集団的自衛権と憲法 孫崎 享 参考文献『日本の国境問題』 『不愉快な現実』 天皇陛下会見(2013年12月23日朝日) • 戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和 と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本 国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本 を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、 かつ、改善していくために当時の我が国の人々 の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いて います」 • NHK[平和と民主主義を、守るべき大切なものとし て、日本国憲法を作り」を省いて報道(NHK ニュース資料) 5月8日ニューヨーク・タイムズ社説 • ・安倍首相は日本の領域を超えて同盟国と共に戦うことを出来るように自衛拡 大する方向を進めてる。彼が積極的平和主義と呼ぶもの、地球的なより大きい 安全保障上の責務を果たそうとしている、 • ・しかし憲法9条と言う障害に直面している。この憲法は本年ノーベル平和賞の 候補となった。ここでは「日本国民は戦争を国家の主権とすることを永久に放棄 する」としている。 • ・軍事力を変えようとする安倍氏の試みは憲法解釈の変更を必要とする。それ には国会の3分の2の承認と国民投票での承認を必要とする。高い秩序である。 • 安倍首相は政府が憲法解釈を変えることで憲法九条を避けようとしている。これ は民主主義の過程を覆すものである。 • ・安倍氏は憲法は日本の主権にわずらわしい制限を課しており時代遅れと強く 感じている。 • 批評家は安倍氏は憲法の主たる役割は政府の権限をチェックすることにあるこ とを知るべきだと指摘する。それは政府の気ままで変えられるようなものではな い。逆になれば憲法を有していることに配慮することなんて何もない。. • 公明党だけが安倍の野望を止めることが出来る。公明党の支持がなければ参 議院での多数を得られない。従って安倍氏は公明党に受け入れられやすいよう に最大限を尽くしている。他の野党は混乱の中にある。安倍は強権を持っている。 日本は民主主義の真の危機に直面している。 5月28日国民安保法制懇が発足 • 愛敬名古屋大教授(憲法)、青井学習院大教授(憲法)、伊勢崎東京外大 教授、伊藤弁護士、大森元内閣法制局長官、小林慶大名誉教授(憲法)、 坂田元内閣法制局長官、長谷部早大教授(憲法)樋口東大名誉教授(憲 法)、孫崎、最上早大教授(国際法)、柳沢元内閣官房副長官補。 • 坂田元内閣法制局長官 • 「集団的自衛権を行使できるようにするなら、十分に 国民的な議論を尽くした上で、憲法改正で国民の意 見を集約し、国民の覚悟を求める手続きが必要だ。 憲法解釈と言う。極めて安易な手段による日本の針 路の変更に異を唱える。憲法九条の解釈は60年に わたって政府自らが言い続け、国会でも議論を積み 重ねてきた。国民にもそれなりに定着している。一政 権の手で軽々に変更することは立憲主義の否定であ り、法治国家の根幹を揺るがすものだ。 「憲法9条と集団的自衛権は両立不可」 『世界』八月号、宮崎礼壹元内閣法制局長官論評 1:集団的自衛権の本質は「他国防衛」 集団的自衛権も「自衛権」というから、各国の持つ自己防衛 権の一種ではないか、と考えてしまう人が多い。、違う。 集団的自衛権とは、「自国が直接攻撃されていないにもかか わらず」、「自国と密接は関係にある外国に対する武力攻撃 が起きた場合にこれを実力でもって、阻止・反撃する権利(二 〇〇四年六月一八日政府答弁書) 旧ソ連によるハンガリー侵攻、チェコ侵攻。及びアフガニスタ ン侵攻、米国によるベトナム戦争。及び湾岸戦争初期の武力 展開、ヨーロッパ諸国によるアフガニスタン戦争参加 当該武力行使国の自己防衛とは無縁、 自衛権と名前はついているけれども、「自己防衛の権利」で ある「個別的自衛権」とは定義からしても、実態からみても、 異質。 集団的自衛権での地方紙の反応(7・2) • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 新聞名 見出し 北海道新聞 日本を誤った方向に導く 、室蘭民報 決め方が軽すぎる、 東奥日報 国民に改正の是非を問え、デーリー東北 専守防衛の国是揺らぐ、 岩手日報 主権者の意思を顧みよ 、河北新報 重い選択、あまりに軽く 、 秋田魁新報 9条踏みにじる暴挙だ 、山形新聞 平和憲法に最大の試練 、 福島民友○ 安保政策の歴史的転換点だ、茨城新聞 国のありよう許せない 、 下野新聞 国のありよう許せない、上毛新聞 性急過ぎるプロセス、 神奈川新聞 首相は説明責任果たせ、新潟日報 平和国家の根幹揺ら、 北日本新聞 「国民無視」を貫く政権 、 北國新聞○ 法整備へ理解深めたい、富山新聞○ 同 福井新聞 戦う国がなぜ安全なのか、山梨日日新聞 越えた一線、国民の覚悟聞け 信濃毎日新聞 政府の暴走を許すな、静岡新聞 解釈改憲は許されない(3日付) 岐阜新聞 性急かつ乱暴なプロセス、京都新聞 9条空洞化の責任は重大だ 神戸新聞 憲法を骨抜きにする閣議決定、日本海新聞 国のありよう許せない 山陰中央新報 国民的議論尽くすべき、山陽新聞 これで歯止めかかるのか 山口新聞 専守防衛の国是揺らぐ、中国新聞 平和主義を踏みにじる 徳島新聞 将来に禍根を残す暴挙だ、愛媛新聞 平和国家を危うくする暴挙だ 高知新聞 「限定的容認論」の危うさ、西日本新聞 試される民主主義の底力 佐賀新聞 安心感よりも不安が強い、長崎新聞 国民不在、反対は続く 熊本日日新聞 「9条」の信頼捨てるのか 、大分合同新聞 国のありよう許せない 宮崎日日新聞 急がず国民的議論が必要だ、南日本新聞 憲政に汚点残さないか 大橋巨泉「この人は本当に悪い人だな」―安倍首相の欺瞞 • (週刊現代6月7日号:大橋巨泉の今週の遺言)より • 5月15日、安倍首相は記者会見、集団的自衛権の説明。紙芝居のよう なパネル、その内容たるや、「大ウソ」や「スリカエ」に満ち、見ていて気持 ちが悪くなった。率直な感想は、「この人は本当に悪い人だな」である。 • 日本人の母子らしい人が乗った米国の船を《防護できない》としたパネル。 これを指しながら首相はいう。「紛争国から逃れようとしているお父さんや お母さん、おじいさんやおばあさん、子どもたち。彼らが乗る米国の船を 今私たちは、守ることが出来ないのです」「この議論は国民の皆さま一人 一人に関わる現実的な問題であります」だって。皆さん、こんな話聞いた ことがありますか?米国の輸送船で紛争国から逃れた人など、かつて一 人も居なかったはずだ。 • かつてイランでもあったように、日本の民間航空機を利用すれば良い。 自衛隊が、日本人を紛争地域から退避させるのは、すでに自衛隊法で 規定されている。 • この紙芝居のような事はまず起こらない。それを「おじいさんから孫」ま • で登場させて、感情的に訴える首相の姿には、一片の知性も感じられな • かった。 米国軍艦が邦人を避難させることはない • 、米国国務省領事部は避難に関するサイトで、 「米国市民でない私の家族や友人はどうなるのか。 貴方方は脱出を助けるのか」との質問の枠を設 け、「 危機に於いて我々の優先は米国市民を助 けることである。貴方方は米国政府が雇いあげた り非商業輸送手段に、米国市民でない友人や家 族を連れ込むことを期待すべきではない」と答え ています。更に「避難時にどうして米軍軍用手段 を使わないのか」という問いに「ヘリコプターや米 軍運搬手段や軍事エスコートがついた米国雇用 輸送手段は現実と言うよりハリウッドの脚本であ る」 集団的自衛権は日本防衛とは関係ない • 日米安保条約第5条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域にお ける、いずれか一方に対する武力攻撃が自国の平 和及び安全を危うくするものであることを認め、自国 の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に 対処するように行動することを宜言{宜はママ}する。 ・集団的自衛権の目指すもの「地域の限定(「日本 の施政下)」と 「武力攻撃があった時」を外す 次の論は詭弁で事実ではない 小泉元首相が2004年6月27日のNHK討論番組「日本を守るために一緒に戦って いる米軍が攻撃された時に、集団的自衛権を行使できないのはおかしい。」 集団的自衛権は国連憲章と異質 国連憲章 第二条 1 全ての加盟国の主権平等の原則を基礎。 すべての加盟国は、武力による威嚇又は武力の行 使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対 するものも、慎まなければならない 第五十一条 この憲章のいかなる規定も、国際連合 加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安 全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必 要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の 固有の権利を害するものではない。 集団的自衛権が日本をより危険に • まず第一に、日本は「国際的安全保障環境の改善の ため」に米軍と一緒に行動、先方は当然報復措置。 今中東等日本にテロを行う理由ない。日本が攻撃を 仕掛けるなら、対日テロ。存在しないテロ行為をわざ わざ呼び込む行動。 • 集団的自衛権では「同盟国を攻撃する弾道ミサイル をMDシステムで撃破する」ことが想定。北朝鮮のミ サイルが米国に行く時、約1000キロメートル上空を 飛ぶ。迎撃用ミサイルはせいぜい数十キロ、可能で あっても数百キロで届きだにしない。ではどうするか。 北朝鮮が撃つ前に攻撃する。 • 北朝鮮は撃たれたのでそれに見合う報復をする。北 朝鮮は200から300発日本に到達するミサイル、ノ ドンを配備しているのでこれで対日ミサイル攻撃。 集団的自衛権が日本をより危険に • • • • イラク戦争での国別の犠牲者数は次のとおりである。 米国 4,488 、英国 179、イタリア 33 、ポーランド 23等 アフガニスタン戦争では次のとおりである。 米国 2,325、英国 453 、カナダ 158 、フランス 86、ドイツ 54 、 イタリア 48等。 • 日本はこれだけの規模で自衛隊員の詩死者が出るのを覚 悟しているのか。 • スペインはイラク戦争に参加した。これに反対するテロ活 動がスペイン国内に起こり、2004年3月11日スペイン列車 爆破事件が首都マドリードで起こった。191人が死亡し、 2000人以上が負傷した。スペインのイラク戦争参加に対す る反対するテロ行為であった。 • 安倍首相は「今や海外に住む日本人は150万人、さらに 年間1,800万人の日本人が海外に出かけていく時代です」 と述べその安全を守るためのように言っているが、自衛隊 が米軍と一体で動けば当然海外の邦人が狙われる。 どこの新聞社の社説でしょう • ・尖閣諸島の領有権問題は、1972年の時も、昨年 夏の日中平和友好条約の調印の際にも問題になっ たが、いわゆる「触れないでおこう」方式で処理され てきた。つまり、日中双方とも領土主権を主張し、現 実に論争が“存在”することを認めながら、この問題 を留保し、将来の解決に待つことで日中政府間の了 解がついた。 • ・それは共同声明や条約上の文書にはなっていない が、政府対政府のれっきとした“約束こと”であること は間違いない。約束した以上は、これを順守するの が筋道である。 • 尖閣諸島問題に関しては慎重に対処し、決して紛争 のタネにしてはならない。(1979年5月31日) 尖閣で棚上げの合意はあった • 2012年9月10日付AERAは「浅井基文・元中国課長は「『棚 上げ』は省としての共通理解でした」 • 2012年10月7日付産経新聞(ウエブ版)は「栗山尚一元駐 米大使インタビュー(1972年当時条約課長)」で「(72年 の日中首脳会談で尖閣問題について)この問題は無理を しないで、棚上げしましょうということで暗黙の了解が日中 の首脳間にできたということはその通りだと思うんです。(7 8年の来日時に)トウ小平副首相はそれを再確認したいと 言ったのに対して、当時日本側は「違いますよ。そんなこと は了解したつもりはまったくありません」ということを言わな かった。72年のときに周恩来さんと田中さんの間で事実上 そういう了解があったということを日本側も引き継いで、ト ウ小平も引き継いで、そしてもう一度78年に再確認した。 暗黙の了解があった。それは事実だと僕は思います。」 煽る米国 • 文藝春秋2012年10月号メア:・尖閣問題の相 手は中国。東シナ海の中国軍事力増強は、共通 の脅威。 • 日本は対抗するために、さまざまな手を。 • 自衛隊や海上保安庁の能力を向上F-35戦闘機 の調達、イージス艦を増やす • ・尖閣について日本は何も遠慮する必要はない • 2009年10月7日付在日米国大使館発国務省宛電報; • 外務省中国部局の者が『東シナ海と尖閣が大問 題。』「主権に関わる問題での世論が鳩山の動きを 抑制させることが出来るだろうと言及 尖閣の緊張を利用し日米強化の米国考察 • 石原知事講演のヘリテージ財団2012年11月14日極めて興味あるレポート発 表。クリングナー著「米国は日本の政治的変化を利用し同盟を進化させるべ きであるである」。その主要論点を見てみたい(選択は筆者)。 • 自民党が勝利し、安倍次の首相になる可能性。 • 安倍の保守的な考え方と中国に対する日本の民衆の増大しつつある懸念 はワシントンが米日同盟に致命的重要な目的を達成する絶好の機会。 • 日本中にナショナリズム。中国だけを対象。 • 現在、東京は中国の拡大主義に対峙し、軍事力を強化する用意。 • ・ワシントンがなすべきこと。 • (1)東京はより大きい国際的役務を受け入れるべきだということを明確に する、 • (2)同盟国(米国)の安全保障上の必要に見合うよう防衛費支出の増大を 促す • (3)集団的自衛権により柔軟な解釈をするように勧告。日本は海外の軍事 展開で同盟国(米国)の資源を消耗させるのではなく、効果的貢献を行うべ き。 • (4)沖縄に普天間代替施設の建設で明確な前進へ圧力、 • (5)韓日軍事協力を行うよう推奨、 • 安倍に対して修正主義的歴史問題を推し進めるなと個人的に助言。 ドイツ駐留NATO軍地位補足協定 • 本間浩著「ドイツ駐留NATO軍地位補足協定に関する若干の考 察 • 48条5 • 軍隊又は軍属機関による施設区域の返還については、次の規 定を適用する。 • ⒜軍隊又は軍属機関の当局は、使用する施設区域の数及び規 模を必要最小限度に限定することを確実にするために、施設区 域の需要について絶えず検討する。これに加えて、ドイツの当 局から要請があるときは、個々特殊な場合におけるその需要を 点検する。(省略) • 特定の施設区域については、共同の防衛任務に照らしてもその 使用よりもドイツ側の利益が明らかに上回る場合には、ドイツ当 局の当該施設区域の返還請求に適切な方法でこれに応ずるも のとする。「ドイツ側」の「利益」という基準は、合意議事録では いっそう明確に表され、「ドイツの非軍事部門の基本的な必要性、 特に国土整備、都市計画、自然保護および農業上、経済上の 利益に基づく」と表現されている。」 日米同盟:「未来のための変革と再 編」(2005年10月)の質的変化 • 外務防衛vs国防・国務長官で安保条約実質的に 改変(議会討議無し。報道無し) • 範囲「極東」から「世界」 • 米軍攻撃を対日と同一視の範囲、米提案「太平 洋」、安保「日本管轄地」-今、グローバルな集団 的自衛権への動き • 今、共通の戦略、「国際的安全保障環境の改 善」-中東の民主化、独裁体制の変革 攻撃を前提とせず • 『日米同盟の正体』ー必読本 「日本固有の島、領土問題なし」 の日本政府の姿勢は間違いが根本課題 • 日本領有は1895年。それ依然「無主の島」つま り日本の領有ではないー「固有」表現疑問 • 中国、明・清時代「1556年明は胡宗憲を倭寇討 伐総督に任命、『籌海図編』に尖閣を海防区域 • 1895年併合は日清戦争の結果。中国は日清戦 争を侵略戦争と位置付け。返還義務。台湾同様 • 1951年桑港講和条約、台湾放棄 • 1992年中国が「中華人民共和国領海および隣接 区法」で尖閣を中国領と明文化 • 米国領有権問題に日中のどちら側にもつかない 尖閣と終戦処理 • ポツダム宣言八、「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラ ルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四 国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ • カイロ宣言「満洲、台湾及澎湖島ノ如キ日本国カ清 国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還 スルコト」 • サンフランシスコ講和条約「日本国は、台湾及び澎 湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を 放棄する」 • 尖閣は歴史的に台湾か沖縄か 領有権問題 • 6月8日初閣議:質問趣意書に対する答弁書 解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない (この認識は侵入者を逮捕、国内法処理の根拠) • 歴史的経緯 (a)日中平和条約、周恩来「小異を残し大同につく」 (b)78年「日中平和友好条約」鄧小平→園田外相等で 棚上げ→主権、双方が主張を基本的に容認 ・他国動向 ・米国「尖閣の領有権に日中どちらにもつかない」 ・CIA,factbook「中国クレーム」bbc10/25[disputed islands],国防省「中国の軍事力2010年」の「領土紛 争」の項に尖閣記載、wikipedia、Dispute over ownership 「棚上げ」の歴史的経緯 • 10日鄧小平・園田外相会談。鄧小平:日本の一 部尖閣を出し条約調印妨害。華僑、台湾なども島 を守りたい人いる。この問題今詰めない方がいい。 平和条約の精神で何年か脇においていい。 • これを受けて園田外相は「この問題に関して一言。 偶発事故が起こらないように希望 • 5月10日韓次官ー佐藤大使、堂の脇公使 中国側も日本側示した点確認「大局的見地に立ち 処理。日中国交正常化の双方態度に変化なし 90年10月斉外交部副部長は橋本大使に「中日国交正常 化交渉時、双方は問題を後日に棚上げに同意。中国側 は、了解事項は非常に重要」 米国の立場 • 尖閣の領有権問題では日中いずれの立場も取ら ない(1971年以降繰り返し発言) • 2月20日朝日新聞、スタインバーグ前米国務長 官のインタビュー。翌日訂正、これを配慮 「スタインバーグ前国務副長官は田中元首相や 中国の鄧小平氏らの時代に日中首脳間に尖閣諸 島の棚上げ合意があったとの認識を前提に“この 合意は正しかった。尖閣問題は脇に置くべきだ”と 訴えた」 何故尖閣問題にー米国の東アジア戦略 第一選択;現状維持:日米重視派:対中に日本利用等、 マイケル・グリー ン等 ・第二選択:G2(米中)で世界、バーグステン「米中による G2の形成を」 バイデン副大統領:中米両国は2大経済国として世界経済の安定回復 を促進する責任 軍事、政治ではまだ。冷戦のゼロサムと異なる。 win-win。There is no more important diplomatic relationship in the world than the one that has grown between the People‘s Republic of China and the United States of America(Carter , January 2, 2009) ・第三選択・オフショアーバランシング:米国は後退。 地域の国を敵対国との関係で使用 • 第四選択・6者会議→制度化( Quansheng Zhao) 「軍事的に勝つ」選択肢は日本にない • 台湾周辺: 中国 台湾 • 戦闘機 1680( 330) 388 • 駆逐艦 26(16) 4 ・通常動力潜水艦 中国55(原子力5) 日本15 中国ミサイル東風X IRBM 50-100 3000km 対米軍 「80の中・短弾道弾、350のクルーズ・ミサイルで在 日米軍基地(嘉手納、横田、三沢)を破壊できる」 主要国工業生産高 対中核抑止を考える • 相互確証破壊戦略の下、「核の傘」は無理 最重点ー相手の先制攻撃を避ける、そのため自分から先制攻 撃することの無意味を説得、この中同盟国のために核を使用する と脅すのは矛盾 • キッシンジャー『核兵器と外交政策』 「米国大統領は西 ヨーロッパと米国の都市五〇と引き替えにするだろうか」 • モーゲンソー著『国際政治』「核保有国Aは非核保有国Bと の同盟を尊重すると言うことで、Cによる核破壊という危険 性に自らさらす1986年6月25日付読売新聞「日欧の核の 傘は幻想」「ターナー元CIA長官と会談」「我々はワシントン を破壊してまで同盟国を守る考えはない。アメリカが結ん できた如何なる防衛条約も核使用に言及したものはない。 日本に対しても有事の時には助けるだろうが、核兵器は 使用しない。」 • だろうか。」 米国は島の防衛に参加するか(1) • 安保条約「日本国施政下への武力攻撃に自国の 憲法に従い行動」 米国憲法、交戦権は議会 (参考:NATO:武力攻撃が行われたときは必要と認める行動(兵力の使用を含 む。)を個別的に及び他の締約国と共同して直ちに執る • 北方領土はロシアの管轄下。安保の対象外 • 米国地名委員会はブッシュ訪韓前韓国領に ・ 1996年以降米国は尖閣諸島領土問題には中立 ・2005年2プラス2、島の防衛は日本側の責任 2008 Ambassador Mondale suggested what is common sense: that seizure of the islands would not automatically set off the security treaty and force American military intervention(1996,10月20日、NYT) ・米国の国益:自己を危険に導く同盟国支援しない。 米国は尖閣の防衛に参加するか(2) • 尖閣諸島に対する米国の基本的立場 (1)領有権の問題に中立 (2)尖閣は安保条約の対象 ・シナリオ 第一、中国攻撃、自衛隊守る。米国出て来ない 第二、守りきれなかったら。中国管轄、米国出な い ・アーミテージ「日本が自ら守らなければ(日本の施 政下でなくなり)我々も尖閣守ることは出来なくな るのですよ」(日米同盟vs中国・北朝鮮) どっちみち出ない 孫子 敵との力関係において、戦略 • 十なれば、則ちこれを囲み、五なれば、則ちこれを攻め、 倍すれば、則ちこれを分かち、敵すれば、則ちよくこれと戦 い、少なければ、則ちよくこれを逃れ、若からざれば、則ち よくこれを避く。 参考 「囲碁十訣」(唐代・王積薪)。 • 貧不得勝(むさぼれば、勝ちを得ず)、 • 入界緩宜(界-相手の勢力圏―では、穏やかなるべし)、 • 攻彼顧我(彼を攻めるに、我を顧みよ)、 • 棄子争先(子-少数の石―を棄てて、先を争え)、 • 捨小就大(小を捨てて、大に就け)、 • 逢危須棄(危うきに逢えば、すべからく棄てるべし) • 慎勿軽速(慎みて軽速なるなかれ)、 • 動須相応(動けば、すべからく相応ずべし)、 • 彼強自保(彼強ければ、自ら保て)。 ゼロサムと非ゼロサム ラムズボサム著『現代世界の紛争解決学』 • ウィン・ルーズ ウィン・ウィン 10 1 4 B の 5 • 利 • 益 • の • 配 慮 2 3 • 0 Aの利益への配慮 10 ルーズ・ルーズ ・ルーズ・ウィン 紛争への五つのアプローチ 他者への関心の欠如が紛争へ 他 10譲歩 問題解決 者 へ 妥協 の 関 撤退 対立 心 0 10 自身への関心 シェリングの考え方((『日本人のための戦略的思考入門』 • シェリングは2005年、「ゲームの理論的分析を通じて 紛争と協調への理解を深めた」功績でノーベル経済 学賞 • 「紛争をごく自然なものととらえ、紛争当事者が“勝利 を追求しあうことをイメージするからと言って、戦略の 理論は当事者の利益が常に対立しているとみなす わけではない。紛争当事者の利益には共通性も存 在。対立と相互依存が国際関係に存在。当事者双 方の利益が完全に対立し合う純粋な紛争など滅多 にない。戦争でさえ、完全な根絶を目的とする以外、 純粋な紛争はない。”勝利“という概念は、敵対する 者との関係ではなく、自分自身がもつ価値体系との 関係で意味を持つ。”勝利“は、交渉や相互譲歩、さ らにはお互いに不利益となる行動を回避することに よって実現。」 紛争を避ける枠組み • 中国政府は釣魚島海域の資源共同開発の早期 実施。斉中国外交部副部長→橋本駐中国大使 • 相手漁船に対し公権力の発動に慎重 日中新漁業協定7条各国は自国の漁船にのみ 取締権限。相手国の違反を発見した時にはその 漁船に注意を喚起すると共に相手国に通報。 河野太郎「2000年日中漁業協定」: 尖閣諸島を 含む北緯27度以南の水域、自国の漁船だけを 取り締まり。海上保安庁は、尖閣諸島周辺の領 海をパトロールし、領海内で操業している中国船 は、違法行為退去させる。操業していない中国漁 船無害通行権があり、領海外に出るまで見守る。 棚上げがないとどうなるか • 1978年4月:中国漁船約100隻、内約10隻尖閣12 海里内に入り日本側立ち退き命令を無視し自国 領と主張して操業約二週間居残り。日本発砲には 中国も発砲の構え。2004年中国人7名尖閣に上 陸 • 中ソ国境紛争。1969年3月3日朝日新聞は「中 ソ国境で発砲。流血」「互いに侵入と非難」と報道。 衝突時、中国兵約200名参加。死者ソ連側34名、 中国側30-40名。3月6日デモ中国全土に。中国 側参加者1億5千万人と発表。双方軍国境に配備。 ソ連は40数個師団(師団は1万5千名位で構成)、 中国も。各々臨戦態勢。 領土紛争にどう対応すべきか • 第一に相手の主張を知り、自分の言い分との間で各々がどれ だけ客観的に言い分があるかを理解し、不要な摩擦はさける • 第二に領土紛争を避けるための具体的な取り決めを行う。 • 第三に国際司法裁判所に提訴するなど解決に第三者をできる だけ介入させる。 • 第四に緊密な多角的相互依存関係を構築する。 • 第五に国連の原則(武力の不行使)を全面に出していく • 第六に日中間で軍事力を使わないことを共通の原則とする( 主 権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵) • 第七に、現在の世代で解決出来ないものは、実質的に棚上げ し、対立を避けることである。あわせて、棚上げ期間は双方が この問題の解決のために武力を利用しないことを約束する、 • 第八に係争地の周辺で、紛争を招きやすい事業につき、紛争 を未然に防ぐメ • カニズムを作る(漁業、資源開発) • 第九に係争になりそうな場合、幾つかの要素に分割し、各々個 別に解決策を見いだす。 日中・ASEAN間「南シナ海行動宣言 2002年11月04日合意 ・南シナ海の航行、上空の飛行の自由を尊重 ・領有権紛争は武力行使に訴えることなく、平和 的手段で解決する。 ・現在(当事国に)占有されていない島や岩礁上 への居住などの行為を控え、 領有権争いを紛 糾、拡大させる行動を自制する。 ・国防、軍当局者間の対話の場を設け、いかな る軍事演習も自発的に通告するよう努力。 リアリズムから集団的相互依存へ • リアリズム イスラエル/シリア インド/パキスタン (戦争の可能性あり) 複合的相互依存 米国/中国 • リアリズム アメリカ/カナダ(1814年武力衝突) フランス/ドイツ(第一次、第二次大戦) アメリカ/カナダ フランス/ドイツ (戦争の可能性なし) 複合的相互依存 アメリカ/カナダ(今日) フランス/ドイツ(今日) • 欧州複合的相互依存関係への道ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体 条約(1952年)、被害の認識ー第一次、第二次大戦。戦争の 意味?、「憎しみあい」から「協力による実利」。実業家ジャン・ モネや政治家ロベール・シューマンの構想力と実行力 東アジア共同体への動き • ドイツ議会外交委員長の助言 独仏第二次大戦以降新体制構築へ積極的動き ・過去の行動に対する相互非難抑制 ・協調が利益を見いだすことを国民に示す 50年5月シューマン(仏外相)プラン 51年4月ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体条約 ・鳩山外交の柱、 ・米国の対応、ナイ (東アジア共同体で)もし、米国 が「外されている」と感じたならば、恐らく報復 • ケビン・メア著書『決断できない日本』「(鳩山政 権は)“東アジア構想” 中国の思う壺 ASEAN:多様性に中の組織・紛争回避 • 宗教:インドネシア国民の約75%がイスラム。、マレーシアはイ スラム教国教タイは仏教徒95%。フィリピンは人口の90%が キリスト教徒。 • タイは第二次大戦で独立。インドネシアはオランダの植民地。 マレーシア、シンガポールは英国の植民地。フィリピンは、スペ イン、次いで米国の植民地。 • 特に中国。華僑。対中国:強硬か、融和か、 • タイは国王。マレーシアは互選の国王。議会民主主義。インド ネシアとフィリピンは大統領。シンガポール実権は首相。 • 多くの地は不安定。インドネシアはスカルノ、スハルト両大統領 が失脚。タイクーデター。フィリピンは民衆デモでマルコス失脚。 フィリピン対テロ、多様なインドネシアは国内統一に苦しむ。 • 1962年から1966年マレーシアとインドネシアの間戦争。マ レーシアとシンガポールも対立。1968年から69年マレーシア とフィリピンの関係が悪化。 歴史認識 • • • • 外交は51点目指すのがよい 解決しないことをもって解決とする こちらが主張を強めれば相手は主張を強める 国際的スタンダード 善悪は別に日独の責任を前提に構築。 ・村山談話(平成7年8月15日) 「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への 道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略に よって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大 の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんと するが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止 め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫び の気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外 すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。」 • 被害の賠償はゼロ
© Copyright 2024 Paperzz