食品成分でメタボリックシンドロームを予防する -肥満や動脈硬化症の予防に寄与する食品成分の探索 - 静岡の特産品である緑茶の生理学的機能性に関する研究を進める中で、 研究の背景と目的 茶山 和敏 緑茶および緑茶成分が肥満(脂肪蓄積)抑制作用を有することを報告し、この 研究が元になって肥満予防作用を有する緑茶飲料の開発につながった。そ の後、緑茶成分だけでなく、種々の食品成分について肥満や動脈硬化症など のメタボリックシンドローム予防効果を検討しており、これらの成果を紹介する ことで、他の食品成分の効果についての共同研究を推進する。 農学研究科 准教授 緑茶が脂肪蓄積抑制作用を有し、この作用が主に緑茶の主要成分である ■ キーワード カテキンとカフェインによることを明らかにした。また、自己免疫病発症に対す る緑茶の有効性を報告している。さらに、動脈硬化症発症に対してもカテキン ・ メタボリックシンドローム ・ 動脈硬化症 ・ 食品 ・ 食品成分 とカフェインが有効であることを解明した。その他の食品成分についても検討 研究の概要 ・ 肥満 を進めている。 ・ ■ 技術相談に応じられる関連分野 特筆すべき研究ポイント: マウスを用いた食品・医薬品の投与実験、投与後の各種臓器重量の ・ 食品関連企業 測定や肝臓および脂肪組織の脂質量や脂質代謝活性の測定が可能。 ・ 製薬メーカー また、脂肪細胞を用いた体外培養試験で、脂肪細胞への直接的、間接 的な効果も検討可能である。 セールスポイント ・ 従来技術との差別化要素・優位性: 現在、社会問題になっているメタボリックシンドロームの発症予防効果 を有する食品成分を、脂質レベルの抑制効果だけでなく、免疫学的抑制 機構を含めて総合的に調べることができる。 ・ 特許等出願状況: αG-ルチンの脂肪蓄積抑制作用(特許出願中) 正常および 体重、種々の臓器および脂肪組織の重量測定 疾患モデ ルマウスを 血中および肝臓中の脂質量測定 用いた食 イメージ図 品成分の 肝臓の脂質代謝(合成、分解)活性の測定 投与試験 動脈硬化症発症度の診断およびその原因究明 培養脂肪細胞を用いた食品・医薬品の脂肪細胞の増殖および分化(脂 質蓄積や分解など)への影響の分析 応用、企業化 ・ 対象分野: 食品業界、医薬品業界 今後の展望 ・ 企業化または商品化のイメージ: 肥満予防、動脈硬化症予防 ・ 企業貢献度と内容: 肥満および動脈硬化症予防はこれからの社会の最も高いニーズであり、食品・医薬品業界にとっても 重要な研究要件であり、良い研究結果は即特定保健食品や医薬品として高い評価を受けることができる と思われる。 ■ その他の研究紹介 1、 自己免疫病発症に対する種々の食品成分の効果に関する研究 2、 乳腺細胞および乳腺組織の乳汁成分産生機構、特に免疫グロブリン産生に関与するサイトカインおよびケモカイ ンの乳腺での発現に関する研究 3、 乳癌の発症および悪性進展のメカニズムに関する研究 4、 癌増殖抑制作用を有する食品成分の探索 5、 生体機能に対する種々の環境ホルモン(外因性内分泌かく乱化学物質)の影響に関する研究
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