心臓血管外科領域におけるZipLineを用いた手術創閉鎖 た異常は認められなかった。全症例、真皮縫合を行わ ZipLine を使用してみて ず、Zip のみによる表皮接合であったが、創部離開は 供覧した創部以外にも、心臓血管外科領域手術創と なく、良好な創閉鎖が得られ、Zip の減張力は創閉鎖 して、F-P バイパス術の大腿部および膝窩部、腹部大 に十分であった。 動脈置換術の腹部正中創に使用した。いずれも、供覧 した症例同様に、良好な創部閉鎖が得られ、整容性に 結語 心臓血管外科領域における ZipLineを用いた手術創閉鎖 国立病院機構 横浜医療センター 心臓血管外科 おいても満足する結果が得られた。また、使用に際して 心臓血管外科領域手術創に Zip を用いて閉創した。 行った患者アンケート結果でも、全員が疼痛、不快感を 真皮縫合をおかず、Zip による表皮接合のみで、良好 訴えることはなかった。術当日から2 週間、Zipを貼りっ な創閉鎖、整容性が得られた。 ぱなしとなるため、皮膚トラブルが心配されたが、目立っ 盆子原 幸宏 先生 はじめに Zip サージカルスキンクロージャー (以下、Zip) は米国 ZipLine Medical 社が開発した新しい皮膚接合用テー プである (国内製造販売元 コスモテック社)。 ナイロン製のジッパーが左右に閉められるようになって おり、縦に並べられたジッパーがテープで左右一直線に 固定されている。この構造により、表皮に針糸をかける ことなく、ジッパーを締めることで、直線的な創部が、左 右から、長軸方向に“ 面 ”で圧着される仕組みになっ ている (Fig 1)。その結果、表皮に縫合糸痕を残さず、 Fig 1. ジッパーを締めることで、直線的な創部が、左右から、 長軸方向に “面” で圧着される仕組みになっている。 きれいな創閉鎖を可能にしている。また、抜糸などに伴 う痛みもなく、さらには、表皮に異物の貫通がないこと その後、術後 2日目に、フィルム材、皮膚接合テープ で、創部表層感染を防止する効果も期待できる。 をはがし、創部全体を生食綿球で洗浄し、血餅などを 米国では、主に整形外科領域、ペースメーカー植え 除去した後、再び、皮膚接合テープ貼付、フィルム保 込み術創部などへの臨床使用が行われているが、心臓 護を行う。術後 7日目にフィルム材、皮膚接合テープを 血管外科領域への使用はまだ行われていないとのこと はがし、創部に異常がなければ、再度同様の処置を行 である。 い、退院前にすべてはがし、皮膚接合テープのみを張 今回、われわれは心臓血管外科手術における様々な り直して退院としている。 創部閉鎖に Zipを使用し、良好な結果を得たので供覧 今回の、Zip 使用に際しても、ほぼ同様の処置を行 する。 った。ただし、Zip は、左右方向に加えて、長軸方向 創部閉鎖方法 製造販売元 札幌営業所 TEL:011-231-6225 製造元 仙台営業所 TEL:022-215-8891 東京営業所 TEL:03-5802-3831 本社:〒113-0033 東京都文京区本郷2-3-9 ツインビューお茶の水ビル TEL : 03-5802-3830 FAX : 03-5802-6890 http://cosmotec.com/ 名古屋営業所 TEL:052-934-0541 大阪営業所 TEL:06-4705-7521 岡山営業所 TEL:086-246-3281 福岡営業所 TEL:092-612-0606 (米国) ジップラインメディカル社 本紙に掲載している症例は、臨床成績の一部を紹介したものです。全ての症例で同様の効果を保証するものではありません。 に“ 面 ”での創部減張効果が期待できることから、より 整容性のある創部治癒を目指して、二層縫合時に真皮 従来より、われわれは原則、二層縫合による創閉鎖 層に針糸をかけず、浅層筋膜のみの縫合で、創縁を左 を行っており、胸部および腹部正中創はバイクリル糸、 右 5ミリ以下に減張するようにし、Zipを締めることにより、 脚部、鼠径部には PDS 糸を使用している。連続縫合 表皮の接合を行った。 で、一層目は深層筋膜を、二層目は浅層筋膜および真 術後処置は、従来法と同様に、術後 2日目、術後 7 皮層を縫合している。表皮には針糸を刺入せず、ステリ 日目に行った。Zip のテープがはがれないように注意しな ストリップなどの皮膚接合テープを張ることにより、創部 がら、ジッパー間の洗浄のみ行い、表面はガーゼ保護 の保護、横方向の減張を行い、最後に創部全体をフィ とした。その後は、術後 14日目に Zipをはがし、創部の ルム材でカバーしている。 異常がなければ、皮膚接合テープを貼付し退院とした。 症例報告 製品の使用方法 ❶切開創を中心にZipを貼付。 ❷創の長さに合わせてZip16 をカット。 ❸ジッパーを閉め創部を閉鎖。 ❹ジッパーの取ってを鋏でカット。 ❸ ❶ ❹ 製品の特徴 表皮に縫合糸痕を残さず、きれいな創閉鎖を可能にしている。 また、抜糸などに伴う痛みもなく、さらには、表皮に異物の貫通 がないことで、創部表層感染を防止する効果も期待できる。ま た、創部の減張力を保持出来る。 症例2:弓部大動脈全置換術 胸部正中創 Fig 4. 術後:0日 創閉鎖 シートの貼付 トリミング ❷ ❺ ノーテンションエリアにて 減張を維持 長さ調整 患者の皮膚張力や 伸展・屈伸による 体動の動き Fig 5. 術後:14日 完 了 症例報告 従来法による創部閉鎖 Zip16を使用した創部閉鎖 皮膚接合テープ 表皮 Zip 真皮 浅在筋膜 深在筋膜 連続縫合 連続縫合 連続縫合 連続縫合 症例3:腹部大動脈ステント留置術 鼠径部 Fig 6. 術後:14日 Fig 8. 術後:90日 従来法では、2層縫合による創閉鎖。連続縫合で、一層目は深層筋膜を、二層目は浅層筋膜および真皮層を縫合して いる。Zip使用の際には、2層目は、真皮創に針糸をかけず、浅層筋膜のみの縫合で創縁を5ミリ以下に減張。 症例1:冠動脈バイパス術 胸部正中創 Fig 7. 術後:30日 Fig 2. 術後:0日 Zip16使用 症例4:冠動脈バイパス術 下腿 Fig 3. 術後:60日 Fig 9. 術後:0日 Fig 10. 術後:30日 従来法
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