帝王切開 - コスモテック

帝王切開における、ZipLineを
用いた手術創閉鎖
東京衛生病院 副院長
原 澄子 先生
はじめに
Zip サージカルスキンクロージャー(以 下 Zip)は、米 国の
ZipLine Medical 社が開発した新しい皮膚接合テープである。
(国内製造販売元 コスモテック社)
直線の切開創を中心に、Zipを貼付し、左右対称の粘着部
分をストラップで寄せる事で、創閉鎖を可能にしている。
国内では、胸部正中創、ペースメーカー植込み術創部、人
工関節置換術創部等に臨床応用が行われているが、今回我々
は帝王切開術創部において、Zipを使用し、良好な結果が得
られたので、それらの画像を交えながら示すこととする。
Zip はテープを剥がすだけなので、当然そのような事はなく、抜
鈎に対する恐怖心やストレスもない
(Fig 4)。
従来法では、術後 1ヶ月程度、ステープラー痕が目立つ患者
もいるが、Zip ではそれがないため整 容 的によいと言える。
(Fig 5)
Zip では創部への張力や刺激が術後すぐから抑制されるた
め、肥厚性瘢痕の誘発を抑えるかもしれないが、それは 3ヶ月、
6ヶ月後の創部の確認を行う必要性がある
(Fig 6)。
次頁より、Zipを使用した 7 例で、良好な結果を得たので、
供覧する。
製品の使用方法と特徴
Fig 1(製品の使用方法)
切開創を中心に、Zipを貼付する。左右対称
の粘着部分をストラップで寄せる事により閉
創を可能とし、創部にかかる張力を抑える。異
常がなければ、7日∼14日程度で、Zipを剥
がす。
Fig 3(左 : ステイプラー留置中/右 : Zip貼付中)
創部は、皮膚張力や体動に対し、ステープラーは固定されているため、
留置部に強い刺激が加わる。留置中に不快感や痛みを生じやすい。Zip
は、創部に張力がかかることを抑えるため、患者の負担が少ない。
患者の体動や張力
Fig 4(左 : ステープラー抜鈎後/右 : Zipを剥がしている最中)
アイソレーションゾーン
ステープラーでは、抜鈎の恐怖感また痛みを生じる場合があるが、Zip
では、被覆材を剥がず程度の痛みで、簡易的に剥がす事が可能である。
Fig 2(製品の特徴)
患者の体動や皮膚張力に対して、創部はしっかり張力が抑えられる。
(張
力が影響されないアイソレーションゾーンを形成)
ZipLine を使用してみて
今回 Zipを使用するにあたり、手術法や皮下縫合までは、
従来法と同様に行い、表層部の閉鎖をステープラーからZip に
変更した。
1 週間後の退院診察時にて、滲出液の排出や感染が無いこ
とを確認した後、出来るだけ長く、創部にかかる張力を抑制す
る目的として、患者はそのまま退院し、退院後 1 週間程度引き
続き貼付した
(Fig 3)。
通常、ステープラー留置中は、皮膚張力や体動により、突っ
張り感や軽い痛みが生じる場合があるが、Zip 貼付中は、創部
の減張をしっかり維持することにより、そのような訴えはなかった。
また、ステープラー抜鈎時は、比較的痛みの訴えが多いが、
Fig 5(左 : ステープラー抜鈎後/右 : Zipを剥がした後)
ステープラーでは、異物留置による炎症反応等で痕が残る。Zipでは、体
内に異物を入れないため、整容的に良い。
Fig 6(左 : 帝王切開後の肥厚性瘢痕/右 : Zip使用後、30日)
患者の体動や皮膚張力に対して、創部はしっかり張力が抑えられるた
め、肥厚性瘢痕やケロイドの誘発を抑制する可能性がある。
症例報告
Fig 7(Zipによる創部閉鎖)
表皮
真皮
筋膜をしっかり縫合した後、皮下縫合を行う。皮下縫合をする際は、
皮膚を5mm程度まで寄せた状態にする。切開創を中心にZipを貼付
し、ストラップで創部を寄せ閉創となる。寄せすぎた場合は、ストラッ
プのロックを解除し、再度寄せる事が可能な構造となっている。切開
創の長さに応じて、ハサミでZipをカットする。滲出液の排出を吸収
するため、創部をガーゼで固定し終了。
脂肪
浅筋膜
脂肪
深筋膜
症例1
Fig 8(皮下縫合時)
Fig 9(Zip貼付時)
Fig 10(術後1ヶ月)
症例2∼7 ※術後、1ヶ月の写真を供覧。
Fig 11(症例2)
Fig 12(症例3)
Fig 13(症例4)
Fig 14(症例5)
Fig 15(症例6)
Fig 16(症例7)
最後に
Zipを使用した 7 症例において、創部感染もなく、良好な創
部閉鎖が得られた。長期間に Zipを貼付する事により、皮膚の
トラブルが心配されたが、発赤・水泡形成等も認められなかった。
帝王切開においては、ステープラーを使用する施設も多く、
金属アレルギーによる炎症反応、異物留置による創部感染の懸
念、また、長期に渡って抜鈎痕が残る患者もいるが、Zip では
ディバイスの特性上、そのような事はない。
Zipを貼付した患者においては、創部のテンションをしっかり
抑えているため、創部疼痛の軽減がされている印象も受けた。
肥厚性瘢痕の抑制に関しては、術直後の Zip による創部減張
だけではなく、Zipを剥がした後もサージカルテープを貼り、長
期的に創部のテンションを緩和する必要があると思われる。
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(米国)
ジップラインメディカル社
本紙に掲載している症例は、臨床成績の一部を紹介したものです。全ての症例で同様の効果を保証するものではありません。