものの、尖度 と歪度 が除外 した 4項 目と比べて低
析 しなお した。また、作成 された尺度 の利便性 を考
値 であ り、予備調査 ではこれほどの偏 りがなか った
慮 して、最終的に各因子の上位 3項 目ずつ を採択 し
こと、 さらに教育上児童 の安全確保のために必須 と
て再度探索的因子分析 を行った。以上 の手順 によ り、
される内容 であ り選択肢①への回答 が多くなること
いずれ も所属因子への負荷量 が0。 40以 上の 3項 目ず
は当然 と考 えた ことにより、 この時点で削除す るこ
つ、 5因 子 で計15項 目か らなる累積寄与率40。 3%の
とは保留 して以降の統計学的解析 に供 した。
結果 を採択 した
(項 目1、
15、
29、
目の負荷量
表
3
(項
(表 3)。
所属因子内で最低値 の項
目4の 0.40)よ りも高 い他因子への
基礎 的社会的能力の探索的因子分析 の結果
因 子 負荷 量
項
.397
.297
.454
.170
.148
.264
v
共通性
。
345
.624
.267
.367
.376
.290
.511
.307
4
2
4
.467
6
3
2
8.
︲
.269
.288
5
2
6
。
297
.167
.186
.490
.424
4
7
3
.327
.521
5
2
4
。
358
.160
.439
4
2
3
7
2
5
7.
3
︲
2
3
寄与率
累積寄与率
Ⅳ
3
2
3
自己 の コ ン トロール (a=0.633)
い や な ことが あって も、や つ あた り しない
ムカつ いて もどな らな い
い や な ときには、 人 とケ ンカに な らず に、「い や だ」 とい え る
対 人関係 (a=0.638)
友達 の 気持 ち を考 えなが ら話す
相 手 が傷 つ か な い よ うに話 す
人 の 話 を しっ か り聞 く
責任 ある意思決定 (a=o.647)
自分 だけ意 見 が ちが って も意 見 をい う
もの ごと をよ く考 えて決 め る ことがで きる
係 りの 仕事 をす る とき何 を ど うや っ た らいいか をい う
自己 へ の 気 づ き (a=0.530)
自分 の 気持 ちがわ か る
自分 の気持 ち の変 化 がわか る
自分 ので きる こ ととで きな い ことが わか ってい る
他者 へ の 気 づ き (α =0.612)
友 達 のいい ところをみ つ け る ことがで きる
友達 の 気持 ちがわ か る
友達 が何 か上 手 にで きた とき、「 じ ょうず だね」 とほめ る
Ⅲ
0
3
6
4
2 5 4 V 76 0
3
9 7 4
︲ n 3
2
・ 4. Ⅱ l ・ ︲ Ⅲ 2 2. 2 V
I
26.61 5,88
26.61 32.49
2.36
37.57
2.76
40。 33
23
小学生版「社会性と情動」尺度
表
4
(Social and Emotional Abili‖ es Scale for Elementary School Children:SES‐ C)の 開発
応用的社会的能力 の探索的因子分析 の 結果
因 子 負荷 量
I
生活上 の 問題防 止 の スキル
(α
麟 □
項
I
I
=0.653)
28)あ ぶ な い遊 び は しない
30)あ ぶ な い ところにひ と りで 行 か な い
27)知 らな い人 につ いていか な い
I 積極 的・ 貢献的 な奉仕 活動 (a=0.682)
36)困 ってい る人 を見 ると何 か して あげ た くな る
Ⅲ
共通性
。
552
.528
.216
37)自 分 が して もらいたい こと を友達 に も して あげ る
38)人 の役 に立 ち たい
Ⅲ 人生 の 重要事態 に対処 す る能力
(α
=0.624)
44)分 か らないことがあるとき、だまっていないで まわりの人に聞 くことができる
45)自 分 の 伝 えた い こと をわ か って もらえるよ うに、 きちん と伝 え られ る
.473
.601
.577
.449
33)転 校す る ことに なって も うま くや ってい け る
.319
.192
寄 与率
累積寄 与率
30.63
30.63
8.46
39.09
3.39
42.48
負荷量 (項 目 2の 0。 41と 項 目 5の 0。 42)を 示 した項
次 に 8つ の 社会 的能 力 ご とに、CrOnbachの α係 数
目や、他因子 へ の負荷 量 が0。 45以 上 とい う項 目も存
を用 いて それぞれ の 内的一 貫信頼性 を算出 した。 5
在 した。 しか し、 この 時点 では本結果 を用 いて以下
つの「基礎的 な社会的能力」 の中では、『自己へ の
の解析 を行 い、他 の解析結果 とあわせて尺度 の現場
気づ き』 の α=0.53が 最 も低値 であった
へ の適用可能性 を考察す ることに した。
の 4つ の社会的能力では、 いずれ もα=0.60以 上の
次 に、「応用的 な社会的能力」 のために作成 して
除外項 目を除 いた14項 目を用 いて探索的因子分析
(表 3)。
他
値 を得 た。 3つ の「応用的な社会的能力」 は、 いず
れ もα=0.60以 上の値 であった
(表 4)。
を行 った。SELの 概念 では 3つ の社会的能力 か ら
それぞれの因子 に含 まれる 3項 目の合計点を各社
「応用的 な社会的能力」 が構成 され るため、 3因 子
会的能力の点数 として算出 した うえで、「基礎的 な
解 に固定 して解析 を行った。「基礎的 な社会的能力」
社会的能力」 と「応用的 な社会的能 力」 のそれぞれ
の解析 と同一の手順 を繰 り返 し、最終的にいずれ も
5つ または 3つ の社会的能 力間のPearsonの 偏差積
所属因子への負荷量 が0。 40以 上 の 3項 目ずつ、 3因
率相関係数 (r)を 算出 した。「基礎的な社会的能力」
子 で計 9項 目か らなる累積寄与率42.5%の 結果 を採
では、『自己へ の気づ き』 と 『自己の コ ン トロール』
択 した
との組み合 わせにお けるr=0。 22(pく 0.01)を 最低値
(表 4)。
としてr=0。 49(p<0.01)ま での、低 か ら中程度 の相
3.内 的一貫信頼性 と因子間相関
関関係 であった (表
で も、
5)。「応用的 な社会的能力」
内的一貫信頼性 の検討 に先立ち、「基礎的 な社会
『生活上 の問題防止 のスキル』 と『人生 の重要事態
的能力」 および 「応用的な社会的能力」 の 8つ の社
に対処す る能力』 との組 み合 わせ にお けるr=0.27
会的能力 として抽出 した 8因 子 に関 して、 各因子
(p<0.01)を 最低値 としてr=0.52(pく 0。 01)ま での、
に含 まれる 3項 目間のPearsonの 偏差積率相関係数
低 か ら中程度 の相関関係 であった
(表 6)。
『生
(r)を 算出 した。その結果最 も高値 を示 したのは、
活上の問題防止の スキル』 として採択 した項 目28と
4.学 年区分 ごとの尺度モデルの確認
項 目30の 間のr=0。 55(p<0.01)で あった。他 の組み
分析)
合わせでは、いずれの相関係数 も0.50未 満 であった。
24
学年区分 ごと
(低 学年
(確 証的因子
〔1・ 2年 生〕、中学年 〔3・
田中芳幸、真井晃子、津田
5
表
I
基礎 的な社会的能力 の 因子間 の相関関係
表
彰、田中
7
各学年区分 の適合度
自己 へ の 気付 き
Ⅱ 他者 へ の 気付 き
・
.438・
Ⅲ 自己 の コ ン トロール
.217+・
.386°
Ⅳ 対人 関係
・
.314・
.487・・
.487中
.456・・
・ .470° 中
.423・
中
`pく
V責 任 あ る意思決定
.352・
中
基礎 的 な社会的能力
応 用的 な社会的能 力
低学年 中学年 高学年
低学年 中学年 高学年
269
257
301
293
272
306
GFl
.936
.932
.937
.974
.954
.968
ハGF′
。
905
。
898
.906
。
951
.914
.941
――
中
中
__
0.01
早
GFr― AGF′
RMSEA
.031
.057
6
I
.031
.023
.054
.040
・ GFIは 0。 9以 上
※指標 の基準
表
.034
.056
.040
.070
.027
.057
。RMSEAは 0.08以 下
・GFIと AGFIと の差 が小 さい
応用的な社会的能力 の 因子間 の相関関係
会的能力」 では、 いずれの学年区分で もGFIが 0.95
生活上 の 問題 防止 ス キル
Ⅱ 人生 の 重要事態 に対処 す る能力
Ⅲ 積極 的・ 貢献 的 な奉仕活動
・
.272・
――
中
・
.518中
.421・
中
●
pく
0.01
以上 で あった。GFIと AGFIと の差 は中学年 の0.04
が最 も高 い値 であ り、 いずれの学年 で もこれ ら2指
標 の値 は近似 していた。RMSEAに ついて も最 も高
い値 が中学年 の0.07で あり、 いずれの学年 において
4年 生〕、高学年 〔5・ 6年 生〕)に 「基礎的な社会
も十分な適合性 であった。
的能力」 と「応用的 な社会的能力」 の それぞれ に
関 して、探索的因子分析 の結果
(表 3、
表 4)に 基
考 察
づいて最尤法 による確証的因子分析 を行った。 ただ
育
本論文 では、社会性 と情動 の学習 (SEL)力 `
し、各項 目が 1つ の社会的能力 に属す るとい う尺度
成 目的 とす る 5つ の 「基礎的 な社会的能力」 と 3つ
の利便性 を考慮 して、探索的因子分析 とは異 なるバ
の「応用的な社会的能力」 をそれぞれ包括的に、小
リマ ックス回転 に基 づ くモ デル を作成 して解析 を
学 1年 生か ら6年 生 までの児童 に共通 して測定でき
行った。厳密 な結果 を示すためにモデル を複雑化す
る「小学生版 『社会性 と情動』尺度」の開発過程 を
る ことで適合度 が上 昇す る ことを防 ぎ、変数 の誤
報告 した。
差間 には相 関関係 を仮定 せ ず、社会的能力間 にお
既 に小学校 中学年 に対す るSELプ ログ ラムが作
いてのみ相関関係 を仮定 した。 また、GFIと AGFI、
成 されており 、学校現場への導入 も進め られてい
RMSEAの 適合性指標 を算出す るために、それぞれ
る。例 えば、香川 ・小泉
のモデルで欠損値 の あるデ ー タは削除 したうえで解
年 (3年 生 3学 級 Hl名 ・ 4年 生 3学 級91名 )に 対
析 した。
す るSELプ ログラムの実践報告 がなされて い るが、
学年区分 ごとの適合性指標 の値 と各解析で用いた
1カ
1°
によ り公立小学校 中学
プ ログラム実践前の各社会的能力の平均値 は、本研
デー タ数 およびGFIと AGFIと の差 を、「基礎的な社
究対象者 の 中学年 の者 の平均値 とほぼ 同一である。
会的能力」 と「応用的 な社会的能力」 とのそれぞれ
最 も大 きな平均値 の差は 『自己への気づ き』 で示 さ
について表 7に 示 した。「基礎的 な社会的能力」 に
ついては、 いずれの学年区分 で もGFIが 0.93以 上で
SD〕 が
れ た0。 53(本 研究対象中学年 では平均値 〔
。 1° の 4年 生で9.59〔 1.73〕 )
10。 12〔 1.82〕 、香川 小泉
GFIと AGFIと の差 は0.03程 度 と低値 で あった。 中
であるが、 この得点差 です ら標準偏差 の 3分 の 1未
学年 のAGFIが 0。 90以 下 であ ったが、 これ も十分な
満 とい う近似値 である。 このことか ら、本研究 では
値 だと考 えた。RMSEAの 値 もいず れ も0.06未 満 で
一般 の小学生 を反映 したデ ー タでの検討 が行 えたも
あり、十分な適合性 を示 した。 さらに「応用的な社
の と考 える。
25
小学生版「社会性と情動」尺度
(Social and Emotlonal AbilⅡ es Scale for Elementary School Children:SES¨ C)の 開発
本研究 では、社会性 と情動 の学習
(SEL)に 関
す る理論を基本 として、その理論に合致す るように
SD〕 は11.15〔 1.47〕
なが ら、
全分析対象者 の平均値 〔
5つ の 「基礎的な社会的能力」 と 3つ の「応用的な
と非常 に高値 である。 しか しながら、だか らこそ こ
社会的能力」 のそれぞれを測定する尺度 の構成 を目
の 『生活上の問題防止 スキル』 で低値 を示す児童 に
指 した。 このため、項 目作成 の段階か ら各社会的能
は着 目すべ きことが分 か るなど、本尺度で回答偏向
力に合致す るように、 さらに予備調査 を経なが ら他
項 目を残 した意義 があると考 える。
の社会的能力 とは独立す るように、特定の社会的能
開発 された尺度の利便性 のために各社会的能力 に
力に含 まれるであろうと理論的 に考 えながら項 目を
つ き 3項 目ずつ にまで絞 りなが ら探索的因子分析 を
作成 した。つ まり、この項 目選択前 の手続 きにより、
『対人関係』のために作成 した項 目20(友
行ったが、
既 に作成 される尺度 の理論的妥当性 の確認が行われ
達 が何 か上手 にで きたとき、「 じょうず だね」 とほ
ていたともい える。例 えば本研究 の項 目作成 にて参
める)を 、『他者へ の気づ き』 として採択 した。第
考 とした研究 で作成 された り用 い られたりしてい る
V因 子 の
F他 者へ の気づ き』 に最 も高 い負荷量0.53
2020も そうであるが、 くの既存 の尺度 は
多
を示 したためであるが、やはり『対人関係』に も0.50
このような手続 きでは報告 されていない。最 も大 き
とい う高 い負荷量 を示 した。 これ ら2つ の社会的能
1°
尺度
な概念
(例 えば ソーシャルスキル)を 測定す るのに
力 として採択 した他 の項 目については
(表 3)、
『対
適切 と考 える項 目を作成 して回答 の偏 りが著 しい項
人関係』 は自分 が相手 に対 してどのように働 きかけ
目は削除 し、その うえで因子分析 などを経て下位尺
るかを示 した項 目群 であ り、『他者へ の気づ き』 は
度を決定す るとい う手続 きが多い。 こういった尺度
自分自身の状態 を示 した項 目群 である。 これ らのこ
選択肢① (絶
作成過程 における本研究 の特殊性 から、
とか ら、本研究対象者 が項 目20を 「友達 が何 か上手
対 しない)に 65%以 上の回答偏向 があった項 目
(項
にできたときに、それ に気づ く」 と捉 えて回答 して
目28「 あぶない遊 びは しない」 と項 目30「 あぶ な
いた可能性 がある。 また、その ように変更 した方 が
い ところにひ と りで行 か ない」)を 残す ことに した
SELの 理論的に も適切 であるかもしれない
が、これは本尺度 の場合 には適切であったと考 える。
今後、 この ように項 目を修正 した うえで再度 デー タ
小中学校現場 で用 い られる友人関係や こころに関
収集 を行い、確証的因子分析 を用いて確認す ること
す る質問表 の中には、 こういった科学的方法論 に基
26
採択 した。 このため得点範囲が 3点 か ら12点 であ り
(表 1)。
が必要 であろう。
づいて作成 されていない もの も多数存在するが、 こ
探索的因子分析 では、所属因子 とは別の因子へ も
れは先 に述べ たよ うな従来 の尺度作成方法 に起因す
それなりに高 い負荷量 を示 した項 目が他 に もい くつ
るのではないだろ うか。危機管理 のために「児童 が
か存在 した。 しか し、各項 目が 1つ の社会的能力 に
『あぶない ところにひ と りで行 か ない』 か を知 りた
属す るとい う因子 モデル を想定 して学年区分 ごとに
いが、多くの児童 は 『絶対 に行 かない』 と回答する
確証的因子分析 を行ったところ、いずれの学年区分
ので尋 ねない」 とい うのでは、
現場 は成 り立たない。
において も十分 な適合性 であった。 この ことか ら、
しか し回答偏向に基づ く項 目の削除 は、このような
このモデルに基づいて各社会的能力の得点 を算出 し
考 えに基づ くもので ある。少数であって も『あぶな
て も、それぞれの社会的能力を十分 に反映できると
い ところにひ とりで行 く』児童 がいる可能性 があれ
考 える。先述 した『対人関係』と『他者への気づ き』
ば、それを把握 して対応 しな くてはならないのであ
の ように、本尺度で測定す る社会的能力 は互 いに重
る。実際、本研究 では 『生活上 の 問題防止 スキル』
なり合 うもので あり、厳密 には複数 の下位尺度 にま
に含 まれ るもの として項 目28と 項 目30を 最終的 に
たがる項 目が存在す るのは当然 のことである。 日本
田中芳幸、真井晃子、 津田
彰、 田中
1
早
版 SUB120な どの よ うに、1つ の 項 目得点 を複数 の
図
下位尺度 に渡 って加算 す るとい う方法 も存在す る。
究会 (2005)を 改編 )
児童個人 へ の フ ィー ドバ ック例
(日
本 SEL研
しか しこの方法 では、尺度得点 の算出方法 が複雑化
△△ ×× さん
した り下位尺度間 で項 目得点 の範囲 が変 わった りと
い った ことが生 じて しま う。以上 の ことか ら、 本尺
自己へ の気付き
度 で は、 各項 目得点 を1つ の 社会 的能力 に加算す る
ことに した。
この算出方法 に基 づ いて各社会的能力 の得点 を算
出 して下位尺度間の相関分析 を行 ったが、「基礎的
な社会的能力」 と「応用的な社会的能力」 のいずれ
において も、それぞれの下位尺度 は独立性 を保ちつ
積極 的・貢献 的
奉仕活 動
者 へ の気付き
自己の
コントロー ル
人生の重要事態に
対処する能力
生活上 の
問題 防止 スキ
責任 ある意 思決 定
つ互 いに関連 しあうことを確認 できた。つ まり、本
-1回
目
-0 2回 目
尺度 が十分 な因子的妥当性 を有す ることを実証 した
とい える。信頼性 については、本研究 では社会的能
力 ごとにCronbachの α係数 を算出す る ことに よる
お らず、何 らかのプ ログラムを実践 した折 の効果測
内的一貫信頼性 を検討 した。 F自 己へ の気づ き』 で
定等 には、 い くつかの尺度 を組み合わせた り、介入
0.53と い う若千低 い α値 を示 したが、他 の社会的能
目的全体 の一部分 に絞 って測定 した りす ることが多
力ではすべて0.60以 上であった。 いずれ も 3項 目と
い。 こうい った教育 や介入実践 に完全 に適合 してお
項 目数が少 なく、項 目間の相関係数 が高 い組み合わ
り、 さらに 1年 生 か ら6年 生 まで共通 に使 えるため
せがなか ったことか ら、項 目数 が多いことや項 目間
各児童 の変化を把握 しやすい本尺度開発の意義 は大
相関が高 いことによって、内的整合性 が見か け上高
きなものである。
本尺度 は、
くなる可能性 は極 めて低 い。 したが って、
さらに、考察 の冒頭 に示 した各社会的能力の平均
真 に内的一貫信頼性 の高 い尺度 であると判断 で き
SD〕 などと各児童 の得点 とを比較す る ことで、
点 〔
る。 さらに、学年区分 ごとの確証的因子分析 によっ
その児童 に不足 した社会的能力 が何 か を把握す るこ
て、低学年 か ら高学年 の児童 まで共通 して本尺度を
とができよう(例 :図 1の 場合、2回 日で も3つ の「応
利用可能であることも実証 した。
用的 な社会的能 力」 が不足 )。 また、個人内での変
本研究 で小学生版 「社会性 と情動」尺度 を開発 し
化 についてはプ ログラム実施 の前後で各社会的能力
(例 :図
1の
て信頼性 と妥当性 を実証 したが、「社会性 と情動 の
を比較す ることによって明 らかとなる
学習 (SEL)」 の理論 に完全 に合致 した尺度 となっ
■ か ら○へ の変化)。 しか しなが ら、 どの程度 の尺
たことは本研究 の最 も大 きな意義 であろう。先にも
度得点の場合 にその能力育成 の介入を行 うべ きなの
記 したが、SEL理 論 に基 づいて それぞれ の社会的
か、または十分 な社会的能力 とい えるのは何点 なの
能力を育成す るための教育 プ ログラム も既 に開発 さ
か とい った ことが明 らかでない。本研究 ではSEL
れ ている。包括的 にSEL理 論 に基 づ く社会的能力
理論の社会的能力 に関す る項 目を作成 し、その項 目
を測定す ることで、各児童 にどの社会的能力 を教育
群 のみ を用いて横断的な方法 によ り調査 と統計学的
すべ きかが分 か りやす く、 プ ログラムを実践 した折
解析 を行った。そのため、本尺度得点の基準値 を作
の効果測定 も行 いやす くなった。従来 の様 々な質問
成す ることができなかった。今後、問題行動の有無
表 は教育 や介入のプ ログラムを想定 して作成 されて
や既 に基準値 のある質問表 と同時に本尺度 を測定す
27
小学生版「社会性と情動」尺度
(Social and Emolonal Abil面 es Scale for Elementary School Children:SES‐ C)の 開発
るなど、何 らかの外的 な基 準 を用 いて本尺度得 点 の
&Sons.Pp.1998;4:877-954
基準値 を設定す る必要 があろう。同様 の手続 きで併
7)Elias,MoJ, Haynes,NoM, Weissberg,RoP,
存的妥当性 や判別的妥 当性 を確認す るなどの妥 当性
Greenberg,M.T,Zins,J.E,and Frey K。
(著 )
や、再検査信頼性 な どの信頼性 につ いて も今後 さら
小 泉 令 三 (訳 )。 社 会性 と感情 の 教育一 教育 者
に検証す る必 要 があろう。
の ための ガ イ ドライ ン39。 北大 路書房 。1999
8)中 央 教育 審 議会 .21世 紀 を展 望 した我 が 国 の 教
謝
育 の 在 り方 に つ いて (第 一 次 答 申).1996
辞
本調査 にご協力 いただ きま した小学校児童 の皆様
9)小
泉 令 三 .社 会 性 と 情 動 の 学 習
(SEL)の
と教職員 の方 々に心 より感謝 いた します。 また、 本
導 入 と 展 開 に 向 け て 。福 岡 教 育 大 学 紀 要
研究 は 日本 SEL研 究 会 (代 表 :小 泉令 三 )の 助成
2005;54:113-121
を受 けた研究成果 の一 部 であることを付記 し、同研
,
10)香 川雅博 ,小 泉 令 三 .小 学校 中学年 にお け る社会
(SEL)プ ロ グ ラ ムの 試 行 .福
究会 の先生方 とスタ ッフの皆様 の ご尽力 に感謝 いた
性 と情 動 の 学 習
します。
岡教育 大学紀 要 ,2006;55:147_156
「社会性 と情動 の学習」 に もとづ く
11)小 泉令三。
通信制課程高校生 のためのプ ログ ラム試案構
キャリア教育研究,2008;27:1-8
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文献〉
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29
小学生版「社会性と情動」尺度
(Social and EmolonJ Abil蘭 es Scaに for Elementary School Children:SES… C)の 開発
D)evelopment of the Social and Emotional Abilities
Scale for EleⅡ lentary School Children(SES‐ C)
TANAKA YOshiyuki
SANAI Akiko
TSUDA Akira
TANAKA Haya
Abstract】
【
Tokyo University and Graduate School of Social
Welfare,Division of Child Studies
Koganei― third Elementary School
Kurume University,Department of Psychology
Ashikaga Fujimidai Hospital
:
In the present study,the Social and EmOtional Abilities Scale for Elementary School Children(SES―
developed. This scale measures the five
“
basic abilities" and the three
C)was
“
applied abilities" in elementary school
children frOm grades l to 6.These abilities are the education goals of the Social and EmOtiOnal Learning(SEL)
program and also relates to Life Skills. In the process of developing the childrenis version, it、
vas important
to select items that wOuld be equally valid for children throughout grades l to 6. Furthermore,we ailned to
supply theoretical and statistical validity as well as reliability.
942 children from grades l to 6 of three elementary schools participated in the study.
a questionnaire with 45 items.
Each child filled
The items were developed based on the results of a pilot study that was
conducted to target the eight abilities that forms the basic concept of SE]L.
As a result,five factors for“ basic abihties"(15 items)and three factors for“ applied abinties"(9 items)
were extracted through items choice and exploratory factor analyses. These factors all fit the basic concept of
SEL. The factors of SES― C showed an adequate level of α―scores(α
=0.53-0。
68). The cumulative variances
for“ basic" and“ applied" abilities were 40。 33 and 42.48 respectively。 「Fhe correlation coefficients between the
subscales were acceptable scores(r=0.27-0.52)。
from each grade, both
By the results of confirmatory factor analyses for the data
“
basic" and “applied" factorial structures showed a high level of the goodness of fit
scores(GFI=0.93-0。 97,AGFI=0.90-0。 95,RMSEA=0.04-0.07)。
ThrOugh this study,we were able to show that the SES― C had enOugh vahdity(theOretical and factorial
validity)and reliability (internal consistency)thereby proving it to be a valid measure of the abilities of
children thrOughOut grades l to 6 in elementary school. We anticipate that the SES―
C would serve to be a
useful tOol when used in school settings in screening children' s abilities or measuring the effectiveness of the
SEL program。
30