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株式会社 DZHフィナンシャルリサーチ
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週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
September 2, 2016
BOC、金融政策は現状維持か
◆ポンド、英経済指標の結果で EU 離脱決定の影響を探る展開
◆英 EU 離脱決定の実体経済への影響は顕在化まで時間がかかる
◆BOC、金融政策は現状維持か
予想レンジ
ポンド円 130.00-140.00 円
加ドル円 76.00-82.00 円
9 月 5 日週の展望
ポンドは英経済指標の結果を睨んだ動きとなるか。1 日に発表された 8 月の製造業 PMI は市場予想を
大きく上回る 53.3 となり、
国民投票を受けた落ち込みから急速に回復した。5 日に 8 月サービス業 PMI、
7 日には 7 月鉱工業生産や製造業生産が発表される。経済指標の結果から、英国の欧州連合(EU)離脱
決定の実体経済への影響を確認する作業が続く。足もとでポンドの下方向への警戒感は払しょくされ
ていない。指標次第でポンド売りの再燃、もしくはポンドの買い戻しが進むか。
英国民投票から 2 カ月が経過したが、実体経済への悪影響は鮮明になっていない。7 月の経済指標で
は、マインド指標の悪化が目立った一方で、小売売上高など実体経済指標は堅調さを維持している。
実体経済への影響は、企業が投資をちゅうちょし雇用拡大に慎重になることや、ポンド安がインフレ
につながり家計の購買力を圧迫することなどが想定されるが、影響が顕在化するまでどちらも時間が
かかる。新首相がスムーズに誕生し、政治的リスクは最小限に食い止められたが、経済への悪影響を
小さくするには離脱交渉が早い段階で明確化されることが重要である。ただ、英国が EU 離脱を通告す
る時期は来年の後半に先送りされるとの憶測もあり、離脱交渉をめぐる不透明感は続いている。
英政府は夏休みを終えて、EU 離脱に向けた仕事を再開した。メイ首相は、離脱が決定した以上、離
脱実現に最善を尽くすと述べ、何らかの形による EU 残留を試みることはないと明言した。EU 離脱の正
式な手続き開始となるリスボン条約 50 条の発動には議会採決の必要性はないと指摘した。
加ドルは上値の重い動きとなるか。9 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、米早期利上げ観
測が再燃し、ドル高が進みやすくなっており、対ドルで上値が圧迫されそうだ。NY 原油先物が 50 ドル
大台を前に失速しており、加ドルの支えにはなっていない。9 月の石油輸出国機構(OPEC)非公式会合
にはイランも出席する見通しだが、原油増産凍結で合意に達しても 4 カ月前に協議が物別れに終わっ
た当時と比較して効果はかなり小さくなるとみられている。同会合は 9 月 26-28 日に開催される国際
エネルギーフォーラム(IEF)にあわせて行われる。
7 日のカナダ中銀(BOC)会合では金融政策は現状維持が見込まれる。6 月の小売売上高が弱い結果
となり、国内総生産(GDP)の下振れも警戒されたが、6 月 GDP は前月比+0.6%と市場予想を上回った。
4-6 月期 GDP は山火事の影響で 1-3 月期の+2.4%から-1.6%に鈍化した。ただ、6 月 GDP は山火事から
景気の急速な回復が進んでいることが示され、7-9 月期は BOC が見込んでいる+3.7%の成長も期待され
る。週後半には住宅や雇用指標の発表も予定されている。
8 月 29 日週の回顧
強い英 PMI を背景にポンドドルは 1.33 ドル台、ポンド円は 138 円近辺まで上昇した。米早期利上げ
期待を背景としたドル高を受けて、ドル/加ドルは 1.31 加ドル半ばまで加ドル売りが先行した。一方、
加ドル円はドル円の上昇を支えに 79 円前半まで小幅高。加ドルは原油安も重しとなった。(了)
本レポートはお客様への情報提供のみを目的として作成したもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。実際に投資をなさる場合の最終ご判断は、お客様ご自身でご判断なさる
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