1 スキャナーの活用法 現在、プリンターとスキャナーを合体させた

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スキャナーの活用法
現在、プリンターとスキャナーを合体させた、インクジェット複合機が全盛時代を向か
え、各メーカーもプリンター・スキャナー単体機より複合機に主力をおくようになった。
しかし、性能がよくなったわりに、まだスキャナーを効率よく使用している人は少ないと
思う。この活用法を知ることにより、効率よくスキャナーを使うためと、今後スキャナー
を購入しようとしている人の参考になればと本講習を計画した。
1. スキャナーの3大用途
1) 写真の取り込み
2) 電子スクラップ
3) カラーコピー
2. CCD と CIS の違い
スキャナーは読み取りセンサーと呼ばれる撮像素子で原稿を画像として取り込む。この
センサーには CCD と CIS(コンタクトイメージセンサー)の2種類があり、スキャナー
はどちらか一方のセンサーを採用している。フラットベッドスキャナーやインクジェット
複合機の製品仕様には必ずセンサーについて記載されている。
CCD と CIS の特徴
CCD
CIS
1.立体物の取り込み
厚みのある立体物でもきれい 原稿台に密着していないと
に取り込める
きれいに取り込めない
2.取り込み速度
CIS の機種に比べると読み取 USB ケーブルから電源供給
りが早い
する上で速度には限界があ
る
3.本体サイズ
CCD の構造上本体サイズは 薄型で省スペース。使わない
どうしても大きくなる
ときは本棚収納も可能
4.取り扱いのしやすさ 駆動には電源コンセントが必 USB からの電源供給で、駆
要
動するため1本で動作する
5.フイルム読み取り
フイルム読み取りが可能で複 一部の機種以外は、フイルム
数枚の取り込みも可能
読み取りはできない
2
3.
正しい解像度設定をマスターする
スキャナーで原稿や画像を取り込むときにさけて通れないのが解像度の設定。解像
度の単位は「dpi(ドッド/インチ)」で1インチ(2.54cm)あたりに何ドッドの点で
読み取れるかを示している。解像度は数値が大きいほど詳細に原稿を読み取るが、そ
の分画像サイズやファイル容量は大きくなり取り込みにかかる時間も増える。
解像度によるファイル容量
L 判(BMP)
L 判(JPEG)
A4 判(BMP)
A4 判(JPEG)
72dpi
256kb
64kb
1.4MB
224kb
150dpi
1.1MB
140kb
6.2MB
554kb
300dpi
4.5MB
316kb
24.8MB
1.5MB
600dpi
18MB
868kb
99.5MB
4.1MB
取り込み時間
4.
L 判原稿
A4 判原稿
72dpi
8秒
15 秒
150dpi
8秒
15 秒
300dpi
11 秒
24 秒
600dpi
23 秒
1 分 16 秒
等倍印刷なら 300dpi
読み取り解像度はディスプレイ画面で確認するだけなら、基本的に 72~150dpi
程度で十分だが、取り込んだ原稿を後から同サイズで印刷するならば 300dpi の解
像度があれば十分である。一方拡大印刷する場合は解像度 300dpi では足りない。L
判写真(89x127)を取り込んで A4 サイズ(210X297)で印刷した場合,300dpi で取り
込んだ L 判写真は、A4 サイズの拡大印刷では 127dpi で印刷されることになる。こ
れは 1 インチあたりのドッド数が減り解像度が低くなる。
3
5.
写真の取り込みは大の得意
スキャナーが最も得意としているのは写真の取り込み。最近のスキャナーはプリ
ント写真を複数枚まとめて取り込んだり、色あせた写真をきれいに補正する機能など
を搭載。昔撮ったプリント写真をデジタル化して整理する用途や、焼き増しプリント
を自宅でやりたいときにスキャナーは大活躍する。
6. フイルムの読み取り
35mm のネガおよびポジフイルムから写真を取り込めるスキャナーも多い。フイル
ムを読み取る場合は、元のフイルムサイズが小さいため(24x36)L 判や A4 判より
も高解像度で取り込むことになる。取り込んだデータを A4 サイズまで引き伸ばして
印刷することを考えるならば、2400dpi で取り込む必要がある。取り込みにかかる時
間はフイルム 1 コマ当りおおよそ 2~3 分である。
7.
電子スクラップ
コピーした書類、捨てられない雑誌、ほかにも新聞記事、明細書などどれもスキャ
ナーを使った電子スクラップを実践すれば、パソコンでまとめて管理できる。PDF
データとして保存しておけば、表示や検索、配布等も楽である。
電子スクラップを実践していると、A4 サイズを超える書類も出てくる。A3 や B4
サイズは通常の方法では取り込めない。そうゆうときは原稿を分割して取り込み後か
ら合成して 1 枚の画像に仕上げる。B4 サイズまでの画像であれば、CanonLiDE60
は「貼り合わせ機能」で取り込める。この機能がなかったり、B4 サイズより大きい
原稿を取り込む場合はフォトレタッチソフトのパノラマ画像を作成する機能を利用
する。
8.
自宅でカラーコピーができる
カラーコピーが簡単にできるのもスキャナーの魅力である。雑誌に掲載されてい
るレストランに行くときは、該当記事だけをコピーして持っていけば雑誌を丸ごと持
ち歩かなくてもすむ。料理本のレシピだけコピーしてキッチンで料理すれば本も汚れ
ない。このようにスキャナーはプリンターと連携することでカラーコピー機能が使え
るようになる。
キャノンのスキャナーはどのメーカーのプリンターでも連携できるが、エプソン
のスキャナーは他社のプリンターではコピー機能が使えない(付属ソフトを使用した
とき)。なおキャノン製品同士の組み合わせでは、より高速なコピーができるように
なっている。
9.
活用事例
「写真の取り込み」「電子スクラップ」「カラーコピー」、これらの 3 つの用途でス
キャナーを自由自在に扱えるようになればもう 1 人前。後は発想を自由に膨らませ
てスキャナーを使いこなしてゆこう。
そのためには「取り込んで保存するためスキャナーを使う」という考え方を見直そ
4
う。デジカメと同様に何かを「撮る」という観点から扱う。
1)
落ち葉も立派な素材に
紅葉が待ち遠しい 9 月の時期に、道端に落ちているまだ葉の色付きがないイチョウ
の葉を発見。これをスキャナーで取り込んでみる。原稿台の上にイチョウの葉を 3
枚並べて取り込もうとすると、所々で落ち葉の端が丸まり、スキャナーのふたでうま
く押さえられない。ふたを閉めたときに位置もずれる。
こういうときは、透明なファイルに挟んでから原稿台にセットするテクニックを使
うとよい。落ち葉をきれいに伸ばすことができ、位置決めもしっかりできる。
取り込んだ落ち葉の画像に対してフォトレタッチソフトで少し手を加えて、画像の
色相を変えるなどしてオリジナルな素材が完成する。布を取り込めばその素材の味わ
いを生かして Web 背景などができる。
2)
昆虫採集の標本写真
「スキャナー上に昆虫を置いて取り込むだけ」とにかく簡単なのがよい。デジカメ
などで撮影するとライティングなど難しい上に、シャッターブレなど起こしてピンボ
ケになる場合が多い。スキャナーならそのような悩みは一切ない。
立体物を取り込む場合、前述したように CCD のスキャナーを使う。またふたが閉
まらないので下図に示すような簡単な装置をダンボールなどで作っておくと便利で
ある。
また、昆虫に限らず、宝石の見本写真・時計の見本写真などもきれいに撮ることが
できる。
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10.参考資料―H17 暮製品のプリンター性能比較
H17 暮の注目すべきはなんと言ってもインクジェット複合機。プリンターとスキャ
ナーを合体させ、コピーも可能にした多機能プリンター。一昨年ごろから存在感を高
めてきており、H16 エプソンが主力製品を単機能機から複合機にシフトさせたことで
一気にブレイク。H17 年はキャノンも複合機に本腰を入れ、従来から複合機に力を入
れてきた日本 HP の製品を加えて最新プリンターの話題は複合機一色である。
1) 印刷の速度
写真画質(L 判写真)
A4 文書
1位
MP800
35 秒
1位
MP800
25 秒
2位
PM-A950
39 秒
2位
MP950
26 秒
3位
PM-A890
42 秒
2位
ip7500
26 秒
3位
MP-950
42 秒
4位
ip4200
27 秒
3位
ip7500
42 秒
4位
MP500
27 秒
3位
ip6600D
42 秒
6位
PM-A950
37 秒
7位
MP500
45 秒
7位
PM-A890
38 秒
7位
ip4200
45 秒
7位
MP-170
38 秒
PhotoSmart
3310
PhotoSmart
3210
38 秒
9位
PM-D600
46 秒
7位
9位
MP170
46 秒
7位
38 秒
2)
画質
ほとんどの機種で十分に満足できるレベルで印刷されている。上位機種であればフイ
ルム写真との差はほとんどないといっていい。また今回のテスト結果では 6 色と 4 色
で画質に大きな違いは出なかった。インク滴が小さくなり、以前と比べて 4 色機でも
十分な画質が得られるようになった。
3) 複合機ではスキャナーの性能も重要
ネガフイルム(2400dpi 取り込み)
L 判写真(600dpi 取り込み)
1位
1 分 22 秒
PM-A750
1位
9秒
MP800
2位
PM-A950
12 秒
2位
PM-A890
1 分 51 秒
3位
PM-A890
13 秒
3位
PM-A950
2分3秒
4位
MP950
15 秒
4位
MP950
2分6秒
PhotoSmart
3310
PhotoSmart
3210
2分6秒
MP800
2 分 17 秒
PhotoSmart
3310
PhotoSmart
3210
17 秒
4位
17 秒
4位
MP500
MP170
23 秒
7位
9位
PhotoSmart
2575
27 秒
10 位
PM-A750
28 秒
11 位
PX-A650
34 秒
5位
5位
7位
7位
23 秒
2分6秒
6
4)
カラーコピー性能
L 判写真のカラーコピー
A4 雑誌のカラーコピー
1位
MP800
35 秒
1位
MP800
24 秒
位
PM-A950
37 秒
2位
PM-A950
26 秒
3位
MP950
41 秒
3位
MP500
30 秒
4位
MP500
47 秒
4位
32 秒
5位
PM-A890
55 秒
6位
PM-A750
59 秒
PhotoSmart
3310
PhotoSmart
3210
7位
PhotoSmart
3310
PhotoSmart
3210
PhotoSmart
2575
60 秒
6位
PM-A890
38 秒
6位
MP950
38 秒
8位
PM-A750
43 秒
62 秒
9位
PhotoSmart
2575
44 秒
10 位
MP170
89 秒
10 位
PX-A6 50
56 秒
位
PX-A650
94 秒
11 位
MP170
62 秒
7位
9位
60 秒
4位
32 秒
5)
設置スペース
メーカーの発表している仕様と実際は大きく異なっている(実際はより大きなスペー
スが必要)。おき場所を決めて設置できるか要検討。
使用時の設置スペースを実際に計測(コンパクト機は除く)
6)
製品名
奥行き
高さ
製品名
奥行き
高さ
MP950
415→554
263→549
PM-A950 418→537
236→487
MP800
490→563
240→535
PM-A890 414→595
210→477
MP500
426→558
205→450
PM-A750 414→560
199→460
MP170
381→557
181→444
PX-A650
354→572
181→340
ip6600D
304→564
183→240
PM-D800 300→553
188→340
ip7500
309→555
160→240
PM-D600 269→564
173→332
ip4200
299→557
160→238
PM-G730 263→563
196→342
製品名
奥行き
高さ
PX-V630
242→530
192→353
PhotoSmart
3310
395→479
220→517
同 2575
283→363
172→425
同 8230
385→474
160→160
同 7830
230→474
158→158
印刷コスト
1 枚あたり何円で印刷できるか、誰もが気になるこの疑問に対しては、メーカーは
機種ごとに判断基準の材料として印刷コストを公表している。測定方法が違うため異
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なるメーカーの機種では比較できないが、同一メーカーの機種であれば一応参考に
なる。
L 判 1 枚の写真を印刷するのにかかるコスト(インク代と用紙代の合計)
キャノン
MP500
ip4200
21 円
E-150
PM-A750
MP800
22.1 円 PM-D600
iP6600D
26.3 円 PX-A650
MP950
iP7500
MP170
日本 HP
エプソン
27.3 円
PX-V630
PM-D800
34.7 円 PM-G730
13.9 円 PhotoSmart
16.1 円
17 円
3310/3210/
8230
19 円
PhotoSmart
475/385
20 円
18.2 円 PhotoSmart
20 円
PM-A950
20.6 円
PM-A890
21 円
3575/7830
23 円
本章は参考資料として載せたもので、自分の目的にあったものを字自分の責任で選
んで購入して欲しい。