豪ドル建てMMF

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☆SPECIAL REPORT(個人投資家サーベイ)
豪ドル建てMMF、ユーロ建てに残高で切迫
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<No.9344>
2003. 7. 3 (木)
―― 円安の中、年初にユーロは残高ピークアウト
日本証券業協会集計の「MMF残高の推移」によると、ユーロ建てMMFの残高が微減
となる一方、豪ドル建てMMFが増加したため、ユーロ建てと豪ドル建てが「逆転」する
勢いにあることが明らかになった。また対ユーロ・対豪ドルでここ数ヶ月円安が進んだに
も関わらず、逆にMMFの残高は減少し始めていることも判明した。これについて証券各
社からは明確な理由は出されていないが、約 3 年ぶりの円安水準に達したことで、塩漬け
が解消されつつある可能性もうかがえる。
ユーロ・豪ドル建ての差は 126 億円=減少基調の中、残高の逆転近い
日本証券業協会集計による「MMF残高の推移」によると、2003 年 5 月のユーロ
建て外貨MMFの残高は 1210.39 億となり、2002 年1月の 1277.79 億円より 67.40
億円の減少。ユーロ円相場が急上昇している中、逆にユーロ建てMMFの残高が減
少していることが明らかになった。
一方、2003 年 5 月の豪ドル建て外貨MMFの残高は 1083.76 億円となり、2002
年1月から約 1.4 倍の増加。ユーロ建ての残高との差も 494.18 億円(2002 年1月)
から、僅か 126.63 億円(2003 年3月)まで迫っていることが分かった。
ユーロ円が急速な上昇を見せたのは今年 2 月以降。それに伴い個人投資家による
高金利通貨投資投資への注目が集まったが、ユーロ建てMMFはその前月にあたる
1 月の 1339.25 億円をピークとし、残高を減らし続けているのが現状だ。また豪ド
ル建てMMFもユーロ建てに迫っているが、今年 3 月の 1102.24 億円ピークにその
後 2 ヶ月間は横ばい傾向にある。
野村でも傾向は同じ=3 年ぶりの円安水準が影響か
1750
日本証券業協会「 MMF残高の推移」
1500
1250
1000
750
ユーロ
500
250
豪ドル
単位;億円
800
2003/05
2003/04
2003/03
2003/02
2003/01
2002/12
2002/11
2002/10
2002/09
2002/08
2002/07
2002/06
2002/05
2002/04
2002/03
2002/02
2002/01
0
野村證券MMF残高の推移
700
600
500
400
ユーロ
300
豪ドル
200
100
単位;億円
2003/05
2003/04
2003/03
2003/02
2003/01
2002/12
2002/11
2002/10
2002/09
2002/08
2002/07
2002/06
2002/05
2002/04
2002/03
2002/02
2002/01
0
こういった傾向について、個別のケースを見て
もその兆候はうかがえるものだった。野村證券で
はユーロ建て外貨MMFの残高が 2002 年 1 月の
598.19 億円から、2003 年 5 月には 502.45 億円へ
と減少。これに対して、同時期の豪ドル建て外貨
MMFは 282.16 億円から 587.00 億円へ増加。既
に野村では、豪ドル建てMMFがユーロドル建て
MMFを上回っていた。
さらに野村ではユーロ建て外貨MMFの残高が
今年 2 月にピークを迎えていた。豪ドル建て外貨
MMFの残高も 1 ヶ月遅れて 3 月をピークとして
減少傾向にあり、これも日本証券業協会が集計し
た外貨MMF残高全体の傾向と同じ流れにある。
こうした傾向について、外貨建てMMFを扱う
証券各社では明確な理由が明らかにされていない。
ユーロ建てMMFの低調については「発足当時か
らの長期保有者がユーロ高の中、利食いに出た」
との指摘も聞かれるが、営業サイドもはっきりし
た動きをつかめていない模様だ。外貨MMFの残
高が相対的に小額である、MMF金利が低下した
という環境的な要因がある一方、「外債・外貨建
て投資信託を利用する際、為替損益を避ける目的
で一時的に外貨MMFを利用する」(本邦証券
筋)という滞留場所的な性格も、トレンドを掴み
にくくしているようだ。
豪ドル建てMMFがユーロ建てMMF残高との
相対で多いことの原因は解決されないが、実際に
豪ドル円相場は 80 円を超えていまだ円安水準にあ
る。今のところ、集計は「逆張り鮮明化」の可能
性が高いと言え、今後の推移が注目されるところ
だ。(了)
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