アジア・マンスリー / 2016年 10月号

審査番号: 161004-A2
アイザワ証券 投資リサーチセンター
Asia Monthly アジア・マンスリー / 2016年10月号 (2016年10月10日発行)
(今月号は 9 月 30 日時点の情報を基に作成しています。)
中 国 で本 格 化 してきた合 併 ・再 編
CONTENTS ● 中国
2~5
中国経済・政策動向
― 明松 真一郎
中国は、これまで長期に亘ってお題目のように過剰生産業種の再編
淘汰の必要性を強調しているものの、一向に進展しないという状況が続
中国株の業種別動向
いていた。しかし、直近になってようやく具体的に動きが出始めている。
勢いづく中国のIT関連株
ここ最近の中国におけるいくつかの動きと、今後予想される展開につい
● コラム
5
て探ってみたい。
不動産バブル?
中国では、昨年6月に、中国の2大鉄道車両製造会社である中国南
~「駆け込み離婚」が急増する中国~
車と中国北車が合併したことを皮切りに、大型合併が相次いでいる。そ
して、今年8月には、中国国務院が、中国の建材メーカー最大手の中
● グローバル
6~7
国建材と第2位の中国中材の合併を認可した、と発表した。完了すれ
中国の半導体 5 兆円投資がもたらす
ば、合併後の新会社は世界最大のセメント生産能力を持つ巨大企業と
影響
● 銘柄研究
なる。また、今年9月22日には、中国鉄鋼大手の宝山鋼鉄と武漢鋼鉄の
8~10
ギャラクシー・エンターテイメント・
統合が正式に承認された。この案件は、今年6月末から再編に向けて
協議が進められてきたものだが、ようやく合併案がまとまった。両社の粗
鋼生産能力を単純合計すれば、合併後の新会社は、世界第2位の生
グループ
産能力を持つ鉄鋼会社となる。
メディア・ヌサンタラ・チトラ
コテコンズ建設[コテコンズ・コンストラクション]
9月4日に中国が議長国として開催されたG20サミットは終了したが、
習近平国家主席は、世界の市況に配慮することの重要性を強調した。
● 経済統計&ランキング
主要株価指数
NYダウ工業株30種
日経平均225
上海総合指数
香港ハンセン指数
香港H株指数
韓国総合株価指数
台湾加権指数
シンガポールST指数
FTSEブルサマレーシア KLCI指数
タイSET指数
ジャカルタ総合指数
フィリピン総合指数
ベトナムVN指数
イスラエルテルアビブ25種指数
11
今後も中国では驚くような大型合併や再編の話題が出てきそうだ。
2015年12月末 2016年9月末
17,425.03
19,033.71
3,539.18
21,914.40
9,661.03
1,961.31
8,338.06
2,882.73
1,692.51
1,288.02
4,593.01
6,952.08
579.03
1,528.74
*時価総額は各国・各地域の市場全体の時価総額を記載
18,308.15
16,449.84
3,004.70
23,297.15
9,581.93
2,043.63
9,166.85
2,869.47
1,669.64
1,483.21
5,364.80
7,629.73
685.73
1,442.93
年初来
時価総額
為替レート(9月30日)
実績PER
騰落率
(百万米ドル)
1ドル= 101.350 円
5.07%
17.62
24,340,527
―
-13.58% 20.48
5,129,750
1元=
-15.10% 17.48
6,387,253
15.177 円
6.31%
12.60
4,065,991 1香港ドル= 13.074 円
-0.82%
8.21
4.20%
18.84
1,338,321 100ウォン=
9.196 円
9.94%
17.10
987,484 1台湾ドル=
3.233 円
-0.46%
12.06
487,822 1シンガポールドル= 74.350 円
-1.35%
18.06
393,101 1リンギット= 24.419 円
15.15%
19.55
403,647 1バーツ=
2.929 円
16.80%
26.51
441,433 100ルピア=
0.777 円
1ペソ=
9.75%
21.36
260,454
2.085 円
100ドン=
18.43%
16.34
73,532
0.455 円
1シェケル=
-5.61%
15.36
158,034
27.056 円
[出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly 2
中国 経済 中 国 経 済 ・政 策 動 向
― 柳 林
8月の中国の生産者物価指数(PPI)は前年同期比
(%)
-0.8%と市場予想以上に下落率が縮小し、2012年以
15
降続いたデフレからの脱却がいよいよ見えてきた。各
10
産業のデータを見ると、8月の鉄道貨物輸送量は昨年
5
の2桁減からプラスに転じ、工業の電力消費量は同
0
5%減から5%増に改善したほか、建設・投資部門の
注目指標である大型トラックと油圧ショベルの出荷台
数もそれぞれ前年同期比67%増、45%増に急回復し
中国の主な経済指標の伸び率(年初累計ベース)
-5
-10
た。また、1~8月の年初累計ベースでは、工業部門の
-15
企業利益や不動産投資金額、新車販売台数(乗用・
-20
商用車合計)などの経済指標も軒並み改善している。
-25
工業部門の企業利益
工業の電力消費量
鉄道貨物輸送量
生産者物価指数(PPI)
不動産投資金額
新車販売台数(乗用・商用車合計)
[出所:WIND、アイザワ証券作成]
上記の経済指標のうち、中国経済にとって不動産投資金額はとりわけ重要だ。今年1~8月、国内住宅販売
の好調を受け、新築住宅不動産の販売面積は前年同期比26%増と高い伸びを見せた。物件の着工と建設活
動を示す不動産投資金額は、不動産販売に1年以上遅行する傾向があるため、好調な不動産販売を考慮する
と不動産投資金額は少なくとも来年前半まで堅調な伸びを維持するだろう。現在、中国の製造業は在庫調整
や過剰生産能力の削減などで設備投資に慎重な姿勢を見せており、不動産投資は今後も製造業の落ち込み
を補う形で中国経済を下支えする見通しだ。一方、過剰生産能力の削減について、鉄鋼業界では9月末時点
で年間目標(4500万トン)の約8割を達成した模様だ。業界内では宝山鋼鉄と武漢鋼鉄の合併に続く大型合併
も噂されており、過剰生産能力の削減は予想以上のペースで進んでいる可能性がある。今後、過剰生産能力
の削減によって製造業の需給バランスが改善すれば、デフレ脱却や企業業績の回復は一段と加速しそうだ。
中 国 株 の業 種 別 動 向
― 王 曦
/ 9 月の香港市場は 2 ヵ月連続で年初来高値を更新
9月の香港市場は、ファンダメンタルズの改善と中国本土からの資金流入を背景に主要株価指数が2ヵ月連
続で年初来高値を更新した。香港ハンセン指数と香港H株指数の月間騰落率はそれぞれ前月比+1.4%、
+0.4%となっており、工業部門の企業利益が高い伸び率を示したことで幅広い業種が買われた。また、8月17日
に上海・香港間株式相互取引の投資総額の上限枠が撤廃されて以降、中国本土から香港市場への資金流入
が加速し、香港メインボードの1日あたり平均の売買代金は738億香港ドルと今年最高の水準を記録した。
アイザワ中国株業種別指数(ACSI)(注)の業種別月間騰落率(次頁下図参照)を見ると、9月は「娯楽・カジ
ノ」や「石炭」、「IT」といった業種の株価上昇が目立った。このうち「娯楽・カジノ」は、8月のマカオのカジノ業収
入が約2年2ヵ月ぶりにプラス成長に転じたことでSJMホールディングス(香港:880)やサンズ・チャイナ(香港:
1928)、ギャラクシー・エンターテイメント・グループ(香港:27)など、カジノ関連株に対する業績の底打ち観測が
高まって株価の上昇要因となった。また、「石炭」は減産効果によって一般炭の価格が年初から約5割上昇した
ことを受けて、中国政府は大手石炭企業に対して生産量に上限を設けて増産を認めたことが好感され、中国神
華能源(香港:1088)などの銘柄が買われた。そして、「IT」は中国最大のIT銘柄であるテンセント(香港:700)に
中国本土資金が流入したため、テンセントの株価上昇はITの業種別指数のみならず、香港ハンセン指数の押し
上げ要因にもなった(テンセントは香港ハンセン指数の構成ウェートの約10.4%を占めている)。一方、株価が下
落した「公益事業(ガス供給・エコ発電)」は政策リスクの高まりが株価の売り材料になったと思われる。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
3
Asia Monthly 中国 経済 / 10 月は業績の改善が期待できる「鉄鋼」と「石炭」、「娯楽・カジノ」などに注目
8月末に発表された中間決算で、「鉄鋼」と「石炭」関連銘柄は原材料コストの低下や販管費の削減、不採算
生産拠点の閉鎖などによって業績が改善し始めていることが確認されたが、7月以降も業績の回復基調は続い
ているようだ。9月27日に発表された工業部門の企業利益を見ると、8月の伸び率は前年同期比19.5%増と約3
年ぶりの高い伸び率を見せ、7月の同11%増に続いて企業利益の改善傾向が鮮明になっている。また、業種
別では鉄鋼と石炭、石油化学(石油精製のみ)、自動車の伸び率が特に大きく、中国政府が推進している過剰
生産能力の削減が企業利益の改善に寄与し始めていることを示唆した。
現在、鉄鋼業界では大手メーカーである宝山鋼鉄(上海A:600019)と武漢鋼鉄(上海A:600005)の合併に
続いて、アンガン・スチール(香港:347)と本鋼板材(深センB:200761)の合併の可能性が報じられているなど、
国内で数十社ある大手鉄鋼メーカーの間で再編・合併の機運が高まっている。今後、大手鉄鋼メーカーの再
編・合併に加えて、中小鉄鋼メーカーの統合・整理が進めば、過剰生産能力削減に伴う鋼材価格の上昇と鉄
鋼メーカーの業績改善が見込まれよう。また、石炭業界では減産や鉱山閉鎖などに向けた取り組みが功を奏し、
石炭価格が急騰したことを受けて、中国政府は早くも中国神華能源などの企業に対して生産量に上限を設け
た上で増産を認可した。これから年末を迎えるのにあたって、冬季の暖房需要により石炭需要が増加する可能
性も考えられるため、石炭価格は当面強含みに推移すると予想される。こうした足元の状況を考慮すると、「鉄
鋼」と「石炭」関連銘柄の株価はまだ上値余地があると見て良いだろう。
一方、「鉄鋼」と「石炭」以外の業種では、8月から「娯楽・カジノ」の業績回復期待が高まっている。2013年以
降、中国で始まった汚職撲滅の動きによって、マカオのカジノ業収入は約2年2ヵ月にわたってマイナス成長を
強いられたが、2016年の8月にプラス成長に転じたことが確認された。サンズ・チャイナやギャラクシー・エンター
テイメント・グループなどのカジノ企業は、リゾート開発によって観光客や一般カジノ客の誘致に力を入れており、
今後観光客の増加に伴ってカジノ関連銘柄の業績は徐々に改善に向かう可能性がある。「娯楽・カジノ」は業
績改善の兆しが出てきたばかりだが、今後の動向を注意深く見守っていきたい。
(注):アイザワ中国株業種別指数(ACSI)の構成については11ページをご覧下さい。
20
(%)
アイザワ中国株業種別指数の月間騰落率 (2016年9月)
14.1
15
12.1
10
5.6
5
1.4
0.4
娯楽・
カジノ
石炭
IT
証券
一般素材
保険
小売
香港ハンセン指数
家電
食品
医薬品
香港H株指数
電力
不動産
石油化学
銀行
非鉄金属
産業用設備
鉄鋼
輸出関連
陸運
機械
自動車
通信
ホテル・
その他サービス
新エネルギー
インフラ建設
日用品
-2.6
電子機器
-10
-2.8
上海総合指数
空運
-5.4 -5.4
海運
-5
公益事業
0
[出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly 4
中国 トピックス 勢 いづく中 国 のIT関 連 株
― 柳 林
/ テンセントの時価総額はアジア市場で最大に
9月、中国の大手IT企業であるテンセント(香港:700、以下同社)の時価総額はついに2兆香港ドル(約2600億
米ドル)を超え、チャイナ・モバイル(香港:941)やアリババ・グループ(米国:BABA)、中国工商銀行(香港:
1398)、サムスン電子(韓国:005930)、トヨタ自動車(日本:7203)などを抜いて、アジア市場で最大の時価総額
を誇るようになった。同社の2016年4~6月期の売上高は前年同期比52%増、純利益は同47%増と過去最高の
伸び率を記録し、上場後12年連続で最高益を更新し続けている。好業績を背景に、テンセントの株価は年初か
ら約4割上昇し、2004年上場当時のIPO価格の260倍にもなった。また、テンセント以外にも、アリババ・グループ
(米国:BABA)、バイドゥ(米国:BIDU)、JDドットコム(米国:JD)、Cトリップ・ドットコム(米国:CTRP)、ネットイー
ズ(米国:NTES)、シナ・コープ(米国:SINA)ら中国IT大手7社の株価は今年に入ってから勢いづいており、そ
の売上総利益も年々伸び続けている(下図参照)。
中国IT大手7社の時価総額の推移
中国IT大手7社の売上総利益の推移
(億米ドル)
(億元)
8000
7000
シナ・コープ(米国:SINA)
アリババ・グループ(米国:BABA)
7000
ネットイーズ(米国:NTES)
6000
テンセント(香港:700)
6000
Cトリップ・ドットコム(米国:CTRP)
JDドットコム(米国:JD)
5000
バイドゥ(米国:BIDU)
4000
5000
JDドットコム(米国:JD)
4000
バイドゥ(米国:BIDU)
Cトリップ・ドットコム(米国:CTRP)
3000
アリババ・グループ(米国:BABA)
2000
2000
テンセント(香港:700)
3000
ネットイーズ(米国:NTES)
シナ・コープ(米国:SINA)
1000
1000
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
0
[ 出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
2010
2011
2012
2013
2014
2015
※2016年以降はブルームバーグ予想
0
2016予
2017予
2018予
2019予
[出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
/ IT株の好調は新興経済の成長と構造転換の進展を示唆
2010年以降、中国の景気減速に伴って投資過剰や不良
債権などの中国リスクが大きく取り沙汰されてきたが、経済
構造転換の進展によって新興経済が急成長しているという
主な中国株指数の時価総額ウェート
MSCIチャイナ指数
1 テンセント
香港ハンセン指数
11.2% テンセント
香港H株指数
10.4% 中国銀行
10.2%
事実はあまり注目されていない。テンセントのみならず、Eコ
2 アリババ・グループ
8.0% HSBC
3 チャイナ・モバイル
7.0% AIAグループ
マース業界の巨頭であるアリババ・グループの4~6月期決
4 中国建設銀行
5.6% チャイナ・モバイル
8.1% 中国平安保険
8.4%
算も売上高が前年同期比59%増、営業利益が同71%増と
5 バイドゥ
5.2% 中国建設銀行
7.4% 中国人寿保険
6.0%
6 中国工商銀行
4.3% 中国工商銀行
4.7% シノペック
5.7%
好調で、株価は年初から約30%上昇している。テンセントと
7 中国銀行
3.4% 中国銀行
3.7% ペトロチャイナ
4.3%
8 中国平安保険
2.6% シーケー・ハチソン
3.5% 中国農業銀行
3.3%
9 中国海洋石油
2.2% 香港交易所
3.1% 招商銀行
3.0%
見極める上で非常に有効な指標であるだけに、両社の好
10 中国人寿保険
1.9% 中国平安保険
2.8% 中国太平洋保険
2.8%
業績は中国の経済構造転換が予想以上に進んでいること
11 シノペック
1.7% 中国海洋石油
2.2% PICC
2.3%
12 ペトロチャイナ
1.5% チョンコン・プロパティー
2.0% 中国民生銀行
2.2%
を示唆している。また、中国本土市場ではベンチャー企業
13 中国海外発展
1.3% CLPホールディングス
2.0% チャイナ・テレコム
2.2%
14 Cトリップ・ドットコム
1.2% サンフンカイ・プロパティーズ 2.0% 交通銀行
2.1%
も活況を見せており、深セン創業ボード(536社)と深セン中
15 招商銀行
1.2% 中国人寿保険
2.0% 中国神華能源
2.1%
小企業ボード(789社)の上半期純利益はそれぞれ前年同
16 中国太平洋保険
1.0% シノペック
1.9% 中信銀行
1.8%
17 ネットイーズ
1.0% リンクREIT
1.7% シノファーム・グループ
1.8%
期比49%増、同13%増と好調に推移している。今後、有力
18 JDドットコム
1.0% ホンコン&チャイナ・ガス
1.5% 海通証券
1.4%
19 中国農業銀行
0.9% ペトロチャイナ
1.4% 中国交通建設
1.4%
20 チャイナ・ユニコム
0.8% ハンセン銀行
1.4% 中信証券
1.3%
アリババ・グループの業績は中国の消費・サービス動向を
な新興企業に対する注目度が高まるのにつれて、中国の
IT株の活況はまだまだ続くことになりそうだ。
10.0% 中国建設銀行
9.9%
8.1% 中国工商銀行
9.7%
[ 出所:ブルームバーグ、WIND、アイザワ証券作成]
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
5
Asia Monthly 中国 トピックス / 新興経済の成長で MSCI チャイナ指数の注目度高まる
テンセントとアリババ・グループ、そして深センの創業・中
小企業ボードに上場している新興企業の多くは、重厚長大
型の伝統産業と違って、中国のサービス・消費の方向性を
(倍)
25
MSCIチャイナ指数の予想PERの推移
MSCIチャイナ指数(民間企業)
20
MSCIチャイナ指数(国有企業)
MSCIチャイナ指数(全体)
15
反映する新技術や新業態を成長の源泉としているため、近
年経済の牽引役として急速に台頭している。ブルームバー
10
グの統計では、中国IT大手7社の売上総利益は2010年時
5
点で350億元程度だったが、2016年には約8.4倍の2937億
元、2019年には約16.5倍の5785億元に急拡大すると予想さ
0
れている(前頁右上図参照)。
一方、株式市場では中国の経済構造転換を反映するこう
[出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
したIT株を高く評価しており、例えば香港ハンセン指数におけるテンセントの時価総額ウェートは10.4%とHSBC
(香港:5)を上回り、MSCIチャイナ指数においても時価総額ウェートは11.2%とトップに躍り出ている(前頁右下図
参照)。また、今年5月からアリババ・グループやバイドゥなど海外上場の大型IT株(米国ADR)もMSCIチャイナ指
数に組入れられるようになった。その結果、従来はエネルギー、銀行、素材を中心とする香港H株指数が主要株
価指数として見られていたが、直近ではITや消費関連の比重が大きいMSCIチャイナ指数のほうが中国経済の
変化を反映する指数として注目を集めている。MSCIチャイナ指数の中でも、高成長の民間企業の予想PERは
20倍超に上昇しており、低成長の国有企業(予想PER10倍未満)との間で投資家の評価が鮮明に分かれている
(右上図参照)。今後、中国の経済構造転換が進捗するのにつれて、民営企業の存在感がますます高まると予
想され、テンセントをはじめとする有望な民営企業の業績動向を注意深く見守っていきたい。
コラム:
不動産バブル? ~「駆け込み離婚」が急増する中国~ ― 姚 莉
8月末から、上海など一部の大都市で「駆け込み離婚」が急増している。現地の新聞や報道機関
によると、8月29日、上海各区の離婚登記所の前に早朝7時から100人を超える長い列ができ、離婚
を求める夫婦が押し掛けたと言う。翌日の30日になっても、騒ぎがやまず、各役所は対応に追われ
ていた。上海で始まった「駆け込み離婚」騒動がすぐに北京、深セン、広州に飛び火し、一部の地
区では対応件数を制限するなど、混乱が続いている。現地の報道によると、この「駆け込み離婚」
は、なんと、住宅ローン規制をくぐり抜けるための戦略離婚だった。SNS上で、不動産市場の過熱を
抑えるために、上海市当局は9月からより厳しい住宅ローン規制を打ち出すという噂が広がり、なんと
してでも8月中に離婚手続きを済ませたいと「駆け込み離婚」が殺到した。
実は中国では、このような「偽造離婚」ブームは不動産引締め策が打ち出される度に起こってい
る。上海統計年鑑のデータによると2006年~2011年の間、上海市の離婚件数は概ね年間4.7万件
で安定していたが、2011年以降の不動産引締め策の影響で2012年に5.3万件、2013年に7万件、
2014年に6.2万件と急増した。打ち出された不動産引締め策の多くは、投機目的の購入を抑えるた
めの規制ではあるが、不動産市場の過熱化を抑えるのに効果的とは言えない。例えば、2013年の
規制では2軒目の住宅を売却した際に20%のキャピタルゲイン税を課し、2015年の規制では2軒目
以降の住宅ローンの頭金比率を最大7割にするなど、世帯ごとの2軒目以降の住宅の売買に特に厳
しいのだ。離婚して“独身”となれば、厳しい条件を免れ節税効果も絶大なため、こうした「偽造離
婚」が相次ぐわけだ。
今回の上海発の規制強化説は最終的に政府当局が否定したことで、SNSによって流されたデマと
判明したが、不動産価格の急騰が続く限り、引締め策の抜け穴を狙う「偽造離婚」がまだまだ出てき
そうだ。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly 6
グローバル トピックス 中 国 の半 導 体 5 兆 円 投 資 がもたらす影 響
― 明松 真一郎
中国政府は、半導体市場における国内企業を育成して半導体を中国国内における基幹産業に育成すべく、
投資強化の方針を示してきた。2014年6月には、「国家IC産業発展推進ガイドライン」を発表し、総額4兆円を投
資して半導体の国産化を目指していたが、直近9月11日に、2020年までの5年間で総額5兆円規模の半導体投
資を行なうと発表。この中国の半導体巨額投資計画が、中国及びグローバル半導体市場に対してどのような影
響をもたらすのか、考えてみたい。
/ 5 兆円半導体投資が発表された背景
このたび中国政府が5兆円規模の半導体投資計画を発表した背景について考えてみよう。もともと、中国は
液晶テレビやノートパソコンなど多くの電気製品の一大生産工場であるにも関わらず、それらの中核部品である
半導体デバイスの自給率は低く、2015年の中国税関統計によると、主要な半導体デバイスである「集積回路
(IC)」の輸入額は約25兆円と、石油を抜いて中国にとって最大の輸入品目となった。外貨流出を防ぐという観
点からも、中国にとって半導体の内製化は急務になっているといえよう。
とはいえ、中国の半導体メーカーは、世界市場全体からみればかなり小さい規模だ。下表に示したリストは、
2016年上期(1~6月)の世界の半導体売上高上位20社だが、中国企業はこのなかに1社も名を連ねていない。
今後、ある程度の規模にまで拡大させることができなければ、内製化するどころか業界では淘汰される可能性
があり、これからもさらに投資が強化されることになりそうだ。
2016年上期世界半導体売上高トップ20(含ファウンドリー企業) 単位:100万ドル
2015年ランク 2016年上期ランク
企業名
1
1
インテル
2
2
サムスン電子
3
3
TSMC
6
4
ブロードコム
5
5
クアルコム
4
6
SKハイニックス
9
7
テキサスインスツルメント
7
8
マイクロン
10
9
東芝
8
10
NXP
13
11
メディアテック
11
12
インフィニオン
12
13
STマイクロ
17
14
アップル
15
15
グローバルファウンドリー
14
16
ルネサス
18
17
エヌビディア
16
18
ソニー
19
19
UMC
22
20
アドバンストマイクロ
ティッカー
国
半導体売上高
INTC
米国
26,071
005930
韓国
19,666
2330
台湾
13,003
AVGO
米国
7,280
QCOM
米国
7,190
000660
韓国
6,446
TXN
米国
5,851
MU
米国
5,849
6502
日本
4,932
NXPI
米国
4,589
2454
台湾
3,930
IFX
ドイツ
3,620
STM
スイス
3,299
AAPL
米国
2,910
CHRT
米国
2,810
6723
日本
2,781
NVDA
米国
2,592
6758
日本
2,260
2303
台湾
2,177
AMD
米国
1,859
[出所:IC Insights、アイザワ証券作成]
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
7
Asia Monthly グローバル トピックス / 中国国内での新たな動き
政府の強力な後押しを武器に、中国の半導体関連企業が勢力拡大に向けた動きを鮮明にしている。そのな
かで中心になっているのは紫光集団(未上場)で、米国、台湾、中国国内などの関連企業や関連事業への出
資、M&Aなどの動きを加速させている。実際同社の趙偉国董事長は、2015年末に行われたメディアへのインタ
ビューで、「今後5年間で3000億元(約4.6兆円)を投資して、インテル、サムスン電子に次ぐ世界第3位の半導体
メーカーを目指す」と話した。かなり実現性は乏しいと思われるが、中国の半導体産業振興に向けた大きな流れ
が変わることはないだろう。
そのほか、中国の半導体ファウンドリーメーカーである武漢新芯半導体製造(未上場)は、総額240億ドルの
巨額資金を投じて湖北省の武漢にNAND型フラッシュメモリーおよびDRAMの工場建設を進めている。工場建
設やM&Aの動きだけでなく、実際、中国国内や韓国、日本などから優秀な人材をヘッドハンティングする、とい
う動きが盛んになっているようだ。
世界及び地域別半導体市場規模(2016年と2017年はWSTS予想) 億米ドル
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2014~2017
年率増減率
世界全体
2,995
2,915
3,055
3,358
3,363
3,410
3,515
1.5%
アジア太平洋
1,640
1,629
1,744
1,942
2,018
2,045
2,109
2.8%
米国
551
543
614
693
689
705
730
1.8%
欧州
373
331
348
374
343
343
353
-1.9%
日本
465
429
410
348
312
315
322
-2.6%
[出所:WSTS、アイザワ証券作成]
/ 世界大手企業の事業展開
M&Aや出資などの動きは、中国企業だけの動
きではない。米国の半導体調査企業であるIC
(億米ドル)
半導体市場で成立したM&A総額
120
Insights は 、 同 社 が 発 行 し て い る 「 McClean
Report」の9月更新版において、2016年の半導体
100
産業のM&A規模が9月20日(米国時間)の時点で
80
550億ドル強で、2015年に次いで史上2番目に
60
M&Aが大きい年になることが確定した、と報じた。
今後、年末にかけて新たな大型などが出てくれば、
40
M&Aの年間総額は史上最高額に達する可能性
20
もある。なお、今下期以降では、ソフトバンクによ
0
る米国ARM社の買収、米国アナログ・デバイセズ
による米国リニアテクノロジー社の買収などが実
2010
2011
2012
※2016年は9月20日までの集計分
2013
2014
2015
2016
[出所:IC Insights 、アイザワ証券作成]
施された。中国企業はこれまで何度か試みた米国の大手企業買収にはことごとく失敗してきたが、今後は、先
進技術を持つ台湾のTSMCや韓国サムスン電子なども参加して買収合戦が激化してきそうだ。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly 8
銘柄研究
香港:27/Z5136
銀河娯楽[ギャラクシー・エンターテイメント・グループ]
― 王 曦
業種: 娯楽・カジノ
/ マカオの大手カジノ企業
銀河娯楽[ギャラクシー・エンターテイメント・グループ](以下同社)は
マカオの大手カジノ企業。同社はマカオでカジノ・リゾートの運
営を手掛けており、「スターワールド・ホテル」と「ギャラクシー・
マカオ」、「ブロードウェー・マカオ」などのカジノ・リゾート施設
を保有している。2016年1~6月期の売上構成は、カジノ・娯
楽が90.2%、ホテル・ショッピングセンターが5.9%、建材販売
が3.9%。マカオではカジノ場の運営権は同社を含む6社によ
って寡占されており、その中で同社のシェアは約22%前後と
なっている(2015年のカジノ業収入ベース)。
/ 中間決算はカジノ収入が低迷するも増収増益
2016年1~6月期中間決算は、売上高が前年同期比0.7%
株式データ
2016/9/30 現在
株価
売買単位
時価総額
実績 PER
PBR
52 週高値
52 週安値
業績推移
【連結】
決算期
‘14/12
‘15/12
売上高 前年比 純利益 前年比 1株利益 1株配当
71,753
8.7%
10,340
2.9%
2.44
0.73
50,991 -28.9%
4,161 -59.8%
0.98
0.29
単位:百万香港ドル、ただし 1 株利益、1 株配当は香港ドル
※1 株配当は株式分割・併合等調整済み
株価チャート(週足2015年10月16日~2016年9月30日)
増の255.4億香港ドル、純利益が同26%増の25.6億香港ドル
と増収増益。マカオのカジノ業収入の前年割れが続くなか、
1,000
同社のカジノ・娯楽の収入も前年同期比1.6%減の229.9億香
800
港ドルと低迷した。その一方で、ホテル・ショッピングセンター
29.20香港ドル
1000株
1246億5121万香港ドル
29.80倍
2.88倍
30.61香港ドル
19.69香港ドル
株価
(香港ドル)
出来高
(百万株)
900
32
30
700
28
600
26
と建材販売業務の収入はそれぞれ前年同期比45.2%増の15
500
400
24
億香港ドル、同9%増の9.9億香港ドルに成長し、カジノ業務
300
22
の落ち込みをカバーした。また、費用面ではカジノ関連税や
仲介手数料の支出が減少したことで、同社の利益率が上昇し
200
20
100
0
18
て純利益ベースで大きな改善が見られた。2016年下半期、同
社は引き続きカジノ以外のリゾート業務に注力する方針で、
2016年末にコタイ地区の第3期リゾート・プロジェクトの着工を
予定している。
[出所:株式データ、業績推移、株価チャートともに
ブルームバーグなど、アイザワ証券作成]
その他
/ マカオのカジノ業収入に底打ちの兆し
(百万パタカ)
2013年以降、中国政府は官僚の汚職取り締まりやマネーロ
40,000
ンダリングの監視を強化した結果、マカオのカジノ業収入は約
35,000
2年以上にわたってマイナス成長を強いられた。その中でVIP
マカオのカジノ収入(左軸)
前年同期比伸び率(右軸)
80%
60%
40%
30,000
20%
25,000
0%
向けカジノ業務の落ち込みが特に大きく、カジノ各社の業績
低迷につながった。しかしその後、マカオの観光客数が増加
マカオのカジノ業収入の推移
-20%
したのに伴って、賭け金は小さいものの利益率が高い一般人
20,000
向けカジノ業務がカジノ各社の収益の要を担うようになり、マ
15,000
-40%
-60%
カオのカジノ業収入は2016年8月にプラス成長に転じて底打
ちの兆しを見せている。今後、同社のリゾート開発に伴って観
[出所:マカオ博彩監査協調局、アイザワ証券作成]
光客が増加すれば、一般人向けカジノ業務とホテル・ショッピ
ングセンターが業績回復の牽引役になると予想される。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
9
Asia Monthly 銘柄研究
インドネシア:MNCN/Z6591
メディア・ヌサンタラ・チトラ
― 北 野 ちぐさ
業種: 情報・通信
/ インドネシア最大のテレビ・ラジオ放送局
インドネシアで放映されている地上デジタルテレビ放送11チ
ャンネルのうち、RCTI、MNC TV、Global TV、iNewsの4つのチ
ャンネルを運営。プライムタイム(18:00~22:00)の視聴率シェ
アは4チャンネル合計で5割弱を占め、中でもRCTIは22年間連
続でトップの座を維持している。そのほか、子会社を通じて番
組制作や芸能事務所の運営(国内最大規模)、衛生放送MNC
スカイ・ビジョン向けに23の有料チャンネルの運営も手掛ける。
/ しばらくテレビ広告が業界を牽引か
インドネシアにおける2014年の媒体別広告市場シェアは、テ
レビが66%、新聞が20%、インターネットが7%などとなっており、
スマートフォンの普及を追い風にモバイル広告がテレビ広告を
株式データ
2016/9/30 現在
株価
売買単位
時価総額
実績 PER
PBR
52 週高値
52 週安値
2020ルピア
100株
28兆8377億ルピア
24.05倍
3.07倍
2415ルピア
1185ルピア
業績推移
【連結】
決算期
‘14/12
‘15/12
売上高 前年比 純利益 前年比 1株利益 1株配当
6,666
2.2%
1,761
4.1%
126
63
6,445 -3.3%
1,186 -32.7%
84
42
単位:十億ルピア、ただし 1 株利益、1 株配当はルピア
※1 株配当は株式分割・併合等調整済み
株価チャート(週足2015年10月9日~2016年9月30日)
猛追する先進国とは状況が大きく異なっている。市場動向が
出来高
(百万株)
株価
(ルピア)
異なる理由には、インドネシアの通信インフラの整備の遅れや
1,000
2,600
900
2,400
高額な通信料金といった問題が挙げられよう。世界最大の島
800
2,200
700
2,000
600
1,800
かなりの時間を要すると思われ、しばらくテレビが最も効果的な
500
1,600
400
1,400
広告ツールであることには変わりないだろう。
300
1,200
200
1,000
100
800
0
600
嶼国であるインドネシアで、通信インフラが網羅されるまでには
/ 広告需要の増加とコスト管理により安定成長を期待
同社は売上の95%を広告収入が占め、さらに広告の6割を
一般消費財(FMCG)に依存している。一部の業界への偏重は
リスクであるものの、現時点ではプラスに寄与しているようだ。と
いうのは、FMCGは景気変動の影響を受けにくい業界であるこ
[出所:株式データ、業績推移、株価チャートともに
ブルームバーグなど、アイザワ証券作成]
その他
とに加えて、FMCGにおける競争激化が広告需要を押し上げ
ているからだ。インドネシアにおけるプライムタイム30秒のスポ
ットCM料金は5400米ドルと、直近約15年間で約7倍に上昇し
たが、タイの10600米ドル、フィリピンの16400米ドルなどと比べ
て低水準に留まっており、上昇余地は大きいと思われる。
会社側は、①大ヒット恋愛ドラマ「ANAK JALANAN」をはじ
め ド ラ マ 制 作 に 定 評 を も つ 、 ② 「 Indonesian Idol 」 や 「 X
FACTOR」など海外の人気番組のライセンスを複数保有する、
③傘下の芸能事務所所属のタレントを使い番組を自社制作す
(万米ドル)
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
プライムタイム30秒のスポットCM料金
4.00
1.64
1.06
0.66
0.60
0.54
ることで、番組制作費を大幅に低減させることができるといった
強みを生かし、EBITDAマージンを2015年の37%から2018年ま
[出所:メディア・ヌサンタラ・チトラ、アイザワ証券作成]
でに47~48%までに引き上げる計画だ。広告需要の増加とコ
スト管理により一段の収益拡大が期待できそうだ。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly 10
銘柄研究
ベトナム:CTD/Y5361
コテコンズ建 設 [コテコンズ・コンストラクション]
― 姚 莉
業種: 建設
/ 国内大手建設会社
ベトナムの大手総合建設会社4社の一角。居住用マンション
やオフィスビル、工業団地、リゾートホテル、病院など民間施設
の建設を中心に、都市インフラや環境プロジェクトなどの公共
事業も手掛けている。高層ビルの地盤工事及び地下建設工事
の分野では、同社の技術力に定評があり、国内屈指の建設業
者として多数の高層ビルプロジェクトを受注している。近年、ラ
オスやミャンマー、カンボジアなど東南アジア各国への進出も
果たしている。
/ 2016 年 1~6 月期決算は増収増益
2016年1~6月期決算は、売上高が前年同期比86.2%増の
8兆1450億ドン、純利益が同176.7%増の5955億ドンと大幅増
株式データ
2016/9/30 現在
株価
売買単位
時価総額
実績 PER
PBR
52 週高値
52 週安値
259600ドン
10株
12兆7543億ドン
17.58倍
3.44倍
272000ドン
105000ドン
業績推移
【連結】
決算期
‘14/12
‘15/12
売上高 前年比 純利益 前年比 1株利益 1株配当
7,634 23.3%
327 27.3%
7,769
5000
13,669 79.1%
666 103.5% 14,770
5500
単位:十億ドン、ただし 1 株利益、1 株配当はドン
※1 株配当は株式分割・併合等調整済み
株価チャート(週足2015年10月9日~2016年9月30日)
収増益となった。6ヵ月経過した時点で年間計画に対する進捗
株価
(ドン)
出来高
(百万株)
300,000
率は、売上高が49.4%、純利益が74.4%と好調に推移。不動
10
9
280,000
産市場の回復や政府によるインフラ投資の加速を背景に、建
8
260,000
7
240,000
6
220,000
5
200,000
4
180,000
3
160,000
ベトナムでは、経済の高度成長に伴い「都市中間所得層」
2
140,000
1
120,000
や「富裕層」が急拡大し、高品質の住宅やオフィス需要が増加
0
100,000
設需要が増加したことが好業績に貢献した。
/ 旺盛な建設需要で高成長へ
している。加えて、昨年のTPPの加盟や政府による一連の規制
緩和で、外国企業の対越投資が活発化、工場の建設需要も
活況を呈している。
旺盛な建設需要を背景に、同社は今年に入って、大型建設
[出所:株式データ、業績推移、株価チャートともに
ブルームバーグなど、アイザワ証券作成]
その他
プロジェクトの受注を次々と獲得した。ビングループが展開して
いるマンションや病院、学校など5つのプロジェクトを合計1兆
(億ドン)
5230億ドンで受注したほか、6月にベトナム最高層ビルである
140000
「ザ・ランドマークタワー81」の建設工事を受注額6兆ドンで大
120000
林組と共同で受注した。「ザ・ランドマークタワー81」は高さ461
100000
mの81階建の超高層ビルで、ホテル、オフィス、ショッピングセ
ンターなどを含む複合施設となる。大型契約を受注したことに
よって、同社の6月末時点の受注残高は前年同期比62%増の
24兆5000億ドンに達した。豊富な受注残が今後の収益の押上
げに寄与すると予想される。
コテコンズ建設 売上高推移
80000
60000
40000
20000
0
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
[出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
また、同社の事業戦略としては、技術力と実績を強みに今
後、交通インフラやエネルギーインフラなど公共部門での受注
獲得にも注力していく計画。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
11
Asia Monthly DATA
経済統計&ランキング
/ アジア各国の経済統計 (2016年9月30日現在)
日本
2013
中国
2014
2015
2013
2014
台湾
2015
2013
2014
韓国
2015
2013
シンガポール
2014
2015
2013
2014
2015
実質GDP成長率(%)
1.4
-0.03
0.7
7.7
7.3
6.9
2.2
3.9
0.85
2.9
3.3
2.6
4.7
3.3
2.0
1人当りGDP(米ドル) 38,552 36,156 32,486 6,995 7,626 7,990 21,888 22,288 21,607 25,998 27,970 27,195 55,980 56,287 53,224
外貨準備高(億米ドル) 12,024 11,997 11,790 38,213 38,430 33,300 4,168 4,190 4,260 3,465 3,636 3,680 2,731 2,569 2,477
経常収支(億米ドル)
407
244 1,375 1,482 2,197 2,932 553
654
462
811
844 1,059 541
532
576
鉱工業生産(%)
消費者物価指数(%)
政策金利(%)
2016年
7月
2016年
8月
2016年
9月
2016年
7月
-4.20
-0.40
―
4.60
-0.50
―
タイ
―
―
―
6.00
1.80
4.35
2013
2014
2015
2013
2016年
8月
2016年
9月
6.30
―
1.30
―
4.35
4.35
マレーシア
2014
2015
実質GDP成長率(%)
2.7
0.7
2.8
4.7
6.0
5.0
1人当りGDP(米ドル) 6,148 5,889 5,742 10,809 11,050 9,557
外貨準備高(億米ドル) 1,673 1,571 1,565 1,305 1,118 914
経常収支(億米ドル)
-52
154
348
113
145
87
2016年
7月
2016年
7月
2016年
8月
2016年
9月
2016年
7月
-0.31 7.74
―
1.23 0.57
―
1.375 1.375 1.375
インドネシア
2013
2014
1.60
0.70
1.25
2015
2016年
8月
2016年
9月
2.30
―
0.40
―
1.25
1.25
フィリピン
2013
2014
2015
2016年
7月
2016年
8月
2016年
9月
-3.60
-0.70
―
0.10
-0.30
―
ベトナム
―
―
―
2013
2014
2015
5.6
5.0
4.8
7.1
6.1
5.8
3,676 3,532 3,362 2,770 2,844 2,858
994 1,119 1,059
832
795
807
-291 -275 -178
114
108
84
5.4
6.0
6.5
1,902 2,051 2,088
259
342
283
78
93
28
2016年
8月
2016年
9月
2016年
7月
2016年
8月
2016年
9月
2016年
7月
2016年
8月
2016年
9月
2016年
7月
2016年
8月
2016年
9月
2016年
7月
2016年
8月
2016年
9月
3.10
0.29
1.50
―
0.38
1.50
4.10
1.10
3.00
―
1.50
3.00
―
―
3.00
―
3.21
5.25
―
2.79
5.25
―
3.07
5.00
―
1.90
3.00
―
1.80
3.00
―
―
3.00
7.20
2.39
6.50
7.30
2.57
6.50
7.60
3.34
6.50
鉱工業生産(%)
-5.10
消費者物価指数(%) 0.10
政策金利(%)
1.50
※ データに一部予想を含む
[出所:IMF、ブルームバーグ、アイザワ証券作成]
/ アイザワ証券 アジア株売買代金上位ランキング (2016年9月1日~9月30日統計)
アジア株式(買い手口)
順位 ティッカー
1
VNM
銘柄名
ベトナム乳業 (ビナミルク)
[ベトナム・デイリー・プロダクツ]
2
MIKA
ミトラ・クルアガ・カヤセハット
3
700
騰訊 [テンセント・ホールディングス]
アジア株式(売り手口)
終値
140000
市場
騰落率
ベトナム
31.2%
2790 インドネシア
213.00
香港
順位 ティッカー
1
銘柄名
JAS
ジャスミン・インターナショナル
38300
ベトナム
17.8%
5
WIKA ウィジャヤ・カリヤ
6
TWZ
TWZ Corp PCL
ART
0.33
タイ
37.5%
6
匯豐控股
[HSBCホールディングス]
57.15
香港
-7.7%
7
中国銀行(香港) [BOCホンコン]
26.20
香港
13.4%
8
シンガポール
17.2%
9
11
KBC
12
GL
15
THAI
タイ国際航空
23.60
タイ
156.5%
BVH
バオ・ベト・ホールディングス
70900
ベトナム
33.8%
香港
28.6%
ベトナム
31.2%
6.1%
10
2007
11
VNM
グループ・リース
35.00
タイ
92.3%
12
LPPF
4.6%
13
954
17.8%
14
14
TLKM テレコムニカシ・インドネシア
38300
ベトナム
4310 インドネシア
39.4%
15
-3.8%
34.2%
45.0%
2870 インドネシア
シンガポール
1.14
韓国
ベトナム
ベトナム外商銀行
[ベトコムバンク]
6.1%
883000
19000
PGAS ペルサハーン・ガス・ネガラ
アスコット・レジデンス・トラスト
2800 インドネシア
035420 Naver[ネイバー]
キンバックシティグループ
13
VCB
2800 インドネシア
0.2%
1.80 マレーシア 18.9%
VCB
WIKA ウィジャヤ・カリヤ
香港
5.09
セブン-イレブン・マレーシ
ア・ホールディングス
5
10
114.9%
中国石油天然気 [ペトロチャイナ]
SEM
0.38
香港
857
4
9
38
3
32.4%
リッポ・モールズ・インドネシ
LMRT
ア・リテール・トラスト
122.2%
39.7%
ベトナム
2388
タイ
2382
44500
8
7.20
2
ベトナム外商銀行
[ベトコムバンク]
5
騰落率
16.3%
ビングループ
7
市場
舜宇光学科技(集団)
[サニーオプチカル・テクノロジー]
VIC
4
終値
碧桂園控股
[カントリー・ガーデン・ホールディング
ベトナム乳業 (ビナミルク)
[ベトナム・デイリー・プロダクツ]
マタハリ・デパートメント・ストア
CHANGMAO BIO
18475 インドネシア
香港
17700 インドネシア
ペトロベトナム化学肥料 [ペトロベ
トナム・ファーティライザー・アンド・ケミカル]
☆終値は現地通貨 ☆騰落率は年初来
140000
1.20
UNTR ユナイテッド・トラクターズ
DPM
4.09
28500
ベトナム
5.0%
14.3%
4.4%
-2.1%
(2016 年 9 月 30 日現在のデータ)
☆アジア株売買代金上位ランキングは当社取扱いのアジア株式市場(香港、中国 B 株、上海 A 株を含む)すべてを対象としています。
(注)アイザワ中国株業種別指数(ACSI)は、アイザワ証券が独自に作成した大分類 8 区分 30
の業種別指数です。当指数は、香港市場と中国本土の上海 B 株および深セン B 株市場から中国
関連銘柄を選定し、構成銘柄の浮動株時価総額の加重平均で算出しています。2016 年 5 月 1 日
時点で選定した 306 銘柄の浮動株時価総額は約 6.6 兆香港ドルに上っており、海外から直接投
資できる主な中国株をカバーしています。当指数は不定期に構成銘柄の調整を行うことがあり
ますのでご留意ください。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認の程、宜し
くお願いいたします。
Asia Monthly 12
各市場の取引時間(日本時間)
日本(東証)
中国
香港
9:00~11:30
10:30~12:30
10:30~13:00
12:30~15:00
14:00~16:00
14:00~17:00
マレーシア
タイ
インドネシア
台湾
韓国
10:00~14:30
9:00~15:30
フィリピン
シンガポール
10:00~18:00
ベトナム
10:00~13:30
12:00~14:30
月~木
金
10:30~13:00
11:00~13:30
15:30~18:00
16:30~18:30
11:00~14:00
15:30~18:00
11:00~13:30
16:00~18:00
14:30~16:30
15:00~17:00
イスラエル
16:45~24:15
(現地サマータイム時)
15:45~23:15
外国株投資の主なリスクと留意点
株価・為替の変動リスク:
株式は株価の変動等により、損失が生じるおそれがあります。外国株式は、為替の変動等により、損失が生じ
るおそれがあります。
時価総額リスク:
時価総額による企業の社会的信用度、規模の把握をお勧めします。小型株は、流動性の低さ/企業の情報開示
/コーポレートガバナンス等に問題がある場合があります。また、客観的投資情報が不足しているため、投資
対象として安全なのは、情報量が豊富で、時価総額の大きな代表企業と思われます。
政策リスク:
突発的な政情変化や政策変更など、また、各国の慣習や文化などの違いにご注意ください。
会計基準変更リスク:
国や企業により会計基準が違いますので、ご注意ください。
投資家の皆様へ
■
■
■
■
■
本資料に掲載されている情報は、信頼できると思われる情報に基づいて作成時点での見解で作成しておりますが、これらによって
生じるいかなる損害や不利益について、当社では責任を負いかねます。
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、情報の被提供者自身による判断でお
決め下さい。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論
は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更されます。
本資料に掲載されている外国株の情報は、日本の金融商品取引法に基づく企業内容の開示は行われておりません。
本資料に掲載されている事項は、目的や手段の如何に関わらず、当社の許可なく、転用、複製、販売することを禁じます。
執筆担当者またはアイザワ証券と本資料内対象企業との間には、重大な利益相反の関係はありません。
お客様にご負担いただく外国株式委託手数料等について
(1)委託取引の場合
外国証券の外国取引にあたっては、取引口座に応じて以下の委託手数料(税込)をいただきます
対面口座: 売買代金に対し、最大 0.8640%(2,700 円に満たない場合は 2,700 円(買付けの場合のみ))
インターネット口座 「ブルートレード」: インターネット発注 2,160 円/コールセンター発注 4,320 円(上海 A 株・米国株・欧州株・イスラエル株はコ
ールセンター発注のみ)
コンサルティングネット口座「アイザワプラス」: インターネット発注 6,480 円/コールセンター発注 12,960 円(上海 A 株・米国株・欧州株・イスラエ
ル株はコールセンター発注のみ)
(2)国内店頭取引の場合
外国証券の国内店頭取引の場合は、所定の手数料相当額を含んだお客様の買付け及び売却の単価を当社が提示いたします。
※
※
※
外国証券の外国取引にあたっては、外国金融商品市場等における売買手数料及び公租公課その他の賦課金が発生します。外国取引に係
る現地諸費用の額は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定されますので、本書面上その金額を予め記載することができません。
外国証券の売買、償還等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替レートによるものと
します。
本資料等でご紹介する商品等の勧誘を行う場合があります。
金融商品取引法に基づく表示事項
■ 本資料をお客様にご提供する金融商品取引業者名等
商 号 等 : 藍澤證券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 6 号
(本社)東京都中央区日本橋 1-20-3
加 入 協 会:日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会
当社が契約する特定第一種金融商品取引業務に係る指定紛争解決機関
:特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センター(略称:FINMAC)