2014.1.30 ニ ッ セ ン ケ ン 分 室 「 思 い つ き ラ ボ 」 No. 9 ソチで冬 季 オリンピックがはじまります・・・ スポーツの祭 典 冬 季 オリンピックが 2 月 7 日 より開 催 されます。スローガンは“ Hot Cool Yours"(ホット クール ユアーズ)邦 訳 は“ホットでクール みんなの大 会 ”となっています。今 では夏 季 冬 季 と 2 年 ごとに 開 かれますが競 技 は 4 年 ごとになるので やはりこの 4 年 間 という時 間 の重 みが独 特 な雰 囲 気 をつくり出 しているのだと思 います。競 技 者 にとっても 4 年 の時 間 が成 長 期 か 成 熟 期 か 衰 退 期 かによっても力 を 出 せるピークに持 ってこれるかが鍵 となるわけですから 人 生 の一 大 イベントとなるのもわかります 。 そんな中 で 7回 も出 場 するジャンプの葛 西 紀 明 (かさいのりあき)選 手 はそれだけでスゴいことなのです。最 初 が 1992 年 アルベールビルで 1994 年 のリレハンメル・・・実 はこの年 から冬 季 と夏 季 のオリンピックが 分 けられたのでこの間 だけ 2 年 ということになっています。1998 年 長 野 2002 年 ソルトレイク 2006 年 トリノ 2010 年 バンクーバー そして今 回 の 2014 年 ソチとなんと 22 年 の間 ずっとトップ選 手 として活 躍 されてい るのです。しかも今 季 ワールドカップで優 勝 していてソチでも表 彰 台 へ の期 待 が高 まっているのです。 技 術 が 光 る スポ ーツウェ ア オリンピックはスポーツ選 手 の最 高 峰 の舞 台 ですが スポーツ用 品 業 界 にとっても技 術 躍 進 を遂 げられる 最 高 の場 でもあるのです。競 技 ウェアによってタイムや演 技 に影 響 がでることは周 知 の通 りで 夏 季 大 会 で水 泳 競 技 のウェアによって世 界 記 録 が量 産 されたのは記 憶 に新 しいところです。現 在 ではタイム競 技 の 場合 1/100 秒 単 位 の計 測 になりますのでウェアの役 割 も大 きいのです。水 の抵 抗 値 や風 の抵 抗 値 を小 さくするということにスポーツアパレルや生 地 の開 発 者 はかなりの時 間 を費 やしているのです。 1/100 秒 の ために何 年 もの時 間 を掛 けて開 発 に取 り組 んでいるのです。 オリンピックは基 本 的 にはアマチュア精 神 が優 先 されるので商 業 ベースにはなりにくいですが 技 術 開 発 ではスポーツメーカーも競 いあっているのです。スポーツ用 途 向 けの国 産 生 地 は評 価 も高 く とくにスパン デックス入 りの素 材 は織 物 もニットも日 本 製 は需 要 は高 いです。 スピードスケート競 技 をはじめ記 録 にはゲ ームウェアの機 能 も結 果 に影 響 を及 ぼすものと考 えられているので ものづくり部 隊 も一 所 懸 命 なのです。 その意 味 では国 内 繊 維 業 界 もオリンピックに貢 献 しているのです。 スポ ー ツ ウ ェ アの 規 則 スポーツ競 技 別 に素 材 開 発 をする時 には まずその競 技 のルールブックを読 むことから始 まります。当 然 のことながら規 程 に見 合 った素 材 でなければならないからなのです。なかなか競 技 ウェア規 程 を見 ることも ないでしょうから今 回 のコラムで競 技 ウェアの規 格 を紹 介 したいと思 います。とはいえ全 部 の競 技 ウェアの 規 格 は紹 介 できませんので 葛 西 紀 明 選 手 を取 り上 げた流 れで“スキージャンプスーツ”を調 べてみましょ う。 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp 2014.1.30 スキージャンプスーツ規 則 (FIS 国 際 スキー連 盟 規 則 抜粋) スキージャンプスーツの全 ての部 分 は、同 一 素 材 で作 られていなけ ればならず、また外 側 からも内 側 から も、同 一 の空 気 透 過 率 でなければならな い。スーツは、えりまで届 くフロント中 心 のジッパーで閉 じなければ ならない。ジッパーの長 さは、最 長 で、股 下 のクロスする部 分 まで認 めらる。 このジッパーの幅 は、15mm 以 下 でなければならない。飛 行 中 、ジッパーは 完 全 に閉 まっていなければならない。 スーツ(縫 い目 )の デザインは、“スキージャンプスーツ”のイメージと一 致 していなければならない。 スーツのあらゆる部 分 にお いて、ボディサイズに対 する最 大 許 容 差 6cm とする。 スーツは、少 なくともボディーサイズにする。(ストレッチは禁 止 )スーツの袖 は、グローブに接 触 またはつな がっていてはいけない。ただブーツの上 にスーツを収 めるためスーツ膝 下 は最 大 許 容 差 を 10cm とする。 前 股 下 は許 容 差 なしとする。 と これが基 本 規 則 になっているのですが この他 にも追 加 規 制 なるものがあれこれと定 められています。 例 えば 追加規制 : - スーツへのマーキング(測 定 及 びコントロールのため)を認 める。 - スーツの厚 さは、全 てのパーツで同 一 でなければならない。 - 素 材 やスーツへの、化 学 的 (気 体 、液 体 、固 体 )または機 械 的 処 理 は認 められな い。 ・・・ など 20 以 上 の追 加 規 制 があります。さらに詳 細 分 類 で規 定 があり こちらも一 例 を紹 介 すると 素 材 、生 地 スーツの全 パーツにおいて、素 材 表 面 の構 造 及 び素 材 の構 成 は同 一 でなければならない。唯 一 の例 外 は、同 一 素 材 の色 違 いである。 スーツの厚 さは、4.0mm 以 上 、5.0mm 以 下 でなければならない。 スキージャンプスーツの構 造 は、以 下 から成 る 5 層 ラミネート加 工 である: - アウター生 地 /第 一 層 - フォーム - 弾性膜 - フォーム - 裏地 ・・・ というように全 ての規 則 を理 解 するだけでもかなりの作 業 量 になります。スキージャンプスーツは同 一 素 材 ということですので 切 り替 えパーツによって異 なる素 材 を使 ってはいけないということや空 気 透 過 性 は表 からでも裏 からでも同 じ数 値 のものでなければならないなどということが分 かります。さらにストレッチ素 材 は 禁 止 とあり スキージャンプのウェアがスピードスケートのようなジャストフィットのものにできないことが理 解 できます。風 の抵 抗 値 を考 えればジャストフィットタイプの方 が助 走 スピードが加 速 されると考 えられますが 飛 び出 した後 はある程 度 背 面 部 に空 気 を含 ませて浮 力 を持 たせるパラシュート効 果 を利 用 する方 が安 全 性 が高 く飛 距 離 も出 るのかもしれません。いずれにせよ ジャンプスーツにはストレッチ素 材 は使 われて 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp 2014.1.30 ないということです。 オ リン ピッ ク に 臨 むこ との 難 しさ 競 技 ウェアだけでなくスキー板 ビンディング ヘルメット ゴーグル・・・などす べて用 品 にも規 則 はあります。オリンピ ックのような大 きな大 会 で金 メダルを 獲 った選 手 は世 界 的 に脚 光 を浴 びるのと同 様 に メダリストが使 っている用 品 やウェアも注 目 の的 になるのです。繊 維 業 界 にかかわっている人 たちはウ ェアにも視 線 を向 けて競 技 を楽 しんでもらうのもいいかもしれません。ともあれ ソチオリンピックを充 分 堪 能 したいと思 います。 最 後 に雑 学 ネタですが スキージャンプで使 用 するスキー板 の長 さには身 長 だけでなく体 重 も基 準 の対 象 になります。 スキージャンプスーツ規 則 (FIS 国 際 スキー連 盟 規 則 抜粋) スキーの長 さの上 限 は、選 手 の身 長 の 145%とし、BMI は、女 子 20.5 以 上 、男 子 21 以 上 なければな らない。 ・・・ とあります。健 康 診 断 でお馴 染 みの BMI 指 数 (Body Mass Index) =体 重 (kg) ÷ {身 長 (m) X 身 長 (m)}によってスキー板 の長 さが決 められています。実 は 2006 年 のトリノオリンピックで日 本 人 選 手 が痩 せ すぎで体 重 が不 足 していて失 格 になったことがあるのです。本 人 のミスなのでやむを得 ませんが 競 技 で はなく用 具 が原 因 では悔 やみきれないことだったと思 います。今 回 はそんな失 格 者 がでないことを願 いまし ょう。 原稿担当 竹中 直 (チョク) 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp 2014.1.30 おまけ 前 回 の絞 り染 めT-シャツの作 者 は・・・ 写真1 写真2 写真1 松田 道恵 作 写真2 志田 写真3 恵子 作 写真3 桑田 佑子 作 でした。正 解 者 のみなさま おめでとうございます。正 解 者 多 数 につき以 上 をもって お祝 いに代 えさせてい ただきます。(えっ それだけ~) 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp
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