第47回抄録 - 日本集中治療医学会

第47回
日本集中治療医学会近畿地方会
プログラム・抄録集
2002年6月1日(土)
大阪国際交流センター
会長 児玉 和久
大阪警察病院循環器科
第47回日本集中治療医学会近畿地方会の開催について
組織を整備して開催することになった前回の第46回の本会は大阪大学集中
治療部、妙中信之先生を会長として多くの方々の力強いご支援とご努力によ
り極めて充実した内容の学術集会となり、本会の今後に大いなる明るい希望
を与えていただきました。今回はその勢いを活かしつつ臨床医学の中核に位
置する集中治療の現状における諸問題と今後進むべき方向性について医師、
看護師、コメディカルをはじめ多くの方々に参加していただき、幅広く種々
の角度から活発な検討をお願いしたいと考えています。
さて、今回のテーマとして近年とみに問題とされている医療における安全
対策をとりあげてみたいと考えましたが、一般的にも講演会等が各所で開催
されていることや前回の本学会のパネルディスカションでも取り上げられて
いることから、本会では会長講演として「CCUの30年をふりかえって・・・」
の中で触れることにしたいと考えました。さらに、もう一つの重要なテーマ
はこの度Amによる改訂版としての“心肺蘇生と救急心血管治療のための国
際ガイドライン2000”が発表され一次救命処置、二次救命処置についての新
しい勧告が行われたことから、これに関連したテーマをランチョンセミナー
で取り上げることにしました。また、シンポジウムに予定しておりました「新
しいモニタリングの展開・・・」は残念ながら応募が少なく、今回は見送る
ことに致しました。一般演題は今回も50題を超える多くの応募をいただきま
した。
皆様方の熱意に深く感謝申し上げると共に活発な討論をお願いし、盛会にな
ることを期待しています。
第47回日本集中治療医学会近畿地方会
会長 児玉和久
3
第47回 日本集中治療医学会近畿地方会 プログラム
第 一 会 場 (さ く ら)
8:
30∼9:
00
評 議員会
9:
0 ∼9:
05
開会 の 辞
第 二会場 (
小 ホ ール )
9:
0 5∼9 :
55
9:
0 5∼9 :
45
看護部門 :一般演題
N −ト 1∼4
医師部門 :一般演題
A l∼5
9:
05∼
9:
4 5∼10
看護部門
:
2 5 :一般演題 N ・
Ⅰ
ト 1∼4
9:
55 ∼10 :
45
医師部門 :一般演題 A 6∼10
会 長 講 演 ネ集
ー中治
ジ メ療
ンと
トリス ク マ
10:
45∼11:
45
ーC C U 3 0 年 を振 り返 って −
11:
50∼13:
0
ラ ンチ ョ ンセ ミナ ー :心 肺 蘇 生 と循 環 救 急 ケ ア
ず1
総会
13:
0 ー13:
20
13:
40 ∼14:
20
13:
20 ∼15 :
20
医師部門 :一般演題 A ll∼14
看護部門 :事例 C l∼6
14 :
20 ∼15:
10
医師部門 :一般演題 A 15∼19
15:
20 ∼16 :
10
10 ∼16:
10
13:
40∼ 15:
医師部門 :一般演題 B l∼5
医師部門 :一般演題 A 20∼25
16:
10 ∼17 :
00
16:
10 −17:
00
医師部門 :一般演題 B 6∼10
医師部門 :一般演題 A 26∼30
17:
0 ∼17:
15
閉会の辞
7
第47回日本集中治療医学会近畿地方会
ランチョンセミナー
日 時:平成14年6月1日(土)12時から13時
会場:大阪国際交流センター大会議室
大阪市天王寺区上本町8−2−6
テーマ:心肺蘇生法と救急循環ケア
座長河内総合病院心臓センター 三嶋正芳
・講演1救急救命士の立場から
大阪市天王寺消防署 角田伸行
・講演2看護婦の立場から
大阪警察病院 萩原愛子
・講演3医師の立場から
大阪府三島救急救命センター 森田大
共催:第47回日本集中治療医学会近畿地方会
トーアエイヨー株式会社
8
プログラム
第一会場(さくら)
■ 8:30∼ 9:00
評議員会
■ 9:00・− 9:05
開会の辞
会 長 児玉 和久
医師部門一般演題I「循環り
■ 9:05一− 9:55
座 長 国立循環器病センター 心臓血管内科 吉崎 俊一
A−1 急性心筋梗塞症例における血栓吸引療法の有用性
大阪警察病院心臓センター内科
○飯沼 義博、児玉 和久、平山 篤志、上田 恭敬、
金銅 伸彦、内藤 丈詞、黒飛 俊哉、小松 誠、清水 政彦、
大谷 朋仁、竹田 泰治、溝手 勇、宇佐美 雅也
A−2 心房細動を背景として左肩内血栓により発症した急性心筋梗翠3例の再疎通治療
.河内総合病院心臓センター内科 河内総合病院心臓センター外科
○吉田 貞夫、林 英幸、中川 隆文、岩田 昭夫、山口 仁史、
三嶋 正芳、田山 雅雄、安田 治正、阪越 信雄
A−3 急性心筋梗塞症におけるプレホスピタル・トロンポリシスは不整脈合併症を増加させるか。
近畿大学医学部循環器内科 近畿大学医学部高血圧・老年内科
○谷口 貢、林 孝浩、谷和 孝昭、黒岡 京浩、宮高 昌、
木村 彰男、金政 健、石川 欽司
A−4 急性心筋梗塞が疑われCCUに入院した心アミロイドーシスの一例
国立循環器病センター心臓血管内科CCU 国立循環器病センター
○角岡 潔、川村 浮、木下 秀之、森井 功、安田 聡、
大塚 頼隆、片岡 有、宮崎 俊一
A−5 精神的ストレスが関与したと考えられるたこつぼ型心筋症の一例
大阪警察病院循環器科
○宇佐美 雅也、金銅 伸彦、内藤 丈詞、上田 恭敬、
黒飛 俊哉、小松 誠、清水 政彦、大谷 朋仁、飯沼 義博、
竹田 泰治、溝手 勇、平山 篤志、児玉 和久
10
医師部門一般演題ⅠI「呼吸/血液・凝固」
■ 9:55・−10:45
座 長 北野病院 麻酔科 足立 健彦
A−6 HELLP症候群を疑い帝王切開施行後も血小板減少・DI Cが遷延した一例
大阪府立病院麻酔科 大阪府立成人病センター
○田島 圭子、谷上 博信、西原 秀信、人見 一彰、梁 勉、
平田 隆彦、森 隆比古
久一7 重症熱傷の経過中に血球会食症候群を併発した一例
神戸市立中央市民病院麻酔科 神戸市立中央病院救急部
○有渾 創志、大塚 祐史、宮脇 郁子、内藤 嘉之
A−8 下肢血栓性静脈炎を合併した卵巣腫瘍摘出術にグリーンフィールドフィルターを使用した1症例
兵庫医科大学病院集中治療部
○宮川 慈子、奥谷 龍、平井 康純、野間 秀樹、杉本 智彦、
天野 一暁、太城 力良
A−9 甲状腺癌の気管浸潤による高度気管狭窄に対して、VenovenousExtracorporealLifeSupporl:下の
縦隔気管切開で救命しえた3例
京都大学医学部付属病院麻酔科 国立京都病院麻酔科
○松浦 壮吾、柴田 正俊、白神 豪太郎
A−10 保存的治療により治癒した気管裂傷の1例
和歌山県立医科大学附属病院
○高江洲 秀樹、篠崎 美紀、島 幸宏、久岡 崇宏、中 敏夫、
川崎 貞男、友渕 佳明、篠崎 正博
医師部門一般演題ⅠⅠI「ショック」
■13:40一−14:20
座 長 大阪警察病院循環器科 平山 篤志
A−11経皮的心肺補助装置(PCPS)を用いて早期にショックから離脱しえた3症例
京都府立医科大学集中治療部 京都府立医科大学心臓血管外科
○安達 麻由子、天谷 文昌、井上 静香、坂野 英俊、
松田 知之、尾崎 容子、木村 彰夫、岡 頼子、橋本 悟、
夜久 均
11
A−12 循環劇削こより経度的心肺補助法(PCPS)を使用した冠動脈疾患55例について
高橋病院心臓血管センター 京都府立医科大学心臓血管外科
○林田 恭子、高橋 玲比古、中嶋 俊介、夜久 均、
尾田 泰之、春藤 啓介、岡野 高久、岡 克彦、山田 義明、
藤原 克次、新川 武史、宮崎 隆子、福本 淳、北村 信夫
A−13 ショック状態で来院し、緊急桂皮的冠動脈形成術(PCI)とIABP、PCPSによる循環補助で
救命できた左冠動脈主幹部閉塞による急性心筋梗塞症の1例
大阪市立総合医療センター循環器内科
大阪市立総合医療センター救命救急センター
○阿部 幸雄、伊藤 彰、占野 賢司、梶谷 昌史、鹿田 欣也、
小松 龍士、大塚 雅人、坂上 裕司、成子 隆彦、
島津 和久、氏野 博昭、林下 浩士、韓 正訓、垂本 達弘、
鍛冶 有登、土師 一夫
A−14 ショックをきたした急性肺動脈血栓塞栓症の2症例
国立循環器病センター心臓血管内科部門
○岡崎 英俊、角地 祐幸、坂巻 文雄、京谷 晋吾、
中西 宣文、野々木 宏,
■14:20・−15:10
医師部門一般演題ⅠⅤ「循環2」
座 長 神戸大学医学部麻酔科集中治療部 夜久 英明
A−15IABP施行時の下肢虚血に対する工夫
河内総合病院心臓センター外科 河内総合病院心臓センター内科
○阪越 信雄、安田 治正、田山 雅雄、三嶋 正芳
A−16 拡張型心筋症・心移植待機愚者における左室補助循環(Ⅰ∬AS)ウイーニングの検討
大阪大学大学院医学研究科病態情報内科学
○国垂 めぐみ、中土 義章、柏瀬 一路、新谷 泰範、
彦惣 俊吉、水野 裕八、真野 敏昭、西田 和彦、堀 正二
A−17 腹部大動脈破裂の患者のショック改善のために用いたフォガティオクルージョンカテーテルが
原因となり巨大動脈血栓症を引き起こしたと考えられた一例
神戸大学医学部附属病院集中治療部
○田中 孝憲、夜久 英明、木村 好江、出田 眞一邸、
森川 修、三住 拓誉、佐藤 仁昭、上杉 貴信、松岡 香哲、
尾原 秀史
12
A−18 術後多臓器不全や真菌感染症の治療中、心室性不整脈やショートランを多発した症例
神戸大学医学部附属病院集中治療部
○三住 拓誉、夜久 英明、出田 眞一邸、もりかわ おさむ、
佐藤 仁昭、上杉 貴信、田中 孝憲、屈原 秀史
A−19 脳梗塞後痙攣重積発作による横紋筋融解症により急性腎不全となった1例
明石市民病院麻酔科
○森 美津子、上藤 哲郎、田中 佳子、中尾 博之
■15:10・−16:10
医師部門一般演題Ⅴ「中枢神経/その他」
座 長 兵庫医学大学病院集中治療部 奥谷 龍
A−20 下行胸部大動脈癌術後に脊髄梗塞を合併し、術後の髄液中SlOO蛋白濃度が著明に上昇した2症例
兵庫医科大学病院集中治療部
○野間 秀樹、奥谷 龍、植木 隆介、平井 康純、杉本 智彦、
天野 一暁、宮川 慈子、太城 力良
A−21 免疫抑制剤FK506による脳症が疑われた一例
大阪府立母子保健総合医療センター麻酔科
○松田 陽一、木内 恵子、福光 一夫、谷口 晃啓、
中尾 文弥、平尾 収、宮本 善一、春名 純一
A−22 髄腔内バンコマイシン投与が著効した重症肺炎球菌性髄膜炎の一症例
大阪府済生会吹田病院
○藤田 章子、小林 敦子、高野 泰明、松山 広樹、
川村 光書
A−23 塩酸オルプリノン緩徐持続静注の有効性、安全性の検討
大阪市立大学大学院医学研究科麻酔・集中治療医学分野
○森 正信、清岡 直也、西 信一、浅田 章
A−24 中枢性尿崩症愚者が敗血症から急性腎不全となった1症例
兵庫医科大学病院集中治療部
○植木 隆介、奥谷 龍、野間 秀樹、天野 一暁、平井 康純、
杉本 智彦、太城 力良
13
A−25 腎移植周術期におけるⅠし18の変動とその意義
兵庫県立西宮病院麻酔科 兵庫医科大学病院集中治療部
○岡本 健志、奥谷 龍、遠藤 健、山下 由貴、野間 秀樹、
平井 康純、太城 力良
■16:10∼17:00
医師部門一般演題ⅤI r感染・敗血症」
座 長 市立神戸中央市民病院麻酔科 内藤 嘉之
A−ご=ICt!における塩酸バンコマイシン(VCM)投与時の血中濃度モニタリング
(therapeuticdrugmOnitoring、TDM)の有用性
神戸市立中央市民病院麻酔科 神戸市立中央市民病院薬剤部
○宮脇 郁子、内藤 嘉之、井出 雅弘、水野 好子
山本 健児
A−27 胃嬢注入直後にMRSA敗血症性ショックを生じた遷延性意識障害の一例
大阪市立大学医学部付属病院救急部
○杉本 直樹、行岡 秀和、栗田 聡、吉田 玄、加藤 昇、
李 栄柱、中村 和音
A−28 持続血液濾過透析患者に対する塩酸バンコマイシンの初期投与について
神戸市立中央市民病院麻酔科
○水野 好子、内藤 嘉之、宮脇 郁子
A−29 小児の再生不良性貧血の治療中に発症した肺アズベルギルス症の一救命例
大阪市立総合医療センター集中治療部
○池田 雄一郎、安宅 一晃、嶋岡 英輝、佐谷 誠
A−30 扁桃側索炎から縦隔胸腔内に炎症が波及した重症感染症の一例
東大阪市立総合病院麻酔科・集中治療部
○佐野 秀、梅垣 修、宮脇 有紀、重松 文子、谷本 敬、
古泉 真理
■17:00・一
関会の辞
会 長 児玉 和久
14
プログラム
第=会場(小ホール)
看護部門一般演題Ⅰ
■ 9:05′− 9:45
座 長 関西医科大学 CCU 杉本 敬子
ヾ−Ⅰ−1 当救命救急センターICUにおける肺炎発症リスクの実態
国立大阪病院救命救急センター 国立神戸病院
○高橋 雪子、東 世津子、井手 ひとみ、大山 和子、
乗松 千鶴
ヾ−ト2 気管内チューブカブ内圧を持続モニタリングした2症例
滋賀医科大学附属病院救急部・集中治療部
○辻井 靖子、林 周子
V小3 脳低体温療法中の患者への排疾援助∼吸入とバイブレーターの併用”
国立京都病院救命救急センター
○中川 祥子
N−ト4 チューブトラブル防止に対する病棟での取り組み∼危険度、対策表を使用して∼
大阪警察病院ICU救急病棟
○石本 恵理、小泉 希代子、篠原 ゆみ、北岸 久美子、
志摩 久美子
看護部門一般演題ⅠⅠ
■ 9:45一−10:25
座 長 近畿大学医学部集中治療部 佐竹 慶子
N1ト1ICUにおける緊急入院時の家族看護∼初期介入のスタンダード化∼
大阪警察病院ICU救命病棟
○松本 あゆみ、浜田 こころ、中西 浩美、篠原 ゆみ、
北岸 久美子、志摩 久美子
N1ト2 当センターにおける口腔ケアの評価一細菌培養に焦点をおいて−
和歌山県立医科大学付属病院救急集中治療部
和歌山県立医科大学附属病院中央滅菌部
○泉 仁美、小川 陽子、岡書 優、出口 安芸
15
N1ト3 心筋梗塞に対するBMI(骨髄幹細胞自家移植術)治療を行った患者の看護
関西医科大学附属病院循環器外科病棟
○松森 恵理、藤井 由美子、辻 佐世里、仲村 明美、河井 由美−
.N1Ⅰ−4 食道癌術後患者の不穏の改善への一考察∼生体リズムを考えた看護を実施して∼
神戸市立中央市民病院集中治療部
○雪田 智子、延堂 麻紀、林 敏美
■13:00・−13:20
総会
■13:20・−15:20
看護部門 看護事例検討
テーマ「人工呼吸器装着中の患者の看護」
コメンテーター 大阪市立大学看護頬期大学看護学科 教授 白田 久美子
座 長 兵庫医科大学病院ICU 高比良 法子
大阪市立大学医学部附属病院ICU 大脇 和子
C−1体位変換を中心に安全で安楽な肺理学療法が行えた重症肺炎患者の一事例
大阪府立病院ICU・CCU
O岩山 美希、笹田 友恵
C−2 人工呼吸器装着中患者の排痍援助∼腹臥位による体位ドレナージを取り入れて∼
国立京都病院救命救急センター
○知野見 優紀子
C−3 ECMO装着中に腹臥位療法を施行した一症例
和歌山県立医科大学附属病院 救急集中治療部ICU
O武野 明香、志田 光恵、秋山 七生、川崎 貞男、篠崎 正博
C−4 食道癌患者の術前に非言語的コミュニケーション訓練を試みて
兵庫医科大学病院集中治療部
○黒田 薫、高田 育江、田連 真澄、峯瀬 美千代
C−5 重症膵炎開腹ドレナージ術後患者の看護一人工呼吸器の離脱が進まなかった症例を通して一
神戸市立西市民病院救急・I CUセンター
○城内 景子、竹本 異利、田中 奈央、堤 恭絵、柳田 美紗、
野上 さだ子
16
C−6 急性呼吸不全患者の看護一再挿管に至った一例を振り返る一
大阪市立大学医学部附属病院ICU
O北 あき
■15:20∼16:10 医師部門一般演題ⅤⅠI r呼吸」
座 長 大阪大学医学部附属病院集中治療部 西村 匡司
B−1高度の気道狭窄を呈し、人工呼吸治療を必要とした、3歳8ヶ月男児の急性細気管支炎の1例
市立堺病院救急・集中治療科 市立堺病院小児科
○友田 幸一、植松 正保、中元 保子、橋爪 孝雄
B−2 肺癌術後に、術前合併していた問質性肺炎の急性増悪、AmS状態をきたし長期人工呼吸管理を要した症例
市立豊中病院麻酔科
○福田 稔、高田 幸治、富 勝治
B−3 脳死右片肺移植施行後にFrIJD(posttransplantlymphoproliferativedisirder)を発症した一例
大阪大学医学部附属病院集中治療部 同呼吸器外科 同病理部
○野村 幸嗣、三好 恵理子、藤野 裕士、萬代 裕子
内山 昭則、西村 信哉、妙中 信之、貴下 節、樋口 貴宏、
南 正人、太田 三徳、松田 嘩、星田 義彦、青笹 克之
B−4 月朝蔵摘出の既往がある患者に起こった劇症肺炎の1例
京都大学医学部附属病院麻酔科
京都大学医学部附属病院集中治療部
○瀬川 −、足立 健彦、美馬 裕之、正田 丈裕、七野 力、
福田 和彦
B−5 一時的に筋弛緩薬を用いた呼吸管理と、長期少量ステロイド療法を行ったAmSの一症例
大阪府立病院麻酔科 大阪府立成人病センター
大阪大学医学部附属病院集中治療部
○長谷井 真理、谷上 博信、西原 秀信、大田 典之、
平田 隆彦、西村 匡司、森 隆比古
17
■16:10∼17:00 医師部門一般演題ⅤⅠⅠI「患者管理」
座 長 大阪市立大学医学部附属病院集中治療部 西 信一
B−6 冠動脈再建後に頭蓋内硬膜下出血を認めた症例
住友病院麻酔科
○野村 哲也、西良 雅夫、竹田 健太、澤井 克彦、
吉川 範子、立川 茂樹
B−7 微量輸液ポンプ使用中のディスポシリンジの抵抗増大による輸液流量の変動
西神戸医療センター麻酔科 西神戸医療センター臨床検査技術部
○堀川 由夫、田中 修、伊地智 和子、飯島 克博、
川上 寿和子、和気 幹子、田中 寧、加藤 博史
B−8 気管切開後、縦隔、皮下気腫に難渋した一症例
姫路赤十字病院麻酔科
○大川 雅贋、佐々木 俊弘、黒田 早苗、佐藤 健治、
八井田 豊、仁熊 敏枝、松本 睦子
B−9 連続心拍出量測定装置(PiCCO)による敗血症ショック後の体液管理
兵庫医科大学救急災害医学救命救急センター
○山内 順子、丸川 征四郎、切田 学、平田 淳一、
米田 雅洋
B−10 急性リンパ性白血病に対する化学療法中に発症した感染性心内膜炎に対する僧帽弁置換術の管理経験
兵庫医科大学病院集中治療部
○天野 一暁、奥谷 龍、野間 秀樹、植木 隆介、
平井 康純、太城 力良
18
一般演題
(医師部門)
A−1急性心筋梗塞症例における血栓吸引療法の有用性
飯沼義博1、児玉 和久1、平山 篤志1、上田 恭敬1、金銅 伸彦1、内藤 丈詞1、黒飛 俊哉1、小松 誠1、清水 政彦
1、大谷 朋仁1、竹田 泰治1、溝手 勇1、宇佐美 雅也1
1大阪警察病院JL周蔵センター 内科
【目的】急性心筋梗塞(劇Ⅰ)症例における血栓吸引療法の有用性について検討した。【対象と方法】1999年12月17日から2001
年8月16日までに当院に入院しステントを用いて再潅流療法を施行した劇Ⅰ患者のうち、血栓吸引療法施行18例と非施行18
例について梗塞サイズと6か月後の再狭窄率を比樹転寸した。梗塞サイズはCK最大値、1か月後のEF(EjectionFraction)、
心筋シンチの欠損サイズによって評価した。またtargetvesselrevascuralizationを施行した場合に再狭窄ありとした。【結
果】有意差は認めないが血栓吸引療法施行例において梗塞サイズは大きい傾向があり、再狭窄率も高い傾向にあった。年齢、
性別、危険因子、最大パルン径、パルン総拡張時間、病変長など患者背景に有意差を認めなかった。【考案】血栓吸引療法に対
する評価は分かれるが、今回の検討では有意差は認めないものの梗塞サイズ・6か月後の再狭窄率を上昇させる可能性が示唆さ
れ、血栓吸引療法の有用性について否定的な結果となった。しかし症例数が少ないため評価が困難であり、今後の検討が必要
である。
[MEMO]
20
A−2ノL虜細動を背景として左房内血栓により発症した急性L、筋梗塞3例の再疎通治療
吉田貞夫1、林 英宰1、中川 隆文1、岩田 昭夫1、山口 仁史1、三嶋 正芳1、田山 雅雄2、安田 治正2、阪越 信雄2
1河内総合病院 ノL蘭センター内科、2河内総合病院 ノL欄蔵センタータ陣十
【はじめに】冠動脈塞栓による心筋梗塞は通常のプラーク破綻からの血栓症による心筋梗塞と病態が異なり治療法も確立され
たものはない。各々の症例の病態に応じた治療が必要とされる。心房細動に合併した左心房内血栓に由来する血栓塞栓で発症
した急性L、筋梗塞の再疎通治療を幸陪する。【症例】1:59歳男性。平成13年6月17日、突然の前胸部痛で発症。発症か
ら1時間後の入院時には心原性ショックを呈した。緊急造影で左冠動脈主幹部に塊状の陰影欠損像を呈し、前下行枝と廻旋枝
の造影遅延を認めた。塊状の欠損像は主幹部から前下行枝と廻旋枝に枝別れする像を呈した。冠動脈内血栓溶解剤投与では陰
影欠損像は変化せず造影遅延も改善しなかった。左房内血栓による塞栓と考えられた。低圧でのバルーン拡張で塞栓塊を廻旋
枝に移動させたところ前下行枝の血流が改善した。主幹部に残存狭窄はなかった。前下行枝領域の左室壁運動が改善しショッ
クから回復しえた。症例2:83歳女性。平成13年12月8日、突然の胸痛で発症。心不全はなかった。緊急造影にて右冠
動脈末梢の閉塞を認めた。血栓溶解剤投与では再疎通できず抗疑固療法を開始した。慢性期には病変部は再疎通し、残存狭窄
はなかった。症例3:61歳男性。平成13年4月5日、突然の胸痛にて発症。心不全はなかった。緊急造影にて右冠動脈近
位部の閉塞を認めた。血栓溶角韓l股与では再疎通できず抗凝固療法を行った。慢性期には病変部は再疎通しており軽度の残存
狭窄を認めるのみであった。【結語】血栓塞栓により発症した急性L、筋梗塞における再疎通治療では、病態に応じた治療法の選
択が必要と考えられた。
[MEMO]
21
A−3急性心筋梗塞症におけるプレホスピタル.ト。ンポリシスは不整眠合併症を増加させるか。
谷口貢ユ、林 孝浩1、谷和 孝昭ユ、異同 京浩1、宮高 昌1、木村 彰男1、金政 健2、石川 欽司1
1近畿大学 医学部 循環器内科、2近畿大学 医学部 高血圧・老年内科
【背景】心筋梗塞急性期治療の基本は虚血心筋を早期に救済することである。そのためには、できる限り早期に治療を開始す・
べきであり、病院へ搬送する前の血栓溶解薬先行投与(プレホスピタル・トロンポリシス)の果たす役割は大きい。しかし、
血栓溶解療法には、再港流性不整脈の問題があり、使用に際し、注意が必要とされる。【目的】プレホスピタル・トロンポリシ
ス施行例¢rellOSpital群)と、冠動脈形成術単独療法例貯CI群)の2群において病院到着時までの不整脈を比較検討し、
血栓溶解療法の不整脈合併の問題点を明らかにすることである。【方法】対象は1990年1月から2002年3月の期間、発症12
時間以内に当院CCUに入院した急性L、筋梗塞患者のうち、発症第1病日に再開通療法を施行したPrehospital群58例とPCI群
98例の計156例で、各群の入院までの不整脈の頻度、種類を比較検言寸した。【結果】年齢、性別、初回心筋梗塞症例、梗塞部位、
病変校数、Ki11ip分類、Forrester分類等患者背景に2群間で有意差は認められなかった。発症から入院までの時間は
Prehospital群で4.1±2.1時間、PCI群で3.8±2.4時間であった。初回冠動脈造影日寺の再開通率を両群問で比較するとTIMI3
flowの割合はPrehospital群で37.9%、PCI群で19.4%であり、Prehospital群で有意に高値を示した。当院CCU入院までの不
整脈(心室性期外収縮、心室樹自、心室細動、完全房室ブロック)出現叛度はPrehospital群で13例(22.4%)、PCI群で19
例(19.4%)で両群間に差はみられなかった。重篤な不整脈の内訳は心室細動がPrehospital群で2例、PCI群で9例、心室頻
拍がPl・ehosl〕ital群で1例、PCI群で3例、完全房室ブロックがPrehospital群で4例、PCI群で7例であり、むしろPCI群に
多く認められた。重篤な不整脈が出現したPrehospital群の中で、不整脈出現時間が明らかとなった症例が2例あり、1例は発
症㍑・5相関で心室緋動が出現、1例は3・5時間で心室当村自が出現した。【桔割入院までの不整脈出現頻度はPrehospital群で
多くなかったが、プレホスピタル・トロンポリシス施行後の重篤な不整脈出現に関しては、発症からの時間因子との関係が示
咤されたり
[MEMO]
22
A−4急性心筋梗塞が疑われCCUに入院した心アミ。イドーシスの一例
角岡潔1、川村 淳1、木下 秀之1、森井 功1、安田 聡1、大家 頼隆1、片岡 有1、宮崎 俊一1
1国立循環器病センター ノL周蔵血管内科 CCU、2国立循環器病センター
症例は76歳の男性。1990年から高血圧症及び脳血管障害後遺症にて定期通院中であった。2002年2月12日より咽頭痛を自覚
し、抗生剤及び総合感冒薬内服開始された。2月23日より下腿浮腫出現し、翌日から食後の昇段の度に、胸吾阿偶感(安静臥
位10分程で消失)を認めるようになった。2月26日、胸部症状が15分持続するため近医受診した。心電図は完全右脚ブロッ
ク、胸部レントゲン写真にて胸水、心筋逸脱酵素の上昇を認めたため、急性L、筋梗塞が疑われ、同日、当センター緊急夕蘭召
介受診となった。来院時、意甜青明、血圧:126/75Ⅲ咄、心拍数:72bpm、6レ血nマスク酸素にて自助劃犬の訴えはなかった
(pH:7.43;PCO2:31torr;PO2:86torr)。顔面及び下腿浮腫、喘鳴を伴う湿性ラ音を認め、心エコーでは、左室肥大、中等度の僧
房弁逆流、軽度の大動脈弁逆流及び軽度の左室後壁運動低下を認めた。心電図は正常洞調律、四肢低電位、完全右脚ブロック
であった。心筋逸脱酵素の上昇も認めた。KillipII型の後壁急性L、筋梗塞を疑い、ヘパリン持続投与開始し、緊急カテーテル
検査施行した。結果は、冠動脈には有意狭窄は認めなかったが、左室造影では左室駆出率43%の捕獲性壁運勤低下を認めた。左
室拡張末期圧:30Ⅲ正也、平均右房圧:18Ⅲ止短、ノL寸自出量:4.OL血inであったため、左室拡張性低下(>収縮性低下)+溢水状
態と判断し、対処療法としてニトログリセリン持続投与及びフロセミド静注、エナラプリル内服、安静、酸素投与にて初期治
療を開始した。第7病日には体重漸減、全身浮月封肖失、酸素化も改善し、以後、フロセミド内服へ変更し、更なる除水を図っ
たところ、胸水も消失し自覚症状及び他覚症状の改善を得た。本症例は、心不全の原因として急性心筋梗塞の鑑別をする必
要がありCCUに入院したが、冠動脈造影検査の結果からは否定的であった。しかし、トロポニンⅠ高値(1.09ng/dl)であり、
他の心筋逸脱酵素も上昇していたことから、入院時点での心筋障害の存在が示唆された。高血圧の既往があり、心エコーで、
左室肥大(13mm)を認めたため高血圧性心疾患も考えたが、心電図では左室高電位差を認めず、むしろ低電位であり、腎機能、
眼底所見も正常で高血圧性心疾患では説明できない点がみられた。先行する感冒様症状があり急性L、筋炎も考え、ペアウイル
ス抗体価を測定したが上昇はなかった。B−J蛋白陰性、血清蛋白分画正常、軽度の甲状線機能低下症個i:10〃t㍍nl)を認め
た。心筋炎あるいは二次性心筋症の鑑別のため、石室心筋生検査を行ったところ、心筋炎所見は認めず、心筋アミロイドーシ
スと確定診断に至った。心筋逸脱酵素の上昇を伴う急性心不全症例において、その原因として急性心筋梗塞、急性冠症候群
以外に二次性L、筋症も念頭におく必要があることを再確認した。
[MEMO]
23
A−5精神的ス1、レスが関与したと考えられるたこつば塑兄、筋症の一例
宇佐美雅也1、金銅 伸彦1、内藤 丈詞1、上田 恭敬1、黒飛 俊哉1、小松 誠1、清水 政彦1、大谷 朋仁1、飯沼 義博
1、竹田 泰治1、溝手 勇1、平山 篤志1、児玉 和久1
1大阪警察病院 循環器科
蘭列は73歳女性、4年前からatypicalchestpainで外来通院中であったが、2002年4月12日自宅で発生した火災を消火中
に胸痛を自覚、ⅣⅢ舌下にても消失しないため当院救急受診した。心電図上Ⅰ,a軋,Ⅶ∼Ⅶで訂上昇を認め、CK上昇、トロポ
ニンT陽性、UCGでは前壁より心尖部、中隔にかけて広範囲に壁運動の低下が認められた。さらに緊急RI(テクネシウム)で
心尖部に欠損像を認めたため、急性L、筋梗塞の疑いで緊急カテーテル検査を施行した。冠動脈造影上L膿♯7に50%の狭窄を認
めたものの、血管内視鏡による観察では破綻したプラーク等AGを発症したと思われる所見は認められなかった。左室造影で
は心射l;のhyperkinesis、心尖部はakinesis∼dyskineticを示し、典型的なたこつぼ様左室壁運動異常であった。その後良好
に経過し心電蛭田まI,dJL,V2、V6でT彼の闇討ヒを残しているが異常Q波は認められなかった。またUCG上でも徐々に壁運動
の改善が認められた。今回我々はたこつぼ轍L、筋障害の一例を経験したので、その後の経過を含めて若干の文献的考察を加え
報告する。
[MEMO]
24
A−6IM症膵を疑い帝劫開施行後も朗、板減少.DICが遷延した一例
田島圭子1、谷上 博信2、西原 秀信1、人見 一彰1、梁 勉1、平田 隆彦1、森 隆比古1
1大阪府立病院 麻酔科、2大阪存立成人病センター
肥Lば症候群は、妊娠中に溶血、肝酵素上昇、血小板減少をきたし、「股に妊娠終了とともに速やかに軽l来することが多い。今
回我々は、肥Ⅰ⊥ク症候群疑いで帝王切開を行った後も重度の血小板減少が遷延し、DIC・敗血症を合併した一例を経験したので
幸陪する。(症例)32歳女性、Z回の経妊・経産歴(20歳、21歳時)あるも特記すべきことなし。27歳時に子宮頚部CISで円錐
切除、30歳から慢性C型肝炎。妊娠27週で切迫早産のため頸管縫縮術を施行。32週5日、腹部緊満と肝酵素の上昇仏訂168、
M144)、黄痘と浮腫が出現し、血小板は22.2万/〃1だったがm症候群を疑われて急速逐娩の方針となった。翌日心裔部
痛が出現し、胎児仮死を認め緊急帝王切開術を施行。その翌日無尿、全身浮腫著明となり、全身管理目的で当院に搬送された。
(入院後経過)入院時、全身浮腫と黄痘著明。Ⅲ頑.7g/dl、T−Bi110.3任)−Bi19.7)で溶血性貧血があった。肝酵素はAST44、
Am6と正常イ日頃向。無尿でCr4.54と急性腎不全を認めた。血小板も3.8万と低下。DIC、貧血、血小板減少に対しMAP・FFP
および血小板輸血を行い、F肝】貧与も開始した。入院2日目よりⅠα管理とし、血液透析と血祭交換を開始した。3日目にDIC
が遷延し血小板減少が持続するため低分子ヘパリンの投与も開始。6日目に発熱と下腹部痛があり、血液培養でAeromonas
Fecurlisを検出した。8日目に下腹部痛と急激な貧血の進行があり、腹部CTで腹壁血腫を認めたため、気管内挿管して全身麻
酔下に緊急開腹術を施行、約1kgの血腫を除去した。低分子ヘパリンの投与を中止、術後は人工呼吸管理を行い敗血症に対し
抗生剤とγ−グロブリン製剤を投与した。術後の血小板数は血小板翰血にても1万台で経過し、抗鋸、横坑体の存在を疑い第11
日目にステロイドパルス療法を施行、血小板が3万台まで回復した。PAIがが険出されたためm適合血」、板を愉血、血小板数
は急激に回復。14日日に抜管、15日目でⅠα管理を終了し∵股病棟に帰室した。(考察)本症例は、当初m症候群と考え
られたが帝切後も病状が改善しなかった。病態は、妊娠を契機とした1nicrovascular spasm、血管内皮障害が存在したことか
らmrod30ticthr血ocytopenicpurpura(TTP)に近く、溶血・血小板減少、DIC、腎不全、さらには微小胆管レベルの障害で
一時的な肝不全が惹起されたと考えられる。溶血性貧血、DICに対しては血祭交換が有効であったが、感染症のコントロールも
重要であった。血小板減少の遷延については、当初TⅣに近い病態であったが、次第にDICの病態を呈し、さらに血小板大量
輸血を行ううちに抗M、相克体が産生されIW様の病態へと移行、これに対してはステロイドパルス療法と瓜連合血/ト板輸
血が有効であった。(結語)病態が経時的に変化した重症の産科DICの一例を経験し集中治療にて救命し得た。
[MEMO]
25
A−7重症熱傷の経過中に血凍会食症候群を併発した一例
有揮創志1、大家 祐史2、宮脇 郁子1、内藤 嘉之1
1神戸市立中央市民病院 麻酔札2神戸市立中央市民病院 救急部
重症熱傷の経過中に血球貪食症候群(hemophagocyticsyrdr(:肥,肝S)を発症した症例において血中サイトカイン濃度変化を測定
しえたので幸陪する。【症例】∽歳男性 既往特になし【硯病歴】2001年2月9日午前6時頃、飲酒後、就眠中ストーブの火
が着衣に引火、両上下肢、胸背部に熱傷を負った。自力で隣家に助けを求め、救急車にて他院を受診、熱傷面積70%、気道熱
傷の疑い有りとの診断のもと、気管内挿管の上、当院取入となった。【経瑚Ⅰαにて高頭割腰跡目ンゲル液療法を施行、カテ
コラミン、人工岬吸器にて循環、呼吸機能を支持した。デブリドマン・植皮術を計5回施行し、第12病日ごろよりガーゼ汚染
の減少、炎症兆候の沈新化ほ認め、22病日ごろよりDICの改善を見た。25病日より白血球、血小板が著明に減少し、同時に高
フェリナン血症(715喝血1)を呈した。32病日の骨髄穿刺検査にて、マクロファージの増生と貪食像を多数認め、肝Sと診断、
メチ)L/プレドニゾロン投与を開始した。治療抵抗性であったのでG,CSF、サイクロスポリン(CyA)併用を必要とした。G−GF、CyA
を投与したところ、詣病日に700まで減少した白血球が41病日には㌘00に回復し、血」、板も3万7千より8万2千に回復し
た。また32病日に可溶性インターロイキン2レセプター、インターロイキン6が異常高値を示したが、治療開始後、正常化傾
向を示した。インターフェロンγはⅠα在室中、測定範囲以下であった。一方マクロファージコロニ十刺激因子は異常高値が
持続し、治療抵枕性の肝Sの臨床経過との関連が示唆された。42病日に一般病棟に転棟した後、CyA、GNCSFを中止、ステロイ
ドを漸減、中止したがト199病日)、肝Sの再燃は起こらなかった。以降経過に問題なく、2的2年2月㌶日転院となった。
1CUでの経過
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26
A−8下肢血栓性前脈炎を合併した卵巣腫瘍摘出術にグリーンフィールドフィルターを使用した1症例
宮川慈子1、奥谷 龍1、平井 康純1、野間 秀樹1、杉本 智彦1、天野 一暁1、太城 力良1
1兵庫医科大学病院 集中治療部
【はじめに】今回われわれは、グリーンフィールドフィルターを術前より挿入した下肢血栓性静脈炎合併卵巣腫の術後管理を
経験したので報告する。グリーンフィールドフィルターとは下大静脈フィルター(ⅠⅥF)の一種で、急性肺塞栓症の予防に挿
入され、内径が28m以下の下大静脈に使用される。
【症例】87歳女性、身長145cm、体重45kg。2001年7月より下肢の浮腫を自覚し、近医にて下肢血栓性静脈炎と診断され、ワー
フアリンを内服していた。2002年1月に突然の歩行困難のため精査したところ、腹部汀にて卵巣腫瘍(径11×10×18cm)を
認めた。卵巣腫瘍の腸骨静脈圧迫による静脈炎と考えられ、2月22日に両側卵巣摘出術を予定された。腫瘍摘出後の血流再開
に伴う血栓性肺梗塞の予防のため、手術2日前に腎静脈下にグリーンフィールドフィルターの挿入を行った。術中は特に問題
なく経過した。麻酔覚醒は良好で手術終了後すみやかに抜管し、Ⅰα入室となった。Ⅰ00入室時、酸素マスク51投与にて血液
ガスデータは、bH7.371、PaCOP9.9mnHg、PaO2145.0咄、BE−1.9と良好であった。また、抗凝固療法としてヘパ1)ン持続静注
を行い、ACT150前後を維持した。翌日の胸部レントゲンにて肺野に異常は認められず、呼吸機能も良好なため、術後4日目に
ICU退室となった。術後5日目にグリーンフィールドフィルターを抜去したが、その後も順調に経過した。
[MEMO]
27
A−9甲状腺癌の気管鯛による高度気管狭窄に対して、Ⅴ。rmVen。。SExtra00r,。realLif。S。PP。rt下の縦隔気管切開
で救命しえた3例
松浦壮吾1、柴田 正俊2、白神 豪太郎1
1京都大学 医学部 付属病院 麻酔札2国立京都病院 麻酔科
前頭部悪一朗垂瘍の気管浸潤により高度気管狭窄を来した患者への気管挿管による気道確保は極めて困難である。頚部で気管切
開術を施行すれば出血や手術操作による圧迫・浮腫などによって術中の気道閉塞がおこることに加えて腫瘍の気管切開口再発
の可能性が高い。それらを避けるためには縦隔気管切開術が必要になる。高度気管狭窄患者で経皮心肺補助装置(托pS)を用い
て気管切開術を施行した幸陪では上肢の低酸素血症がみられた(1)。PC円では上肢や月計\の酸素供給が悪いと考えられる(2)。
VenovenousExtracorporealLifeSupport(V−VEC,S)では上肢や月計\の酸素供給がPCPSよりも確実なので、より安全に管理で
きると考えられる。今回われわれは高度気管狭窄症3例にトVECI5を用いて縦隔気管切開術を行い中枢神経障害やその他の合
併症なく管理できたので幸陪する。【症例1】74歳女性、体重41kg。甲状腺癌の気管浸潤により、最狭窄部気管内径3m、呼軍
機能検査で1秒量1.01L、呼気ピークフロー(PEFR)1.76Vsecと高度気管狭窄を示した。血疾とともに呼吸困難・起座呼吸とな
り生命危機に陥ったため、緊急縦隔気管切開術を行うこととなった。局所麻酔下で左大腿鰍右房送血のⅤ−VEα5を開
始した。その後全身麻酔を導入し、ラリンジアルマスクを用いて換気を試みたが、EtCO2は伽Ⅰ晦であった。胸骨部分切除し縦
隔気管切開術を行った。術中はS脚292∼98%、PaCq2弘∼77咄で推移し、体外循環時間52分で無事終了した。気管切開術後
3Elに甲状晩仝摘・叫鰯部分切除・頚部廓清術を行った。術後135日に合併症なく退院した。【症例2】53歳男性、体重
73kg。甲状腺癌が気管に浸潤し、最狭窄部気管内径31m、1秒量1.43L、PEFRl.37Vsecであった。症例1同様、Ⅴ−VECIS補助
下で縦隔気管切開術を施行した。EtCO20m止短,SrD29ト98%.PaCq55∼67Ⅷ晦で推移し、体摘盾環時間は75分であった。ひき
続き甲状腺到滴・喉頭気管部分切除・頚部廓清術を行った。術後91日に合併症なく退院した。【症例3】63歳男性、体重63kg。
甲偶振痛が気管に浸潤し、最狭窄部の気管内径5nm、1秒量2.28L、PEFR3.96Vsecであった。症例1同様、VNVECLS補助下で
縦隔気管切開術を施行した。EtCO2伽m他、S蝿46∼95%、P蛾47∼51皿地で推移し、体外循環時間は40分であった。気管切開
術後7日に甲状腺仝摘・喉頭気管部分切除・頚部廓清術を行った。術後62日に合併症なく退院した。【赤宗吾】甲状腺癌の気管
浸潤による高度気管狭窄症3例に対し、Ⅴ耳Eα5を用いて合併症なく安全に縦隔気管切開術を施行できた。高度気管狭窄症患
者に気管挿管を行なわずⅤ−VEα5を用いて縦隔気管切開術をすることは極めて有用であると考えられる。【文献】(1)麻酔
1999;48:658(2)ArtifOrgans2000;24:640−3
[MEMO]
28
A−10保存的治療により治癒した気管裂傷の1例
高江洲秀樹1、篠崎 真紀1、島 幸宏1、久岡 崇宏1、中 敏夫1、川崎 貞男1、友渕 佳明1、篠崎 正博1
1和歌山県立医科大学附属病院
【はじめに】今回われわれは気管損傷の患者に対し長期の人工呼吸管理で治癒せしめた症例を経験したので報告する。【症
例】70歳,女性。【既往歴】31歳時,乳癌で左乳房摘出術。【硯病歴】平成13年12月19日パンを食べた後から左肩,
背部,胸部の痺痛が出現し持続した。12月25日より少し咳が出てきていたが放置。症状が治まらないため12月26日当院救急
外来を受診し,胸部レントゲン,汀にて右肺野優位の肺炎像を認めた。心電図上ⅠⅠ,ⅠⅠⅠ,aW,V4 V6にて訂低下を認め,
心エコーにて下壁にseverehypokinesisを認めたため,肺炎と不安定狭心症を疑い緊急入院とした。【入院後経過】入院後,
不安定狭心症に対し,ミリスロール,ヘパリンの投与を開始した。肺炎に対してPIPCとMIMを投与したが肺炎像の改善は見
られずむしろ増悪傾向を示した。第3病日には全身倦怠感と38℃の発熱がみられ抗生剤をP肝M///肝に変更した。第4病日の
胸部CTにて右肺野全域と一書防三肺野に及ぶhighdensityareaを認めたため抗生剤CPFXを追加したが第5病日には呼吸状態
が悪化し10Lリザーパーマスク下で当院ICUへ転宣した。【ICU入室後の経過】ICUで気管内挿管の上人工呼吸器管理とした。
81TlmI.D.の挿管チューブを抵抗なく挿管しえたが,確認のレントゲン写真で右への片朋輔管となっていたため気管支鏡を用い
て挿管チューブの引き抜きを行った。その際,気管膜棟部に裂傷を認め,裂傷部からの00Zingが観察された。胸部α検査
を施行したが縦隔気随,皮下気腫はなく,気管裂傷に対しては保存的に加療し,気管支鏡で裂傷部の様子をフォローすること
とした。基本的に毎日気管支鏡検査を行い,気管裂傷部の観察を行った。裂傷部からの00Zingは早期に収束した。気管粘膜は
佗復の機転がはたらきICU入室第12日目には裂傷部が白苔で覆われ,潰瘍l生病変の修復期のような所見を呈するようになっ
た入室27日には裂傷部が粘膜で覆われ,多少の凹凸を残すものの周囲組織と?差異が目立たなくなったのが確認された。不
安定級L、症に対し,心電図モニターの波形を見ながら必要に応じて12誘導L、電図をとり,ミリスロールの投与量を調節し,明
らかな虚血発作は認めなかった。肺炎に関しては培養検査の結果と炎症反応の経過を見ながら抗生剤の投与を行った。経過中,
背側無気肺,胸水の貯留を認めたが,胸水吸引で経過は良好であった。裂傷部の状態が安定してきた頃から徐々にweaningを
すすめ,ICU入室第27日に一般病棟へ転棟となった。【まとめ】不安定狭心症に合併した肺炎の患者で,気管内挿管時に起きた
と思われる気管裂傷に対し長期間の人工呼吸管理下で保存的に治療し,良好な結果を得た。
[MEMO]
29
A−11桂皮的心肺補助装置(PCPS)を用いて早期にショックから離脱しえた3症例
安達麻由子1、天谷 文昌1、井上 静香1、坂野 英俊1、松田 知之1、尾崎 容子1、木村 彰夫1、間 瀬子1、橋本 悟1、
夜久 均2
1京都府立医科大学 集中治療部、2京都府立医科大学 ノL欄蔵血管外科
急速に進行する循環虚脱に対して経皮的心肺補助装置(PCPS)を用いることで血行動態が安定し、早期にPCPSから離脱した3症
例を経験した。(症例1)59歳男性。冠動脈狭窄症に対してoff−punpCABG施行。集中治療室入室直後に痺痛に対してジクロブェ
ナク坐薬501喝を使用した。座薬使用後より血圧低下、10分後には収縮期血圧80m地となり昇圧剤への反応も不良であった。
血圧低下はヨ胡売し、座薬使用15分後にはペーシング不全をきたした。30分後、心臓マッサージ開始。エビネフリン1喝投与に
反応なく35分後L、停止に至った。一連の蘇生処置中にPαSを準備し、心停止から20分後より補助開始した。機械的補助のの
ち循環動態は安定した。術後1日目(PODl)にPCPSから離脱し、POD4にはIABPを抜去した。PCPS離脱後も循環、呼吸動態は安
定しており、Pα)10には抜管可能となった。抜管時に失語、右上下肢運動障害、喋下障害を認めたが意謝犬態は改善しP∞13
にICU退室した。(症例2)72歳、男ノ鮎冠動脈狭窄症に対しoffrpl劇pCABG施行。集中治療室入室直後よりペーシング不全を
認め、その2分後に心室頻拍(VT)となった。電気的除細動により自己Lヰ白は回復したが循環虚脱は持続し、昇圧剤への反応も
不良であった。Vrから27分後PCPS開始、約2時間30分後IABP開始。その後血行動態は安定し翌朝PCPS抜去。POD3IABP抜
去。POD5抜管。P(刀7過重。神経障害は認めなかった。(症例3)39歳、男性。拡張型心筋症に対し薬物療法中であったが心不全
進行し急速な循環虚脱をきたした。ICU入室前日よりPCPS、Ⅰ膿Pによる循環補助が開始されており、血行動態は安定していた。
入室後第2病日にはPCPSから離脱に成功、昇圧剤の少量投与で循環管理が可能であった。その後、肝、腎機能低下が続発し血
祭交換、持続血液濾過を行いながら心移植のタイミングをうかがったが、肝不全の増悪により第21病日に失った。(考察)当院
では薬物治療に反応しない急速な循環不全症柳こ対してはPCPSによる循環補助を躊緒なく導入する方針である。今回の3症例
は初期の薬物治療には抵抗性であったが、機械的補助の後には血行動態は安定しP〔㌘Sからの離脱は速やかに行うことが可能で
あった。最終的な予後は原因疾患の治療の可否によって分けられたため、その適応は再検討するべきと考えられる。
[MEMO】
jO
A−12循環虚脱により経皮的心肺補助法(PCPS)を使用した冠軌眼疾患55例について
林田恭子1、高橋 玲比古1、中嶋 俊介1、夜久 均2、蔦田 泰之2、春藤 啓介2、岡野 高久2、同 党彦2、山田 義明コ、
藤原 克次2、新川 武史2、宮崎 隆子2、福本 淳2、北村 信夫2
}高橋病院 ノL周蔵血管センター、2京都府立医科大学 ノLⅦ蔵血管夕陣ト
心原性ショックや心停止,薬剤耐性の不整脈に対する緊急循環補助手段として経皮的心肺補助法(PCPS)を使用し、救命できた
症例を経験している。当センターでの最近のPCPS使用症例、とくに冠動脈疾患症例の成績と適応について検討したので幸陪す
「7
匂0
対象は、平成11年1月から平成14年3月までに、PCPSを装着した78例のうち、冠動脈疾患症例55例(急性心筋梗塞50例、
不安定狭心症4例,陳旧性心筋梗塞1例)。男女比は33対22、平均年齢71.1歳であった。冠動脈疾患症例の平均病変枝数は
2.0枝で、左冠動脈主幹部(1∬r)病変を伴う症例が17例(31.4%)、Ⅰ』D、L駄近位部(♯6、♯11)に病変がある症例が17例(31.4%)、
計34例(62.8%)に左冠動脈に重度の冠虚血を認めた。PCPS平均駆動時間は65.7時間。離脱率は34.5%(19/55)。生存率は
20.0%(11/55)であった。
AMIによる循環虚脱、不整脈により、26例は外来もしくは血管造影室でPCPSを導入し、直ちにインターベンションを行った。
そのうち10例致命できた。また、致命できた症例には、、90歳の;尉列も含まれていた。1例はインターベンションを行わず、緊
急冠動月厄バイパス術(CABC)を行ったがPCPSから離脱できず失った。インターベンション後,CABG後にPCPSを導入した症例で
は,呼吸不全により心停止を来した1例は救命できたが,他の症例は枚命できなかった。
今回、冠動脈痕軌二より循環虚脱を来した場合も、PCPS下に直ちにインターベンションが可能であった例では救命例が得られ
た。】→方インターベンションもしくはC膿Gにより、再還流した後に循環不全、もしくは不整脈を来たした場合、救命は困難で
あった。
[MEMO]
31
A−13ショック雌で来院し、緊急敵的冠動脈形成術(PCI)と脚、PC円による循御助で粉できた左冠動脈主斡
部閉塞による急性ノL廟梗塞症の1例
阿部幸雄1、伊藤 彰1、占野 賢司1、梶谷 昌史1、蓮田 欣也1、小松 龍士1、大塚 雅人1、坂上 裕司1、成子 隆彦
1、島津 和久2、氏野 博昭2、林下 浩土2、韓 正訓2、重本 達弘2、鍛冶 有登2、土師 一夫1
1大阪市立総合医療センター 循環器内科、2大阪市立総合医療センター 枚命救急センター
左主幹部閉塞による急性心筋梗塞症は梗塞リスクエリアがきわめて大きく、発症早期から重症ポンプ失調、心原性ショックと
なる症例が多く、政命が困経である場合が多い。梗塞責任病変に対するPCIのみでは枚命が困難で、適切な時期での補助循環
の併用が重要である。今回我々はショックで来院し、IABP、緊急PCI、PCPS併用で救命できた左主幹部梗塞の1例を報告する。
症例は52歳、男性。主訴は胸痛と呼吸困難である。2002年4月8日、朝8時頃、歩行中に突然胸痛と呼吸困難が出硯し、救急
車で来院途中にショック状態となった。来院時は服30−60/分の徐脈で、血圧は測定不能であった。心電図ではIa軋Ⅶ−6で
訂上昇、Ⅴト3のR波減高、ⅠⅠⅠⅠⅠ訓Fで訂低下しており、その後に完全左脚ブロックとなった。カテコラミン投与で昇圧を
はかりつつ心力テ室に搬送し、IA肝を挿入後に緊急冠動脈造影を施行した。左主幹部が完全閉塞しており、右冠動脈からの僻
副血行はほとんどなかった。左前下行枝、回旋枝の両枝にガイドワイヤーを通過させ打Ⅰを施行した。しかし、ステント留置
前に心室頻拍が頻発し、∝による停止が困難で、血行動態がさらに不安定となったためにこの時点でPαSを導入した。その後
左主幹部にステント(Tristar4.0,8ntn)を留置して十分な関大が得られたが、前下行枝には軽度造影遅延が残存した。CK最高
値14253、α一眼最高値1000、A訂最高値1166であった。その後、第5病日にP〔PSを離脱し、8病日にはⅠ脚を抜去、10痴
日に抜管できた。IABP、PCPSによる大きな合併症はなく、また、PCPS導入前に数分間CPRを施行したが虚血性脳障害もなか・=
た。現在、歩行など病棟でのリハビリテーションを継続中である。
[MEMO]
32
A−14ショックをきたした急性肺動脈血栓塞栓症の2症例
岡崎英俊1、角地祐幸1、坂巻文雄1、京谷晋吾1、中西重文1、野々木宏1
個立循環器病センター ノL周蔵血管内科部門
今回我々はショックで救急搬送された症例に胸壁心エコ 図が有用であった急性肺血栓塞栓症を経験したので幸陪する。
症例1,59才女性。高血圧症にて近医通院中、2001年
3月3日、沖縄旅行より帰宅したところ動悸あり、近医受診したが特に異常を指摘されなかった。翌日午後9時30分、痙挙党
†相場現し同院受診したところ収縮期血圧70蛾でチアノーゼ著明でショック状態であった。心電図上Ⅶ−6にて訂低下を認
め、急憎し筋梗塞症を疑われ当院に救急搬送された。午後11時当院到着直後にHR30bpmの徐脈となりPEAとなった。直ちにCPR
を開始しながら、心エコーを行った。心エコー図上、石室、右房の拡大と左室の庄排に加え、右房から石室にかけて流入する多
量の血栓を認めAcutemassiveFTEと診断した。直ちに緊急手術を考慮したが蘇生に反応なく、永眠された。
症例2,80才女性、2002年3月29日大腿骨頸部骨折に対しc〔明)reSSionhipscrew施行した。4月9日車椅子に座った際に
呼吸困難出現し、痙攣した。収縮期血圧50Ⅷ鴫とショック状態であり当院に緊急搬送された。心電図ではV3−6にて訂低下を
認めるのみであった。外来で直ちに心エコー図を施行したところ心エコー図上、石室、右房の拡大と左室の庄排に加え、右房内
に浮遊する血栓を認めAcutenlaSSivePTEと診断した。直ちに緊急手術を行い、右房内及び両肺動脈から多量の血栓を摘出し
た。術後経過良好で現在抗凝固療法にて経過観察中である。
急l型柿血胎動仝症は近年増加していると言われているが、その診断は心電図だけでは困難なことが多い。経胸壁心エコー図は
左室の圧排や肺高血圧所見から急性肺血栓塞栓症においてベッドサイドで可能な迅速且つ簡便な診断法である。右房、石室に
浮遊血栓を認める場合には緊急手術も治療選択の一つと成り得るが、特にショックを呈している場合には迅速な診断が予後を
決めると言っても過言ではない。循環器政急における初期鑑別診断に心エコー図は極めて有用である。
[MEMO]
33
A−15Ⅰ剰折時の下肢虚血に対する工夫
阪越信雄1、安田 治正1、田山 雅雄1、三嶋 正芳2
1河内総合病院JL周蔵センター タ怖ト、2河内総合病院 ノL周蔵センター 内科
【はじめに】大腿動脈を経路として補助循環を施行する際の下肢虚血は時に重大な問題となり種々の対策が必要となる。今回
我々は、Ⅰ膿P施行時に生じた下肢虚血による切迫肢切断に対し、下肢末梢への血液供給に工夫を凝らし故肢した症例を経験し
たので報告する。【症例】73才女性。不安定狭心症から心原性ショックに陥り、拍動を確認できた左大腿動脈から15Fr送血管
を、左大腿静脈から18Fr脱血管を、それぞれ経皮的に挿入しPCPSを開始した。両側上腕動脈をカットダウンし、左側には4
Frシースを留置し動脈圧ラインとして使桐し、右側には5Frシースを留置しここから緊急冠動脈カテーテル検査、および右冠
動脈へのPⅧA十ステント留置を行った。同時に施行した下肢動脈造影で右総腸骨動脈の完全閉塞と左浅大腿動脈の大腿中央部
での完全閉塞を認めた。左上腕動脈のシースはその後の動脈圧モニターとして使用する目的で留置し、検査を終了した。ICU
入室直後からPCPS送血管による左下肢の虚血症状を認めたため、左鼠径部を切開し左大腿動月灰から16Gエラスター針を末梢側
に向けて挿入し、PCPS送血回路側枝から延長チューブを介して下月茹基血を行った。これにより虚血症状は改善した。2日間の
PCPSの後、左大腿動脈の送血管挿入部にタバコ縫合を置き、送血管抜去後、同部位から7FrのIABPを甜帝人した。IABP開
始数時間後から左下腿硬直などの虚血症状が出現してきたため、再度左大月遊捌派から16Gエラスター針を挿入し末梢側を港流
することにした。血液供給源として簡単に使用できる動脈がないため、まず右大腿静脈に留置していた9Fr透析用ダブルルー
メン・カテーテルからローラーポンプを用いて脱血し、静脈血を左下肢に送血した。港流量を4伽11ノ血inから8伽1血inまで漸
増したが、左足背動脈でドップラー音は聴取するものの下肢虚血鹿状は改善しなかった。次に左上腕動脈に留置していた4Fl・
シースから外シャント回路を介して左下肢への送血を試みたが、延長チューブや下肢の抵抗が高いためか流量は得られなかっ
た。そこで左_一日協動脈からローラーポンプを用いて脱血し80ml血inで強制的に港流したところ、下肢の虚血症状は改善した。
以後、Ⅰ膿P施行中の4日間、下肢に関して特に問題を生じなかった。患者は第17病日に多臓器不全にて死亡した。【結語】Ⅰ脳P
施行時に生じた下肢虚血に対し、大腿動脈末梢側へ80ml血inの流量で動脈血を送血することにより救肢できた。
[MEMO]
34
At16拡張凱、筋症.心移植待機居者における左室補助循環(ms)ウイーニングの検討
国重めぐみ1、中土義章1、柏瀬一路1、新谷泰範1、彦惣俊吾l、水野裕八1、真野敏昭1、西田和彦1、堀正二l
l大阪大学大学院医学研究科 病態情鞭内科学
重症心不全に対する内科的治療には限界があり、心臓移植へのブリッジとして左室補助循環が用いられているが、合併症を
生じる例が少なくない。補助循環による負荷軽減によって心機能が著明に改善し、ウイーニングに成功する例が報告されてい
るが、その基準については明らかではない。我々はmS装着により著明な心機能の改善を認めながら、ウイーニング適応かど
うかの判断が困難であった症例を経験したので、同様の自験・他謝列の幸陪も含め検討した。
症例は35歳男性。2001年1月頃より労作時息切れを自覚。徐々に増悪し、心拡大、肺うっ血を認め入院。左室内腔拡
大、左室壁運動の全体的な低下を認めた。安静臥床、利尿薬、血管拡張薬、カテコラミン製剤等の治療に反応不良で、Ⅰ∬AS汀CI,
1〕neし≠natic type)を装着した。心筋生検では線経化は軽度で、炎症轟即包浸潤は認めなかった。ペア血清において優位な杭ウイ
ルス抗体価の上昇は認めなかった。U仏S装着後IJⅧdの減少、Ⅰ〟肝の増加、ノLヰ自数の減少、血圧の上昇が認められた。装着後
153E]にOFFテストを行い、良好な心機能を確認した後、ウイーニングを開始した。Carvedilolを開始し徐々に増量するとと
もにエルゴメーターによるリハビリを開始した。LVASのfixedrateを70bpmからl週間ごとに5bpmずつ減少させたが血行
動態の著変を認めなかった。Dobutamine負荷テストでは血圧の急上昇により安定した評価は不可能であった。運動負荷テスト
では運動により自己血圧の上昇が認められたが、VO2は低値であった。心臓核医学検査では・L、筋潅流は保たれていたが、和GTPET、
甜Ⅰ汗、MIBGにおいても集積は低下したままであり左室壁運動の著明な改善とは東経した所見であった。現在リハビリを続行し
ながら、負荷テストを再検して完全維脱の可能性・時期について検討中である。
[MEMO]
35
A−17腹部大動脈破裂の患者のショック改善のために用いたフォガティオクルージョンカテーテルが閑となり巨大動
脈血栓症を引き起こしたと考えられた一例
田中孝憲1、夜久 英明1、木村 好江1、出田 眞一1祁1、森川 修1、三佳 祐誉1、佐藤 仁昭1、上杉 貴信1、松岡 香哲
1、尾原 秀史1
1神戸大学 医学部 附属病院 集中治療部
我々は今回、腹部大動脈痛破裂の患者でフォガティオクルージョンカテーテルが原因となったと思われる、巨大動脈血栓症を
経験したので幸陪する。(症例)85歳男性。胸痛、腹痛にて近医受診したところ、CTにて腹部大動脈癌破裂指摘され当院へ
救急搬送された。来院時は意識清明、血圧は126/83咄 ノLヰ白数100BⅧ呼吸数24回/分であった。手術室取入後、プロポフォー
ル、フェンタニル、ベクロニウムで導入した。左上腕動脈よりフォガテイ&♯9415;オクルージョンカテーテル挿入し血流遮断し
た所、導入時80台まで低下した収縮期血圧が120台まで上昇した。腹吾旺中切開にて観潮莫に到達し大動脈を露出、全身ヘパ
リン化の後大動脈クランプした。フォガティオクルージョンカテーテルをデフレートしたところ血圧が急激に低下、収縮期血
圧が50台となり心室細動が出現した。ノL周蔵マッサージ、除細動を行なった。PCPSを大腿静脈脱血管、フォガティオクルージョ
ンカテーテルの挿入部であった上腕動月厄より送血管を挿入して開始した。その後も数回にわたり心室細動が出現したが除細動
し手術を続行した。人工血管の中枢側が吻合できた時点で、経食道L、エコー施行したところ上行大動脈から弓部さらには下行
大動脈にかけて動脈内に血栓が存在しているのが確認された。このため人工血管よりフォガテイカテーテル施行したところ約
8cmの新鮮血栓が採取できた。人工血管置換終了後止血中に腸管の色調が悪化しているのが発見されたので、小腸の⊥部を切除
し人工月工門増設した。血行動態が安定してきたため、P(PSを経脱し手術を終了した。経食道心エコーでの観察は手術終了時ま
で続行したが最後まで存在するものもあれ憾肖えてなくなってしまうものもあった。術後1日目に頭部CT施行したところ、
両側小脳、後頭葉、側頭葉に梗塞巣みら粒椎骨動脈領域におけるshower el血01izationが疑われた。(考察)フォガティオク
ルージョンカテーテル(Baxter社製)は一時的に血管を閉塞し出血を止めショック状態の改善に使用される。しかしながらヘパ
リンコーティング等の処理がなされていない。このため今回の症例の様に、心室細動を起こした患者ではL欄蔵からの相出され
る血液の流速が低下した場合、このカテーテルが原因となって血栓を作ることが考えられる.二.このことよりこういった器具に
はペパリンコーティング等の処理が必要になることがあると思われた二
[MEMO]
3()
At18術後多臓器不全や真菌感染症の治療軋ノL毒性不整脈ヤショートランを多発した症例
三住拓誉1、夜久 英明1、出田 眞一郎1、もりかわ おさむ1、佐藤 仁昭1、上杉 貴信1、田中 孝憲1、尾原 秀史1
ユ神戸大学 医学部 附属病院 集中治療部
【はじめに】真菌感染症は集中治療領域において特に難治性感染症であり、長期の抗真菌薬の投与を余儀なくされる事が多い。
我々は、術後真菌感染症の治療中に心室性不整脈が多発し、抗真菌薬との関連が疑われた症例を経験したので報告する。【症例】
72歳、女性。腹部大動脈癌破裂によるショックのため救急搬送され、緊急手術で腹部大動脈人工血管置換術が行われた。手術
開始後の血液検査ではヘモグロビン1.6g/dlであった。手術翌日には人工血管吻合部出血のため再開腹止血術、血腫除去、人
]刀工門造設を、術後5日目には消化管壊死のため小腸と直腸の部分切除が行われ、腹腔内からC.albicansが検出された。術後
経過では、中枢神経障害、A抑S、急性腎不全、肝不全、下月姐流障害を生じ、人工呼吸、血渡交換、血液濾過透析などにより
治療を行った。腹腔ドレーンよりC.albicansが多量に検出されるため、術後6日目より15日目までミコナゾール400mg/日を
投与していたが、brD−glucanは400nghl程度まで上昇し、腹腔内感染が改善しないため、術後16E7日よりフルコナゾール50
\1C伽か日ヤアンフォテリシンBの経陽投与を開始した。術後30日目よりショートランが散発したため、リドカイン持続投与
を開始したが効果なく、術後31日日には1−2秒持続するショートランが1−3回/分と高頻度に生じ始めた。術後32日目にフル
コナゾールを中止し、ミコナゾールへ変更した。術後6日目より投与していた0.05〃が(〆分の塩酸コルホルシンダロバートも
不整脈との関連を疑ったため中止し、抗不整脈薬のアプリンジン60喝/日の投与を開始した。術後33日目にはショrトランは
生じなくなり、心室性不整脈の頻度も少なくなった。術後37日目にアプリンジンの投与も中止し、ICUよりStepd釧ntmit
に転宣し、術後45日目に一般病棟に転棟した。【考察】他刺が原因であることも考えられ、フルコナゾールが、ショートラン
の原因薬剤とは確定できないが、薬剤の性質や経過から最も疑わしいと考えられた。フルコナゾールは腎排泄性であるため、
1〔伽〆日と少量の投与であったが、クレアチニンクリアランスが10n山′分であった当患者にとって過量投与であった可能性があ
る。このような腎不全を合併した患者の場合、血中濃度の測定が望ましいが、本剤は当院で測定不能であったため、100喝/日
を連日投与した事は反省の余地があると考えている。
[MEMO]
37
A−19脳裡宜後症攣重横鮒二よる横紋筋融角矧こより急性腎不全となった1例
振差津十、卜雌 竹郎1、田中 佳子1、中尾 博之1
叫汁仙北病院 麻酔科
脳梗塞後遺症である症候性てんかんによると考えられる痙攣重積発作によりミオグロビン尿症を生じ急性腎不全となった1例
を経験したので報告する。(症例)患者は53歳男性(現病歴)ボーとした感じがあるという主訴にて自家用車を自分で運転し
当院救急外来を受診した。頭部汀にて左前頭葉に陳旧性脳梗塞と考えられるu仏が認められるのみであった。CT撮影後に痙攣
発作が出現、ジアゼパム投与により一時的に痙攣状態は改善したものの、しばらくして痙攣重積状態となり呼吸状態、意識状
態が悪化したため、ICU入室となった。ICU入室後、痙攣のコントロール目的にミダゾラムによる持続鎮静下に人工呼吸管理を
開始した。ICU入室時は著しい代謝性アシドーシスを示していたが、8%重曹水投与によりアシドーシスは速やかにに改善した。
第1病日より急速に乏尿が出現したため、容量負荷、利尿剤(フロセミド)投与を行うも治療に反応せず、尿素窒素(以下別朗)
は22.5m〆dl、クレアチニン(以下Cr)は2.2喝刷と急性腎不全所見を示した。第2病日に抜管後血液透析(以下Ⅱ)を施行
した。尿量は徐々に増加したものの、第3病日より再び痙攣重棒状態となったため、鎮静下/u二呼吸管理とともに持続血液透
析(以下00)を開始した。C抑は第8病日まで轟断売、翌第9病日には意識レベルがほ庸青明となったため抜管を行った。尿量
は回復していたが、第9病日より第14病日まで抑を施行した。今回の急性腎不全の原因としてはクレアチンキナーゼ値の上
昇(最高値3545ⅠⅣ1)と尿中ミオグロビン値の上昇極70ng血1:正常値≦10)、BUN増加に比しCr増加が著しいことにより、
痙攣重積発作による横紋筋融解症が考えられた。痘攣発作の原因に関しては初診時心電図がL、房和動であったため、脳梗塞急
性期に伴う痙攣発作を疑ったが、第6病日の頭部汀では来院時の頭部汀に比し、新たな梗塞巣の出現は認められなかったた
め、陳旧性脳梗塞に伴う症候性てんかんによるものと推察された。(結語)陳旧1朝脳梗塞に伴う痙攣重積発作により横紋筋融解
症を来し、急性腎不全を生じた1例を経験した。当初C聞値が高値を示さなかうたため、急性腎不全の原因解明に時間を要し
たが、血液透析を用い救命しえた。痙攣重積発作後の急性腎不全の原因として横紋筋融解症を考慮することも重要である。
[MEMO]
38
A−20下行胸部大動脈癌術後に脊髄梗塞を合併し、術後の髄液中㌻100蛋白濃度が著明に上昇した2症例
野間秀樹1、奥谷 龍1、植木 隆介1、平井 康純1、杉本 智彦ユ、天野 一暁1、宮川 慈子1、太城 力良1
鳩庫医科大学病院集中治療部
【はじめに】S−100蛋白とは分子量21000の酸性タンパク質で神経日新田胞やSc山都m細胞内に特異的に存在し、脳障害が起こる
と脳脊髄液中や血清中のS−100蛋白濃度が上昇することが知られている。胸部大動脈癌の手術では大動脈遮断による脳塞栓や
術環停止などによる脳神経障害、また、術中Ada止iwics動脈の損傷により脊髄梗塞を引き起こす可能性がある。今回演者は、
下行胸部大動脈癌術後に脊髄梗塞が判明した2症例の髄液中S−100濃度の推移を幸陪する。
【症例1】56歳男性。身長163cml、体重661(‰既往歴:53歳日朝茜梗塞。平成12年5月の健廉診断で胸部Ⅹ線上異常陰影を認め
たため当院胸部夕悼卜に紹介受診した。多発性下行胸部大動脈癌と診断され、緊急入院後人工血管置換術が施行された。術中は
柑二問題はなかった。手術翌日には覚醒良好で抜管したが、術直後より完全対麻痺と第9胸椎レベル以下の知覚鈍麻を認めた
ため、脊髄の血流改善目的でステロイド(メチルプレドニゾロン1000喝・dayl)の静脈内投与に加え、塩酸ナロキソンの持続
新主癖去(1〃g・ぬ1・時1)を開始した。以後、症状は速やかに改善し、対麻痺は消失し、術後二日目にⅠαを退室した。眼Ⅰ
す:貪査では脊椎前角細胞に梗塞像を認めたが、術後何ら神経学的障害を残すことなく退院できた。血清S−100蛋白は術中大動脈
遮断解除前に最高値2.28喝血1(正常値:0.076±0.025ng血1)を示し、術後は正常値に戻った。しかし、髄液S−100蛋白は術
小1.26喝血1(正常値:0.45±0.18喝血1)まで上昇し、手術翌日には9.7n離11、術後2日目には18.611かnlと異常高値で経過
した。
【症例2】60歳、男性、身長163cm、体重67短。既往歴に高血圧があり、内服加療していた。胸腹部大動脈癌破裂のため当院
へ搬送され、大動脈人工血管置換術が緊急に施行された。術後覚醒は良好で翌日には抜管できた。神経学的所見として¶112レ
ベル以下の冷覚、痛覚の低下および両下月支筋力の低下を認めた。ステロイド(メチルプレドニゾロン2g・dayl)投与5日間と、
十ロキソンの持続静注療法(1〃g・kgl・時1)を開始し、術後4日目より下肢筋力の回復が若干ではあるが認められるように
なった。血清SlOO蛋白は大動脈遮断解除前に3.31ng血1と最高値を示し、以後低下した。ところが、髄液中のSlOO蛋白は手
術終了時に4.22nかnlと高値を示し、手術終了24時間後にはさらに25.9喝血1まで上昇した。
【考察】SlOO蛋白は周術期脳障害の損傷度を反映する指標といわれている。この2症例では意識障害はなく、脊髄梗塞のみを
発症したが、髄液中SlOO蛋白の異常高値を認めた。SlOO蛋白動態は血液濃度より髄液の方が敏感かつ特異的と考えられるが、
いまだベッドサイド検査にいたっていないのが現状である。
[MEMO]
39
A−21免疫抑制剤Ⅷ506による脳症が疑われた一例
松田陽一1、木内 恵子1、福光 一夫1、谷口 晃啓1、中尾 文弥1、平尾 収1、宮本 善一1、春名 純一1
1大阪府立母子保健総合医療センター 麻酔科
急性白血病に対しミスマッチドナーからの骨髄移植を余儀なくされる症例があるが、その場合副作用で重度の別冊(移植片対
宿主病)が発生する可能性が高く、予防治療として免脚肺り剤が必須である。今回、免疫抑制剤聞506(タクロリムス)の副作
用と思われる疫攣、脳症が党症したためその後の治療に難渋した症例を経験したので幸陛テする。
【症例】13歳男性。T一皿L仔細胞型急性リンパ性白血病)と診断され2001年2月より化学療法開始。寛解後維持療法にて骨
髄抑制が持続するため骨髄移植の方針となった。2002年2月骨髄移植施行¢恥タイピングで1座ミスマッチのバンクドナー
より)。GⅥ心予防のためメトトレキサート間欠投与、円く506持続投与を開始したが、8日目より全身に発疹が出現。急性(Ⅳル
と診断し、ステロイドパルス療法3日間施行。その後発疹は改善したが、浮腫、腹水、発熱が持続するため15日日に再びステ
ロイドパルス療法施行。16日目より意識障害、全身の間代性痙攣が出現。各種抗痙攣剤が無効のため、気管挿管後チアミラー
ル持続投与開始しICUに入室した。頭部汀で異常を認めず、脳波では高振幅徐波が認められた。和506による脳症が疑われた
ため投与を中止した(血中濃度は治療域)。脳波をモニタリングしながらチアミラールの減量を試みたが、意識レベルはJCS200
以上の改善を認めず、減量すると再び高振巾論波が出現するため中止できなかった。28日目より急性(Ⅳルが再び悪化し、ス
テロイドパルス療法、シクロスポリン、メトトレキサート投与を開始したが改善せず、家族の同意のもと聞506も再開したが
GⅥ廿の進行を抑制できず、47日目に永眠された。
【考察】GⅧ予防のために投与される免疫抑制剤は骨髄移植の成否にかかわる薬剤であり、その副作用への対応は重要な問題
である。過去の幸陪では、和506による脳症は投薬中止または減量により速やかに改善したというものが多い。今回の症例では
脳症の改善は見られず、原因として聞506の副作用以外の可緒性も考えられるが、まれに重症化するという幸陪もあり注意を
要する。
[MEMO]
40
A−22髄腔内バンコマイシン投与が著効した重症肺炎球菌性髄膜炎の一症酢
薩田 章子1、小林 敦子1、高野 泰明1、松山 広樹1、川村 光喜1
リこ阪府済生会吹田柄院
若年女性に突然発症したきわめて重篤な肺炎球菌性潮膜脳炎を呈し、髄腔内バンコマイシンⅣ〔:M)注入、大量ペニシリン投与
にて意識レベルがほぼ正常にまで改善し救命しえた症例を経験したので報告する。25歳女性。平成14年2月4日、頭痛と39
夜台の発熱で当院受診し、三叉神経痛の診断でカルバマゼピンを処方された。このとき顔面の強い痛みを訴えるもの眉湖莫炎を
疑わせる所見は無く脳MRIでも正常であった。2月15日、自宅で便失禁しているのを家人が見つけ、当院Ⅰαに収容された。
意識障害が著明なため挿管、呼吸管理を開始した。汀上、脳浮腫、脳室拡大と、左前頭葉に低陽晩成があった。腰椎穿刺を施
行したところ、黄白色の膿状の髄液及び多数の双球菌を認めた。肺炎球菌性髄日英炎を疑い、Ⅵ加2g/日静注を開始した。水頭症
が存在したため全身麻酔下に脳室内ドレナージチューブを挿入した。副鼻腔からの炎症波及を疑い、副鼻腔ドレナージも行っ
たが膿鼻汁は認められなかった。術後も意識障害著明で40℃以上の高熱が持続するため、ブランケットにて全身冷却を行った。
腰粒穿刺で採取した髄液のデータは奔即包数が8万と脳室ドレナージチューブの髄液との細胞数に差があったため髄液循環不全
を疑い、u−5腰椎問からの腰椎穿刺にて髄液関取とⅦ肥肋】g儲朝空内注入を開始したところ髄液所見の著明な改善が見られた。
起炎菌はペニシリン感受性であることが判明したので、抗生物質をⅥ加からPIPC12g/日静注に変更した。その後意謝犬態は著
明に改善し、髄液の細胞数も激減した。脳MRIで上左前頭菓底部に硬膜下膿瘍が認められたが菌の進入姫路は未だ不明である。
19日目に全身状態が改善しICUを退室した。現在意識はほ庸青明となり、歩行も可能となっている。
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41
A−23塩酸オルプリノン緩徐持続静注の有効性、安全性の検討
森正信1、横岡 直也1、西 信一1、浅田 章1
1大阪市立大学大学院 医学研究科 麻酔・集中治療医学分野
【目的】pDEIII阻害薬の一つである塩酸オルプリノンは強ノLイ乍用と血管拡張作用を併せ持ち、初期量一回投与に伴う血圧低下
が問題となるため、血行動態の不安定な症例には慎重な投与が必要となる。今回我々は塩酸オルプリノンを初期量一回投与せ
ず持続静注のみの投与を行ない、その有効性、安全性を検討した。【対象と方法】ICUに入室した関心術後症例6例とSI芯に伴
う他L湖山量状態4例に対して塩酸オルプリノンの0.2〃が喀血inを持続静注した。1・5,3時間後の血中濃度を高速液体クロマ
トグラフィーにより測定し、経時的な血中濃度を推定した。また強心作用の指標としてcardiacindex(CI),血管拡張作用の指
標としてsystel11icvascularresistanceindex(SVRI)を測定し、血行動態として血圧、月田自数を検討した。【結果】仝症例で最
小有効血中濃度と言われている20nかI11に到達しており、平均到達時間は45分であった。訊収Ⅰの減少に引き続き、CIの増加
が得られ血管拡張作用が強心作用に先行する結果となった。CI,SⅧⅠともに約4時間後には最大効果が得られた。経過中、血圧
低下に対しては、肺動脈楔人庄101咄以上を目標に循環血液量の補正を行ない、昇庄薬の使用を必要とせず著明な低血圧は認
められなかった。脈拍数に大きな変動はなく、問題となるような不整脈の発現も認めなかった。【考察】血行動態の不安定な症
例でも緩徐に持続静注することにより、塩酸オルプリノンを安全かつ有効に使用できると考えられる。
[MEMO]
42
A−24中枢性尻崩症患者が敗血症から急性腎不全とな。た1症例
植木隆介1、奥谷 龍1、野間 秀樹1、天野 一暁1、平井 廉純1、杉本 智彦1、太城 力良1
!兵庫医科大学病院集中治療部
はじめに:演者らは中枢性尿崩症患者が敗血症性ショックから急性腎不全に陥ったが、集中治療を行うことで腎機能の回復を
認めた1症例を経験したので報告する。症例:37歳男性、15歳時に松果体腫瘍に対して、放射線療法と化学療法を施行した。
その後、汎下垂体隙能低下症、尿崩症となり、デスモプレッシン点鼻(7.5〃gX2回/日)にて治療していた。平成13年11月
桂一旬より上気道炎、全身倦怠感が出現したため、12月27日脳外軋入院となった。入院後も発熱、黄色疾を認め、抗生封股与、
甜陽栄養、末梢静脈輸液で治療されたが、病状は徐々に悪化したが、尿量は保たれていたため、デスモプレッシンの点鼻は継
続されていた。平成14年1月15日、突然の血圧低下(収縮期50血地台)、その直後から無尿となりICU緊急入室となった。
入室時、血圧90/60n鵬、ノL寸自数110///分、白血球数41000/〃1、C貯16.6喝川1も急増していたため、敗血症性ショックによ
る急性腎不全と診断した。直ちにエンドトキシン吸着療法貯蝦)等の集中治療を開始した。喀疾培養では眼SAを認めたが、
り腑描線では明らかな肺炎像はなく、肺酸素化能も比較的保たれていた。尿量はデスモプレッシン点鼻を1月15日の柳から中
【Lしていたが、入室後尿量は利尿剤投与に反応せず、0、2伽11/時であった。腎機能は入室時血清BUN71喝/dl、Cr3.9llngAl
と悪化し、CルFを開始した。α肝開始後10時間で尿量は40∼501山/時と増力甜頃向であったため一時中止した。しかし、翌日の
生化学検査で血清BUN、Crはさらに悪化し、抑を施行した。入室3日後の腎ドップラーエコー検査にて、急性尿細管壊死の回
復期と考えられた。意識レベルは入室日割頃日尉頃向であったが、徐々に改善し、第6病日にICUを退室した。退室時の尿量は1500
\2400nll/日であったが、血清Crの低下は緩徐であり退室後も隔日で第10病日まで肥を施行した。尿量は第10病日で3800ml
と増加したため、デスモプレッシン点鼻(2.5〃gXl回/日)を再開した。その後は腎機能も正常範囲に回復し、約1ヶ月後退院
となった。経過中に測定したバゾプレッシン(此朋)はいずれも基準値以下の低値であった。考察:中枢性尿崩症患者が敗血症性
ショックから腎不全に陥った報告はない。本症例では、通常の敗血症患者に行なう集中治療により腎機能の回複を認めた。し
かし、尿崩症患者では腎集合管での水の再吸収障害があるため、利尿がつき始めても通常の敗血症による腎不全の場合より血
清Bt肌Crの改善は遅れると推測される。従って尿量の回復をみても、より長期に血液沖イヒ療法を行う必要があると考えられ
た)本症例の経過と腎機能の推移について辛陪する。
[MEMO]
43
A−25腎移植周術鋸おけるm_18の効とその意義
岡本健志1、奥谷龍2、遠藤健1、山下由貴1、野間秀樹2、平井康純2、太城力良1
1兵庫県立西宮病院麻酔科、2兵庫医科大学病院集中治療部
はじめに:IL−18はIL−12との相乗作用において、肱細胞を含むリンパ球汀細胞、銅田胞)の増殖を促進し、Ⅰ好一γ産生を
誘導する。−一一方でIL−18は、肱棚包に作用しM活性を増強し、細胞障害活性を増幅する。今回演者らは、腎移植患者の周術期
におけるIL【18の変動およびその意義について検討した。
対象および方法:腎移植症例に対し、術前から術後(づ週間)にわたり経時的に血清IL−18濃度を測定した。
結果:結果は表1.に示す。症例1は、術後出血を来たし術後3時間目に止血術を施行した。止血術後も尿量は少なく(100
3001111/日)、Ⅰ側を施行した。Ⅰト18は一旦低下したものの1ヒ血術後上昇した。症例2は移植後尿量も2000 3000ml/日流出し、Ⅷ
も施行する事無く経過し、IL−18も低下した。
考察:IL−18は移植腎機能が正常化するに伴い低下し、移植腎の状態や手酎色反応に対する評価の指標としての有用性が示唆
された。症例を重ね検討する。
表1.腎棺植周術期におけ古IL−ほの変勤とモの意義
症例
手術前
格植前
棺植 6 0 分
第1満目
崇 コ病 日
菓 了病 日
1
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4ロ
コ5乱車1
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亡単位:pg.叫
[MEMO]
44
A−26ICUにおける塩酸バンコマイシン佃)投網の血中舵モニタリング(ther。P。uti。dr。gm。nit。ri。g、TDM)
の有用性
宮脇郁子1、内藤 嘉之1、井出 雅弘1、水野 好子1、山本 健児2
L神戸市立中央市民病院 麻酔杵、2神戸市立中央市民病院 薬剤部
\7用はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(姫SA)の特効薬であるが、安全域及び治療域が狭く、腎機能障害や高齢の症例では体内
動態が変化するためにⅦMが必要とされている。我々は、正常腎機能を有しながら初期投与方法と¶別による推奨投与法の間
で一日投与量の差が生じたICU入室患者について、Vαの投与量、投与方法について検討した。
【対象と結果】ⅧMを臨床所見に従って一日2gもしくは1g投与し、6日以内にTⅧを測定した。初期投与方法とTⅧによる投
与法の間で差が生じた正常腎機能の患者は10名であった。10名は平均60.2±10歳、投与前のBⅧは16.8±6.31Ⅵがdl、Crは
().77±0.22n釘dlであった。唐松原は一名が骨盤内膿瘍であった以外はすべて肺炎で、うち一名は腸炎も併発していた。一名
を除き全員が人工呼吸器の補助を必要とし、また全員がカテコラミンの投与を受けていた。10名のうち一日投与量の減量を必
要とした4症例(D群)と増量した6症例(Ⅰ群)の間では、D群が68.8±8.5歳とⅠ群の58.5±9.4歳より高齢の傾向にあっ
たが有意の差はなかった。D群は仝例が一日2gを投与され、用法は3名が1gを12時間毎、1名は0.5gを6時間毎に投与され
ていた。Ⅰ群では仝例が1gを0.5gに分けて12時間毎に投与されていた。一丁別による用量、用法は、D群では2例が一日1gを
12時間又は24時間間隔で、2例は1.5及び1.7gを24時間間隔で投与となった。Ⅰ群では一日投与量が1gの症例が=軋3g
が1例で、残り4例は2.6gで、用法は全例12時間間隔を推奨された。10例仝例にⅤ創による副作用は認められなかった。
【まとめ】上述のように10名の患者の1T別の結果に基づいてシュミレーションしたⅤ別の一日の適正投与量はト3gと大きく
ぼらついていた。これらの投与量はVCM投与前に年齢、体重、疾患、臨床所見などからの予測は困難であった。以上の結果か
ら、Ⅴ創投与時は正常腎機能患者においてもTmを施行し、個々の患者の体内動態にのっとった投与方法を検討する必要がある
と考えられた。
[MEMO]
45
A−27胃壕注入直後に眼鮎敗血症性ショックを生た選延性意識障害の一例
杉本直樹1、行間 秀和1、栗田 聡1、吉田 玄1、加藤 昇】、李 栄柱1、中村 和憲1
1大阪市立大学 医学部 付属病院 救急部
症例は19歳、男性でl費性副鼻腔炎の既往歴がある。平成14年1月17臥自転車で走行中にタクシーと衝突し当院に救急搬送
された。来院時、JCS300、呼吸数3町分、腹式呼吸であった。び浸性軸索損傷、第4頚椎損傷の診断のもとに、経口挿管下で
の人工呼吸、中心静脈栄養、脳性混療法を行った。意識レベルの改善が認められないUG200)ため、2月7日気管切開を行っ
た。また、2月14日経皮的内視鏡的胃療造設術を行った。慢性副鼻腔炎があり、ミノマイシンを投与していたが、口腔、咽頭、
略疾培養で緑膿菌、腸球菌などが検出された。血圧100、120/50∼60m止ig、ノLヰ自数70∼80/分、体温36.5∼37.8℃、ⅧC9600血㌦、
CRP5.2mg/dlで、全身状態に著変ないため、2月19日に胃壊からのエンシュアリキッド750ml注入を開始した。翌日、緑色下
痢便および39.3℃の発熱を生じた。血圧は60∼70/40∼5伽晦に低下し、ノL胡数は100∼110/分に上昇した。また、ⅧClO200/血㌦、
CRPll.2n砂/dlと上昇した。腹部腸音完進、胃壕周囲の皮膚に発赤などは見られず、胸・腹部池上特記すべき所見はなかった。.
腹部超音波、ノL周蔵超音波でも異常所見はなかった。緑色下痢便から眠SA腸炎を疑い、胃擾よりバンコマイシンを投与し、ピベ
ラシリン、イミペネム・シラスタテン、γ グロブリン製剤を全身投与し、ドパミン5〃g几〆分投与を行った。口腔、鼻腔、
喀疾、血液、便培養でMRSAが険出された。MRSAによる貝姐症性ショックと考え、2月24日よりバンコマイシンの全身投与を
行ったところ、体温は36.0∼37.8℃に低下した。3月19日にはⅧC7700舟㌦、C肝0.4mがdl、血圧は100∼120/50、7〔加晦、
ノL胡散は80∼100/分と改善がみられた。患者は3月26日に他院へ転院した。本症例は、胃壕から比較的大量の注入を始めた
と同時に感染およびショックを認めた。月割莫炎や局所感染は考えにくいため、注入により腸内細菌のbacterialtranslocation
が誘発され、膿SAによる敗血症となったのではないかと考えられる。
[MEMO]
46
A−28持続血液濾過透析患者に対する塩酸バン。マイシンの初期投与について
水野好子1、内藤 嘉之1、宮脇 郁子1
神戸市立中央市民病院 麻酔科
枚血症より多臓器不全症候群(Ⅷ》S)をきたし、急性腎不全(A肝)に対して持続血液濾過透析(C氾F)を施行した2症例において、
塩酸バンコマイシン(ⅦM)投与開始初期の薬物動態について検討したので報告する。
【対象と方法】
症例1二52歳、女性。身長162cm、体重52kg。39歳より1型糖尿病にて加療中。尿路感染症から敗血症性ショック、膿Fを伴
う肌SをきたしC抑F導入となった。パニペネムにて全身状態の改善を認めなかったため、Ⅴ伽併用を開始した。初回量として
5川血gを投与し、初回投与12時間後より30柑血yを一日一回投与した。
症例2:72歳、男性。身長157cnl、体重5亜g。54歳より2型糖尿病にて加療され、70歳時の心筋梗塞発症後より心不全にて
入退院を繰り返していた。カテーテル感染から貝姐症、A肝を伴う旧)SをきたしC抑F導入となった。イミペネムを投与したが
全身状態の悪化を認めたため、Vα500喝川ayを1日1回併用した。
コ症例ともCHDFの透析膜としてパンフローAPS、透析液としてサブラッドBを用いた。透析条件は血液流量6伽心血in、透析液
流量0.5Ⅰパ1r、濾過流量1.1L几rとし、除水量は0.1し仇rで行った。
症例1はⅤ伽2桓旧投与時、症例2はⅦM初回投与時にVα薬物動態を検討した。投与直前、投与終了時、投与終了後30分、
1、2、4、6、12、23時間にⅧM血中濃度を測定し、2コンパートメントモデルで薬物動態を解析した。
【結果】
j’特終了後の定凱頓軌こおけるピーク値は症例1で11.2〃如血、症例2では14.8〃.如血であり、治療上望ましいとされる25−40
!LdhLに比べて低いレベ)L/にとどまった。定常状態の分布容積(Vss)は症例1では1・00L/kg、症例2では0・64Ⅰ→茂gと通常
Vss(0.48LO.62レkg)に比べ大きかった。また消失相血中濃度半減期(Tl/2/,)は各々20・7時間、12・6時間と通常Tlnl](2・6−6・1時間)
に比べ著明に延長していた。
11Ⅳを伴うMODSでCHDF施行中の重症患者ではVssが大きくなりうることが判明した。このような場合には、VCM血中濃度を早
急に適正血中濃度城に到達させるためには、より大きな初期投与量設定が必要になると考えられる。一方で、Tl仰は著明に延長
しており、体内へのⅤαの蓄積により容易に血中濃度が上昇しうる。従ってⅤ創投与開始後は早期にⅧMを行い、投与量と間
柄をきめ細かく調整する必要があると結論された。
[MEMO]
47
A−29小児の駈不良性紬の治療中に発症した肺アスペルギルス症の一枚紳
池田雄一郎1、安宅 一晃1、嶋岡 英輝⊥、佐谷 誠1
1大阪市立総合医療センター 集中治療部
移植後の免疫抑制剤投与中は感染症に細心の注意が必要である.特に真菌感染症を合併すると治療に難渋し,致命的となるこ
とも少なくない.今回,再生不良性貧血の経過中にfⅧ即Sballを形成した肺アスペルギルス症を発症し,外科的切除を行い
救命し得た症例を経験したので免疫抑制下での夕陣卜的治療法の時期について考察を加え幸陪する.症例:4嵐女児.平成13
年川■■⊥■■1 ̄岨姐二気づき近医を受診,時勢他山J、板減少性紫斑病(Ⅰ昔)と診断されステロイド投与を受けた.しかし,汎血球減
少が進行するためユ1月6日当ド別、児血液内科に転院,精査の結果再生不良性貧血と診断されたこれに対し同種末梢血幹細胞
・杵帖が行われた.移植前から左肺下葉にアスペルギルスによるfungusballを認めていたが,喀血等は認めず感染兆候もなく
ア㌧ホテリシシR封与され経過観察とされていた.12月8日には移不離田胞の生着を確認した.しかし,12月25日突然喀血
し,呼吸作朋(l’rリにⅠⅢに入室となった.ICU入室時,FIO21.0でPaCO237.伽刑晦,PaO2221.Om地であり,胸部CT上左無
気帖む ̄即),指紋件の血丑煩が吸引された.これはfしmguSballと気管支に交通ができたためと考えられた.血性疾は減少傾
向で,嫌気肺に対して健側肺に流れ込まないように体位ドレナージを行い酸素化の改善を待った.しかし,右肺への浸潤影か
ひろがりflO21.0でPaO283.OnⅦl晦まで酸素化能が低下した.血性疾も増加傾向にあり平成14年1月17日左下乗切除を行わ
れた術中左肺から多量の血性病が吸引され,術後には左肺に含気を認め,酸素化能も著明に改善し1月18日に抜管し1月21
日集中治療部を軽快退毛3月6日独歩退院した.考察:一般的に免疫抑制状態にある症例の夕陣卜治療の導入は慎重でなければ
ならないが,逆に手術のタイミングを逃してしまう可階性もある.本症例において最も免脚肺り状態にあった末梢血幹細胞彩
他の前後の時期は、アムホテリシンB投与のみで呼吸機能低下がなかったため致命的にならず経過できた.しかし,生着後も
アムホテリシンB投与のみに依存し,喀血等の重篤な呼吸機能の低下をきたしてしまった事は管理上反省すべき点である.肺
7スペルギルス症は雁病期間が長く,改善を認めない症例は喀血を繰り返す可能性が高く,生着後早期に手術をすべきであっ
たと考えられる.喀血後は体位ドレナージで酸素化の改善したのち手術を考えた.しかし,肺アスペルギルス症で血疾が持揖
する症例では呼吸機能の重篤化することが考えられるため,喀血した時点で手術に踏み切るべきであったと考えられる.本症
例において肺切後症状の劇的な改善からも肺アスペルギルス症におけるful糾S ballに関しては外科的処置の導入の時期を
的確に判断する必要があると考えられた.
[MEMO]
48
A−30扇桃側索炎から縦隔月旬艦内に炎症が波及した重症感染症の一例
佐野秀1、梅垣 修1、宮脇 有紀1、重松 文子1、谷本 敬1、古泉 真理ユ
1東大阪市立総合病院 麻酉禅卜集中治療部
頭頭部の重症軟部組織感染症の予後は、早期に適切な抗生剤投与と夕悼柑勺ドレナージを行うことにより、比較的良好といわれ
ている。当院ではこれらの症例に対し上記の治療に加え、術後呼吸管理をⅠαで行うことにより良好な成績をおさめてきたが、
対象虞患はいずれも頭頚部に限局した感染症であった。今回我々は扁桃側索炎から縦隔、胸腔内に炎症が波及した重症感染症
を経験した。治療に難渋し長期間の人工呼吸管理を要したが、放命し社会復帰が可能となった。本症例の治療経過に考察を加
え報告する。
【症例】
60歳の男性。既往歴に特記すべきことはない。咽頭痛、嘩下困難を主訴に来院し、扁桃側索炎と診断され緊急入院となった。
入院後、局所の切開排膿、抗生剤投与で経過を観察していたが、炎症が頚部、縦隔、胸腔内に波及し、ショック状態となり入
院4日日に緊急手術(頚部、縦隔ドレナージ、両側胸腔ドレナージ)が施行された。創部膿よりグラム陽性球菌とグラム陽性
梓菌が検出され、第4世代セフェム系のセフピロム、クリンダマイシン並びに、ペニシリン大量投与を開始した。ICU入室後連
日、ドレーンより縦隔と胸腔内洗浄を行った。これらの処置にもかかわらず感染徴候は改善しないため、術後7日冒に頚部の
飢を開放しデブリドマンを行い、さらに胸腔ドレーンを留置し直した。敗血症性ショックを呈したため、エンドトキシン吸着
を2回施行した。以上により感染徴侯は次第に消過し、ショックから経脱し得た。しかし両側胸腔内貯留物の器質化、癒着に
加え、問質性肺炎、肺鮒ヒが進行し、酸素化能は改善せず、調節呼吸による人工呼吸管理を余儀なくされた。ICU入室33日
日から3日間ステロイドパルスを行ったが、効果は得られなかった。その後胸腔ドレーンの入れ換え、積極的な肺理学療法の
実施等により徐々に酸素化能は改善し、人工呼吸器からの離脱を開始した。入室55日目よりT−ピースでの管理が可能となり、
64日目に一」役柄棟へ転棟した。その後リハビリを重ね日常生活可能となったが、誤峠を繰り返すため経口摂取の訓練を行った。
入院11ヶ月目に気管口の閉鎖を行い、約1年後に退院となった。
【考察】
今回は膿胸に対し開胸せずカテーテルドレナージを行った。全身状態が悪化した時点での開胸は過大な侵襲となるため、エコー
下に胸腔内貯留物を選択的にドレナージすることは呼吸状態の改善と感染のコントロールに有効であったと考えられる。しか
し、最初の胸腔内洗浄が不十分であったため、結果的に胸腔内貯留物が器質化、癒着し、酸素化能の改善に時間を要したのは
反省すべき点であったと思われる。
扁桃側索炎から縦隔、胸腔内に炎症が波及した重症感染症を権験した。カテーテルドレナージと保存的治療で治癒し社会復帰
が可能となった。
[MEMO]
49
B−1高度の気道狭窄を呈し、人工呼吸治療を必要とした、3歳8ヶ月男児の急性細気管支炎の1例
友田幸一1、植松 正保1、中元 保子2、橋爪 孝雄2
1市立堺病院 救急・集中治療科、2市立堺病院 小児科
高度の気道狭窄を呈し,人工呼吸治療を必要とした,3歳8ヶ月男児の急園田気管支炎の1例市立堺病院 救急・集朝台療科友
田幸一植松正保 小児科中元保子 橋爪孝雄症例は,3歳8ヶ月の男児。ICU入室時の主訴は,発熱,意識障害,呼吸不全。
硯病歴,2002年12月8日から,咳,発熱が出硯。12日,近医にて,白血球12000,C肝7.3と炎症反応を認め,抗生剤な
どの治療を受けたが,同日夜,腹痛,嘔吐も出現。13日,当院小児科を受診,胸部レ線上気道感染の疑いもあり,精査加療の目的
で入院。入院時硯症,39.5℃,胸部聴診で軽度のクラックルを認めたが,喘鳴音はなかった。入院後,セフォチアムなどを開
始し,熱,炎症反応は改善した。しかし,14∼15日,呼吸困難を訴え,聴診上喘鳴音が出現。気管支拡張剤の吸入と点滴,副腎
皮質ステロイドの点楓酸素投与を試みた。しかし,16、17日,興奮状態,動脈血液ガスでpH7.251PaCO284.O PaO2
58.8と㈲犬昼悪化し,17日,ICU入室となった。直ちに,気管内挿管,人工呼吸を開始した。18日の胸吾陣純汀では,気管
支壁の肥厚を認め,瀞漫性の細気管支炎の所見に合致した。入室後は,セフォタキシム,気管支拡張剤,副腎皮質ステロイドの投
与にて,経過は順調。19日,喘鳴音は消失し,20日,抜管を施行した。21日,ICU退室,2002年1月2日,退院された。急
性細気管支炎は,2歳未満,特に,乳児に多い病状であり,時に,気道狭窄,喘鳴音をともなうが,3歳以後の年長児で,上記の病態
を呈するのは,比較的,珍しいと思われ,文献的考察を加え,幸階する。
【MEMO]
50
B−2肺癌術後に、術前合併していた問質性肺炎の急性増悪、脚S状酌きたし長期人工呼吸管理を要した症例
福田稔1、高田 幸治1、富 勝治1
1市立豊中病院 麻酔科
開脚術後、特に肺癌術後に術前合併していた問質脚市炎が急性増悪しA抑S状態をきたすことがあり、術後合併症として重篤で
あることが知られている。今回我々は術前に塵肺による問質ノ朋市炎を合併し、肺癌術後に、術中高濃度酸素投与、CMV感染力L
因と考えられる問質性肺炎の急′性増悪、A町S状態をきたし長期人工呼吸管理を要した症例を経験したので報告する。
症例は79歳男性、長年炭鉱夫として勤務し塵肺による問質性肺炎を合併している。タバコ1日20本50年喫煙。近医で胴
部レントゲンにて左下葉に3cm大の異常陰影指摘され当院受診。扁平上皮癌の診断のもと、左下乗切除の方針となる。術前検
奄では血ガス、呼吸横能、採血データーは年歯餅目応値、C膿にても冠動脈狭窄認めなかった。
<術中経過> Th6/7より硬膜外カテーテル挿入し、37Fd]oLhlelし皿en左用チューブを挿管した。維持はGOS−恥i(術中
().25%bLPivacaine33cc,塩酸モルヒネ2mg使用)にておこなった。肺の炎症癒着激しく片肺時間6時間10分要した。途中血圧
舶寺のためⅨ池3γ使用した。片肺換気中の3度の血ガス採血では、PaO2424,213,363Ⅷ晦と高値を示していたが、純酸素が5
時間以上投与された。挿管のままⅠα入室し、翌日抜管、一般病棟へ退室した。
く術筏経過>順調に経過していたが、術後9日日に呼吸困難と酸素10L投与にても著明な酸素化の低下認め、挿管しICU入室と
なる。右上肺野に浸潤影あり肺炎を疑いIP肌S,CLDM投与するも術後11日には浸潤影はほほ甜市仝野、残存左肺にも広がり、
惟素濃度80%にてPaO270m正也と酸素化の低下を認め、各種培養検査にても起因菌検出されなかったことから、問賞性肺炎の増
悪によるARDS、真南混合感染等を疑い、FLCZ、Methylprednisolonelg〟ay投与(以後Prednisoloneに変更し漸減投与続行)
行なった。最終的に血液PCRよりCMV検出されたためganciclovir投与追加しF:。以後何とかTピースまでweani喝したが、
術後39日目に再び両肺A抑S様陰影出硯し、著明な酸素化の低下認め、ステロイド投与再開を余儀なくされた。1リ、後人工呼吸
器のまま病棟管理となり、術後87日目に呼吸器経脱した。
・/考察> 肺癌術後に術前合併していた問質性肺炎が急性増悪しAmS状態となる場合があり、合併症として重篤であることが知
られている。矢野らの報告によれ‘£術前に問質性肺炎を合併した肺癌手術患者50人に対し増悪誘発因子について検討したと
ころ、術前動脈血ガスについては有意差を認めなかったが、術中PaO2については増悪群の方が高値であり、本症例でも術中3
度の血液検査でPaO2424,213,363m血gと高値を示していた。更に縮小手術ほど増悪は少ないとされ、同術期ステロイド投与法に
ついては一定の見解が得られていない。術前問質′】朝市炎合併患者の術後急性増悪に対する対策について検討が必要と思われた。
[MEMO]
51
B−3脳死右片肺移植施行後にPTub。SttranS。Iant.y。。h叩r。1if。rativ。disirder)を嶺した一例
野村幸嗣ユ、三好 恵理子1、藤野 裕士1、萬代 裕子1、内山 昭則1、西村 信哉1、妙中 信之1、真下 節1、樋口 貴宏
2、南 正人2、太田 三徳2、松田 曙2、星田 義彦3、青笹 克之3
1大阪大学 医学部 附属病院 集中治療吾臥2同 呼吸器夕陣ト、3同 病理部
PTLDは臓器柳直後患者に認められる、重篤な合併症の1つである。通常のリンノ瑚重に比べ、nOn−Hod或in,sly叩homa(NfL)が
93%h,S・65%)を占め、大半がBcelltypelargecelllyrrphomaである。病因は、免疫抑制下でのEpsteirLBarrviruS(EBV)
感染により、Bcellの異常増殖が起こるためと考えられている。肺移植術後にmを発症した症例の管理を経験したので朝告
する。
【症例】47歳、女性。身長158cm、体重43kg。1989年12月頃より労作日部乎吸困難(HughJones2)・喘鳴が出現し、1992年2
月、左開胸肺生検を受け、1ymphangioleiolnYOmatOSisと診断された。ホルモン療法、在宅酸素療法などを開始したが、徐々
に呼吸器症状は琴化した。2001年3月に肺移植ネットワークに登録され、2001年7月、脳死右片肺移植を施行した。術後に、
右中間気管支幹、右上乗気管支に狭窄を認め、気管支鏡下stent挿入術(2回)・balloon拡張術(5回)を施行した(最終手箱
2001年12月)が、それ以降は呼吸状態も安定していた。免疫抑制剤はシクロスポリン、アザチオプリン、プレドニゾロンの3
剤を用いていたが、その間、明らかな拒絶凪芯は認めなかった。2002年2月初旬に発熱して以来、口碑犬態は悪化し、胸部口
にて多発結節影を認めた。3月には両側肺門部・下行大動脈左夕捕りの軟部組織陰影の増大、肝臓のlowdensityareaを指摘さ
れ、時期を同じくして、右側頭部、月夜商、胸壁等に皮下腹痛を認めた。Pmを疑い精査を進めていく中、気管内挿管が必要と
なり、治療方針決定までの呼吸管理目的にてICU入室となった。入室時の血液ガスは、鱒7.239、PaO288.6nⅡ晦、PaCQ279.3mn唖
であった。入室後、免疫抑制を軽減し、抗CD20モノクローナル抗体rituximabの投与を開始したが、呼吸、循環状態の改善は
みられず、入室6日目(移植後237日目)に死亡した。
【結語】mは免疫抑制剤の投与量が多い程発症しやすいが、確立した治療法もなく致死率の高い疾患である。移植患者数が
増えるとmを経験する機会も増加する可能性がある。本症例は不幸な転機をとったが、治療法について文献的考察を含めて
報告する。
[MEMO]
52
B−4脚鯛出の既往がある患都二起こった劇症肺炎の1例
瀞川一1、足立 健彦2、美馬 裕之1、正田 丈裕1、七野 力1、福田 和彦1
1京都大学 医学部 附属病院 麻酔軒、2京都大学 医学部 附属病院 集中治療部
脾臓摘出後には肺炎が重症化しやすいことはよく知られているが、その頻度はそれほど高くはないため実際に遭遇することは
まれである。今回我々は、30年以上前に外傷により牌月尉商出を行った患者が、激烈な肺炎から急速な肺の繊維化を来たし、治
療の甲斐なく呼吸不全により死亡した症例を経験したので報告する。[症例]58歳、男性。7年前に食道癌に対して食道亜仝摘
術を施行された。1年前に食道癌の左上縦隔への再発及び下日医陣痛に対し放紬棚嘲寸が行われた。その後外来にて経過観察さ
れていたが再発の兆候はなかった。2日前より40℃の発熱と食欲不振が出現したため本院外来を受診した。来院時、意識はや
や混濁しており、頻呼吸、起座呼吸、チアノーゼを認めた。収縮期血圧は70Ⅷ蝮、ノLヰ白数は120bpmであった。血液険査で白血
球数の著明な減少(700イ臥血f)と胸部Ⅹ線写真で両肺の著しい浸潤影が観察された。人工呼吸管理が必要と判断されたためICU
に入室となった。[ICUでの経過]ICUに収容後直ちに気管挿管を行い、人工呼吸を開始した。この時点で動脈血酸素分圧0)aO2)
は吸入酸素濃度飢02)70%で121.3Ⅷ】晦であった。暗疾の塗沫鏡検でグラム陽性球菌が多数証明された。既往歴として22歳の
時に交通外傷で月嘲尉商出を受けていることが分かった。これらのことから月朝街商出の影響で劇症化した肺炎と診断し、メロペ
ネム、塩酸シプロフロキサシン、免疫グロブリンの投与を開始した。起炎菌は後にStreptococcuspneumoniaeであることが判
明した。抗生剤の投与により喀疾中の菌体は速やかに消失したが、呼吸不全は進行した。入室翌日にはDICを併発したためメ
シル酸ガベキサート、∬−ⅠⅠⅠ製剤の投与を開始した。その後も肺組織の破壊、鮒ヒが急速に進行し、肺コンプライアンスの
低下、ガス交換能の悪化が進行した。肺の繊維化を抑制する目的でステロイドパルス療法を入室8日日から3日間行ったが、
明らかな効果はみられなかった。入室10日目にとった胸部汀撮影では、広範な肺の繊維化と空洞形成が確認された。その後
も人工呼吸管理を続けたが、FiO2が70から80%でPaO2は7hrnlig台を推移した。一回換気量を6ml几gに制限したが、気道内圧
は35cm‰以上であった。入室16日目に左側の緊張性気胸を起こしたため胸腔カテーテルを挿入したが、エアリークは持続し
た。入室34日目に反対側にも気胸が発生したため、胸腔カテーテルを留置した。以後、気胸が頻発しエアリークも増大した。
入室50日目についに換気不能となり死亡した。[結言割牌摘後の劇症肺炎の症例を経験した。抗生剤、ステロイドによる治療
を強力に行ったが、急速に肺の繊維化が進み、呼吸不全に陥り死亡した。
[MEMO]
53
B− 」明和こ筋弛緩薬を用いた呼吸管理と、鯛少量ステ。イド療法を行。た脚Sの一症例
長谷井真理1、谷上 博信2、西原 秀信1、大田 典之1、平田 隆彦1、西村 匡司3、森 隆比古1
1大阪府立病院 麻酔科、2大阪府立成人病センター、3大阪大学 医学書附属病院 集中治療部
A相Sでは肺保護の目的から低一回換気量を主体とした呼吸管理が推奨されている1)。しかし呼吸器との同調性の問題から、鎮
静の−一つとして筋弛緩発か泌、要となる場合がある。今臥AmSの患者に対し、急性期のみに限り筋弛緩薬を用いて肺保護を目
的とした呼吸管理を行い、また長期少量ステロイド療法により、一般病棟に帰室するまでに改善した一症例を経験したので報
告する。【症例】71歳男性、身長158cm、体重55kg。【既往歴】平成3年左冠動脈に、平成7年右冠動脈にPTCA施行。【硯病歴】
平成13年10月、呼吸困難、咳軟、発熱、右腰部、腹部にかけての発疹を主訴に来院。帯状痕疹の診断でアシクロビルの投与
を開始したが、その後も呼吸器症状は増悪し、胸部Ⅹ線とCTにて両下肺野びまん性問質性陰影、dependentconsolidation、
多発性bullaを認め、札√6が2900(正常値500未満)と高値であり問質性肺炎(IP)と診断した。PaO2作iO2ratio=49nⅡ晦と呼
吸不全を呈するようになり、発症より十週間後に気管内挿管した。【治療】本症例では多発性bullaがあり、またIPによるARDS
であることから、医原性肺損傷を倒具して1ungprotectiveな呼吸管理を行うこととし、AssistControlにてPEEP15cn朗20.
PCV15cll刑20で開始した。患者の吸気努力が強く、十分な鎮静下でも呼吸器と同調せず一回換気量が12∼13ml/短となるため、
また汀にて悪化を認めたため、残存肺を温存する目的で挿管2日後より筋弛緩薬を用いた。これにより、同条件にて一回換気
量を5、6111日唱におさえた。しかし排疾が不可能であり投与開始4日後、筋弛緩薬を中止した。投与終了時も呼吸器と同調せ
ず、鎮静下でも一回換気量は10、121nl/1くgと上昇したが、以後はあえて筋弛緩葉を再投与しなかった。この間FiO2は1.0か√1
0.5まで低下させることができたが、挿管8日後の汀では問質性陰影が」』市野へと拡がり悪化を認めた。このため同日、メヰ
ルプレドニ′、ロン211釘1(釘dayにて少量ステロイド療法を開始した。投与開始7日後の汀では著明な改善を認め、投与12日餃
より漸減し計21[澗投与した。42日後に一般病棟に帰室した。【考察】今回、治療に難渋するIatephaseでのARDSに対して
長期少量ステロイドにより軽快した幸陪2)をもとに、ステロイドの投与を開始し良好な結果を得ることができた。また本症例
では肺保護を主眼とした呼吸管理を行うこととしたが、呼吸器と同調せず急性期に限り筋弛緩薬を投与した。しかし排疾困難
となり投与は4日で終了した。筋弛緩薬の投与は排疾困難や呼吸筋の萎縮などの点で問題が多い。今回の投与時期や投与期閏
が結果的に良かったのかどうか議論の余地があると思われる。また筋弛緩薬を投与してまで一回換気量を減少させる必要があ
るのかどうかや、筋弛緩其の投与時期や期間について他施設の状況を御教示願いたい。参考文献1.NEng=
Med・342(18):1301−8,20002.Medしu・iGU.et al:JAMA280:159r165,1998
[MEMO]
54
B−6冠緋再建後に頭蓋内硬膜下出血を認めた症例
野村哲也1、西良 雅夫1、竹田 健太1、澤井 克彦1、吉川 範子1、立川 茂樹1
1住友病院 麻酉絆1ノ
転倒による限外傷の後、人工棋市を用いた冠軌脈再建術を受け、その後に頭蓋内硬膜下出血を認めた1例を経験した。患者
は77歳男性。身長156cm、体重60kg。既往歴:62歳胃ポリープ、73歳高コレステロール血症、75歳腎障害。喫煙歴60歳まで
20本×40年。家族歴は特になし。、硯病歴:平成12年から労作時呼吸苦あり。日常生活ではほとんど胸痛発作はなかった。安
御寺心電図でV4 6Sr低下あり。Masterダブ)レ負荷心電図ⅠⅠ、ⅠⅠⅠ、aVF、V2 6SF低下。心エコー上をL、機能良好。冠動
脈造影では♯690%、軒100%、♯990%、♯13100%、♯1100%で3枝病変であった。狭心症に対しニコランジル、フルスルチ
アミン、高血圧に村し塩酸テラゾシン、高脂血症に対しシンパスタテン、プロブコール、不安神経症に対しクロチアゼパムを
内服していた。
冠動脈再建(CA虹)待機中で入院していたが、夜間ドンと音がした直後に左眼および鼻から出血して転倒しているのを発見さ
れた。意識清明で麻痺なし。胸吾隆1犬なし。眼球破裂を生じており当日緊急で強膜縫合、硝子体切除術を局麻下に受けた。頭
部汀では出血性病変など認めず。頭部I仮Ⅰでも新たな病変を認めなかった。また右内頚動脈超始部に軽度狭窄を認めた。その
縁も意紬寿明、麻痔なく神経学的に変化は見られなかった。1週間後に毛様体脈絡険剥離に対しもう一度硝子体手術を局麻下に
受けた。
rり明ミ破裂受傷35日後にCABC3枝施行。LImから♯臥SVGにより♯14、軸PDへ再建。術中心肺隅猟軌上血中に血圧低下しIABP
挿入となる。イ秒t循環129分。大動脈遮断時間90分。手術時間5時間21分。麻酔時間6時間46分で終了。術後3日目IA好
枝去したが肺炎のため鎮静下に人工呼吸を継続した。また上劃型財白となり、以後抗不整脈薬や除神勅を必要とした。
術後8日目鎮静中止し、呼名で開眼あり。抜管を試みたが庚の喀出不良で再挿管した。覚醒不良でわずかな右不全麻痺を疑
い、頭部汀を施行したところ左側に硬膜下血腫を認めた。パピンスキー等の異常反射見られず、鎮静薬も残っている可能性が
あり経過観察とした。再検した頭部αでは硬膜下血腫は減少傾向であり、術後15日後気管切開、鎮静中止し覚醒を得られた。
体軌が激しく不穏であったが、徐々に皿Lを向上させ術後38日目に−」投病棟へ転棟した。その後の頭部打では血腫は著しく
消失していた。C媚G術後103日目神経学的な所見なく独歩退院。左眼の視力は0.3程度であった。
本症例では人工心肺後に眼内出血の増悪が懸念されたが超こらなかった。しかし術前の転倒を契機に生じていたと思われる頭
蓋内硬膜下出血が人工ノLⅦ市後に増悪し、意識遷延を来した可能性が考えられた。
[MEMO]
55
B−7微量輸液ポンプ使用中のデイスポシリンジの抵抗増大による輸繭量の矧
榔‖=山王∴l州」修1、伊地智 和子pl、飯島 克博1、川上 寿和子1、和気 幹子1、田中 寧1、加藤 博史2
.西神川′明津ンクー 麻酔科、2西神戸医療センター 臨床検査技術部
「始めに」
棚陀では㍑再仲川する注射用デイスポシリンジを、主としてコスト上の問題から他メーカーに変更した。メーカー変更後、微
量臨祓ポンプに彗輔して他用した際に、輸液ポンプが押せなくなり閉塞アラームが鳴って停止する現象を度々生じるように
ろご√ノた・微量愉油差ンプを変更したメーカー製シリンジ専用に調整しなおすなどの処置を講じたが、症状は改善しなかったし.
/こl−し、、l棚即)なかったメーカー製と今回問題となったメーカー製シリンジにおいて、微量掛夜ポンプに装着した際にどのよ
十む呪乳が起きているのかを確かめるため検討を行った。
「ル法」
Biし卜′rel祉製111fusiollDeviceAnalyzerを用い、各社シリンジと輸液ポンプの組み合わせで車師定流量と総輸液量の経時的推移
を記録し、シリンジと輸液ポンプ、設定流量を様々に変更してその流量パターンを比樹霜寸した。
閲裸」
問題の生じなかったメーカー梨では輸液開始後30分程度で設定流量に達し、その後は一定流量を維持した。総輸液量も車踊
開始30分以後は経過時間との正比例関係が得られた。一方、問題のあるメーカー製では、シリンジを押す際の抵抗が大きい
ため、一定期間輸液が行われず、内筒を押す圧力が増大した時点で一気に愉夜が押し込まれるような流量パターンを呈した。
内筒を押す際の抵抗が輸液ポンプの駆動庄より高い圧となった時には、閉塞アラームが作動してポンプが停止する現象も確認
された。結果として、総愉夜量も輸液、停止を繰り返すこととなり、時間当たりで一定の愉夜量が維持されなかった。
「考察」
デイスポシリンジはコスト面や材質の点から、製造に高い精度を要求できない。また、ガラスシリンジと比べて内外筒間の摩
接抵抗が高いことから、内面に潤滑剤を塗布することで摩擦闇克を減らすように工夫されている。今回の現象がデイスポシリ
ンジの製造精度に起因するのか、潤滑剤が長時間にわたる微量鰍夜の際に失われることに起因するのか同定するには至らな
かった0しかし、問題となったような流量パターンでは、カテコラミンや抗疑固薬などの持続輸液については重大な事故につ
ながる可能性がある。精密持続愉夜においては、単なる注射用と異なる状況の使岡を考慮し、デイスポシリンジを選択する必
要性が示唆された。
[MEMO]
56
B−8気御開後、縦隔、皮下気腫に難渋した_釧
大川職責1、佐々木 俊弘1、黒田 早苗1、佐藤 健治1、八井田 豊1、仁熊 敬枝ユ、松本 睦子】
1姫路酎十字病院 麻酔科
患者は、67才、女性。身長150cm、体重65kgで、乳且を合併しており、8ヶ月間、ステロイドを内服していた。平成14年3
月7日に、肺炎、胸水貯留、急性腎不全、DIC、意識障害で工α入室となった。Ⅰα入室後、気管挿管し、人工呼吸器管理を
行い、両側に胸腔ドレーンを挿入した。腎不全、DICに対しては、輸液、薬物療法を行った。これらの治療により、腎不全、DIC、
意謝犬態、および嘲別犬態も改善したため、3月11日に気管内チューブを抜管した。その後、喀疾の排出が困雛であったた
め、頻回に口腔内吸引を行い、それでも喀疾が排出できない時には、プロンコファイバーによる略疾吸引を行った。しかし、
抜管後10日以上も喀疾排出困難な状態が続いたため、3月22日に、気管切開術を施行した。その際、一時的に人刀乎吸管理と
したが、翌日、深夜に気管切開チューブが抜け、皮下気腫が著明となった。気管切開用チューブの再挿入を試みたが、皮膚カ
ら気管までの距経が長く、気管切開用チューブの挿入はできず、気切孔より経口気管挿管用チューブを挿管した。その後、皮
下気随は改善し、人工呼吸器から経脱し、Tピースで管理できるようになった。また、両側の胸腔ドレーンも抜去し、経菅栄蓑
のみで管理できるようになり、3月末には、ICU退室予定となった。しかし、3月31日に再び、気管切開用チューブが抜けて・
再挿入し、陽圧呼吸を始めると著明な縦隔気随、皮下気旺が出現した。皮膚から気管までの距離が長いため、気管切開チュー
ブの再挿入は困経と判断し、気ぢ野Lより経口気管挿管用チューブを挿管した。その後、人工呼吸の陽庄換気でも、Tピース自覇
呼吸としても、縦隔気随、直下気腫が増強することはあっても改善することはなかった。4月2日に気切子Lより縦隔への優子
網三tj明し、それを閉鎖しドレーンを挿入した。しかし、その後も縦隔、皮下東涯は改善せず、増強傾向にあった。4月4日に
再度気管切開孔の縦隔への療孔を含め、縦隔に続く筋層をかなり密に縫合した。さらに右胸腔ドレーン抜去のあとが胸腔と月
下が交通していたため、それを閉鎖した。これらの処置により、縦隅、皮下気瞳が著明に改善した。その後、Tピースで縦隔
皮下気腫が悪化することなく、全:馴犬態も安定し、4月22E]Ⅰα退室となった。気卯後、縦隔、皮下気隆を経験し、そク
治療に雑渋したが、今回、気切後の気腫に閲し、文献的考察を加え、発表する。
[MEMO]
57
B−9連続心拍出量測定装置印CO)による敗旭ショック後の体液管理
山内順子1、丸川 征四郎1、切田 学1、平田 淳一1、米田 雅洋1
1兵庫医科大学 枚急災害医学 救命枚急センター
外傷性陽管壊死による敗血症性ショックに陥り、術後P蝦、C肺Fを施行した症例の体液管理に、連絡Lヰ自出量測定装置を用い
る機会を得たので幸㌍テする。l症例】46歳 男性。高さ2mの斜面より転落したフォークリフトの支柱と斜面に躯幹を挟まれ、
救出後、当センターに搬送された。来院時、意識清明、血圧80/35Ⅷ晦、ノLヰ自数108/分。Ⅹ線所見では両恥骨骨折、坐骨骨折、
第5腰椎脱臼骨折、第2,3腰椎骨折を認めた。胸部汀で腸管損傷が疑われたが、庄痛以外の腹部理学所見に乏しいため経過
観察とした。その後発熱はなく、血液生化学データでの炎症所見も経日的に沈静化しつつあったが、第7病日、発熱、不穏に
加え腹部症状の急激な悪化を認め、緊急開腹手術を行った。術中所見は小腸間膜、S状結腸間膜損傷による回腸部分壊死、S状
結腸虚血で、回腸、左半結腸切除術を施行した。悪臭を伴う腹水からはグラム陰性梓菌を検出し、白血球貧食像を伴った。術
直後より血圧低下(90/60nm晦)、噺自(156/分)、乏尿を認め、員姐症性ショックの診断下に術当日(直後)および翌日(術後
第1病日)にP拡による血液吸着を実施し、CI廿Fを併用した。第1回目のmⅨ終了後より体液管理の参考として連絡Lヰ自出量
測定装置¢ULSImMedicalSystems社製PiCCO)を用いた。PiCCO装着当初の循環動態は心係数(CI)3.67L血in血2、胸腔内
血液容量(ITBVI)664ml/通、肺血管夕Mく分量伍VIMI)8血/短であり、PtR,SION社が提示する体液管理フローチャートのECISICN
IREE)では容量負荷を推奨するパターンであったが、月割空内thirdspaceへの大量の水分貯留が明白であったため、むしろ血
圧が維持できる範囲でCt瓜Fによる除水を進めた。第2回目のP肱施行前後(術後約24時間)より脈圧が140∼160/70∼80蝿
へと急激に拡大し、心拍数は120/分前後まで低下し、尿量が増加したため、さらにフロセミドを投与して利尿を促した。この
時期、PiCCOではCI4.22L血in戒、Ⅰ¶ⅣIlO21ml/適、Eu珊I13n山kgで、VOumeCOntraCtionのパターンであった。術後約
60時間で自尿を合せて累積約 5000mlの負バランスとし、CI廿Fを終了した。こg)時点でPiCCOではCI3.89し/min血戒、ITBVI
8161111^i2、EⅥ∬Ⅰ7nM(gで適正voluneとなっていた。【考察・結論】piCCOは敗血症性ショックおよび回復期の循環動態を
よく反映するが、PLⅡ.SION社のDECISI卿TREEは胸腔内容量以外の体内水分貯留を考慮しないため、テ台療に際して適切な判断が
必要となる。
[MEMO]
58
B−10急性リンパ性白血病に対する化学療法中に発症した感染性心内膜炎に対する僧帽弁置換術の管理経験
 ̄ヲ野一暁1、奥谷 龍1、野間 秀樹1、植木 隆介ユ、平井 康純ユ、太城 力良1
1兵庫医科大学病院集中治療部
【はじめに】本邦では白血病患者に対する関心術症例の幸陪は少ない。今回演者らは、急性リンパ性白血病に対する化学療法
巾に発症した感染性L、内膜炎および僧帽弁閉鎖不全に対して僧帽弁置換術の集中管理を権験したので報告する。
【症例】26歳、男性。【主訴】全身倦怠
【現病歴】平成12年12月より全身倦怠感を自覚していたが放置していた。平成13年3月中旬に全身倦怠の増悪のため近医受
診し、血液検査で白血球44,000/,ul(blast87%)と異常を認め、精査目的のため平成13年3月23日に血液内科に入院した。
入院後A止(L2)と診断され、3月26日より化学療法を開始した。6月30日より突然の熱発を認め、7月2日の血i夜培養から
グラム陽性梓菌が検出された。その後の治療にもかかわらず、血液培養で陽性菌が検出されていた。8月21日より心経書を認
めるようになり、8月31日からは心不全症状が出現するようになった。9月3日の心エコー図所見では僧帽弁前尖の痍贅と僧
帽弁閉鎖不全を認め、感染性心内膜炎と診断された。その後、抗生物質の投与により感染徴候は改善傾向にあったが、心不全
に対しては利尿薬、ドブタミン、ミルリノンなど投与しても改善されないため、9月18日手術目的のために胸部外科に転科し、
9月26日に僧帽弁置換術が施行された。
【手術所見】僧帽弁前尖には疫贅があり、穿孔も認められた。病理学的には急性L、内陣炎と診断された。
【術後経過】呼吸状態は良好で手術翌日には抜管し、循環動態も安定していた。術後出血も順調に減少し、第3病日には心裏
ドレーンを抜去した。術後の血液培養、尿培養、心嚢ドレーン廃液の培養はすべて陰性であった。胸部レントゲン上では左胸
水を認めていたが、10月1日にはCRP3.1nlg//旬1まで改善し、血行動態も良好なため・「眼病棟へ転棟した。その後も経過は良
叶で術後21日目には血液内朴、転科となり、再度化学療法を再開できた。
【考察】本例は、急性リンパ性白血病の寛解導入療法中に発症した感染性L、内膜炎の1例である。手術所見からも僧帽弁前尖
の焼贅により僧帽弁閉鎖不全が発症し、その結果重症うっ血性L不全に陥ったものと考えられた。白血病では症例の約46%に心
転移を認めるという幸陪があるが、本邦では白血病患者に対する僧帽弁置換術の報告例は数例のみである。すべての医療行為
に対し、清潔操作を心がけ、カテーテル感染の防止に努めることはいうまでもなく、頻回の細菌検査を行うことで早期に感染
桔の発見に努めることが重要と考えられる。
[MEMO]
59
一般演題
(看護部門)
N−ト1当救命牧急センターICUにおける肺炎塩リスクの鶏
高橋雪子1、来 世津子1、井手 ひとみ1、大山 和子∠、乗松 千鶴1
1国立大阪柄院 救命救急センター、2国立神戸病院
キーワード:肺炎、リスク、誤嘆(はじめに)アメリカ看護協会では、肺炎の発症を急性期看護の質の指標の一つにしている二.
そのことから私達は肺炎の防止が看護の質の向上につながると考え、当センターでの肺炎発症率、及び肺炎の発症に関わるリ
スクを明らかにしようと本研究に取り組んだ。(方法)平成12年10月1日から平成13年3月31日までの期間、当センターⅠ〔t了
に48時間以上収容された患者のうち、入院時すでに肺炎と診断されていた症例を除く143名を対象に診療録の後ろ向き調査を
行った。調食項目は、患者背景因子6項目、処置操作因子7項目として、それぞれに対して肺炎発症者数を調査し、各因子に
ついて肺炎発症に対する有意性を明らかにした。(結果)1、当センターにおける肺炎発症率は11.2%であった。2、挿管、鉄
静別技与、胃管留置で肺炎発症において統計処理を行った結果有意差が認められた。(考察)挿管では、気管内挿管時・挿管後
に口腔内細菌が挿管操作や誤帳によって気道内に侵入する可能性、また長期留置により気管の繊毛運動が抑制され、白樺作用
が低 ̄lTすることで気管内分泌物が貯留する可能性がある。鎮静剤投与では、咳軟反射の抑制や消化管嬬動が抑制されることで
大腸ガスが貯留し、横隔膜や胃を圧迫し胃内容物の逆流による誤嘆が考えられる。胃管留置では、胃内の細菌がチューブを伝
わって逆流することによる誤嘆や、副鼻腔炎を合併すると、汚染された分泌物の垂れ込みが考えられる。(まとめ)当センター
における肺炎発症率は11.2%であり、挿管、鎮静剤投与、胃管留置が肺炎発症のリスクと考えられた。このことから、今後肺
炎予防として誤嘩対策と「川空内洗浄の強化が示唆された。
[MEMO]
62
N−ト2気管内チューブカフ内圧を持続モニタリングした2症例
辻井靖子1、林 周子1
1滋賀医科大学附属病院 救急部.集中治療部
<はじめに> 人工呼吸器装着中の患者の誤帳(あるいは不顕性誤嘆)は、人工呼吸器関連肺炎等の合併症を引き起こすため、
その管理は重要である。通常、誤嘩予防の一つに気管内チューブカフ内圧を適正に保つことが⊥般的とされるが、カブ内圧は
経時的に低下するため調整のタイミングが遅れると誤畔の機会が増える。そのため、パイロットパルンに圧トランスデューサー
を連結しカフ内圧を持続的にモ土タリングすることで、そのリスクを回避できると考えケアに取り入れた症例を紹介する。<
患者紹介>【症例1】19歳男性。ラスムッセン慢1朝脳炎による痙攣重積に対しバビルツレート療法施行日的でICU入室。【症
例2】72歳男性。食道癌術後のARDS。右主気管支部にリークを認め、軽度の縦隔炎を合併。ARDS治療目的で入室。
<経過>いずれの症例もカフ内圧を15∼20mmHgの範囲内に維持した。【症例1】入室時より左下葉に無気肺を形成して
いたため、450腹臥位を含めた理学療法を取り入れていたが、唾液が多く入室10日日に右上実の肺炎を合併した。その後
の肺炎改善・予防の目的でカフ内圧持続モニタリングを開始。肺炎は改善し、その後の呼吸管理中に肺炎を合併することはな
かった。【症例2】ARDS車到来後、1)−ク部閉鎖術を行う予定であったため縦隔炎の増悪防止を目的とし、カフ内圧持続モニ
タリングを開始。経過中、縦隔炎の急性土曽悪は認めなかった。しかし、ARDSは軽l灸せず、新たに別のリーク部も見つかっ
たことより治療断念となった。<考察> 一般的に気管チューブのカフ内圧測定には、カフ内圧計を使用する。定期的な測定
と調整により分泌物たれ込みを予防できると考えられるが、カフ内圧は経時的に低下し調整のタイミングを逃すと結果的に誤
帳を引き起こすと思われる。カフ内圧を持続的にモニタリングする方法はタイミングを外すことなく調整を行うことができ、
人工呼吸器を装着した患者の中でも特に誤碑のリスクの高い患者において、合併症予防の一手段になると考える。
[MEMO]
63
N−ト3月継体湿療法中の患者への排腐釦カ∼吸入とバイプレクーの併用∼
中川 祥子1
1国立京都病院 救命救急センター
脳低体温療法の目的は、脳浮腫などの脳の損傷に伴って二次的に生じる病態の進行を抑え、脳温の上昇を防止し、不可逆的
な脳損傷を最小限にすることである。この療法中は、筋弛緩薬が与薬されるため、咳轍反射や気道の線毛運動が抑制され、喀
疾が貯留し、肺炎や無気肺などの肺合併症が起こりやすくなる。さらに、低体温により免疫能が低下し、感染を起こしやすい
状態となる。とくに復温期は、体温の上昇により全身の生体反応が賦活化し、難治性の感染症を合併することが多い。
今臥低酸素脳症で月謝氏僻勘寮法を受けた患者の排疾援助において、刺激を少なくして脳圧の上昇を防ぎながら排疾援助を
行うために、生食によるネブライザー吸入と電動式バイブレーターを使岡した。それらの関わりを振り返る。
患者は、25歳女lも平成13年10月21日、窒息による低酸素血症にて救急搬送される。入室時JGにてⅢ−300、瞳孔3.5皿
R=L対光反射なし。気管内挿管後、サーボ90(忙で人工換気開始される。10月23日、瞳孔不同出現し、頭部打の結果著明な
脳浮腫が認められたため、脳低体温療法開始となる。
脳低体温療法開始と同時に、セデーションも開始され、気道に疾が貯留しても咳轍反射は見られない状態であった。2時間
ごとに体位変換を行うと同時に電動式バイブレーターで背部をバイブレーションしてから喀疾吸引を行ったり、生食によるネ
ブライザー吸入を施行してから略疾吸引を行った。咳蠍反射がなく、自己喀疾能力はなかったが、気管内・口腔内吸引により
黄色の粘調疾を多量に吸引することができた。上気道感染防止のため口腔内清拭を施行し、同時に口腔内吸引を行った。
10月27日より復温明に入った。10月30日の頭部汀では著明な脳浮腫は認めず脳圧の上昇は見られなかった。11月5日に脳
低体温療法を終了し、翌日には自発呼吸も見られるようになった。血液検査では感染所見はなく、胸部レントゲン上も肺炎條
は認められなかった。
[MEMO]
64
N−ト4チエづトラブル防止に対する病棟での取り組み∼危険度、対策表を使肌て∼
石本 恵理1、小泉 希代子1、篠原 ゆみ1、北岸 久美子1、志摩 久美子1
1大阪警察病院ICU・救急病棟
キーワードニリスクマネージメント、事故対策
lはじめに】近年、医療事故ド対する関心は非常に高く、当院でも積極的にリスクマネージメントに取り組んでいる。当病棟
では、事故発生数の半数がチューブトラブルであり、院内のチューブトラブルの30%を占めている。その対策としてさまざまな
事故防止を実施しているが、個人の反省の域を出ず根本的解決には繋がっていない。そこでチューブトラブル報告内容をS肥L
モデルを用いて分析し、その結果を踏まえ、危険度に対する患者のアセスメントを充実させるため危険度の分類とチューブト
ラブル対策表を作成し、個人レベルから、医師と共に病棟全体で統一した事故防止対策を試みたので幸陪する。一研究目白勺】注m.
モデルを用いて分析する事により事故の原因・要因を明らかにする。また、その結果をもとに組織的取り組みができ、今後の
事故防止に繋げる事ができる。【研究期間】第1段階H13年7月1日∼H13年9月31日,第2段階H13年11月29日∼H14年3
月31日【対象】当病棟に入院したチューブ挿入中の仝患者Ⅰα114名 」般病棟245名師究方法】(三郎Lモデルを用いて分
析し、事故の原因・要因を明らかにする②意識レベルと精神状態・体勤の視点をもとに視覚的観察・判断が可能な危険度の分
類と、生命に直結するチューブから優先度をつけ分類したチューブトラブル対策表を作成。救急の医師と協働で、状態に応じ
た対策を設定し、統一した看護が行えるよう対策レベルに応じて方法を提示した。また、危険リスクを予見し、危険度と対策
を掲示することで事故の再発防止に努めた。ICUと∵股病棟でのハード面に遠いがあるため、それぞれの部署に応じた管理
を行えるよう、またスタッフ全員が日々活用できるように、評価の時期や方法を活用方法として提示した。【考察】今回、事故
発生の原因・要因をS忙Lモデルで分析する事で、看護師のリスクの把握ヤアヤスメント不足等が関連して事故発生に至ること
が明らかとなった。事故防止に対する一連の取り組みは各スタッフに意識の変化をもたらし、看護師中心から医療チームでの
事故防止へと繋がった。しかし穿新中疾患や痴呆を有する患者においては、予測不可能な行動があり、危険度の分類が困難な事
もあった。患者の危機状況は常に変化する事を念頭に置き、今後対策方法の改善を行っていかなければならない。私達はただ
事故防止を行っていくだけでなく、生命をも危ぶまれチューブ挿入を余儀なくされる患者の心理を考慮し、安全安楽を第一に
治療が円滑に進むようなケアを目指していく事が重要である。その為にも患者の個々の反応を大切にし、スタンダードに加え
個別的なケアを実施していく必要がある。
[MEMO]
65
N−Ⅰト1ICUに射る緊急入院時の家族看護∼初期介入のスタンダード化∼
松本 あゆみ1、浜田 こころ1、中西 浩美1、篠原 ゆみ1、北岸 久美子1、志摩 久美子1
1大阪警察病院ICU・救命病棟
キーワード:家族看護 緊急入院 初期介入
【はじめに】近年、ICUにおける家族看護の重要性が注目されている。特に、緊急入院時の患者家族は混乱した状態であり、
患者を支える家族の拐助は看護婦の大きな役割の一つである。当ICUでは年間約120名の緊急入院があり、特殊な環境と患者
の生命の危機的状態を目の当たりにし、混乱している家族にたびたび遭遇する。当院においては、緊急入院患者家族への対応
として入室時オリエンテーションを行っているが、初期看護介入の時期や動揺している家族\の配慮が不十分ではないかと感
じた。そこで、入室時オリエンテーションの問題を明らかにし、入院初期の段階から家族援助が行えるシステム作りを目的と
し、チェックリスト用紙の作成とオリエンテーション方法の改善を試みた。【対象者】Ⅰαに緊急入院した賢者家族【研究期間】
平成13年10月25日、平成14年3月31日【研究方法】①重症であるという漠然としたイメージを具体化し衝撃を回避するた
め、オリエンテーション用紙の改善と写真見本を作成し、必要な情報を口頭での説明と共に提供できるようにした。②時間軸
と介入軸に分けたマトリックス型のチェックリスト用紙の作成と活用を行い、動揺している家族の心境に配慮した時期に、必
要な情報・看護が提供できるようにした。【考察】チェックリストの使用により初期介入のスタンダード化を行った結果、介入
項目の統一を図ることができた。また、患者と同時に家族へも早期から援助することができ、感情の表出がしやすい環境作り
に繋がったといえる。パンフレット写真見本の提示、初回面会までの待ち時間とICUの環境についての説明は全ての看讃婦
が実施できていた。家族がイメージできるような情報を提供したことで、患者の置かれている状況を知りたいとうニードを満
たし、衝撃を少しでも回避することができたのではないかと考える。【まとめ】救命処置が最優先される看護から患者と同時に
家族へ看護することへと、看護婦の意識が変化し、早期から家族と関わることができ、信頼関係の基盤を築くことの第一歩と
なった。しかしチェックリストは項目を実施したという達成感に満たされ、個別性に踏み込むことに欠けやすくなる因子があ
ることも考えられる。チェックリストは介入の第一歩となり得るが、そこから先の関わりは個人の看護観に任されている。従っ
て、チェックリストだけにとらわれず、家族が現状を受け止められるかを瞬時にアセスメントし、受け入れる段階になるまで
の援助が必要である。家族との関わりの中で必要としている情報を見極め提供し、心理的な変化を経時的に見ながらその家族
にあわせた介入が大切であると考える。
[MEMO]
66
N−Ⅰト2当センターにおける口腔ケアの評価「細菌培養に焦点をかて−
泉仁美1、小川 陽子1、同室 優1、出口 安芸コ
1和歌山県立医科大学付属病院 枚急集中治療部、三和歌山県立医科大学付属病院 中央滅菌部
【はじめに】気管内挿管患者における口腔ケアの重要性は現在人工呼吸器関連肺炎(VAP:VentilatorAssociatedPneしn10nia)
の予防として注目されている。当センターにおいては気管内挿管患者に対して入室時‘より0.15%イソジン含峨液601111にてコ
時間毎に口腔内洗浄,1日1回挿管チューブ再固定時に口腔内清拭を行い感染予防に努めている。今回,現在の口腔ケアを細菌
培養の結果に焦点をおいて調査したのでここに幸陪する。【対象】2002年1日1日から3月31日に入室した患者のうち,以下
の3つの条件を満たした34名。1.成人であること。2.入室時に肺炎を発症していないこと−。3.48時間以上呼吸器を使用してい
ること。【方法】入室時以降の細菌培養結果を調査し,咽頭および囁嬢から検出された細菌の僅類と楓り:l率を出す。【結果】1.
咽頭から糸田菌が検出された人は25人(全体の73.5%),陰性の人は9人(26.5?占)であったっ 2.咽頭から細菌が検出された
25人のうち,喀疾から細菌が検出された人は18人(全体の52.99も)であった。3.咽頭と喀疾で同種の細菌が検出された人は
14ノし(全体の41.2%)であった。検出された同種の菌種はenterococcusspecies,MRSA,StaPllylococcusaLlreuS.CanClidEISpeCies,
enterococcusspecies,Staphylococcus(CNS),pSeudonK)naSaerugnOSaであった。【考察】咽頭と喀疾から同棟の細菌が検出さ
れていることから,咽頭内の細菌が不顕性誤嘩をおこしている可能性が高いと考える。また,咽頭から細菌が椎出される割合
も高く,感染予防の観点において当院における口腔ケアの方法は効果的ではないと考えられる。【結語】現在の仁川空ケアは感染
予防の観点から有効に行われていない。今後口腔ケアの方法を改善するとともに,Ⅵ肝の発生率により口腔ケアを評価していく
必要がある。
[MEMO]
67
N−Ⅰト3心筋梗塞に対するBMI(骨髄幹細胞自家移植術卜治寮を行った患者の看護
松森 恵理1、藤井 由美子1、辻 佐世里1、仲村 明美1、河井 由美子1
1関西医科大学附属病院 循環器夕悼Ⅰ病棟
【はじめに】今臥心筋梗塞の再生治療として骨髄章朝田胞自家移植術(BMI)治療を施行する目的で入院した患者の身体面・
精神面への看護を経験した。【患者紹介】64歳男性陣旧性L、筋梗塞m・C脳G後【看護の展開】術前:約10年間心筋梗塞
を患い、PTCA・CABC治療を行ったが再狭窄を起し、薬物療法では症状のコントロールが困難であった。洗面や排尿を続けて行
うなどの二重動作をする時、1日6 7回はミオコールスプレーを使用している状況であった。しかし患者は、手術が近づくに
つれL、電図上の変化はないが、ミオコールスプレーの使用頻度が増えてきた。このことから患者は、病気や手術に対する不安
が増強し、精神的側面から胸痛症状の出現や、予防のために、ミオコールスプレーを使用していることがうかがえた。このこ
とを考え精神的なサポートを行った。術後急性期:手術後、不整脈は時折PⅦを認める事があったが、合併症を併発せ欄昼
した。術後回復期:術前の患者の活動範囲が、トイレ歩行(50メートル歩行)であったためリハビリテーションのアップは、
慎重に時間をかけてすすめた。歩行中自覚症状は無く、心電図変化もなかった。術後はミオコールスプレーの使用回数は、1
日に01回に減少し、使用しない日が多くなった。退院前:術後約1ヶ月、心機能の評価のため、RIやC撼の検査の前日に
βブロッカーが中止になると、検査中に自覚症状を認めた。患者は、βブロッカーを中止するだけで胸痛を起こすため、「やは
り治らないのではないか」と不安を訴えるようになった。そこでどの検査で何が解るのかといった検査の内容を説明した。退
院前、患者は「研究段階だから、いつでも今回の治療に対する定期受診や検査はやめてもいいといわれましたが、続けるよう
に頑張ります。」と話し、不安はあるが前向きな姿勢で退院を向かえた。【考察】手術後ミオコールスプレーの使用回数が激減
し症状の改善がみられ、患者にとって勇気づける結果となった。しかし、βブロッカーを中止した際に発作を認め、危機的な
要因になり、治らないかもしれないという旦活を送る患者の精神面への看護の難しさを痛感した。都留は「病気が長期化し、
休養のときだと自分を納得させても、ときどきふとなにかわからない不安に襲われることがある。」と述べている。今回の患者
も、入院期間中、常時なんらかの不安を抱えており、改善が分かりにくい慢性期の患者の看護においては、情緒的支援や安心
感を与える環境調整、声かけなど、不安をもつ患者への精神的看護を念頭において援助していかなければならない。【おわりに】
医療の進歩と共に、看護に求められるものも複雑多岐にわたり、心臓医療の発展に伴い、患者の不安も多種多様である。看護
師は、その不安に対応出来るように努めていく必要があり、また、新しい医療についての学習を深め、適切な処置・看護が出
来るように努力していきたい。
[MEMO]
68
N−Ⅰト4食加術後患者の不穏の改善への一考察∼生体リズムを考えた看護を実施して∼
雪田智子1、延堂 麻紀1、林 敏美1
1神戸市立中央市民病院 集中治療部
【目的】昨年の研究で『鎮痛・鎮静剤の使桐方法を生体リズムに合わせるのがよい』との結論を得たので実施し、不穏の発生
状況を検証した。【対象】平成11年1月∼13年12月に当院Ⅰαに入室した食道癌術後患者69名。【調査項目】不穏患者
の数の推移。不穏患者の年齢・性別.病名告知の有無・術前術後の精神状態。不穏あり、なし患者の挿管日数・入室日数・Ⅰα
退室∼退院までの日数の変化。呼吸器合併症と不穏との関連について。鎮静スケールはSedation−AgitationScaleを使用して、
スコア5以上を不穏とした。【看護の実際】鎮静は、夜間のみとして、日中は覚醒した状態とした。鎮静のスコアは、日中スコ
ア4、夜間スコア3を目標とした。鎮痛は、急性期は積極的に使うようにした。日中は、テレビ・音楽などで気分転換を図る
ようにし、面会時間も調節した。【結果】平成13年は、患者数18名中不穏患者は4名で全員男性であった。年齢との関連に
ついては、平成11年、12年は高齢者が不穏に陥りやすい状況であったが、平成13年は50歳代が3名、80歳代が1名
であった。性格についてはバラツキが多く指標にならなかったが、術前術後を通じて不安が強く不穏に陥った患者は、神経質
な性格であった。呼吸器合併症と不穏との関連については、平成13年では不穏患者4名すべてに呼吸辞合併症を併発してい
た。しかし挿管期間は減少傾向にあり、ICU退室∼退院までの日数は減少していた。病名告知については、不穏患者12名中1
1名に告知がされていた。平成11年と12年の不穏患者は、不眠が持続しているケースが多かった。平成13年の不穏患者
は、痺痛のコントロールもできており、夜間の睡眠も鎚S3を目標として鎮静剤を使用していたため不眠のケースは1例のみで
あった。【考察】平成13年の食道癌術後の不穏患者は減少していなかったが、術後の経過に好影響を与えていた。その実態を
見てみると、今までは、持続する不穏行動のためにケアに協力できず、危険行動を伴い鎮静せざるをえない状況になり、悪循
環になることが多かった。しかし今回は不穏状態が持続しているのではなく、合間にケアに協力できたり、現状を理解する言
動がみられた。また痛みのコントロールにつとめ、夜間不眠にならないように鎮静を図ったことで、昼夜メリハリのある生活
ができ生体リズムが整った。日中の覚醒レベルを高くすることは、A札の拡大や月両壁学療法を支険し、術後の回復を助けている。
結果、呼吸器合併症を合併しても治療に悪影響を与えず、術後経過は良好であった。正常なパターンの生活を維持することは、
基本的欲求を満たすことができ不穏の予防又は悪化を防ぐと考えられた。不穏の発生の誘因として心理的要因も大きく関係し
ており、不穏の予防には、術前からのアプローチが重要であることがわかった。
【MEMO]
69
看護事例検討
テーマ「人工呼吸器装着中の患者の看護」
C−1体位変換を中心に安全で安楽な肺理学療法が行えた重症肺炎患者の一事例
岩山 美希ユ、笹田 友恵ユ
1大阪府立病院ICU・CCU
キーワード:
はじめに
呼吸不全患者にとって,体位変換はドレナージ目的,換気血流不均衡分布の改善,無気肺の改善など多くの効果が期待でき
る看護援助である.しかし人工呼吸器装着中に体位変換を行うことは,各種ルートトラブルや挿管チューブによる患者の苦痛
が生じる恐れがある.今回,体位変換を中心とした肺理学療法を取り入れ,呼租1犬態の改善後,抜管に至った問質性肺炎患者
の事†列を経験した.本事例を通して患者にとっての安全で安楽な肺理学療法の実施を考察する、
事例紹介
丁氏,74歳,男性身長165cm,体重75kg.
現病歴;入院4∼5日前より,全身倦怠感や咳轍があり,食欲も低下していた.入院前日より呼吸困難感が強くなり,起座。粥
となったため救急車を要請し,当院に搬送された.患者は52歳より右肘関節リウマチがあり,リウマチ再燃と合併症であ
る重症問質性肺炎の呼吸不全と診断されⅠα入室となった.
診断名;慢性関節リウマチ憎悪・問質性肺炎による急性呼吸不全.
Ⅰα入室期間;平成13年12月30日から平成14年1月13日.
Ⅰα入室中の経過;入室後徐々に動脈血液ガスデータ(以後服Gデータと略す)の悪化・呼吸困難感の増強があり,経口挿管晩
鐘静別の持続注入下で呼吸器管理となった.12月30日の胸部レントゲン写真にて右下肺∼中葉に肺炎像,1月1日の胸部
汀で両側胸水,肺野に浸潤陰影を認めた.1月1日より3日間のステロイドパルス療法を施行し,以後もステロイド投与を
続けた.パルス療法終了後より胸部レントゲンで肺炎像の改善と1月7日の打で両肺野の浸潤陰影,胸水の減少傾向を認
めた.呼吸状態が安定してきたため,1月7日鎮静剤の持続注入を中止し,呼吸器のウイニングを行い1月9日抜管に至っ
た.以後酸素マスクで経過し1月13日当院呼吸器内科病棟に転陳となった.(資料1参照)
看護の実際
<看護診断>ガス交換の障害.
看護の実際については持続鎮静中の12月30日∼1月6日までを第一期とし,夜間のみ鎮静剤を使用した1月7日、1月9
日までを第二期と分類して述べる.
第一期(12月30日、1月6日)
<看護目標>1.レントゲン写真で肺炎像が軽減する.
2.脳Gデ」夕の改善が見られる.
3.有効な排疾が行える.
<看護吉十画>腹臥位(3回以上/日)を中心とした2時間毎の体位変換を行う.
体位変換を行う時はルート類の安全確認と良肢位の保持を行う.
看護師は3人以上で腹臥位を中心に1㌧2時間ごとの体位変換を行った.腹臥位の時間は30分以上とし,吸引の必要があった
ので2時間以内とした.受け持ち看護師は腹臥位にする前には必ずルート類の整理や確認をし,固定が不安定なルートは再匝
定を行った.患者をまずベッドの端に寄せて関節可勒域を考慮し腕を体の下から抜きだしながら,側臥位からゆっくり腹臥位
72
とした患者は右肘関節リウマチがあったため,腹臥位になる過程で体の下を通る腕は左腕となるように左側臥位より腹臥位
を行った.腹臥位になった後,受け持ち看護師によりルートやモニター類の再確認と良肢位の保持を行った.また患者は腹部
が大きく,腹臥位時に腹部が圧迫されないように,胸部に枕を挿入した.
このようにして行った腹臥位によるルートトラブルやルート類や体型などの圧迫にともなう皮膚障害は見られなかった.腹
射立後には多くの疾が吸引され,腹臥位時に動脈酸素分圧(以後和2と略す)10Ⅷ唖程度の改善があった.また腹臥位時には
患者に鎮静薬が持轍主人されており,苦痛表情や,循環動態の変動も見られなかった.
第二期(1月7日∼1月9日)
<看護目標>1.レントゲン写真で肺炎像が消失する.
2.呼吸器から離脱できる.
3.患者は最小限な苦痛で積極的に排疾が行える.
<看護計画>覚醒時は座位を中心とした体位変換,夜間は完全側臥位を行う.
昼間の患者は,持続鎮静剤が使用されていないためしっかり覚醒しており,看護師の質問に対し首振りや口の動き,筆談に
よりコミュニケーションをとることができた.患者は看護師の肺理学療法の説明に理解を示し協力的であった.腹臥位を行う
ことにも積極的であったので,腹臥位を行ったが苦痛様表情をして「急がしんどい」「管がしんどい」と筆談による苦痛の訴え
が聞かれた看護師は医師と相談し,横隔膜運動が抑制されにくい体位である坐位を中心に行うことに変更した.患者の協力
を得て座位を行ったが,患者からの苦痛の訴えは無かった.座位の時は看護師ヤ家人と筆談などにより会話を行い,表情も穏
やかであった.夜間は鎮静剤を使用し入眠の援助を行い,完全側臥位を中心に体位変換を行った.
考察
今回患者に対し腹臥位後に疾の士勤口が得られたことや,腹臥位と仰臥位時の膿Gデータの比較でPO2が約101Ⅷ地以上の改善
があったことより,体位ドレナージ効果や,肺酸素能改善効果の評価から即時効果があったといえる.第一期では腹臥位を行
う際,看護師は3人以上で介助を行い,体位変換前後でルートやモニター類の確認を行ったことにより,体位変換に伴うルー
トトラブルの回避につながり,患者の安全を守ることができていたといえる.患者の右肘関節リウマチを考慮した腹臥位への
変換や良肢位の保持は,持続鎮静剤健闘中で苦痛が訴えることのできない患者への身体侵襲を少なくする看護援助であったと
考えられる・また患者の体型を考慮し腹部の圧迫軽減のため枕を胸部に挿入したことば,患者の安楽な体位を保持する援助で
あったと考えられる・このようにして行った腹臥位は,患者にとって安全で安楽な体位ドレナージであったといえる.
真渕は1)。串管患者や人工呼吸器装着患者は,物理的,病態的,環鄭的に特殊な状況下に置かれ,しばし周覇申的に孤立し
た状態に陥る・このため,治療中は不安,恐怖・緊張感や苦痛な呂L、理的状態濠損なう原因を除去し,患者の心理状態を理解
して,共感を持って支持的かつ愛護的な治療により患者との信頼関係を作ることが不可欠である」と述べている.持続鎮静剤
の使用を中止し覚醒した時の患者は,息苦しさからくる死への恐怖や気管チューブの苦痛,声が出ないことの不安などを感じ
ていたと考えられる.そのような心劫犬態の患者に対し看護師は,患者の状態が改酎頃向であることを説明し患者にをL感を
与え,コミュニケーションをはかる中で患者の訴えを傾穂し,その苦痛の除去に努めた.肺理学療去を進める際も,患者に必
要性の説明を行い納得を得て行ったり,患者の訴えによりプランを変更するなど患者を主体とした援助を行った.このような
関わりを通して,患者と看護師間の信頼関係を構築することができ,患者の肺理学療法への意欲の減退を引き起こさず患者の
協力を得た安楽な肺理学療法を進めていくことができたのではないかと考えられる.丸山は2)用市理学療法を看護ケアとして積
極的に行うことは,気管内分泌物の除去や酸封ヒの改善とともに,これに伴うスキンシップと介助を通して,患者の苦痛や不
安,そして心矧犬態を理解する手段ともなりうる」と述べている.第二期のように覚醒している挿管患者の体位変換は呼則夫
態の改善だけではなく,患者の心理状態を読み取ることができるため,看護師は読み取った患者の心理l犬態を肺理学療法に生
かし,患者にとって安全と安楽を保障することで,より有効な肺理学療法が行えると考える.
まとめ
1.臥位による肺理学療法で膿Gデータの改善が見られた.
73
2ルート類の整理や患者の既往,体型を把捉した状況での枕の使用や体位変換の方法を工夫することで,患者にとってより
安全で安楽な肺理学療法を行うことができた.
3.肺理学療法を通して患者の心卿犬態を把捉し患者の気持ちを中心とした援助を進めることで,患者と看護師間の信頼関係フ
構築でき,患者の協力を得ながら患者にとって安楽な肺理学療法を行うことができた.
【引用文献・参考文献】
1) 間渕敏ほか;Ⅰαにおける肺理学療法の理論と実際.集中治療医学講座12,2000
2)
丸川征四郎,丸山美津子ほか;Ⅰαのための新しい肺理学療法.メデイカ出版,2000
3)
丸川征四郎,山内順子;腹臥位による急性肺障害の呼吸管理,体位変換の意義と方法.呼吸と循環44,1996
【資料1】
74
C−2人工呼吸器装着中患者の排疾援助∼月鄭批位による僻ドレナジを取り入れて∼
知野見 優紀子1
1国立京都病院 救命枚急センタ岬
キーワード;
はじめに
当救命救急センターでは、人工呼吸器装着中患者の排疾援助としてタッビングやバイプレータを用いた方法を取り入れている。
しかし、タッビングの叩くという行為は患者に恐称L、や痺痛を与え、呼吸筋を収縮させ呼吸を抑制させてしまう可鱈性がある。
私達は人工呼吸器装着中の患者に対して苦痛を最小限にした排疾手技を提供し、適切な月胡包換気を稚持できるよう呼吸管理を
行なわなければならない。
今回、循環動態が不安定で人口呼吸器からの維脱が進まない患者を受け持ち、腹臥位による体位ドレナージを取り入れて排疾
援助を行なった結果、循環勤態に影響を及ぼさず人工呼吸器から離脱できた患者について幸陪する。
Ⅰ.患者紹介
症例:69歳 男性
診断名:うっ血性心不全・急性心筋梗塞
合併症:肺炎・急性腎不全
実施期間:2001年9月22日∼10月18日
入院の経過:7月28日 呼吸困難出現し緊急入院
8月 3日 血圧低下、ロ級l=頓崇悪化し、人工呼吸器装着。直後心停止、心肺蘇生するが以後頻回に致死的不整
脈出現する。
9月10日 気管切開術施行
Ⅱ.看護の実際
看護上の問題点
長期臥床・鎮静に関連した疾の貯留、肺炎の合併
体位変換に続発する循環動態の変動
看護目標
循環動態が安定し人工呼吸器から離脱できる。
Ⅲ.看護計画
Ⅰ段階:人工呼吸器装着・鎮静中の看護(9月22日∼29日まで)
安静時の収縮期血圧が95mmHg±10Ⅷ1Hgであることを確認し日中に1臥 20分間腹臥位にする。
方法
体位変換前にメプチン吸入を行う。
最低3人の看護師で、腹臥位にする。
腹臥位時、背部より月胡包の末梢から中枢にかけてバイプレータをかける。
75
腹臥位の体位ドレナージを20分間行った後、仰臥位に戻し疾を吸引する。
Ⅱ段階二人工呼吸器離脱・鎮静剤中止後の看護(9月29日∼10月18日まで)
1・安静時の収縮期血圧が90mHg以上である日中に、ファーラー位の体位を整える。
2.日中に上下月封也勤運動を行う。
Ⅳ.実施・結果
第一−∴段階で患者は圧補助換気(以下PSとする)で人工呼吸器管理がなされている状態で、循環動態は比較的安定していた
が、スワンガンツカテーテルによる循環動態のモニタリングを必要とする状態は続いており、週2回の透析日を除き実施した。
腹臥位への体位変換は、最低3人の看護婦で行い、気管チューブがベットに圧迫されないよう顔は横を向けた状態で、クッショ
ンや布団で体位の安定を図った。体位変換直後、収縮期血圧は90mmHgから70mmHgまで低下したが、5分ほどで自然に恒
復しL寸自出量やノL寸自数に大きな変動は見られなかった。バイブレータを背部からかけると鵬寸と流誕があり、多量の唾涌
や略疾を吸引した。また、苦痛様表情がみられたが、呼吸が促迫になることはなかった。体位変換により軸02が100%から9
5%まで低下したが、仰臥位に戻して吸引すると99%に回復し腹臥位後の血液ガス値が悪化することはなかった。9月23
日にはPS8cn止ち0から6cmitOにまで変更し、9月24日にはFio2を0.4%から0.35%に減量でき、9月26日には人工。棚
からTピースに離脱できた。
10月7日から呼吸リハビリ運動を行なった。患者には紙面に絵を書いたパンフレットを見せて説明すると、うなづいたり、
自ら上肢の巻上運動を行なった。
Ⅴ.評価・考察
「人工呼吸中の重症呼吸不全では臥位でいるため、重力の影響で浸出液、気道内分泌物、血液などが貯留し、肺合併症を起こ
しやすい。よって、この部位が上になるような体位、すなわち腹臥位では換気一血流比が改善し、酸素化能が改善する」1)と
宮川は述べている。
腹臥位の体位変換は身体の血流分布を改善し、背底部に貯留した疾を重力による体位ドレナージを行なうことで実施後はすべ
て血液ガス値P濾2は上昇しており、また、腹臥位では胸郭を圧迫しない体位であるため、換気を拡大させ有効なドレナ←ジが
行なえた。また、流出してきた喀疾で気管支が閉塞し腹臥位中に一時的な馳02の低下が見られたが、バイプレータの併用は気
管支線毛運動を促進させた。実施前にメプチン吸入で気管支を拡張させておくこと、また疾の喀出される時間を予測して腹臥
位の時間を20分間とし、吸引で疾を除去したこと嘲犬態を引き起こすことはなかった。そして、通常2人で行なう体
位変換を3人で行なったことで安全に体位変換でき、実施後5日目には人工呼吸器から離脱できた。しかし、今回は腹臥位の
向きを左右関係なく施行したため、肺炎部位をⅩ線上で確認し、実施前に疾の貯留部位を聴診してから必要なドレージの方向
を考えて体位変換を実施することで、より効果的な体位ドレナージができたと思う。
体位変換後、収縮期血圧は70mHgまで低下したが一時的なものであり、循環動態への影響を少なくできた。また、徐々に昇
圧剤を減量していた時期で、ノLヰ白出量が5,01/分へと状態が安定していた時期を選択したことも循環動態に影響を与えなかっ
た。関節の他動運動については早期に取り組むことで、呼吸筋の筋力低下をより最小にすることができたと思われる。
Ⅵ.まとめ
1)タッビングによる排疾援助と比較して、腹臥位は疾を気道の末梢から中枢へドレナージする効果がある。
2)循環勤態への影響を少なくするには、20分間の腹臥位が望ましい。
3)腹臥位とバイプレータの併用は効果的な緋疾援助ができる。
4)人工呼吸器離脱への腹臥位は筋力拡大につながる。
76
C−3EC岨装着中に腹臥位療法を施行した一症例
武野 明香1、志田 光恵1、秋山 七生1、川 貞男1、篠 正博1
1和歌山県立医科大学付属病院 救急集中治療部ICU
キーワード:
近年呼吸不全の患者、特に下側肺障害の患者管理に腹臥位療法を取り入れることが有効といわれている.しかし下側肺障害
の患者の状態も様々であり呼吸管理だけでなく循環動態の不安定な患者、CHFをはじめとする体外循環を必要とする患者も
多い.また腹臥位療法施行時には、循環動態の変動、ルート・チューブ類の屈曲・抜去の危険などの問題点がある.当ICU
に入室する患者は人工呼吸管理を必要とする症例がほとんどであり、そのうちの下側肺障害を認めた症例には積極的に腹臥位
療法を取り入れて肺の酸素化能の改善を図っている.今回ECMO装着中に腹臥位療法を実施した患者の看護を経験したので
その経過・管理方法などについて幸陪する.
【患者紹介】51歳、女性.甲状腺腫、子宮内膜症の既往あり.飲酒・喫煙歴なし.平成12年3月14日より37度台の発
熱出現し、翌日には血疾を認めるようになった.全身倦怠感・呼吸困難感が増強するため近医を受診した.胸部レントゲン所
見で両肺野に斑状陰影を散在性に認め、グッドパスチャー症候群が疑われて3月17日当院紹介となり、同日ICUに入室し
た.ICU入室後著明な低酸素血症のため気管内挿管のうえ人工呼吸管理となった.FIO21.0で管理するが低酸素血症続
くため3月20日NO吸入療法を開始した.しかし酸素化能の改善を認めず3月21日ECMOを導入した.胸部CT上、下
側の無気肺が強く3月23日EC虻)装着中に腹臥位療法、呼吸理学療法が開始された.その後酸素化能は改善したがエコー所見
結果で両下側肺の含気の改善がないものと考えられて、3月27日再度仰臥位とし全身管理を行った.入室後脚仇関連肺胞出
血と診断され、ステロイド療法と血渡交換を施行したが症状の改善は認められなかった.呼捌犬態・全身状態が次第に悪化し
4月5日死亡した.
【看護の実際】気管内挿管後、気管から多量の血性疾を認めたので30分から1時間毎に気管内吸引を行った.胸部CT上、
下側の無気肺が確認されたので体位は循環動態の観察を行いながらヘッドアップした状態で両側シムス位とした.しかし呼吸
状態改善せずECMO導入となった.同時に血祭交換・血液透析も行われたため、患者に多数の重要なルート回路が存在し
た.そこで患者への日常生酒援助を安全に実施するために役割を分担してケアを行った.清潔ケア、体位変換時は患者を支え
る看護婦、ルート・回路の屈曲・抜去を予防する看護婦、枕を挿入する看護婦などに分担し3人以上のスタッフで実施した.
実施時はそれぞれが声をかけあいルート回路トラブルに注意した.その結果EC岨・透析回路・気管チューブのトラブルは発
生しなかった.入室後仰臥位で管理をおこなっていたが更に呼碑状態が悪化したためECMO装着中に腹臥位療法を5日間実
施した.腹臥位療法は患者に与える苦痛が大きく、安静を守れないことが多い.そのため気管チューブ・回路・ルートのトラ
ブルが発生する危険が高く患者の意識状態に応じた鎮静剤を投与が必要となる.今回鎮静剤はプロポフォールを使用し200mg
/Hで投与していたが体勤を認めたため300mg/Hまで増量し管理を行った.300mg/H投与しセデーションスコア5で経過し
た.腹臥位療法中も下側の楓市の改善をはかるために2時間毎に体位変換を行った.その際は医師を含む4人以上の
77
スタッフで気管チューブ、ECMO・透析回路、中心静脈ライン、動脈ラインの屈曲・抜去の予防、循環動態の変動に注意を
払い実施した.夜間も医師・看護婦が協力し、声をかけあい安全に実施した.その結果腹臥位療法中に、回路・ルートトラブ
ル、循環動態の変動は認めなかった.また腹臥位療法と同時に呼吸理学療法も実施した.医師・看護婦がジャクソン換気、吸
引を行い、理学療法士が呼吸介助をおこなった.循環動態、呼吸器モニタリングを行い患者の状態に変化がないか注意をはらっ
て実施した
【まとめ】ECMO装着中の患者でもルート回路の管理に十分に注意を払い、全身状態の観察を行うことで安全に腹臥位療
法を実施することができた.安全に実施するためには患者に必要な鎮静剤を投与すること、マンパワーの確保・スタッフ間の
協力が重要である.
[MEMO]
78
C−4食道癌患者の術前に享信吾的。ミュニケ】ション訓練を言払て
黒田薫1、高田育江1、田連真澄1、峯瀬美千代1
1兵庫医科大学病院集中治療部
Ⅰ.はじめに
気管内挿管は呼吸管理を行う上では有用であるが、様々な弊害もある。河内が「ほとんどの患者が挿管していることで声が出
ない事に苦痛を感じている」1)と述べているように、挿管中の患者は、発声できないことにより有効なコミュニケーションを図
れず、精神的な苦痛を受けることも少なくない。当Ⅰαでは、指で手のひらに文字を書いたり、ボードで筆談をしているが、
患者の訴えの全てを理解するのは難しい。古谷が「非言言部勺コミュニケーション訓練は、Ⅰα在室中の意思疎通に役立つ」Z)と
述べていることから、術後に長期挿管が予測される食道癌患者に対し、術前に非言語的コミュニケーション訓練を試みた結果、
挿管患者とのコミュニケーションを図るうえで術前訓練が有効であったため報告する。
Ⅱ.対象
氏 名:H・T氏(以後H氏とする)
年 齢:57歳
性 別:女性
病 名:食道癌
術 式:右開胸閏月知監置亜仝摘、胸骨後食道胃吻合術
1α在室期間:2002年1月28日∼1月30日
挿管期間 :ICU入室後18時間(1/2817時∼1/2911時)
Ⅲ.看護の実際
術前訓練
手術前日にH氏の病室に訪問し、非言語的コミュニケーション訓練を実施した。まず、通常の術前訪問として術後の状況を説
明後、意思疎通を図る手段について説明した。その後、H氏に臥末してもらい、看護師の手のひらに指で「タン」「イタイ」「ム
キ」の三つの文字をカタカナで書いてもらった。
H氏は挿管中の失声について医師から説明を受けており訓練の受け入れはよかった。実施も説明どおり正確に行えていた。ま
た、表情は穏やかで「術後のために訓練内容は覚えておく」と述べた。
術後のコミュニケーション
術直後∼鎮静剤投与中
患者は傾眠傾向で看護師の質問にうなずく程度であった。
鎮静剤中止∼深夜勤終了まで
覚醒後景初のコミュニケーションは、患者自ら看護師の手をとり指を使ってカタカナで文字を書き意志を伝達した。はじめは
力が入らないため文字にならず読めなかったが、ゆっくり一画づつ書くよう声をかけ徐々に書けるようになり、患者の訴えは
全て理解できた。
79
日勤開始、抜管まで
抜管にむけて座位をとるようになった。座位になるとボードでの筆談が容易になり、長い文面はボードで意志疎通を図った。
Ⅳ.H氏の評価
H氏は意思疎通について「訓練していたため、筆談すれば意思疎通が図れるという安心感があった」「手のひらに書く事で
ぬくもりを感じ、看護婦さんが聞いてくれている印象を受けた」と答えた。訓練の方法・時期については「手のひらに書く方
法で全て伝わったため今回の訓練内容でよかった」「訓練から手術まで日が長いと不安が増強するため手術前日でよかった」と
述べた。
V.考察
1.術前訓練の有効性
挿管患者は声が出ないことで、津田申的不安定な状態となることがある。患者の精神面の安定には、患者の訴えが看護師に伝
わることが大切である。通常は、術後患者が何か訴えようとした時に筆談の方法を説明し実施してもらうが、うまく伝わらず
患者がパニックになることもあった。しかし、H氏は麻酔機星とともに筆談で意思を伝えることができ、術前訓練は有効であっ
たといえる。また、意思の伝達方法を体験しておく事は患者に安心感を与えるという効果も得られた。
2.術前訓練の方法
H氏は、術直後は手に力が入りにくい状態であったが手のひらに指で文字を書くことはでき、看護師と意思疎通が良好に図
れた。寺澤は、「手の温もりは苦痛を和らげるだけではなく、患者さんとの信頼関係を確立し、看護婦と患者関係を超えて、人
間と人間の関係を築くもとになる」3)と述べている。今回実施した筆談方法は、手のひらに書く事でH氏と看護師が触れ合う機
会にもなり、安心感や信頼感を与えることにつながったのではないだろうか。この事より術前訓練として患者が看護師の手の
ひらに文字を書く方法は有効であったと考える。
3.ネl揃訓練の時期
H氏は「訓練から手術までの時間が良いと不安が増強する」と述べた事から、手術前日の訓練が適当な時期であったと考える.〕
しかし、これはH氏の場合であり全ての患者にあてはまるとは言い難い。隈が「不安は手術が近づくにつれて高まり、手術前臼
に最高になる」‘1)と述べるように、手術の決L、や覚悟ができている患者にとっても不安や緊張感を与えることになるかもしれな
い。そのため、術前訓練の時期は、患者の手術にたいする受け入れl犬態や性格を考慮したうえで決定していく必要がある。今
後は症例を重ね、患者の個別性を考慮した術前訓練及びコミュニケーションの取り方を検討していく必要がある。
Ⅵ.まとめ
この事例に関しては、以下のことが言える。
1.気管内挿管患者のイ7】揃に非言言吾的コミュニケーションを行う事は、意思疎通を円滑に図る上で有効であった。
2.コミュニケーション訓練は、患者が指で看護師の手のひらにカタカナで書く方法が有効であった。
3.術前訓練の時期は、患者の手術の受け入れ状態や患者の′肘各を考慮した上で決定するのがよい。
Ⅶ.引用文献
1)河内志津子他:言吉吾的コミュニケーション障害に対する看護援助についての一考察
一気管内挿管を受けた症例を通して−,日本集中治療医学会雑誌(1340−7988)
4巻,Suppl,p.233,1997.
2)古谷知恵他:食道癌患者の術前における非言語的コミュニケーション訓練の有効性
−ICUでの状況に適応するために∼,第20回目本看護学会(成人看護)集録,
p.45−48,1989.
80
3)寺澤捷年:絵でみる指圧・マッサージ
JJNスペシャルNo.45 医学書院、1995、P7
4)林 由起子他:手術室看護婦の術前訪問に患者からの希望を取り入れた介入と評価
第30回 成人看護I1999年、P66−68
Ⅷ.参考文献
1)阿部葉子他:気管内挿管患者とのコミュニケーション手段の検討一言吾カードの作成 を試みて一,日本看護学会論文
集30回看護総合号,12,p.18∼20,1999.
2)田嶋多恵子他:挿管患者との非言盲吾的コミュニケーションを考える一伝わらない原因を看護婦側から探る−,日本集中治
療医学会雑誌 5巻,Suppl,p.363,1998.
3)宮沢玲子他:気管内挿管患者とのコミュニケーションを考える一訴えが理解できなかった1事例−,日本集中治療医学会
雑誌 7巻,S叩pl,p.225,2000.
4)中村勝二ナースのためのコミュニケーション術,臨床看護,26(5),p.619∼627,2000.
5)江藤かをる:コミュニケーションの手段は会話だけではない,月刊ナーシング 21巻4号,p.40、44,2001.
[MEMO]
81
C−5重症膵炎開腹ドレナージ術後患者の看護−「人工呼吸器の離脱が進まなかった症例を通して−
城内 景子1、竹本 真利1、田中 奈央ユ、堤 恭絵1、柳田 美砂1、野上 さだ子1
1神戸市立西市民病院 救急・ICUセンター
キーワード:
1.はじめに
保存的集中治療で改善のみられない重症急1瑚華炎、特に感染性陣壊死を伴う場合は外科的治療が行われるが、厚生省の重症
度スコア判定では18点以上で死亡率ほぼ100%と、極めて予後は悪い。
今回、当院Ⅰαで重症急性膵炎St聯4のため上記治療を受けた患者が、出血やその他の合併症を繰り返しながらも、生命危様
を乗り越えることができた。しかし術後3ヶ月以上経っても人工呼吸器から離脱できず、そのまま一般病棟へ退室となった。
その経過を振り返るとともに、痺痛コントロール及びメンタルケアに苦渋した事例をここに紹介する。
2.事例紹介
氏 名 A氏 40歳前半 男性
既往歴 平成3年副皐丸摘出術
家族構成 妻と子供2人の4人家族,父は死亡し母1人と兄2人あり
時好品 飲酒頻度月一回程度(ビール3杯,チュウハイ3杯) 喫煙歴なし
H13.12月重症急l瑚華炎を発症し、ICU入室。保存的集中治療が行われたが、膵実質・膵周囲の壊死組織は広範
囲におよび、入院13病日目にオープンドレナージ術施行。術後は、定期的な洗浄とネクロセクトミーを行った。▲
3.看護の実際
急性期を経て全身状態が安定し、人工呼吸器からの離脱を図った段階を4期に分け、リハビリ,鎮痛,鎮静,精神的援助に
ついて、述べる。
第1期:持続鎮静を中止し、PRVCからPS(夜間PS+SIMV)へ変更。この時期は、長期安静凱末による全身の筋拘縮と筋
力低下が著しく、打と連携を因って、胸紳乎吸筋群のモビライゼーション、胸郭可動域訓練を中心にリハビリを開始した。1四
肢の自動運動から座位へ膿L拡大を進めたが、連日長時間に及ぶ洗浄と創処置のため苦痛が大きく、鎮痛に困難を要した。ま
た、記憶が抜けている時間への戸惑いや重症感からリハビリに消極的であり、納得できるよう繰り返し必要性を説明した。
第2期:日中PSに加えて呼吸筋力の維持を目的に、釧一脈法を導入。呼吸筋リハビリと併用して、呼吸法の指導を取り
入れた。術後より開始していた鎮痛剤の持続混注にて、痺痛コントロールが図れ、リハビリに支障をきたさなかった。卿.α下
法は、時間の延長を目標とはせず短時間で回数を重ねることを重視した。しかし、本人は時間を延ばすことに達成感があり、
効果的な呼吸訓練は望めず、かえって疲労を蓄積させた。また、夜間は鎮静剤を用いて休息に努めたが、体位交換や吸引によ
り覚醒し、熟眠感を得られない日もあった。
第3期:肌−0刑法は中止し、日中PS単独で行った。呼吸筋リハビリと平行して残存機能のi舌用を目指し、歯磨きや髭剃
り,更衣など瓜Lを拡大させ筋力強化に努めた。腹満感が強い為、排ガスの処置によって苦痛の軽減を図り、床上での座位か
ら下垂座位に変更した。徐々に自力座位保持も可能になり、A氏の積極的な姿勢も見られ離脱が進んだ。月割空内洗浄時も痺痛の
増強はなく、鎮痛剤の持続混注を中止し、屯岡で用いた。夜間は覚醒時のみ鎮静斉りを少量ずつ滴下することで、入眠が図れた
第4期:E]中PS(夜間PS+SIMV)で徐々に離脱も進み、リハビリやADL拡大に前向きに取り組んだ。だが、A氏の姿勢とは裏
腹に、出血,腸管麻痺,腸穿孔,難治圏軒Lといった術後合併症が併発し、中止と再開を繰り返した。その為、1人で行えて
82
いた行為も看護師に頼ったり、鎮痛・鎮静剤などの薬物への依存的な態度も見られ、闘病意欲も喪失していった。そこで、ICU
の特殊な環境から一般病棟に移ることで闘病封舌に変化をもたらすよう、退室の準備を進めた。最初は不安が強かったA氏も、
病棟の看護師が毎日交代でケアに参加することで、徐々に受け入れができた。何より子ども連に3カ月ぶりに会える楽しみと
妻や兄の励ましに支えられ110病日日に退室となった。
4.おわりに
l
重症急性膵炎オープンドレナージ術後は、術後合併症及び解剖学的理由から人工呼吸器の離脱が国雄であり、早期から離
床を進め、リハビリによる筋力強化が必要である。また術後合併症を併発し長期化が予測される場合は、回復の過程で悩まさ
れる痔痛のコントロールと、患者,家族の精神的・社会的苦悩を考慮し、闘病意欲を喪失させない献身的な支援が大変重要で
あることを痛感した。
[MEMO]
83
C−6急性呼吸不全患者の看護一再楯に至った一例を振り返る_
北 あき1
i大阪市立大学医学部附属病院 ICU
キーワード:
【はじめに】
重症患者の多くは身体的・精神的危榛l舟兄にあり、看護師にはその両側面から患者を支える役割がある。精神的危機状況で
は患者の心は揺れ動いている、といわれている。精神的危棒状況に陥りやすい要因に呼吸困難感がある。今回、急性呼吸不全
患者の、呼吸器離脱から再挿管への過程を、患者の主観的情報と私たちのケアから振り返り、患者の訴えの意味について考察
した。
【患者紹介】
N氏、50歳の女性で、平成13年4月、急性骨髄性白血病で骨髄移植を行った。平成13年10月12日、肺炎にて緊急入
院し、同月19日嘩捌犬態が悪化、挿管し、翌日ICU入室となった。入室時胸部Ⅹ−R上、両肺野に漏慢性陰影を認め、カ
リニ肺炎が最も疑われ、抗生剤と抗葉蘭薬の投与、ステロイドパルス療法が行われた。翌々日、胸部Ⅹ−Rと血液ガスデータ
の改善を認め抜管したが、二日後に再挿管し、入室17日目に肺炎の悪化により死亡された。
【看護の実際】
抜管直後、PaO2142,PaCO235.1,PH 7.424で、胸部Ⅹ一R上肺炎像に変化はなかった。酸素マス
クのずれや、体位によっては、SpO2が80台へ低下した。深呼吸を促しながらスクイージングを行うと、SpO2改善があっ
た。N氏は「苦しい感じはない」「普段と変わらないんですけどね」と言いながらも「息が止まることはないですか?」とも言って
いた。抜管後1日臥PaO2116,PaCO2 36.1,pH 7.451で、胸部Ⅹ−R上、右中葉の陰影増悪があっ
たが、N氏は呼吸困難感を感じていなかった。体位変換でのSpO2の低下に対して、ジャクソンリースを用いた用手換気にス
クイージングをあわせると、SpO2が改善し、「息が楽になりました」NPPVに対しては「これは息苦しい感じがします」と
言った。しかし、SpO2の改善がすみやかなことから、呼卿犬態の改善に NPPVが最も有効であると判断し、ケアプラン
にNPPVを行う指標をあげ、10分間の継続を目標にすることをN氏と相談し、設定圧を下げて行った。抜管2日目、体軌
と咳轍が重なると、SpO2は94から89へ低下し、安静時にも呼吸困難感を訴えた。血液ガスデータの悪化はあったが、
胸部Ⅹ一R上、肺の膨らみは改善していた。私たちは、活動やSpO2の低下に合わせて、用手換気やNPPVにスクイージ
ングを併用した。カンファレンスで、再挿管について、医師と話し合いをもった。その結果、看護援助によってSpO2の改善
があること、挿管が肺炎の根本的な治療にはなり得ないことから、挿管はみおくられた。その後、胸部Ⅹ−Rで、右肺野の陰
影にわずかな改善がみられたが、血液ガスデータの改善はなく、会話が長くなったり、NPPVを止めるとSpO2は著明に低
下した。ついに、抜管から約58時間後、PaO2 52.2,PaCO238.3,PH7.959で再挿管となった。挿管
直前、N氏は「無駄だったね」と言った。
【考察】
呼吸困難感は「股に、死を連想させることが多いと言われている。N氏も「虐、気が止まることはないですか?」という不安や
●
呼吸困難感を訴えた。実際、血液ガスデータは悪化、胸部Ⅹ−R上明らかな改善もなかった。これから、N氏は身体的・精神
的危傲距兄にあったと言える。安部は、ひとは身体的・精神的危機状況にあっても回復に向けて歩もうとしている、と述べて
いる。N氏が危機状況の中で、看護師と共に呼吸困難感を軽減する努力を続けられたのには、安部のいう、「回復の
84
エネルギーを高めるケア」が関係していたのではないか、と考えた。私達のケアは、一時的ではあっても「呼吸が楽になり
ました」という実感を持つことに繋がり、自己の頑張りや取り組みの意味に気づくことになったのではないかと考える。ま
た、N氏と話し合って決めたケアをとおして、N氏に寄り添う時間やタッチが増え、信頼関係を構築できたとも考える。こ
れは、N氏にとって人との繋がりの感覚を保つケア、心の安定を保つケアになっていたのではかいだろうか。ただし、N氏
は常に回復へのエネルギーを保っていたわけではなく、安部の述べているように、自分の中では解決できないという非力さ
や、死の恐怖も感じていたと思われる。抜管から再挿管に至るまでの危御大況で、N氏の心は揺れ動いていたと考える。N
氏の「無駄だったね」という言葉は、私達のケアが落胆と苦しみを与えたことを表わしていると思った。しかし、今回振り
返ってみて、私達のケアには回復へのエネルギーを高める効果があったと考えられた。「無駄だったね」はト緒に頑張った
けと囁念だったね」という、お互いを労う意味があったのではないかとも考えられた。看護師の関わりにより、同封大沢で
も回復のエネルギーを高めることができたり、その道もあり得る。危機状況では、身体的側面への援助が†憂先されがちであ
るが、患者の訴えひとつひとつの意味を考え、その時々に揺れ動く気持ちを捉えてケアすることが大切である。
[MEMO]
85
歴代会長
A
=芋
則
役員名簿
日本集中治療学会近畿地方会 歴代会長
西 暦
1980
1981
1981
1982
1982
1983
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
会 長
所 属
大阪大学
国立循環器病 セ ンター
第 1、2回
大阪大学
第4回
兵庫医大
第5回
内田盛 夫
山岡久泰
永川優 子
石井 奏
関西 医大
第6回
大阪 日赤病 院
第7回
八島喜代子
瀬尾 憲正
西村 清二
畔 政 和
国立京都病 院
神戸 中央市民 病院
大阪市大
第8回
吉矢 生人
藤 田 毅
木村 謙太郎
松本 睦子
丸川 征 四郎
石 田詔治
酒井 章
須 貝順 子
児玉 和久
新宮 興
田 中一彦
佐谷 誠
美馬 正彦
篠崎 正博
岩坂毒 二
山崎和 夫
北村征 治
前川信 博
三嶋正 芳
橋本 悟
公文啓 二
妙 中信 之
児玉和 久
奈良医大
京都府立 医大
大阪警察病 院
京都大
国立循環器病 セ ンター
大阪市立城北病 院
関西医大
和歌山医大
関西医大
第3回
第9、10回
第 11∼15回
第 16∼18回
第 19∼21回
第22∼24回
第25、26回
第27∼29回
第30∼32回
第33∼35回
第36、37回
第38、39回
神戸市立 中央 市民病院
第40回
大阪府立母子保健 セ ンター 第41回
神戸大学麻 酔
河内総合病院
京都府立医大
国立循環器病 セ ンター
大阪大学
大阪警察病院
88
第42回
第43回
第44回
第45回
第46回
第47回
日本集中治療医学会近畿地方会会期
第1章 総則
第1条 本会は、日本集中治療学会近畿地方会(KinkiRegionalMeeting,1ne
JapaneseSocietyofIntensiveCareMedicine)と称する。
第2条 本会は、事務局を細則の定める場所に置く。
第2費 目的および事業
第3条 本会は、集中治療の現場にたずさわるものの新しい知識の交流、情報
交換をはかるとともに集中治療医学の発展に寄与することを目的とす
る。
第4条 本会は前条の目的を達成するために、次の事業を行う。
1)学術集会の開催
2)内外の関係団体との協力活動
3)その他本会の目的に沿った事業
第3章 会員
第5条 本会の会員は功労会員、正会員および賛助会員とする。
第6条 功労会員とは本会のためとくに功労のあったものの中から、別に定め
る細則によ′.り選出され、
で承認されたものをいう。
第7条 正会員は、
本会の目的に賛同する医師 看護静呼
その他の医療技術員で、所 の年会費を納めたものとする。
第8条 賛助会員は、本会の目的に賛同するもので、評議員会の義を経て総会
で承認されたものとする。
第9条 本会に入会しようとするものは、当該年度の会費をそえて本会事務局
に申し込むこととする。
第10条 会員は次の場合にその資格を喪失するものとする。
1)退会の希望を本会事務所に申し出たとき。
2)死亡または失踪宣言。
3)本会の名誉を傷つけ、または本会の目的に反する行為があったと
幹事会が決定した時。
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第4重 役員
第11条 本会に次の役員をおく
1)会長 1名
2)副会長 2名
3)事務局長 1名
4)幹事 若干名
5)評議員 若干名
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6)監事 2名
第12条 本会の役員は次の規定により選出する。
1)会長、副会長は別に定める細則により評議員の中から選出し、総
会の承認を受ける。
2)副会長には前会長および次期会長をあてる。
3)事務局長は会長が推薦し、幹事会の議を経て、評議員会、総会の
承認を受け会長が委嘱する。
4)幹事は別に定める細則により評議員の中から選出し会長が委嘱す
る。、
5)評議員は別に定める細則により正会員の中から選出し総会の承認
を受け会長が委嘱する。
6)監事は評議員の中から選出し総会の承認を受け会長が委嘱する。
第13条 本会の役員は次の職務を行う。
1)会長は本会を代表し会務を統括し、副会長はこれを補佐する。
2)会長は総会、評議員会、幹事会および学術集会を主催する。
3)事務局長は、会長を補佐し事務局の会務を統括する。
4)幹事は、会則に従い会務を執行する。
5)評議員は会則に従い重要事項を審議する。
6)監事は会務を監査する。
第14条 本会の役員の任期は次のとうりとする。
1)会長の任期は1年とする
2)副会長の任期は1年とする。
3)その他役
堰皐とし、引き続き再任を妨げない。
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第5貴 会議
員?署票
第15条 本会の会議は、総会、評議員会、幹事会、委員会、作業部会とする。
第16条 総会は正会員をもって構成し、年1回会長が招集する。
第17条 評議員会は、会長が必要と認めた場合にこれを招集し会長が議長と
第18条
なる。
幹事会は、会長が必要と認めた場合にこれを招集し会長が議長とな
る。
第19条
第20条
総会、評議員会、幹事会の議決は、出席者の半数以上の賛成がなけ
ればならない。
本会は必要に応じて委員会および作業部会をおくことができる。
第6章 会計
第21条 本会の経費は、年会費、寄付金、その他収入をもってこれにあてる。
本会会員の年会費は細則の定めるところによる。
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第7章 会則の改訂
第22条 本会の会則は、評議員会の議および総会の承認を経て改訂すること
ができる。
第8章 補則
第23条 本会の会則の実施に閲し、必要な事項は評議員会の議を経て別に定
める。(平成12年6月24日 改訂)
日本集中治療医学会近畿地方会会則実施細則
第1条 この細則は、日本集中治療医学会近畿地方会会則(以下「会則」)
第23条の規定に基づき、必要な事項を定めるものとする。
第2条 会則第2条に規定する事務局は、京都府立医科大学集中治療部(住所)
に置く。
第3条 会則第21条に規定する年会費は次のとうりとする。
1)正会員 3,000円
2)賛助会員1口10,000円
3)功労会員は会費の納入を必要としない。
第4条 この細則は幹事会の議によって改訂できる。
第5条 この細則は平成12年6月24日より実施する。
会長および副会長選出に関する細則
第1条 会長および副会長の選出は、評議員2名以上の推薦を得たのち、幹事
会で決定する。
第2条 この細則は平成12年6月24日より実施する。
幹事選出に関する椰則
第1条 幹事は、前会長、会長、次期会長、および評議員の中から選出する。
第2条 この細則は平成12年6月24日より実施する。平成13年9月01日 改定
評議員選出に関する細則
第1条 医師部門評議員の選出は以下の資格を有するものから選出する。
1)旧世話人(医師部門)
2)日本集中治療医学会評議員
3)日本集中治療医学会専門医
4)3年以上地方会会員で、集中治療に熱意があり地方会への高い貢
献度が期待できる医師
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第2条 看護部門評議員の選出は以下の資格を有するものから選出する。
1)旧世話人(看護部門)
2)日本集中治療医学会専門医研修施設の看護婦(士)長
3)地方会会員で、集中治療に熱意があり地方会への高い貢献度が期
待できる看護婦(士)
4)会長は評議員に新評議員の推薦を依頼する。推薦される評議員候
補者は遅滞なく略歴と集中治療に関する主たる業績を事務局に提
出する。新評議員は、前1,2条による新評議員候補者の中から
幹事会、評議員会の審議を経て承認される。
第4条 この細則は平成12年6月24日より実施する。平成13年9月01日 改定
功労会員選出に関する細則
第1条 功労会員となることのできるものは、次の各項にあげる基準のいずれ
かに該当し、満65歳以上のものとする。
1)日本集中治療医学会名誉会員もしくは功労会員
2)長年にわたり本会の会員であり、本会に貢献したもの
第2条 評議員は、功労会員を推薦できる。
第3条 会長が期日を指定して功労会員の推薦を受け付けるものとする。
第4条 会長は幹事会の議を経て、評議員会および総会に諮り会長が委嘱する。
第5条 功労会員には次の恩典が与えられる。
1)総会における称号の授与
2)会則6章21条に規定する恩典
第6条 この細則は平成12年6月24日より実施する。平成13年9月01日 改定
幹事、評議員の定数についての申し合わせ事項
幹事、評議員の数については評議員は会員全体の10%、幹事は10名前後が
好ましい。ただし現状では地方会会員数が中央の会員数よりもかなり少ないの
でその割合にはこだわらない。平成13年9月01日
看護部門プログラム委員会についての申し合わせ事項
総会で行われる看護部門ワークショップ等の内容については、看護部門プログ
ラム委員会で合議決定し会長に諮問する。看護部門プログラム委員長は総会会
長の施設の婦(士)長とする。看護部門プログラム委員は看護部門評議員の中
から看護部門プログラム委員長が指名し幹事会の承認を得る。平成13年9月01日
中央看護部会、地方会委員推薦についての申し合わせ事項
中央看護部会、地方会委員は本地方会看護部門の中で話し合って推薦し、本地
方会幹事会で承認決定する形とする。原則的に地方会評議員から選出する。
平成13年9月01日
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日本集中治療学会近畿地方会役員名簿
役員等一覧(50音順)
功労会員
石井奏
山岡久泰
幹事
妙中信之
堀井匡子 杉本敬子
篠崎正博
児玉和久
公文啓二
橋本悟 岩坂寄二
丸川征四郎
古賀義久
監事
三嶋正芳
吉矢生人
評議員(医師部門)
足立健彦 京都大学医学部附属病院集中治療部
石川欽司 近畿大学医学部第1内科
岩坂寄二 関西医科大学心臓血管病センター第2内科
上藤哲郎 明石市立市民病院麻酔科
梅垣修 東大阪市立総合病院集中治療部
上床博久 京都市立病院循環器科
江口豊 滋賀医科大学集中治療部
大野正博 宝塚市民病院 集中治療救急室
大前典昭 岸和田徳洲会病院麻酔科
奥田隆彦 近畿大学医学部麻酔科
奥谷龍 兵庫医科大学病院集中治療部
尾原秀史 神戸大学医学部麻酔科集中治療部
鍛冶有登 大阪市立総合医療センター救命救急センター
神納光一郎
関西労災病院重症治療部
北村征治
大阪府立母子保健総合医療センター麻酔科
木内恵子
大阪府立母子保健総合医療センター
木村謙太郎
国立療養所近畿中央病院 臨床研究センター長
切田学
兵庫医科大学救急部
熊野穂高
天理よろづ相談所病院集中治療部
公文啓二
国立函館病院
畔政和
国立循環器病センター麻酔科
児玉和久
大阪警察病院循環器科
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山崎和夫
小西弘起
岸和田徳州会病院内科
小林敦子
済生会吹田病院麻酔科集中治療室
斉藤朗子
京都第→赤十字病院麻酔科
佐谷誠
大阪市立総合医療センター麻酔科
佐藤善一
淀川キリスト教病院麻酔・集中治療部
篠崎正博
和歌山県立医科大学高度集中治療センター
新宮興
関西医科大学麻酔科
須貝順子
近江八幡市民病院麻酔科
妙中信之
大阪大学大学院医学系研究科生体機能調節医学講座
竹田清
国立大阪病院麻酔科
田中孝也
関西医科大学救命救急センター
玉井直
静岡県健康福祉部がんセンター開設総室
辻本登志英
日赤和歌山医療センターI CU
友渕佳明
和歌山県立医科大学救急集中治療部
内藤嘉之
市立神戸中央市民病院麻酔科
中敏夫
和歌山県立医科大学救命救急センター
中野為夫
国立京都病院循環器科
西信一
大阪市立大学医学部附属病院集中治療部
西村匡司
大阪大学医学部附属病院集中治療部
野坂修一
滋賀医科大学麻酔科
野々木宏
国立循環器病センター内科系心臓集中治療科
橋本悟
京都府立医科大学附属病院集中治療部
土師一夫
大阪市立総合医療センター循環器内科
林正則
大阪厚生年金病院麻酔科・集中治療室
速水弘
六甲アイランド病院集中治療部
平井勝治
奈良県立医科大学附属病院 集中治療部
平山篤志
大阪警察病院循環器科
福井道彦
大津市民病院集中治療室
曲淵達雄
赤穂市民病院麻酔科
丸川征四郎
兵庫医科大学救急災害医学
三嶋正芳
河内総合病院循環器科
南野隆三
桜橋渡辺病院循環器内科
森隆比古
大阪府立病院麻酔科
山崎和夫
神戸市立西市民病院麻酔科
行岡秀和
大阪市立大学医学部附属病院救急部・集中治療部
94
吉矢生人
星ヶ丘厚生年金病院 病院長
評議員(看護部門)
香月多枝子
京都第一赤十字病院A3病棟
河野総江
大阪大学医学部附属病院集中治療部
高比良法子
兵庫医科大学病院ICU
杉本敬子
関西医科大学附属病院3S病棟CCU
堀井匡子
京都府立医科大学附属病院D3病棟
丸山美津子
兵庫医科大学病院手術部
小野美津代
国立循環器病センター 外科集中治療科
山田鈴子
六甲アイランド病院3FICU
米田眞智子
大阪市立大学医学部附属病院4F・ICU婦長
志摩久美子
大阪警察病院 救急病棟ICU
95