CSRトピックス 2007年度 No.9

2007.No.9
国内トピックス
2007 年 11 月に公開された国内の CSR に関する主な動向をご紹介します。
<企業>
○松下電工が 30 万本の植林を達成
(関連情報: 2007 年 11 月 1 日 日刊木材新聞)
松下電工は、2001 年 7 月から実施している「緑の恩返し(アジア諸国の植林支援)」
活動が 2007 年 9 月までに 30 万本に達した、と発表した。
「緑の恩返し」活動は同社が住宅部材メーカーとして木材加工製品を多く販売してい
ることから、「自然環境への感謝と還元」という主旨のもとでスタートしたもの。主に現
地の住民達の経済的な自立を目指して実施されている。
これまでの 30 万本の植林支援は 6 カ国 33 地域が対象となっており、面積は甲子
園球場 53 個分に相当する 214ha に及ぶ。
同社は今後、自社で購入している木材の量と同数の植樹を行うことにより、木材の
循環型活動に発展させていく構想を検討中である、としている。
○日本生命が健康関連分野の SRI 投信を設定
(関連情報: 2007 年 11 月 7 日 保険毎日新聞 他)
日本生命保険が、グループ会社のニッセイアセットマネジメントが設定する健康関
連分野の SRI ファンドへ投資を行うことを発表した。
同ファンドは、ニッセイアセット社が医療・健康・福祉介護といった視点で分類した
「健康関連分野」に属する企業を対象に、成長性等を分析し投資を行うファンドで、同
ファンドの当初設定額は 50 億円。
日本生命は「健康関連分野」をコンセプトとしたファンドは国内初としており、今回、
資産運用部門における CSR 取組の一環として同ファンドに投資を行い、健康増進に
貢献する企業の支援を行っていくとしている。
○アツギが、ストッキングの中台紙で乳がん予防の情報を提供
(関連情報: 2007 年 11 月 7 日 日経流通新聞)
アツギは、同社が販売しているパンティストッキングの中に入れる中台紙に、女性に
役立つ情報を掲載することを決め、その第一弾として「乳がん予防」に関する情報の
掲載を開始したと発表した。
中台紙とは、ストッキングの色や質感をわかりやすく見せる為に、ストッキングの中
に入れられる厚紙のことで、従来は無地のものがほとんどであったという。
同社は、女性向け商品を製造・販売しているメーカーとして、女性の健康やより良い
生き方に貢献することが使命であると考え、今回の取組を開始した、としている。
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「乳がん予防」に関しては、今後「乳がんの基礎知識」シリーズとして、全12タイト
ルを掲載する予定としている。また、同社のホームページにも同内容の情報を掲載
する。
○三井住友海上が「企業と生物多様性シンポジウム」を開催
(関連情報: 2007 年 11 月 27 日 日刊自動車新聞)
三井住友海上は、「企業が語るいきものがたり Part1~企業と生物多様性シンポジ
ウム~」を 11 月 21 日に開催した。
生物多様性の保全は、2006 年にブラジルで開催された生物多様性条約第 8 回締
結国会議(COP8)により企業の参画を促す決議が採択された。そして 2010 年に開催
予定の COP10 は候補地として名古屋が挙げられていることから、今後国内での注
目が高まると予想されている。
こうした背景を受け、本シンポジウムでは、すでに生物多様性保全に取り組んでい
る以下の 6 社による事例発表や、それらを受けた意見交換が行われた。
1.トヨタ自動車(トヨタの森)
2.住友大阪セメント(ツシマヤマネコの棲むもりづくり)
3.住友林業(生物多様性保全に関する国内外での木材調達の取組み)
4.アレフ(食材調達における生物多様性保全)
5.トンボはドコまで飛ぶかフォーラム(京浜工業地帯トンボネットワーク・プロジェク
ト)
6.三井住友海上(ジャワ島パリヤン野生動物保護林の修復再生事業)
本シンポジウムにて、企業が生物多様性の保全に継続して取り組む活動の場とし
て「企業と生物多様性保全活動ネットワーク(仮称)」を設立することも発表された。同
ネットワークは 2008 年 1 月の活動開始に向けて、準備を進めている。
<行政>
○厚生労働省が、障害者雇用に関する調査結果を公表
(関連情報:2007 年 11 月 21 日 日本経済新聞)
厚生労働省は、民間企業での障害者雇用状況に関する調査結果を公表した。「障
害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、法定雇用率が適用される従業員 56
人以上の企業について障害者の雇用状況を毎年調査しているもの。
今回の調査によると、民間企業で働く障害者が初めて 30 万人を突破し、また、雇用
率も 1.55%と過去最高となる結果が出ており、同省は「障害者雇用の着実な進展が見
られている」と評価している。
一方で、中小企業における実雇用率は全体と比べ低い水準にあり、特に 100~299
人規模の企業においては 1.30%と、企業規模別では最も低い数値であった。
また、1,000 人以上規模の企業では、法定雇用率達成企業の割合が、企業規模別
で最も低い数値であった。
同省では今回の調査を受けて、
①民間企業については、新しい指導基準に基づいた法定雇用率達成指導の強化
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②公的機関については、法定雇用率未達成の機関のトップに対する労働局長等か
らの指導の強化
の2つを今後重点的に行う、としている。
海外トピックス
○CSR 規格「ISO26000」の発行が 2010 年後半にずれ込む可能性濃厚に
(関連情報:http://www.jsa.or.jp/stdz/sr/pdf/resolution5.pdf 等)
企業を含めた全ての組織の社会的責任(SR)の国際規格「ISO26000」の発行時期
が、これまで予想されていた 2009 年末から 2010 年後半にずれ込む可能性が濃厚
になった。11 月 5 日から 9 日にかけて、オーストリアのウィーンで同規格文案を作成
しているワーキンググループの第5回総会が開催されたが、参加者間で文書内容の
調整に時間を要したことで発行までにさらに時間が掛かる公算となったのが理由。今
後は、人数を絞り込んだ作業チームに作業を移管して、規格ドラフトを最終的に詰め
る段階に入る。
同ワーキンググループは規格文書の作業原案(WD)の作成を進めてきており、2006
年 5 月開催の第 3 回リスボン総会で SR の定義や領域を決定して以降、規格文言
の細部について参加者間の合意に向けた調整を進めてきた。ISO26000 が国際規格
として正式に発行するまでには、WD から委員会原案(CD)に昇格、さらに参加国が
規格として承認するための最終原案(FDIS)までのプロセスを経ることが必要となる。
今回のウィーン総会では、表現や文言等の文書細部に課題が残るとして、参加者間
での合意に至らなかった。規格の完成までには、手続きのルール上、各プロセス間
で一定期間を置く規定があることから、規格発行は最短でも 2010 年後半となる。
今後は、これまで機能別に分担して文書の作成作業に当たっていたチームからの
代表者で構成する少人数の作成チーム(IDTF)を設けて、ドラフト完成に向けた最終
作業に当たる。
次回総会は、2008 年 9 月に南米チリのサンチャゴで開催の予定。
○仏ロレアル、企業のCSR活動を支援する財団を創設し、社会貢献活動を拡大
(関連情報:http://www.nihonloreal.co.jp/_ia/_ip/index.aspx?direct1=00006&direct2=00006/00001)
フランスの美容製品大手ロレアルグループ(本社:パリ)は、企業のCSR活動を助
成、推進、支援する「ロレアル財団」を創設した。同財団は、フランスの財団の中でも
多額の約 66 億円(4 千万ユーロ)を今後 5 年間のファンドとして拠出し、「科学」、「教
育」、「連帯」の 3 本柱の活動を積極的に展開する。
日本では 3 本柱のうち「科学」分野の「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励
賞」のみを実施しており、現在、3 回目にあたる同賞の公募を 2 月 29 日まで実施して
いる。同賞は、ロレアルが国連教育科学文化機関(ユネスコ)と 1998 年に創設した世
界規模で女性の地位向上を目指す共同プロジェクトの日本版として始めた。若手女
性研究者が国内の教育・研究機関で研究活動を継続できるように奨励することを目
的としており、生命科学・物質科学分野の博士課程に進学予定あるいは同後期課程
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の研究者を対象に、各分野 2 名ずつ、計 4 名の受賞者を選定し、奨学金 100 万円ず
つを贈呈する。
ロレアルは日本へ約 25 年前に研究開発拠点を置き、フランス以外で初めて美容
室・サロン向けヘアケア製品の基礎・応用・開発の全段階に関わる研究を行っており、
現在は研究者 130 名のうち女性研究者が 62%を占めている。
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Q&A
CSR に関するさまざまなご質問についての解説を行うコーナーです。
Question
当社では 3 年前から CSR 活動を全社・全グループ展開していますが、半年前に
社長が交代しました。これを機に「新社長も CSR 経営を重視している」とのメッセー
ジを社内に発信し、活動をさらに盛り上げていきたいのですが、どのような点に留
意すべきでしょうか?
Answer
CSR 活動は、単にネガティブ要素を軽減するだけの活動ではなく、企業を取り巻
くあらゆるステークホルダー(利害関係者)との信頼関係向上に向けた活動です。
例えばコンプライアンス(法令等遵守)やリスクマネジメントは、CSR の一部に過ぎ
ません。
このように概念が広く、取組内容も多岐に渡る CSR 活動を着実に進めていくため
には、経営トップのコミットメント、すなわち自社としての CSR ビジョンや活動方針
等をトップが定め、かつ自らの言葉で役職員に説明することが肝要です。
もちろん、ただコミットメントすればよいというものではなく、自社グループの CSR
ビジョンと経営トップの信念が一致していることが大前提です。
自社の経営理念や行動規範、他社動向、ステークホルダーからの期待を踏まえ、
自社の強み・弱みを認識した上で、自社の目指す理想の姿と、それを実現するた
めの活動方針を表明することが大切です。
一方、経営者がいかに優れた内容のコミットメントを行ったところで、個々の役職
員が自身の業務に落とし込んで CSR を理解しなければ意味がない、との批判が
あるかも知れません。
これについては、特効薬のような方策はありませんが、トップコミットメントが繰り
返し伝えられることと、ビジョン・方針のみならず、具体的な施策レベルでも説明さ
れることが重要です。例えば、社内報などの巻頭言や社員研修時の講話、ビデオ
メッセージによる周知など、全役職員に経営者の意図が伝わるよう、様々な手法を
使いながら、継続的に発信し続けることが有効です。また、経営者と役職員との対
話の場を設けるなどし、直接かつ本音で経営者の信念を伝えていく、といった取組
も効果的です。
以 上
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株式会社インターリスク総研は、三井住友海上グループに属する、リスクマネジ
メントについての調査研究及びコンサルティングに関する我が国最大規模の専門
会社です。
CSR に関しても、以下のようなコンサルティング・セミナー等を実施しております。
これらの CSR に関するコンサルティングに関するお問い合わせ・お申込み等は、
インターリスク総研 コンサルティング第一部(TEL.03-3259-4283)または、お近
くの三井住友海上営業担当までお気軽にお寄せ下さい。
<コンサルティング>
◇CSR現状分析とグランドデザインの策定
◇CSRマネジメントシステムの構築と運営
◇CSR委員会の設立、運営サポート
◇内部統制システムの再構築支援/会社機関・経営意思決定システムの改善
◇行動規範・ガイドラインの策定/行動規範・綱領の評価修正、ガイドラインの作成
◇企業倫理ヘルプライン制度の構築/社内不正発覚時緊急時対応計画の策定
◇CSR個別課題(環境、労働安全衛生、品質、消費者保護、その他)に関する現状
分析
◇CSR個別課題に関する評価基準策定
◇CSR個別課題に関する各種施策立案、対策実施
<セミナー・研修>
◇役員向け研修(例:最新CSR動向、企業競争力強化とCSR推進、ステークホルダー
に配慮した緊急時意思決定)
◇CSR推進責任者向け研修(例:部門CSR施策策定コーチング、ケーススタディ)
◇CSR推進担当者向け研修(例:行動規範策定ディスカッション)
◇支店・工場従業員向け研修(例:CSR解説、行動規範ガイダンス)
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本資料の全部または一部の複写・転写等に関しましては、お手数ながら
(株)インターリスク総研(03-3259-4283 http://www.irric.co.jp/)まで
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