4. 不動産

4. 不動産
(1) 北 京 オフィス市 場
1.1
2002 年度全般
2001 年 9 月に起こった 9・11 テロ事件後、オフィス需要の減少が心配されたが、2002 年
第 1 四半期には中国 WTO 加盟の影響で外資系の大手金融/保険会社のスペース増床が目
立ち、前四半期より市況が若干好転した。
しかし第 2 四半期より賃貸料は断続的に下がり、需要も予測程伸びなかった。これは世
界的な経済不況をうけたかたちとなり、一部の外資系企業は賃貸スペースの縮小、或いは
グレードの低いビルに移転してコストを削減しようとする動きが見られた。また、2002 年
度の新規オフィスビルの供給量は前年度に比べ大幅に減少し、ここ数年で最小値を記録し
た。同年完成予定であったビルのデベロッパーが、オフィス需要の低迷を考慮して完成を
遅らせているものと考えられる。新たに落成したビルはそれぞれ、国航大廈(Air China
Plaza 旧空港路)
、創新大廈(海淀区、清華大学の投資物件)
、庄勝広場2 期(June Field。SOGO
が入っているビル)等であった。
外資系企業の動向とは反対に、中国系企業によるオフィス増床は年間を通して、安定を
見せ、特にオフィスの購入が引き続き活発であった。また、中関村においてはハイテク/コ
ンピューター関連の企業によるオフィス賃貸が盛況であった。
2001 年/ 2002 年
累積総床面積
供給量(建築面積)
新規成約スペース(建築面積)
平均空室率
平均賃貸料
北京オフィス市場比較
2001 年
4,6000,000
561,038
346,300
20.7%
21.02
149
2002 年
4,900,000
229,376
333,000
17.5%
19.97
年度比較
+6.5 %
-59.1%
-3.8%
-3.2%
-4.3%
1.2
2003 年度展望
今年度のオフィス供給量は前年並みになる予定であり、特にグレード A オフィスビルは
極端に供給が少なく、ルフトハンザセンター東の Sunny Region (瑞城中心)及び東方広場
の第 3 期ビルくらいである。その他にも 2 つのグレード A オフィスビルが金融街(長安街と
西二環路の交差エリア)に完成するが、どちらとも中国系金融/保険企業の自社ビルであり、
賃貸スペースは少ないと予測されている。
賃貸料の動向だが、何か大きなインパクトがない限り、横ばい或いはやや減少の動きと
なりそうである。
(2) 上海オフィス市場
2.1
2002 年全般
世界的な経済停滞にも関わらず、2002 年初めからオフィス需要が増大し、特に外資系の
金融/保険会社の、増床が目立った。またこの減少は年間を通して見られ、通年の新規契
約面積は前年度より多少減少したものの、供給量をはるかに上回る 68,000m2を達成した(北
京の2 倍強)。特筆すべきは、新規契約のユーザーのうちほとんどがスペースを拡大してお
り、ビルのアップグレードも多く見られた。オフィス需要の断続的増加により賃貸料も上
昇し、2001 年度比 4%強upとなった。また、空室率は 5.6 ポイント下がり 9.6%となり 10%
を切った(2000 年度末=22.8%%)
。
賃貸料が断続的にに上昇していく好調のオフィスビル市場の下、多くのデベロッパーが
ビルの完成時期を前倒しにさせ、計 6 棟が落成した。特に、1995 年から建設を始めた香港
新世界大厦(Hong Kong New World Tower)は 90 年代末の上海オフィス市場の低迷をうけ、
完成時期を意図的に遅らさせており、2002 年度 11 月にようやくオープンした。
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2002 年度は約 400,000m2が市場に供給されたが、そのうち浦発大厦(Development
Mansion)を除く 5 つの物件が浦西エリアに集中した。
2002 年度に 落 成 し た ビ ル
名称
ロケーション
規模
落成
Ocean Tower 海洋大厦
延安東路
50,345.17m 2
1月
United Plaza 中欣大厦
南京西路/同仁路
ケリーセンター向かい
66,000
1月
Maxdo Center 万都中心
虹橋エリア
132,680.90
3月
Bund Center 外灘中心
バンド付近
190,000
5月
浦東・Lujiazui
72,958
8月
淮海中路
133,120
11 月
Development Mansion 浦発大厦
Hong Kong New World Tower
香港新世界大厦
2001 年/ 2002 年
上海オフィス市場比較
2001 年
2002 年
年度比較
5,081,815
5,458,059
+7.4 %
供給量(建築面積)
430,079
406,244
-5.5%
新規成約ス ペ ー ス (建築面積)
714,153
682,384
-4.4%
15.2%
9.6%
-5.6%
19.6
20.4
+4.3%
累積総床面積
平均空室率
平均賃貸料
(US$ /m2/月)建築面積あたり、管理費別
2.2
2003 年度展望
今年度落成 す るグレードAオフィスビルは非常に少なく、シャングリラホテル側の
Aurora Plaza(台湾の大型オフィス家具会社 震旦 の物件、5 月オープン予定)
、人民広
場側のRaffle City(シンガポール有力デベロッパー CapitaLand の物件、11 月オープン
予定)だけである。
現在ロケーションの良いビルでは既に空きスペースがほとんど無く、まとまった大きさの
スペース(500m2以上)の確保が困難になって来ている。今年度のオフィス需要は、前年と
同じように順調に伸びていく事が予測されるため、賃貸料の上昇は避けられないであろう。
また、浦西・浦東ともに 2004 年度末まで(浦西は 2005 年度末まで)新規のオフィスビルが
非常に少ない事から、今後賃貸料の高騰が心配される。
*資料出所:CB Richard Ellis Global Research & Consulting Department
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