18 光床 ・ 光壁 ・ 光天井 Luminous Floor,Wall,Ceiling 輝くべきものは照明器具ではなく、建築そのものである。 建築自体を照明器具化する 輝くものは照明器具ではなく建築そのもので ある。建築空間に照明器具を目立たないよう にしたい。そんな建築家の願望は、床、壁、 天井そのものをダイナミックに輝かせようと する究極の照明手法へと洗練されていく。ま た昨今の建築模型には光を仕込んだものも多 く、特にアクリルなどの透過拡散素材を用い てコンセプチュアルに表現する場合は、建築 そのものが美しく輝いていたりする。そこに もシンプルな建築家の願いを感じとることが できる。建築模型にはちっぽけな照明器具な ど存在しないのだ。 もちろんこのダイナミズムはすべての建築に とって効果的とはいえないし、場合によって はかなりのリスクを建築設計と施工費用に強 いることにもなる。しかし依然として、単純 にして多くの感動を得るための分かりやすい 手法であることに代わりはない。 しかしこの輝く建築素材は、イメージや模型 世界では簡単にできるが、現実化しようとす るとハードルが低くない。光床は歩行の安全 性や加重負荷の課題に直面する。光壁は均斉 度の課題、光天井はガラスの落下に対する不 安などの課題を持っている。そして全てに共 通して、清掃やランプ交換のしやすさや、均 斉度を高めるためのふところ寸法の確保など も解決しなくてはならない。 実現化のための敵は多いが、出来上がったと きの感激はとても大きいものだ。 1 2 9 3 10 4 5 11 12 13 6 1: ホテルポリーニャ/外観/ 1992 年 2: JR 東日本本社ビル/3階エントランスホール/ 1997 年 3: 東京国際フォーラム/地下ショップ/ 1996 年 4: 砧テラス/宅地内通路/ 1991 年 5: 東京国際フォーラム/光床/ 1996 年 6: 新宿アイランド/オフィス棟キャノピー/ 1995 年 7: 大阪ワールドトレードセンター/外構/ 1995 年 8: 東京国際フォーラム/レセプションホール/ 1996 年 9: 新宿アイランド/光のシリンダー/ 1995 年 10: 大阪シティエアターミナル/地下通路光壁内部/ 1996 年 11: ビーコンプラザ/レセプションホール/ 1995 年 12: 大阪シティエアターミナル/地下通路/ 1996 年 13: オモ・ノーマル・カマリ/インテリア/ 1991 年 14: 東京国際フォーラム/ホール A / 1996 年 扉: 新宿アイランド/光のシリンダー/ 1995 年 7 8 SD9808 光のデザイン・ヴォキャブラリー:LPA の仕事 1990-1998(鹿島出版会) 14
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