糖尿病の食事 ~元気で過ごす食事のコツ~

2012/5/22
糖尿病になると
なぜ食事療法が必要なのでしょう…?
糖尿病になっても・・・
~元気で過ごす食事のコツ~
第1回
糖尿病教室
H24.1.10.
公立南丹病院 栄養科 管理栄養士
*その理由は糖尿病は食事と密接な関係にある
インスリンの不足や欠乏からおこる病気だからです。
↓
↓ (不足・欠乏)
細胞が栄養不良になる
摂取したブドウ糖などの栄養分が利用されない。
高血糖になる
利用されないブドウ糖が血液中にたまる。
↓↓
これを放置すると『合併症』が起きてきます。
畑 千栄子
糖尿病の食事療法は・・・
糖尿病の食事療法の目的
*
今までの食事のとり方の見直しを行う。
摂取する食べ物の量の制限
各種の栄養分が不足にならないようにする。
↓
* 食事療法として
その人に合ったエネルギー量を取る。
栄養バランスのとれた食事に切りかえる。
↓
☆ 治療として一番効果があり他の治療法の効果も
助ける、最も『基本となる重要な治療法』です。
* 糖尿病治療の目的は『合併症予防』にあります。
『合併症』→ 網膜症 腎病 神経障害 その他
高血糖を放置していれば誰でも例外なく起きて
きます。
* 1日の食事エネルギーの制限。
炭水化物、タンパク質、脂肪の三大栄養素の
必要量をバランスよく摂る。その他、ビタミン
ミネラルも欠かさず摂る。
↓
☆ 食事のかたよりを改め、健康的な食事に変える
ことが目的です。
1日摂取エネルギー量の決定
糖尿病食事療法の基本
*糖尿病治療では代謝異常の是正を容易にすること
*糖尿病食食事療法における
を目的に1日の摂取エネルギー量を(指示エネルギー
量)を必要基準に設定します。
「性別」「年齢」「肥満度」「病状」「身体活動量」
「合併症の有無」などを考慮します。
*基本の出し方
標準体重㎏(身長㎡×22)×身体活動量Kcal
エネルギーの比率・・・
『炭水化物(糖質):
↓
『50~60
脂質 : タンパク質』
↓
↓
:
25 : 15~17』
ビタミン・ミネラルも考慮
身体活動の目安
軽作業
デスクワークが主な方
主婦
25~30Kcal
普通の労作
立ち仕事が多い職業
30~35kcal
重い労作
力仕事が多い職業
35~
☆ 食物繊維と塩分にも注意が必要です。
Kcal
1
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炭水化物(糖質)
脂質
必要量と解説
食材
*最低でも1日エネルギー
*主食
量の50%を確保します。
*不足になると糖尿病の病態
である代謝異常が是正されま
せん。さらに、空腹感につな
がって食欲を刺激するため、
指示エネルギー量を守るのが
難しくなります。
例 1600Kcal⇒800Kcal
約
200g
餅
ご飯 パン
麺類
でんぷん類
小麦粉
イモ類
かぼちゃ
*
*
とうもろこし
*15~17%
* 脂質と同様に過剰摂取
に傾きがちですので注意
が必要です。
1600Kcal
制限します。
食材
*肉類
ドレッシング
*魚類
必要量と解説
食材
*摂取目安量
*野菜類
*「水溶性食物繊維」
*大豆製品
*卵
「不溶性食物繊維」
*ブドウ糖の吸収を遅延
(糖分の少ない野菜)
*きのこ類 こんにゃく類
コレステロールの吸収を阻害
血中脂質の改善、腸壁を刺激して
*乳製品
牛乳
ヨーグルト
腸の運動を活性かして排便を促進
する。
*海草類 ワカメ ヒジキ
ビタミン、ミネラル、食物繊維を含む
主に野菜は1日300g以上必要
糖尿病食食事療法のための食品交換表
*食塩
塩分増加の傾向あり、注意が必要
です。
*多脂性食品
マヨネーズ
ベーコン
1000Kcal 当たり10g
* 高血圧の発症、進展の予防
*食の多様化に伴う外食、中食、イ
ンスタント食品などの増加のために
過剰摂取は血清脂質異常
食物繊維
食材
高血圧治療中であれば6g/日以下
を目標にします。
*
血清脂質は・・
中性脂肪(TG)
LDL(悪玉)コレステロール
など
必要量と解説
2010年から男性は9g/日以下、女
性は7.5g/日以下になりました。
*油脂類
* 年齢によってエネルギー比は異
なりますが、成人や高齢者では2
5%以下とすることが望ましいでしょ
う。
果物
塩分
のため、過剰摂取は避けたいも
のです。
*25%以下 最低30g以上
による動脈硬化性疾患を誘発
しやすくなります。
60g以上必要です
* 腎症が出ているときは
食材
(糖質の多い野菜類)
タンパク質
必要量と解説
必要量と解説
醤油 味噌
干物 佃煮 漬物
練り製品 肉の加工品
*糖尿病の食事を考えるときに利用します。
栄養構成で似た物同士を7種類(6種の表と調味料)
に分類。同じ表同士なら、交換(取り替え)可能な範囲を
示したものです。80kcalを1単位とし、一つの基準にして
います。
*表1 穀類 イモ類 豆類(大豆以外)
ご飯50g 食パン30g うどん80g 甘藷60g
*表2 果実類
バナナ(皮付き170g) リンゴ(皮付き180g)
(表1.2=主に炭水化物を供給する食品)
2
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食品交換表
食品交換表
*表3 魚介 肉 卵 チーズ 大豆製品
*表6 野菜類 海草類 キノコ類 こんにゃく
タンパク質加工品
野菜1日300g以上
エネルギーのない物
(主にビタミン、ミネラルの供給)
卵50g 鯵(中1尾)60g 豚ロース40g 牛ロース40g
*表4 乳類 乳製品
* 調味料 、他
牛乳120g ヨーグルト(全脂無糖)120g
(表3,4 = 主にたんぱく質を供給する)
調味料 菓子 ジャム アルコールなど
*表5 バター マーガリン サラダ油 マヨネーズなど
約10g ベーコン20g ドレッシング20g
(主に脂質の供給)
糖尿病食食事療法のための食品交換表
単位配分例 1日20単位 1600KCAL
食品分類
1日の単位 朝
表1
11
表2
1
表3
4
表4
1.5
表5
1
表6
1
調味料
0.5
昼
3
間食
夕
4
4
1日の 中で使用
1
1
2
1日の 中で使用
1日の 中で使用
0.3
0.3
1日の 中で使用
0.4
配分を知る。
*配分で大事なことは・・。
栄養のバランスが偏らないようにする。
食事の回数は3食以上、単位数もなるべく
均等に配分する。
*食事量法の効果を高めるアドバイス
ゆっくりとよく噛めば腹八分でも満腹感が得られます。
六つの表から満偏なく摂れば30以上の食品が取れて理想的。
魚の油(EPA)は動脈硬化を防ぎます。魚も食べましょう.
血糖の上昇を防ぐ食物繊維もたっぷりと摂る。
間食のエネルギー量も忘れず計算に入れましょう.
資料
糖尿病セミナー食事療法のコツ1基礎
糖尿病食事指導Qα A180
糖尿病食食事療法のための食品交換表(日本糖尿学会編)
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