GFTFOREX.CO.JP 2013 年 3 月 29 日 GFT 東京支店 FX/CFD モーニング・レポート 水谷文雄 (GFT スポンサード・コメンテータ) 市況概況: ユーロ:売りの流れの中の調整局面 円:円安傾向の中の調整局面 イースターの休暇を控え、市場参加者のポジション調整をするかの相場となり、どこも方向感がな い流れになりました。 キプロス情勢は、キプロスの銀行が 13 日ぶりの再開で金融システム不安が後退しているようです。 そして市場は、次のキプロスを探す動きにあるようです。昨日紹介したマルタに続き、スロベニア も候補に挙がっているようです。スロベニアは人口 200 万人、GDP(国内総生産)371 億ユーロ (2008 年)で、旧ユーゴスラビアから 1991 年に独立し、2007 年ユーロ圏に加盟したという歴史 です。スロベニア国債 10 年が 6.39%と前週の 4.68%から利回り上昇しており、財政問題が、キプ ロスから移ってきているのではと観測される。注意しましょう。イタリアの政局不安が続いていま す。中道左派民主党ベルサニ党首は、組閣できないとナポリターノ大統領に報告しました。10 年 イタリア債は 4.77%とほとんど変化なしです。イースター休暇でしょうか、動きが鈍い。10 年ス ペイン債 5.07%とこちらも反応が鈍い。リスク回避の逃避先ドイツ国債は 10 年 1.85%、2 年- 0.02%と依然としてリスク回避志向が強いと言えます。2 年債がマイナス金利である限り、リスク 回避のユーロ売り相場と思います。2 年債のマイナス金利はひとつのリトマス紙ではないかと考え ます。大きなユーロ売りの流れに変化はなく、昨日の動きはイースター休暇前の単なるポジション 調整ではと推測します。 英国経済もユーロ圏同様に悪いようです。 グラフ(出所:ロイター)は GDP と貿易 収支、貿易基準のポンドインデックスを表 しています。上段の GDP は直近ではマイ ナス成長です。そして下段の黄色い線の貿 易収支は右肩下がりの赤字基調を継続して いる。そして青線のポンドの貿易基準イン デックスでは、2010 年以降貿易赤字に沿 った動きになっています。イースター休暇 の静かな市場環境でこのようなグラフを見 ることは大いに参考になります。 米国市場も静かな動きでした。米経済指標 では、新規失業保険申請件数 35.7 万人と 予想より多い、そして 3 月シカゴ購買部 協会景気指数 52.4 と悪い数字となりまし た。しかし、影響は軽微であり、ダウ平均上昇、債券も前日とほとんどなかったようです。 GFTFOREX.CO.JP 今日は日本市場のみ開き、その他市場はイースター休暇で休場となります。静かな金融市場、為替 市場が予想されます。尚、月曜日もイースターマンデイとなり、欧米では 4 連休です。 米国時間帯には、休日にも関わらず、経済指標が発表されます。米 2 月 PCE コア・デフレーター (予想 1.3%前年比)、米 3 月ミシガン大消費者信頼感指数・確報値(予想 72.6)が発表されます。 為替見通し:静かなイースター休暇相場 静かな金曜日ですから、大局観から相場を分析します。 ドル/円:93.80~94.60 アベノミックスへの期待は強い。そして黒田日銀総裁の下最初の金融政策 決定会合が来週開催される。白川体制との違いを出したい所です。より強力な金融緩和を数字、そ して情報開示という面で示したい所です。2014 年度予定の資金買入れ基金の枠拡大を今年に前倒 しする。そしてより長期の国債の買い入れを進めるなどでしょう。短期金利では日銀当座預金残高 がここのところ 50 兆円と白川体制の時の 35~40 兆円からは増やしている。短期資金はより潤沢 に供給している。円安推進には条件は整っていると言えます。米サイドでは、リスク回避志向から 10 年債利回り 1.85%と利回り低下、イールドカーブ(利回り曲線)も 10 年と 2 年のスプレッド 160bps とフラットニング(平坦化)の動きになっています。米サイドの要因から日米金利差縮小 から、円ショートのポジションの縮小つまり利食いがでているようです。米長期金利が、ユーロ圏 の混乱が収まれば、再び上昇、そしてドル円上昇の円安相場が継続するのではと思います。下記チ ャートは日足です。ギャンチャート分析では 9 月 13 日安値 77.12 起点の 1x2(現在 91.61)が大き なサポートですが、相当距離があります。ここまでの下げは、ユーロ情勢の一層の悪化から、ユー ロ急落となった場合に起こり得るのではと想定しておきましょう。ボリンジャーバンドの下限バン ド(93.05)辺りが当面の下値リスクと言えます。ビッグピクチャーは円安トレンド継続です。 2 GFTFOREX.CO.JP ユーロ/ドル:1.2780~1.2860 イースター休暇でポジション調整のユーロ売り一服の相場ではない かと思います。ユーロ圏のファンダメンタルズは悪く、回復は年後半の予想のようです。南欧国債 利回り上昇、ドイツ国債利回り低下と、リスク回避志向のユーロ安相場が継続していると言えます。 政治、財政、ファンダメンタルズとトリプル安の中、どちらかの材料が好転すると一時的にユーロ 買戻しがあるのでは。しかし 3 つの要因が揃って好転するとは思えなく、ユーロ安が大前提の相場 ではと読みます。下記は日足チャートです。ギャンチャート分析では重要な局面に差し掛かってい ます。7 月 24 日安値 1.2041 起点の 1x2 に現レートが差し掛かっています。この水準を勢いよく下 回ると次の 1x3(現在 1.2547)に向かう動きになります。ポストキプロスの動きを探る動きもある ようで、引き続きユーロ安の方向を読みます。 ユーロ/円:120.20~121.20 対ドルでの円安継続方針、ユーロ安の大前提から、クロス円ではどち らの力関係を重視するかによります。ユーロ売りが先行するのではと見ると、クロス円の頭は重い。 やはり今後はユーロの頭が重いとの前提で考えるのが良いのではないかと思います。 ポンド/ドル:1.5170~1.5250 英国の景況感の悪化、前述で示したように貿易収支の赤字傾向とポ ンド貿易基準インデックスからは、今後のポンド安を予感させる。ボリンジャーバンドの上限バン ドが上値レジスタンスとなり、下限バンド方向に向うのではと読みます。 豪ドル/ドル:1.0370~1.0450 ユーロ/豪ドルが 1.23 台前半とまだまだ豪ドル高のユーロ売りが 続いているようです。昨日はユーロ売りポジションの利食いで戻しているようです。豪ドルはリス ク回避志向にも打たれ強いような印象です。景況感も失業率を中心に堅調であり、RBA(豪準備銀 行)は利下げの可能性があると声明文で謳っているものの、市場には利下げは行われないのではと の観測が強いようです。日足チャートを見ると調整局面のようであり、ボリンジャーバンドのミド ルバンド(1.0353)近辺にまで下落する可能性も否定できません。ある程度の調整局面は想定済み。 豪ドルは下げる時には大きく下げるという経験則から、この水準にまでを想定します。ミドルバン ドが上昇曲線になっているので、この水準にまでの下げが目いっぱいのような気がします。中期的 には豪ドル上昇を予想します。 3 GFTFOREX.CO.JP 豪ドル/円:97.50~98.50 対ドルでの豪ドル短期調整局面、円安基調の一服と、クロス円でも素直 に調整局面です。ボリンジャーバンドのミドルバンド(98.32)がサポートになるか、レジスタン スに鳴るかに注目です。大きく下げる場合には下限バンド(95.79)までの下落を想定します。し かし、中期的には豪ドル高の方針に変化はありません。 今日の CFD は米国債 10 年先物を取り上げます。リスク回避志向から、現物物 10 年では 1.85%ま で利回り低下の動きになっています。利回り低下は、先物価格では価格上昇です。現在はボリンジ ャーバンドの上限で推移する動きです。この水準がレジスタンスになれば、再び価格下落の利回り 上昇の動きになります。緑丸部分に注目したい。下段の MACD は高値圏で推移する動きになってい ます。 外国為替保証金取引や、CFD、デリバティブその他のレバレッジ取引には高いレベルのリスクが潜在しており、預託した資金を超 えて損失を被る可能性もあるため、全てのお客様に適している投資商品とは言えません。本レポートの内容は · 情報提供の目的にのみ供されるものとし、いかなる投資商品の提供・勧誘その他法的に拘束され得る行為、また、それら投資商 品の推奨、助言等を意図したものではありません。 · マーケットに関する意見・予想はその正確性や完全性についてそれらを保証するものではありません。 · レポート著者の予想・意見は必ずしも、弊社及び弊社関係者の見方を反映したものではありません。 · 当社は本レポートの内容に依拠してお客さまが取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。 弊社及び著者は投資サービス、法律サービス、会計・税制サービスあるいはその他のプロフェッショナル・サービスは提供してお らず、そのようなサービスの必要が生じた際は適切なプロフェッショナルからの提供を受けてください。同支店は、日本において は、グローバル・フューチャーズ・アンド・フォレックス・リミテッドとして日本の金融庁に第一種金融商品取引業者登録をして おり(関東財務局長(金商)第 268 号)、一般社団法人金融先物取引業協会の加盟業者です(金融先物取引業協会 1520 号)。経 済産業省/農林水産省から商品先物取引業の許可を受けており、日本商品先物取引協会の加盟業者です。www.gftforex.co.jp © 2012 グローバル・フューチャーズ・アンド・フォレックス・リミテッド 版権/著作権所有。無断複写・複製・転載を禁ず CD08J.023.101612 4 GFTFOREX.CO.JP
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