Flight Path to New Horizons アニュアルレポート 2012 2012年3月期 Web版 代表取締役社長 伊東 信一郎 編集方針 ANA グループは、企業価値の向上に向け、ステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを通じ、安心と信頼の確立を目 指しています。本冊子では、経営戦略や事業概況、経営体制などのご報告に加え、ANA グループの CSR 活動についても幅広 くお伝えすることを目的としています。 なお、CSR 活動については、社会とANA グループにとって特に重要と考えるテーマを選定し、本冊子に掲載しています。 ホームページではより詳細な内容を掲載していきますので、ぜひご覧ください。 CSR サイトアドレス:http://www.ana.co.jp/ana-info/ana/csr Welcome aboard アニュアルレポート 2012 ANAグループは、事業の視点を世界に置いて成長を目指すこと、そして世界のお客様に 「ANAの価値を届けたい」という想いを基に、 「世界の旅客・貨物輸送を担う、アジアを 代表する企業グループを目指す」 というグループ経営ビジョンを掲げています。 このビジョン実現に向け、ANAグループは、激変する経営環境に迅速に対応し、あらゆる 分野の革新を続けることで、より強く生まれ変わり、さらなる飛躍を果たしていきます。 今回のアニュアルレポートでは、新たな挑戦に向けて、成長への道筋を邁進するANA グループの取り組みを、空の旅路になぞった章立てで構成しています。 アニュアルレポート2012のフライトをお楽しみください。 ANAグループの目指す姿 ANAグループ経営理念 基本理念 私たちのコミットメント ANAグループは、 「安心」 と 「信頼」 を基礎に • 価値ある時間と空間を創造します • いつも身近な存在であり続けます ANAグループ経営ビジョン ANAグループは 航空事業を中核に、 世界の旅客・貨物輸送を担う、 アジアを代表する • 世界の人々に 「夢」 と 「感動」 を届けます 企業グループを目指す。 ANAグループ安全理念 アジアを代表するとは 安全は経営の基盤であり 社会への責務である ◆ クオリティで一番 私たちはお互いの理解と信頼のもと 確かなしくみで安全を高めていきます ◆ 価値創造で一番 私たちは一人ひとりの責任ある誠実な 行動により安全を追求します ◆ 顧客満足で一番 となることである。 将来予測に関する特記 このアニュアルレポートには、当社の現在の計画、見積り、戦略、確信に基づく見通しについての記述がありますが、歴史的な事実でないものは、すべて 将来の業績にかかわる見通しです。これらは、このアニュアルレポートの発行時点で入手可能な情報から得られた当社の経営陣の判断および仮説に基づい ています。 当社の主要事業である航空運送事業には、空港使用料、燃料税など、当社の経営努力では管理不可能な公租公課がコストとして発生します。また、実際 の業績に影響を与えうる重要な要素としては、経済の動向、急激な為替相場、原油価格の変動ならびに災害のリスクなどがあります。これらのリスクと不確 実性のために、将来の当社の業績は、このアニュアルレポートに記述された内容と大きく異なる可能性があります。 したがって、このアニュアルレポートで当社が設定した目標は、すべて実現することを保証しているものではありません。 アニュアルレポート 2012 1 目 次 Boarding 4 ... まずは、私たちについてご紹介します。 6 14 16 18 Where We Are Flying 〜ANAグループの概要〜 役員紹介 ANAグループの2012年3月期 Takeoff 特集: 「ANAグループ2012–13経営戦略」 ... ANAの成長戦略が発進します。 社長の伊東より解説させていただきます。 34 20 「ANAグループ2012–13経営戦略」 の概要 22 伊東社長による 「ANAグループ2012–13経営戦略」 の解説 Climbing ... 駆け上がる、ANAの各事業。 当期の営業概況と今後の戦略をご説明します。 36 49 50 航空運送事業 旅行事業 事業戦略特集:新たな需要の創出に向けて 〜LCC事業の展開〜 Cruising Climbing Takeoff Boarding 2 全日本空輸株式会社 54 Cruising ... 社会とともに持続的な成長を目指す、 私たちの取り組みをご紹介します。 56 62 66 68 114 ANAグループのCSR 76 安全への取り組み 84 CSR特集: 86 世界最高水準の安全を確保するために 92 お客様とのかかわり 108 従業員とのかかわり 取引先とのかかわり 社会とのかかわり 環境への取り組み コーポレート・ガバナンス In-Flight Service ... 読者の皆様がご利用いただきやすいよう、 パフォーマンスデータをまとめました。 122 Approach ... ANAグループは財務基盤の強化に取り組んでいます。 財務データの詳細をご覧ください。 148 Landing ... アニュアルレポート2012はいかがでしたでしょうか? 今後とも、変わらぬご愛顧とご支援を 賜りますよう、お願い申し上げます。 In-Flight Service Approach Landing アニュアルレポート 2012 3 Boarding ...まずは、私たちについてご紹介します。 Cruising Climbing Takeoff Boarding 4 全日本空輸株式会社 ANAは、1952年の創業から安全運航を第一に 航 空 輸 送 サ ービ スを提 供し続 け、2 0 1 2 年には 60周年を迎えました。おかげさまで年間旅客数が 4,400万人を超える世界トップクラスの航空会 社の一つに成長することができました。このセク ションでは、ANAグループの事業の特徴や2012 年3月期の業績、役員体制など、ANAグループを 端的にご理解いただける項目をまとめました。 6 Where We Are Flying 〜ANAグループの概要〜 14 役員紹介 16 ANAグループの2012年3月期 In-Flight Service Approach Landing アニュアルレポート 2012 5 Where We Are Flying 〜ANAグループの概要〜 ■ 営業利益(率)の推移 921億円 6.2% 843億円 678億円 5.7% 5.0% 75億円 0.5% (4.4)% (542)億円 (3月期) 2007 2008 2009 Strategy 2010 2011 羽田空港国際化 (6万回) (昼間時間帯3万回 深夜・早朝時間帯3万回) 新型インフルエンザ流行 リーマンショック 成田空港拡張 (22万回) 東日本大震災 2006-09 中期経営戦略 • 国際線事業の成長 • 財務基盤の確立 6 全日本空輸株式会社 2008-11 中期経営戦略 •「アジアNo.1エアライン」 の実現 • 強固な経営基盤の確立 2010-11 経営戦略 • • 国際線拡大 による成長 環境変化に強い 企業体質の構築 • • • 経営効率の向上 強固な収入基盤の確立 ボラティリティリスク 耐性の確立 1,300億円 1,100億円 970 億円 8.3% 6.9% 7.3% 2012 2013 2014 (計画) (計画) ANA グループは、これまで首都圏空港の容量拡大を見据えながら、世界同時不況や東日本大震災 などの大きな需要変動イベントにも迅速・柔軟に対応した戦略を推進し、着実な成長を遂げてきま した。今後も、ますます激化するグローバル競争を勝ち抜き、さらなる成長を果たしていきます。 成田空港拡張 (27万回) 成田空港拡張 (25万回) 成田空港拡張 (30万回) 羽田空港拡張 (国際線9万回) (昼間時間帯6万回 深夜・早朝時間帯3万回) 中期目標 営業利益:1,500 億円以上 営業利益率:10.0%以上 2011-12 経営戦略 2012-13 経営戦略 (第1フェーズ) • 成長戦略の土台づくり • 継続的な財務体質の強化 • グループ経営体制の変革 2014 以降 (第2フェーズ) • 成長を支える事業戦略構築 • 事業環境変動時の対応力 • 財務体質強化の到達目標 アニュアルレポート 2012 7 Position ANA の売上規模は国内航空会社 No.1。 時価総額でも世界の航空会社の中で 6位 ※ です。 ※出典:ブルームバーグ (2012年 3月 31日現在の旅客航空輸送業 時価総額 (米ドル) データ) 8 全日本空輸株式会社 Where We Are Flying 〜ANAグループの概要〜 50.2 % ※ 国内線 旅客数シェア ※コードシェア便も含む。 15 位 輸送旅客数 (国内線・国際線合計) 15.6 % 国際線事業 (座席キロ伸び率) 37.0 % ※ スターアライアンスシェア (日本発着国際線座席キロベース) ※出典:OAG 2012年2月時点 (2012年2月のデータ) (2012年3月期または2012年3月31日現在) アニュアルレポート 2012 9 Network 世界最大の航空連合「スターアライアンス」 を最大限に活用し、国内線・国際線合わせて 502 路線(コードシェア便を含む)のネットワークを構築しています。 10 全日本空輸株式会社 Where We Are Flying 〜ANAグループの概要〜 国内線 1,027 便/日 (旅客便・貨物便合計) 国際線 966 便/週 (旅客便・貨物便合計) コードシェア 31 5 ※ 国際線 社 ※ 国内線 社 ※2012年3月31日現在 スターアライアンス 加盟航空会社 27 社 (2012年7月1日現在) アニュアルレポート 2012 11 Operations 省燃費機材の導入を進める ANA 。世界に先駆けて就航した新世代航空機ボーイング 787型機の 55機を発注しています。 ローンチカスタマーであり、2012年 3月期に導入した6機を含め、 12 全日本空輸株式会社 Where We Are Flying 〜ANAグループの概要〜 世界 No.1 定時性品質 ※ ※2012年1月に、Conducive Technology 社による、2011 「FlightStats On-time Performance Service Awards」 において、定時到着率を評価する2部門(世界第1位、および アジア地区第1位)でANAとして初めて受賞しました。 226 機 運航機数 大型機:57 機 中型機:72 機 小型機・リージョナル:97 機 43.9 % ※ 省燃費機材比率 ※ジェット機205機中の割合。 対象機材は、ボーイング787型機、 ボーイング777-200/-200ER/-300/-300ER型機、 ボーイング737-700/-700ER/-800型機です。 Best Transpacific Airline ※ SKYTRAX ※SKYTRAX社による、航空会社を1星〜5星で格付けする2011 「Airline Star Ranking」において、 「4 STAR」 を獲得したほか、 2012年7月には、 2012 「World Airline Awards」で太平洋 路線を就航する航空会社の中で最も優秀と評価され、 「 Best Transpaciic Airline」 賞を受賞しました。 (2012年3月31日現在) アニュアルレポート 2012 13 役員紹介 (2012年6月19日現在) ④ 篠辺 修 ① 大橋 洋治 ③ 洞 駿 ⑤ 中村 克己 ② 伊東 信一郎 14 全日本空輸株式会社 取締役 監査役 ①大橋 洋治 岡田 圭介 取締役会長 取締役会 議長 1993: 取締役 2001: 代表取締役社長 2005: 代表取締役会長 2007: 現職 専務取締役執行役員 国際提携室・業務プロセス改革室 担当、 IT戦略推進委員会 委員長 2003: 執行役員 2004: 取締役 2006: 常務取締役 2009: 現職 ②伊東 信一郎 代表取締役社長 グループ経営戦略会議 議長、 総合安全推進委員会・CSR推進会議 総括 2003: 執行役員 2003: 取締役 2007: 代表取締役副社長 2009: 現職 ③洞 駿 代表取締役副社長執行役員 調達部・施設部 担当 1971: 運輸省入省 2003: 国土交通省 国土交通審議官 2007: 常勤顧問 2008: 常務取締役 2009: 専務取締役 2011: 現職 ④篠辺 修 代表取締役副社長執行役員 CSR推進会議 議長、 広報室・持株会社制移行準備室・ 総務部・法務部 担当、 環境マネジメント委員会 委員長、 リスクマネジメント委員会 委員長、 コンプライアンス委員会 委員長 2004: 執行役員 2007: 取締役 2009: 常務取締役 2011: 専務取締役 2012: 現職 ⑤中村 克己 代表取締役副社長執行役員 安全統括管理者、 グループ総合安全推進室 担当、 総合安全推進委員会 委員長、運航本部長 2005: 執行役員 2007: 取締役 2009: 常務取締役 2011: 専務取締役 2012: 現職 竹村 滋幸 専務取締役執行役員 秘書室・調査室・アジア戦略室 担当 2005: 執行役員 2008: 取締役 2010: 常務取締役 2011: 現職 伊藤 博行 専務取締役執行役員 オペレーションレポート&レビュー会議 議長、 オペレーション部門 統括、整備本部長 2003: 執行役員 2006: 取締役 2008: 常勤監査役 2010: 常務取締役 2012: 現職 片野坂 真哉 専務取締役執行役員 企画室担当 2007: 執行役員 2009: 取締役 2011: 常務取締役 2012: 現職 岡田 晃 常務取締役執行役員 貨物事業室長 2007: 執行役員 2010: 取締役 2012: 現職 西村 健 取締役執行役員 CS推進会議 議長 マーケティング室・プロモーション室・ CS&プロダクト・サービス室・ 営業センター・ANAセールス 担当 2007: 執行役員 2012: 現職 内薗 幸一 井上 伸一 常勤監査役 金澤 栄次 常勤監査役 大川 澄人 常勤監査役 (社外) 松尾 新吾 監査役 (社外) 九州電力 (株)相談役 近藤 龍夫 監査役 (社外) 北海道電力 (株)取締役相談役 取締役執行役員 オペレーション推進会議 議長 オペレーション統括本部長 2008: 執行役員 2012: 現職 木村 操 取締役 (社外) 名古屋鉄道 (株)相談役 2004: 取締役 (社外) 森 詳介 取締役 (社外) 関西電力 (株)代表取締役会長 2006: 取締役 (社外) 丸山 芳範 常務取締役執行役員 人事部・ANA人財大学・勤労部・ ビジネスサポート推進部 担当 2006: 執行役員 2009: 取締役 2011: 現職 殿元 清司 常務取締役執行役員 IR推進室・財務部 担当 2006: 執行役員 2009: 取締役 2011: 現職 執行役員 小林 克巳 上席執行役員 大阪空港支店長 兼 ANA大阪空港 (株) 社長、 伊丹地区グループ統括 長谷川 昭彦 上席執行役員 ANAウイングス (株) 社長 志岐 隆史 上席執行役員 営業センター長 兼 販売計画室長 兼 東京支店長、東地区担当 河本 宏子 上席執行役員 客室本部長 小川 正人 上席執行役員 名古屋支店長、中部地区担当 幸重 孝典 上席執行役員 業務プロセス改革室長 稲岡 研士 上席執行役員 ANAセールス (株)社長 小澤 美良 上席執行役員 オペレーション統括本部 副本部長 兼 成田空港支店長 兼 (株) ANAエアサービス東京社長、 成田地区グループ統括 長峯 豊之 上席執行役員 勤労部長 稲田 健也 上席執行役員 中国統括室長 兼 北京・天津支店長 小辻 智之 上席執行役員 福岡支店長、九州・沖縄地区担当 清水 信三 上席執行役員 企画室長 兼 持株会社制移行準備室長 藤村 修一 上席執行役員 マーケティング室長 福田 哲郎 白水 政治 平子 裕志 大上 克裕 執行役員 CS&プロダクト・サービス室長 執行役員 米州室長 兼 ニューヨーク支店長 渡辺 俊隆 執行役員 札幌支店長、北海道地区担当 妹川 秀樹 執行役員 運航本部 副本部長 執行役員 大阪支店長、西地区担当 執行役員 整備本部 副本部長 兼 企画推進部長 加藤 勝也 執行役員 オペレーション統括本部 副本部長 兼 東京空港支店長 峯尾 隆史 執行役員 財務部長 執行役員 オペレーション統括本部 副本部長 兼 オペレーションマネジメント センター長 飯塚 弘衛 芝田 浩二 鈴木 信行 執行役員 プロモーション室長 執行役員 欧州室長 兼 ロンドン支店長 アニュアルレポート 2012 15 ANA グループの 2012年 3月期 全日本空輸株式会社および連結子会社※1 3月31日に終了した1年間 ハイライト 営業収入は、東日本大震災の影響に 営業利益は、グループを挙げた徹底 当期純利益は、前期の233億円を上 よる減収があったものの、需要喚起に 的なコスト削減にコスト構造改革の 回る281億円となり、前期比20.9% 努め国際線旅客を中心に増収となっ 前倒し効果が加わり、前期比43.1% 増、1株当たり当期純利益は前期から たため、前期比4.0%増の1兆4,115 増の970億円と、過去最高の営業利 1.93円増の11.22円となりました。 億円となりました。 益を計上しました。 +4.0% +43.1% +20.9% 営業利益/営業利益率/EBITDA※2 営業収入 (億円) 14,878 13,925 13,576 14,115 12,283 当期純利益/当期純利益率 (億円/%) (億円/%) 2,011 2,162 1,862 1,204 5.7 5.0 843 595 75 0.5 641 6.9 4.3 970 233 678 (42) 2009 2010 2011 2012 2008 281 2.0 (542) (0.3) (4.4) 2008 (573) 1.7 2009 2010 2012 2011 2008 営業利益 (損失) 営業利益率 2009 (4.7) 2010 2011 2012 当期純利益 (純損失) 当期純利益率 EBITDA 営業キャッシュ・フロー/投資キャッシュ・フロー/ フリー・キャッシュ・フロー 自己資本※3 /自己資本比率 有利子負債/ デット・エクイティ・レシオ (DER) (億円/%) (億円) (億円/倍) 2,038 1,657 959 829 2,144 5,202 4,735 4,529 642 25.4 (1,111) (1,509) 2009 (1,396) (1,689) (2,518) 2010 2011 9,636 2.8 27.0 27.4 2.0 1.8 1.7 1.8 18.3 2012 2008 2009 2010 2011 自己資本 自己資本比率 ※1. 2012年3月期末現在の連結子会社は62社、持分法適用会社は22社です。 (償却前営業利益) =営業利益+減価償却費 ※2. EBITDA ※3. 自己資本=株主資本+評価・換算差額等 全日本空輸株式会社 9,388 (1,663) 営業キャッシュ・フロー フリー・キャッシュ・フロー 投資キャッシュ・フロー 16 9,416 7,678 3,218 25.5 2008 8,972 480 (397) (698) 5,490 2012 2008 2009 2010 2011 有利子負債 DER 2012 自己資本比率は、前期差0.4ポイント R O E( 自 己 資 本 利 益 率 )は 、前 期 差 1株当たり配当金は、前期より2.00 増加の27.4%となりました。 0.6ポイント増加し、5.3%となりま 円増配し、4.00円としました。 した。 +0.4 ポイント 国内線旅客 座席キロ/旅客数 59,222 56,796 42,753 40,574 39,894 2009 2010 2011 462 29,768 27,905 2012 332 2008 ROA※4/ROE ※5 2009 2010 2012 2011 2008 4.7 0.6 (1.1) 3.7 5.3 2010 2011 5.00 207.35 2012 35.7 218.24 4.00 166.50 5.1 21.5 2.00 15.2 (2.8) 32.93 (2.19) 2009 2009 配当金/配当性向 232.58 5.3 354 (円/%) (円) 188.93 467 国内線 国際線 1株当たり当期純利益/ 1株当たり純資産 15.1 458 453 422 570 5,883 5,168 4,666 4,432 座席キロ 旅客数 (%) 475 26,723 39,020 座席キロ 旅客数 2008 557 34,406 4,827 2008 (千トン) 56,756 28,285 45,557 円 貨物輸送重量 (百万キロ/千人) 57,104 +2.00 ポイント 国際線旅客 座席キロ/旅客数 (百万キロ/千人) 62,651 +0.6 (14.4) 2010 2011 ROA ROE 2012 2008 2009 (24.67) 2010 9.29 2011 1.00 11.22 2012 1株当たり当期純利益 (純損失) 1株当たり純資産 2008 2009 2010 2011 2012 配当金 配当性向 (総資本事業利益率) = (営業利益+受取利息+受取配当金) ÷ [ (期首総資産+期末総資産) ÷2] ※4. ROA (自己資本利益率) =当期純利益÷ [ (期首自己資本+期末自己資本) ÷2] ※5. ROE ※6. 百万円以下の金額については切り捨てて表示しています。パーセント表示については四捨五入して算出しています。 アニュアルレポート 2012 17 Takeoff ... ANAの成長戦略が発進します。 社長の伊東より解説させていただきます。 Cruising Climbing Takeoff Boarding 18 全日本空輸株式会社 特集: 「ANA グループ 2012-13経営戦略」 2012年 2月、ANA グループは大競争時代を勝 ち抜くべく、強く生まれ変わるための「ANA グ ループ 2012-13 経営戦略」を策定し、 「 マルチ ブランド戦略の確立」 「 グループ経営体制改革」 そして「構造改革によるコスト競争力強化」 とい う3つの戦略機軸を推し進めています。 クオリティ・顧客満足・価値創造でアジアを代 表する航空企業グループを目指し、挑戦を続け る ANA グループの戦略をご覧ください。 In-Flight Service 20 「ANAグループ2012-13経営戦略」 の概要 22 伊東社長による 「ANAグループ2012-13経営戦略」 の解説 Approach Landing アニュアルレポート 2012 19 「ANA グループ 2012‒13経営戦略」の概要 「強く生まれ変わる」 ことで、 「アジアを代表する 戦略方針 2012 2013 22万回 25万回 (3月期) 2015 2014 2016 首都圏空港発着枠 (回数/年) 成田空港 羽田空港 (国際線) 6万回(昼間時間帯 3万回 / 深夜・早朝時間帯 3万回) 27万回 30万回 9万回(昼間時間帯 6万回 / 深夜・早朝時間帯 3万回) 2012-13 経営戦略 (第1フェーズ) 2014 以降 (第2フェーズ) マルチブランド戦略の確立 国際線ネットワークを拡充しながら、フルサー ビスキャリアとして、LCC とは一線を画す ANA ブランドの研鑽に努めるとともに、新たな L C C ビジネスモデ ルに基 づき、徹 底 的 な 低コスト 運航体制を実現し、新規需要を創出する。 3つの戦略機軸を推し進めることにより、 収益力と財務基盤の一層の強化を実現し、 その先の持続的な成長、飛躍を可能にする グループ経営体制改革 構造改革による コスト競争力強化 2013 年 4 月より持株会社制に移行し、全体最 収入の変動リスクに対する耐性を持ち、競合他 適視点での経営戦略の立案、経営資源の配分を 実現します。同時に、グループ各社に権限と責任 20 社とのコスト競争にも打ち勝つことを目的に、 「直接部門のあくなき生産性向上」 と 「間接部門 を委譲することにより、グループ経営のさらなる のスリム化」 をポイントに、今後 3年間で、ユニッ 強化と各事業会社の経営効率化に向けた改革を トコストの 1 円引き下げにあたる 1,000 億円の 推進する。 コスト削減を実行する。 全日本空輸株式会社 航空企業グループを目指す」 経営計画 2012‒13経営戦略 2013年3月期 (計画) 2014年3月期 (計画) 2014年3月期/ 2012年3月期 15,600 +10.5% 12,625 13,720 14,300 +13.3% 970 1,100 1,300 +34.0% 884 1,020 1,220 +37.9% 営業利益率 6.9% 7.3% 8.3% +1.4 ポイント 当期純利益 281 400 550 +95. 2% 11.2円 15.9円 21.9円 +10. 7円 航空運送事業 営業利益 航空運送事業 1株当たり利益 Climbing 15,000 Takeoff 14,115 連結営業収入 Boarding 2012年3月期 (実績) (億円) Cruising 営業利益:1,500 億円以上 営業利益率:10.0%以上 中期目標 In-Flight Service 航空運送事業収入構成(エアアジア・ジャパン含む) (億円) 成長の牽引役となる国際線旅客事業では、フル 14,000 1,685 12,000 1,628 10,000 1,280 3,200 1,385 3,700 4,160 6,950 7,075 +8.6% 給適合の強化と機材稼働の効率化・最適化を図り ます。貨物郵便事業では、フレイター事業の収支 最大化を果たすとともに、国際線貨物事業の伸長 Landing 0 6,515 +15.1% +30.0% 8,000 6,000 を通じて収益を伸ばし、国内線旅客事業では、需 1,590 1,475 サービスキャリアとしてのビジネスモデルの強化 Approach 2014 / 2012 16,000 を目指します。 こうした取り組みにより、各事業ともに増収・増 益を図り、1,000億円を超える安定的な営業利益 2012 2013 (計画) 2014 (計画) (3月期) を確保できる体質を整えます。 国内線旅客 国際線旅客 貨物郵便 その他 アニュアルレポート 2012 21 伊東社長による 「ANA グループ 2012‒13経営戦略」 の解説 ANAグループは、 強く生まれ変わる 「アジアを代表する航空企業グループを目指す」という経営ビジョンの実現に向けて、 「ANA グループ 2012‒13経営戦略」では、環境変化を踏まえ、グループ経営体制の変革や コスト構造改革の推進に挑み、大競争時代を勝ち抜く収益力と財務基盤を確立します。 強く生まれ変わる ANA グループにご期待ください。 「ANA グループ 2012‒13経営戦略」 の概要 本格的な成長軌道に 2012年 2月に策定いたしました「ANA グループ 2012‒13経営戦略」 (2013年 3月期∼ 乗っていく第1フェーズ 2014年 3月期) の説明にあたり、この計画の背景と位置づけについてご説明いたします。 ANA グループでは、 「アジアを代表する航空企業グループを目指す」 という経営ビジョン の実現を目指す中、首都圏空港容量拡大がほぼ完成形に近づく2014∼15 年を念頭に 置いて、まずは発着枠に大きな変化のない今後 2年間を第 1フェーズと位置づけ、 「 ANA グループ 2012‒13経営戦略」 を策定しました。成長戦略の土台づくり、継続的な財務体質 の強化、グループ経営体制の変革、という3つのテーマを推し進め、首都圏空港発着枠の 増加により再び供給量拡大の機会が到来する、2015年 3月期以降の第 2フェーズにつな げる2年間としていきます。 2011 年は、東日本大震災の発生や成田空港を拠点とするエアアジア・ジャパン (エア アジア・ジャパン (株))の展開など、戦略の前提条件が大きく変化したため、同年 2 月に 策定した 「ANA グループ 2011‒12経営戦略」 を練り直すこととしましたが、従来の経営 テーマである 「経営資源の最大活用による経営効率の向上」 と 「強固な収入基盤とボラティ リティリスク耐性の確立」 については、引き続き重点課題となります。 2012-13経営戦略と中期経営目標 2012-13 経営戦略 (第1フェーズ) 22 全日本空輸株式会社 2014 以降 (第2フェーズ) テーマ 将来テーマ ・成長戦略の土台づくり ・成長を支える事業戦略構築 ・継続的な財務体質の強化 ・事業環境変動時の対応力 ・グループ経営体制の変革 ・財務体質強化の到達目標 また、2012年 3月期 (当期) の成果も本経営戦略の背景となっています。当期は、東日本 大震災による需要減退影響を大きく受ける中、グループを挙げて徹底したコスト削減や機動 的な需給調整を行った結果、過去最高の営業利益 970億円という想定以上の結果を残す ことができました。当期純利益についても 281億円となり、1株当たり配当金は 2円増配の 4円としました。 ANA グループの事業基盤は強化されつつあり、さらなる将来の成長を見渡せる段階にま で来たものととらえています。 強く生まれ変わり 「ANA グループ 2012-13経営戦略」 の前提とした事業環境についてご説明します。世界 競争に勝ち抜くため 経済は欧州債務危機などを背景に先行き不透明感はあるものの、アジア・中国などでの成長 3つの戦略機軸を設定 から世界の航空需要は当面堅調に推移する見通しです。加えて、日本においては、LCC マー ケットを通じた潜在需要の掘り起こしの可能性に、ビジネスチャンスがあると見ています。 一方、競争環境については、さらなる首都圏空港の容量拡大と航空自由化が進展し、一層 熾烈なグローバル競争の時代に突入することが予想されます。 こうした環境下、強く生まれ変わり競争に勝ち抜くため、 「ANA グループ 2012-13経営 戦略」 では、3つの戦略機軸を設定しています。 ( 3つの戦略機軸の全体像については P20 をご参照ください)1 つ目は、 「 マルチブランド戦略の確立」 です。エアアジア・ジャパン、 ピーチ (Peach Aviation (株) ) というLCC2社とともに事業展開を推し進めていく中で、 ANA ブランドの成長と合わせて LCC ブランドのマーケットへの浸透を図っていきます。 2つ目は、 「グループ経営体制改革」 として、持株会社制に移行し、グループ経営のさらな る強化と各事業会社の経営効率化に向けた改革を進めます。最後は、収入の変動リスクに 対する耐性を持ち、競合他社とのコスト競争にも打ち勝つための、 「構造改革によるコスト 競争力強化」 です。ユニットコストを 1円引き下げていくべく、今後 3年間で 1,000億円の コスト削減を実行します。 収入・利益計画としては、国際線旅客事業、国内線旅客事業、貨物郵便事業、いずれも 事業規模を拡大し、増収・増益を図ります。中でも国際線旅客事業の拡大と収益性の向上 アニュアルレポート 2012 23 により成長を牽引することで、1,000億円を超える安定的な営業利益を確保できる体質を 整えます。具体的には、2013年 3月期の営業収入は当期比 6.3%増の 15,000億円、営業 利益では同 13.4%増の 1,100億円を見込むとともに、2014年 3月期の営業収入は 2013 年 3月期比4. 0%増の 15,600億円、営業利益では同 18.2% 増の 1,300億円と大幅な伸 長を計画します。また、本経営戦略を完遂していくことを通じ、中期的な目標としては 「営業 利益 1,500億円以上、営業利益率 10.0%以上」 を目指します。 戦略機軸 1:マルチブランド戦略の確立 ANAブランドと 2012年 3月にはピーチが就航を開始し、同 8月にはエアアジア・ジャパンが初就航を迎え LCCブランドの戦略的な ます。2013年 3月期は ANA グループにとって、LCC 元年とも言うべき年となります。ANA ポジション構築により、 グループは、ANAブランドとこの 2つの LCCブランドによるマルチブランド戦略を推し進め、 ともに進化を図る 各ブランドの顧客セグメントの明確化と、それぞれの事業特性に応じたネットワーク展開や商 品・サービスの提供により、各社の収入の最大化を図り、グループ価値の向上を目指します。 LCC2 社は、低位にあるユニットコストを武器に、新しいビジネスモデルを確立してい きます。ANA ブランドではカバーしきれない事業領域において新規需要を創出するとと もに、国内市場では鉄道、高速バスといった他の輸送機関からの需要獲得も目指します。 ANA ブランドは、フルサービスキャリアとして、高品質なサービスやネットワークの利便性 を求める旅客ニーズに応えるべく、ANA グループの中核を担い続けます。 なお、2012 年 3 月に就航を開始したピーチについては、短期間ではありますが大変 好調な結果を出しています。2012年 3月単月分の 2路線 (関西−千歳線、関西−福岡線) の実績を、ANA の同一区間とあわせて見てみますと、ANA の旅客数を減らすことなく、 ピーチの旅客数が上積みした構図となっています。まだスタート段階ではありますが、フル サービスキャリアとLCC が既存の需要を取り合うのではなく、ともに成長していくという、 私たちの狙いが達成できていることをご理解いただけるのではないかと思います。 ( LCC の事業展開の詳細については、P50∼53の事業戦略特集: 「新たな需要の創出に向けて∼ LCC 事業の展開∼」 をご参照ください) マルチブランド戦略における役割・機能 <フルサービス><ビジネス多頻度旅客> <ハイエンドプレジャー> • ユニットコスト低減によりコスト競争力をさらに強化 • フルサービスキャリアとしてアジアNo.1の プロダクトサービスを提供 ユニットコスト低位 • 成田空港発着ポイント・トゥ・ポイント (国内線+国際線中短距離路線) Japan • エアバスA320型機を中心に短距離路線を単一機種 運航(エアバスA330型機で中距離路線を運航) • 関西空港発着ポイント・トゥ・ポイント (国内線+国際線短距離路線) • エアバスA320型機単一機種運航 24 全日本空輸株式会社 • 国内線・国際線ネットワーク • アライアンス・ジョイントベンチャー による提携 • 小型から大型まで複数機種運航 ユニットコスト高位 <ノンフリル><ローエンドプレジャー> <新規航空需要> • 新たなビジネスモデルに基づき 徹底的な低コスト運航体制を実現 • 他交通機関からのシフトも含めて 新規航空需要を創出 伊東社長による 「ANA グループ 2012‒13経営戦略」 の解説 戦略機軸 2:グループ経営体制改革 持株会社制に移行し、 これまで、ANA グループではグループ構造改革に取り組み、2010年 4月に 7社あった 機動的・効率的な グループエアラインを 2012年 4月には 3社体制へと再編しました。そして今回、この再編・ 経営体制を構築 統合効果を最大限に享受しながら、さらなるグループ経営体制の強化と機動的かつ効率的 な経営を目指すため、2013年 4月から持株会社制に移行することとしました。 これは、経営環境が目まぐるしく変化する中、経営方針の決定と業務執行を分離し、経営 資源の配分を最適化することで、より強力な ANA グループを作り出していくことを目的と しています。ますます激化する競争環境に対応するには、各事業会社がグループ内の事業 機会に依存することなく、グループ外とのビジネスも視野に入れた自律的な事業展開を推 し進めるとともに、より市場に近い位置でスピード感を持った意思決定を行わなくてはなり ません。ANA ブランドとLCC ブランドの展開においても、グループ内のフラットな関係の 下で各社が経営することで、より効果的に機能するものと見ています。また、各事業会社 が自主独立の発想の下、迅速かつ効率的な経営を推進することで、グローバル競争の中で 求められる経営体制に舵を切り、今後の成長戦略の基盤を構築していく考えです。 なお、2012年 6月の株主総会にて、 「吸収分割契約承認の件」 について承認可決いただき、 現在、グループ・ガバナンス体制の強化も重視しながら、移行準備を進めているところです。 グループ体制図 ▶持株会社制移行後(2013年 4月 1日∼) ▶現状 全日本空輸(株) エアーニッポン (株) (2012年 4月 1日全日本空輸 (株) 統合) ANAウィングス (株) (株) エアージャパン エアアジア・ジャパン (株) その他事業会社 その他事業会社 その他事業会社 Peach Aviation(株) 子会社 関連会社 ANA ホールディングス(株) シェアードサービスセンター 全日本空輸 (株) ANAウィングス (株) (株) エアージャパン エアアジア・ジャパン (株) その他事業会社 その他事業会社 その他事業会社 Peach Aviation(株) 戦略機軸 3:構造改革によるコスト競争力強化 ユニットコスト1円の ANA グループでは、2009年 3月期以降、世界同時不況や東日本大震災など、大きな需 引き下げに向けて 要変動イベントに直面し、緊急収支改善策などのコスト削減を実践してきました。いずれの 1,000億円の コスト削減策も計画を完遂し、その都度事業基盤を強化してきました。 コスト削減を推進し、 しかし、これらの成果は着実に表れているものの、現在のコスト競争力は、目指すべき水 収入変動リスクに対応 準に対してはいまだ道半ばであると考えています。グローバル競争は一層激化していく中、 LCC の参入による国内線市場の単価動向や海外航空会社との生産性比較、さらには事業 ボラティリティの高い国際線事業の比率が今後高まっていくことも踏まえますと、ユニット アニュアルレポート 2012 25 コストの継続的な低減は至上命題と言えます。グローバルレベルの競争力を維持し、強固 な収益体質を構築していくためには、もう一段の構造改革が必要なのです。そこで、ANA グループでは、 「 直接部門のあくなき生産性向上」 と 「間接部門のスリム化」 をポイントに、 2015年 3月期までにユニットコスト1円の引き下げとなる累計 1,000億円のコスト削減を 断行します。 コスト削減策の内容は下表のとおりですが、これはグループ全部門に対して改めて費用の 総点検を指示し、蓋然性の高いコスト削減メニューを精査し積み上げたものです。短期的な 収支改善のためのコスト削減ではなく、競争力と収益性の向上に向けて、収益構造そのもの を見直す取り組みとなっている点が、従来のコスト削減計画とは異なります。 具体的な数値計画としては、本経営戦略を完遂した 2014年 3月期末の段階で、ユニッ トコスト0.6 円の引き下げに当たる 550 億円のコスト削減を実現させ、全体計画の過半 が進捗する予定です。 コスト削減計画の概要 基準値:2012年 3月期計画 (2011年 7月 29日発表) 2012年3月期 (実績) 110億円 2013年3月期 〈当初計画80億円〉 190億円 2014年3月期 〈当初計画220億円〉 2012-13経営戦略 累計 550億円 250億円 2015年3月期 2015年 3月期までに 累計 1,000億円の コスト削減を達成 450億円 2012 ▶ 1,000億円の内訳 480億円 ・ 新規投資・更新費用の適正化 (機材費・減価償却費など) 105億円 ・ 営業改革、サービスコスト適正化 (販売費・機内サービス費など) 180億円 全日本空輸株式会社 ・ 直接人員の生産性向上 (人件費・外部委託費など) 165億円 70億円 26 ・ 間接人員のスリム化 ・ 事業・IT 環境変化に伴う構造改革 (賃借費など) ・ グループ調達機能強化 ・ 運航基準の見直し (燃油費など) 伊東社長による 「ANA グループ 2012‒13経営戦略」 の解説 事業別戦略:国際線旅客事業 フルサービスキャリアと ここからは、主要な事業別戦略をご説明いたします。 してのビジネスモデルを 成長の牽引役となる国際線旅客事業では、増加した首都圏発着枠の活用も含め、長距離 強化し、大幅な収入増加 国際線と接続需要に重点を置いたネットワークを充実、拡大させます。エアアジア・ジャパン の下で収益力を向上 によるLCC 事業の成長も見込み、2014年 3月期には当期比 30.0% (959億円) 増の 4,160 億円の収入を計画しています。 戦略機材ボーイング 787型機の長距離線機材については、2012年 1月に羽田−フラン クフルト線で就航を開始しましたが、2013年 3月期からは本格的な導入を進めていきます。 長距離路線就航が可能な中型機という同機材の特徴を活かし、さらなる供給量の拡充を 図っていく計画です。 欧米路線においては、ユナイテッド航空およびコンチネンタル航空とのジョイントベン チャー (JV) (太平洋路線) 、ルフトハンザドイツ航空との JV (欧州路線) を積極的に活用し、 キャッチメントエリアをグローバルに拡大することで、競争力あるネットワークを構築してい きます。北米路線の JV では、2012年 3月期においてユナイテッド航空とのコードシェア便 の座席相互販売席数が約 3倍となるなど、着実な成果を収めることができています。2013 年 3月期は成田−シアトル線、成田−サンノゼ線の就航を予定するほか、共同マーケティン グの強化などにも注力し、取り組みを加速していきます。欧州路線の JV では、2012年 4月 からJV 共通運賃を開始し、本格的な展開が始まりました。現在、ANA およびルフトハンザ ドイツ航空、ともに対象路線の拡充を進めており、日本と欧州間の旺盛な旅客流動を効果 的に取り込んでいく計画です。 国際旅客事業の計画(エアアジア・ジャパン含む) (指数:2010=100) (億円) 180 5,000 150 4,000 120 座席キロ (左軸) 収入 (右軸) 3,000 90 2,000 60 2012-13経営戦略 1,000 30 0 2010 2011 2012 2013 (計画) 2014(3月期) (計画) 0 事業別戦略:国内線旅客事業 需給適合の強化と 国内線旅客市場は、成熟化しているものの需要規模が大きく、旅客シェア50.2%※ (2012 機材稼働の効率化・ 年 3月期) というANA グループの圧倒的な競争優位を背景に、今後も着実な収益貢献が期 最適化により 待できる分野です。 事業収益をさらに拡大 効率性・収益性の向上に資する路線計画および機材計画の最適化を図るとともに、本格導 入が開始されたボーイング 787型機の戦略的な路線投入を推し進め、マーケットにおける 優位性を維持し続けていきます。これに加え、LCC 事業の展開により他交通機関との競合 に打ち勝つとともに、新たな航空需要を生み出していきます。 ※ 提携航空会社とのコードシェア便を含む。 アニュアルレポート 2012 27 収益性については、さらなる向上を目指します。当期は、東日本大震災によって減退した需要 に対応し、きめ細やかな供給調整や柔軟な運賃設定を行ったことにより、減収幅が最小限に食 い止められており、今後もこうした緻密なイールドマネジメントを強力に推し進めていきます。 こうした取り組みを通じ、2014年 3月期には当期比 8.6% (559億円) 増の 7,075億円の 収入を計画しています。また、中長期的には、ANA 本体では強力なブランド力を活かして安 定収益を計上していくとともに、LCC 事業の拡大により新規需要創出を加速させ、グループ 全体の成長を継続させていきます。 国内旅客事業の計画(エアアジア・ジャパン含む) (指数:2010=100) (億円) 120 7,500 7,000 80 60 6,500 40 2012-13経営戦略 6,000 20 0 座席キロ (左軸) 収入 (右軸) 100 2010 2011 2012 2013 (計画) 2014(3月期) (計画) 0 事業別戦略:貨物郵便事業 フレイター事業の 貨物郵便事業では、今後も需要拡大が見込める国際線貨物事業の伸長に注力します。 収支改善を果たし、 2014年 3月期の国際線貨物事業の収入は当期比 19.3% (170億円) 増の 1,050億円、貨 国際線貨物事業の 物郵便事業全体では同じく当期比 15.1% (194億円) 増の 1,475億円を見込んでいます。 伸長を目指す ベリー (旅客機の貨物スペース) については、国際線旅客便の新規就航や増便、さらには ベリーの容量が大きいボーイング 787型機の導入拡大を背景に、供給能力は大幅に増加す ることから、これらを着実に収入拡大につなげていきます。フレイター (貨物専用機) 事業に ついては、運航効率の高い中型フレイターによる現行の 9機体制の下、 「沖縄貨物ハブネッ トワーク」 を効果的に活用しながら、中国・アジアでの旺盛な需要を取り込み、事業収支の 改善を図ります。また、機材稼働効率を高め、コスト削減にも取り組むことにより、2014年 3月期にはフレイター事業の黒字転換を目指します。さらには、こうして拡充したベリー・フレ イター双方のネットワークを機能的に組み合わせながら、積極的な物流提携を進め、エクス プレスをはじめとする高付加価値貨物を獲得していく考えです。 国際貨物事業の計画 (指数:2010=100) (億円) 180 1,200 有効貨物トンキロ (左軸) 160 1,000 貨物輸送重量 (左軸) 140 800 120 600 100 2012-13経営戦略 80 60 28 全日本空輸株式会社 400 200 2010 2011 2012 2013 (計画) 2014(3月期) (計画) 0 重量当たり単価 (左軸) フレイター事業収入 (右軸) ベリー収入 (右軸) 伊東社長による 「ANA グループ 2012‒13経営戦略」 の解説 キャッシュ・フロー・マネジメントと設備投資計画 継続的な航空機 ここまでご説明してきた事業戦略の推進を通じて、営業キャッシュ・フローを安定的に確 投資を進めながら、 保していきます。これにより、中長期的な利益成長を果たしていくための設備投資戦略を フリー・キャッシュ・ 継続しながら、フリー・キャッシュ・フローを確実に創出していく計画です。具体的には、この フローは2カ年で 2年間でのフリー・キャッシュ・フローは、1,000億円を超えるレベルに達する見通しです。 1,000億円超を確保 設備投資計画としては、機材競争力の確保に向け、経済性の高い航空機を計画的に導 入、更新していきますが、当面は単年度で 2,000億円前後としていく予定です。フリート 戦略の方針は、従来の考えに変更はなく、競合他社に先駆けて省燃費機材を積極的に導 入し、中型機比率の向上や機種統合による生産性向上に注力していきます。当期に 6機を 導入したボーイング 787型機については、今後、導入が本格化します。2013年 3月期と 2014年 3月期の合計で 21機の導入を計画しており、当期に導入した 6機と合わせると合 計 27機となり、ANA グループが発注した 55機の約半数となります。まさに戦略機材と して、同機材による収益拡大効果は広がっていくものと期待しています。 なお、2015年 3月期以降の本格的な事業成長を見込み、上述したように中期的に 「営 業利益 1,500 億円、営業利益率 10.0%以上」 を目指すことから、フリー・キャッシュ・フ ローの中期見通しは単年度で 700∼800 億円に、設備投融資額の中期見通しとしては 1,700∼2,100億円の水準としていきたいと考えています。 キャッシュ・フローと設備投融資計画 (億円) 2012年3月期 (実績) 営業キャッシュ・フロー 2,144 投資キャッシュ・フロー -1,663 フリー・キャッシュ・フロー 480 財務キャッシュ・フロー 161 設備投融資額 2,037 (億円) 2013年3月期 (計画) 2014年3月期 (計画) 営業キャッシュ・フロー※1 2,335 2,400 投資キャッシュ・フロー※2 -1,555 -1,900 フリー・キャッシュ・フロー 780 500 財務キャッシュ・フロー※1 -620 -1,020 設備投融資額 1,945 1,960 中期目標 フリー・キャッシュ・フロー: 700∼800億円 設備投融資額: 1,700∼2,100億円 ※1. オフバランスリース元本償還相当額を含む。 ※2. 定期預金、譲渡預金への預け入れ相当額は含まない。 アニュアルレポート 2012 29 財務目標と株主還元 財務体質の健全化を 期間利益を着実に積み上げ、自己資本を充実させると同時に、安定したフリー・キャッシュ・ 進めるとともに、 フローの下で有利子負債の削減を進め、財務体質の強化を進めます。有利子負債 (オフバ 株主還元の充実を図る ランスリース債務含む) については、2014年 3月期末時点で 1兆円を切るレベルにまで低減 し、デット・エクイティ・レシオは 1.6倍となる見込みです。こうした取り組みにより、2014年 3月期末時点の ROA は 6.6%、ROE は 9.4%を計画していますが、中期的にはもう一段の 改善を図り、ROA8%以上、ROE10%以上を目標としています。 財務目標 2012年3月期 2013年3月期 2014年3月期 (実績) (計画) (計画) 自己資本比率 (%) 27.4 28.4 31.1 ROA (%) 5.1 5.5 6.6 ROE (%) 5.3 7.2 9.4 有利子負債/EBITDA倍率※(倍) 5.2 4.2 3.5 2.0 1.9 1.6 ※ デット・エクイティ・レシオ (倍) 中期目標 ROA: 8%以上 ROE:10%以上 有利子負債/EBITDA倍率: 3倍台 デット・エクイティ・レシオ: 1.0∼1.5倍 ※ オフバランスリース債務を含む。 コラム: ANAグループの供給量の推移 ANA グループでは、国際線では他社供給量の変化・需要動向を踏まえ、生産量を増加させる一方、 国内線では、需要変動に応じた生産量の調整・供給を行っています。 ANA グループは、米国同時多発テロ、世界同時不況、新型インフルエンザの流行、そして東日本大震災など、この 10年 でさまざまなイベントにさらされてきました。これに加え、航空自由化の進展や LCC の台頭など、グローバルな競争環境は ますます激化してきています。 こうした厳しい事業環境にあっても、ANA グループは的確な需給調整を進めながら、一定の供給量を保ち続けてきま した。過去 10年間の座席キロ推移を見てみると、本邦航空会社全体では国内線・国際線ともに大きく変動・減少しているの に対し、ANA グループの座席キロは需要に応じた生産量の調整・供給を行ってきました。 これは、ANA グループが的確に需要を見据え、収支の最大化または費用の最小化を図るため、供給量を調整してきた結 果であり、次なる成長に向けた最適な供給量を確立することができています。 航空会社別の国際線座席キロ 航空会社別の国内線座席キロ (百万キロ) (百万キロ) 140,000 140,000 120,000 120,000 100,000 100,000 80,000 80,000 60,000 60,000 40,000 40,000 20,000 20,000 0 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012(3月期) ANA 他の国内航空会社 全日本空輸株式会社 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012(3月期) ANA 出典:各社公表資料 30 0 他の国内航空会社 出典:国土交通省 「航空輸送統計年報」 伊東社長による 「ANA グループ 2012‒13経営戦略」 の解説 また、中長期にわたる成長性・収益性を確保していくための設備投資や財務体質強化、 そして安定経営のための内部留保の充実という課題のバランスを図りながら、株主還元 を充実させていくことが、株主の皆様に対する最大の経営責任だととらえています。本経 営戦略においても、安定的かつ高い投資評価を獲得しうる水準の株主還元を実施してい きます。 当期においては、過去最高の営業利益を達成したことから、1株当たり配当金を当初予 定の 2円から増額し、4円とさせていただきました。配当性向は従来よりも高水準となりま すが、これは私たちの今後の成長に対する確固たる意志とご認識いただければと存じます。 なお、2013年 3月期の 1株当たり配当金は 4円を予定しています。 CSR の取り組み 安全を最優先とした ANA グループでは、CSR を 「経営理念の実現に向けた企業活動の基盤」 ととらえており、 社会的責任を果たし、 中でも安全運航は、航空運送事業を中核とするANA グループにとって最大の使命と認識 グローバル企業として しています。2011年 9月に発生した ANA140便 (那覇−羽田線) における一時的に飛行姿 国際的規範を尊重しつつ、 勢が不安定となった重大インシデントや、2012年 2月に発生した ANA731便(伊丹−仙台 CSRを実践する 線) における着陸時に機体後部が滑走路に接触した事故、および 2012年 6月に発生した ANA956便 (北京−成田線) における強めの着陸により機体の一部が変形した事故につき ましては、お客様ならびに関係各位にご心配とご迷惑をおかけしたことを、深くお詫び申し 上げます。再発防止策を徹底するとともに、役職員一同改めて 「安全は経営の基盤であり、 社会への責務である」 というANA グループ安全理念に立ち返り、 「世界最高水準の安全」 の 提供をお約束できるよう全力で取り組む所存です。 CSR の実践にあたっては、あらゆるステークホルダーの皆様とのかかわりを重視してい ます。そして、お客様目線に軸を置いた人的サービスと商品力で 「アジア No.1」 の ANA ブランドを確立し、常に選んでいただけるエアラインでありたいと考えています。SKYTRAX 社による最高評価 「5 STAR」 の獲得や、世界一の定時性品質の確保など、具体的な目標を 定め積極的に取り組んでいきます。また、こうした目標の達成には社員一人ひとりの力が不 可欠との考えの下、ANA ブランドという 「模倣困難な価値」 を創造するため、多様な個性を 備えたグローバルな人財育成に注力しつつ挑戦を続けます。 加えて、地域社会の一員として、社会的課題の改善に寄与することも私たちに求められ ている社会的責任であると認識しています。東日本大震災の被災地支援を継続的に実施 しながら、より 「ANAらしい社会貢献活動」をグローバルに展開していきます。地球環境 課題に対しては、2020年までの中長期的な環境計画として「ANA FLY ECO 2020」を 策定し、世界トップ水準の環境リーディング・エアラインを目指した取り組みを一層強化 していきます。 「アジアを代表する航空企業グループ」 という経営ビジョンの実現に向けては、国内のみで なく海外の多様なステークホルダーの皆様からの期待・要請に応える必要があります。今後 も、社会的責任に関する国際ガイダンスである 「ISO26000」 などを活用し、常に自らの事業 活動を確認、改善しながら、CSR を積極的に実践していきます。 アニュアルレポート 2012 31 最後に 私たちは挑戦を続け、 世界同時不況による深刻な需要減退が起きた 2009年 3月期以降、私たちは、新型イン 強く生まれ変わる フルエンザの流行や東日本大震災の発生など、次々と起こる需要変動イベントを、身につい た環境適応能力により克服することができました。激変する経営環境に迅速に対応し、あら ゆる分野での改革を計画どおり、そして着実に推し進めてきた成果といっていいのではない かと思っています。 2014年 3月期までの 2カ年は、これまで進めてきた改革を基にさらなる革新を果たし、 その後の大競争時代を勝ち抜くべく事業基盤を確立する期間です。グローバル環境を見据 えてグループ経営体制を変革するとともに、これまでのコスト削減とは一線を画す、抜本 的なコスト構造改革にすでに取り組みを始めています。日本で初めて参入した LCC 事業の 先駆者として、新たな需要創出に率先して取り組み、また、世界に先駆けて ANA グループ が導入したボーイング 787型機についても、本格的な導入を通じて革新的なネットワーク 戦略を展開していきます。目まぐるしく変化する環境に、機敏かつ柔軟に対応したマネジ メントを遂行し、収益力と財務基盤の一層の強化を実現することで、その先の持続的な 成長、飛躍を可能にすべくANA グループは強く生まれ変わります。 私たちには、さまざまな困難にも打ち勝ち、新たな道を切り開いてきたという自負があり ます。これからも、私たちは新たな挑戦を続け、成長への道筋を邁進していきます。 「アジアを代表する航空企業グループを目指す」 という経営ビジョンの実現に向け、 「クオ リティで一番」 「 顧客満足で一番」 「 価値創造で一番」 となるよう、私たちは全力で進化を遂 げてまいりますので、ステークホルダーの皆様におかれましては、引き続き私たちの取り 組みにご期待いただけますようお願い申し上げます。 2012年6月19日 代表取締役社長 伊東 信一郎 (2012年 8月 17日現在) 株主・投資家の皆様への重要なお知らせ ▶公募増資の実施について 2012年 7月 3日開催の取締役会において、国内外における として、日本のみならず 「アジアをベースにしたマルチブランド 公募による新株式の発行、および第三者割当てによる新株式 化」 を目指して、積極的なアジア域内での事業展開を加速し、 の発行を行うことを決議し、実行いたしました。概要は下記の 将来に向けあらゆる成長戦略を機動的に実行していきます。 とおりです。 今般の公募増資の実施により、今後の事業ポートフォリオ 発 行 新 株 式 数: 発 行 価 格: 発 行 価 額: 手 取 概 算 額 合 計: 資 本 組 入 額: 32 991,466,000株 184 円 176.32 円 173,612,285,120 円 87,407,642,560 円 拡張の中で、とりわけ成長分野である国際線旅客事業のネッ トワーク競争力に重要となる、ボーイング 787型機などを中 心とする経済効率の高い航空機への戦略投資を促進するとと もに、アジアをベースにしたマルチブランド戦略の確立を目指 して、将来の成長機会に適時かつ機動的に対応できるような ANA グループでは、2012年 2月に 「ANA グループ 2012 財務基盤の確立を図ります。 −13経営戦略」 を策定し、2013年 4月に持株会社制に移行す 今後も、ANA グループは 「アジアを代表する航空企業グ ることとしており、 「経営」 と 「執行」 の分離と、グループ経営の強 ループを目指す」 という経営ビジョンの達成に向け、 「 ANA グ 化および各事業会社の自律的経営による効率経営の実現を図 ループ 2012-13 経営戦略」 を着実に推進し、高品質な航空 ります。加えて、成長著しいアジアを主力市場とする航空会社 運送サービスの維持・向上に努めてまいります。 全日本空輸株式会社 伊東社長による 「ANA グループ 2012‒13経営戦略」 の解説 コラム: ANAグループのコスト削減に向けた取り組みの実績 ANA グループでは、これまで需要減退などの外部環境の変化に対し、迅速なコスト削減施策を策定し、いずれ も完遂してきました。2013年 3月期から推進するコスト構造改革についても、遅滞なく、グループを挙げて全力 で取り組んでいきます。 ANA グループのコスト削減施策 (百万キロ) 40,000 2001.9 米国同時多発テロ 2003.3 イラク戦争 35,000 2010.12 新型インフルエンザの流行 2004.4 JAL・JAS 統合 2005.4 中国反日デモ 2008.9 世界同時不況 2011.3 東日本大震災 30,000 2002.11∼2003.7 SARS 25,000 0 2002 2003 2004 2005 2006 2007 ・300億円規模の 「コスト削減計画」実施 2008 2009 ・緊急コスト削減対策 〈実績362億円〉 事業構造改革(100億円) 2010 2012 (3月期) 2011 ・860億円の 費用削減プラン 〈実績877億円〉 人件費構造改革(200億円) ・ 「緊急対策プラン」 730億円のコスト削減 グループ従業員1人当たり座席キロ イベント ANAグループコスト削減施策 ・ 「緊急収支改善策」 300億円のコスト削減 〈実績1,048億円〉 激変する事業環境下、ANA グループでは、 【2010年 3月期】 ・緊急収支改善策 300億円 〈実績320億円〉 【2012年 3月期】 さまざまな 対 策に取り組 ん できました 。 前期から続く需要低迷に対し2009年 4月 東日本大震災の影響から需要減退が見 特に、2008年以降は、毎期、新たなコスト に発表した 「緊急対策プラン」 とこれを踏まえ 込まれたため、定期便の一部減便や機材の 削減施策を計画どおりに実行し、高い成果 た 730億円のコスト削減、さらにはその後 小型化などに迅速に着手し、変動費の圧縮 をあげ続けてきました。以下では、2009年 の新型インフルエンザの流行を受けて同年 を行いました。合わせて、全部門での費用 3 月期以降の取り組みの詳細をご紹介い 7月に策定した 「緊急収支改善策」 での 300 削減の深堀り、生産性向上施策などによる たします。 億円のコスト削減に着手。生産連動費用の 300億円の緊急収支改善策に取り組みまし 【2009年 3月期】 世界同時不況により、世界の航空需要は ほか、人件費や外部委託費、販売手数料な た。結果、変動費で 100億円、その他執行 どの削減を着実に実行した結果、1,048億 抑制で 220 億円の計 320 億円のコスト削 円のコスト削減を果たすことができました。 減を果たしました。 さらに、2013 年 3 月期から取り組む、 大きく低減するとともに、原油価格も高騰 し、事業環境は非常に厳しいものとなりまし 【2011年 3月期】 1,000 億円のコスト構造改革についても、 た。こうした状況に対し、ANA グループは 首都圏空港の発着枠拡大に向けた事業構 一部前倒しで実行し、110億円のコスト削 2009年 3月期下半期から路線便数の見直 造の変革を果たすべく、2011年 3月期から 減を実施しました。 ( 1,000億円のコスト構 しや投入機材の小型化などによる供給量の 始まる 「ANA グループ 2010-11経営戦略」 造改革の詳細については、P26の 「戦略機 調整をはじめ、人件費や販売費などの削減 の中で事業構造改革を策定し、860億円の 軸 3:構造改革によるコスト競争力強化」 を による 362億円の緊急コスト削減を実施し 費用削減プランを断行しました。その結果、 ご参照ください) ました。 事業・コスト構造で 510億円、人件費で 183 以上により、2012年 3月期は過去最高の 億円、販売費で 183億円と、計 877億円の 営業利益を計上することができました。 コスト削減を実現しました。 アニュアルレポート 2012 33 Climbing ... 駆け上がる、ANAの各事業。 当期の営業概況と今後の戦略をご説明します。 Cruising Climbing Takeoff Boarding 34 全日本空輸株式会社 ANA グループは、 「航空運送事業」 と 「旅行事業」の 2 つの報告セグメントがあり、 「 航空運送事業」は 国内線旅客事業、国際線旅客事業、貨物郵便事業、 その他の事業で構成されています。このセクション では、事業別に、2012年 3月期の事業レビューと 「ANA グループ 2012-13経営戦略」を基にした各 戦略、さらには新規需要創出に向けた LCC 事業の 展開についての事業戦略特集を掲載しています。 36 航空運送事業 49 旅行事業 50 事業戦略特集: 新たな需要の創出に向けて ~LCC事業の展開~ In-Flight Service Approach Landing アニュアルレポート 2012 35 航空運送事業 2012年3月期の状況 売上高構成比 (%) 国内線旅客事業 売上高構成比 (%) 41.8% 80.9% 羽田空港を中心とした充実した国内線ネットワークを有し、 1日当たり127路線、1,018便を運航し (2012年 7月 1日 現在)、年間約 3,902万人のお客様にご利用いただいてい ます。旅客輸送シェアは約 50.2% で、国内線のリーディン グカンパニーです。 2012年 3月期は、震災の影響により需要が大きく減退し ましたが、きめ細かい需給適合に注力したほか、客体構成 の改善や競争力の向上により旅客単価が向上し、収入はほ ぼ前年並みの前期比 0.2%減となりました。 国際線旅客事業 売上高構成比 (%) 20.5% 日本から世界各地へ、48路線、週間 812便を運航し (2012 年 7月 1日現在) 、年間約 588万人のお客様にご利用いた だいています。 「スターアライアンス」の主要メンバーとして グローバルなネットワークを構築しており、太平洋間ネット ワークではユナイテッド航空およびコンチネンタル航空と、 日本−欧州間ネットワークではルフトハンザドイツ航空と ジョイントベンチャー(JV) を展開しています。 2012年 3月期は、生産量を大幅に増加させる中、需要 喚起策と適切な需給適合が奏功し、収入は前期から14.0% 増加と大きく伸長しました。 貨物郵便事業 売上高構成比 (%) 8.2% 9機のフレイター(貨物専用機) と、ベリー(旅客機の貨物ス ペース) を活用して事業を行っています。フレイター便は国 内線では 6路線に 1日 9便、国際線では 18路線に週 154 便を運航しています (2012年 7月 1日現在)。 沖縄貨物ハブネットワークを展開し、アジア域内の航空 貨物エクスプレス需要を取り込むべく、事業基盤・収益基盤 の整備を進めています。 2012年 3月期は、円高や景気の影響から荷動きが鈍化 しましたが、三国間貨物の取り込みなどにより、収入は前 期比 2.4% の増加となりました。 その他事業 売上高構成比 (%) 10.4% 36 全日本空輸株式会社 ANA エアポートハンドリング(株)、ANA テレマート (株)、 全日空整備(株) などのグループ各社で、空港での地上支援 業務、航空機の予約案内、整備などを行っています。これ らの業務は、ANA グループ以外の航空会社に対しても提 供しています。また、貨物事業の関連業務を支援するANA ロジスティクサービス (株) に加えて、 ( 株)OCS がエクスプ レス事業推進のための地上サービスを提供しています。 2012年 3月期の収入は、地上支援業務の受託が増加し たことなどにより、前期比 1.8% の増収となりました。 ※ 各事業の売上高には、セグメント間の内部売上高を含めています。 2012-13経営戦略 国内線旅客事業の計画 営業収入 (億円) 6,309 6,526 6,515 6,950 7,075 ▶ 効率性・収益性向上に資する路線計画・機材 計画の最適化 2012-13経営戦略 Boarding ▶ ボーイング 787型機の本格稼働により、機材 の優位性を活かした路線投入戦略を推し進め、 競争力を維持・向上 ▶ LCC 事業の本格展開により、他交通機関との 2010 2011 2012 2013 2014 (計画) (計画) 競争に打ち勝つとともに、新たな航空需要を 創出 Takeoff 国際線旅客事業の計画 営業収入 (億円) 3,700 ▶ ボーイング 7 8 7 型 機を活 用した欧 米ネット ワークの拡大と、中小型機を中心とした中国・ アジア路線の拡充 Climbing 2,806 3,200 4,160 ▶ JV 事業の共同戦略により、フルサービスキャ 2,141 2012-13経営戦略 リアとしての基盤強化 ▶ LCC 事業の展開により新たなビジネスモデル 2011 2012 2013 2014 (計画) (計画) を確立し、徹底的な低コスト運航体制の下、 新規需要を創出 Cruising 2010 貨物郵便事業の計画 1,250 1,280 1,385 1,475 943 2012-13経営戦略 2011 2012 2013 2014 (計画) (計画) ▶ 機材稼働効率の向上とコスト構造改革、およ び「沖縄貨物ハブネットワーク」の効果的活用 により、フレイター事業の収益性改善と収支 安定化 ▶ 国 際 線 の 旅 客 便 の 供 給 能 力 増 加を背 景に、 旅客便ベリースペースのさらなる活用 Approach 2010 In-Flight Service 営業収入 (億円) ▶ エクスプレスをはじめとする付加価値戦略の 推進 営業収入 (億円) 1,491 1,599 1,628 1,685 1,590 Landing その他事業の計画 ▶ 事業規模拡大に応じた機能拡充 ▶ 生産性向上とコスト削減による収益性の強化 2012-13経営戦略 2010 2011 ※ エアアジア・ジャパン含む 2012 2013 2014 (計画) (計画) アニュアルレポート 2012 37 国内線旅客事業 38 全日本空輸株式会社 航空運送事業 ハイライト 売上高(億円) 旅客数(万人) 座席キロ(億座席キロ) 座席利用率(%) ユニットレベニュー(円) イールド(円) 2010 2009 2008 6,515 3,902 567 345 60.9 11.5 18.8 16,698 6,526 4,057 567 359 63.4 11.5 18.1 16,084 6,309 3,989 571 353 62.0 11.0 17.8 15,816 6,993 4,275 592 375 63.5 11.8 18.6 16,359 7,395 4,555 626 399 63.7 11.8 18.5 16,233 Takeoff 旅客単価(円) 2011 Boarding 旅客キロ(億旅客キロ) 2012 2012年 3月期における国内線旅客事業の売上高は、総売上高 (内部取引消去前) の 41.8% を占めています。 国内線旅客事業の収入増減要因 (億円) 旅客数要因 +230 -240 Climbing 単価要因 6,515 2011 2012 Cruising 6,526 In-Flight Service 2012 年 3月期の概況 震災影響を受けるも期末までには回復 路線ネットワークについては、ネットワークの充実を 災の影響により減退しましたが、ビジネス需要は 2011 進め、2011 年 10月に松山−那覇線、同年 12月に伊丹 年 6月には前年同期並みの水準まで回復したほか、プレ −秋田線を新規に開設しました。当期は、これらのきめ ジャー需要についても、営業面でさまざまな需要喚起策 細かい需給適合に注力したことから、震災の影響を最小 を講じた結果、当期末までには震災の影響が解消され 限にとどめ、当期の座席利用率は前期から 2.4ポイント ています。 減少の 60.9%となりました。 期初の段階から震災の影響による大幅な需要の落ち 戦略機材ボーイング 787 型機は、2011 年 11 月、世 込みに対応するため、定期便の一部減便や多くの路線 界初となる定期便として羽田−岡山線・広島線に投入し において機材の小型化を実施しました。また、羽田発着 ました。その後は、羽田−伊丹線・山口宇部線・松山線に 路線を中心に、週末と平日の需要に合わせた機材投入 順次投入しました。 の柔軟な調整を行ったほか、夏季休暇シーズンなどでは また、当期は震災復興支援策も展開し、仙台、福島、 羽田−千歳線・那覇線を中心に臨時便を設定するなど、 山形に向けた臨時便の設定を行ったほか、ボーイング 需要が多い路線の供給拡大を進め、座席キロの適正化 787型機を使用した成田遊覧チャーターや仙台、福島で を進めました。 の復興応援フライトを実施しました。 Landing アニュアルレポート Approach 国内線の需要は、2011 年 3月に発生した東日本大震 2012 39 国内線航空需要 前期比推移 座席キロ・旅客キロ・座席利用率 前年同期比推移 (%) (%) (%) 2 20 12 10 6 0 0 -10 -6 0 -2 -4 -6 -8 2008 2009 2010 2011 2012 (3月期) -20 出典:国土交通省 「航空輸送統計年報」 第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期 第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期 2011年3月期 2012年3月期 -12 座席キロ (左軸) 旅客キロ (左軸) 座席利用率 (右軸) 単価向上により旅客数減少による減収幅を極小化 営業面では、プレジャー需要の喚起を目的とした週末 サービス面についても、2011 年 4 月より A N A マイ 限定の新運賃「週末割引」 を設定したほか、夏季休暇シー レージクラブ会員向けに、片道 1 区間から特典航空券に ズンには 「旅割」の設定拡大や、 「 旅割」 「 スーパー旅割」の 交換できる新たな制度を導入したほか、2012 年 2 月に 値下げを実施するなど、競争力強化と潜在需要の喚起に は那覇空港、同年 3月には鹿児島空港のラウンジの改修 努めました。 を行うなど、お客様のさらなる利便性・快適性の向上を 図りました。 以上の結果、当期の国内線旅客数は前期比 3.8%減 少の 3,902 万人となりました。旅客単価については、競 争力向上を背景に旅行・プロモーション運賃やビジネス 運賃の引き上げを行ったことに加え、ビジネス需要を含 む一般個人の旅客数が早期に回復したことが客体構成 の変化に伴う単価上昇をもたらし、前期から 3.8%増加 しました。 こうして、旅客単価の向上が旅客数の減少による減収 幅を極小化し、当期の国内線旅客事業の収入は前期比 0.2%減少の 6,515億円となりました。 「ANA SUITE LOUNGE」 ユニットレベニューとイールド 月次国内線座席キロ・旅客数 前年同月比推移 (%) (%) (円) 10 50 20 5 25 15 0 0 10 -5 -25 5 -50 0 -10 3 2011年3月期 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2012年3月期 座席キロ (左軸) 旅客数 (右軸) 40 全日本空輸株式会社 2 3 (月) 18.5 18.6 17.8 18.1 18.8 11.8 11.8 11.0 11.5 11.5 2010 2011 2012 (3月期) 2008 2009 ユニットレベニュー イールド 航空運送事業 客体別旅客数 前期比推移 (%) 15 +11.4 10 +3.4 5 +3.0 +1.7 -5 -0.4 -1.5 -10 -3.3 -3.8 -3.8 -4.8 Boarding 0 -6.7 2010 -8.2 2011 2012 (3月期) 一般個人旅客 プロモーション個人旅客 旅行旅客 全体 Takeoff 2013年 3月期の取り組み 需要回復と競争力強化を背景に増収を見込む 2013 年 3 月期は、震災からの需要回復が一層鮮明に 国人向け国内線新運賃の設定のほか、サービスの充実 に努め、お客様満足の向上を図ります。 こうした取り組みを通じ、2013 年 3 月期の国内線旅 力の維持・向上に注力し、収益基盤事業として競争力を 客事業の収入は、2012 年 8 月から就航を開始したエア 確保していきます。 アジア・ジャパンの収入も含め、当期から 6.7% 増加の Climbing なることが想定されます。引き続き、市場環境に応じた マーケットごとの最適機材配置を目指すとともに、競争 6,950 億円を見込んでいます。 ( L C C の事業展開の詳細 新規開設するなど、ネットワークの拡充を図ります。ま については、P50∼53 の事業戦略特集: 「新たな需要の た、注目度の高いボーイング 787 型機を新たな路線に 創出に向けて∼L C C 事業の展開∼」をご参照ください) 投入するなど、競争力のさらなる向上を目指します。 な お 、この 前 提となる座 席 キロは 当 期 比 4 . 1% 増 加 、 営業面では、お客様ニーズや競争環境の変化に対応 座席利用率は同 2.4ポイント増加、ユニットレベニューは するため、プロモーション運賃のリニューアルや訪日外 同 2.5%増加を予想しています。 Cruising 路線ネットワークでは、羽田−岩国線、成田−新潟線を In-Flight Service 国内線ネットワーク変更一覧 路線開設 再開 伊丹−秋田 2012年3月 新潟−成田 2011年4月 伊丹−熊本 2011年6月 千歳−女満別 2011年7月 伊丹−仙台・新潟 2011年10月 羽田−千歳・秋田・徳島、成田−福岡、伊丹−大分、広島−那覇 2011年6月 千歳−函館 2011年7月 中部−仙台 2011年10月 羽田−オホーツク紋別・函館・関西、伊丹−仙台、関西−千歳・那覇、中部−千歳・仙台・福岡、千歳−函館、 那覇−石垣 2011年10月 千歳−オホーツク紋別 (期間運航) 2012年3月 福岡−宮崎 休止 2011年7月 中部−大分 2011年10月 松山−千歳 コードシェア 2011年7月 アイベックスエアラインズ (株) とのコードシェア開始 (中部−仙台・大分) アニュアルレポート Landing 減便 松山−那覇 (期間運航) 2011年12月 Approach 増便 2011年10月 2012 41 国際線旅客事業 42 全日本空輸株式会社 航空運送事業 ハイライト 売上高(億円) 旅客数(万人) 座席キロ(億座席キロ) 旅客キロ(億旅客キロ) ユニットレベニュー(円) イールド(円) 旅客単価(円) 2011 2010 2009 2008 3,200 588 344 253 73.7 9.3 12.6 54,403 2,806 516 297 224 75.3 9.4 12.5 54,296 2,141 466 267 202 75.7 8.0 10.6 45,883 2,910 443 279 193 69.4 10.4 15.0 65,674 3,115 482 282 212 75.3 11.0 14.6 64,555 Boarding 座席利用率(%) 2012 2012年 3月期における国際線旅客事業の売上高は、総売上高 (内部取引消去前) の 20.5% を占めています。 Takeoff 国際線旅客事業の収入増減要因 (億円) 旅客数要因 +370 単価要因 Climbing +25 3,200 2,806 Cruising 2011 2012 2012 年 3月期の概況 In-Flight Service 回復基調の需要をとらえ事業規模を大幅に拡大 こうして、当期は生産量を大幅に増加(座席キロは前 ち込みましたが、ビジネス需要が 2011 年 6 月にはほぼ 期比 15.6%増加)させましたが、需給適合が効果的に 震災前の水準まで回復したほか、プレジャー需要も夏場 進められたことなどを背景に、座席利用率については には日本発の海外旅行需要が前年同期並みの水準まで 1.7ポイント減少と微減にとどめました。 Approach 国際線の需要は、震災発生直後 1カ月間は大きく落 回復しました。一方、海外発の訪日需要は緩やかな回復 基調で推移しました。 路線ネットワークでは、震災の影響による需要の落ち Landing 込みに対応して一時期運休や減便を行いましたが、需要 の旺盛な路線については機材を大型化し、需給適合を推 進しました。また、2011年 6月より成田−成都線、同年 10 月より中部−香港線を新規開設したほか、2012 年 1 月よりボーイング 787 型機で羽田−フランクフルト線 を新たに開設しました。 「BUSINESS CLASS SEAT“ANA BUSINESS STAGGERED” 」 アニュアルレポート 2012 43 四半期別国際線訪日旅客・方面別旅客数 前年同期比推移 座席キロ・旅客キロ・座席利用率 前年同期比推移 (%) (%) (%) 60 30 12 20 30 0 0 0 -10 -30 -60 6 10 -6 -20 第4四半期 第1四半期 2011年3月期 2012年3月期 ANA米州線旅客数 ANAアジア線旅客数 第2四半期 第3四半期 ANA欧州線旅客数 ANA訪日旅客数 第4四半期 -30 ANA中国線旅客数 全体訪日旅客数 第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期 第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期 2011年3月期 2012年3月期 -12 座席キロ (左軸) 旅客キロ (左軸) 座席利用率 (右軸) 出典:日本政府観光局 (JNTO) ※ ANA訪日旅客数および全体訪日旅客数の2012年3月期第4四半期は、 1∼2月の2カ月間の実績 生産量拡大の中での需要喚起策が奏功し大幅増収 営業面では、震災後は成田空港を経由した北米・アジ テッド航空のコードシェア便について、パートナー相互間 ア間の接続需要や西日本マーケットでの需要の取り込み の販売が大幅に増加するなど、路線実績に大きく貢献し など、数少ない商機をとらえるべく販売を強化しました。 ています。2011 年 6月にはルフトハンザドイツ航空との 需要回復基調が顕著となった 2011 年 6 月以降は、各種 日本−欧州間ネットワークにおける J V に向けた独占禁止 営業割引運賃の提供によって夏場のプレジャー需要を早 法適用除外の認可を受けており、2012年 4月からは共同 期に取り込み、需要喚起を図りました。一方、震災の影 運賃の設定を開始しています。 響を最も受けた訪日需要に対しては、各国からの視察旅 このような需要喚起に向けた取り組みと、生産量増加の 行の誘致を行うなど、積極的にイメージ回復を図った結 中でのマーケティング施策が奏功した結果、当期の国際 果、ツアー商品造成やプロモーションが徐々に活発とな 線旅客数は前期比 13.8%増加の 588万人となりました。 りました。 方面別の旅客数においても、第 4四半期には全方面で前年 また、2011年 4月よりANA・ユナイテッド航空・コンチ 同期を上回っており、回復は鮮明になりつつあります。 ネンタル航空 3 社(ユナイテッド航空とコンチネンタル航 旅客単価については、需要喚起に向けた割引運賃設 空は、2012 年 3 月に運航便名をユナイテッド航空に統 定など単価低下要因がありましたが、燃油特別付加運賃 一) による、太平洋間ネットワークに関するジョイントベン の増加により、前期から 0.2%増加とほぼ前期水準とな チャー (JV) 「 Trans-Pacific Joint Venture」 がスタート りました。 し、3 社のネットワークの中からお客様が自由に搭乗便を 以上の結果、当期の国際線旅客事業の収入は、前期か 選択いただける共同運賃を設定しました。ANA とユナイ ら 14.0%増加の 3,200億円と大幅に伸長しました。 ユニットレベニューとイールド 方面別旅客収入・座席キロ・旅客キロ構成比(2012年3月期) (%) (円) 20 15 14.6 15.0 10.6 10 11.0 10.4 8.0 5 0 12.5 9.4 全日本空輸株式会社 9.3 4.9 5.8 6.4 80 23.3 25.6 25.4 アジア 60 25.3 19.0 17.5 中国 40 19.4 20.5 20.7 欧州 27.0 29.2 30.0 北米 旅客収入 座席キロ 旅客キロ 20 2008 2009 2010 2011 ユニットレベニュー イールド 44 12.6 100 2012 (3月期) 0 リゾート 航空運送事業 客体別旅客数 前期比推移 (%) +37.1 40 30 20 +7.8 +5.3 10 +8.4 +10.8 +14.8 +13.7 +13.8 Boarding 0 -10 -20 -15.5 2010 2011 2012 (3月期) ビジネスクラス エコノミークラス 全体 Takeoff 2013年 3月期の取り組み さらなる生産量の拡大とジョイントベンチャーの拡大により大幅増収を見込む 2013 年 3 月期は、アジア市場の成長を見込みつつ、 を開設するなど、成田空港の特性を活かして北米やアジア 路線の接続ネットワークを拡充していきます。 営業面では、お客様ニーズに合った機動的でわかりや 路線ネットワークでは、ボーイング 787 型機の活用と すい運賃体系へと変更していきます。また、ユナイテッド 合わせ、成田−シアトル線・サンノゼ線を新規開設するほ 航空ならびにルフトハンザドイツ航空それぞれとの J V の か、今後の成長が見込まれる成田−ヤンゴン線・デリー線 Climbing 引き続き長 距 離 路 線と接 続 需 要に重 点を置 いたネット ワークを強化しながら、さらなる収益性向上を図ります。 展開を積極化し、キャッチメントエリアのさらなる拡大と Cruising グローバル需要の取り込み強化を図るとともに、柔軟な 価格コントロールを行っていきます。 以上により、2013 年 3 月期の国際線旅客事業の収入 は、2012 年 10 月から就航予定のエアアジア・ジャパン の収入も含め、当期から 15.6%増加の 3,700 億円を見 In-Flight Service 込んでいます。なお、この前提となる座席キロは当期比 11.9%増加、座席利用率は同 0.6ポイント増加、ユニット レベニューは同 3.4%増加を予想しています。 ※ これらの路線計画は、関係当局の認可を前提としています。 Approach 国際線ネットワーク変更一覧 路線開設 2011年 6月 成田−成都 2011年 10月 中部−香港 羽田−フランクフルト 2012年 1月 成田−杭州 再開 2012年 3月 中部−上海 (浦東) コードシェア 2011年 5月 スカンジナビア航空とのコードシェア開始 (成田−コペンハーゲン) 2011年 5月 コンチネンタル航空とのコードシェア開始 (成田−ヒューストン・ニューヨーク) Landing 2012年 1月 増便 2011年 6月 コンチネンタル航空とのコードシェア開始 (グアム−千歳・新潟・成田・中部・関西・岡山・広島・福岡) 2012年 1月 ハワイアン航空とのコードシェア開始 (羽田−ホノルル) 休止 2011年 10月 中部−上海 減便 2011年 10月 成田−瀋陽・成都 (期間減便) アニュアルレポート 2012 45 貨物郵便事業 46 全日本空輸株式会社 航空運送事業 ハイライト 売上高(億円) 貨物輸送重量(千トン) 貨物収入(億円) 郵便収入(億円) 2011 1,280 1,038 1,212 57 68 1,250 1,011 1,184 53 65 2010 943 881 875 53 68 2009 2008 1,097 829 1,021 56 75 1,143 795 1,027 103 115 Boarding 郵便輸送重量(千トン) 2012 2012年 3月期における貨物郵便事業の売上高は、総売上高 (内部取引消去前) の 8.2% を占めています。 (億円) Takeoff 国際貨物事業の収入増減要因 重量要因 単価要因 +50 -30 879 2011 2012 Climbing 860 Cruising 2012 年 3月期の概況 震災の影響があるも供給量拡大を背景に増収 ました。 なりましたが、北海道路線を中心に陸送からの代替需要 以 上 の 結 果 、当 期 の 国 内 線 貨 物 輸 送 重 量 は 前 期 比 が発生したことなどにより、北海道発着路線を中心に増加 3.0%増加の 46万 7千トンとなり、収入は前期比 2.6%増 した宅配貨物需要を取り込むことができました。加えて、 加の 332億円となりました。 2011年 11月からは従来のボーイング 767型機に比べ、 また、国内郵便輸送重量は前期比 1.0%増加の 3万 1千 相対的にベリースペースの容量が大きいボーイング 787 トン、収入は前期比 3.6%増加の 35億円となりました。 貨物郵便収入推移 貨物郵便輸送重量推移 2012 2011 前期比 実績 前期比 実績 前期比 332 +2.6% 324 +1.8% 318 -3.8% 国際線 879 +2.2% 860 +54.4% 557 -19.3% +2.3% 1,184 1,212 875 -14.3% 35 +3.6% 34 -3.9% 35 -9.4% 国際線 33 +5.0% 31 -2.5% 32 -11.2% 合計 68 +4.3% 65 -3.2% 68 -10.3% 2011 2010 実績 前期比 実績 前期比 実績 前期比 国内線 467 +3.0% 453 -1.1% 458 -3.4% 国際線 570 +2.4% 557 +32.0% 422 +19.3% +2.7% 1,011 1,038 郵便 +14.7% 881 +6.3% 国内線 31 +1.0% 30 -5.8% 32 -13.5% 国際線 26 +18.1% 22 +8.6% 20 +9.6% 合計 57 53 -0.2% 53 -5.9% 合計 郵便 +35.3% 国内線 貨物 貨物 実績 合計 (千トン) 2012 2010 国内線 Landing (億円) Approach 型機の投入による供給量拡大効果もあり、好調に推移し 屋が被災し、一時的に貨物の取り扱いができない状況と In-Flight Service 国内線貨物は、震災の影響により、仙台空港の貨物上 +8.2% アニュアルレポート 2012 47 航空運送事業 月次国際線有償貨物トンキロ 前年同期比推移 国際フレイターの収入・貨物輸送重量の推移 (%) (億円) 40 350 350 300 300 250 250 20 200 200 10 150 150 100 100 50 50 30 0 -10 4 5 6 7 8 9 10 11 2011年 日本発貨物トンキロ 12 1 2 3 (月) 0 (千トン) 2008 2012年 日本着貨物トンキロ 2009 収入 (左軸) 総貨物トンキロ 2010 2011 2012(3月期) 0 貨物輸送重量 (右軸) 円高などによる荷動き鈍化の中、三国間貨物の取り込みにより重量確保 国際線貨物は、震災による航空貨物輸送全般の需要減 ています。2011年 12月からは、成田−那覇線を1日 2便に が懸念されましたが、緊急性の高い生活物資や医療品な 増便し、ネットワークの強化に努めました。なお、2011年 ど、航空輸送の特性を活かした需要が一時的に高まりまし 11月に発生したタイの洪水に対しては、緊急および復興 た。しかし、夏場以降は過去最高水準の円高を背景に日 需要に向けてバンコク線の臨時便を設定しました。 本企業の工場生産の海外移転傾向が強まるなど、日本発 運賃面では、燃油特別付加運賃が増加したものの、上 の輸出航空貨物を中心に厳しい市場環境となりました。こ 述の三国間貨物の取り込みによる単価低下や円高の影響 うした状況を踏まえ、当期は輸送重量確保を目的に単価 から、単価は前期比 0.1% の減少となりました。 水準の低い三国間輸送貨物についても積極的に取り込む 以 上 の 結 果 、当 期 の 国 際 線 貨 物 輸 送 重 量 は 前 期 比 こととしました。一方、2012 年 2月からは新携帯端末の 2.4%増加の 57 万トン、収入は前期比 2.2%増加の 879 大型出荷もあり、航空貨物需要全体が増加傾向となった 億円となりました。 ことから、輸送重量を伸ばしました。 また、国際郵便輸送重量は前期比 18.1%増加の 2 万 アジアの主要都市間をハブ&スポーク方式で深夜時間 6千トンとなり、収入は前期比 5.0%増加の 33億円となり 帯に接続運航する 「沖縄貨物ハブネットワーク」 は、アジア ました。 域内における貨物需要を積極的に取り込み、順調に推移し 2013年 3月期の取り組み 旅客便のベリースペースの活用とフレイター事業の機材効率化により 収入の最大化を図る 48 今後も継続するとみられる円高を背景に、輸出貨物需 中でも、 「 沖縄貨物ハブネットワーク」 を含むアジアを中心 要が本格的に回復するまでには一定の時間を要すること とした高速輸送・集荷力のさらなる充実を図るとともに、 が想定されます。一方、アジア・中国発北米向けの需要 付加価値向上および差別化戦略を推し進めることで、収 は回復の兆しが見えています。 入の最大化を図ります。 2013 年 3月期は、こうした需要を確実に取り込み、旅 こうした取り組みを通じ、2013 年 3 月期の貨物郵便 客便増便によるベリースペースの活用を図りながら、フ 事業の収入は当期から 8.2%増加の 1,385 億円を予想 レイター 事 業 の 機 材 稼 働 の 効 率 性を高めていきます。 しています。 全日本空輸株式会社 旅行事業 2012年3月期の状況 売上高構成比 (%) 10.2% 売上高 営業利益(損失) (億円) (億円) 2,500 50 2,153 39 1,669 1,593 1,589 1,500 30 Boarding 40 1,887 2,000 26 20 1,000 10 500 0 2008 2009 2010 2011 2012 -10 2008 (6) 0 2009 2010 2011 Takeoff 0 10 2012 2012年 3月期は微減収ながらコスト削減に努め増収 2013年 3月期も当期並みの収益を見込む Climbing 国内旅行は、震災の影響により上半期における関東・東北方面への需要が大き く落ち込みましたが、航空券と宿泊を自由に組み合わせて作るダイナミックパッ ケージ「旅作」の需要が伸びたことなどにより、2011 年 10 月以降は前年同期を 上回る取扱高に回復しました。 海外旅行は、震災の影響により第 1 四半期には旅行需要が一時減退しました Cruising が、円高の影響や需要喚起策の実施により、2011 年 7 月以降は中国を除き各 方面で震災発生前の水準に回復しました。主力の「A N A ハローツアー」 について は 、出 発 間 際に発 生 する需 要 の 取り込 みを強 化した ダイナミックパッケ ージ 「WEB フリープラン」 などが大幅に取扱高を伸ばしました。 In-Flight Service 以上から、当期の旅行事業の売上高は前期比 0.3%減少の 1,589 億円となり ましたが、コスト削減に努めたことなどにより、営業利益は前期比 48.2%増加の 39億円と大幅に増加しました。 2013 年 3 月期は、国内旅行では東京スカイツリー開業を契機に東京向け商 品の拡充に注力するほか、海外旅行ではスターアライアンス加盟会社のネット Approach ワークを活用した商品を造成し、A N A ハローツアーのブランド力向上と販売強 化に取り組みます。 こうした取り組みにより、2013 年 3 月期の旅行事業の売上高は、当期とほぼ 同水準の 1,590億円、営業利益は 40億円を見込んでいます。 Landing アニュアルレポート 2012 49 事業戦略特集: 新たな需要の創出に向けて ∼LCC 事業の展開∼ グローバルに見た LCC 長率が高まっています。 一方、日本マーケットを見ると、規制緩和に伴い、1998 近年、世界の航空マーケットにおいては、L C C の利用 年から既存航空会社より低運賃で利用できる新規航空 者が大幅に増加し、大きなプレゼンスを発揮しています。 会社の参入はあったものの、欧米・アジアで展開されるよ グローバルに概観すると、欧米では、L C C が国内線・域 うなビジネスモデルを有する本格的な L C C は未参入の 内路線を中心に展開し、生産量(座席ベース) で 30% ※を 状況でした。 超えるシェアを獲得しています。アジア地域においても、 ※出典:IATA Schedule Reference Service エアアジアをはじめとする L C C が 設 立されると、マー ケットシェアを急激に拡大しており、生産量(座席ベース) でアジア域内において約 14% ※ のシェアを獲得するまで ANA グループのチャレンジ に成長しています。さらには、各地域ともに今後もフル このような地域・マーケットごとの LCC に対する状況認 サービスキャリア以上に高い成長性が見込まれており、 識の下、A N A グループではアジア地域の成長を取り込 特にまだ L C C シェアの低い北東アジア地域での潜在成 み、新規需要開拓を行うことを目的に、2008年にアジア 戦略室を開設。アジアマーケットにおける LCC の成長性・ 可能性についての研究に着手し、欧米における LCC の成 功・失敗事例をはじめ、フルサービスキャリアの LCC 参入 後のビジネスモデル・競争戦略について調査しました。さら にはアジア地域での ANA グループによるLCCビジネスへ の参入の可能性についても研究するなど、あらゆる角度か ら検討を行いました。 その結果として得たものは、日本マーケットにも本格的 な LCC が早晩参入し、LCCとの競争は避けられないとい うものでした。 LCC2社の事業概要 エアアジア・ジャパン 株主構成 設立 拠点空港 50 ANA (67%) 、エアアジア (33%) (ただし、無議決権株式を含めてANA51%、エアアジア49%) 2011年8月設立 成田空港 (国内線および国際線中短距離路線) Peach Aviation ANA (38.7%) 、 First Eastern Aviation Holdings Limited (33.3%)、 (株) 産業革新機構 (28.0%) 2011年2月 A&F・Aviation (株) を設立 (2011年5月 Peach Aviation (株) に社名変更) 関西空港 (国内線および国際線短距離路線) 機材 エアバスA320型機を主体に一部エアバスA330型機 エアバスA320型機 初就航 2012年8月1日 (予定) 2012年3月1日 全日本空輸株式会社 エアアジ ア・ジャパン( エアアジ ア・ジャパン( 株 ))、ピ ー チ( P e a c h A v i a t i o n( 株 ))という ローコストキャリア(以下 LCC)2 社と、ANA マルチブランド戦略を推し進める ANA グループ。 新たな需要創出に向け、ANA グループは革新的な取り組みに挑戦し続けていきます。 マーケット環境の違いや経営資源の投下効率などを考慮 できる状 況にあったほか、成 田 空 港も発 着 枠 の 拡 大か し、首都圏・関西圏別に LCC を立ち上げることとしました。 ら、本格的 LCC が参入できる下地が整いつつあり、海外 まずは、24 時間運航が可能で L C C のビジネスモデル L C C による日本路線参入が拡大しています。またアジア である機材稼働の最大化に適した関西空港を拠点とする 地域においても、東南アジアではエアアジアをはじめと L C C の設立に着手。 「クールジャパン」 をキーワードに新 する LCC が拡大している一方で、北東アジアでは韓国国 たなブランドを立ち上げ、日本初の L C C、 「 P e a c h(ピー 内で一部展開を始めているものの、東南アジアに比べ チ)」が生まれました。設立にあたっては、従来の価値観 LCC の拡大はこれからという状況です。 や発想を払拭し、新たなビジネスに挑戦することが必要 Takeoff 特性に応じた LCC 事業体制の構築が必要との認識の下、 着枠に余裕があり、手を挙げればいつでも L C C が参入 Boarding 実際、日本のマーケット環境を見れば、関西空港は発 であり、そのためには独立性や自立性を有することが肝 Climbing 要と考えました。結果として、40% 未満の出資にとどま LCC2社の設立へ るものの、筆頭株主の立場を取ることとしました。 次に、首都圏においては、発着枠の拡大・規制緩和を背 の事業環境の変化を踏まえ、A N A グループでは、日本 景に、成田空港を拠点とする LCC の設立に着手しました。 マーケットに本格的 L C C が参入してきた場合に取るべき 3,000万人以上の人口を抱える首都圏では、潜在需要は 戦略・方向性の構築を進めてきました。その結果、A N A 莫大である一方、他 LCC の参入や競争激化も想定される ことから、ピーチ以上にスピードを持った事業展開が不可 欠となります。そのため、既存 LCC のブランド力を活用し ました。 た迅速な事業規模の拡大を目指し、日本マーケットへの参 LCC 設立に向けては、国内最大の航空需要を抱える首 入の機会をうかがっていたアジア最大の LCC、エアアジア 都圏を第1ターゲットとしながらも、国内第 2の都市、大阪 と共同でエアアジア・ジャパンを設立することとしました。 を中心とする関西圏も有望なマーケットと位置づけ、両地 また、首都圏需要のボリュームを確保し、経営の関与を強 域での展開について検討を重ねました。そして、マーケット めるため、子会社化しています。 In-Flight Service グループは他社に先駆けスピード感を持って自らが L C C を設立し、先行者としてシェアの獲得を目指すこととし Cruising こうした LCC 事業に関する調査研究や発着枠拡大など Approach LCC2社の就航路線(2012年 6月末現在) 千歳 Peach Aviation 就航路線 ソウ ソウ ウル ル(仁 仁 仁川) 川) 釜山 関西 福岡 福 岡 長崎 長 崎 鹿 島 鹿児 那覇 台北(桃園) Landing 関西−千歳線 関西−福岡線 関西−長崎線 関西−鹿児島線 関西−那覇線(計画) 関西−ソウル(仁川)線 関西−香港線(計画) 関西−台北(桃園)線(計画) 成田 エアアジア・ジャパン就航路線(計画) 成田−千歳線 成田−福岡線 成田−那覇線 成田−ソウル(仁川)線 成田−釜山線 香港 アニュアルレポート 2012 51 フルサービスキャリアと L C C の 2 つの事業特性、そして LCC のビジネスモデル ターゲットとするマーケットを明確にして、ネットワーク LCC 設立とあわせて、ビジネスモデルについても検討 展開、商品・サービスを提供していきます。 を重ね、安全以外のすべての業務を徹底的にシンプル化 フルサービスキャリアは、利便性を考慮した時間帯で したモデルを追求しました。具体的には、以下のような の運航便設定やネットワークの充実、欧米線をはじめと 特徴が挙げられます。 する中長距離路線の拡大、ビジネス利用を中心に高単価 旅客をターゲットとした商品・サービスの提供に注力しま ・ 中小型機を中心とした単一機材による運航 ・ 空港での待機時間を極力短縮し、ポイント・トゥ・ポイント (2地点間運航) での路線展開による機材稼働の極大化 す。一方、L C C は多頻度運航、ポイント・トゥ・ポイントで の路線展開、国内線や短距離国際線での路線充実、プレ ジャー利用を中心とし、同時に従来は航空機を利用しな ・ 販売手法のシンプル化 (Web での予約・販売に限定) かった低価格志向の旅客をターゲットとした新たな需要 ・ 搭乗手続きのシンプル化 (手続きの自動化) の創出を図ります。 ・ 機内サービスのシンプル化および付加サービスの有料化 (受託手荷物有料化、機内飲料有料化など) 取り組むべき課題 ・ わかりやすい運賃 ピーチは 2012 年 3 月より運航を開始し、当初の予測 L C C2 社では、こうした「シンプル・低コスト・多頻度運 を上回る順調な滑り出しとなっており、エアアジア・ジャ 航のビジネスモデル」を導入し、親会社からの影響を極 パンは同年 8月からの就航に向け、準備を進めています。 力排除した独自運営を行うこととしました。 両社ともに国内線および国際線において、短期間での事 業拡大を目指しており、新たなビジネスを日本で発展さ せるという強い想いで挑戦を続けています。 フルサービスキャリア戦略から マルチブランド戦略へ 一方、日本で L C C ビジネスを発展・拡大していくため には、さまざまな環境整備が必要となります。 A N A グループでは、L C C の展開と同時に、従来のフ まずは、海 外での L C C 発 展や日本で L C C が 生まれ ルサービスキャリアとしての事業戦略を含めたグループ る契機となった、規制緩和が挙げられます。今後、さら 全体の今後の戦略についても再構築を進めました。 に規 制 緩 和 が 進めば 、日本 特 有 のコスト負 担 の 軽 減も その答えとして掲げたのが 「マルチブランド戦略」 です。 可能となり、L C C だけでなく日本の航空会社がグロー ANAとピーチの競合路線実績 ▶関西/伊丹/神戸−千歳線の3月(単月)実績 (人) 150,000 ANA就航・旅客数 (左軸) 関 西−千歳線 伊 丹−千歳線 神 戸−千歳線 ▶関西/伊丹−福岡線の3月(単月)実績 ピーチ就航・旅客数 (左軸) (%) 関西−千歳線 (人) 100 100,000 90 80,000 100,000 80 ANA就航・旅客数 (左軸) 関西−福岡線 伊丹−福岡線 ピーチ就航・旅客数 (左軸) (%) 関西−福岡線 100 90 80 60,000 70 50,000 0 60 2010年3月 2011年3月 2012年3月 ANA3路線の座席利用率 (右軸) 52 全日本空輸株式会社 70 40,000 50 20,000 0 0 60 50 2010年3月 2011年3月 2012年3月 ANA2路線の座席利用率 (右軸) 0 事業戦略特集:新たな需要の創出に向けて ∼ LCC 事業の展開∼ バ ルで十 分な競 争 力を持ち、発 展していくことが 期 待 ポテンシャルがあるととらえており、今後機材を増やし、 できます。 路線を拡大することで、高い成長性を確保できると考え また、空 港 へ のアクセスも重 要な課 題です。成 田 空 ています。 港や関西空港においては、L C C 参入を契機とした低運 また、L C C2 社は、国内線を中心とした事業展開でス 課題です。 ない領域への路線展開にシフトしていきます。 加えて、空港ターミナルについても、より低コストで 長期的な視座に立てば、今後の人口推移などを考慮 使用できる施設が必要です。関西空港や那覇空港では、 すると、日本マーケットの成長性だけでは限界があると 2012 年秋から L C C 専用施設がオープンし、2014 年に 見ており、成長性のあるアジアマーケットで旺盛な需要 は成田空港にも L C C 専用ターミナルが開設されます。 を獲得していくことを目指しています。 例えば那覇空港では、従来の ANA グループの貨物施設 すでに A N A グループでは、アライアンス、ジョイント を利用し、短期間で旅客施設として使用できるよう低コ ベンチャーを通じたアジアから北米への旅客需要獲得に ストでの改築を行います。 取り組んでいます。今後、マルチブランド戦略の下、継 中長期的な課題としては、運航乗務員の確保が重要に 続してフルサービスキャリアと L C C、それぞれのブラン なります。L C C では機材 1 機当たり約 10 人の運航乗務 ドによるビジネスについて十分に検討を重ね、アジア域 員が必要とされる中、現時点では他社経験者を中心に採 内での旅客需要の獲得を図り、A N A グループ全体のさ 用していますが 、今 後は相 当 数 の 養 成 が 必 要となりま らなる成長を目指していきます。 Climbing の短距離国際線をはじめ、ANA ブランドがカバーしてい Takeoff タートし、一定度の路線展開を図った段階で、日本発着 Boarding 賃での空港バスなどのアクセス手段の開発も進んでい ますが、深夜・早朝の運行など、さらなる利便性向上が す。拡大を続けているアジアの航空マーケットにおいて Cruising も、大幅に人員不足が予測されています。これらを踏ま え、A N A グループでは、2011 年 12 月、日本初のフラ イトシミュレーターを使用した乗務員訓練会社、p a n d a Flight Academy( 株) を設立しました。将来の事業拡大 「LCC事業をはじめ、新たな需要創出に向け、 革新的な取り組みに挑戦し続けます。」 In-Flight Service へ対応できるよう、運航乗務員養成・確保に取り組んでお り、すでにピーチ運航乗務員への機種限定変更資格の訓 練などを行っています。 最後は、コストです。L C C ビジネスにおいて、コスト 競争力=価格競争力となることから、低コストでの運航 す。自らの努力・工夫によりコスト削減を行うとともに、 事業拡大により一定の規模を確保し、単位コストを削減 アジア戦略室 副室長 Approach を行う体 制を構 築できるかどうかが 勝 負 の 分かれ目で 大橋 一成 する必要があります。そして、 「 他社よりも速く、スピード 感を持った事業展開」 に全力を挙げて取り組んでいます。 Landing LCC 戦略の進化、アジア戦略の深化へ 初就航以降のピーチの実績を見ると、初めて航空機を 利用されるお客様や今まで他の交通機関を利用されて いたお客様が多く搭乗されていることに加え、 「また利用 してみたい」 とのお声も多くいただいています。こうした ことから、L C C による新たな需要の創造については高い アニュアルレポート 2012 53 Cruising ... 社会とともに持続的な成長を目指す、 私たちの取り組みをご紹介します。 Cruising Climbing Takeoff Boarding 54 全日本空輸株式会社 ANA グループでは、CSR を「ANA グループ経営 理念」の実現に向けた企業活動の基盤ととらえて います。最大の使命である安全運航はもちろん のこと、グローバル企業として国際的規範を尊 重しつつ、社会からの期待・要請に的確に応えて いくため、全グループを挙げた取り組みを続けて います。 56 ANAグループのCSR 62 安全への取り組み 66 CSR特集:世界最高水準の安全を確保するために 68 お客様とのかかわり 76 従業員とのかかわり 84 取引先とのかかわり 86 社会とのかかわり 92 環境への取り組み 108 コーポレート・ガバナンス In-Flight Service Approach Landing アニュアルレポート 2012 55 ANAグループのCSR 私たちが目指すCSR 私たちはステークホルダーの皆様の「安心」 と 「信頼」 を築きながら、すべての事業において安全を中核とした社会的 責任を果たすことで、ANA グループ経営理念を実現していきます。またこれらの実現に向け、社員一人ひとりがとるべ き行動については 「グループ行動基準」 として定めています。http://www.ana.co.jp/cp/rinen/ ANA グループ経営理念 グループ行動指針6カ条 基本理念 ❶「安全」 こそ経営の基盤、守り続けます。 ̶ 私たちのコミットメント̶ ❷「お客様」 の声に徹底してこだわります。 ANAグループは、 「 安心」 と 「信頼」 を基礎に ❸「社会」 とともに歩み続けます。 ❹ 常に 「挑戦」 し続けます。 価値ある時間と空間を創造します ❺「関心」 を持って議論し、 「自信」 を持って決定し、 「確信」 を持って実行します。 いつも身近な存在であり続けます ❻ 人を活かし、チームワークを 「力」 にし、 強いANAグループをつくります。 世界の人々に 「夢」 と 「感動」 を届けます 基本的な考え方 ANA グループでは、ステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを通して、多様化する社会からの期待や要請を 的確にとらえ、グローバル企業として国際的規範を尊重しながら持続可能な社会の発展に貢献していきます。 取引先 環境および社会的課題の解決に向けた取り組みを積極的 に行い、未来に継承していくことのできる社会の創造を目 環境および社会的課題 への取り組み お客様満足 &6 (品質向上) 地域 社会 ▶「ANAらしさを活かし、企業価値を高める」活動 株主・ 投資家 お客様 社員 社員満足 ▶お客様満足(CS) ▶ と社員満足(ES)の向上 (6 (モチベーション ン 向上) 「企業価値を守る」 「 企業価値を高める」活動を推進する柱 行政 経済責任 コンプライアンス責任 安全責任 地球環境 指します。 として、お客様満足と社員満足の向上を図ります。 ▶「安心と信頼のために、企業価値を守る」活動 すべての事業活動において安全を最優先とし、コンプライ アンスを遵守します。リスクマネジメントを徹底した事業 運営を行い、経済責任を果たします。 国連グローバル・コンパクトへの参加 2008 年 5 月、A N A グループは国連が提唱する 「グローバル・コンパク ト」 に署名しました。グローバル・コンパクトは、人権、労働、環境、腐敗防 止に関する 10 原則を実践することを求めています。A N A グループは、グ ローバル・コンパクトへの参加を、社会の一員として事業活動を行うための イニシアティブとして役立てていきます。 56 全日本空輸株式会社 ステークホルダーの皆様とのかかわり ANA グループの企業活動は、ステークホルダーの皆様とのかかわりの中で進められています。皆様に安心をお届けし、 信頼を得ることができるよう対話を重ね、皆様のニーズやご意見を企業活動へ取り入れながら CSR を推進していきます。 ANA グループの責任・取り組み ◆ お客様の期待の一歩先を行く人的サービスと高水準の商品・サービスにより 顧客満足を追求します。 ◆ 株主価値の向上に向け、安定的に利益を生み出し、継続的に利益還元がで きる企業体質の構築を進めています。 ◆ 適時・適切な会社情報の開示を徹底します。 ◆「A N A グループ購買取引行動指針」 に基づき、関係法規を遵守して公正な 取引を行います。 ◆ コスト競争力とコンプライアンスをより強化するしくみを整備します。サプ ライチェーンガイドラインの策定などを通して、取引先と相互の品質向上と CSR の推進を行います。 ◆ ANAグループの強みとなる価値観を共有しながら、グローバルに活躍でき る人財を育成していきます。 社員 ◆ 法令遵守や納税などの義務を果たします。 行政 「環境」 ◆ 東日本大震災の復興支援活動をはじめ、 「空の旅を通した人々の支援」 「地域」 をキーワードとした ANAらしい社会貢献活動を推進します。 ◆ 自らの事業活動による環境負荷を謙虚に認識し、持続可能な社会の実現に 向けて人と地球のためにできることを常に考えた取り組みを行います。 ◆ 新たな中長期環境計画「ANA FLY ECO 2020」の達成により、世界トップ 水準の環境リーディングエアラインを目指します。 • • • • • 社内イントラネット・Web 社内報 社員満足度調査 内部通報窓口 (ヘルプライン) 労使協議 教育・研修 • 業界団体・国際航空運送協会を通じた活動 • 政府審議会などにおける意見具申 • 官民共同プロジェクト • ボランティア活動 • CSR 講演、次世代教育支援 • NGO・NPOと協働した社会貢献活動 • 環境保全の各種取り組み • 環境コミュニケーション活動 • アニュアルレポート、Web サイトなどを 通じた情報公開 (2012年 3月現在) Landing 社会的責任投資への組み入れ状況 説明会・研修 意見交換会 取引先向けアンケート 工場視察 Approach 地球環境 ◆「社会とともに歩み続ける」 企業市民として、NGO・NPO、地域社会との交流 を行いながら、社会的課題に対する取り組みを行います。 • • • • In-Flight Service 地域社会 ◆ 国内外における人流・物流の維持拡大による地域経済の活性化などを通じ、 日本や国際社会が持続的発展を目指すための課題解決に向けて協働・支援 を行います。 株主総会・投資家説明会 IR 活動 社会的責任投資に関するアンケート 小冊子『ANA VISION』の発行 Cruising ◆ 社員の人権を尊重し、年齢・性別・国籍などにかかわらず働きがいを感じなが ら能力が発揮できるようダイバーシティを推進、自律的な成長と多様な働き 方を支援します。 • • • • Climbing 取引先 カスタマーサービス窓口 お手伝いの必要なお客様相談窓口 顧客満足度調査 機内コメントレター グループインタビュー Takeoff 株主・投資家 • • • • • Boarding お客様 ◆ ANA グループブランドビジョン 「お客様と共に最高の歓びを創る」 の実現の ため、安全運航を堅持しながら、お客様の声に徹底してこだわった取り組み を行います。 主な対話方法 ANA は、環境保全に向けた積極的な行動、ステークホルダーとの建設 的な関係構築、人権擁護に対する取り組みといった社会的責任に関する FTSE4Good Index の基準を満たした企業として、FTSE4Good Index の対象銘柄に継続して採用されています。あわせて、モーニングスター 社会的責任投資株価指数 (MS-SRI) 、Dow Jones Sustainability Asia Pacific Index などの主要な指標に採用されています。 アニュアルレポート 2012 57 CSR浸透への取り組み CSR 推進体制 ISO26000に基づく活動の総点検 A N A グループの C S R は、グループ C E O をトップに、 ANA グループでは、グローバル・スタンダードに則した CSR 推進担当役員を議長・委員長とする会議・委員会制を CSR 活動ができているかを点検するため、社会的責任に とり、経営トップがリーダーシップを発揮して取り組む体 関する国際ガイダンス 「I S O26000」 を活用しています。 制となっています。社長直下の「CSR 推進会議」 を年 3回 2012年 3月期においては、ANA 本社を中心に活動状況の 開催しており、C S R に関する方針・施策の審議や推進状 ヒアリングを行いました。サプライチェーンマネジメントや 況の確認を行っています。主要部署やグループ会社では ステークホルダーとの対話方法など、より強化すべきと考 「C S R プロモーションリーダー」が選任され、年2 回の研 える課題を認識し、現在取り組みを進めています。今後は、 修を受講のうえ、職場内の CSR 施策の推進や意識啓発に グループ各社にも展開し、ANA グループ全体でグローバ 取り組んでいます。 ( P108 の「コーポレート・ガバナンス」 ル社会から求められるCSR 活動を実践していきます。 をご参照ください) ▶ ISO26000 7つの中核主題 社員一人ひとりの行動化に向けて 社員一人ひとりの責任ある行動をより一層促すため、 C S R に対する意識啓発や知識付与の機会を継続的に提 コミュニティへの 参画および発展 人権 供しています。2012 年 3 月期においては、海外を含め て 45 回の集合研修を実施しました。また、A N A グルー プの CSR の考え方、具体的行動事例などをわかりやすく 組 織 消費者課題 紹介する映像を日本語、英語、中国語で制作し、国内・海 外の全事業所へ配布、活用しています。さらに年に一度、 CSR の浸透度合いについて社員意識調査を行い、グルー 組織統治 公正な 事業慣行 プの強み・弱みを明確にすることで、次年度の C S R 推進 活動の改善につなげています。 BCP (事業継続計画) への取り組み 東日本大震災においては、危機対応マニュアルに則った速やかな意思 決定により、ほぼすべての定期運航を早期再開しました。また、地上交 通機関が麻痺する中、東北地方への臨時便を運航し、旅客や救援物資の 被災地への輸送を継続することができました。 ANA グループは公共性の高い輸送インフラとして、非常事態であっ ても定期航空輸送を継続すること、被災地への救援物資などの輸送を 支援することについて、高いご期待をいただいていると認識しています。 そのため、大規模災害の発生を想定した包括的なマニュアルを整備し、 バックアップ施設 定期的な見直しを行っています。 2012年 3月期においては、東日本大震災で得た経験を基に、事前の 備えを抜本的に見直し、施設管理の強化、通信手段の拡充などを行いま した。首都直下型地震や東海から南海に至る連動地震の発生が強く 懸念されている中、あらゆる状況下でも安全運航の確保と事業継続を可 能とするために、定期的な演習などたゆまぬ努力を続けていきます。 災害対応模擬演習 58 全日本空輸株式会社 労働慣行 環境 ANA グループの CSR 大きい CSR に関する開示項目 「アニュアルレポート2012」 の CSR 関連ページでは、特に 「社会からの期待」 や の C S R 関連ページには、アニュアルレポートに記載していない項目を含め、より 詳しい情報を掲載しています。今後も W e b サイトを随時更新し、タイムリーな Boarding 情報発信に努めていきます。 社会からの期待 「ANA グループの責任」 が大きい取り組みを中心に報告しています。Web サイト アニュアルレポート (冊子) で報告 Webサイトで報告 http://www.ana.co.jp/ana-info/ana/csr/ ANAグループの責任 大きい ▶アニュアルレポート2012(Web版) における掲載項目 従業員とのかかわり 人事理念/人財戦略/グローバル人財の育成/ダイバーシティ&インクルージョン/ワーク・ライフ・ バランスの推進/グループを支える人づくり/グループカルチャーの浸透/人権への取り組み/障が い者雇用の推進/従業員の安全と健康/労使関係 取引先とのかかわり 基本方針/サプライチェーンへの取り組み/品質・安全性の向上/公正な競争・取引の徹底/知的 財産の保護 社会とのかかわり 基本的な考え方/復興支援活動/森づくり・サンゴ再生プロジェクトなど環境社会貢献活動/その他 地域社会貢献活動 環境への取り組み 環境理念/中期目標と実績/ANA FLY ECO 2020/環境負荷低減に向けた取り組み事例/バイオ 燃料への取り組み/環境コンプライアンス/大気汚染・化学物質・騒音対策/省資源化の促進/ 環境コミュニケーション/カーボン・オフセットプログラム/各職場での取り組み (*) Landing コーポレート・ガバナンス Approach ブランドビジョン/目標・具体的な活動状況/お客様満足向上を支えるしくみ/「お客様の声」 に 基づく改善活動/お手伝いが必要なお客様への対応/ユニバーサルデザイン/顧客情報管理 In-Flight Service お客様とのかかわり Cruising 安全理念/安全行動指針/中期目標・具体的な活動状況/事故・インシデントへの対応/安全教育 (*) /安全報告書 (*) Climbing 安全への取り組み Takeoff ANA グループの CSR トップコミットメント/経営理念/ANA グループ行動基準 (*) /基本的な考え方/ステークホルダー とのかかわり/CSR 推進体制・取り組み内容/ISO26000に基づく総点検/BCP (事業継続計画) (*) /国連グローバル・コンパクトへの参加/社会的責任投資の組み入れ状況/第三者コメント/第三者 コメントを受けて/ISO26000対照表/活動実績データ 基本的な考え方/コーポレート・ガバナンス体制/リスクマネジメント・コンプライアンス *は、 「 Web サイトのみに掲載している」 または 「Web サイトでさらに詳しく紹介している」項目。Web サイトの構成は予告なく変更することがあります。 アニュアルレポート 2012 59 第三者コメント プライスウォーターハウス クーパース (株) パートナー 公認会計士 丸山 琢永 氏 企業活動の量的・地理的な拡 C S R 活動の網羅性を確認し、情報開示を進めていること 大とともに、企業が直接的・間接 については評価することができます。ただし、このアセス 的にかかわる環境・社会問題は、 メントは CSR 活動の一歩に過ぎません。他の先進的な企 人権、資源枯渇、気候変動など 業では、その結果を基に、重点課題を整理して PDCA サ が相互に関連し合い、さらに複 イクルを回し、CSR 経営をより持続可能なものへと強化す 雑な様相を見せています。この るなどの取り組みが進められています。 状況下、グローバル市場での競 今後は 「ISO26000」 を用いたアセスメントをグループ 争力強化を目指す ANA グルー 会社に広げるとともに、ステークホルダーとのダイアログ プが、CSR にかかわる国際的な などを通して、ANA グループが取り組むべき課題と方向 ガイダンス文書「ISO 26000」 性を明確にしながら、より 「ANAらしい」 CSR 活動を深化 を用いたアセスメントで自社の させていくことを期待します。 第三者コメントを受けて 60 ANA グループの CSR 活動への評価と貴重なご意見を とをしっかりと把握することが大変重要だと認識していま いただき、ありがとうございます。 す。より積極的な情報開示はもとより、双方向コミュニケー ISO26000というCSR にかかわる世界共通の物差しを ションの機会を充実させ、皆様 基に、ANA グループの活動を客観的視点から確認できた の声を企業活動に一層反映して ことは大変有意義だったと考えています。現在、確認でき いきたいと考えています。 た課題については優先順位をつけて整理し、短期的・中長 グローバルに事業を展開す 期的それぞれのスパンで目標を定め、取り組みを進めて る企業として、今後も事業活動 います。また今後、グループ会社や海外事業所を対象と と融合させながら C S R を推し した CSR 活動においても、ISO26000の観点を取り入れ 進めることにより、世界中の皆 課題解決に向けた PDCA サイクルを回していきます。 様から信頼と安心をいただける ご指摘をいただきましたように、これらの取り組みを進め エアライングループを目指して 代表取締役 副社長執行役員 CSR 担当 るうえではステークホルダーの皆様から求められているこ まいります。 篠辺 修 全日本空輸株式会社 ANA グループの CSR ISO26000対照表 ANA グループの CSR の取り組みを ISO26000の中核主題ごとに整理し、以下のように掲載しています。 ISO26000の中核主題 課題 Webサイトでの掲載ページ 課題1 組織統治 コーポレート・ガバナンス ANAグループのCSR ・コーポレート・ガバナンス体制 ・トップメッセージ ・リスクマネジメント・コンプライアンス ・ 私たちが目指すCSR ・ ステークホルダーとのコミュニケーション 人権 課題1 課題2 課題3 課題4 課題5 課題6 課題7 課題8 デューディリジェンス 人権に関する危機的状況 加担の回避 苦情解決 差別及び社会的弱者 市民的及び政治的権利 経済的、社会的及び文化的権利 労働における基本的原則及び権利 お客様とのかかわり ・ お手伝いが必要なお客様への対応 ・ ユニバーサルデザイン 労働慣行 課題1 課題2 課題3 課題4 課題5 雇用及び雇用関係 労働条件及び社会的保護 社会対話 労働における安全衛生 職場における人材育成及び訓練 従業員とのかかわり ・ ANAグループ人事理念 ・ 人財戦略 ・ 人財の育成と活用 ・ ダイバーシティの推進 ・ワーク・ライフ・バランスの推進 ・ グループカルチャーの浸透 ・ 人権への取り組み ・ 障がい者雇用の推進 ・ 従業員の安全・健康 ・ 労使関係 環境 課題1 汚染の予防 課題2 持続可能な資源の利用 課題3 気候変動の緩和及び気候変動へ の適応 課題4 環境保護、生物多様性、及び自然 生息地の回復 環境への取り組み ・ 環境リーディングエアラインを目指して ・ 中期目標と実績 ・ 環境負荷低減に向けた取り組み ・ バイオ燃料への取り組み ・ 環境コンプライアンス ・ 大気汚染・化学物質・騒音対策 ・ 省資源化への取り組み ・ 環境コミュニケーション ・カーボン・オフセット・プログラム ・ 各職場での取り組み 取引先とのかかわり ・ サプライチェーンへの取り組み 公正な事業慣行 課題1 課題2 課題3 課題4 汚職防止 責任ある政治的関与 公正な競争 バリューチェーンにおける社会的 責任の推進 課題5 財産権の尊重 取引先とのかかわり ・ 購買取引の基本方針 ・ サプライチェーンへの取り組み ・ 品質・安全性の向上 ・ 公正な競争・取引の徹底 ・ 知的財産の保護 消費者課題 課題1 公正なマーケティング、事実に即し た偏りない情報、及び公正な契約 慣行 課題2 消費者の安全衛生の保護 課題3 持続可能な消費 課題4 消費者に対するサービス、支援、 並びに苦情及び紛争の解決 課題5 消費者データ保護及び プライバシー 課題6 必要不可欠なサービスへの アクセス 課題7 教育及び意識向上 安全への取り組み ・ ANAグループ安全理念・行動指針 ・ 中期目標・具体的な活動状況 ・ 事故・インシデントへの対応 ・ 安全報告書 課題1 課題2 課題3 課題4 課題5 課題6 課題7 社会とのかかわり ・ 基本的な考え方 ・ 復興支援活動 ・ 環境社会貢献活動 ・ 地域社会貢献活動 Climbing 社会とのかかわり ・ 環境社会貢献活動 Cruising In-Flight Service 取引先とのかかわり ・ 品質・安全性の向上 コーポレート・ガバナンス ・ BCP (事業継続計画) Approach お客様とのかかわり ・ ANAグループのブランドビジョン ・ 目標・具体的な活動状況 ・ お客様満足向上を支えるしくみ ・「お客様の声」 に基づく改善活動 ・ お手伝いが必要なお客様への対応 ・ ユニバーサルデザイン ・ 顧客情報管理 Landing コミュニティへの参画 教育及び文化 雇用創出及び技術開発 技術の開発及び技術へのアクセス 富及び所得の創出 健康 社会的投資 取引先とのかかわり ・ サプライチェーンへの取り組み Takeoff コミュニティ参画 および発展 Boarding 組織統治 アニュアルレポート 2012 61 安全への取り組み ANAグループ安全理念 航空運送事業を中核とする ANA グループにとって 「安 全」への取り組みは経営の基盤です。そのため、すべて の役職員共通の誓いとして「ANAグループ安全理念」 を 掲げています。安全理念では、互いの理解と信頼の下、 確かなしくみと役職員一人ひとりの行動によって、徹底し て安全を追求していくことを宣言しています。 ANAグループ安全理念 安全は経営の基盤であり 社会への責務である 私たちはお互いの理解と信頼のもと 確かなしくみで安全を高めていきます 私たちは一人ひとりの責任ある誠実な 行動により安全を追求します ANAグループ安全行動指針 すべての役職員が安全理念に基づき安全運航を最優 先とした行動ができるよう、2011 年 3 月期に具体的な ANAグループ安全行動指針 行動規範となる 「ANA グループ安全行動指針」 を策定し ❶ 規定・ルールを遵守し、基本に忠実に業務を行います。 ました。行動指針は、安全への思いを行動として実践す ❷ プロフェッショナルとして、 健康に留意し常に安全を最優先します。 るための重要な指針であるため、グループ内の職場ご とに説 明 会・ディスカッションを 1 , 0 0 0 回 以 上 開 催し、 ❸ 疑問や気づきを声に出し、 他者の意見を真摯に受け止めます。 12,000 名を超えるグループ社員が参加してまとめまし ❹ 情報はすみやかに伝え、共有します。 た。2012 年 3月期は行動指針がグループ全体に浸透す ❺ 未然・再発防止のために自ら改善に取り組み続けます。 るよう、実際の事例を踏まえた教材を制作し、定期的に ❻ 社内外の教訓から学び、気づきの能力を磨きます。 教育を実施しました。 中期安全目標の達成に向けて A N A グループでは、航空業界では初めての取り組み しました。 「 安全を優先する企業文化(安全文化)」 という であった社内の安全文化を評価する取り組みなど、業界 土台をより強化していくとともに、 「 安全を支える人づく を牽引するさまざまな安全推進活動を行ってきました。 り」 と 「安全を支えるしくみづくり」を“2 つの柱” として取 2011 年 3 月期より、これまでの取り組みをさらに高め、 り組むことで目標達成を目指しています。 世界最高水準の安全性を確保することを中期安全目標と ANAグループの安全 【経営の基盤・社会への責務】 中期安全目標:世界最高水準の安全性の確保 中期安全目標:世界最高水準の安全性の確保 《4つのポイント》 一人ひとりの 責任ある 誠実な行動 安全を支える “行動指針”の 策定・浸透 安全を高める 確かなしくみ ① 安全を支える “行動指針”の策定・浸透 ② 安全を支える人づくり ③ 安全を支えるしくみづくり 安全を支える 人づくり 安全を支える しくみづくり 安全優先の企業文化 62 全日本空輸株式会社 ④ ANAグループ安全推進体制の充実 2012年3月期グループ安全推進活動計画と主な成果 中期安全目標「世界最高水準の安全性の確保」の達成 に向け、中期安全推進活動計画を策定しています。2012 「しくみづくり」への取り組み 「ヒヤリ・ハット」事象(ヒヤリとした、またはハッとした 年 3 月期においては、国際線のさらなる拡大、新機種の が、何も起こらずに済んだ事象) からも改善が図られるよ 導入、アライアンスの拡大、A N A とエアーニッポン (株) う、こうした事象を積極的・自発的に報告するしくみを整 の統合などといった環境も考慮した、 「 グループ安全推進 備しています。報告された事象は、専門の評価員が評価・ 活動計画」 を策定し、安全行動指針を浸透させる 「人づく 分析を行い、未然防止および再発防止策を講じていま り」 と、従業員のスキル向上を促す 「しくみづくり」 に注力 す。また、国や国際航空運送協会 (IATA:International しました。 Air Transport Association) による外部監査やグルー プ内の内部安全監査によって、組織内外の視点からも改 「人づくり」への取り組み 善点の確認を行っています。2012年 3月期においては、 安全を最優先とする意識を一層高めるため、安全理念 評価員や内部監査員のスキル向上のため、定期的な情報 と行動指針を記載した携帯カードの配布をはじめ、事故 交 換 会 の 導 入など、育 成カリキュラムを見 直しました。 事例などを紹介するグループ内冊子の作成および配布、 今後も、世界最高レベルの安全管理体制構築に向けて、 事例を映像で紹介する安全教育資料の作成、安全キャラ 海 外 の 航 空 会 社 の 視 察 を 行 い 、先 進 的 な 取り組 み を バンによる啓発、航空安全推進月間での安全啓発行事の 調査・研究し、ANA グループの新たなしくみづくりにもつ 開催など、さまざまな活動を実施しました。また、啓発活 なげていきます。 動の効果を測定するために「第 3 回 安全文化評価アン ケート」 を実施し (2 年ごとに実施)、グループ社員の安全 に対する意識を調査しました。社員満足度調査の結果と の関係についての分析も行っており、人づくりにあたって の参考としています。 さらに、ANA グループ安全教育センター (ASEC:ANA Safety Education Center) を活用してグループ全社員 の一人ひとりが安全運航のために何ができるかを考え、 日常の業務に活かすための機会を拡大しています。 ANA グループ安全教育センター (ASEC) 館内 アニュアルレポート 2012 63 2012年3月期の分野別取り組み 運航分野 客室分野 フライト中の安全確保はパイロットの技量に大きく委ねら 客室乗務員は、機内のお客様の安全を確保することが れます。2012年 3月期は、パイロットの資格、訓練状況、 最大の任務です。2012年 3月期は、不安全事象の未然防 健康状態などをより一層厳しく管理するとともに、グループ 止のために、日々のフライトにおける 「ヒヤリ・ハット」 の自 全体で安全管理体制の向上に向けた取り組みを行いまし 発的な報告を強化しました。提出されるレポートの分析結 た。例えば、機長報告書などからインシデント発生の可能 果から一定期間ごとに安全テーマを設定し、対策をすべて 性を詳細に分析し、パイロットへの教育や訓練の改善に活 の客室乗務員で共有するとともに、業務手順の見直しを かしています。このほか、パイロットの訓練をより実際の運 行いました。また、客室本部長などによるダイレクトトーク 航に近づけて実施するための訓練方法の開発や、パイロッ やさまざまな会議での トの技量管理を支援する体制のさらなる強化など、日々の ディスカッションを実施 安全・運航品質の向上に向け、取り組みました。 し、安 全 意 識 の 啓 発を 定期的に行っています。 さらに、客室乗務員への 教育を充実させるため、 2012年 3月期よりタブ レット型端末を導入し、 教育頻度と質の向上を 図りました。 教材の電子化 (タブレット型端末) ボーイング 787型機シミュレーターによる訓練 整備分野 運航管理分野 2012年 3月期は、グループ整備部門全体で、安全品質 空港オペレーション業務で発生しうる事象を題材にした を向上させる人づくりとしくみづくりに取り組みました。人 社員同士の意見交換会などを行い、「ANA グループ安全 づくりでは、各種教育プログラムの策定・見直しや、品質を 行動指針」を浸透・定着させ、互いの安全意識を向上させ 支えるキーパーソンの養成を行いました。しくみづくりにつ る活動に注力しました。2010年 3月期より、不安全事象を いては、現場のマネジメント層による職場モニタリングや、 起こさないための活動を体系化し、国内線全就航空港にて 「ヒヤリ・ハット」 情報を基に、事業所ごとに点検を実施する 取り組むことで、未然に防止できた事例の報告件数は年々 など、不安全事象の未然防止の強化を図りました。 増加しています。 「 事故につながるかもしれない」 という可 また、現場作業だけでなく、整備作業の管理業務にお 能性に敏感に気づいて報告させることによって、潜在的な いても、自己チェックリストの運用や第三者組織による監 不安全事象を全体で共有しています。一人ひとりが起こり 視体制を導入しています。さらに、災害の未然防止活動を える不安全事象を日々意識しながら運航の安全を追求して 強化するため、 「 安全体 います。 感 教 育 」を 開 始しまし た。この教育は、作業 に潜む危険を疑似体験 することにより作 業 安 全に対する意識を高め ようとするもので、安全 教育の新手法として大 安全意識を向上させるための 社員向け教材 きな効果が期待されて います。 安全体感教育 64 全日本空輸株式会社 安全への取り組み 2012年 3月期に発生した航空事故・重大インシデントについて ∼原因調査と対策∼ 2012年 3月期において ANA グループがかかわった航空事故・重大インシデントは 7件発生しました。重大インシデントの中に は、その発生原因が ANA グループにない事象も 2件含まれますが、例年にない件数となりました。特に、2011年 9月 6日に発生 した A N A140 便の重大インシデント、2012 年 2 月 5日に発生した A N A731 便の航空事故、2012 年 6 月 20日に発生した ANA956便の航空事故※ は社会的にも大きく報道されました。ご心配とご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。 Boarding 事象概要 対策ほか ANA140便 重大インシデント 発生日時:2011年 9月 6日 22時 50分頃 便 名:ANA140便 使用機材:ボーイング 737-700型機 搭 乗 者:乗客 112名 (含幼児 2名) 乗務員 5名 計 117名 運航中、機長が一時離席して操縦 室に戻る際、副操縦士が操縦室の ドアスイッチを操作するべきところ で、方向舵のスイッチを操作したこ とから機体が異常姿勢となり、約 6,300フィート降下し、制限速度を 超過しました。 本事象を受けて、運航部門において、グ ループ全体の運航乗務員を対象に、ミス を起こしや す い 項 目を列 挙したチェッ クリストに基づいてセルフチェックを行 う 「点検フライト」を、10月 17日∼11月 17日の 1カ月の間に、緊急的に実施しま した。 ANA731便 航空事故 発生日時:2012年 2月 5日 9時 05分頃 便 名:ANA731便 使用機材:エアバスA320型機 搭 乗 者:乗客 160名 (含幼児 1名) 乗務員 6名 計 166名 仙台空港の着陸に際して、機体が 接地していないものと認識したた め、着陸復行を行いましたが、実際 は接地しており、機体後方の一部 を滑走路へ接触したことにより損傷 しました。 本事象を受けて、運航部門において、グ ループ全体の運航乗務員を対象に、操縦 を他者の目からチェックするための、管 理職などの指導層乗員による 「総点検フ ライト」 を、2月 10日∼3月 31日の約 1カ 月半の間に実施し、発見された不備事項 については細かなものまで徹底して是正 を図りました。 Climbing 発生日時ほか Takeoff 項目 Cruising 航空事故および重大インシデントの発生に際しては、国土交通省運輸安全委員会により調査が行われます。ANA グループで はこうした公的機関による調査に積極的に協力するとともに、グループ内においても調査会を開催し、その原因調査と再発防止 に向けた対応策を取りまとめています。これら対策の徹底にとどまらず、安全水準をさらに高める活動に全社を挙げて取り組んで まいります。 ※ ANA956便の航空事故については原因調査中のため、詳細はWebサイトにて適宜報告いたします。 In-Flight Service 第三者コメント Approach 「我々は安全に取り組んでいます」 ということは簡単ですが、完璧に維持し続けることは容易では ありません。事故・トラブルが少ない状態が継続すると、 「自分たちは十分安全である」 と慢心してし まい、安全への取り組みがおろそかになる可能性があります。上記の事故・重大インシデントは、慢 心・気の緩みが組織的に生じてしまったことの表れともいえます。 言葉だけでなく実際に安全を維持し続ける企業の特徴として、働いている社員一人ひとりが 「自 分たちは本当に安全なのだろうか」 と常に自己に問いかける姿勢を持ち続けていることが挙げられ Landing ています。一人の慢心・気の緩みが重大な事故・トラブルの原因となりうるため、安全への取り組みは (株) 社会安全研究所 取締役 ヒューマンファクター研究部 部長 齋藤 朗 氏 「個々人の意識」 「継続性」 の 2点が非常に重要となります。 ANAグループでは、従業員のみならず社長や役員も含めた全役職員を対象に安全文化を評価す るアンケートを実施するなど、組織的な安全上の課題の検証を続けています。自己への継続的な問 いかけとして、安全文化評価を形骸化することなく進めるためには、安全に対する社会からの強い 期待とも向き合ったうえで、自らの課題解決を行う必要があります。 お客様をはじめとしたさまざまなステークホルダーとの交流を積極的に推進することで、社会か らの期待をしっかりと受け止め、今後も継続的に取り組みを見直し、世界を牽引する高いレベルの 安全を維持し続けることを期待します。 アニュアルレポート 2012 65 CSR 特集: 世界最高水準の安全を確保するために 運航乗務員 私はボーイング 787型機の副操縦士として乗務しています。この最新鋭の旅客機 を開発するため、A N A グループはローンチカスタマーとして、さまざまな課題を ボーイング社とともに解決してきました。導入後においても、より安全性の高い運航 方式への改善を行うなど、ANAグループのチャレンジは続いています。日本は複雑 な気象や密集した空域などの理由で制限が多く、私たち操縦士は国家資格取得時に 世界最高水準の能力が要求され、試験を受け続けて資格と技術を維持しています。 このほか、私は社内プロジェクトとして、大規模震災が発生した場合でも確実に対応 できる新たな運航方法の構築に取り組んでいます。50年以上引き継がれてきた運航 技術の伝承文化を基に、このように新たな技術を取り入れながら研鑽を積み、安全 運航本部 B787部 第2課 副操縦士 運航を提供していきます。 中井 雄三 運航管理者 私はオペレーションマネジメント部の気象担当として、国内外の気象予報機関から 常に最新の情報を入手し、運航に影響を与える情報を航空機や関連部署にタイム リーに提供しています。特に、運航に大きな影響を与える大雪、台風、発達した低気 圧の接近時には影響を最小限にとどめるよう、気象庁のデータに基づいた独自のシ ミュレーションにより詳細な解析を行うとともに、過去の実績データも参照して、対策 に役立てています。また、日々の運航では乱気流が予測される空域を注意深く解析 し、高度やルートの選定を行っているほか、台風については暴風に伴う機体格納や就 航可否判断を慎重に行っています。社外から提供される気象情報も年々進歩してお り、これらの情報を十分に活用するためのシステム改良やスタッフの教育などに取り オペレーション統括本部 オペレーションマネジメント部 航務データベースチーム 組み、今後も運航品質と安全性の向上に努めていきます。 坂本 圭 空港サービススタッフ 私は現在、羽田空港の旅客部において、クオリティスーパーバイザーという役割 を担っています。搭乗手続きなどに携わる中、業務に潜む危険や不具合の有無を点 検しており、問題点が見つかった場合は改善策を立案、実践し、その効果を検証す るというサイクルを回しています。空港サービススタッフは、搭乗ゲートでの搭乗券 確認もれを防止し搭乗者数を正確に確定、搭載できない危険物の周知および現場 での確認を徹底しなければなりません。私は各スタッフが、より早く問題点に気づく ことができるよう、ヒューマンエラーを誘発する可能性のある手順や行為について の情報を収集し、共有に努めています。これらの危険を予測し未然に防ぐ活動を積 み重ねていくことにより、今後も安全品質のさらなる向上を目指していきます。 オペレーション統括本部 東京空港支店 旅客部 旅客第1課 西村 真美 66 全日本空輸株式会社 「安全は経営の基盤であり社会への責務である」という ANA グループ安全理念の下、私たちは 責任ある誠実な行動を実践し、ANA グループの「安心」 と 「信頼」を築いていきます。 客室乗務員 私はセーフティーリーダーとして、他クルーへの安全啓発と推進活動を行う役割を 担っています。フライトでは、ご搭乗になるお客様、天候やフライト時間、クルー構 成、機材などによって環境が大きく異なるため、フライトごとに予想されるリスクの対 応策をクルー間で共有し、フライト後は振り返りと改善を行っています。常に最新の 安全情報を把握し、リスクマネジメントに活かすことが重要だと考えています。日々 のフライトにおいては、保安安全業務が徹底されるよう、マニュアルに基づく知識確 認や状況に応じた注意喚起を行うとともに、ヒヤリ・ハット事例や安全に関して気づい たことを積極的にレポートしています。また、組織全体でも安全品質向上に向けたさ まざまな取り組みを行っています。個々人が確実に業務を遂行し、チームとしてのパ フォーマンスを向上させることによって、世界最高水準の安全を目指していきます。 客室本部 客室乗務1部 乗務第3課 樋之口 みゆき 整備士 私は羽田空港の機体メンテナンスセンターにおいて、航空機の重整備を行ってい ます。A N A グループでは、すべての整備作業をその難易度と重要度でグレードを 分け、審査を経て認定された整備士のみが作業することで、絶対安全な機材品質を 目指しています。さらに、 「 注意を払っていても人はミスを起こすものである」 との前 提から、第三者が整備作業の品質を確認する検査員制度も導入しています。また、 長年グループ内で培ってきた知恵と経験を基に、重要なポイントはすべての整備士 で共有、実践しており、その中で私は一整備士として、一つひとつの作業に節目をつ けて記憶にとどめながら、納得いくまで何度でも確認することにより、自信を持って 作業を完了させています。 整備本部 機体メンテナンスセンター 機体整備部 整備第4課 島田 建作 グランドハンドリングスタッフ 安全で確実なグランドハンドリング業務を行うため、作業上の事故・不具合の①未 然防止、②再発防止、③履行確認を徹底して実施しています。未然防止活動では、 ヒューマンエラーの撲滅を目的とした教育を行い、各作業のポイントでは 「指差呼称 確認」 を徹底して、限られた時間の中でも確実な作業ができる手順を備えています。 また、不具合が発生したときは、状況確認を迅速に行うとともに再発防止対策を 立て、1カ月後にその対策が有効であるか、不具合発生空港以外の空港も含め、確実 に実施されていることを確認しています。環境変化に合わせて、ハンドリングも変化 していきます。その中で私は 「強い現場力」 が発揮できる体制づくりを目指し、各空港 でのハンドリング体制をさまざまな角度から繰り返し見直して、どのような小さな オペレーション統括本部 貨物・グランドハンドリング統括部 グランドハンドリングセンター 変化でも最適な形で対応できるよう改善を図っています。 児玉 宜之 アニュアルレポート 2012 67 お客様とのかかわり ANA グループのブランドビジョン A N A グループは、 「 お客様と共に最高の歓びを創る」 ▶ANAグループブランドビジョン お客様と共に 最高の歓びを創る お客様 をブランドビジョンとして掲げています。いつも太陽に顔 を向けて成長していくひまわりのように、常にお客様と コミュニケーション 真摯に向き合い、お客様と、そして仲間と共に最高の歓 びを創り続けることで、お客様に支持いただき、自らも 成長していきたいと考えています。 社員一人ひとりが職場の垣根を越え、日々の業務の中 で「お客様の声に徹底してこだわる」 ことを実践した結果 ANAらしさ をお客様にお届けする、その後もお客様に真摯に向き合 あんしん、 あったか、 あかるく元気! い、改善すべき点は速やかに改善し、新たな価値を継続 してお客様にお届けする。このお客様との双方向のかか わりによって、A N A グループが提供する商品・サービス CS マインド を磨き、ブランド価値のさらなる向上を図っています。 また、社 員や組 織 の 力を表す「 あ んしん 、あったか、 フロンティア スピリット チーム スピリット マインド & スピリット あかるく元気!」を A N A グループ・ブランドとしてブラン ドの基盤とするとともに、常に先進的でわくわくするよ ▶ANAブランドコンセプト うな商品・サービスの力「Inspiration of Japan」をプ ロダクト・サ ービス・ブランドとしています。 「人」 「 商 品・ ③ ② サ ービス」そ れぞ れが お 客 様と接 する時 間と空 間を価 ANAグループ・ブランド プロダクト・サービス・ ブランド 値 あるものとすることで、 「 お客 様と共に最 高 の 歓びを 創る」の実現を目指しています。 あんしん、 あったか、 あかるく元気! Inspiration of Japan アジアで No.1の「クオリティ」 と 「顧客満足」 を目指して ANA グループでは、世界トップクラスの評価を得てい る競合他社がひしめくアジアにて N o .1 を獲得すること で、世界トップクラスの航空会社へ成長したいと考えて います。常にお客様視点で、お客様の期待の一歩先を行 く 「人的サービス」 と、高水準の商品・サービスの提供に より、日本人のお客様だけではなく世界のお客様から評 価される世界最高水準の顧客満足を目指していきます。 2012 年 3 月期からは具体的な目標として、海外にお いて最も影響力のある航空産業評価会社の一つである FlightStats On-time Performance Service Awards 授賞式 SKYTRAX 社の評価において「5 STAR AIRLINE」認定 を獲得することを掲げています。また、フルサービスキャ リアとして徹底的に 「時間価値」 にこだわり、世界一の定 時性品質を実現すべく、米国を本拠地とする調査会社、 Conductive Technology 社が主催する「FlightStats On-time Performance Service Awards」で昨年に 引き続き第 1 位を獲得することを目標としています。 68 全日本空輸株式会社 SKYTRAX World Airline Awards 授賞式 ① ANAグループ ブランドビジョン お客様と共に 最高の歓びを創る 具体的な取り組み:ANAらしさを発揮できる人づくり 「よいばらつき」の推進 お客様と接するサービスフロントにおいては、マニュア 海外からのお客様への 「おもてなし∼OMOTENASHI∼」 ルに従った均一なサービスが必ずしも最高のサービスで 国際線を成長の柱とするANA では、海外からのお客様 あるとは限りません。お客様一人ひとりの嗜好や個性、 にさらにご満足いただけるよう重点的な取り組みを行って そ の 場 の 状 況 などを的 確に察し、スピ ードと柔 軟 性を います。 「日本のおもてなしといえば ANA」 といっていただ 持ったサービスを提供することが求められます。 けるよう、日本らしい「おもてなし」 をベースに、各国の文 A N A グループでは、一人ひとりの自発性や個性を活 化や風習を考慮したサービスを目指しています。 かして「よいばらつき」 ともいえる臨機応変さを発揮でき 機内アンケート調査、インターネット調査、グループイン るよう、サービスフロントで働く社員への権限委譲を進 タビューなども行いながら、外国人のお客様視点も考慮し めています。安全や定時性などの基本品質の提供はもち た商品・サービスの向上に取り組んでいます。 ろん、セールス→予約→空港→機内→到着など、どの場 S K Y T R A X 社が運営する 2011 年「W o r l d A i r l i n e 面においても、お客様一人ひとりに合わせたサービスが Awards」 において、空港サービス全般の評価部門で世界 提供できるよう、お客様からお褒めいただいたエピソー No.1、客室および空港スタッフ全般の評価部門でアジア ドの共有や、サービスフロントを支える間接部門も含め No.1を受賞しました。また、2012年も太平洋路線運航会 た組織横断的なディスカッションなどを行っています。 社の評価部門で最優秀賞を受賞しています。 空港カスタマーサービススキルコンテストの開催 ANA グループの空港サービスポリシーで掲げる、安全で時間に正確 なオペレーションとお待たせしない時間価値を、お客様に 「見て感じよく」 「受けて心地よく」提供するスキルを評価・賞賛するためのしくみとして、 「空港カスタマーサービススキルコンテスト」 を行っています。4回目の開 催となる 2012年 3月期は、 「 プレミアムカスタマーへの最高のきばたら コンテストの模様 き」 をテーマとし、47空港から予選を経て選び抜かれた 22名が、さまざ まなお客様への対応を通して、人間味あふれる ANAらしいサービスが 発揮できているかを競い合いました。社内のみでなく、サービスに定評 のある企業より社外審査員をお迎えし、お客様目線でも評価をいただき ました。これからも互いによいところを認め合い切磋琢磨をしながら、常 にお客様に 「あんしん、あったか、あかるく元気!」を感じていただける サービスを目指していきます。 アニュアルレポート 2012 69 具体的な取り組み:常に先進的でわくわくするような商品・サービスの提供 プ ロ ダクト・サ ービ スブ ランド「 I n s p i r a t i o n o f 向け 「ANA SUITE CHECK-IN」 の新設 ※ 1、約半年をか J a p a n」 に基づき、常に新鮮な驚きや発見がある、これ けて選定したワインや季節感豊かな機内食、 「 ピエール・ までに体験したことのない空の旅を演出できるよう、商 エルメ・パリ」とのコラボレーションによるオリジ ナル・ 品・サ ービスの 開 発を行っています。 「イノベ ーティブ 」 デザート※ 2 など、空の旅をもっと楽しくする商品・サービ 「際立つ個性」 「モダン スを展開しています。また国内線においては、2012年 6 ジャパ ン 」の 3 つ を キ ー 月からプレミアムクラスのサービスのリニューアルや普 ワードに、国 際 線および 通席でのこだわりのコーヒーのご提供など、各サービス 国内線への新シートの展 の充実を図っています。さらには、国内線ラウンジをリ 開 、最 上 級 会 員・クラス ニューアルし、プレミアムクラスのお客様にご利用いただ けるよう順次拡大するなど、ハード面のサービスの充実 にも取り組んでいます。これまで以上に徹底してお客様 にこだわり、A N A ブランドをさらに磨き上げることで、 国内線 新プレミアムクラスシート※3 ますます高品質なサービス提供を目指していきます。 ※1. ANA運航の国際線ファーストクラスご利用のお客様および、ANA「ダイヤ モンドサービス」 メンバーのお客様向け ※2. ANA国際線ファーストクラス・ビジネスクラスにて提供 ※3. ボーイング777-200型機の一部の機材に設置。 2012年7月現在2機導入済み オリジナル・デザート 具体的な取り組み: ソーシャル・ネットワーク・サービスによるお客様とのリレーション強化 ANA グループでは、Facebook、Twitter といった とも連動することで、約 8万人の方にご参加いただくこと ソーシャル・ネットワーク・サービス (SNS) などを積極的に ができました。 活用し、お客様とのコミュニケーションの強化を目指して います。2011年 1月に開設した Facebook の日本語版 ページは、2012年 3月末にファン数が 60万人となり、日 本有数の企業 Facebook ページとなりました。ボーイン グ 787型機就航に合わせた特集、機内で販売する茶菓や 商品デザインを投票で決める 「ユーザー参加型コミュニ ケーション」 などを実施しています。また、2012年 3月期 には、英語版ページに加え、香港版および中国語繁体字 版ページも開始しました。英語版ページは 2012 年 3 月 Facebook ページ 末時点でファン数が 17万人を超えています。 加えて、2011年 6月よりTwitter を活用し、運航情報 の提供を行うほか、スマートフォン用のアプリケーション 「旅達空間」 「 ANA GLOBAL」 などにて、国内線・国際線 の予約機能や旅情報の提供など、お客様の利便性を高め るための情報配信を強化しています。 さらに、訪日旅客需要の低迷の中でも日本のよさを広 く海外の方々にお伝えするために、 「 IS JAPAN COOL?」 と題した Web サイトを公開、Facebook 英語版ページ 70 全日本空輸株式会社 「IS JAPAN COOL?」Web サイト お客様とのかかわり お客様満足向上を支えるしくみ A N A グ ル ープ の サ ービス・クオリティ・マネジメント な改 善 策 へ 結びつけるサイクルを確 立し、社 長 総 括 の のクオリティに徹底的にこだわり、改善を続けていくこと 下、各部門役員からなる 「C S 推進会議」で定期的に進捗 が、お客様満足や価値の創造につながると考えていま 確認をしています。クオリティの評価は次の 3つのしくみ す。そのため、現状のクオリティを正しく評価し、具体的 を通じて実施しています。 Boarding ANA グループでは、お客様に提供する商品・サービス ▶サービス・クオリティ・マネジメント全体図 Do 商品戦略の立案 商品・サービスの 提供 クオリティの明確化 Check Action 顧客満足度調査 CS推進会議 • 機内アンケート調査 • インターネット調査 Takeoff Plan 部門別品質管理 クオリティチェック 職場の改善活動 • 各種品質チェック • モニタリング調査 Climbing クローズド・ループ •「お客様の声」 の分析 • サービスフロントのレポート ています。このサイクルを活用することで、常に変化する 毎年 4 万人を超えるお客様に、予約から空港、機内、 お客様の声に柔軟に対応し、新しい商品やサービスへつ 到着まで一連のサービスの満足度と各種サービスを評 なげるヒントとしています。 Cruising ◆顧客満足度調査 価いただき、さらなる改善点の分析を行っています。 ◆クオリティチェック マニュアルなどに定められた各サービスの評価基準の 達成状況を、社内の品質管理部署や外部機関によって第 「お客様の声」および「社員の 気づき」 を組織を通じて集約・ 分析し、商品・サービスの企画・ 改善に活用するしくみ。 三者評価し、品質を定期的にモニタリングしています。 機内・空港・コールセンター・営業などのお客様と接す る機会を通じて、お客様から貴重な声をいただいていま サービスフロントで働く社員の気づきを収集し、課題を 抽出・分析して、改善方法を立案・実施していく活動を 「ク ローズド・ループ」 と呼び、取り組みを進めています。 お客様から直接いただいた声や、社員が 気づいたことを組織的にレポートする。 各部署、 または専門部 会を通じて解 決 策を 立案し実施する。重要 事項はCS推進会議で 審議。 Action 改善策の 立案・実施 Report 声の収集 Landing す。A N A グループでは、これらのお客様からの声や、 常に変化するお客様の声にダ イナミックに対応し、継続的に 革新し続けるグループ企業を 目指す。 Approach ◆クローズド・ループ In-Flight Service ▶クローズド・ループ The Closed Loop お客様の声に 徹底的にこだわる 2012 年 3月期においては、7 万件を超えるレポートが 起票されました。これらの声を宝の山としてしっかりと分 Analysis 析して改善を行い、再びお客様の声を聞くという、お客 様の声に徹底的にこだわった課題解決のサイクルを回し お客様の声や社員の気づきの 中から、構造的な課題を抽出し 分析する。 課題の 抽出・分析 アニュアルレポート 2012 71 「お客様の声」 に基づく改善活動 会員種別構成比 (2012年3月期) 「お客様の声」 レポート件数概要 (%) ダイヤモンド 9 ANA ご意見・ご要望デスクに届いたお客様の声やサー プラチナ 14 ビスフロントの社員の気づきは、レポートにまとめられ社 ブロンズ 7 内で共有、活用されています。ここでは、2012年 3月期 その他 70 のレポート概要をご報告します。 ● 2012 年 3月期の「お客様の声」 レポート件数は、 前期に比べ微減となりましたが、引き続き70,000 件を超える水準となりました。 ● レポート種別の比率では、空港関連、販売関連 声の種類別構成比 (2012年3月期) (%) その他 がそれぞれ 2 ポイント増加し、客室関連は 2 ポ 13 お叱り イント減少となりました。 41 要望・意見 27 ● 声の種類別では、 「 お褒め」の比率が過去 4 年間 お褒め で最高値となっています。 19 ● 項目別では、前期に増加した 「機内食・飲物」 に関 するレポートは大幅に減少し、 「 運航乗務員関連」 が大幅に増加、また 「フライトイレギュラー」 および 「予約センター」 が微増しています。 項目別レポート件数推移 (上位11項目) (件) 5,000 4,000 3,000 「お客様の声」 レポート内訳 2,000 (2012年3月期) (%) 1,000 空港 ご意見・ ご要望 デスク 16 販売 0 23 2009 2010 2011 客室乗務員 発券・チェックイン マイレージ関連 チェックイン後∼搭乗 機内食・飲物 手荷物事故・遺失物 エンターテインメント、機用品、機内販売 運航乗務員関連 33 客室 28 2012 (3月期) フライトイレギュラー 座席、客室設備関連 予約センター 項目別レポート件数 (上位11項目) 内際別構成比 (2012年 3月期 ) (2012年3月期) (%) その他 11 国際 33 72 全日本空輸株式会社 国内 56 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 客室乗務員 発券・チェックイン フライトイレギュラー マイレージ関連 チェックイン後∼搭乗 座席、客室設備関連 機内食・飲物 手荷物事故・遺失物 エンターテインメント、機用品、機内販売 予約センター 運航乗務員関連 合計 (件) 4,610 2,955 1,225 808 710 782 971 756 905 787 715 お客様とのかかわり 「お客様の声」改善例のご紹介 お客様の声 車いすでも安定した姿勢で搭乗できるようにしてほしい 車いすを利用しています。タラップを使用して搭乗する場合、リフトバス・車いす用タラップ車の準備がなくても、 より安定した姿勢でタラップを上がれるようにできませんか。以前、アメリカの航空会社に搭乗した際は、座った状 Boarding 態で飛行機に乗れる、専用の担架のようなものがありました。 改善しました Takeoff 一部の空港でタラップ昇降用車いすを導入しました ANA では、車いすをご利用のお客様に飛行機の乗り降りをスムーズにしていた だけるように、一部の空港においてリフトバスや車いす用タラップ車、段差解消 ボードなどをご用意していますが、今回のお声を受け、2011年 12月よりタラップ Climbing 昇降用車いす (アシストストレッチャー) を導入しました※。 この車いすには、上半身や腰、足用のベルトや肘掛け、足置きなどが付いていま す。より安定した姿勢でお客様にお座りいただくことができる仕様となっており、 そのまま機内へお入りいただき、お席までご案内することができます。 Cruising 詳しくは下記 Web サイトをご覧ください。 タラップ昇降用 車いす http://www.ana.co.jp/share/assist/03.html ※ 設置は一部の空港となります。 In-Flight Service その他の改善例につきましては、下記 Web サイトや 機内誌『翼の王国』でもご紹介しています。 http://www.ana.co.jp/ana-info/blettine/index.html Approach タラップ昇降時の様子 Landing アニュアルレポート 2012 73 お手伝いが必要なお客様への対応 ANAらくのりサービス ことができるよう、 「 A N A 専用代理電話サービス」 を実施 ANA グループでは、すべてのお客様に、安全かつ安心 しています。これは、電話でのコミュニケーションが難し して空の旅を楽しんでいただきたいと考えています。ご いお客様の代わりに、 ( 株) プラスヴォイスのオペレーター 高 齢 の 方 、小さなお 子 様 連 れの 方 、一 人 旅 の お 子 様 、 がテレビ電話での手話やチャットなどで会話した内容を音 ペット連れの方など、お手伝いを必要とされる国内線ご 声電話で A N A グループへ伝えるもので、お問い合わせ 利用のお客様向けに 「A N A らくのり やご希望などをリアルタイムにお伺いすることができま サ ービ ス」を提 供し、ご 予 約 から空 す。また、FAX・メールにも対応しています。 港・機内まで、すべての旅のシーンで なお 、本 サ ービスは旅 行 事 業を担う A N A セー ルス 気 持ちよくお過ごしいただけるよう (株)でも旅行業界初として 2012 年 4 月より開始してい お手伝いをしています。 ます。これまでも同社では、おからだの不自由なお客様 のための 旅 行 相 談 窓 口「ツアーアシストデスク」の 開 設 おからだの不自由なお客様への対応 や、パンフレットの日程表に歩く時間と路面状況をあらか おからだの不自由なお客様や、ご病気やおけがをされ を推進し じめ明記するなど、 「 ユニバーサル・ツーリズム※」 ているお客様のご搭乗に際し、事前にお話を伺い、それ てきました。 ぞれのお客様に合ったお手伝いを行う相談窓口として、 ※ 障がいの有無、年齢、性別などにかかわらず誰もが安心して楽しめる観光を 目指すこと 1997 年より専用デスク 「A N A おからだの不自由な方の 相談デスク」 を設置しています。AN A グループの自社便 だけでなく、国内提携他社便をご利 各種サービスの詳細については、下記 Web サイトを 用のお客様もご利用いただけます。 ご覧ください。 加えて、耳や言葉の不自由なお客 http://www.ana.co.jp/ana-info/ana/csr/ stakeholders/customers/support.html 様からも A N A の利用に関するご相 談・ご要望などをよりスムーズに伺う 高齢者疑似体験セミナー A N A グループでは 2006 年より社内で「高齢者疑似体験 装具」 の貸し出しを行い、セミナーを実施しています。手足の 動きを制限する重りとサポーター、視覚障がいを体験するた めのゴーグルや音声が聞き取りにくくなるイヤーディフェン ダーなどを装着し、空港ターミナル内などを歩くことで、ご 高齢の方やおからだの不自由な方の気持ちとからだの状態 を実感し、どのようなお手伝いが必要であるのかを身をもっ て学ぶことを目的としています。サービスフロントをはじめ、 多くの社員がこの疑似体験を通して新たな気づきを得て、そ の後のお客様対応に活かしています。 74 全日本空輸株式会社 セミナーの模様 お客様とのかかわり ユニバーサルデザイン 急速に進む高齢化社会とお客様の多様化に伴い、ANA 文字媒体作成にあたっては、チェックシートを活用して確 グループのサービスも複雑化しています。それにより、お 認を行うこととし、専門事業者によるサンプリング診断を 客様に提供する文字媒体も種類・量ともに増加しており、 定期的に実施することで取り組み状況を点検しています。 文字媒体に対する 「わかりやすさ」 「 見やすさ」 「 使いやす ANA グループでは、こうした状況を踏まえ、年齢や性 別 、知 識や経 験 、環 境などが 異なるすべてのお客 様に とって信頼いただける質の高い情報が提供できるよう、 文字媒体作成の ユニバーサルデザイン行動指針 ❶ 正確な情報を提供します。 ❷ 大きく読みやすい文字、わかりやすい構成にします。 策定し、ANA グループ全従業員で共有しています。 ❸ わかりやすい表現を使います。 また、ユニバーサルデザインの必要性を理解するため ❹ 見やすい色調、コントラストにします。 Takeoff 文字媒体の作成に関する行動指針およびガイドラインを に、各部署の担当者への集合教育や、全社員向けeラー Boarding さ」 を望むお客様のご意見もまた増加傾向にあります。 ❺ 対象・目的・利用シーンを明確にします。 ニングを実施しています。 Climbing 顧客情報管理 A N A グループの事業において、お客様の個人情報は ◆具体的な対策 お客様に十分ご満足いただけるサービスを提供するため ● 情報セキュリティルールの遵守状況に関する自己 た大変大切なものであるとの考えの下、その取り扱いに 点検制度を導入し、全グループ社員を対象に毎 ついては細心の注意を払っています。 年実施しています。 ANA グループを安心・信頼してご利用いただくために、 ● 情報セキュリティに関する正しい知識付与のため、 規程に基づき十分な教育を行うとともに、安全対策など 定、全グループ社員を対象に実施しています。 の社内体制を整え、お客様の個人情報を適正に管理し、 2012年は特に 「SNS (ソーシャルネットワークサー 適切に使用させていただくための最大限の努力をしてい ビス) に関する利用ルールの理解促進」 と 「スマー きます。 トフォンなどのセキュリティ対策の促進」 をテーマ なお、旅行事業を担うANA セールス (株) においては、 に取り組んでいます。 2011 年 11 月、 ( 財)日本情報経済社会推進協会による 今後も個人情報保護体制をより一層強化するため、グ Approach 社内イントラネット上に四半期に一度、講座を設 In-Flight Service 役員および従業員には個人情報に関する法令および社内 「プライバシーマーク」 を取得しました。 Cruising に欠くことのできないものであり、お客様からお預かりし ● 情報セキュリティルールを守ることの大切さにつ いて事例などを盛り込み、わかりやすく紹介した e ラーニングを実施しています。 ループ全体で取り組みを進めていきます。 Landing 顧客情報管理に関する考え方の 詳細については、下記 Web サイトを ご覧ください。 http://www.ana.co.jp/share/ privacy/ana-privacy-policy.pdf アニュアルレポート 2012 75 従業員とのかかわり ▶ 人事関連データについてはP120をご参照ください。 ANA グループ人事理念 「模倣困難な価値は、挑戦する多様な人財が創造する」 共有しています。こうした A N A グループの価値観(グ との基本的な考え方の下、A N A グループ全体で「挑戦 ループカルチャー) をあらためて重視し、ひたむきに挑戦 する人づくり」 に取り組んでいます。また、A N A グルー し続ける多様な個性を持った人財を育成しています。 プ行動指針「人を活かし、チームワークを 「力」 にし、強い A N A グループをつくります」 に基づき、仲間の強みを活 ANAグループ人事理念 かし、チームとして最大限のパフォーマンスを発揮する 「挑戦する人材の創造」 文化を大切にしています。例えば、お互いの仕事のよい ところを見つけたら、それをカードに記入して本人に手 渡す 「G o o d J o b C a r d」 を推進するなど、 「 がんばる→ 一人ひとりは自らの「成長」 に挑戦し、 グループ全体でお客様の「感動」 に挑戦する。 チャレンジャーとしての限りなき 「挑戦」が 「強いANAグループ」 をつくる。 褒める→がんばる」のサイクルを回し、お客様の歓びと 仲間からの感謝が自らの歓びであることをグループ内で ANA グループの人財戦略 これから迎える厳しい競争に打ち勝ち、A N A グルー 前述の④については、2012 年 4月より 「グループカル プが持続的に発展していくためには、 「 絶対に競争に負け チャー推進室」を立ち上げ、私たちの強みである「A N A ない」 という強い思いと 「従業員や仲間との関係を大切に らしさ」をより強化するためのさまざまな取り組みを行っ する」 という結束力をあわせ持つ集団でなければなりま ています。世界市場において、ANA グループにしか生み せん。そのうえで、従業員一人ひとりが、 「 自律的に」 「い 出せない価値を創造する企業風土を醸成していきます。 きいきと」 「 働きがいを持って」仕事に取り組むことで、最 大限の力が発揮できるよう、以下の 4 点を人財戦略とし ▶ロイヤリティのチェーン て掲げています。 人的サービス 商品サービス の向上 ① 世界を舞台に活躍できる 「グローバル」人財の育成 ② 多様性を強みに変える 「ダイバーシティ& インクルージョン」 お客様 ロイヤリティ の向上 競争力の向上 (価値の創造) ③ 中長期的な視点によるグループを支える 人づくりの推進 お客様 ロイヤリティ のチェーン • 人的価値 向上 • 商品力 向上 ④「対話」 をキーにしたグループカルチャーの創造と浸透 従業員 ロ ロイヤリティ ィ 従業員定着 ロイヤリティ 従業員 満足 従業員 ロイヤリティ のチェーン サービス クオリティ 76 全日本空輸株式会社 従業員 生産性 スキルアップ 収益性の向上 品質 品質向上への 質向 再投 再 再投資 (変動に強い 事業構造) 世界を舞台に活躍できる 「グローバル」人財の育成 グローバル市場における成長機会をつかみ取り、常に 前向きにチャレンジし続けていくため、さまざまな文化、 習慣、価値観などを理解し、能力を発揮できる人財を育 てています。2012 年 3 月期より 3カ年をグローバル人 財の重点的かつ計画的な育成・配置の強化期間と位置づ け、 「 ANA Global Talent Program 2011」の展開を 開始しました。初年度である 2012 年 3 月期は、国内で 海外支店管理職研修 採用した新入社員の海外配属、選抜社員への集中研修、 海外短期駐在の社内公募制度の導入、海外採用社員の 国内事業所への異動のほか、異文化セミナーの開催、語 学研修の多言語化の促進など、異文化に触れる機会の 拡大を図りました。 また、国内採用社員と海外採用社員の合同研修を多 数開催するなど、国内事業所と海外事業所の距離感を縮 め、A N A グループ社員が一体となってチャレンジできる 環境を整備しています。 Star Alliance Carrier 合同異文化研修 多様性を強みに変える 「ダイバーシティ&インクルージョン」 ANA グループでは、女性社員やシニア社員などの活躍 育児休職取得者は増加し、そのほとんどが職場復帰して 推進をはじめ、すべての従業員がいきいきと働くことがで おり、女性の管理職比率も年々上昇しています。 きる多様な育成施策や制度を導入しています。 例えば、女性社員の活躍推進として、女性キャリア研修 や懐妊・育児休職者を対象としたセミナーの開催、メン ター制度(先輩社員が後輩の育成を継続的に支援する制 度)の導入、イントラネット上でのロールモデルの紹介な どを行っています。女性のみならず会社全体で多様な働 き方やワークライフバランスを推進するため、全社員向け の講演・セミナー、管理職研修、テレワーク (在宅勤務制 度) の導入なども行っています。こうした取り組みにより、 女性総合職キャリアデザイン研修 アニュアルレポート 2012 77 ワーク・ライフ・バランスの推進 ダイバーシティの推進にあたっては、社員一人ひとり ク・ライフ・バランス」 を A N A グループ全体で推進してい の能力が発揮され、いきいきと働き続けられる環境づく ます。さまざまな制度整備とともに、業務を見直して労 りが不可欠だと考えています。ANA グループの「いきい 働 時 間を削 減する工 夫 の 紹 介 、外 部 有 識 者によるセミ き推進室」 では、個々のライフスタイルや価値観を大切に ナーを全国で開催するなど、多様な働き方を認め合える しながら、ワークとライフの相乗効果を生み出せる 「ワー 風土づくりにも積極的に取り組んでいます。 ◆育児 ◆介護 ● 育児休職者対象セミナーの開催 (2012年 3月期:年 7回) ● こども職場参観日 (ANAきっずでい) の実施 (2012年 3月期:本社、羽田、乗員訓練センター・ 大阪、福岡) ● 懐妊・育児休職制度は懐妊直後より取得可能、短時 ● 介護休職などのほか、特別繰越休暇を介護事由に (最大 120日間) 使用可能 ● 介護セミナーの開催 (東京・大阪) ●「仕事と介護の両立に向けたサポート」 についての NPO 法人と契約、社員への紹介 ● 介護休暇取得者数 (2012年 3月期) :19名 間勤務や育児日 (育児のための特別休暇) 制度、短 日数勤務、部分就労型客室乗務員制度の導入など ● 育児休職者支援システム 「wiwiw」 の導入、 「いき いき推進室」 社内ホームページでの情報提供など ● 懐妊休職者数 (2012年 3月期) :397名 その他、ANA では留学やボランティアのための休職制 度 (わくわく休職制度) やテレワーク (在宅勤務制度) の導入 など、社員のワーク・ライフ・バランスを支援しています。 2012 年には社団法人日本テレワーク協会主催の第 12回テレワーク推進賞「奨励賞」 を受賞しました。在宅勤 務の導入は I T 系企業が多い中、航空会社が導入・推進し ている点が高く評価されました。 こども職場参観日 (ANAきっずでい) ANA では、ワーク・ライフ・バランス推進のための、 より具体的な取り組みの一環として 「こども職場参観日 (A N A きっずでい)」 を毎年実施しています。A N A グ ループ社員の子供を会社へ招待し、親の働く職場を見 学、体験してもらうことで家庭における親子の会話が 広がり、また職場の同僚の家族に会うことで互いの ワーク・ライフ・バランスを尊重する風土や意識の醸成 を図っています。 こども職場参観日の様子 78 全日本空輸株式会社 従業員とのかかわり グループを支える人づくり 事方針に基づき、自己研鑽機会の充実を図っています。 人づくりを推進しています。 日々の航空機の運航を支える運航乗務員、客室乗務員、 また、A N A グループ各社が個別に実施している新入 整備士などの専門的な訓練の充実はもとより、A N A グ 社員教育においても、A N A グループの基礎知識に関す ループを支える人づくりにも力を入れています。2007 る共通教材を使用し、A N A グループの価値観を早期に 年には、 「 A N A グループはすべての社員に、入社から退 醸成しています。 職まで等しく成長の機会を提供していく」 「 人を尊重し、人 さらに、将来のキャリアを自ら切り拓く社員を支える施 の可能性を信じ、人を大切に育てたい」 という想いを込め 策として、2011 年から 「ANAグループ人財公募」 を実施 て「A N A 人財大学」 という人財育成担当部署を設置しま し、これまで 16 の部署に対して応募した人財を積極的に した。当部署では、階層別研修、オープンセミナーや通 登用しました。 信教育などの全 297コースの自己啓発講座を全グルー これらの育成施策を通じて、全グループ社員のキャリア プ社員を対象に実施しています。A N A グループ各社か 開発を支援し、社員一人ひとりがそれぞれの役割の中で ら対象者が一堂に会し、A N A グループ共通の価値観や 能力を最大限に発揮できる環境づくりを進めています。 Takeoff グループ独自の発想による模倣困難な価値を生み出せる Boarding ANA グループでは、 「自律的な成長を支援する」 との人 役割の認識を深め、ネットワークを構築することで、ANA Climbing グループカルチャーの浸透 ANA バーチャルハリウッド ANA バーチャルハリウッドは、大観衆を感動させるハリ ルチャー) 」 への共感とそれに基づいた行動を推進し、組 ウッド映画のように、お客様に感動を与える企画を提案、 織力の強化を図っています。 実現しようという自発的提案活動です。グループ社員で ES(Employee Satisfaction)向上に向けて バーを募り、賛同した仲間たちとともにアイデアを練りあ A N A グループでは毎年、社員の仕事へ臨む想いや姿 げながら、シナリオの実現に向けて行動を起こすことがで 勢などを定点観測する 「社員満足度調査」 を実施していま きます。これまでに 「安全教育センターの設立」 「 滑走路を Cruising ANAらしさの具現化にこだわり、社員間の 「対話」 を通 じて、グループ全体における 「ANA グループの価値観 (カ あれば誰でも所属する会社や業務の枠を超えて参加メン える回答を得ました ( 回答率 93.6%) 。実施後は約 600 実現しました。これらの活動を通して人財の育成や発掘を 部署ごとの調査結果表を配布し、専門家による説明会と 行うとともに、グループの一体感や風通しのよさ、イノ グループディスカッションを実施して、各職場でのコミュ ベーションを起こしてグループ経営ビジョンである 「アジア ニケーションに活かしています。社員があかるく元気にい を代表する企業グループを目指す」 風土醸成につなげて きいきと活躍することが、企業の成長と顧客満足につな います。2004 年にスタートし、2012 年 3 月期までに約 560 名の ANA グループ社員が本活動に参加しました。 Landing がると考え、これか Approach 活用したマラソン大会の開催」 「 地域の交流、活性化を目 的とした空港周辺での米づくり」 など、さまざまな提案が In-Flight Service す。9 回目となる 2012 年 3 月期は、海外雇用社員を含 め、ANA グループ 51社の社員を対象に 29,000人を超 らも働きがいのある A N A グ ループづく りに向けて取り組ん でいきます。 空港周辺の米づくり グループカルチャーに関する 社内ディスカッション アニュアルレポート 2012 79 「褒める文化」の定着に向けて ANA グループでは、お客様からいただいた 「お褒めの 褒める企業文化の醸成に向けた表彰制度 言葉」 を広く共有することや、互いの仕事や行動を認め合 A N A グループにはさまざまな表彰制度があります。 うことを大切にしています。こうした活動が社員のモチ 「ANA グループ社長賞」 は、 「 ANAらしさ」 の具現化と、独 ベーションと自主性を引き出すことにつながり、社員一人 自性と創造性あふれる企業文化の醸成を目的として設け ひとりが仕事を通してより一層 「A N Aらしさ」 を発揮でき ています。また、2010年より 「WOW!賞」 を新設し、既存 ると考え、以下の取り組みを行っています。 のしくみや価値観にとらわれない自由な発想を通じて、身 近な職場で働く仲間に活力を与える社員や職場を表彰し お客様からの声を届ける ています。2012 年 3 月期は東日本大震災時の対応およ ◆給与明細書 びその後の復興に向けて尽力した、仙台空港・福島空港勤 ANA では 2004年 10月より、社員の 務の社員が 「ANA グループ社長賞」 を受賞しました。 「給与明細書」 の表紙に、お客様からいた だいたお褒めやお礼の言葉を毎月掲載し ています。受給時にあらためてお客様の 声を感じとるものとして、社員の発案に より始めました。 給与明細書 ◆ Good Job Card サ ービ スフロントでは 、 仙台空港および仙台地区総代理店 (日本通運 (株) ) ( 、株) ANA エアサービス 福島の社員 互いの仕事のよいところを 見 つけたら、そ れをカード に 記 入して 本 人 に 手 渡 す 「Good Job Card」 を推進 Good Job Card しています。想いを形にし て褒めることにより、仲間を尊重しあい、互いの仕事に自 信と誇りを持つ風土づくりにつなげています。 仲間が作りあげた歓びを共有する ◆ ANA’ s Episode A N A ご意見・ご要望デスクにいただいたお客様からの お褒め・エピソードを再編集するとともに、各職場から寄 せられたレポートなどを 「エピソード集」 としてまとめ、毎年 社内に配布しています。7年目である 2012年 3月期は東 日本大震災の対応の際、お客様からいただいた声もあわ せて紹介し、公共交通機関を担う一員としての働く使命と 連帯力の大切さについてあ らためて全グループ社員で 共有しました。自分たちが生 み出している仕事の価値を 再 発 見できる機 会として活 かしています。 80 全日本空輸株式会社 エピソード集 従業員とのかかわり 人権への取り組み 基本的な考え方 活動内容 A N A グループは社会とともに歩み続ける企業として、 2012 年 3 月期も引き続き、新入社員研修、新任管理 職研修において人権啓発にかかわる教育を実施しました。 に対してさまざまな人権問題の解決に向けてとるべき行 また、各事業所に配置されている推進役として 「CSR プロ 動を示しています。 モーションリーダー」の活動支援も継続的に実施してい Boarding 「A N A グループ行動指針」 において、全グループ役職員 ます。また、 「 セクハラ・パワハラ」 に関する現状把握のた ANA グループ行動指針 めに、毎年、社内アンケートを実施して意識啓発を行って います。 ❷ 私たちは、国籍、人権、民族、宗教、社会的身分、社会 的出身、性別、年齢、心身の障がいの有無などによる 差別は行いません。 セクハラ・パワハラなどの相談窓口として、社内に 「ヘル プライン」 を設置しています。派遣社員などを含む、ANA グループの全役職員が相談可能で、相談者およびその関 係者のプライバシーは保護されるとともに、相談および Climbing ❸ 私たちは、働く権利や良好な職場環境を害する、いか なるハラスメントも許しません。 ヘルプライン Takeoff ❶ 私たちは、人権について正しく理解し、継続的な人権 啓発に取り組んでいきます。 事実関係の確認の協力などを理由に不利益な取り扱いを 行わないことが約束されています。また、外部委託機関 への相談窓口も設定しています。これらの窓口情報はポ A N A 人事部人権啓発室に専任の担当者を配置し、人 スターによる社内掲示やシールの配布を行い、全役職員 権 啓 発 活 動について企 画 立 案・実 行しています。また、 に周知しています。 Cruising 推進体制 ANA 人事担当役員をトップとする 「人権啓発推進委員会」 にて進捗状況と課題を報告しています。 A N A で は 航 空 業 界 初 の 特 例 子 会 社となる A N A・ と理解を深める 「障がい者雇用研修」 も実施しています。 ウィング・フェローズ (株) を 1993 年に設立し、雇用機会 今後も、障がいのある方を含めたさまざまな社員が相 In-Flight Service 障がい者雇用の推進 互に尊重して高めあい、多様性を A N A グループの強み ベーカリーを運営する (有) ヴイ王子を、グループで 2 社 とする、真のダイバーシティ& インクルージョンの実現を 目の特例子会社として迎え入れました。2012 年 4 月に 目指して取り組みを進めていきます。 は、A N A 人事部に 「グループ障がい者雇用推進室」 を立 ※ ANA、ANAビジネスクリエイト(株)、ANAウイングス (株) 、エアージャパン、 ANA・ウィング・フェローズ (株) ( 、有) ヴイ王子 ちあげ、障がいのある方がやりがいを持って働くことの Approach の創出に取り組んできました。2011年 4月には、スワン できる場を多くのグループ会社・職場の中に創出していく Landing 支援をしています。2012年 6月にはグループ 6社 ※合算 で障がい者雇用率 1.89% となっています。 雇用促進に加えて、グループ社員同士の交流と相互理 解に向け、 ( 有) ヴイ王子が運営する 「スワンベーカリー十 条店」 によるパンの訪問販売を東京地区の一部事業所に て行っています。また、各グループ会社が(有) ヴイ王子 や A N A・ウィング・フェローズ(株) を訪問して、障がいの ある社員の働く姿に触れるなど、障がいへの正しい知識 障がい者雇用研修の様子 アニュアルレポート 2012 81 従業員の安全・健康 安全衛生への取り組み 「社員の安全と健康の確保、快適な職場環境づくりは、 企業活動の基盤である」 との認識の下、全国の事業所に 設置した 「安全衛生委員会」 を中心とした自主的な活動を 展開しています。生活習慣病予防などは社員自身が前向 きに取り組み、行動を変えていくことが重要であると考 え、セミナーやウォークラリー、健康講話を各地で開催す るなど、社員の健康増進のためのきっかけづくりと、継続 可能な環境整備に精力的に取り組んでいます。 ANA グループ労働安全衛生方針 ANA グループは、労働安全衛生の維持向上で社員価値 の増大を実現します。 ❶ 労 働 災 害 の 発 生 防 止と社 員 の 心とからだの 健 康 の 保持増進を促進します。 ❷ 施策の展開とマネジメントシステム (PDCA サイクル) の運用で改善を図ります。 ❸ 法 令や規 定を遵 守し、労 働 安 全 衛 生 活 動 の 周 知を 通じて社員の意識を喚起します。 ANAの業務上災害発生状況 (件) 100 80 60 40 20 0 2007 2008 2009 2010 2011 2012(3月期) メンタルヘルスケア ゆとりと充実をもたらす福利厚生制度 ANA では、2006年から 「ANA 健康フロンティア宣言」 充実した人生を送るためには自分のライフステージを を推進し、健康増進策としてメンタルヘルスのためのサ 視野に入れ、ライフプランをしっかりと立てることが必要 ポートシステムを拡充しています。2012年 3月期には未 との考えの下、入社からセカンドライフに至るまで、社員 然防止対策として、インターネットを活用したメンタルヘ 一人ひとりのライフシーンにゆとりと充実感をもたらすた ルス向上プログラムを全社員向けに実施しています。こ めに活用できる福利厚生制度 「ANA WELFARE PLAN」 れは、ストレスチェックとその結果に沿った学習プログラ を設けています。 「 健康づくり」 「 資金づくり」 「 安心づくり」 ムで、個々のストレス耐性をあげ、メンタル不調を予防す 「暮らしの後押し」 「 余暇の充実」 「セカンドライフ」 というカ ることを目的としています。また、管理職向けのメンタル テゴリーで、社員それぞれのライフスタイルに合わせて ヘルス研修も新任管理職研修のカリキュラムに組み込む 活用できるしくみとなっています。 など継続して実施しており、部下の不調の早期発見・早期 サポートを促しています。あわせて、社外専門機関による カウンセリング機会の提供も行っており、社員および社員 の家族が心の健康を守り保つための支援をしています。 82 全日本空輸株式会社 従業員とのかかわり 労使関係 A N A および多くのグループ会社には労働組合および 乗員組合が組織されています。 「社員の働きがいの向上」 や 「社員の処遇、福利厚生、働 き方」 などをテーマに労使協議を行い、経営上の課題や競 Boarding 争環境に対する認識の共有化に向けて、日常的な情報・意 見交換も行いながら事業運営につなげています。また、 身近な職場環境や各事業所における課題についても協議 を行っています。 これからも、社員、職場、労使間のコミュニケーション 基本品質の向上を目指していきます。 Takeoff をより強化し、相互信頼と相互協力の関係を築きながら 労使合同生産性 研修の様子 Climbing 岩手県大槌町における労使合同復興支援ボランティア Cruising In-Flight Service Approach Landing アニュアルレポート 2012 83 取引先とのかかわり 購買取引の基本方針 A N A グループがお客様に提供しているサービスや商 遵 守 、公 正 な 取 引をはじめ、取 引 先とともに高 品 質 な 品は、飛行機、ジェット燃料から事務用品まで、取引先か サービスの開発や環境負荷の低減といった C S R 調達を らの資材やサービスのうえに成り立っています。ANA グ 推進しています。 ループでは、 「 購買取引行動指針」 に基づき、関連法規の ANA グループ購買取引行動指針 購買取引の基本方針 ❶ 購買取引においては、優れたサービスおよび財を経済合理性に基づいて公正に選択し、購入します。 ❷ 購買取引は、国内外に開放され、公平かつ透明とし、理解しやすい簡素な手続きによって行い、取引先との間では相互信頼、 相互補完関係を築くように努めます。 ❸ 購買取引においては、ANA グループ行動基準を遵守し、企業倫理に則り、関係法令を遵守し、資源保護、環境保全に配慮し、 人権保護に努めるとともに、取引先に対しても ANA グループの取り組みに理解を求めます。 取引先とともに取り組む CSR A N A グループでは、品質のさらなる向上とコスト削 アンス・環境に関するアンケートを行い、取り組み状況 減 の 実 現に向 けて 、グ ル ー プ 内 で 購 買 手 続 き の 統 一 を確認しています。 化・標準化に取り組んでいます。また、公正公平な方法 今後は、これまで以上にグループ全体での購買手続 でさまざまな提案をいただき、よりよいサ ービス・商品 きの最適化を目指し、調達体制・手法・対象範囲を抜本 を開 発するために、複 数 社 参 加 の 入 札による合 理 的な 的に見直しながら、コスト競争力と購買取引上のコンプ 調達を推進しています。 ライアンス強化に取り組んでいきます。また、サプライ サービス・商品の選定にあたっては、環境配慮商品の チェーンにおける C S R ガイドラインなどを整備し、取引 積 極 的な採 用やリサイクルを視 野に入れた調 達を行っ 先とともにより一 層 C S R を推 進していく態 勢を築 いて ています。また、採 用 後も取 引 先に対してコンプライ いきます。 海外出発便で提供する機内食の品質改善 ANA グループでは、安全で安心なおいしい機内食を提供するために、 これまでも厳しい国際基準にしたがって開発や管理を行ってきました。 2011年 7月からは、ANA ケータリング品質向上プログラムを立ち上げ、 特に海外出発便で提供する機内食において、日本出発便と同じ品質で提 供できるよう、取り組みを進めています。具体的には、社内の 「食の安全 監査員」 と日本出発便の機内食を調理するシェフにより構成された専門 チームが、海外のケータリング会社工場を巡回し、衛生監査および調理 指導を行っています。この専門チームは衛生状況や味品質を厳しくチェッ クするだけでなく、課題が発見された際には現地に赴き、ケータリング会 社による迅速かつ徹底した改善が確実に実行されるよう支援しています。 ロサンゼルスにおける調理指導 84 全日本空輸株式会社 公正な競争・取引の徹底に向けて A N A グループが今後、より一層のグローバル展開を 図る中では、各国の競争法に違反した場合のリスクの重 大さを認識し、日々の業務を遂行する必要があります。 このため、 「 競争法コンプライアンス規則」を定め、具 Boarding 体的事例を交えて解説した「A N A グループカルテル防 止ハンドブック」 を関連部署に配布し、担当者への定期的 な教育や e ラーニングを実施しています。また、関連部 署を対象に内部ヒアリングを行い、個々の会合や情報交 換などに潜むリスク評価も実施しています。 派遣法改正セミナーの様子 Takeoff 競争法以外においても、営業・販売に関して関連法規 に則った公正な競争を行うべく、景品表示法や下請法の ほか、契約実務に関するセミナーの開催に加え、職場で の社内講師の養成、各種法令に準じた運用のチェック体 制の整備などを行っています。 Climbing カルテル防止ハンドブック 知的財産の保護 A N A グループでは、知的財産権の創造・保護・活用を Cruising 図り、また他社の知的財産権を尊重し、侵害することの ないよう、体制整備に取り組んでいます。法務部を主管 窓口として、知的財産権の保護にかかわる教育を CSR プ ロモーションリーダーを中心に実施するほか、全社員に も e ラーニングによる教育を実施しています。今後も引 In-Flight Service き続き、事例紹介や情報発信をメールマガジンなどを通 じて定期的に行い、グループ全役職員の意識啓発に努め ていきます。 Approach Landing アニュアルレポート 2012 85 社会とのかかわり 基本的な考え方 A N A グループ行動指針「社会とともに歩み続けます」 の下、 「 企業市民」 として、環境および社会的課題の改善 に向けて積極的に取り組んでいます。経営理念、事業内 ① 空の旅を通した 人々の支援 ② 環境社会貢献 容などを考慮し、①空の旅を通した人々の支援、②環境、 ③地域社会貢献を重点テーマとしています。また、ANA ③地域社会貢献 らしい 社 会 貢 献 活 動として「 社 員 がボランティアで取り 組む活 動 」 「 お客 様と思 いを共 感し、一 緒に取り組める 活動」を推進しています。 ANAらしさ (社員×お客様) 東日本大震災の復興支援活動 A N A グループでは、救援物資の輸送や救出・医療関 以下の 3 つのエリア (宮城県・南三陸町、仙台空港周辺、 係者への渡航協力、義援金や支援物資、お客様にご協力 福 島 空 港 周 辺 )を中 心に、社 員 からの 提 案に基 づくボ いただいた義援マイルの寄付などを行いました。現在も ランティア活動を継続しています。 具体的な復興支援活動 宮城県・南三陸町での活動 しました。この取り組みを「A N A こころの湯」 と名づけ、 東日本大震災直後より、社員から 「新潟県中越沖地震 2011年 4 月 28日から 6 月 30日までの 63日間、毎日欠 時の経験を基に、再び A N A グループの強みを活かした かさず給湯を続け、延べ 2,237名の方にご利用いただき 貢献活動を実施したい」 という声が多く挙がり、社員ボ ました (自衛隊関係の利用者数は除く)。水道や給湯施設 ランティアによる復興支援活動に積極的に取り組んでき の復旧のめどがついた 6 月末をもって、 「 A N A こころの ました。 湯」 の給湯活動は終了しました (その後、 「 平成の森」 は、避 難者全員が仮設住宅へ移動し、8月 16日に避難所として の役割を終えました) が、その後も「平成の森」仮設住宅 の皆様との交流を大切に、クリスマス会や、ひまわり植 栽などの活動を継続しています。 2011年 4月 13日 仙台空港再開 ◆除雪車による給湯活動 活動場所は、宮城県・南三陸町歌津地区にある 「平成 です。 の森」 (スポーツレクリエーション施設) A N A グループは、被災地をはじめ日本の復興を応援 していくことを目指し、 「 心をひとつに、が んばろうニッ ポン」 というメッセージの下、震災後約 2カ月間、除雪車 を利用して避難所のお風呂にお湯を提供する活動を実施 86 全日本空輸株式会社 除雪車を活用した給湯支援活動 仙台空港周辺での活動 これまでの主な支援内容は以下のとおりです。 ◆海岸林再生プロジェクトへの支援 ・ 海岸林現地視察ツアーにボーイング 787型機特別フラ 長期的な復興支援活動の一環として、A N A グループ イトの座席を無償提供 は公 益 財 団 法 人オイスカが 発 表した「 海 岸 林 再 生 プロ ・ 海岸林再生マイルの寄付 ジェクト 10カ年計画」の活動趣旨に賛同し、この活動を ・ 寄付金付き商品の販売 支援・参画しています。 ・ チャリティーオークションフライトの収益の一部や、 チャリティバザー売上の寄付 海岸林は壊滅状態となりました。海岸林は、飛砂防備や ・ 機内誌や機内 VTR での紹介 Boarding 東日本大震災による津波の影響を受け、東北沿岸の 防 風 、そして津 波に対する減 衰 機 能など、海 岸 地 域 の 「防災林」 として地域の生活環境の保全に重要な役割を 果たしており、その喪失によって東北沿岸部における塩 ◆仙台空港ひまわり植栽活動 A N A グ ル ー プ は 、被 災 地 の 方 々にとっても 、常に Takeoff 「あんしん、あったか、あかるく元気!」な存在でありたい 害は日々深刻化しています。 と考え、A N Aらしさの象徴である 「ひまわり」の花を東北 林の再生を目指す活動で、被災地の方々に苗木の育苗 各地に咲かせ、お客様や地域の方々に「あかるく元気!」 を担っていただくなどにより、地域の経済活動の活性化 をお届けしています。 にも貢献するものです。 2011 年 7 月に、国内線ターミナル全面共用開始を控 A N A グループは本プロジェクトに経済的支援のほか、 えた仙台空港ターミナルビル前の花壇に、800 本以上 募金活動など社員のボランティア活動も行っていきます。 のひまわりなどを植栽、津波の影響で赤茶けてしまった Climbing オイスカの海岸林再生プロジェクトは、失われた海岸 花壇が、ひまわりのパワーによって明るく蘇りました。 Cruising In-Flight Service 仙台空港ひまわり植栽活動 海岸林のある風景 Approach 第三者コメント 公益財団法人オイスカでは東日本大震災の津波で被害を受けた海岸林の再生プロジェク Landing トを 10カ年計画で進めています。長期にわたる資金支援やボランティアが求められてお り、海岸林の必要性についてより多くの方々に関心を持ってほしいと思います。ANA には 海岸林視察ツアーへの輸送協力、マイレージプログラムを活用した支援、機内誌でのプロ ジェクト紹介など、独自の方法で私たちの活動に協力いただいています。また、社員ボラン ティアが主体となった本プロジェクトの勉強会や支援活動もスタートしており、他企業には ない動きとして期待しています。今後も ANA をはじめとした企業・団体に協力をいただき 公益財団法人オイスカ 啓発普及部 吉田 俊通 氏 ながら、ともに市民に親しまれる森を作っていきたいと思います。 アニュアルレポート 2012 87 福島空港周辺での活動 ◆ハートのひまわりを咲かそうプロジェクト 2011・2012 震災の影響で給水用のパイプラインが破損し、米の作 付けができなくなってしまった農地を活用して、空から見 えるハート型のひまわり畑を作る地元の方々の活動に賛 同し、A N A グループも福島空港周辺にたくさんのひま わりを咲かせる活動に取り組みました。2011 年 7 月に は、A N A グループの社員ボランティア 100 名、地元の 滑走路横斜面のひまわり畑 方々約 100 名が協力しあいながら、滑走路横の斜面に 70×50㎡のハートとなるよう、ひまわりの種まきを行い ました。この活動は、2012年 6月にも再び同じ場所で実 施し、地元の方々と ANA グループの社員ボランティアを 合わせて、総勢 150 名でハート型のひまわり畑を作り、 福島を訪れる方々をひまわりと笑顔でお迎えしました。 福島空港ひまわりプロジェクト ボーイング787復興応援フライト A N A グループでは、2011 年 10 月に仙台空港、11 月に福島 空 港にてボ ーイング 7 8 7 型 機 の 復 興 応 援フライトを実 施しまし た。宮城県・南三陸町の子供とご家族をはじめ、仙台、名取、岩沼 の各市と福島県内の小学生ら合わせて約 430 名を招待しました。 初めて飛行機に乗る子供たちも多い中、搭乗前の少し緊張気味 の表情から一転、機内はたくさんの笑顔でいっぱいになりました。 当日は約 1 時間程度の短いフライトではありましたが、子供たち がボーイング 787 型機の大きな窓をのぞき込 み、客室乗務員による手づくりのルートマップ と照らし合わせたり、新しい機内設備に触れて 楽しんだり、最新鋭機による空の旅を満喫して いただきました。 ※ 福島空港でのボーイング 787復興応援フライトの映像は 下記 Web サイトでご覧いただけます http://media.ana.co.jp/movie/kinai/flight.html 88 全日本空輸株式会社 福島空港における復興応援フライト 社会とのかかわり ◆ 2012 年 ひまわりスマイルフライト ◆東日本大震災被災地支援チャリティーバザーの開催 ANA グループでは、2012年 6月からの福島−伊丹線 A N A グループとアシアナ航空(株)は、2007 年より の新規就航に先駆け、同年 5 月、福島空港周辺に住む小 森づくりを中心とした環境保全活動を合同で行ってきま 学生を招待した遊覧フライトを実施しました。上空からは した が 、2 0 1 2 年 3 月 期 は 、被 災 地 復 興 支 援 の チャリ 猪苗代湖や子供たちの住む町がよく見えて、機内には楽 ティーバ ザ ーを汐 留・羽 田・成 田 の3カ所 の 事 業 所で開 しそうな歓声があふれました。 催しました。 Boarding バザーには A N A グループ社員から提供された物品 のほか、韓 国や東 北 の 物 産などが 並び 、アシアナ航 空 (株)のスタッフや多くの A N A グループ社員が参加しま した。バザーの売上については、社会福祉法人中央共 同募金会ならびに公益財団法人オイスカに寄付させて Takeoff いただきました。 Climbing 2012年 ひまわりスマイルフライト その他の活動 ◆東北県産品のアピール・販売 Cruising ANA グループでは、地域活性化の取り組みとして、社 (市場)」 を行っ 内での地域産品の販売会「企業内マルシェ てきました。 アシアナ航空 (株) との共同バザー 震災を受けて、風評被害など経済的に大きく影響を受 ◆被災地復興応援手ぬぐいによる支援 田地区で 「福島・茨城応援マルシェ」 を開催しました。さら 活動の一環 A N A グループの復興支援 「心をひとつに」 に、同年 5月には、東京地下鉄 (株) (東京メトロ) との共同 として、東北地方の美しい景色をイメージした手ぬぐいを 開催によって、銀座駅構内のスペースにおいて 「銀座 D E 作製し、機内で販売しました。生産は山形県の工場に依 応援マルシェ」 を開催しました。 頼し、売上の一部 販売にあたっては、A N A グループ、東京地下鉄(株) は寄付させていた Approach (東京メトロ) からそれぞれボランティアのスタッフが集ま In-Flight Service けている地域を応援するため、2011年 4月には、汐留・羽 だきました。 り、青森、岩手、宮城、福島、茨城の 5つの県の県産品を アピールしました。 Landing 山形県の手ぬぐい工場の作業風景 「福島・茨城応援マルシェ」 の様子 アニュアルレポート 2012 89 環境社会貢献活動 森づくり サンゴ再生プロジェクト A N A グループでは、2004 年より国内空港周辺の森 沖 縄 の サンゴは、海 水 温 づくり活動を行ってきました。2012 年 3月期には新たに の 上 昇による白 化 現 象やオ オホーツク紋別空港「とっかりの森」 と徳島空港「巣立ち ニヒトデの大量発生による食 の 森 」を加え、全 国 7 カ所で森づくり活 動を実 施しまし 害 などの 被 害を受 け 、壊 滅 た。これらの 森 づくり活 動 では、そ れぞ れの 地 域 でボ 的な状況にあります。A N A ランティアを募集し、ANA グループ社員が地元の方々と グループは沖縄県内外の企 コミュニケーションを取りながら、一緒に 「木を植え」 「森 業とともに、サンゴ再生プロ を育てる」活動を実施しています。 ジェクト 「チーム美ら (ちゅら) また、京都大学フィールド科学教育研究センターにご協 サンゴ」 を結成。2004年より沖縄県恩納村のサンゴ群集 力いただき、森づくり・環境・生態系の保全について学ぶ の回復・保護活動を行っています。 フィールドセミナー 「青空塾」 を開催しています。 具体的には、陸上施設で養殖したサンゴの苗をボラン ティアダイバーによって植えつけており、2012 年 3月期 ▶森づくりの歩み(2012年3月期) 森の名称 とっかりの森 シマフクロウの森 きりこの森 安宅関の森 アサヒの森 高津川清流の森 巣立ちの森 サンゴの植えつけ作業 関連空港 内容 オホーツク紋別空港 根室中標津空港 能登空港 小松空港 広島空港 萩・石見空港 徳島空港 間伐 植林 下草刈り 植林 下草刈り 植林 間伐 は、春に 2 回、秋に 2 回の活動を実施しました。なお、こ れまで、延べ 1,800 名以上のボランティアダイバーが参 加しています。 こうした継続的な保全活動が実を結び、植えつけた小 さなサンゴも今では自生して大きくなり、次々と産卵して います。A N A グループではこのプロジェクトを通して、 「美ら海を大切にする心」 をより多くの人々と共有してい きたいと考えています。 チーム美らサンゴ Web サイト http://www.tyurasango.com/ 南三陸町での森づくり ANA グループでは、中期環境計画 「ANA FLY ECO 2020」 にある、 「地域・社会 に新たな価値を提供できる森づくり」 を具現化するため、新たに宮城県・南三陸町に おいて森づくりを開始しました。 「 ANA こころの森」 と名づけ、社員ボランティアも 参加させていただきながら、豊かな森を地元の皆様と作っていきます。 豊かな森は、二酸化炭素を吸収するだけでなく雨をせき止め、人々の生活を守り ます。そして豊かな森に育まれた水は南三陸の志津川湾に流れ込み、豊かな海を 作ります。古来より続く自然と人の営みを皆で守り、こころの森を次の世代へつな 宮城県・南三陸町 「ANAこころの森」 いでいくことが、いま私たちにできることの一つだと考えています。 また、新たな試みとして、 「ANAこころの森」 の間伐材を使用した製品製作をフロンティアジャパン (株) の南三陸町工場で行っていただくことで、雇用創出に向けた同社の取り組みと地域活性化を応援してい ます。同工場には、2012年 9月に開催した 「ANA オープンゴルフトーナメント」 のギャラリーの方を対象 とする抽選会の賞品をはじめ、南三陸町の方々にお贈りする間伐材製品などの製作をお願いしています。 多くの方が木の温かみに触れ、南三陸へ想いを寄せる機会を増やしていきたいと考えています。 ANA グループは、こうした 「ANAこころの森」 の活動を通して、南三陸に住む方々、訪れる方々ととも に南三陸の森・海・空・人が元気になる活動に取り組んでいきます。 90 全日本空輸株式会社 社会とのかかわり 地域社会貢献活動 アジアの国の人づくりを支援 すずらんの押し花のしおり 財団法人岡崎嘉平太国際奨学財団は、ANA 第二代社 A N A グループは、毎年 6 月に客室乗務員と空港の地 長、岡崎嘉平太の遺志に基づき、アジア諸国の人づくり 上スタッフが全国の赤十字病院をはじめとした病院の入 届けしています。このしおりは ANA グループ社員が一つ ミャンマー、台湾から毎年数名の留学生を招聘して、日 ひとつ手づくりで作製しています。2012 年には、6 月 8 本の大学院(修士課程) に進学する支援を行っています。 日に全国 47カ所の病院を訪問させていただきました。 これまで 97 名の奨学生を受け入れ、卒業生は母国の 1956 年から続けているこの活動は、 「しあわせ」 「 幸福 発展や日本との友好関係の構築に努めています。 の再来」などの花言葉を持つ「すずらん」の押し花を贈呈 岡崎嘉平太国際奨学財団 Web サイト し、入院されている方の 1 日も早いご回復をお祈りする http://www.okazakizaidan.or.jp/ もので、入院患者の皆様にご好評をいただいています。 ANA 機体メンテナンスセンターの工場見学 A N A 機 体メン 赤い羽根共同募金 A N A グループは 1962 年より 「赤い羽根共同募金」の Climbing テナンスセンター 啓発ならびに募金運動に協力しています。 では、一般の方を 毎年 10月から行われる募金運動では、ANA グループ 対象に無料の工場 が就航している国内 51 空港の出発カウンターや全日空 見学を実施してお 商 事( 株 )が 運 営している約 8 0 カ所 の 空 港 売 店「 A N A り、修学旅行やご 機体メンテナンスセンターの工場見学の様子 ています。年間で約 6万人の方が見学に参加されており、 2012年 8月には、累計見学者数が 70万人を超えました。 http://www.ana.co.jp/cp/kengaku しているほか、羽 田 空 港や汐 留 地 区などで街 頭 募 金を 行っています。 2011年は、募金運動協力 50年目を記念して、赤い羽 根共同募金と A N A との共通記念ロゴを作成して活動を 実施しました。 In-Flight Service ANA 機体メンテナンスセンター工場見学 Web サイト Cruising FESTA」 、全国 4都市の ANA カウンターに募金箱を設置 家族連れなど幅広 くご参加いただい Takeoff 院患者の皆様を訪問し、 「 すずらんの押し花のしおり」 をお Boarding への支援を目的に 1990 年に設立されました。中国、タ イ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナム、 ANA航空教室・バーチャルフライト Approach ANA グループでは、学校や空港でのイベントなどのさまざまな機会を通じて、子供 たちに空の旅を親しんでもらえるよう、世界各地で航空教室や職業講話などを行って います。 「ANA バーチャルフライト」 とは、病気やけがで空の旅を楽しむことができない子供 たちのために、まるで機内にいるかのような時間と空間を病院内で演出し、楽しい思い Landing 出を作っていただく活動で、ANA グループの社員ボランティアの手で実施しています。 2011 年は、東京・築地にある聖路加国際病院で開催。子供用制服を着ての記念撮 影などを実施したほか、会場まで足を運べない子供たちのために、A N A スタッフが 各病室を訪問しました。 ● 2012年 3月期航空教室実施地域 国 内: 福岡/佐賀/高松/大阪/東京/福島/仙台/札幌など 海 外: ニューヨーク/ロサンゼルス/シアトル/フランクフルト/ジャカルタ/ シンガポール/広州/瀋陽/青島など 聖路加国際病院のバーチャルフライトの様子 アニュアルレポート 2012 91 環境への取り組み 環境リーディングエアラインを目指して A N A グループでは公共輸送機関としての役割を果た しながら、持続可能な社会のために地球環境と共生し続 ける企業でありたいと考えています。自らの環境負荷を 謙虚に認識することを出発点とし、人と地球のためにで きることを常に考え、挑戦していきます。また、地球環境 を想う心をステークホルダーの皆様と分かち合える活動 にも積極的に取り組んでいきます。 ANAグループ環境理念 環境を大切にする心は、私たち自身が地球に 負荷をかけていることの自覚から始まります。 私たちは、資源とエネルギーを大切に利用し、 豊かで持続可能な社会の創造に貢献します。 私たちは、率先して環境保全に取り組み、 地球を想う心を世界の人々と分かち合います。 ANAらしい環境保全活動 「A N A グループエコロジープラン 2008−2011」の バイオ燃 料 導 入に向 けた 達成に向け、社員一人ひとりの自覚とチームワークで環 取り組みなど、ANAらしい 境保全活動に取り組んできました。2008 年には環境省 ユニ ークで先 進 的 な 活 動 より航空業界、運輸業界として第 1 号の「エコ・ファースト をステ ークホル ダ ー の 皆 企業」 と認定されています。今後も C O 2 削減を主とする 様 、地 域 の 皆 様 のご 協 力 地球温暖化対策をはじめ、日本の森の再生を目的とした の下、推進していきます。 ANAカーボン・オフセットプログラム、お客様とともに地球 環境について考えるe-flight、3R 活動 (reduce、 reuse、 recyc l e) 、森づくりやサンゴ再生プロジェクトへの参加、 世界初のバイオ燃料による太平洋横断フライト 2012 年 4 月、バイオ燃料搭載機による太平洋横断フライトを行いま した。ボーイング 787 型機のデリバリーフライトとして実施したもので、 既存のジェット燃料に使用済み食用油を主体としたバイオ燃料を 15%混 合、環境負荷の低い最新鋭機ボーイング 787型機とバイオ燃料の相乗効 果により、ボーイング 767型機と比べ約 30%の CO2 削減を実現しました。 また、ボーイング社などの関連専門機関・企業で構成されたバイオ燃料開 発グループにも参画、2020年までの代替航空燃料の使用開始を目指し、 開発支援に積極的に取り組んでいます。 シアトルにてバイオ燃料を給油 92 全日本空輸株式会社 「ANA グループエコロジープラン 2008−2011」の目標と実績 項目 2012年3月期の実績※1 目標 国内線・国際線の有償輸送トン 地球温暖化 航空機燃料に 2012 対策 よるCO2排出量 キロ当たりCO2排出量を、 年3月期において対2007年3月 の低減 期比で10%削減 2012年3月期にANAグループの航空機が排出したCO 2総量は、国際線ネットワークの拡 充、便数の増加により国内線・国際線合計で839万トンとなり、前期比+5.0% (+40万トン) に 増加しましたが、有償輸送トンキロ当たりでは1.13kg-CO2と、目標の10%には届かなかった ものの、基準年である2007年3月期に比べ9.3%削減しました。 全事業所計で年1%削減 改正省エネ法の施行後、新たにシステムを導入し一元管理を行うことにより、ANA全事業所 の総地上エネルギー(原油換算)消費量は前期から原単位で2%削減、省エネ法をクリアし ました。今後省エネ法のほか、震災による電力不足に対応したエネルギー削減に一層努めて いきます。 航空機の排出 ガス基準適合 リース機を含め全機ICAO (国 ANAグループ保有の航空機エンジンは、すべてICAO条約第16付属書の排出ガス基準に 際民間航空機関) 排出ガス基準 適合しています。 に適合 Takeoff 大気汚染 対策 事業所使用 エネルギーの 削減 Boarding 国内線2009∼2012年3月期 国内線の生産量は微減という状況下、2012年3月期の排出量は419万トンとなり、2011年 のCO 2排出量を年平均470万 3月期の421万トンから、さらに削減しました。2009∼2012年3月期の年平均CO 2排出量 トン以内に抑制 は428万トンとなり、目標値内に抑制されました。 低公害車の導入 ハイブリッド・電気自動車など、 2012年3月期は、低公害・低排出ガス車台数は102台増加、985台となり、総台数の25%と 低公害車の積極導入 なりました。基準年 (2003年3月期:178台) から5.5倍に増加しています。 リース機を含め全機I C A O騒 全機ICAO騒音基準 チャプターⅣの騒音基準に適合しています。 音基準チャプターⅣに適合 省資源化の促進 廃棄物削減、営業用紙5%削減 廃棄物量は全体で前期比11%増加していますが、収集バウンダリの変化によるものです。 紙類の使用量は7%削減しました。営業用紙だけを見れば8%削減しています。 Climbing 騒音対策 クローズド・リサイクル ※2を全 各事業所内で使用したコピー用紙や、機内誌『翼の王国』などの一部回収を行い、再び機内 事業所へ展開 誌の作成に使用したり、全国の事業所で使用する事務用封筒・名刺などに活用しています。 ANAグループ全体で3R活動を推進し、客室乗務員の制服のリサイクルなども積極的に行っ ています。また、手荷物用ビニールシートのリユースやリサイクルに取り組み、対象空港を拡 大しています。 環境社会貢献活動の推進 2012年3月期には新たにオホーツク紋別空港「とっかりの森」 と徳島空港「巣立ちの森」 を 加え、全国7カ所で森づくり活動を実施しました。2004年以来の森づくりは、27空港、35カ 所となりました。 (2012年6月現在) 国際環境絵本コンクール 2011年3月期より、活動を休止しています。 Cruising 全国50空港周辺での森づくり サンゴ 再 生 プロジェクトへ の 2012年3月期は、春2回・秋2回サンゴ植えつけを行いました。ダイバー・ノンダイバーのボ 参画 ランティアなど累計1,844名が参加しています。 次世代人材への環境教育支援 植林活動時の 「青空塾」 の開催や新宿御苑グリーンチャレンジフェスティバルなど環境教育 の機会を提供しました。 航空燃料による CO2 排出量の低減 は、 「 国内線・国際線の有償輸送トンキロ当たりC O 2 排出 量を、2 0 1 2 年 3 月期にお いて対 2 0 0 7 年 3 月期 比で 10% 削減」 「 国内線 2009∼2012 年 3 月期の C O 2 排出 ANAグループCO2排出量目標と実績 Approach 「A N A グループエコロジープラン 2008−2011」で In-Flight Service ※1. 詳細はWebサイトにて報告 ※2. 機内•空港内やグループ内事業所で発生する廃棄物を、機内•空港内や自社•グループ内で再生利用すること (kg-CO2/RTK) 1.3 1.2 (100万トン) 6.0 -10% 1.1 した。世界的な景気減退や東日本大震災の影響も受け Landing 5.0 量を年平均 470 万トン以内に抑制」 という目標を立てま 年平均470万トン以内 1.0 4.0 て、2012 年 3 月期は有償輸送トンキロ当たり C O 2 は、 若干増加したものの、さまざまな燃料節減策によって、 概 ね目 標を達 成 することが できました 。また 、国 内 線 CO 2 排出量は目標値内に抑制することができました。 0 2007 2008 (基準年) 2009 2010 2011 2012 (3月期) 0 国内線CO 2排出量(右軸) 有償輸送トンキロ当たりCO 2排出量 (国内線・国際線合計) ( 左軸) アニュアルレポート 2012 93 ANA グループ中長期環境計画「ANA FLY ECO 2020」 A N A グループは、京都議定書に代わる地球温暖化対 では、A N A グループが中核として取り組むべき環境課 策の国際的枠組みが新たに発効される見込みの 2020年 題を 「地球温暖化対策」 とする基本方針は継続し、グロー を次のターゲットに見据え、2012 年 4月より新たな中長 バル水準を考慮した目標値を設定しました。この中長期 期環境計画 「ANA FLY ECO 2020 ∼もっと、ずっと、 環境計画を達成することにより、世界トップ水準の環境 青い空へ∼」 を策定しました。 「 ANA FLY ECO 2020」 リーディング・エアラインを目指していきます。 ▶ANA FLY ECO 2020 目標 項目 目標 地球温暖化 航空機燃料によるCO2排出量 対策 の低減 【単位当たり目標】 (国内線・国際線合計) を、2006年3月期比で20%削減 2021年3月期の有償輸送トンキロ当たりCO2排出量 【総量目標】 2013年3月期∼2021年3月期の国内線CO2排出量を年平均440万トン以内に抑制 大気汚染 対策 地上エネルギー 全事業所計年1%削減 (改正省エネ法への対応) バイオ航空燃料の導入 バイオ航空燃料の期間内本格使用開始に向けた検討 航空機の排出ガス基準適合 リース機を含め全機ICAO排出ガス基準に適合 ハイブリッド車・電気自動車など、低公害車の積極導入と、バイオ燃料使用の検討 低公害車の導入 騒音対策 リース機を含め全機ICAO騒音基準チャプター4適合 省資源化の促進 廃棄物削減、営業用紙含めペーパーレス化の推進 機内誌などのクローズド・リサイクルをはじめとする3R活動の促進 環境社会貢献活動の推進 地域・社会に新たな価値を提供できる森づくり チーム 「美らサンゴ」 によるサンゴ再生プロジェクトを通した環境啓発活動の強化 地 球 温 暖 化 対 策 の 具 体 的 な 施 策としては 、ANAグ また、環境社会貢献活動については、お客様や地域の ループが世界で初めて導入したボーイング787型機のよ 皆様をはじめとするさまざまなステークホルダーの皆様 うな環境に優しい最新鋭航空機を今後も積極的に採用し にご協力いただき、A N A グループの社員ボランティア ていくことや、飛行方式の工夫、航空機の空力特性を向 も参加しながら、地域の活性化につながる付加価値の高 上させるための自社 改 修 、エンジンの 定 期 的 洗 浄 、装 い活動を継続的に展開していきます。 備・搭載物品の軽量化などを実施していきます。 ANAグループCO2排出量目標と実績 (kg-CO2/RTK) 1.3 1.2 (100万トン) 6.0 -20% 1.1 5.0 年平均440万トン以内 1.0 4.0 0 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 国内線CO 2総排出量(右軸) 有償輸送トンキロ当たりCO 2排出量(国内線・国際線合計) ( 左軸) 94 全日本空輸株式会社 2021 (3月期) (3 0 環境への取り組み 環境負荷低減に向けた取り組み 航空機の消費燃料の節減は、環境負荷低減に直結し 省燃費型の航空機導入の状況 ます。私たちは、早くから機材や運航面などでさまざま CO 2 の発生を減少させること、すなわち燃料消費を削 な燃料節減に積極的に取り組んできました。以下、ANA 減する最も有 効 な 方 法は、① 最 新 のエンジンテクノロ グループの取り組みの一例をご紹介します。 ジーを駆使した効率のよいエンジンを採用し、②翼型など 機材 Boarding の改善により空気抵抗を減少させ、③複合材料などによ り重量軽減された、燃料効率のよい新鋭機を導入するこ とです。A N A グループは早くからこの方法に取り組み、 ◆環境性能の高い機材の積極的導入 A N A グループがローンチカスタマーとしてボーイン グ社と共同開発したボーイング 787 型機は、炭素繊維 革新により、従来のボーイング 767 型機に比べ燃費効 機種別燃料消費率 【国際線】 (g/座席キロ) 24.1 B737-700INT(120席) 率が約 20%向上しました。 ANA グループでは、2012年 3月期において 6機を導入 ◆ウイングレットの装着 主翼の端に取りつけられる小さな翼を装着することによ り、飛行中に発生する空気抵抗を減らすことができます。 28.5 B777-200ER(223席) 34.3 B777-300ER(247席) 34.3 39.3 B747-400(339席) 38.5 B747LR(326席) 0 10 20 30 40 Cruising 767-300E R 型 27.2 A320INT(110席) B767-300ER(202席) 長 距 離 運 航をす るボーイング 25.6 B787-8INT(222席) Climbing していますが、今後合計 55機の導入を予定しています。 Takeoff の複合材の採用による大幅な軽量化とエンジン性能の 効果をあげています。 ※ 国際線 (飛行距離9,260km、満席) で計算した場合 (ただし、B737-700INT、A320INTは5,556km) ※ ■は退役済みの航空機 機では、約 5%の 燃費向上効果が あり、1機当たり B787-8DMS(335席) の CO2排出量を B777-300(514席) 年 間 2 , 1 0 0トン DHC8-300(56席) 22.0 削 減 することが B777-200(405席) 22.2 B737-800(167席) 22.3 A320(166席) 22.3 東京∼札幌間の1座席当たりのCO2排出量比較 (2012年3月期) B747-400D(565席) 23.2 B767-300(270席) 24.0 24.7 DHC8-400(74席) (kg-CO2) B737-500(126席) ボーイング 767-300型機 の約20%減 B737-700(120席) 63.1 ボーイング777-200型機 68.7 エアバスA320-200型機 69.8 ボーイング747-400型機 71.5 ボーイング767-300型機 71.8 27.2 29.1 21.1 A321(195席) B747SR(536席) 26.2 F-50(50席) 26.3 26.9 B767-200(234席) 31.6 L1011(341席) 35.3 B737-200(126席) 36.2 YS11(64席) 0 Landing ボーイング777-300型機 19.8 Approach ウイングレット装着 18.6 In-Flight Service できました。 ボーイング787-8型機 (2011年11月より就航) (g/座席キロ) 【国内線】 10 20 30 40 ※ 国内線 (飛行距離926km、満席) で計算した場合 ※ ■は退役済みの航空機 アニュアルレポート 2012 95 ◆省エネ降下方式の促進 運航 ◆飛行管理装置 データリンク機能の導入 飛 行 条 件に応じて最 適な速 度や航 路を計 算し、エン ジン出力の調整などを自動的に行う装置を強化、航空路 上の風のデータも条件として考慮する機能を導入してい ます。これにより、最適な巡航高度や降下開始点の選択 降下開始点から、水平飛行することなく最終進入開始点 まで連続的に降下していく運航方式で、C O2削減、騒音 低減に効果があります。関西空港における深夜早朝時間 帯の運用開始を手始めに、対象空港を順次拡大中です。 ▶省エネ降下方式のイメージ図 が可能となりました。 省エネ降下方式: エンジン推力を下げたまま 継続的に降下する ◆ RNAV(広域航法) ANA グループでは、2002年 6月から、航空保安無線 施設や衛星などを利用して自機の位置を算出し、任意の 一般的な降下方式: エンジン推力を 水平飛行時に上げる 経路を飛行する航法(RNAV) を導入しています。従来の 航法に比べて距離や時間の短縮、燃料や C O2排出量の 着陸滑走路 削減が可能となります。 ▶ RNAV 経路と従来経路のイメージ図 出発経路 航空路 到着経路 進入 航空保安 無線施設 滑走路 従来の経路 RNAV航法の経路 滑走路 航空保安 無線施設 航空保安 無線施設 EFP (Efficient Flight Program) 推進プロジェクト ANA グループでは、安全運航の堅持を前提に、担当するフライト一便一便で自らが実施できるECO Flight を運航乗務員自身が主体となってアイデアを出し合い、一人ひとりが安全性・快適性・定時性を 守りつつ環境に配慮した飛行を実践しています。 2008年からは、運航乗務員自らの手で作成した ECO Flight ガイドブック 『ECO Flight のすすめ』 にそれらのノウハウを集約したことで、実施率がさらに向上しています。例えば、従来は着陸時の滑走 距離を短くするために逆噴射装置を作動させ、エンジンの推力をあげていましたが、滑走路の状況など を判断して安全に止まれることを前提に、可能な限りエンジンをアイドル状態で運用し、CO2 削減・騒音 ECO Flightのすすめ 96 全日本空輸株式会社 低減など、環境にやさしい着陸を心がけています。 環境への取り組み その他 ◆地上電源の優先使用 地上に駐機している航空機は、機内搭載の補助動力装 置から空調や照明などの電気を供給していますが、より エネルギー効率のよい地上電源装置や整備用電源車か 減しています。 ◆エンジンの洗浄・交換 A N A グループでは、専用の車両を独自開発し、エン (圧縮器) 部分の洗浄を行っています。 ジンコンプレッサー なほこりが付着し、燃費が悪くなるため、定期的な洗浄で エンジン性能を回復させています。また、エンジンの長期 間使用も各部の劣化により燃費低下の原因になります。 る 30台のエンジンを新しいものと交換しました。 審査の大部分を地上のフライトシミュレーター (模擬飛行 装置) で実施しています。 ◆フライトでの軽量化 機内に搭載する各アイテムの小型化・軽量化、搭載数 『Sky Shop』 ( 機内 の削減なども継続的に行っています。 ショッピングカタログ)の紙質変更・ページ数削減、備品 の予備搭載数の見直し、食器・グラスの軽量化などを行 いました。2 0 1 2 年 4 月からは、客 室 乗 務 員 の 携 行 マ ニュアルを電子化(タブレット型端末) し、1人当たりのマ ニュアルを 1/3に軽量化しました。また、新軽量型コン テナを 700台導入、使用しています。外板部分を炭素繊 維強化プラスチックに、開閉部分を防汚・防水性の高い Climbing ボーイング 767型機、747型機、777型機に装着してい 題、訓練空域狭隘などの改善のため、パイロットの訓練・ Takeoff エンジンは使用するにつれて、コンプレッサー部分に微小 ANA グループでは、燃料や CO 2 排出の削減、騒音問 Boarding ら機内への電気供給を積極的に実施し、大幅に CO2を削 ◆フライトシミュレ−タ−の活用 キャンバス素材に変更することにより、従来のアルミ製 コンテナと比較して 30k g の軽量化(従来比約 30% 減) を実現しました。その他、国内線・国際線ともに機体に 搭載する水の量を継続的に見直し、フライトの軽量化を Cruising 促進しています。 なお、2010年よ り羽 田 空 港 にお い て 搭 載した 水 が 余 った 場 合 、 In-Flight Service 社内施設で中水 として 利 用して います。 エンジンの洗浄 国際線新造機ビジネスクラスの軽量化食器 Approach 羽田・成田空港の業務用連絡車に、電気自動車を導入 A N A グループでは、2012 年 3 月、成田空港の地上ハンドリング・ サービス用業務車両として、初めて電気自動車を 1台導入したのに続 き、同じく3月に、羽田空港においても 2台導入しました。その後も導 Landing 入を続けています。空港内の航空機整備工場や貨物上屋などの屋内作 業用については以前からフォークリフトや小型牽引車として電気自動車 を使用していましたが、係員の移動や備品類の運搬などに使う、空港 地区全体が活動場所となる屋外の業務用連絡車への導入は、当期が初 めてとなります。 2012年 3月期に導入したこれら3台を 1年間使用した場合、約 5トン の CO2 削減が見込まれます。ANA グループでは、今後も全国の空港で 電気自動車などの低公害車の導入を積極的に進めていきます。 羽田空港の地上ハンドリング・サービス用電気自動車 アニュアルレポート 2012 97 環境コミュニケーション ANA カーボン・オフセットプログラム 作りました。2010年からは、携帯電話からの入力画面の A N A グループでは、2009 年 10 月 1日から国内線全 変更やパソコンからの参加を可能にするなどシステムを 線で 「ANA カーボン・オフセットプログラム」 を導入してい 改善してきました。さらに 2011 年 11 月からは、環境性 ます。このプログラムは、お客様がご搭乗される航空機 能の高いボーイング 787 型機の導入により、オフセット 2 を吸収するため が排出する CO(二酸化炭素=カーボン) 料金をリニューアルしました。今後も、より参加しやすい に必要な森づくりの資金を、お客様から任意にご提供い プログラムにしていきます。 (相殺) しようという取り ただき、C O 2 排出量をオフセット http://www.ana.co.jp/ana-info/ana/csr/offset/ index.html 組みです。一般社団法人 more trees ( モア・トゥリーズ) と連携して、C O 2 排出を手軽にオフセットできるしくみを 森林再生プロジェクト CO2 排出 地域活性化 吸収 オフセット料金 クレジット購入 お客様 e-flight 2011∼787から始まる、お客様と取り組むエコ e-flight は、空の上から美しい地球を眺めながら、次世代に残さなければいけない大切な地球環境について お客様とともに考える機会として、2006年より実施しています。 2012年 3月期も環境性能に優れたボーイング 787型機の導入に合わせてさまざまな取り組みを行いました。 東北海岸林再生マイルのご寄付を受付 787カーボン・オフセットキャンペーンを実施 東日本大震災による津波の影響で壊滅状態となった海岸林 機内で気軽にカーボン・オフセットに を再生させるため、ANA グループでは公益財団法人オイスカ 参加できるキャンペーンを実施し、ご による 「海岸林再生プロジェクト10カ年計画」 を長期支援してい 参加いただいたお客様には参加証明と ます。趣旨にご賛同いただいたお客様からは、マイルのご寄付 して間伐材で作られた 「787オリジナ (1口 3,000マイルから) を受け付けさせていただきました。ご ルピンバッジ」 をプレゼントしました。 寄付いただいたマイルは、被害に遭った海岸林やクロマツの並 お支払いいただいたオフセット料金を、 ぶ美しい風景を、被災地の方々自らが苗木を育てて再生する活 に活かしたことから、ANA の森林 鳥取県の森づくり (J-VER ※) 動支援に役立てられています。 保全への貢献が評価され、鳥取県から 「J-VERとっとりの森を (2011年11月1日∼12月15日) 守る優良企業」 として認定されました。 ・申込人数: ・オフセット総額:4,364,000円 (546トンの CO2 削減) 371人、申込口数:641口 ・ご寄付いただいたマイル数: 1,923,000マイル (1,923,000円相当) 98 ミニ787オリジナル ピンバッジ 全日本空輸株式会社 ※環境省が 2008 年 11月に創設した国内における自主的な温室効果ガス 排出削減・吸収量をクレジットとして認証する制度。 環境への取り組み ISO 14001認証 14001 14 001認証 認証 環境法令とコンプライアンス ANA グループでは、2003年 3月期以来、環境法令遵 守の体制づくりを進めています。航空機はもとより自動 車整備工場、機内清掃サービスなど多岐にわたった業種 に携わっており、廃棄物処理法をはじめとして、1 事業所 Boarding 当たり平均 7件程度の適用を受けています。 環境法令変更などにも適切に対応し、2012 年 3 月期 においても環境に関する事故や法令による罰則の適用は 成田整備地区 2002年取得 (株)ANAケ ANAケータリングサービス リ グサ ビ スカイビルサービス カイビルサ ビ (株) 2007年取得 2009年取得 ありませんでした。 Takeoff ▶適用される主な環境関連の法律 適用される法律名 特定家庭用機器再商品化法 (家電リサイクル法) 2 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (廃棄物処理法) 3 自動車リサイクル法 4 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律 (オゾン層保護法) 5 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律 (フロン回収・破壊法) 6 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法 7 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律 (PRTR 法) 8 エネルギーの使用の合理化に関する法律 (省エネ法) 9 大気汚染防止法 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法 (自動車 NOx・PM 法) 11 水質汚濁防止法 12 下水道法 13 浄化槽法 14 騒音規制法 15 振動規制法 16 悪臭防止法 17 工場立地法 18 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律 (公害防止組織整備法) 19 毒物及び劇物取締法 20 容器包装等リサイクル法 21 建設リサイクル法 22 建築物における衛生的環境の確保に関する法律 23 食品リサイクル法 など Cruising 10 Climbing 1 In-Flight Service Approach 運搬事業者と処分工場を選定し、これらを拠点としてその ANA グループでは全国で約 4,000台の車両を使用し 地域内の空港からの使用済み自動車などを適正かつ効率 ています。その多くは特殊な車両であるため、処分には 的に処分するしくみです。 運搬手段や処分能力などの点で種々の困難が伴います。 2012 年 3 月期は、このネットワークを通じて、全国の これらの使用済み自動車などの処分をもれなく適正か 空港で使用した 101 台の車両を廃棄物処理法に沿って、 つ効率的に行い、廃棄物処理法および 2005 年 4 月より 適切に処分しました。また、これにより金属くず約 187 施行された自動車リサイクル法のいずれにも対応できる トンを再資源化しています。 Landing 使用済み自動車などの適正処分の全国ネットワーク ように、全国ネットワークを作りました。 これは、北海道、東北・関東、北陸、関西・中部、中国、 四国、九州および沖縄の各地域で十分な能力と信用ある アニュアルレポート 2012 99 大気汚染対策 大気汚染と航空のかかわり 排気ガスの少ない航空機の導入 ANA グループの事業と大気汚染とのかかわりは、①航 A N A は航空機から有害排気ガスを減らす最も効果的 空機からの排出ガス、②地上用車両からの排出ガスなど な方法として、改良型の新型エンジンを装備した最新鋭 が主たるものです。航空機からの排出ガスについては、 機を積極的に導入してきました。ANA グループが保有す 国際民間航空機関(I C A O)の排出基準として、I C A O 条 る航空機のエンジンは、すべて ICAO 条約第 16付属書の 約第 16付属書に、航空機の離着陸を模擬した LTO サイ 排出基準をクリアしています。 クルでエンジンを運転した際に排出される N O x( 窒素酸 化物) 、HC (炭化水素) 、CO (一酸化炭素) 、SN (煙濃度) ▶エンジンからの排出ガス量(2012年 3月期) ANA グループ (千トン) ANA グループ 前期比(%) 6.34 4.9 HC (炭化水素) 0.68 ‐9.2 CO (一酸化炭素) 4.85 1.9 の単位推力当たりの排出ガス量を規制しています。 国内の航空法にも、「航空機の発動機の排出物基準」と して航空法施行規則の附属書第 3に定められています。 NOx ( 窒素酸化物) ▶ ICAO 離着陸サイクル 燃料投棄について 航空機の不具合や急病人の発生により予定外の着陸を 降下 する場合、もし航空機重量が着陸限界を超えていれば安 上昇 地上走行 全のために重量を減らす必要があります。このため、やむ 3,000フィート をえず燃料を投棄しなければなりません。空港などにより 投棄場所や高度が指定されており、市街地域を避けて洋 離陸 上などで行われます。高々度で投棄された燃料は霧状と なって拡散されるため、地上への直接的な影響はありま せん。2012 年 3月期は、計 2 回、約 163kℓの燃料投棄 着陸時の高度3,000フィートから、離陸上昇時の高度3,000フィートまでを 離着陸サイクルとして、エンジンをこの条件で運転し、各排出量を計測するもの です。 が、日本列島東海岸沖太平洋上で発生しました。 エンジンテスト条件は下表の出力状態および作動時間が条件となっています。 燃料投棄回数と投棄量の推移 出力状態 定格出力(%) 作動時間(分) 離陸 100 0.7 (㎘) 900 (回) 9 上昇 85 2.2 800 8 降下 30 4.0 700 7 7 26.0 600 6 500 5 400 4 300 3 200 2 100 1 地上滑走 0 19 9 19 2 9 19 3 9 19 4 95 19 9 19 6 9 19 7 9 19 8 9 20 9 0 20 0 0 20 1 0 20 2 0 20 3 0 20 4 05 20 0 20 6 0 20 7 0 20 8 0 20 9 1 20 0 1 20 1 12 0 (3月期) ■投棄量(左軸) 投棄回数(右軸) 100 全日本空輸株式会社 環境への取り組み 化学物質の使用削減 PRTR (環境汚染化学物質排出・移動登録) 法への対応 前期に使用量が多かったペイント剥離剤のジクロロメ A N A グループでは当該物質の正確な把握と確実な法 タンについては、非メチレンクロライド系剥離剤を導入す ることで、使用量を前期比 5分の1へと大幅に削減するこ を関連づけてデータベース化し、一元的に管理していま とができました。今後も、環境への負荷を考慮した適切な す。また、グループ会社での全体の情報も集約できるよ 作業の実施、指定有害物質を含まない代替材料や技術の うに、組織連携を強化してきました。2012年 3月期の排 研究など、改善を進めていきます。 Boarding 定届け出を行うよう、購入品目と数量、成分および出庫量 出・移動総量は、24,180k g となりました。前期より増加 していますが、これは指定化学物質の対象品が 21品目追 加されたことによるものです。 Takeoff ▶ANAグループで使用した主な第一種指定化学物質(2012年3月期) 指定化学物質 CAS No. ※ 用途 78-93-3 特記 メチルエチルケトン (MEK) 洗浄剤 ̶ 2 トリブチルホスフェート 動翼・着陸装置などの作動油 126-73-8 SKYDROL500B4 3 トルエン ペイントなどの希釈剤 108-88-3 揮発成分の少ない塗料を選定している Climbing 1 ※ 化学物質特定に係る国際的標準番号 羽田空港および成田空港では、夜間に航空機の水洗を 航空機は安全のために、翼や動翼、胴体などに雪氷が 実施しています。2012年 3月期の ANA グループの水洗 付着したままでは離陸できません。除雪時にはお湯また 実施回数は 1 機当たりの実施回数の大幅減少により、ま は圧縮空気(乾雪の場合) で雪を吹き飛ばし、続いて防氷 た使用水量は作業の改善により、ともに減少しました。作 剤を塗布して出発します。ANA グループは、1996年以 業後の水は、空港内の排水処理施設にて適正に処理した 降、プロピレングリコール (PRTR 法適用外の材料) に全面 後、排水しています。 転換していますが、さらなる環境対策を目指し、2009− In-Flight Service 防雪・防氷剤の使用削減と環境対策 Cruising 航空機の水洗と排水処理 10冬季に、キルフロスト社製の環境対応型防氷液 「DF サ ANAグループの水洗使用水量と実施回数 ステイン」 を、千歳空港および函館空港において部分的に (回) 800 使用開始しました。キルフロスト 「D F サステイン」 は、石 12 700 ルを使用しており、製品使用時の C O 2 の排出が 0となる 9 600 6 500 3 400 0 300 (千トン) 15 油系のプロピレングリコールの代わりに植物性グリコー Approach ほか、水棲動物に対する毒性が現行品より大幅に低下し ているなど、優れた環境特性を持っています。防氷液とし ての性能も現行品より優れており、使用結果も良好でし Landing た。2010−2011冬季には、函館空港においてその使用 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 20 12 19 97 19 19 98 割合を増加しました。今後も継続的に使用拡大を目指し ていきます。 (3月期) ■ 使用水量(左軸) 実施回数(右軸) アニュアルレポート 2012 101 また、防雪・防氷剤の使用量そのものを減らすため新 型機材の開発導入と作業改善に努めていますが、2010 航空機の外装ペイント作業における PRTR 物質や 揮発性ガスの排出削減 −11 冬季は、北海道・東北地方の大雪日数増加に伴い、 A N A グループでは、水質・土壌汚染対応として 2009 使用量も増加しました。 年 3 月から国内工場で実施する機体の塗装剥離作業に 「非メチレンクロライド系中性剥離剤」 ( PRTR 法適用外の 環境にやさしい材料) を導入しています。さらに海外工場 内際の防雪・防氷の実施回数と防・除雪氷液の使用量 (㎘) 2,000 (回) 10,000 1,600 8,000 1,200 6,000 800 4,000 400 2,000 の一部でも導入しており、順次拡大する計画です。 また、2005 年 3 月期から塗料メーカーと進めてきた、 クロムを含まない低 V O C(揮発性有機化合物)型中塗剤 の開発は、2010年 3月期に最終試作品が完成し、実機の 一部に試験塗装を実施しました。現在、実運用評価は良 好で、塗装試験範囲を拡大・評価しつつ導入に向けて努力 を続けています。 スの発生が少ない「低 V O C 外装塗料」 を導入し、すでに 0 19 9 19 3 9 19 4 9 19 5 9 19 6 9 19 7 9 19 8 9 20 9 0 20 0 0 20 1 0 20 2 0 20 3 0 20 4 05 20 0 20 6 0 20 7 0 20 8 0 20 9 1 20 0 1 20 1 12 0 なお、上塗剤については 2003 年 3 月期から揮発性ガ (3月期) 全機対応を完了しています。 ■ 使用水量(左軸) 実施回数(右軸) 騒音対策 近年、航空機騒音の軽減に対する要求は強くなってお います (右上に行くほど、静かな航空機ということができ り、飛行方式・航空機材の改善に向けた継続的な努力によ ます)。ANA が世界に先駆けて導入した最新鋭ボーイン り、地上の皆様や機上のお客様への騒音低減が図られて グ 787型機は、エンジンのシェブロンノズル (鋸歯状排気 います。 ノズル)、新素材などの最新技術を積極的に採用した結 ANA グループが保有する全機について ICAO 騒音基 果、格段の騒音低減を実現した航空機であることが、この 準のうち最も厳しいチャプター4 基準に適合しています。 グラフからもわかります。 下のグラフは各機種の騒音基準値からの余裕度を示して 航空機材の改善 ▶ICAO Annex 16/チャプター4 基準(ANAG Fleet) 18 航空機の騒音を低減する静穏化技術実証機試験プログ ラムに参画し、ANA のボーイング 777-300ER 型機を使用 B787-8 STD した試験飛行と効果を基に、騒音の発生源 (機体およびエン 14 DHC8 Q400 チャプター3/2 測定点の組み合わせの 最小余裕値合計 (EPNdB) 12 ジン) の改良、航空機性能の改善に協力しました。 以下に、実施ならびに検討中の騒音軽減策の例を紹介 DHC8 Q300 します。 B767-300 10 B737-700 B737-800 B777-200 B777-300ER B767-300ER B777-300 B747-400 B737-500 8 6 A320-200 B747-400D 4 チャプター3 基準適合範囲 チャプター4 基準範囲 吸音面積の拡大例 2 鋸歯状排気ノズルの例 0 5 10 15 20 25 チャプター3/3 測定点の余裕値合計 (EPNdB) 102 全日本空輸株式会社 30 35 環境への取り組み 飛行方式の改善 地上に与える騒音影響を少なくするよう、種々の飛行方式を工夫しています。 ▶ANAが実施している主な騒音軽減運航方式 方式 離陸 急上昇方式 概要 Boarding 通常より高い高度 (3,000フィート) まで離陸上 昇を継続し、高騒音を極力空港地域内に収める とともに、住居地域での高度を確保し騒音を抑 制する。 通常のコース 住居地域 離着陸 ディレイドフラップ進入方式 フラップと脚を下げるタイミングを遅くし、機体の空気抵抗を減らして、必要なエンジン推力を減らし、 騒音を抑制する。 低フラップ角着陸方式 最終着陸時使用するフラップ角を小さくセットし、機体の空気抵抗を減らして、必要なエンジン推力を減ら し、騒音を抑制する。 優先滑走路方式 滑走路の一方に居住地域がない場合、風向、 風速から可能な限り、その方向で離着陸を行う。 滑走路 優先飛行経路方式 Climbing 住居地域 Takeoff 着陸 滑走路 海 Cruising 空港周辺 (低高度) で旋回などにより、居住地を 極力迂回したり、河川上の経路を選択する。 河川 住居地域 非精密進入において、FMSのVNAV機能を使用 し降下する方法。極力空港近くまで高高度を維 持し、その後連続的に降下するため、エンジン推 力の変化を抑え、騒音軽減を図ることができる。 燃料節減効果もある。 通常のコース 着陸滑走路 住居地域 Approach RNAV ※ 3/LLZ ※ 4 飛行方式 In-Flight Service FMS ※ 1 の VNAV ※ 2 機能を 利用した連続降下方式 滑走路 空港周辺で RNAV/LLZを利用し、経路短縮とともに居住地を避けて飛行する。深夜帯の羽田では木更津 (陸上) を通らず、海上でショートカットして着陸進入する。 ※1. FMS: Flight Management System。飛行条件に応じて最適な速度や航路を計算し、 これに基づきエンジン出力調整や操縦などの飛行管理を自動的に行う装置。 ※2. VNAV: Vertical Navigation。あらかじめ登録された降下経路情報により、一定の降下角での進入を可能とする機能。 ※3. RNAV (広域航法) : Area Navigation。航空保安無線施設や衛星ならびに自蔵航法機器を利用して自機の位置を算出し、任意の経路を飛行する航法。 Landing ※4. LLZ: Localizer。着陸時に、滑走路の中心から左右のずれを航空機に対して電波で示すシステム。 アニュアルレポート 2012 103 省資源化への取り組み ANA グループの 3R 活動 ANA グループでは、機内・空港内や事業所で発生した 廃棄物を再び活用していく、省資源・リサイクル活動を推 進しています。 ◆機内・空港内およびグループ内での 「クローズド・リサイクル」の促進 機 内・空 港 内やグ ル ープ 内 事 務 所で発 生する廃 棄 物 を、再び機内・空港内や自社・グループ内で活用していく クローズド・リサイクルに努めています。 事業所で発生した使用済み O A 紙を再生紙として活用 するほか、使用後不要になった機内誌などを回収し、再び 時刻表や事務用封筒、名刺などに再生させ、全国の事業 所で使用しています。 ◆制服のリサイクル 客室乗務員・地上係員や運航乗務員の使用済み制服 を、元の繊維状態に戻して、自動車の吸音材として再利 用しています。 なお、制服自体もペットボトルなどからのリサイクル素 材でできています。 ◆お客様手荷物梱包用ポリ袋のリユース・リサイクル 2010 年 9月より羽 田 空 港 にお い て 、お 客様の手荷物やベ ビー・カーなどを梱包 するた め に 使 用して い た ポリ袋 のリユ ー ス・リサイクルを行っ ており、他空港にも拡 大中です。 羽田空港での梱包用ポリ袋回収 ◆その他の取り組み 航空機整備 航空機の重心測定方法の変更 (搭載済み燃料を廃棄せず に測定) 航空機塗装作業で使うシンナーなどの溶剤を委託会社で 浄化して再利用 超高圧水でエンジン部品を洗浄して洗浄剤の使用量を 削減 機内空調用活性炭、航空機格納庫排水処理用の活性炭の 再利用 機内誌 (左) と機内誌からリサイクルした時刻表 (右) 航空機エンジン部品、修理用アルミ端材を金属素材として リサイクル 航空機内 国際線機内から出るごみ (ビン、缶) を分別回収 航空貨物部門 貨物防水・防塵用ビニールシートを固形燃料、ごみ袋とし てリサイクル 地上施設・設備 雨水と厨房排水処理水 (中水) の利用 空港内で使用した自動車などを金属素材としてリサイクル 104 全日本空輸株式会社 環境への取り組み ANA グループ環境データ 環境に関する 2012 年 3 月期のデータをまとめました。A N A グループが環境や社会に及ぼしている 影響について、数値やグラフでご報告します。 ▶2012年3月期環境データ一覧 単位 ANA単体 ANAグループ 合計 ハロン・フロン (航空機) kg 0 0 合計 水資源の消費 (建物での使用) 万トン 37.1 59.2 13.9 自然生態系破壊 万トン 5.4 kℓ 右記に含む 1,521 有害物質 保管量 PCB (ポリ塩化ビフェニル) トン 7.2 13.8 森林破壊 紙の使用量 エネルギー エネルギー消費 (原油換算) 5,382 276 329 航空機エネルギー (原油換算) 消費 原油万kℓ 272 322 原油万kℓ 4.49 6.28 航空機 燃料消費 万kℓ 286.8 340.6 消費量 (提供座席キロ当たり) L/100ASK 3.62 3.63 航空機 機 右記に含む 226 自動車 台 右記に含む 3,978 低公害車保有割合 % 右記に含む 25 総計 万トン-CO2 714 850 航空機 (総排出量) 万トン-CO2 706 839 航空機排出量 (提供座席キロ当たり) kg-CO2/RTK 右記に含む 1.13 地上設備・自動車 (総排出量) 地上エネルギー (原油換算) 消費 (機体電力供給含む) 大気汚染 全保有数 2 排出量 CO(二酸化炭素) 万トン-CO2 8.4 11.1 NOx (窒素酸化物) (航空機のLTOサイクル※での排出量) 万トン-NOx 0.53 0.61 HC (炭化水素) (航空機のLTOサイクル※での排出量) 万トン-HC 0.07 0.08 CO (一酸化炭素) (航空機のLTOサイクル※での排出量) 万トン-CO 0.39 0.48 上空投棄 燃料:航空機 廃棄物 排出量 kℓ 右記に含む 163 回数 回 右記に含む 2 総計 万トン 右記に含む 2.36 機内ごみ・し尿ごみ 合計 万トン 右記に含む 1.76 万トン 0.34 0.61 (地上) 全廃棄物合計 In-Flight Service 廃棄物 総投棄量 Cruising 右記に含む 原油万kℓ Climbing トン 総計 Takeoff 量 廃水処理 (建物での使用) 航空機防除氷液の使用量 水質汚染 地球温暖化 全排出量 Boarding オゾン層破壊 水資源 上記のデータは、2012年3月期におけるANAおよび連結子会社の一部 (航空輸送、航空機整備、グランドハンドリング、ケータリング、車両整備、 ビル管理など) の環境に かかわるものを集計したものです。なお、連結子会社の一部データは集計に含まれていません。 ※ ICAOの定める離発着標準モデル Approach 主要環境データ 航空機のCO2排出量の推移 地上エネルギー消費量の推移 (万トン) (原油換算:万kℓ) 1,000 8 800 806 711 677 600 839 799 759 614 627 706 6.4 6 5.4 4 0.6 1.0 5.7 0.3 0.7 1.0 0.3 0.8 0.8 0.3 6.3 0.9 0.7 0.2 6.3 Landing 835 0.3 1.0 0.5 400 2 200 0 2008 2009 2010 2011 ANAグループ (国内線・国際線合計) ANA (国内線・国際線合計) 2012 (3月期) 0 3.7 3.6 2008 ANA 2009 4.5 2010 グループ会社 4.5 2011 車両 4.5 2012 AGP※ ※ AGP: Airport Ground Power アニュアルレポート 2012 105 地上エネルギー消費量 地上エネルギー消費の内訳 震災後の電力不足のため、徹底した節電や省エネ対策 (2012年3月期) を実施しました。 (%) 施設用燃料 6 ガス 2 総量としては、ANA 単体では大きな変化はなく、新た 熱 11 に A N A テレマート (株)長崎コールセンターや (株)A N A ケータリングサービス川崎工場の稼働といった、使用エ 4.5万 原油kℓ ネルギー絶対量の増加要因がありましたが、前期並みの 水準となりました。また、原単位については、大きく減少 電力 81 しています。 主要事業所のエネルギー消費 廃棄物の排出量 (原油換算:kℓ) 乗員訓練センター& ビジネスセンタービル ANAケータリングサービス 10,516 した。 7,232 航空機系廃棄物の収集範囲の変化により、全体総量と 4,510 羽田ターミナル地区 成田ターミナル地区 機体メンテナンスセンター (羽田) 3,065 しては約 2,400トン程度増加しましたが、その他一般廃 2,951 棄物、産業廃棄物量は若干の減少となっています。 エンジンテストセル 2,397 エンジンメンテナンスビル 2,269 コンポーネントメンテナンスビル 1,476 機体メンテナンスセンター (成田) 1,421 0 ANA グループ全体では 23,645トンの排出量となりま 航空機系ごみは ANA グループの廃棄物全体の約 7割 と多くを占めていますが、し尿処理量を除き機内ごみだ けを見ると減少しています。 4,000 8,000 12,000 地上から出るごみは、全体の中では3割弱です。産業 廃棄物では廃棄プラスチックの割合が多く、削減努力は 行っているものの産廃全体の中の 3 割強を占めていま 年間エネルギー消費の内訳 す。一般ごみ、産業廃棄物ともに、今後とも3R 活動を一 (機体への電力供給含む) (2012年3月期) 地上エネルギー 2 層進めていきます。 (原油換算:%) 廃棄物の排出量の推移 (千トン) 30 航空機エネルギー 98 20 10 主要事業所のエネルギー消費の推移 22.8 2.4 2.8 23.6 2.9 3.5 23.5 2.4 3.8 17.6 17.2 17.3 14.9 2008 2009 2010 2011 (原油換算:kℓ) 14,000 0 12,000 23.6 2.4 3.7 17.5 2012 一般廃棄物 (航空機系) 一般廃棄物 (地上系) 産業廃棄物 (一般+特別) 6,000 4,000 2,000 0 2008 2009 2010 2011 2012 BCビル (IT+運航訓練室) 原動機センター (テストセル含む) 羽田ターミナル地区 成田ターミナル地区 機体メンテナンスセンター (羽田) 機装センター 機体メンテナンスセンター (成田) 106 21.2 2.5 3.8 全日本空輸株式会社 環境への取り組み 自動車保有状況 廃棄物の内訳 (2012年3月期) A N A グループ全体で、3,978 台(リース車を含む)の (%) 自動車を運行しています。低排出ガス車の保有数は 102 産業廃棄物(一般+特別)10 台増加し、985 台となりました。タグ車、フォークリフト 車を中心に電気自動車の保有が 58 台増加し、200 台に 一般廃棄物(地上系)15 なりました。伸び率は前期比 40%増となっています。 機内ごみ 14 航空機汚水 61 Boarding 23,645 トン また低公害車の全体に占める割合は 25%となり、前期 より1%増加しています。 自動車保有台数の推移 (台) 産業廃棄物の内訳 (%) その他 0 3,000 金属くず 8 動植物性残さ 10 2,425 トン 廃プラスチック 37 2,000 廃油 11 1,000 3,076 廃酸 1 廃アルカリ 8 0 2008 794 669 594 2009 2010 車両総台数 883 985 Climbing 木くず 8 汚泥 17 3,978 3,693 3,520 3,429 Takeoff 4,000 (2012年3月期) 2012 (3月期) 2011 低排出ガス車 Cruising 保有する自動車の内訳 紙の消費量 (2012年3月期) A N A グループ全体では 5,382トンの消費実績となり (%) 登録車 17 ました。前期比 7% (440トン)減少しています。時刻表、 旅行パンフレット、カレンダー、機内誌など営業活動に関 紙類使用量は 2007 年 3 月期と比較すると半減してい In-Flight Service 3,978 台 連するものが前期に続き減少しています。 非登録車 83 ます。全体の紙類使用量は大きく削減させたものの、事 務所内で使用するコピー用紙はほぼ前期並みの使用量 Approach でした。 低排出ガス車の内訳 (2012年3月期) 紙の使用量の推移 (%) (千トン) 10 9.9 1.9 6 2.3 8.9 0.4 0.1 1.4 0.5 2.0 4 2 0 4.7 2008 4.4 2009 旅行パンフレット カレンダー ガソリン/軽油 ハイブリッド車 2 7.3 0.3 0.1 1.2 0.5 5.8 5.4 1.7 0.4 0.2 1.1 0.4 1.1 3.4 2.6 2.3 2011 2012 2010 時刻表 航空券 0.4 0.1 1.1 0.4 1.1 Landing 8 電気自動車 20 0.4 0.1 0.5 985台 ガソリン/軽油 低排出ガス車 78 機内誌『翼の王国』 OAコピー用紙 アニュアルレポート 2012 107 コーポレート・ガバナンス (2012年6月19日現在) 基本的な考え方 監査役の選任などによる監査役の監査機能の強化を図っ A N A グループでは、企業価値の継続的な向上を実現 ています。 するために 「経営の透明性」 を維持し、 「 ステークホルダー 会社法上、取締役会に諮る必要のある重要案件は、取 への説明責任」 を確実に果たしていくコーポレート・ガバ 締役会で最終的な意思決定を行っています。取締役会は、 ナンス (企業統治) の構築が必要であると考えています。 取締役会長が議長を務め、社外取締役 2名を含む取締役 全員に加え、社外監査役 3 名を含む監査役 5 名も参加し 会社の機関の内容 て開催しています。 ANA は、取締役 16名、監査役 5名、執行役員 36名 (取 業務執行上の主要な案件は、代表取締役社長が議長を 締役兼務者を含む) という経営体制をとっています。な 務め、常勤取締役、常勤監査役ほかをメンバーとする 「グ お、ANA の取締役は 20名以内とする旨を定款に定めて ループ経営戦略会議」 にて立案・発議を行い、具体的な経 います。 営の遂行にかかわる意思決定を行っています。また、ANA 厳しい経営環境下では、競争力のある経営体制が不可 グループのオペレーションにかかわる構造的な問題に対し 欠であるとの考えの下、事業を熟知し経営に精通した人材 ては、オペレーション統括本部長を議長とする 「オペレー を取締役に選任するとともに、各部門には経験豊かで高 ション推進会議」 において、組織・人財育成・制度・規程・権限 い専門性を有する人材を執行役員として配置し、部門運 といったあらゆる側面から、グループ運航会社の各関係部 営についての権限を委譲して機能的で効果的な業務執行 門が横断的解決策を検討・決定しています。CSR の最高意 を行っています。また、ANA は、監査役会制度を採用し 思決定機関としては、社長総括の下、常勤取締役で構成さ ており、取締役会と監査役により、取締役の職務執行の監 れる 「CSR 推進会議」 を設置しているほか、その下部組織と 督および監査を行っています。さらに、社外取締役の選任 して 「リスクマネジメント委員会」 「コンプライアンス委員会」 をはじめとする取締役会の監督機能の強化、常勤の社外 「環境マネジメント委員会」 を設置しています。 ▶コーポレート・ガバナンス体制 株主総会 選任/解任 会計監査人 報告 選任/解任 選任/解任 会計監査 取締役会 報告 取締役16名 (うち社外取締役2名) 監査役 監査 監査役会 グループ経営戦略会議 選任/解任 監督 オペレーション推進会議 オペレーションレポート&レビュー会議 監査役5名 (うち社外監査役3名) 報告 代表取締役 社 長 報告 CS推進会議 総合安全推進委員会 監査役室 指示/監督 報告 監査部 内部監査 執行役員 指示/監督 各 事 業 部 門・グ ル ー プ 会 社 全日本空輸株式会社 リスクマネジメント委員会 CSR推進会議 コンプライアンス委員会 24名 (取締役兼任を除く) 108 IT戦略推進委員会 環境マネジメント委員会 特化した部会が設置されており、新型インフルエンザ対応 明性を高め、公正かつ適切な報酬体系を構築することを など個別リスクに対しては、委員会の付託を受けて部会に 目的に、2011年 2月、社外取締役を含む社外有識者が過 おいて対応を図る体制としています。 半数を占める 「報酬諮問委員会」 を設置しました。 ANA においては、取り巻くさまざまな事業リスクに対し このほか、ANA グループの経営について意見やアドバ て、予防的な観点から、事前の準備や統制を図ることを目 イスを率直かつ自由に述べていただくために、各界の識 的とした 「リスク管理」 と、実際にリスクが顕在化した場合 者 7 名をメンバーとする 「経営諮問委員会」 を設置してい に迅速かつ適切に対応する 「危機管理」 との、2つの側面か ます。 ら体制構築に取り組んでいます。 Boarding また、取締役の報酬について、その決定プロセスの透 予防的観点からの 「リスク管理」 については、リスクの極 小化を目的としたリスクマネジメントサイクル (リスクの洗 「業務の有効性および効率性」 「 財務報告の信頼性」 「事 を構築し、リスク管理活動を行っています。当期において 業活動にかかわる法令などの遵守」 「 資産の保全」の 4 つ は、前期に引き続き、各本部、グループ各社の国内・海外 を目的として、経営者が内部に構築すべき内部統制シス の各事業所において洗い出した重要なリスクへの対応に テムであり、A N A グループでは具体的に 「リスクマネジ ついて、対策の進捗度や効果、達成レベルなどの協議を メント」 「コンプライアンス」 「 内部監査」 をその実現手段と 行い、活動結果の最終評価を実施しました。また、同時に してとらえ、リスクマネジメント委員会、コンプライアンス 来期に向け 「リスクの洗い出し」 を再度行うとともに、CSR 委員会、監査部の 3 つを柱とする内部統制システムを構 推進会議およびリスクマネジメント委員会などの経営会議 築しています。 体にて報告を行っています。情報セキュリティ分野におい また、 「 財務報告に係る内部統制報告制度」 に対しては、 ては、CSA (Control Self Assessment:情報セキュリ 「ANA グループ財務報告に係る内部統制規程」 に基づき、 ティに関する自己点検のしくみ)を社内イントラネットを 内部統制の整備・運用ならびに評価を継続して実施してお 設置しているすべての部署に対して導入したほか、全役職 り、当期においてもグループ全体における内部統制の有 員を対象に情報セキュリティに関するルールの定着を図る 効性を確認しています。 べく、映像教材 (e ラーニング) による啓発を計 4回行うな Takeoff 内部統制システムおよび リスク管理体制の整備の状況 い出し→分析→評価→対策の検討と実施→モニタリング) Climbing Cruising In-Flight Service どの対策を実施しています。 万一の事態に備える 「危機管理」 の側面では、損害の極 ANA グループにおけるリスク管理に関する基本事項を 小化を図るとともに、原因を調査究明し、将来の安全かつ 規定した 「A N A グループ・トータルリスクマネジメント規 安定的な事業運営の確保を目指し、具体的なマニュアル 程」の下、リスクマネジメント委員会、委員会の事務局で に基づき対応する体制を構築しています。ANA グループ ある総務部、および主要部署やグループ会社に配置され の航空機にかかわる事故およびハイジャックなど、オペ た CSR プロモーションリーダーによって、リスク管理活動 レーションに直接影響する事象への対応については、 「ERM を推進する体制を構築しています。C S R プロモーション (Emergency Response Manual) 」にて定め、それ以外 リーダーは、各社・各部におけるリスク管理の推進者とし の危機(システム障害、情報漏洩、不祥事、外部要因に て、リスク対策を計画的に実施するとともに、危機発生時 よるリスクなど)へ の 対 応につ いては「 C M M( C r i s i s には委員会や事務局と連携しながら迅速に危機対応にあ Management Manual) 」にて規定しています。事故・ たる役割を担っています。また、リスクマネジメント委員 ハイジャックについては、毎年定期的に実践的な演習・ 会には、リスクマネジメント部会のほか、情報セキュリティ 訓練を実施しており、危機発生時の「安否確認」体制構築 部会、安全保障輸出管理部会など、専門性のあるリスクに についても、グループ全体で推進しています。 Landing アニュアルレポート Approach リスクマネジメント 2012 109 コンプライアンス 内部通報制度の整備に関しては、 「 内部通報取扱規則」 内部統制を充実していくうえで、リスクマネジメント機 を制定し、社内および社外(弁護士事務所) に内部通報窓 能とともに、重要な構成要素であるコンプライアンス責任 口を設置しています。この内部通報制度について、ANA を果たしていくため、 「ANA グループ・コンプライアンス規 グループ全体だけでなく、取引先に対しても周知を図って 程」 に基づき、コンプライアンスの教育・啓発を推進し、グ います。 ループ全体のコンプライアンス体制を構築しています。 業務執行責任者で構成するコンプライアンス委員会の下、 内部監査および監査役監査、 会計監査の状況 ANA 各事業所およびグループ会社に配置された CSR プ 内部監査は、社長直属の監査部が ANA およびグルー ロモーションリーダーを牽引役として、コンプライアンス プ会社に対する業務監査、会計監査および金融商品取引 の浸透状況の評価、ANA グループ全体におけるコンプラ 法における 「財務報告に係る内部統制の評価制度」 に対応 イアンス活動の推進強化にあたっています。当期の取り した評価活動を実施しています。監査は年度計画に基づ 組みとしては、 「 ANA グループ行動基準」 について解説し き実施する定例監査と、経営層の意向などに基づき実施 た DVD 教材を日本語、英語、中国語にて作成し、海外支 する非定例監査があり、定例監査は ANA の各部署および 店を含む全事業所に配布しました。また前期に引き続き、 グループ会社に対するリスク分析に基づき、独立・客観的 10月に 「CSR 推進月間」 を設定し、リスクマネジメント、独 な立場から監査を行っています。当期においてはグルー 占禁止法などについて集合教育やeラーニングによる教 プ経営計画と部門活動計画の整合性と部門運営管理を 育・啓蒙を行い、11月にはコンプライアンス意識調査を全 重点監査項目とし、本社部門、現業部門、海外事業所など グループ社員に実施しました。 を中心に約 20事務所の監査を実施しました。なお、監査 推進体制については、執行役員を中心とした各部門の ▶内部統制システムおよびリスク管理体制 取締役会 社 長 CSR推進会議 監査部 リスクマネジメント委員会 リスクマネジメント部会 コンプライアンス委員会 安全保障輸出管理部会 情報セキュリティ部会 チーフCSRプロモーションオフィサー (総務部担当役員) チーフCSRプロモーションオフィサー (総務部担当役員) 総務部 (事務局) 総務部・法務部 (事務局) CSRプロモーション オフィサー/リーダー (各社・各部のリスク管理推進者) CSRプロモーション オフィサー/リーダー (各社・各部のコンプライアンス推進者) リスク管理体制 110 全日本空輸株式会社 内部統制システム コーポレート・ガバナンス 木村氏は名古屋鉄道(株)の相談役を兼務しており、同 しています。 社は当社の実質筆頭株主ですが、主要株主ではなく、そ 監査役監査は、5 名の監査役(うち 3 名は社外監査役) の保有比率は 5%未満です。また、同社とANA グループ が実施しています。金融機関出身で常勤の社外監査役を との間には航空券販売の受委託に関する取引などがあり 中心に、社内の業務に精通した常勤監査役、独立性の高 ますが、ANA を主要な取引先としていないため、一般株 い社外監査役の体制で行っています。各監査役は事業所 主と利益相反が生じることはないと認識しています。 の業務監査、子会社調査を実施し、監査役会へ報告し、代 森氏は関西電力 (株) の代表取締役会長を兼務していま 表取締役へは報告のうえ、意見交換を実施しています。ま すが、同社とANA グループとの間に電力需要者としての た、監査部、監査法人と四半期に 1回、情報・意見交換を 通常の取引はありますが、特別の利害関係はありません。 行い監査の充実を図っています。なお、監査役監査を補 なお、両氏は取締役会に出席し、豊富な経験や識見を 佐するために、監査役直属の監査役室を設置し、社長直 活かして、適宜必要な発言を行っています。また、取締役 属の監査部や監査法人と連携を取り、監査体制を強化し 会以外においても必要に応じて代表取締役との意見交換 ています。 を実施し、適宜必要な助言を行っています。 Boarding 結果は毎月社長へ報告し、監査役にも四半期ごとに報告 Takeoff 会計監査は、新日本有限責任監査法人が ANA の各事 社外監査役 取引法に基づく監査を実施しています。監査結果は経営 社外監査役は大川澄人氏、松尾新吾氏、近藤龍夫氏の 層と監査役会に報告しています。 3名です。 Climbing 業所ならびにグループ会社に対して、会社法と金融商品 大川氏は 2011年 6月から常勤監査役となりました。大 ▶監査に従事する会計士 公認会計士の氏名等 所属する監査法人 浜田 正継 業務執行社員 岡 研三 Cruising 川氏は政策金融機関の代表であったことから、松尾氏およ び近藤氏は公共性の高い事業における経営者であること から、豊富な経験と幅広い識見を活かして、当社監査体制 新日本有限責任監査法人 神尾 忠彦 います。 In-Flight Service ※ 同監査法人はすでに自主的に業務執行社員について、ANA の会計監査に一定 がさらに強化できると判断し、社外監査役として選任して また、大川氏は、常勤監査役として取締役会、監査役会、 期間を超えて関与することのないように措置をとっています。 グループ経営戦略会議、定例役員会議などに出席すると 監査業務にかかわる補助者は、公認会計士 12名、その ともに、内外の事業所・部門の往査を実施しています。松尾 他 19名です。 氏および近藤氏は、取締役会、監査役会に出席するとと Approach もに、代表取締役との意見交換を実施しています。 大川氏、松尾氏、近藤氏とANA グループの間には特別 社外取締役 の利害関係はありません。松尾氏が相談役を務める九州 ANA ではコーポレート・ガバナンスの一環として、独立 電力 (株) 、および近藤氏が取締役相談役を務める北海道 した立場から A N A の経営に適切な助言をいただくこと 電力 (株) とANA グループとの間には電力需要者としての で、経営体制がさらに強化できると判断したため、社外取 通常の取引はありますが、特別の利害関係はありません。 締役の選任を行っています。社外取締役は木村操氏と森 なお、2012年 3月末時点において、大川氏が過去に在 詳介氏の 2名で、両氏の選任理由は、木村氏は運輸業界、 籍した (株) 日本政策投資銀行からの借入残高があります 森氏は公共性の高い事業における経営者であることから、 が、これは過去に 「緊急対応等支援制度」 による緊急融資 経験と幅広い識見を活かして、第三者的な立場から当社 を受けたことによるものであり、これまで滞りなく約定ど 経営に適切な助言をいただくことで、当社経営体制をさら おりの弁済を行ってきています。 Landing 社外取締役および社外監査役 に強化できると判断したためです。 アニュアルレポート 2012 111 独立役員の状況 監査役の報酬は、その役割を考慮し、優秀な人材を登 ANA では、社外取締役の木村氏、森氏と、社外監査役 用・確保するための固定報酬(月額報酬)で構成していま の大川氏、松尾氏、近藤氏の 5名を独立役員として選任し す。報酬の水準は、外部専門機関に依頼・調査した他社水 ています。 準を考慮し決定しています。 なお、退職慰労金制度は、2004年に廃止しています。 ▶各会議体の開催状況 当 期に行った各 会 議 体 の 開 催 状 況は、以 下 のとおり ▶取締役および監査役への報酬 です。 支給人員 取締役会 13回 監査役会 9回 経営諮問委員会 4回 グループ経営戦略会議 45回 オペレーション推進会議 11回 CSR 推進会議 3回 リスクマネジメント委員会 4回 コンプライアンス委員会 2回 2012年 3月期 支給額 取締役 (うち社外取締役) 17名 (2名) 555百万円 (18百万円) 監査役 (うち社外監査役) 6名 (4名) 88百万円 (40百万円) 合計 23名 644百万円 ※ 2012年 3月 31日現在の取締役は 17名 (うち社外取締役 2名) 、監査役は 5名 (うち社外監査役 3名) です。 ▶監査報酬の内容等 役員報酬および監査報酬 監査公認会計士等に対する報酬の内容 取締役の報酬の決定にあたっては、次の事項を基本方 監査証明業務に基づく報酬 ................................. 123百万円 針としています。 非監査業務に基づく報酬 ......................................... 2百万円 1. 報酬に対する透明性・公正性・客観性を確保するととも に、その役割と責任に値する報酬水準を設定する。 2. 経営戦略に基づく業績連動報酬の導入により、経営目 標達成に対するインセンティブを強化する。 3. 中長期的な企業価値の向上を図り、株主の皆様と利益 を共有できる報酬体系を目指す。 ANAでは、電磁的方法により議決権の行使をできるよう にしており、インターネットや携帯電話からの行使に加え、 機関投資家の方は、 ( 株) ICJが運営する議決権電子行使 プラットフォーム経由での行使もできるようにしています。 この方針に基づき、2011年 2月に社外取締役、社外有 また、招集通知などの書類に加え、株主総会の様子につ 識者が過半数を占める報酬諮問委員会を設置しました。 いても、株主総会終了後に当社ホームページにて動画配 当委員会では、外部専門機関に依頼・調査した他社水準を 信を行っています。 考慮しつつ、A N A の報酬体系およびその水準を設定し http://www.ana.co.jp/ir/soukai/index.html ました。2011年 8月より導入した役員報酬制度は、従来 の固定報酬 (月額報酬) に加え、新たに年次賞与を設定し、 業績との連動性を強化したものとしています。 社外取締役の報酬は、固定報酬(月額報酬)のみとして います。 112 株主総会と決議の状況 全日本空輸株式会社 コーポレート・ガバナンス ▶決議事項 情報開示についての考え方 第 1号議案 剰余金処分の件 透明性の高い経営体制を確立し、ステークホルダーの 本件は原案どおり承認可決され、期末配当金は 1株につ 皆様に対する説明責任を果たすためには、重要な会社情 き 4円となりました。 報や ANA の事業活動を理解するうえで有用な情報を、常 第 2号議案 吸収分割契約承認の件 当社は、2013年 4月 1日を効力発生日として、当社の 航空運送事業等を、当社の 100%子会社であるANAホー ルディングス株式会社へ吸収分割し、持株会社制へ移行し 上場規程に則り、証券取引所を通じて適時開示を行うほ か、報道機関や当社ホームページなどを活用し、より多く の情報をステークホルダーの皆様に提供できるよう努め ています。なお、当社 Web サイト上では、決算短信・有価 Takeoff ます。 つ公平に開示することが重要です。ANA では、有価証券 Boarding 本件は原案どおり承認可決されました。 にステークホルダーの皆様の視点に立って迅速、正確か 証券報告書・四半期報告書のほか、株式情報・財務データ・ 第 3号議案 定款一部変更の件 本件は原案どおり承認可決されました。変更点は次のと おりです。 月次輸送実績などを掲載しています。また、決算説明会 の動画の配信も行っています。 http://www.ana.co.jp/ir/index.html 更します。 なお、本変更は、第 2号議案に係る吸収分割契約の効力 発生を条件として、2013年 4月 1日付で効力が生じるもの 変更します。 株主・投資家とのコミュニケーションの強化 ANA では、株主・投資家の皆様との積極的なコミュ ニケーションを図るための活動に注力しています。 Cruising としており、当社は ANAホールディングス株式会社に商号 Climbing 持株会社制への移行に伴い、商号および事業目的を変 具体的には、個人株主および個人投資家の皆様向け に、全国各地にて説明会を年度を通じて開催していま いては、四半期ごとの決算発表時に説明会もしくは電 伊東 信一郎、洞 駿、篠辺 修、中村 克己、岡田 圭介、竹村 話会議を実施するとともに、必要に応じて中期経営戦 滋幸、伊藤 博行、片野坂 真哉、丸山 芳範、殿元 清司、 略の説明会も行っています。加えて、個別ミーティング 岡田 晃、西村 健、内薗 幸一、木村 操、森 詳介の 16氏が についても、積極的に行っています。また、海外の機関 選任され、それぞれ就任しました。 投資家の皆様との間では定期的に海外 IR を実施 (主に 第 5号議案 監査役 2名選任の件 北米、欧州、香港、シンガポール) しています。 Approach す。また、アナリスト・機関投資家の皆様との対話につ 本件は原案どおり承認可決され、取締役に大橋 洋治、 In-Flight Service 第 4号議案 取締役 16名選任の件 本件は原案どおり承認可決され、監査役に金澤 栄次、 松尾 新吾の両氏が選任され、それぞれ就任しました。 Landing アニュアルレポート 2012 113 In-Flight Service ... 読者の皆様がご利用いただきやすいよう、 パフォーマンスデータをまとめました。 Cruising Climbing Takeoff Boarding 114 全日本空輸株式会社 読 者 の 皆 様 が 本 ア ニュア ルレポ ートを 有 効 に ご利用いただけるよう、業績・財務に関する経年 データ、事業データ、社会性データ、株式データ など 、詳 細 な パ フォー マ ン ス デ ー タ をとりま とめ、本セクションにて掲載しています。 116 11年間の財務サマリー 118 輸送実績データ 119 業界動向データ 120 社会性データ 121 株式関連データ ▶ 環境データについては、 「環境への取り組み」 内の P93〜P107をご参照ください。 In-Flight Service Approach Landing アニュアルレポート 2012 115 11年間の財務サマリー 全日本空輸株式会社および連結子会社(注 1) 3月 31日に終了した 1年間 会計年度 営業収入................................................................................. 営業費用................................................................................. 営業利益................................................................................. EBITDA(注3).......................................................................... 税引前当期純利益 .................................................................. 当期純利益 ............................................................................. 営業キャッシュ・フロー ............................................................. 投資キャッシュ・フロー ............................................................. 財務キャッシュ・フロー ............................................................. フリー・キャッシュ・フロー ......................................................... 減価償却費 ............................................................................. 設備投資額 ............................................................................. 会計年度末 総資産 .................................................................................... 有利子負債(注4)...................................................................... 短期負債(注4)......................................................................... 長期負債(注4)......................................................................... 自己資本(注5).......................................................................... 1株当たり情報 (円、米ドル) 当期純利益 ............................................................................. 純資産 .................................................................................... 配当金 .................................................................................... 期中平均株式数 (千株)........................................................... 経営指標 営業利益率 (%) ....................................................................... 当期純利益率 (%)................................................................... 総資本事業利益率 (ROA) (%) (注6)......................................... 自己資本利益率 (ROE) (%) (注7)............................................. 自己資本比率 (%)................................................................... デット・エクイティ・レシオ (倍) (注8)........................................... 総資産回転率 (倍) ................................................................... インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍) (注9)................................. 流動比率 (倍) .......................................................................... 配当性向 (%).......................................................................... 従業員数 (人) .......................................................................... 事業データ 国内線旅客 旅客収入 (百万円、千米ドル) ................................................ 座席キロ (百万キロ)............................................................ 旅客キロ (百万キロ)............................................................ 旅客数 (千人)...................................................................... 座席利用率 (%)................................................................... ユニットレベニュー (円)....................................................... イールド (円)....................................................................... 国際線旅客 旅客収入 (百万円、千米ドル) ................................................ 座席キロ (百万キロ)............................................................ 旅客キロ (百万キロ)............................................................ 旅客数 (千人)...................................................................... 座席利用率 (%)................................................................... ユニットレベニュー (円)....................................................... イールド (円)....................................................................... 国内線貨物 貨物収入 (百万円、千米ドル) ................................................ 貨物輸送重量 (トン) ............................................................. 国際線貨物 貨物収入 (百万円、千米ドル) ................................................ 貨物輸送重量 (トン) ............................................................. 注:1. 2. 3. 4. 5. 116 2012 2011 2010 2009 1,411,504 1,314,482 97,022 216,290 63,431 28,178 214,406 (166,323) 16,171 48,083 119,268 196,881 1,357,653 1,289,845 67,808 186,248 35,058 23,305 203,889 (139,619) (10,596) 64,270 118,440 211,698 1,228,353 1,282,600 (54,247) 59,559 (95,593) (57,387) 82,991 (251,893) 173,791 (168,902) 113,806 209,937 1,392,581 1,384,992 7,589 120,470 (4,445) (4,260) (39,783) (111,139) 114,504 (150,922) 112,881 145,709 2,002,570 963,657 127,405 836,252 549,014 1,928,021 938,819 146,395 792,424 520,254 1,859,085 941,691 180,775 760,916 473,552 1,761,065 897,236 169,462 727,774 321,883 11.22 218.24 4.00 2,511,841 9.29 207.35 2.00 2,507,572 (24.67) 188.93 — 2,326,547 (2.19) 166.50 1.00 1,945,061 6.9 2.0 5.1 5.3 27.4 1.8 0.7 10.8 1.2 35.7 32,884 5.0 1.7 3.7 4.7 27.0 1.8 0.7 10.7 1.1 21.5 32,731 (4.4) (4.7) (2.8) (14.4) 25.5 2.0 0.7 4.6 0.9 — 32,578 0.5 (0.3) 0.6 (1.1) 18.3 2.8 0.8 — 0.9 — 33,045 651,556 56,756 34,589 39,020 60.9 11.5 18.8 652,611 56,796 35,983 40,574 63.4 11.5 18.1 630,976 57,104 35,397 39,894 62.0 11.0 17.8 699,389 59,222 37,596 42,753 63.5 11.8 18.6 320,066 34,406 25,351 5,883 73.7 9.3 12.6 280,637 29,768 22,430 5,168 75.3 9.4 12.5 214,124 26,723 20,220 4,666 75.7 8.0 10.6 291,077 27,905 19,360 4,432 69.4 10.4 15.0 33,248 467,348 32,413 453,606 31,829 458,732 33,097 475,014 87,978 570,684 86,057 557,445 55,750 422,449 69,069 354,251 2012年3月期末現在の連結子会社は62社、持分法適用会社は22社です。 米ドル表記は便宜上のものであり、2012年3月31日の1米ドル=82.19円で換算しています。 EBITDA (償却前営業利益) =営業利益+減価償却費 2008年3月期より、 リース取引に関する会計基準 (2007年3月30日改正) の早期適用により計上したリース負債を含みます。 自己資本=株主資本+評価・換算差額等 全日本空輸株式会社 百万円 千米ドル (注2) 2004 2003 2002 2012 1,487,827 1,403,438 84,389 201,176 115,224 64,143 165,765 (69,827) (87,336) 95,938 116,787 357,733 1,489,658 1,397,468 92,190 180,800 51,064 32,658 158,714 (128,298) (100,897) 30,416 88,610 251,926 1,368,792 1,279,990 88,802 165,003 52,433 26,722 128,525 (46,449) (3,137) 82,076 76,201 235,580 1,292,813 1,215,039 77,774 148,220 45,679 26,970 149,070 (169,247) (51,600) (20,177) 70,446 210,180 1,217,596 1,183,242 34,354 98,590 35,221 24,756 89,793 (95,882) 82,867 (6,089) 64,236 147,644 1,215,909 1,218,506 (2,597) 59,255 (54,821) (28,256) 85,952 (52,478) (63,364) 33,474 61,852 129,863 1,204,514 1,181,546 22,968 84,305 (7,178) (9,456) 33,993 (123,927) 69,104 (89,934) 61,337 132,408 17,173,670 15,993,210 1,180,459 2,631,585 771,760 342,839 2,608,662 (2,023,640) 196,751 585,022 1,451,125 2,395,437 1,783,393 767,876 136,399 631,477 452,972 1,602,091 749,446 158,724 590,722 398,223 1,666,843 846,317 149,438 696,879 346,309 1,606,613 942,256 204,454 737,802 214,284 1,565,106 1,031,713 206,557 825,156 150,086 1,442,573 945,395 83,916 861,479 121,954 1,510,982 1,017,823 221,481 796,342 138,641 24,365,129 11,724,746 1,550,127 10,174,619 6,679,815 32.93 232.58 5.00 1,947,736 16.77 204.42 3.00 1,947,618 15.64 177.89 3.00 1,708,031 17.26 128.31 3.00 1,562,537 16.14 97.66 3.00 1,533,368 (18.42) 79.57 — 1,533,940 (6.17) 90.40 — 1,533,744 0.13 2.66 0.04 5.7 4.3 5.3 15.1 25.4 1.7 0.9 10.7 0.9 15.2 31,345 6.2 2.2 6.0 8.8 24.9 1.9 0.9 8.9 0.9 17.9 32,460 6.5 2.0 5.7 9.5 20.8 2.4 0.8 6.3 1.1 19.2 30,322 6.0 2.1 5.2 14.8 13.3 4.4 0.8 7.0 0.8 17.4 29,098 2.8 2.0 2.7 18.2 9.6 6.9 0.8 4.1 1.0 18.6 28,870 (0.2) (2.3) 0.3 (21.7) 8.5 7.8 0.8 3.8 1.1 — 28,907 1.9 (0.8) 2.0 (6.5) 9.2 7.3 0.8 1.2 0.9 — 29,095 739,514 62,651 39,928 45,557 63.7 11.8 18.5 726,063 62,414 40,564 46,471 65.0 11.6 17.9 685,074 60,973 39,712 45,474 65.1 11.2 17.3 658,762 60,648 38,454 44,486 63.4 10.9 17.1 644,861 63,148 38,857 44,784 61.5 10.2 16.6 646,854 62,565 40,388 47,133 64.6 10.3 16.0 662,772 60,980 38,780 45,796 63.6 10.8 17.1 7,927,436 311,577 28,285 21,291 4,827 75.3 11.0 14.6 278,478 26,607 20,145 4,552 75.7 10.5 13.8 229,232 25,338 18,769 4,135 74.1 9.0 12.2 210,735 25,190 19,191 4,116 76.2 8.4 11.0 176,956 24,626 16,950 3,301 68.8 7.2 10.4 185,481 25,974 18,719 3,784 72.1 7.1 9.9 169,660 26,928 17,799 3,438 66.1 6.3 9.5 3,894,221 30,566 462,569 30,574 457,914 29,659 440,750 29,515 422,397 26,670 414,406 24,330 383,583 24,746 386,727 404,526 72,192 332,507 62,195 277,571 55,380 248,735 50,089 234,417 43,205 220,476 40,393 195,669 32,937 152,942 1,070,422 In-Flight Service Approach Landing 6. 7. 8. 9. ※ Cruising 2005 Climbing 2006 Takeoff 2007 Boarding 2008 総資本事業利益率 (ROA) = (営業利益+受取利息+受取配当金) ÷ [ (期首総資産+期末総資産) ÷2] 自己資本利益率 (ROE) =当期純利益÷ [ (期首自己資本+期末自己資本) ÷2] デット・エクイティ・レシオ=有利子負債÷自己資本 2008年3月期より、新リース会計基準の早期適用により有利子負債に計上したリース負債を含みます。 インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷支払利息 百万円以下の金額については切り捨てて表示しています。パーセント表示については四捨五入して算出しています。 米ドル金額については切り捨てて表示しています。 アニュアルレポート 2012 117 輸送実績データ (2012 年 3 月期 四半期別) 国内線・国際線座席利用率推移 (百万キロ) 100 80 国内線ユニットレベニュー/ イールド推移 国際線ユニットレベニュー/ イールド推移 (円) (円) 20 20 15 15 10 10 5 5 60 40 20 0 第1 四半期 第2 四半期 第3 四半期 国内線 第4 四半期 0 第1 四半期 国際線 第2 四半期 第3 四半期 ユニットレベニュー 第4 四半期 イールド 0 第1 四半期 第2 四半期 第3 四半期 ユニットレベニュー 第4 四半期 イールド 国内線 第 1四半期 旅客数 (千人) (前期比) 座席キロ (百万キロ) (前期比) 旅客キロ (百万キロ) (前期比) 座席利用率 (%) (前期差) ユニットレベニュー (円) (前期比) イールド (円) (前期比) 貨物輸送重量 (千トン) (前期比) 8,164 -14.7% 13,331 -2.1% 7,149 -14.9% 53.6 -8.0 10.1 -4.2% 18.8 +10.1% 108 +4.7% 第 2四半期 11,052 -3.0% 15,076 +2.0% 9,904 -3.2% 65.7 -3.5 12.8 +0.3% 19.5 +5.7% 120 +4.1% 第 3四半期 10,335 -2.5% 14,311 -0.5% 9,114 -2.2% 63.7 -1.1 11.8 -0.1% 18.6 +1.6% 128 +1.9% 第 4四半期 9,467 +4.9% 14,036 +0.2% 8,421 +4.8% 60.0 +2.6 11.0 +2.9% 18.3 -1.6% 109 +1.6% 2012年 3月期 39,020 -3.8% 56,756 -0.1% 34,589 -3.9% 60.9 -2.4 11.5 -0.1% 18.8 +3.9% 467 +3.0% 国際線 第 1四半期 旅客数 (千人) (前期比) 座席キロ (百万キロ) (前期比) 旅客キロ (百万キロ) (前期比) 座席利用率 (%) (前期差) ユニットレベニュー (円) (前期比) イールド (円) (前期比) 貨物輸送重量 (千トン) (前期比) 118 全日本空輸株式会社 1,273 +4.0% 8,326 +25.1% 5,470 +6.8% 65.7 -11.2 8.3 -13.7% 12.7 +1.1% 140 +6.2% 第 2四半期 1,566 +13.8% 8,592 +18.2% 6,734 +14.1% 78.4 -2.9 10.5 -1.6% 13.4 +1.9% 136 -2.1% 第 3四半期 1,487 +14.0% 8,624 +11.1% 6,389 +9.1% 74.1 -1.4 9.5 +1.3% 12.9 +3.2% 151 -1.1% 第 4四半期 1,554 +23.2% 8,862 +9.7% 6,757 +21.8% 76.2 +7.6 8.8 +8.6% 11.6 -2.3% 141 +7.4% 2012年 3月期 5,883 +13.8% 34,406 +15.6% 25,351 +13.0% 73.7 -1.7 9.3 -1.3% 12.6 +0.9% 570 +2.4% 業界動向データ 航空会社別旅客数トップ20 順位 (千人) 航空会社 順位 113,731 110,587 86,042 80,545 76,422 63,012 53,933 52,921 50,473 49,769 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 航空会社 旅客数 Air China easyJet Qantas Airways Continental Airlines All Nippon Airways TAM Airlines Gol Airlines British Airways Air Berlin Emirates 48,575 47,510 47,161 45,180 41,911 35,506 34,558 34,031 33,774 32,730 Boarding Delta Air Lines Southwest Airlines American Airlines China Southern Airlines Ryanair Lufthansa China Eastern Airlines US Airways United Airlines Air France 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 旅客数 出典:IATA World Air Transport Statistics, 2011 Takeoff 国内線定期便旅客数の推移 (国内航空会社) (千人) ■ 旅客数 (千人) 利用率 (%) (%) 100,000 80 79,052 63.1 60 50,000 40 25,000 20 0 19 7 19 3 7 19 4 7 19 5 7 19 6 7 19 7 7 19 8 7 19 9 8 19 0 8 19 1 8 19 2 8 19 3 8 19 4 8 19 5 8 19 6 8 19 7 8 19 8 8 19 9 9 19 0 9 19 1 9 19 2 9 19 3 9 19 4 9 19 5 9 19 6 9 19 7 9 19 8 9 20 9 0 20 0 0 20 1 0 20 2 0 20 3 0 20 4 0 20 5 0 20 6 0 20 7 08 20 09 20 10 20 1 20 1 12 0 Climbing 75,000 Cruising 出典:国土交通省 「航空輸送統計年報」 (会計年度) ※ 2012年3月期は速報値 国際線定期便旅客数の推移 (国内航空会社) (千人) (%) ■ 旅客数 (千人) 利用率 (%) 20,000 80 15,000 12,594 60 10,000 40 5,000 20 0 19 73 19 74 19 75 19 76 19 77 19 78 19 79 19 80 19 81 19 82 19 83 19 84 19 85 19 86 19 87 19 88 19 89 19 90 19 91 19 92 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 20 12 (会計年度) ※ 2012年3月期は速報値 Approach 0 In-Flight Service 71.9 出典:国土交通省 「航空輸送統計年報」 国内線・国際線貨物輸送重量の推移 (国内航空会社) Landing (千トン) ■ 国内 ■ 国際 2,500 1,953 1,875 1,057 1,250 625 11 10 20 09 20 08 20 20 6 07 20 05 20 0 04 20 03 20 02 20 01 20 00 20 99 20 98 19 97 19 96 19 95 19 94 19 93 19 92 19 91 19 90 19 89 19 88 19 87 19 86 (暦年) ※ 2011年は速報値 19 19 85 19 0 896 出典:国土交通省 「航空輸送統計年報」 アニュアルレポート 2012 119 社会性データ 3月 31日に終了した 1年間 女性管理職比率 障がい者雇用率 (%) 「お客様の声」 レポート件数 (%) 10 9.4 9 8.0 1.91 2.0 1.8 1.5 8.2 (件) 1.70 1.90 1.90 80,000 61,835 62,135 65,101 法定雇用率 1.77 72,370 71,108 60,000 8 7.0 1.0 40,000 0.5 20,000 7 6.1 6 5 2008 2009 2010 2011 2012 0 2008 2009 2010 2011 0 2012 2008 2009 2010 2012 2011 ※ 2010年まで:ANAおよび特例子会社の2社合算値 2011年以降:ANAおよび特例子会社 (2社) 、 グループ適用 (3社) の6社合算値 人事関連データ 従業員数 (人) 2012 2011 2010 11,387 12,848 12,900 従業員平均年齢 (歳) 39.0 38.6 38.3 平均勤続年数 (年) 13.3 12.7 12.7 1,381 1,322 1,333 50.3 50.9 49.7 海外雇用社員 (従業員数に含む) (人) 女性従業員比率 (%) 女性管理職比率 (%) 懐妊育児休職制度利用者 (人) 介護休職制度利用者 (人) 障がい者雇用率 (%) 9.4 8.2 8.0 409 349 327 19 23 9 1.90 1.90 1.91 ※ 上記のデータは、各期におけるANA および連結子会社の一部 (2010年 3月期および 2011年 3月期は ANA・ウィング・フェローズ (株) 、2012年 3月期は ANA・ウィング・フェローズ (株) ( 、有) ヴイ王子、エアーニッポン (株) ( 、株) エアージャパン、ANAウイングス (株) 、ANAビジネスクリエイト (株) ) にかかわる ものを集計したものです。なお、連結子会社の一部データは集計に含まれていません。 お客様関連データ 2012 2011 2010 71,108 72,370 65,101 国 国内線比率 (%) 55.5 55.1 60.3 国 国際線比率 (%) 33.3 33.3 28.2 そ その他 (%) 11.2 11.6 11.5 お叱り お (%) 41.1 41.9 40.1 お褒め お (%) 18.9 16.3 17.1 要望 要 ・意見 (%) 27.1 29.2 31.2 そ その他 (%) 12.9 11.6 11.6 「お客様の声」 レポート件数 (件) 内際別構成比 内 声 声の種類別構成比 120 全日本空輸株式会社 株式関連データ 2012年3月31日現在 株価・出来高推移 (円) (千株) 株価(左軸) 株式売買高(右軸) 800,000 450 600,000 300 400,000 150 200,000 0 Boarding 600 0 2010年 4月 2011年 4月 大株主 2012年 4月 Takeoff 2009年 4月 株主分布 (%) 0 71,982 2.85% 56,730 2.25% 41,597 40,397 1.65% 1.60% 31,942 31,561 30,770 30,681 1.27% 1.25% 1.22% 1.22% 0.06 2008 21.50 23.04 8.47 44.43 4.48 46.65 0.05 1.60 16.38 8.54 47.73 2.42 23.92 0.04 100 0.06 20.57 25.70 0.04 2011 80 0.50 27.74 0.05 2010 60 0.46 25.08 0.06 2009 2012 0.18 16.38 7.22 49.84 0.49 0.10 16.36 5.82 54.15 1.13% 1.06% 政府・地方公共団体 その他の国内法人 (注)1. 持株比率は自己株式 (2,609,672株) を控除して計算しております。 2. 千株未満の株数は切り捨てて表示しております。 金融機関 外国法人等 In-Flight Service 28,547 26,820 40 Cruising 名古屋鉄道株式会社 日本トラスティ・サービス 信託銀行株式会社 (信託口) 日本マスタートラスト 信託銀行株式会社 (信託口) 東京海上日動火災保険株式会社 SSBT OD05 OMNIBUS ACCOUNT - TREATY CLIENTS 全日空社員持株会 三井住友海上火災保険株式会社 日本生命保険相互会社 あいおいニッセイ同和 損害保険株式会社 株式会社三井住友銀行 20 Climbing 発行済株式 所有株式数 総数に対する (千株) 所有株式数の割合 金融商品取引業者 個人・その他 自己株式 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 274 208 329 220 382 218 446 316 486 385 489 392 509 321 403 312 364 191 380 202 24.4 18.5 35.4 23.7 ̶ ̶ ̶ ̶ 14.8 11.7 29.2 23.4 32.5 20.5 23.3 18.1 22.6 11.8 ̶ ̶ 14.3 10.9 5.8 3.9 15.8 9.0 8.0 5.7 5.2 4.1 7.9 6.3 8.9 5.6 6.8 5.3 6.3 3.3 17.4 9.20 1.3 1.6 2.0 2.7 2.1 2.4 2.9 3.1 1.0 1.1 1.2 1.9 1.7 1.9 1.8 2.4 11.22 9.29 (24.67) (2.19) 32.93 16.77 15.64 17.26 218.24 207.35 188.93 166.50 232.58 204.42 177.89 128.31 4.00 2.00 ̶ 1.00 5.00 3.00 3.00 3.00 3.7 2.0 16.14 97.66 3.00 Landing 株価 (円、東証) 高値 高 安値 安 株価収益率 (倍) 株価 高値 高 安値 安 株価キャッシュ・フロー倍率 (倍) 株価 高値 高 安値 安 株価純資産倍率 (倍) 株価 高値 高 安値 安 1株当たり当期純利益 (円) 株 1株当たり純資産 (円) 1株当たり配当金 (円) Approach 株価データ(連結) 4.8 2.5 (18.42) 79.57 ̶ アニュアルレポート 2012 121 Approach ... ANAグループは財務基盤の強化に取り組んでいます。 財務データの詳細をご覧ください。 Cruising Climbing Takeoff Boarding 122 全日本空輸株式会社 124 財務分析 134 事業等のリスク 138 連結財務諸表 143 用語集 144 路線図 146 ANAグループ 147 会社情報 In-Flight Service Approach Landing アニュアルレポート 2012 123 財務分析 概況 開始、およびエアーニッポン (株) との合併 (2012年 4月 1日実 施) に向けた諸準備を行ってきました。 ANA グループの状況 航空業界は首都圏空港容量の拡大や航空自由化のさらなる ANA グループは、全日本空輸 (株) (ANA) および、子会社 進展、LCC の相次ぐ新設など、大きな転換期を迎えています。 108社、関連会社 41社 (連結対象範囲は連結子会社 62社、持 こうした環境下で、既存の日系キャリアはもとより、アジア・欧 分法適用子会社・関連会社 22社) により構成されています。 米のフルサービスキャリア、LCCとの本格的な競争時代を迎え 2012年 3月期 (当期) は、東日本大震災 (以下 「震災」 ) の影響 るとともに、新幹線の延伸などによる他交通機関との競争も激 による需要の急減に対して、需要の喚起に努めるとともに、お 化することが予想されます。 よそ 3 0 0 億 円 の 緊 急 収 支 改 善 策を実 施し、収 支 へ 与える ANA グループは、このような大競争時代を勝ち抜き、次世 影響を極小化すべく取り組みました。加えて、下半期には、 代に向けたさらなる成長と飛躍の実現に向けて、2012年 2月に 2013年 3月期から実施予定の 1,000億円規模のコスト削減 「ANA グループ 2012-13経営戦略」 を策定し、羽田国際化・成 策の一部を前倒しで実施した結果、営業利益は過去最高となっ 田 空 港 容 量 の 順 次 拡 大 、ボーイング 7 8 7 型 機 導 入やジョ たほか、当期純利益も増益となりました。 イントベンチャーの活用などを契機とした国際線ネットワーク の拡充に取り組んでいます。あわせて、 「マルチブランド戦略 中長期的な会社の経営戦略 の確立」 「グループ経営体制改革」 「 構造改革によるコスト競争 ANA グループは、震災の影響や欧州の政府債務危機などを 力強化」の 3つを柱とする経営基盤の強化に取り組み、 「 強く 背景とした世界景気の下振れ懸念、原油価格の高騰、為替変動 生まれ変わる」ことで常にお客様に選ばれ続けるエアライン などにより依然として先行き不透明な中、 「アジアを代表する グループとして、 「アジアを代表する航空企業グループを目指 航空企業グループを目指す」 という経営ビジョンの達成に向け、 す」 という経営ビジョンの達成を目指します。 LCC 事業への参入、世界初のボーイング 787型機の営業飛行 「ANA グループ 2012-13経営戦略」 の概要 ・成長戦略の土台づくり ・継続的な財務体質の強化 ・グループ経営体制の変革 経営テーマ (従来の継続テーマ) ・経営資源の最大活用による経営効率の向上 ・強固な収入基盤とボラティリティリスク耐性の確立 マルチブランド戦略の確立 ・国際線ネットワークを拡充しながら、フルサービスキャリアとして、LCCとは一線を画す ANA ブラン ドの研鑽 ・新たな LCC ビジネスモデルに基づき、徹底的な低コスト運航体制を実現するとともに、新規需要 を創出 具体的な取り組み グループ経営体制改革 ・経営と執行を分離し、持株会社による全体最適視点での経営戦略の立案、経営資源の配分を実現 ・グループ各社に権限と責任を委譲することにより、お客様ニーズを的確に把握しつつ、スピー ディーに品質・コスト両面にわたる最適な業務を執行 ・各事業会社が業務の執行に専念することで、マルチブランド戦略推進ならびに収益最大化を実現 構造改革によるコスト競争力強化 ・ビジネスプロセス改革や組織体制のフラット化を通じて、施設・ I T・間接人員体制を最適化 ・直接部門の生産性を中心としたグローバル基準比較に基づく、競争力ある生産構造への変革 124 全日本空輸株式会社 2012 年 3 月期の国内定期航空運送の旅客数は、7,905 万人 経営環境 で前年比 3.8% の減少となりました。幹線は 3,360 万人で前年 経済一般情勢 当期の日本経済は、2011 年 3 月に発生した震災の影響によ り依然として厳しい状況にある中、個人消費は底堅く推移し、ま た設備投資は持ち直しの動きが見られるなど、景気全体は緩や かな回復基調で推移しました。一方、欧州の政府債務危機など 価格の高騰などにより、先行きは不透明な状況となりました。 原油価格・為替動向 当期の原油価格は、一年を通じて高止まりの状況が続きまし 価格では 110.1ドル/バレルとなりました。 しました。2012 年 3 月期の本邦企業の国際航空輸送の旅客数 は、1,259 万人となり前年比 8.1% の減少となりました。貨物重 量は107 万トンとなり、前年比14.5% 減少しました。 (国土交通省 「航空輸送統計」 速報) 2012 年 3 月期 (当期) の業績 Takeoff た。当期末のドバイ原油価格は 120.4ドル/バレル、当期平均 少となりました。貨物重量は90 万トンとなり、前年比 4.4% 減少 Boarding を背景とした海外景気の下振れ懸念や為替レートの変動、原油 比 3.1% の減少、ローカル線も 4,546 万人で前年比 4.4% の減 営業収入・営業利益 当期の営業収入は、震災の影響による減収がありましたが、 形で推移し、当期末で 135.4ドル/バレル、当期平均価格では 需要の喚起に努めたことにより、国際線旅客を中心に増収とな 128.4ドル/バレルとなりました。 り、前期比 4.0%、538 億円増加の 1兆 4,115 億円となりました。 円ドル為替相場は、2011 年 10 月に 75.3 円という史上最 営業費用は、事業規模拡大により営業収入が増加する中で 高値を記録するなど期中は円高で推移しました。上半期にお も 1 兆 3,144 億円と、前期から1.9%、246 億円の増加にとど いては平均 79.6 円/ドルとなり、下半期においては平均 めることができました。これは、きめ細やかな需給適合を進め 78.3 円/ドルとなりました。結果、期中平均では 79.0 円/ド たほか、震災直後に策定したおよそ 300 億円強の緊急収支改 ルとなりました。 善策の展開や、2013 年 3 月期以降で実施予定の 1,000 億円 Climbing また、シンガポールケロシン製品市況も原油価格に連動する ドバイ原油、シンガポールケロシン ドル為替の月別推移(当期) (円/ドル) 価格の月別推移(当期) (ドル/バレル) Cruising 規模のコスト削減策の一部を下半期に前倒しで実施したことに よるものです。以上により、営業利益は前期比 43.1%、292 億 円増加の 970 億円と過去最高となりました。 160 90 140 85 航空運送事業 120 80 イング 787 型機の投入などにより、前期比 3.6% 増加の 1 兆 100 75 80 70 セグメント別の状況 In-Flight Service 売上高は、ビジネス需要の回復や需要喚起策の推進、ボー 2,625 億円となりました。 ( 事業別の詳細については、P36∼ 48 の 「航空運送事業」 をご参照ください) 20 11 年 4月 20 11 年 6月 20 11 年 8月 20 11 年 10 月 20 11 年 12 月 20 12 年 2月 20 11 年 4月 20 11 年 6月 20 11 年 8月 20 11 年 10 月 20 11 年 12 月 20 12 年 2月 ドバイ原油 シンガポールケロシン Approach 国内線旅客事業は、震災の発生により需要が減退する中で、 需要喚起と需給適合に努めました。なお、震災に起因する需要 減退は当期末までに概ね解消されています。また、2011 年 11 月より羽田−岡山線・広島線にボーイング 787 型機を世界 初の定期便として投入し、その他の路線にも順次投入しまし 航空需要動向 旅客単価はビジネス需要の減退が相対的に小さかったことによ 2011 年における国際航空運送協会 (IATA) 加盟の航空会社 る客体構成の改善と、競争力の強化を背景に前期比 3.8% の による国際線定期航空輸送旅客数は8.1億人で前年比 6.5% の 増加となりました。その結果、国内線旅客収入は前期比 0.2% 増加、国内線定期航空輸送旅客数は11.0 億人で前年比 2.9% の 減少し、前期より10 億円の減収となりました。 増加となりました。また、世界の定期航空貨物の輸送量は前年 国際線旅客事業については、2011 年 5 月より需要が徐々に 比 0.7% の減少となりました。 ( IATA World Air Transport 回復する中で、需給に応じた機材の適正配置に努めました。加 Statistics, 2011) えて、訪日需要に対しては、各国からの視察旅行の誘致を行う アニュアルレポート 2012 Landing た。当期の旅客数は震災の影響により3.8% 減少しましたが、 125 単位:百万円 3 月 31 日に終了した 1 年間 2012 2011 2010 ¥ 263,123 ¥ 256,292 ¥ 249,920 「航空運送事業」 費用: 燃油費及び燃料税 ............................................................................... 空港使用料 .......................................................................................... 94,532 93,842 92,443 航空機材賃借費 ................................................................................... 67,131 63,934 60,383 減価償却費 .......................................................................................... 117,234 116,287 111,366 整備部品・外注費 ................................................................................. 45,760 46,296 56,286 人件費 ................................................................................................. 251,064 243,347 229,760 販売費 ................................................................................................. 63,532 67,098 76,577 外部委託費 .......................................................................................... 86,371 83,804 81,521 その他 ................................................................................................. 185,335 186,888 188,388 1,174,082 1,157,788 1,146,644 155,045 156,744 166,994 「旅行事業」 費用 ....................................................................................... 「その他」 費用 .......................................................................................... 134,328 134,150 134,143 営業費用合計 ...................................................................................... 1,463,455 1,448,682 1,447,781 セグメント間取引 ..................................................................................... (148,973) (158,837) (165,181) 営業費用 (連結) ....................................................................................... ¥1,314,482 ¥1,289,845 ¥1,282,600 など、積極的なイメージ回復に努めたほか、生産量増加に即し 空港使用料、機材費、人件費といった生産連動費用の増加によ たマ ー ケティング 施 策 が 奏 功し、当 期 の 旅 客 数 は 前 期 比 るものです。 13.8% の増加、旅客単価は前期比 0.2% の増加となりました。 以上の結果、航空運送事業の営業利益は前期比 46.3% 増 その結果、国際線旅客収入は前期比 14.0% 増加し、前期より 加の 884 億円となりました。 394 億円の増収となりました。 営業費用の内訳は上記のとおりです。 貨物郵便事業では、国内線貨物収入が前期比 2.6% 増加の 332 億円となりました。国際線貨物は、円高や景気の影響によ り、日本発の輸出航空貨物を中心に厳しい市場環境となりまし 燃油費及び燃料税は、前期比 2.7% 増加の 2,631 億円とな たが、輸送重量の確保に積極的に努めた結果、輸送重量は前 り、航空運送事業の営業費用に占める割合は、前期の 22.1% 期比 2.4% 増加し、国際線貨物収入は前期比 2.2% 増加の 879 から22.4%となりました。 億円となりました。郵便に関しては、国内郵便、国際郵便とも 燃料消費量に関しては、国内線を中心とした需給調整に加 に前期に比べ増収となりました。 えて、エンジン洗浄や最適飛行高度を選択して燃費の効率化 航空運送事業の営業費用は、事業規模拡大により営業収入 を図るフューエル・マネジメント (燃費効率化) などの対策を講 が増加する中であっても前期より162 億円の増加にとどめるこ じた結果、一定度抑制されましたが、国際線の生産量拡大に とができ、前期比 1.4% 増加の 1 兆 1,740 億円となりました。 よって全体の消費数量は増加しました。為替が円高基調となっ これは、震災直後に策定した緊急収支改善策(コスト削減額 たことは費用削減要因となりましたが、前期に比べ燃油市況 320 億円) 、さらには 2013 年 3 月期以降で実施予定の 1,000 水準が高値圏で推移を続けたため、燃油費の増加要因となり 億円規模のコスト削減策の一部前倒し (コスト削減額 110 億 ました。 円) の推進が奏功した結果です。 燃料税については、航空機燃料税の軽減があり費用削減要 なお前期から営業費用が増加した主な要因は、国際線旅客 因となりました。 事業の生産量の増加や市況高騰により燃料費が増加したほか、 126 〈燃油費及び燃料税〉 全日本空輸株式会社 財務分析 〈空港使用料〉 旅行事業 運航回数は、国内線が前期比 1.2% の増加、国際線が前期 国内旅行は、震災の影響により上半期における関東・東北方 比 16.3% の増加、貨物機が前期比 3.2% 増加しました。空港 面への商品の落ち込みが大きかったものの、2011 年 10 月以 使用料は、主に国際線運航回数が増加したことから、前期比 降は前期を上回る取扱高に回復した結果、当期の国内旅行売 0.7% 増の 945 億円となりました。 上高は前期並みの水準となりました。 海外旅行は、震災の影響により旅行需要が一時減退しました が、円高の影響や需要喚起策の実施により、2011 年 7 月以降 航空機材賃借費は、前期比 5.0% 増加し、671 億円となりま は中国を除き各方面で震災発生前の水準に回復した結果、当 した。リース機数は、前期末から10 機減少の 60 機となりまし 期の海外旅行売上高は前期を上回りました。 たが、国内提携航空会社との提携路線数が増加したことにより 以上から、旅行事業の売上高は、前期比 0.3% 減少の 1,589 座席買取費用が増えました。 億円となりました。営業費用は、コスト削減に努めたことなどに Boarding 〈航空機材賃借費〉 減価償却費は、前期比 0.8% 増加し、1,172 億円となりまし た。自社保有機全体では前期から14 機増えて 166 機となり、 比 48.2% 増加の 39 億円となりました。 旅行事業内訳 単位:百万円 航空機の償却費を中心に増加しました。 2011 2010 国内パッケージ 商品収入 ¥126,296 ¥127,627 ¥132,459 した。これは、海外整備の内注化を推し進めたことと、エンジン 国際パッケージ 商品収入 23,509 21,558 21,189 の整備などが減少したことなどが主な要因です。 その他の収入 整備部品・外注費は、前期比 1.2% 減少の 457 億円となりま 人件費は、前期比 3.2% 増加の 2,510 億円になりました。コ 10,196 13,328 158,952 159,381 166,976 営業費用合計 155,045 156,744 166,994 営業利益合計 3,907 2,637 (18) Cruising 〈人件費〉 9,147 営業収入合計 Climbing 2012 〈整備部品・外注費〉 Takeoff より、前期比 1.1% 減少の 1,550 億円となり、営業利益は前期 〈減価償却費〉 スト構造改革による費用削減を計画どおり実行し、一時金の水 準の見直しや管理職賃金の減額などを行いましたが、当期の業 〈販売費〉 販売費は、前期比 5.3% 減少の 635 億円となりました。販売 企画費を削減したことが主な要因です。 外部委託費は、新たに連結対象とした子会社の費用や、外航 受託ハンドリングなどが増加した一方で、需給適合を進めた結 果、オペレーションコストの削減につながり、前期比 3.1% 増加 その他は、情報通信、商事・物販、物流およびビル管理ほか の事業からなっています。商事・物販事業を行っている全日空商 事 (株) については、震災の影響で空港店舗・機内販売を中心と した顧客サービス事業が低迷したことに加え、航空機事業にお ける取り扱いが減少しました。 以上から、その他の売上高は、前期比 0.4% 減少の 1,384 Approach 〈外部委託費〉 その他 In-Flight Service 績が大きく改善したことから業績連動部分が増加しました。 億円となりました。一方で、コスト削減に努めたものの、営業 費用は前期からほぼ横ばいの 1,343 億円となり、その結果、営 業利益は前期比 14.3% 減少の 41 億円となりました。 の 863 億円にとどまりました。 Landing 〈その他の費用〉 その他の費用は、広告宣伝費や賃借費、その他管理可能費 の削減に努めた結果、前期比 0.8% 減少の 1,853 億円となりま した。 アニュアルレポート 2012 127 産除却損の計上額が前期から34 億円減少しました。また、前 その他内訳 期は独禁法関連引当金戻入益 167 億円の計上のほか、和解金 単位:百万円 2012 2011 2010 68 億円、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額 21 億円 を計上しましたが、当期は発生しませんでした。 ¥ 90,231 ¥ 93,799 ¥ 92,958 情報通信収入 26,042 24,950 25,780 ビル管理収入 19,032 17,226 15,132 その他の収入 3,147 2,988 3,616 以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前期比 80.9% 増 営業収入合計 138,452 138,963 137,486 加の 634 億円となりました。法人税等の合計は、法人税率引 営業費用合計 134,328 134,150 134,143 き下げに伴う繰延税金資産の一部取り崩しもあって 352 億円 3,343 となり、当期純利益は前期比 20.9% 増加の 281 億円となりま 商事・物販収入 営業利益合計 4,124 4,813 ※ 2011 年 3 月期からセグメントの区分を、報告セグメント(「航空運送事業」 および 「旅行事業」 ) と 「その他」 に変更しており、これに伴い、2010 年 3 月期の 数値については遡及修正しています。 営業外損益・特別損益 当期純利益 した。1 株当たり当期純利益は、前期の 9.29 円から11.22 円 となりました。 なお、包括利益については、その他有価証券評価差額金が プラスになったものの、繰延ヘッジ損益が 138 億円減少したこ となどから、331 億円となりました。 営業外損益・特別損益は前期の 327 億円の損失に対し、335 億円の損失となりました。航空機などの資産売却益が前期から 37 億円増加するとともに、航空機部品などの資産売却損、資 単位:百万円 128 3 月 31 日に終了した 1 年間 2012 2011 2010 受取利息及び配当金 ...................................................................................... ¥ 2,452 ¥ 2,597 ¥ 2,672 支払利息 .......................................................................................................... (19,578) (19,314) (18,160) 為替差損益 ...................................................................................................... (192) 1,437 1,694 資産売却益 ...................................................................................................... 4,166 414 1,092 資産の売却損及び除却損............................................................................... (8,618) (12,116) (14,068) 減損損失 .......................................................................................................... (1,746) (315) (1,253) 持分法による投資損益 ................................................................................... 526 684 (204) 投資有価証券売却損益 .................................................................................. (282) — 18 補助金収入 ...................................................................................................... 440 2 67 独禁法関連引当金戻入益............................................................................... — 16,729 — 投資有価証券評価損 ...................................................................................... (10) (3,536) (644) 退職給付会計基準変更時差異の処理額 ....................................................... (6,396) (6,425) (6,423) 特別退職金 ...................................................................................................... (2,442) (192) (4,467) リース費返却時改修費用................................................................................ (2,170) (2,846) (1,899) 和解金 .............................................................................................................. — (6,835) — 資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額 ................................................ — (2,130) — 厚生年金基金代行返上益............................................................................... — 38 1,723 受取損害賠償金 .............................................................................................. — 76 273 独禁法関連引当金繰入額............................................................................... — — (648) 独禁法手続関連費用 ...................................................................................... — (693) (856) その他の収益 .................................................................................................. 259 (325) (263) 合計 .................................................................................................................. ¥(33,591) ¥(32,750) ¥(41,346) 全日本空輸株式会社 財務分析 前払いなどによる有形固定資産の取得 1,811 億円、無形固定 キャッシュ・フロー 資産の取得 156 億円があった一方、航空機材の売却後リース バックなどの有形固定資産売却による収入 405 億円がありま 資金源泉についての基本的な考え方 ANA グループは、設備投資を営業キャッシュ・フロー (リース 元本償還額を含む) の範囲内で行い、フリー・キャッシュ・フロー のマネジメントによって、有利子負債の増加を抑制しながら自 継続的に行いながら、同時に財務の健全性を高めていくことを 証券の取得による支出 2,317 億円と売却による収入 2,277 億 円も含まれています。 Boarding 己資本を充実させていくことを資金マネジメントの基本方針と しています。また、中長期的な競争力強化のための戦略投資を した。また、譲渡性預金への預け入れと払い戻しとして、有価 フリー・キャッシュ・フロー 前述のとおり、営業キャッシュ・フローが 2,144 億円の収入に なり、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が 1,663 億円と 目標にしています。 資金調達については、主として借入や社債発行により調達し するために、国内主要金融機関 14 社と合計 1,100 億円のコ ミットメントラインを締結しています。当期末におけるコミット Takeoff ています。また、有事においても事業運営に必要な資金を確保 なったため、フリー・キャッシュ・フローは 480 億円の収入となり ました。 財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フローは、前期 105 億円の支出 メントラインは、全額未実行となっています。 ANA グループにおける主たる設備投資である航空機材など 還、リース債務の返済などを行う一方、手元流動性を高めるた Climbing の投資に対しては、国際協力銀行による製品輸入保証制度を から 161 億円の収入となりました。借入金の返済や社債の償 め資金調達を進め、長期借入により1,804 億円の収入があり 活用した金融機関からの借入が可能です。 ました。 当期の状況 当期の営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動による 億円の収入となり、財務キャッシュ・フローは 161 億円の収入と なりました。その結果、現金及び現金同等物は前期末に比べて 設備投資と機材調達 Cruising キャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは 480 設備投資 ANAグループの設備投資は、航空機、予備エンジン、航空機 642 億円増加し、期末残高は 2,658 億円になりました。 部品の購入など航空機関連投資のほか、情報システム関連投資 が主な内容です。当期の設備投資額は、戦略機材ボーイング 営業活動によるキャッシュ・フローは、業績が好調に推移した ことに伴い税金等調整前当期純利益が前期の 350 億円から 283 億円増加して 634 億円の利益となり、減価償却費等の非 資金項目、営業活動に係る債権・債務および税金等を加減算し 787 型機など航空機を中心に投資を行い、前期比 7.0% 減少の 1,968 億円になりました。 セグメント別では、航空運送事業においては前期比 7.6% 減 少の 1,945 億円、旅行事業では 51.5% 減少の 33 百万円、そ の他では前期比 9.2% 増加の 51 億円となりました。 Approach た結果、前期より105 億円増加して 2,144 億円の収入となり In-Flight Service 営業活動によるキャッシュ・フロー ました。 2012 2010 2009 2008 設備投資 減価償却費 (億円) (億円) 3,577 1.8 1.8 2.0 2.8 1.7 インタレスト・ カバレッジ・ レシオ (倍) 10.8 10.7 4.6 — 10.7 2,099 2,116 Landing デット・ エクイティ・ レシオ (倍) 2011 1,968 1,457 ※ インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷支払利息 1,167 1,128 1,138 1,184 1,192 2008 2009 2010 2011 投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フローは、前期より267 億円支 出が増加し、1,663 億円の支出となりました。航空機受領時 2008 2009 2010 2011 2012 2012 の支払いや予備部品の購入、今後導入予定の航空機に対する アニュアルレポート 2012 129 機材調達の基本的な考え方 返却、1 機売却) 、ボーイング 737-500 型機 1 機 (売却) 、エア 航空機は 10 年以上使用する非常に高額な設備であり、ネッ バスA320-200 型機 3 機 (2 機返却、1 機売却) 、ボンバルディ トワークに適合した機種選定と最適な機種構成を追求すること アDHC-8-300 型機 2 機 (売却) です。 は、航空会社の経営にとって極めて重要です。 なお、ボーイング 767-300 型機 4 機は売却した後、リース ANA グループのフリート戦略は、 「低燃費機材の導入による バックしています。 コスト競争力の強化」 「中型機比率の向上による需給適合の推 進」 「 機種統合による生産性の向上」 の 3 つの方針で進めてい 賃貸機材 ます。 当期にANA グループからグループ外に賃貸している機材は、 中長期的な使用を前提とした戦略機材については、購入・自 前期から CRJ700 型機が 1 機増え、12 機となりました。内訳 社保有することを基本とし、短期的な使用、あるいは生産調整 は、ボーイング 767-300 型機 1 機、ボーイング 737-500 型機 的な導入機材については、リースの活用を含めて、都度最適な 4 機、ボーイング 737-400 型機 4 機、CRJ700 型機 3 機です。 経済条件による調達手段を選択しています。 運用航空機数一覧 当期の機材調達の実績 2012 年 3 月31 日現在 合計 上記のフリート戦略の下、当期末の ANA グループ運航機数 ボーイング 747-400 8 (-3) は前期末から4 機増加し226 機となりました。 ボーイング 777-300 26 23 3 ボーイング 777-200 23 18 5 新規導入機材 ボーイング 787-8 当期にANA グループが新たに購入した機材は15 機です。内 ボーイング 767-300 訳は、ボーイング 787-8 型機 6 機、ボーイング 767-300 型機 4 機、ボーイング 737-800 型機 2 機、ボンバルディア DHC-8400 型機 3 機です。 加 え て 、ボ ー イ ン グ 7 3 7 - 5 0 0 型 機 1 機 、エ ア バ ス A320-200 型機 7 機、ボンバルディアDHC-8-300 型機 2 機を 自社保有 リース 8 (-2) 0 (-1) 6 (+6) 6 (+6) 57 (+3) 38 (-1) ボーイング 767-300F(貨物専用機) 9 (-1) 7 19 (+4) 2 (-1) ボーイング 737-800 17 (+2) 16 (+2) 1 ボーイング 737-700 18 14 4 ボーイング 737-500 16 (-1) 9 7 (-1) エアバスA320-200 25 (-3) 21 (+6) ボンバルディアDHC-8-400 18 (+3) 5 (+3) 退役機材 ボンバルディアDHC-8-300 3 (-2) 当期にANAグループから退役した機材は11 機で、返却が 4 合計 機、売却・除却が 7 機です。内訳は、ボーイング 747-400 型機 ※1.( ) 内の数値は、対前年の増減を示しています。 3機 (1 機返却、2 機売却) 、ボーイング 767-300 型機 2 機 (1 機 ※2. ANA グループ会社の運航している機数のみを掲載しています。 リース期間終了後、購入しています。 0 226 (+4) 1 4 (-9) 13 2 (-2) 166 (+14) 60 (-10) ※3. ANA グループ外への賃貸機材 (当期末 12 機、前期末 11 機) は含みません。 機種別単位当たり燃料消費量比較 大型機※1 (国際線) 大型機※2 (国内線) 中型機※2 小型機※2 B777-300ER B777-300 2011年からB787導入 B737-700 (%) (%) 100 100 100 80 -24% 100 -12% 100 88 -18% 76 -12% 88 80 60 60 40 40 20 20 0 B747-400 B777-300ER 基準値 B747-400 基準値 B777-300 B767-300 B787 基準値 ※1. 成田−ニューヨーク線 1 運航便当たり ※2. 国内線仕様機、東京−札幌間旅客満席時の場合、1 座席当たり 130 100 82 全日本空輸株式会社 B737-500 (基準値) B737-700 0 財務分析 単位:百万円 2012 2012 年 3 月 31 日現在 2011 2010 短期借入債務: 銀行等からの借入金 ............................................................................ ¥ — ¥ 166 ¥ 29,096 115,962 115,036 99,820 1 年内償還予定の社債 ......................................................................... — 20,000 40,000 11,443 11,193 11,859 127,405 146,395 180,775 銀行等からの借入金 ............................................................................ 716,663 665,161 628,609 社債 ..................................................................................................... 95,000 95,000 95,000 1 年内返済予定のリース債務 ............................................................... Boarding 1 年内返済予定の長期借入金 .............................................................. 長期借入債務 (1 年内返済予定の長期借入金および償還する社債を除く) : 有利子負債合計 ...................................................................................... 24,589 32,263 37,307 836,252 792,424 760,916 ¥963,657 ¥938,819 ¥941,691 2013 年 3 月期の機材計画は、新たな需要を創出、喚起し、 金資産が減少したことなどによるものです。航空機関連の内訳 国際線を中心にビジネスチャンスを確実にとらえるべく、22 としては、新造機を 15 機取得し、10 機をリース期間完了後購 機の航空機導入を予定しています。このうち、戦略機材ボー 入したほか、リース機材を4 機返却、7 機を売却、4 機を売却後 イング 787 型機 14 機に加え、ボーイング 777-200ER 型機 リースバックしたことから、前期末と比べて航空機が 365 億円 2 機、ボーイング 737-800 型機 4 機、ボンバルディア DHC- 増加、リース資産が 85 億円減少、建設仮勘定が 150 億円増加 8-400 型機 2 機の導入を予定しています。一方、ボーイング しました。 747-400 型機をはじめとする航空機 21 機を 2013 年 3 月期 また、繰延税金資産は前期末比 325 億円減少しました。 Cruising 字拡大による税務上の繰越欠損金が減少したことから繰延税 Climbing 2013 年 3 月期の機材調達の計画 Takeoff リース債務........................................................................................... In-Flight Service 末までに退役させる予定としており、機種統合を推進すると ともに、低燃費機材の積極導入によるコスト構造改革を着実に 進めます。 負債 当期末の負債は、社債の 償還や約定弁済などを進め 有利子負債 (億円) た一方で、新規借入による資 資産 1兆4,477億円となりました。 当期末の総資産は、前期末から 745 億円増加の 2 兆 25 億 流動負債は、前期末から 円となりました。 134 億円増加の 4,610 億円 流動資産は、業績の回復に伴い手元資金が増加した結果、 になりました。前期に計上し 前期末比 765 億円増加して 5,487 億円となりました。有価証 ていた 1 年内償還予定の社 末に比べ 460 億円増加し、 8,972 9,416 9,388 9,636 2010 2011 7,678 Landing 金調達を行ったことから前期 Approach 財政状態 券は前期末から632 億円増加し、受取手形及び営業未収入金 債 200 億円が償還された一 は 282 億円増加しました。なお、現金及び預金と有価証券を 方で、支払手形及び営業未 合わせた手元流動性は 681 億円の増加となりました。 払金が 200 億円、航空券発 固定資産は、前期末から16 億円減少の 1 兆 4,536 億円とな 売未決済の増加や為替デリ りました。これは、航空機取得や改修、今後導入予定航空機の バティブ負債を含むその他の流動負債が 105 億円、それぞれ 前払いなどにより有形固定資産が 306 億円増加した一方、黒 増加しました。 2008 2009 2012 アニュアルレポート 2012 131 単位:百万円 2012 3 月 31 日現在/ 3 月 31 日に終了した 1 年間 2011 2010 退職給付債務 .......................................................................................... ¥(265,140) ¥(269,579) 年金資産 ................................................................................................. 96,072 95,924 96,703 未積立退職給付債務 ............................................................................... (169,068) (173,655) (171,428) 未認識額純額 .......................................................................................... 42,993 50,267 52,220 (119,208) ¥(268,131) (126,075) (123,388) 前払年金費用 .......................................................................................... — 12 217 退職給付引当金 ...................................................................................... ¥(126,075) ¥(123,400) ¥(119,425) 退職給付費用 .......................................................................................... ¥ (23,331) ¥ (22,705) ¥ (23,731) 割引率 ..................................................................................................... 1.5 ∼ 2.5% 1.6 ∼ 2.5% 2.5% 固定負債は、前期末から325 億円増加の 9,866 億円となり 1 株当たりの純資産額は前期の 207.35 円から 10.89 円増 ました。これは、新たな資金調達により長期借入金が前期末か 加して 218.24 円となりました。 ら515 億円増加したことなどによるものです。 リース債務を含む有利子負債については、以上のとおり新規 格付けの状況 借 入を行ったことから、前 期 末に比 べて 2 4 8 億 円 増 加 の ANA の発行するそれぞれの長期債に対しては、日本格付研 9,636 億円となりました。 究所 (JCR) と格付投資情報センター (R&I) に格付けを依頼して デット・エクイティ・レシオは前期末と変わらず 1.8 倍となりま います。 した。 2012 年 3 月 31 日現在の格付けは以下のとおりです。 JCR 純資産 純資産合計は、前期末か ら 285 億円増加の 5,548 自己資本と自己資本比率 (億円/%) 5,202 億円となりました。 資本剰余金は 1,957 億 5,490 発行登録格付 A- 長期優先債務 A- コマーシャルペーパー格付 4,735 4,529 アウトルック 円、利益剰余金は当期純利 3,218 益の計上により227 億円増 加して 1,176 億円となりま 25.5 25.4 27.0 18.3 ANA および国内連結子会社は、確定給付型の制度として、 累 計 額 は 、燃 油と為 替 の 厚生年金基金制度、確定給付企業年金および退職一時金制度 ヘッジ 取 引 に 関 する繰 延 2008 2009 2010 2011 2012 自己資本 自己資本比率 期末に比べて 49 億円増加 の 83 億円となりました。 結果として、自己資本は前期末から287 億円増加の 5,490 億円となり、自己資本比率は、前期末の 27.0% から0.4ポイン ト上昇し27.4%となりました。 132 全日本空輸株式会社 a-2 2010 年 12 月 2011 年 1 月 ネガティブ → 安定的 ネガティブ → 安定的 退職給付債務 また、その他の包括利益 加となったことなどから、前 J-1 BBB+ 27.4 した。 ヘッジ損益が 43 億円の増 R&I (2007 年10月変更) (2007 年 9 月変更) を設けています。なお、ANA および一部の国内連結子会社 は、確定給付型の制度のほか、確定拠出型の制度を設けてい ます。また、早期退職制度を利用した従業員の退職などに際し て割増退職金を支払う場合があります。 財務分析 燃油および為替ヘッジについて 当期の配当と今期の予定 当期の配当については、当期の業績や財務状況、今後の経 営環境などを総合的に勘案したうえで検討した結果、1 株当た 格および為替レートの変動リスクを抑制することを目的として、 り配当金は 4.00 円とさせていただきました。 ヘッジ取引を活用した費用の平準化を図ってきました。加えて、 2013 年 3 月期の利益配分につきましては、基本方針を踏ま 近年の国際線を中心とした事業拡大に伴い、従来以上に収入 えながら経営環境や業績動向などを総合的に勘案した結果、 変動リスクが高まっていることを踏まえ、費用の平準化のみな 2013 年 3 月期の業績予想 (2012 年 4 月 27 日発表) に基づ らず、営業収支の安定化を目的としたヘッジ方針への転換を き、1 株当たり4.00 円の配当を予定しています。 Boarding ANA グループでは、営業費用に大きな影響を与える燃油価 図ってきました。 燃油ヘッジについては、燃油特別付加運賃を中心とした収入 の増減と燃油市況の騰落の関係を考慮し、営業収支を安定化 Takeoff するための最適ヘッジ率を機動的に追求しています。対象期間 の 3 年前からヘッジを進めており、2012 年 3 月末現在のヘッ ジ率は、2013 年 3 月期が約 40%、2014 年 3 月期が約 20%、 2015 年 3 月期が約 5%となっています。 為替ヘッジについては、燃油費や航空機などを対象とした Climbing USドル支出に対するヘッジを対象期間の 3 年前から行ってい ます。また、国際線事業拡大に伴い外貨建て収入が増加傾向 にあることから、収入で得た外貨を外貨支払い費用に充当 するなど、収支両面の為替リスクを効果的に減殺する取り組 みについても強化しています。2012 年 3 月末現在のヘッジ Cruising 率は、2013 年 3 月期が約 40%、2014 年 3 月期が約 25%、 2015 年 3 月期が約 10%、2016 年 3 月期が約 5% ※ となって います。 なお、2013 年 3 月期におけるヘッジを行わない場合の燃油 費への感応度は以下のとおりです (2012 年 4 月末時点) 。 In-Flight Service 原油 (1ドル/バレルの変動) 約 19 億円/年 為替 (1 円/USドルの変動) 約 25 億円/年 ※2016 年 3 月期分の為替ヘッジ (約 5%) は旧方針に基づき過去に実施した 3 年 超のヘッジとなります。 Approach 利益配分 利益配分に関する基本方針 ANA グループとしては、株主の皆様に対する還元を経営の Landing 重要課題ととらえています。利益配分については、当該期の業 績動向に加え、厳しさを増す経営環境の下、中長期にわたって 安定した経営基盤とさらなる収益性を確保していくためには、 多額の設備投資が必要であることも考慮し、さらには将来の事 業展開に備えた財務体質強化という課題とのバランスを考え つつ、充実させていきたいと考えています。 アニュアルレポート 2012 133 事業等のリスク ANA グループでは、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可 間の 2011 年 9 月 26 日の初号機納入以降、2012 年 5 月末日 能性のある事項として、以下のようなものを考えています。な 時点で 7 号機まで納入されていますが、今後納入予定の同型 お、文中の将来に関する事項は、2012 年 3 月期末現在におい 機について、納期が大幅に遅延した場合には、ANA グループ て ANA グループが判断したものです。 の中長期的な事業に支障をきたす可能性があります。 (1)景気が低迷するリスク 国内景気の低迷は、個人消費の落ち込みや企業収益の悪化 による航空需要の低下を引き起こす可能性があります。また、 海外景気が低迷することで、航空旅客需要の減退や物流の停 滞を引き起こし、ANA グループの経営に影響を及ぼす可能性 があります。 (2)原子力発電所事故の影響に伴うリスク 福島第一原子力発電所の事故は、政府発表によれば、当該 原子炉は冷温停止状態にあるものの、周辺エリアにおいては 依然として避難区域としての設定が解除されていない状況にあ ります。当該事故の影響がさらに拡大した場合、または今後も 同様の事故が発生した場合は、その影響により、飛行禁止区域 2)三菱航空機 (株) による機材開発計画の進行遅延など ANA は、上記のフリート戦略に従って三菱航空機 (株) が開 発中の 「MRJ (三菱リージョナルジェット) 」 の導入を決定してい ますが、引き渡し時期について、当初の 2014 年 3 月期から約 2 年の遅延が決定しました。今後さらなる遅延が発生した場合 には、ANA グループの中長期的な事業に支障をきたす可能性 があります。 ② 羽田空港および成田空港の国際競争力に かかわるリスク 羽田空港および成田空港の国際空港としての競争力が、相 対的にアジア諸国を中心とする外国の国際空港より低下する 場合、米国または欧州とアジア諸国間の航空における両空港 への需要が低下し、両空港をハブ空港とするANA グループの 経営に影響を及ぼす可能性があります。 が拡大または新規に設定されることが予測され、現在の飛行経 ③ 発着枠にかかわるリスク 路が使えなくなり、国内各路線の運航に影響が生じる可能性が ANA は、羽田空港の新滑走路供用・成田空港の同時離着陸 あります。 方式の導入などによる首都圏空港容量拡大を最大のビジネス 加えて、電力供給の制約や大規模停電が発生した場合、予 チャンスととらえ、各種投資や事業運営体制の整備を図ってい 約・運航管理をはじめとした ANA の必要システムの稼働維持 ます。しかしながら、羽田空港の年間発着枠 (昼間時間帯) につ ができなくなり、サービス提供や運航に影響を及ぼす可能性も いては、最短で 2014 年 3 月期中に現在の 35 万回から 40.7 あります。 万回へ第 2 段階の増枠が行われる予定ですが、その具体的な 割り当てなどについて詳細な内容が未公表であり、また、成田 (3)経営戦略にかかわるリスク 空港の発着枠についても、現在の 25 万回から2013 年 3 月期 末には 27 万回に、最終的には最短で 2015 年 3 月期中に 30 ① フリート戦略にかかわるリスク 万回に増枠される予定であるものの、その割り当てに関して ANA グループは、航空運送事業において、中・小型機の活 は、決定されていない状況です。以上の状況を踏まえ、首都 用、機種の統合、経済性の高い機材の導入を軸としたフリー 圏における両空港 (羽田・成田) の発着枠拡大の数、割当て、あ ト戦略を進めており、係る施策に則ってボーイング社、ボンバ るいは時期が、ANA グループの想定と異なった場合において ルディア社、ならびに三菱航空機 (株) に対して航空機を発注し は、ANA グループの経営計画の達成に影響を及ぼす可能性が ていますが、納期が財務上その他の理由により遅延した場合、 あります。 ANA グループの中長期的な事業に支障を及ぼす可能性があ ります。 ④ 貨物事業戦略にかかわるリスク さらに、係る施策は以下の要因により奏功せず、また、その 国際貨物事業については、エクスプレス事業を含めて中国を 所期する効果が減殺される可能性があります。 はじめとするアジア地域発着貨物への依存度が高いため、アジ ア地域の経済状況により、輸送重量の減少および輸送単価の 1)ボーイング社への依存 低下の影響を受ける可能性があります。 ANA は、2012 年 5 月末日現在、上記のフリート戦略に従っ 134 て導入を計画している79 機中、61 機をボーイング社に対して ⑤ LCC 事業にかかわるリスク 発注しています。したがって、ボーイング社が財政上その他の ANA は LCC 事業への出資を行い、すでに当該事業を開始し 理由によりANAとの間の契約を履行できない場合には、ANA ていますが、高い空港使用料、非混雑の二次的空港の数が少 グループのフリート戦略に沿った機材の調達ができず、ANA ないこと、東京集中の人口分布などの日本固有の事情があり、 グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 日本においてLCC事業が海外と同様に収益を持続的に達成で 納期の遅延が重なっていたボーイング 787 型機は、日本時 きる事業形態であるかどうかは不透明であり、当該事業進出の 全日本空輸株式会社 目的である新規航空需要の創出に至らないことや、国内外のほ を超える社員・委託先での罹患者の大量発生や毒性の変化が かの LCCとの競争激化、ANA グループ便からの過度の旅客 生じ強毒化した場合などは、事業継続面で影響を及ぼす可能 転移の発生などにより、所期する効果が得られない可能性があ 性があります。 ります。また、ANA 以外の出資会社の経営悪化や同事業から の離脱の可能性があります。 航空機燃料は原油精製による製品のため、その価格は原油 ANA グループの費用項目で大きなウエイトを占める航空機 燃料の購入を外貨建てで行っていることなどから、円安になっ た場合には収支に与える影響は少なくありません。一方で、国 際線収入増加に伴い、円高になった場合の収入への影響も拡大 の急激な経済成長に伴う原油需要の増加、石油備蓄量または しています。これらのことから、同種通貨間においては収入で 埋蔵量の低下、原油への投機的な投資行動などの要因により 得た外貨を可能な限り外貨建て支出に充当し、為替相場の変動 原油価格が ANA の予測を超えて変動した場合には、ANA グ によるリスクの抑制に努めているほか、航空機燃料および航空 ループの経営に以下のような影響を及ぼす可能性があります。 機材の調達に必要な外貨の一部については、為替相場変動によ 原油価格が上昇すると、基本的に航空機燃料の価格も上昇 するため、ANA グループにとって大きな負担となります。この 化を図ることを目的として原油ならびにジェット燃料のコモディ ティ・デリバティブを利用して一定期間のうちに計画的、継続的 にヘッジ取引を実施しています。ヘッジ取引量は、国内外全体 の調達数量に対し一定水準のヘッジ枠を設定し、四半期ごとに の取引数量を現物市況に影響を及ぼさない範囲で行い、現物 為替予約および通貨オプション取引を活用し、為替変動が ANA グループの営業損益に与えるリスクの軽減を図っています。 (7)国際情勢などの影響によるリスク 現在、ANA グループは北米・欧州・中国・アジア方面を中心に 国際線を展開しています。今後、ANA 就航地域で政情不安、 国際紛争、大規模なテロ事件などが発生した場合、当該地域路 Cruising 計画数量を設定しています。実際のヘッジ取引は、1回当たり る影響を緩和し支払額の平準化ならびに抑制を図るべく、先物 Climbing ため、航空機燃料の価格変動リスクを抑制し、営業利益の安定 Takeoff 価格に連動する傾向があります。産油国での政情不安、新興国 ① 原油価格が上昇した場合のリスク Boarding (4)原油価格変動によるリスク (6)為替変動によるリスク 線の需要の減少などによりANA グループの経営に影響を及ぼ す可能性があります。 の引き渡しを伴わない差金精算を毎月実施しています。 なお、2013 年 3 月期は調達数量の約 4 割のヘッジを行って いますが、今後、さらに原油価格が上昇した場合、一般にヘッ (8)法的規制にかかわるリスク ANA グループは、航空運送事業者として航空事業関連法規 が実施しているコスト削減や運賃および料金などへの転嫁には の定めに基づき事業運営を行っています。また、旅客・貨物を 限界があるため、中長期的には ANA グループの経営に影響を 含めた国際線事業においては、条約、二国間協定、IATA (国際 及ぼす可能性があります。 航空運送協会) および ICAO (国際民間航空機関) の決定事項 ② 原油価格が急落した場合のリスク いるため、原油価格が期中で急落した場合、ヘッジポジション の状況などによっては市況下落の効果を即座に業績に反映す ることができず、直ちに利益に寄与しない可能性があります。 新型インフルエンザをはじめ重大な感染症が発生・蔓延した 場合の被害増大は、国際線のみならず全事業の需要減退リス クになり得ます。風評による顧客の航空利用の意欲の低下を き独占禁止法その他諸外国の類似の法令の制約を受けること があります。 (9)訴訟にかかわるリスク Landing (5)新型インフルエンザなどの 感染症にかかわるリスク その他の国際的取決めに従った事業運営が求められています。 さらに、ANA グループの事業は、運賃および料金の設定につ Approach ANA グループは原油価格の変動に対してヘッジを実施して In-Flight Service ジ取引価格も市況と同じ傾向で上昇し、また、ANA グループ ANA グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれ る恐れがあり、これらが ANA グループの経営に影響を及ぼす 可能性があります。また、ANA は以下の事象について、今後 訴訟の提起などを受ける可能性があり、合わせて他の国およ び地域においても同様の調査が開始される可能性があります。 含め、感染拡大や被害増大により、国内線および国際線の利 米国における価格調整疑惑に関する件 用客数が激減し、ANA グループの経営に影響を及ぼす可能性 ANA は、米国司法省から提起されていた国際航空貨物・旅 があります。 客輸送にかかわる価格調整などの容疑について、諸般の事情 また、感染力が強い新型インフルエンザなどが流行し、予想 を総合的に勘案した結果、2010 年 10 月に司法取引に合意し アニュアルレポート 2012 135 ました。これに関連して提起されていた貨物輸送に関する集団 コストの転嫁による価格競争力が低下し、または競合相手との 民事訴訟についても、同年 10 月に和解に合意しています。 価格競争上係るコスト転嫁が大きく制約を受ける結果、ANA なお、旅客に関する集団民事訴訟については、現時点では具 グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 体的な請求額の明示はなく、詳細の把握および分析は困難な 状況です。 (10)公租公課などにかかわるリスク (14)提携戦略が奏功しないリスク ANA は、主にスターアライアンス加盟を通じて、日本国外に おける知名度の向上、それに伴う旅客ミックス、ネットワークの 航空事業に関する公租公課などとして航空機燃料税や着陸 拡大、市場の多様化だけではなく、アライアンスパートナーに 料、航行援助施設利用料などが挙げられますが、航空機燃料 よる航空券の販売 (コードシェア) や他社マイレージ会員による 税および着陸料については現在国の時限的な軽減措置を受け ANA 便利用など、さまざまな利益を得ています。 ており、今後、軽減措置の縮小・廃止が行われた場合、ANA グ また、AT I (独占禁止法適用除外) 認可に基づき、ユナイテッ ループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 ド航空、コンチネンタル航空 (ユナイテッド航空とコンチネンタ ル航空は、2012 年 3 月に運航便名をユナイテッド航空に統一) (11)環境規制にかかわるリスク と共同で、2011 年 4 月 1 日より太平洋路線における共同事業 (ジョイントベンチャー) を開始しています。なお、2011 年 6 月 近年、地球環境保全の一環として、航空機による温暖化ガス 1 日、ルフトハンザドイツ航空についても国土交通省より認可 (CO2 など) の排出量、環境汚染物質の使用ならびに処理、主 を受け、2012 年 3 月期下半期より日欧間ネットワークにおい な事業所におけるエネルギー使用などにかかわる数多くの国 ても共同事業を段階的に開始し、2012 年 4 月 1 日より本格展 内・海外法規制が導入、または強化されつつあります。ANA グ 開を開始しました。 ループは、これらの法規制を遵守するため多額のコストを負担 しかしながら、戦略的パートナーによるスターアライアンス していますが、現状の規制のさらなる強化、EU 排出量取引制 脱退、2 社間提携の解消や経営悪化・再編などが発生した場合、 度、各国政府による環境税などの新たな規制が導入された際 もしくは外的要因で提携活動に対する規制が強化されるような には、さらに多額の追加的費用を負担しなければならない可能 ことがあった場合などには、提携効果が低下し、ANA グルー 性があります。 プの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (12)航空業界を取り巻く環境のリスク (15)運航リスク 現在、航空業界を取り巻く環境は大きく変化しており、世界 ① 航空機事故など の航空業界においてもオープンスカイ政策の進展やLCCの台 ANA グループ運航便およびコードシェア便で航空機事故が 頭、公的支援または企業再生手続による経営破綻航空会社の 発生した場合、ANA グループに対するお客様の信頼や社会的 競争力の回復、既存航空会社の合従連衡の進展など、大きな 評価が失墜し、事故直後から中長期的に需要が低下して ANA 競争環境の変化が生じています。 グループの経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。な 日本国内においては、航空政策の方針転換や競合他社とり お、2011 年 9 月 6 日にANA140 便の飛行姿勢が一時的に不 わけ公的支援を受けながら再上場に向け経営再建中の日本航空 安定になった件や、2012 年 2 月 5 日に ANA731 便の機体尾 (株) の経営動向など、今後、現在の競争環境や事業環境が大 部が滑走路に接触した件などについては、現在国土交通省運 幅に変化した場合、ANA グループの経営に影響を及ぼす可能 輸安全委員会により原因の究明が続けられていますが、今後、 性があります。 最終的な調査結果が発表される予定です。 また、他社において大規模な航空機事故が発生した場合に (13)競合リスク おいても、同様に航空需要が低下して ANA グループの経営に 影響を及ぼす可能性があります。なお、航空機事故が発生した 今後、燃油費、資金調達コスト、環境規制への対応その他の 要因により、ANA グループの航空運送事業に係るコストが上 昇する可能性は否定できません。係る場合、ANA グループが 場合、損害賠償や運航機材の修復・買換えなどに多額の費用が 発生しますが、これらの直接的費用の多くは航空保険にて填補 されます。 利益を確保するためには、間接固定費の削減、機種統合によ 136 る効率化の推進などのコスト削減を実施するとともに運賃・料 ② 耐空性改善通報など 金などに係るコストを転嫁する必要があります。しかしながら、 航空機の安全性を著しく損なう問題が発生した場合、法令に ANA は国内外の同業他社や LCC のほか、一部の路線につい 基づき国土交通大臣から耐空性改善通報などが発出され、安 ては新幹線などの代替交通機関と競合関係にあるため、係る 全が確認されるまで同型式機材の運航が認められない場合が 全日本空輸株式会社 事業等のリスク あります。また、法令に基づく耐空性改善通報などが発出され (19)IT (システム) リスク ない場合であっても、社内規程などにより安全性が確認できな い場合、自主的に同型式の機材の運航を見合わせ、また同型 航空運送事業は、システムを通じて予約販売、搭乗手続、運 式の機材の修理または交換を行うことがあります。このような 航管理、業務管理など、お客様へのサービスおよび運航に必 事態が発生した場合、ANA グループの航空機の安全性に関 要な業務を実施しており、システム依存度が高い業種といえま する信用および経営に影響を及ぼす可能性があります。なお、 す。係るシステムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発 生した場合、お客様へのサービスおよび運航の維持が困難に 完全な確認は、今後の実働によりなされることとなります。 なるとともに、信用失墜によりANA グループの経営に影響を Boarding ボーイング 787 型機などの新機種導入時は、その性能などの 及ぼす可能性があります。また、ANA グループのシステムは (16)顧客情報漏洩リスク 他提携航空会社においても使用されており、その影響範囲は 自社グループ内にとどまりません。 A N A グ ル ー プは、A N A マイレージクラブ の 会 員 数 約 なお、大規模な停電または節電要請があった場合は、予約・ 運航管理などの ANA の必要システムへの電力供給不足が生じ め、膨大な顧客に関する情報を保持しています。個人情報保護 ることが懸念され、システムの稼働維持に影響を及ぼす可能性 法により、これらの個人情報を適切に管理することが求められ があります。 Takeoff 2,300 万人 (2012 年 3 月末日現在) にかかわる会員情報をはじ ています。ANA グループにおいては、プライバシーポリシー を定め、個人情報の取り扱いに関する ANA の姿勢・考え方を (20)人事・労務に関するリスク キュリティについては十分な対策を講じています。また、セキュ ① ストライキに関するリスク リティーホールをなくすべく、業務手順の改定やシステム改修 ANA グループの従業員の多くは労働組合に所属しており、 ANA グループの従業員が集団的にストライキ、業務停止また ど、何らかの原因により大規模な個人情報漏洩事故が発生した はサボタージュなどを行った場合、ANA グループの航空機の 場合、多額の損害賠償費用が発生し、また、信用失墜により、 運航が影響を受ける可能性があります。 Cruising を継続的に実施していますが、不正アクセスや業務上の過失な Climbing 広くお客様に告知するとともに、システム対策を含め情報セ ANA グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 ② 必要な運航乗務員などを確保できないリスク (17)災害リスク 地震、津波、洪水、台風、積雪、火山噴火、感染症、ストライキ、 LCCの運航開始などにより運航乗務員などに対する需要が高 まっている一方、運航乗務員などの育成には一定期間の教育訓 練などが必要であり、ANA グループが適時に適切な数の適正 能力を有する運航乗務員などを確保できない場合には、ANA を受ける場合には、その間当該空港または当該経路を利用する グループの経営が影響を受ける可能性があります。 In-Flight Service 暴動などにより空港が長期間閉鎖される場合や飛行経路が制限 運航便に影響が生じ、または航空需要が大幅に減退することに より、ANAグループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 特に、ANA グループがデータセンターを東京地区に設置し (21)財務にかかわるリスク ① 資金調達コストの増加 施していること、および ANA グループの国内線旅客の 60% ANA グループは、機材調達などのため銀行借入・増資・社 以上が羽田空港を利用していることなどにより、首都圏直下型 債発行などにより資金調達を行っています。しかしながら、今 地震、台風などの大規模災害が発生した場合、当該施設にお 後、金融市場が混乱した場合、税制変更や政府系金融機関の いて火災などの災害が発生した場合、ANA グループのシステ 制度変更などがなされた場合、もしくは ANA の信用格付けが 格下げされた場合などにおいては、ANA にとって有利な条件 ANA の経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。 による資金調達が困難または不可能となる結果、資金調達コ Landing ムもしくは運航管理機能または運航そのものが長期間停止し、 Approach ていること、国内線・国際線全便の運航管理を羽田空港にて実 ストが増加し、ANA グループの経営に影響を及ぼす可能性が (18)損益構造にかかわるリスク ANA グループは、航空機材費および人件費などの固定費、 あります。 ② 資産減損などのリスク ならびに燃料費および空港使用料など、主として機種によって ANA グループは、その事業の性質上多くの固定資産を保有 定まり搭乗率の影響を受けない費用が全体のコストに占める していますが、今後、各種事業収支が悪化した場合、あるいは 割合が高く、経済状況に即応した事業規模調整の自由度が低 資産売却を決定した場合などには、固定資産の減損または固定 位なため、旅客数あるいは貨物輸送量が減少した場合、損益に 資産の売却損の計上が必要となる可能性があります。 与える影響が大きくなる可能性があります。 アニュアルレポート 2012 137 連結財務諸表 連結貸借対照表 単位:百万円 前連結会計年度 当連結会計年度 (2011 年 3 月 31 日) (2012 年 3 月 31 日) 金額 金額 前年比 増減 資産の部 流動資産 現金及び預金 .................................................................. ¥ 36,956 ¥ 41,867 ¥ 4,911 受取手形及び営業未収入金 .............................................. 95,756 124,028 28,272 有価証券 ........................................................................ 173,874 237,104 63,230 商品 ............................................................................... 5,445 4,924 (521) 貯蔵品 ........................................................................... 50,014 44,935 (5,079) 繰延税金資産 .................................................................. 38,618 30,269 (8,349) その他 ........................................................................... 72,766 66,752 (6,014) 貸倒引当金 ..................................................................... (1,242) (1,160) 82 流動資産合計 .............................................................. ¥ 472,187 ¥ 548,719 ¥ 76,532 建物及び構築物 (純額) .................................................. 117,775 112,028 (5,747) 航空機 (純額) ............................................................... 714,572 751,108 36,536 機械装置及び運搬具 (純額)........................................... 25,457 21,255 (4,202) 工具、器具及び備品 (純額)............................................ 11,486 9,817 (1,669) 土地 ........................................................................... 57,279 56,545 (734) リース資産 (純額) ......................................................... 35,904 27,305 (8,599) 建設仮勘定 .................................................................. 226,727 241,817 15,090 有形固定資産合計..................................................... ¥1,189,200 ¥1,219,875 ¥ 30,675 無形固定資産 .................................................................. 74,403 71,846 (2,557) 投資有価証券 .............................................................. 51,079 58,586 7,507 長期貸付金 .................................................................. 5,075 4,488 (587) 繰延税金資産 .............................................................. 93,116 68,887 (24,229) その他 ........................................................................ 43,329 31,068 (12,261) 貸倒引当金 .................................................................. (884) (1,075) (191) 投資その他の資産合計 ....................................................... ¥ 191,715 ¥ 161,954 ¥(29,761) 固定資産合計 .............................................................................. ¥1,455,318 ¥1,453,675 ¥ (1,643) 繰延資産合計 ..................................................................... 516 176 (340) 資産合計 ........................................................................... ¥1,928,021 ¥2,002,570 ¥ 74,549 固定資産 有形固定資産 投資その他の資産 138 全日本空輸株式会社 単位:百万円 前連結会計年度 当連結会計年度 (2011 年 3 月 31 日) (2012 年 3 月 31 日) 金額 金額 前年比 増減 負債の部 流動負債 支払手形及び営業未払金 ................................................. ¥ 160,755 ¥ 20,049 (166) 166 — 1 年内返済予定の長期借入金 ........................................... 115,036 115,962 926 1 年内償還予定の社債 ..................................................... 20,000 — (20,000) リース債務 ..................................................................... 11,193 11,443 250 未払法人税等 .................................................................. 4,787 3,912 (875) 賞与引当金 ..................................................................... 27,683 30,841 3,158 独禁法関連引当金 ........................................................... 116 116 0 資産除去債務 .................................................................. 1,614 1,146 (468) その他 ........................................................................... 106,241 116,821 10,580 流動負債合計 .............................................................. ¥ 447,591 ¥ 461,045 ¥ 13,454 Takeoff 短期借入金 ..................................................................... Boarding ¥ 180,804 95,000 95,000 0 665,161 716,663 51,502 リース債務 ..................................................................... 32,263 24,589 (7,674) 繰延税金負債 .................................................................. 1,951 1,787 (164) 賞与引当金 ..................................................................... 2,132 2,382 250 退職給付引当金 .............................................................. 123,400 126,075 2,675 役員退職慰労引当金 ........................................................ 569 591 22 資産除去債務 .................................................................. 977 1,027 50 負ののれん ..................................................................... 392 — (392) 32,231 18,552 (13,679) 固定負債合計 .............................................................. ¥ 954,076 ¥ 986,666 ¥ 32,590 負債合計 ........................................................................... ¥1,401,667 ¥1,447,711 ¥ 46,044 資本金 ........................................................................... ¥ 231,381 ¥ 231,381 ¥ 資本剰余金 ..................................................................... 196,330 195,723 (607) 利益剰余金 ..................................................................... 94,892 117,622 22,730 自己株式 ........................................................................ (5,800) (4,089) 1,711 株主資本合計 .................................................................. ¥ 516,803 ¥ 540,637 ¥ 23,834 In-Flight Service その他 ........................................................................... Cruising 社債 ............................................................................... 長期借入金 ..................................................................... Climbing 固定負債 純資産の部 株主資本 Approach 0 その他有価証券評価差額金 .............................................. (810) (140) 670 繰延ヘッジ損益 ............................................................... 5,010 9,334 4,324 為替換算調整勘定 ........................................................... (749) (817) (68) 8,377 ¥ 4,926 その他の包括利益累計額合計 ....................................... ¥ 3,451 ¥ 少数株主持分 ..................................................................... 6,100 5,845 (255) 純資産合計 ........................................................................ ¥ 526,354 ¥ 554,859 ¥ 28,505 負債純資産合計 .................................................................. ¥1,928,021 ¥2,002,570 ¥ 74,549 アニュアルレポート Landing その他の包括利益累計額 2012 139 連結損益計算書および連結包括利益計算書 (連結損益計算書) 単位:百万円 営業収入 ..................................................................................... 事業費 ......................................................................................... 営業総利益 .............................................................................. 販売費及び一般管理費 ................................................................ 営業利益.................................................................................. 営業外収益 受取利息.................................................................................. 受取配当金 .............................................................................. 為替差益.................................................................................. 資産売却益 .............................................................................. 持分法による投資利益 ............................................................. その他 ..................................................................................... 営業外収益合計 ....................................................................... 営業外費用 支払利息.................................................................................. 為替差損......................................................................................... 資産売却損 .............................................................................. 資産除却損 .............................................................................. 退職給付会計基準変更時差異の処理額 ................................... リース機返却時改修費用 ......................................................... その他 ..................................................................................... 営業外費用合計 ....................................................................... 経常利益 .............................................................................. 特別利益 固定資産売却益 ............................................................................. 補助金収入 ..................................................................................... 独禁法関連引当金戻入益 ........................................................ 厚生年金基金代行返上益 ........................................................ 受取損害賠償金 ....................................................................... その他 ..................................................................................... 特別利益合計 .......................................................................... 特別損失 固定資産売却損 ............................................................................. 固定資産除却損 ....................................................................... 減損損失.................................................................................. 投資有価証券売却損 ..................................................................... 投資有価証券評価損................................................................ 特別退職金 .............................................................................. 和解金 ..................................................................................... 資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額 ............................ 独禁法手続関連費用................................................................ その他 ..................................................................................... 特別損失合計 .......................................................................... 税金等調整前当期純利益 ..................................................... 法人税、住民税及び事業税 .................................................. 法人税等調整額 ................................................................... 法人税等合計 ...................................................................... 少数株主損益調整前当期純利益 .......................................... 少数株主利益又は少数株主損失 .......................................... 当期純利益 .................................................................................. 前連結会計年度 当連結会計年度 (2010 年 4 月 1 日∼ 2011 年 3 月 31 日) (2011 年 4 月 1 日∼ 2012 年 3 月 31 日) 前年比 金額 金額 増減 ¥1,357,653 1,071,003 286,650 ¥ 218,842 67,808 ¥ 994 1,603 1,437 414 684 3,964 9,096 ¥ 19,314 — 2,197 6,872 6,425 2,846 2,230 39,884 37,020 ¥ — 2 16,729 38 76 37 16,882 ¥ — 3,047 315 — 3,536 192 6,835 2,130 693 2,096 18,844 35,058 4,657 7,377 12,034 23,024 (281) 23,305 ¥ 23,024 ¥ (2,350) 18,222 (492) (27) 15,353 38,377 ¥ ¥ ¥1,411,504 1,086,670 324,834 ¥ 53,851 15,667 38,184 ¥ 227,812 97,022 8,970 ¥ 29,214 ¥ 857 1,595 — 3,347 526 4,370 10,695 (137) (8) (1,437) 2,933 (158) 406 ¥ 1,599 ¥ 19,578 192 1,541 5,868 6,396 2,170 3,517 39,262 68,455 264 192 (656) (1,004) (29) (676) 1,287 (622) ¥ 31,435 ¥ 819 440 — — — 322 1,581 819 438 (16,729) (38) (76) 285 ¥(15,301) ¥ 1,209 — 1,746 282 10 2,442 — — — 916 6,605 63,431 4,967 30,283 35,250 28,181 3 28,178 1,209 (3,047) 1,431 282 (3,526) 2,250 (6,835) (2,130) (693) (1,180) ¥(12,239) 28,373 310 22,906 ¥ 23,216 5,157 284 ¥ 4,873 ¥ 28,181 ¥ 5,157 ¥ 658 4,324 (69) 8 4,921 33,102 3,008 (13,898) 423 35 (10,432) ¥ (5,275) 33,104 (2) (5,558) 283 ¥ ¥ (連結包括利益計算書) 少数株主損益調整前当期純利益 ................................................. その他の包括利益 その他有価証券評価差額金 ..................................................... 繰延ヘッジ損益 ........................................................................ 為替換算調整勘定 ................................................................... 持分法適用会社に対する持分相当額 ....................................... その他の包括利益合計 ............................................................ 包括利益 (内訳) 親会社株主に係る包括利益 ..................................................... 少数株主に係る包括利益 ......................................................... 140 全日本空輸株式会社 38,662 (285) 連結財務諸表 連結株主資本等変動計算書 単位:百万円 前連結会計年度 単位:百万円 当連結会計年度 前連結会計年度 (2010 年 4 月1 日∼ (2011 年 4 月1 日∼ 2011 年 3 月31 日) 2012 年 3 月31 日) 金額 196,635 196,330 (305) ¥ (305) ¥196,330 ¥ (607) ¥195,723 64,510 94,892 — 23,305 7,077 ¥ 30,382 ¥ 94,892 (5,018) 28,178 (430) ¥ 22,730 ¥117,622 (7,016) (5,800) (607) 516,803 — 23,305 (56) 1,068 6,976 ¥ 31,293 ¥516,803 (5,018) 28,178 (25) 1,114 (415) ¥ 23,834 ¥540,637 (810) 52 — (2,378) ¥ (2,326) ¥ (810) 670 670 (140) ¥ 5,010 (13,212) 18,222 ¥ 18,222 ¥ 5,010 4,324 4,324 9,334 ¥ ¥ (749) (262) ¥ ¥ (487) (487) (749) (68) (68) (817) ¥ ¥ (11,958) 3,451 52 — 15,357 ¥ 15,409 ¥ 3,451 4,926 4,926 8,377 ¥ ¥ 6,100 6,537 ¥ ¥ (437) (437) 6,100 Approach 485,510 ¥ In-Flight Service (25) 1,721 15 ¥ 1,711 ¥ (4,089) 1,516 Cruising (56) 1,373 (101) ¥ 1,216 ¥ (5,800) ¥ 金額 Climbing 当期末残高 ......................... ¥231,381 ¥231,381 金額 (255) (255) 5,845 ¥ ¥ 480,089 526,354 — 23,305 (56) 1,068 7,028 (5,018) 28,178 (25) 1,114 (415) 14,920 ¥ 46,265 ¥526,354 4,671 ¥ 28,505 ¥554,859 アニュアルレポート Landing その他の包括利益累計額 その他有価証券評価差額金 当期首残高 ......................... 当期変動額 持分法の適用範囲の変動 .. 株主資本以外の項目の 当期変動額 (純額)....... 当期変動額合計 .............. 当期末残高 ......................... 繰延ヘッジ損益 当期首残高 ......................... 当期変動額 株主資本以外の項目の 当期変動額 (純額)....... 当期変動額合計 .............. 当期末残高 ......................... 為替換算調整勘定 当期首残高 ......................... 当期変動額 株主資本以外の項目の 当期変動額 (純額)....... 当期変動額合計 .............. 当期末残高 ......................... その他の包括利益累計額合計 当期首残高 ......................... 当期変動額 持分法の適用範囲の変動 .. 株主資本以外の項目の 当期変動額 (純額)....... 当期変動額合計 .............. 当期末残高 ......................... 少数株主持分 当期首残高 ............................. 当期変動額 株主資本以外の項目の 当期変動額 (純額) ........... 当期変動額合計 .................. 当期末残高 ............................. 純資産合計 当期首残高 ............................. 当期変動額 剰余金の配当 ..................... 当期純利益.......................... 自己株式の取得 .................. 自己株式の処分 .................. 持分法の適用範囲の変動 ... 株主資本以外の項目の 当期変動額 (純額) ........... 当期変動額合計 .................. 当期末残高 ............................. Takeoff 持分法の適用範囲の変動 .. 当期変動額合計 .............. 当期末残高 ......................... 自己株式 当期首残高 ......................... 当期変動額 自己株式の取得 .............. 自己株式の処分 .............. 持分法の適用範囲の変動 .. 当期変動額合計 .............. 当期末残高 ......................... 株主資本合計 当期首残高 ......................... 当期変動額 剰余金の配当 ................. 当期純利益 ..................... 自己株式の取得 .............. 自己株式の処分 .............. 持分法の適用範囲の変動 .. 当期変動額合計 .............. ¥231,381 ¥231,381 金額 Boarding 株主資本 資本金 当期首残高 ......................... 当期末残高 ......................... 資本剰余金 当期首残高 ......................... 当期変動額 自己株式の処分 .............. 当期変動額合計 .............. 当期末残高 ......................... 利益剰余金 当期首残高 ......................... 当期変動額 剰余金の配当 ................. 当期純利益 ..................... 当連結会計年度 (2010 年 4 月1 日∼ (2011 年 4 月1 日∼ 2011 年 3 月31 日) 2012 年 3 月31 日) 2012 141 連結財務諸表 連結キャッシュ・フロー計算書 単位:百万円 営業活動によるキャッシュ・フロー 税金等調整前当期純利益 ........................................................................................ 減価償却費 ............................................................................................................ 減損損失 ............................................................................................................... 資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額 ............................................................... 和解金 .................................................................................................................. 固定資産売却損益及び除却損.................................................................................. 有価証券売却損益及び評価損益 .............................................................................. 貸倒引当金の増減額............................................................................................... 退職給付引当金の増減額 ........................................................................................ 受取利息及び受取配当金 ........................................................................................ 支払利息 ............................................................................................................... 為替差損益 ............................................................................................................ 特別退職金 ............................................................................................................ 売上債権の増減額 .................................................................................................. その他債権の増減 .................................................................................................. 仕入債務の増減額 .................................................................................................. その他 .................................................................................................................. 小計...................................................................................................................... 利息及び配当金の受取額 ........................................................................................ 利息の支払額 ........................................................................................................ 特別退職金の支払額............................................................................................... 和解金の支払額 ..................................................................................................... 法人税等の支払額又は還付額 .................................................................................. 営業活動によるキャッシュ・フロー ............................................................................. 投資活動によるキャッシュ・フロー 有価証券の取得による支出...................................................................................... 有価証券の売却による収入...................................................................................... 有形固定資産の取得による支出 ............................................................................... 有形固定資産の売却による収入 ............................................................................... 無形固定資産の取得による支出 ............................................................................... 投資有価証券の取得による支出 ............................................................................... 投資有価証券の売却による収入 ............................................................................... 貸付けによる支出 ................................................................................................... 貸付金の回収による収入 ......................................................................................... その他 .................................................................................................................. 投資活動によるキャッシュ・フロー ............................................................................. 財務活動によるキャッシュ・フロー 短期借入金の純増減額 ........................................................................................... 長期借入れによる収入 ............................................................................................ 長期借入金の返済による支出 .................................................................................. 社債の発行による収入 ............................................................................................ 社債の償還による支出 ............................................................................................ リース債務の返済による支出 ................................................................................... 自己株式の純増減額 ............................................................................................... 配当金の支払額 ..................................................................................................... その他 .................................................................................................................. 財務活動によるキャッシュ・フロー ............................................................................. 現金及び現金同等物に係る換算差額 ............................................................................ 現金及び現金同等物の増減額 ..................................................................................... 現金及び現金同等物の期首残高 .................................................................................. 現金及び現金同等物の期末残高 .................................................................................. 142 全日本空輸株式会社 前連結会計年度 当連結会計年度 (2010 年 4 月 1 日∼ 2011 年 3 月 31 日) (2011 年 4 月 1 日∼ 2012 年 3 月 31 日) 金額 金額 ¥ 35,058 118,440 315 2,130 6,835 11,749 3,536 153 4,517 (2,597) 19,314 359 192 1,088 14,835 9,738 6,297 ¥ 231,959 2,235 (19,137) (791) (6,985) (3,392) ¥ 203,889 ¥ 63,431 119,268 1,746 — — 4,789 134 210 2,212 (2,452) 19,578 (333) 2,442 (28,756) (6,197) 20,049 42,209 ¥ 238,330 3,220 (19,866) (1,979) — (5,299) ¥ 214,406 (106,460) 142,860 (188,113) 38,190 (23,585) (20) 502 (3,126) 765 (632) ¥(139,619) (231,730) 227,770 (181,196) 40,577 (15,685) (7,059) 602 (108) 956 (450) ¥(166,323) (28,930) 161,504 (109,736) 19,909 (40,000) (14,269) 1,012 — (86) ¥ (10,596) (257) 53,417 148,189 ¥ 201,606 (166) 180,481 (128,053) — (20,000) (11,950) 1,084 (5,018) (207) ¥ 16,171 (26) 64,228 201,606 ¥ 265,834 用語集 旅客事業関連 貨物事業関連 ATI (Anti Trust Immunity:独占禁止法適用除外) 座席キロ (Available Seat-Kilometers) 旅客輸送容量の単位。総座席数×輸送距離 有効貨物トンキロ (Available Ton-Kilometers) 貨物輸送容量の単位。総輸送容量(トン) × (キロ) 。 輸送距離 (キロ) 。 旅客キロ 有償貨物トンキロ 国家間の「オープンスカイ協定」を前提とし て、航空会社間の提携について、独占禁止法 (反トラスト法)の適用を除外する措置を米 国運輸省などから受けること。 ATI が認可されると、提携航空会社間で設 (Revenue Ton-Kilometers) 立したジョイントベンチャーにより、路線・ダ イヤ計画をはじめ、運賃・商品の共同設定、 有償貨物を輸送し飛行した距離の合計。有償 マーケティング・販売戦略の連携などが可能 有償旅客数×輸送距離 (キロ) 。 貨物輸送重量 (トン) ×輸送距離 (キロ) 。 となる。 座席利用率(Load Factor) フレイター 総座席数に対し有償旅客の搭乗度合を示し 貨物専用機。キャビンスペース (旅客が搭乗 各有償旅客が搭乗し、飛行した距離の合計。 Boarding (Revenue Passenger-Kilometers) フルサービスキャリア (FSC:Full Service Carrier) する場所)の座席を取り払い、空洞状につく 乗継需要も含めた路線ネットワークを基に、 キロ÷座席キロ。無償旅客数を含めない点 られた機内にコンテナおよびパレットが搭載 広範囲の市場を事業対象とする航空会社。 で搭乗率とは異なる。 される。 Takeoff た数値で、座席の販売状況を計る指標。旅客 座席クラスを複数提供し、機内食・飲料など をあらかじめ運賃に含めて提供するなどの ベリースペース 特徴がある。LCCとの対比でも使われ、ネッ 旅客機におけるキャビンスペースの床下部分 トワークキャリア、レガシーキャリアなどとも 定量的に測定する指標で、座席キロ当たりの のことで、貨物スペースを指す。 呼ばれる。 Climbing ユニットレベニュー レベニューマネジメントのパフォーマンスを 収入単価。収入÷座席キロ=座席利用率 × LCC(Low Cost Carrier) イールド。 航空業界・航空会社関連 単一機材、機内サービスの有料化、販売の簡 素化などによる低コスト体制の下、低価格運 イールド(Yield) 賃での航空運送サービスを提供する航空会 IATA たりの収入単価。収入÷旅客キロによっても 国 際 航 空 運 送 協 会( I n t e r n a t i o n a l A i r 社。ポイント・トゥ・ポイント (2 地点間運航) 方 算出される。 Transport Association) の略称。1945 年に 式による中短距離・多頻度運航が基本。 Cruising 旅客 1 人に対する 1km(または 1 マイル)当 国際線運航にかかわる航空会社などにより設 レベニューマネジメント 立。空港発着枠の調整や、航空会社間の債 ネットワーク戦略と運賃戦略をベースとし、 権・債務の精算などの機能を有し、2012 年 6 最適な時期・価格で最適座席数を販売する 月現在、240 余りの航空会社が加盟している。 その他航空運送全般 ICAO 車輪の形になぞらえられるネットワーク形態 収入の最大化を実現するマネジメント手法の 国際民間航空機関(International Civil で、車軸に当たるハブ空港から周辺のスポー こと。 Aviation Organization) の略称。国際民間 ク空港へ放射線状の路線網を構築するもの。 搭 乗 旅 客 構 成 の ベストミックスを達 成して 小都市であるスポーク空港間の小さい需要 して、1944 年に設立された国際連合の専門 を、大都市のハブ空港に結びつけることで、 航空業界における単位当たりコストの指標。 機関。2012 年 6 月現在、日本を含む、191 運航効率をあげることができる。 1 座席・1 輸送距離 (キロ) 当たりのコストとし カ国が加盟している。 ユニットコスト エクスプレス事業 て算出される。総コスト÷座席キロ。 配送元と配送先をドア・トゥ・ドアで結ぶ、一貫 需給適合 1997 年に設立された世界初、かつ世界最大 配送サービス事業。2009 年 10 月より沖縄 需要の動向に応じて、路線ごとの運航便数 の航空連合。ANA は 1999 年 10 月に加盟。 貨物ハブを稼働させ、企業間物流をターゲット の増減や機材の小型化などによる適正化な 2012 年 6 月現在、世界中の 27 の航空会社 とした国際エクスプレス事業を展開している。 ど、機動的に供給量 (座席キロ) の調整を行う (リージョナル エアラインを含む)が加盟し ており、2011 年の座席キロシェアは 27.1% を誇る。 Landing スターアライアンス こと。 Approach 航空に関する安全とその健全な発展を目的と In-Flight Service ハブ&スポーク方式 「イー ルドマネジメント」を行うことにより、 沖縄貨物ハブネットワーク 那覇空港を国際貨物の中継拠点(ハブ) とし て、アジアの主要都市をハブ&スポーク方式 客体ミックス ビジネス、個人、旅行など、複数の客体によ コードシェア で深夜時間帯に接続運航するANA グループ る構成比、もしくはこの構成比をコントロー 提携航空会社間でお互いの定期運航便に相 独自の貨物輸送ネットワーク。 ルしていくこと。 手方の便名を付与して運航するもの。事実上 は同一便の複数社による販売形態となる場 合が多く、共同運航便とも呼ばれる。 アニュアルレポート 2012 143 路線図 2012年7月1日現在 国際線ネットワーク [旅客] 路線:48路線 便数:812便/週 [貨物] 路線:18路線 便数:154便/週 ● ANAグループ便就航都市 ● コードシェア便就航都市 貨物便のみ運航路線 (グループ運航便のみ) Europe ミュンスター デュッセルドルフ アムステルダム アバディーン エジンバラ マンチェスター グラスゴー ● ● ダブリン ● ● ポルト ● ● ● ● ● ● マドリッド リスボン ● バルセロナ ● ● ● 天津 コペンハーゲン グダニスク ハノーファー ベルリン ライプツィヒ ドレスデン ワルシャワ ● ● デリー ドーハ ドバイ ● ● ● 北京 西安 成都 重慶 武漢 アーメダバード ヴロツワフ プラハ ウィーン ● ● フランクフルト ● ● ブダペスト ● ● ● ● リンツ クラカウ パリ ● ● ● ● ● グラーツ ● ● ザルツブルグ ● ● ニュルンベルグ ● ● ● シュトゥットガルト ● マルセイユ ● ● ミュンヘン ● リヨン フリードリヒスハーフェン ニース ● インスブルック ● ● ● トリノ ● イスタンブール ナポリ ヴェニス ローマ ミラノ ● アテネ フィレンツェ ボローニャ ● ● バーゼル チューリッヒ ジュネーブ 瀋陽 済州 ソウル (仁川・金浦) 釜山 ● ● ● ● ● アブダビ ムンバイ バンガロール チェンナイ ● 無錫 ● 杭州 クラビ プーケット ランカウイ ペナン クアラルンプール ● ● ● ● ホーチミンシティ ● ● コタキナバル クチン ● ●● ● ● ● ● ● 厦門 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 香港 ● ● ● マカオ 台北 ● チェンライ (桃園・松山) ● チェンマイ マニラ● ● バンコク ● ● ● ● 済南 ● ● ● (浦東・虹橋) ● 上海 ● 南京 ● ● 広州 コルカタ 深圳 ● 昆明 ● ハノイ ● ● ● 札幌 (千歳) 金沢(小松) 富山 仙台 ● 新潟 大連 青島 ● ● ● ロンドン ブリュッセル ● イェーテボリ ● ● ● ベルファスト Asia・ Middle East ベルゲン ブレーメン ヘルシンキ ハンブルグ オスロ ストックホルム ジャカルタ シンガポール ● ●● ● ● ● サイパン ● 岡山 高松 米子 松山 広島 宮崎 熊本 福岡 沖縄(那覇) ● ホノルル サンパウロ ● Hawaii ● リオデジャネイロ ● ヨハネスブルグ Africa South America Saipan・ Guam ● 利尻 稚内 国内線ネットワーク オホーツク紋別 女満別 ● ●● [旅客] [貨物] 路線:127路線 路線:6路線 便数:1,018便/日 便数:9便/日 旭川 根室中標津 ● ● ● ● ● 釧路 帯広 札幌(千歳) ● ● 函館 ● ANAグループ便就航都市 能登 ● ● ● 石垣 東京(羽田) 成田 ● ● ● ●● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●● ● ● 静岡 大島 ● ● ● ● ● 岡山 高知 松山 ● 宮古 全日本空輸株式会社 新潟 福島 ● ● 沖縄(那覇) 144 庄内 仙台 ● 徳島 ● 秋田 ● 富山 金沢(小松) 鳥取 米子 萩・石見 山口宇部 対馬 ● 壱岐 ● ● 福岡 ● 長崎 ● ● ● 五島福江 佐賀 熊本 ● 鹿児島 北九州 宮崎 大分 貨物便のみ運航路線 大館能代 ● IBX (IBEXエアラインズ) 、ADO (エア・ドゥ) 、 SNA (スカイネットアジア航空) 、 SFJ (スターフライヤー) 、 ORC (オリエンタルエアブリッジ) との コードシェア便を含む グアム 広島 高松 三宅島 八丈島 名古屋 (中部) 大阪(伊丹) 大阪(関西) 神戸 福島 茨城 東京(成田) 東京(羽田) 静岡 名古屋(中部) 大阪(関西) ● ● カイロ ● ●● ● ●● North America シンシナティ デトロイト クリーブランド デイトン トロント グランドラピッズ ルイビル インディアナポリス ミルウォーキー マディソン カンザスシティ ミネアポリス セントルイス デモイン レキシントン オマハ ウィニペグ カルガリー ● バンクーバー ● ● ● ● リノ ● ● サクラメント サンフランシスコ モントレー サンタバーバラ ロサンゼルス サンタアナ ● ● ● ● ●● シカゴ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● バーミンガム ニューオリンズ メンフィス ヒューストン ● ● ● ● ● ● ● ● ナッシュビル ジャクソンビル オーランド タンパ マイアミ ダラス リッチモンド ローノーク ノーフォーク グリーンズボロ ローリーダーラム チャールストン (CRW) シャーロット ノックスビル コロンビア アトランタ チャールストン (CHS) グリーンズビル Takeoff フレズノ ベーカーズフィールド パームスプリングス サンディエゴ ラスベガス フェニックス ソルトレイクシティ ツーソン アルバカーキ サンアントニオ オースチン メキシコシティ ● ● ● ● ● ● ● ● Boarding ポートランド ● ボイジー デンバー シアトル バッファロー ロチェスター オタワ シラキュース モントリオール オールバニー ポートランド バーリントン マンチェスター ● ボストン ● ● ● ● プロビデンス ● ハートフォード ウエス トチェスター ● ● ● アレンタウン ● ニューヨーク (JFK) EWR・LGA ハリスバーグ ピッツバーグ ワシントンD.C. フィラデルフィア ボルチモア コロンバス Climbing North America シカゴ ミュンヘン ニース ブダペスト ローマ ミラノ フィレンツェ ボローニャ ナポリ マドリッド バルセロナ ワルシャワ ヴロツワフ ウィーン グラーツ アテネ アムステルダム イェーテボリ ウィーン ヴェニス オスロ グラーツ コペンハーゲン シュトゥットガルト ジュネーブ ストックホルム チューリッヒ デュッセルドルフ トリノ ドレスデン ニース ニュルンベルグ ハノーファー ハンブルグ フィレンツェ プラハ フリードリヒスハーフェン サン フランシスコ ソルトレイクシティ バンクーバー ヒューストン ボイジー ボルチモア メキシコシティ リノ オーランド ツーソン ニューヨーク (EWR) パームスプリングス フィラデルフィア ベーカーズフィールド ボストン フランク フルト ブリュッセル ブレーメン ベルゲン ヘルシンキ ベルリン ボローニャ マドリッド ミュンスター ミュンヘン ミラノ ライプツィヒ リスボン リンツ ローマ ワルシャワ バーセル パリ マンチェスター ナポリ グダニスク クラカウ ポルト アニュアルレポート Landing ブリュッセル ニュルンベルグ ハノーファー ベルリン デュッセルドルフ ハンブルグ シュトゥットガルト チューリッヒ ジュネーブ プラハ リヨン パリ マルセイユ ロサンゼルス ラスベガス フェニックス フレズノ サンディエゴ シアトル ポートランド サクラメント サンタバーバラ デンバー モントレー アルバカーキ オースチン サンアントニオ サンタアナ ワシントン DC チャールストン(CHS) デトロイト トロント ニューヨーク(EWR) ニューヨーク(JFK) ニューヨーク(LGA) バーリントン バッファロー ハリスバーグ ピッツバーグ プロビデンス モントリオール リッチモンド ローノーク ロチェスター ノーフォーク マイアミ Approach Europe オーランド シカゴ シャーロット フィラデルフィア ボストン コロンバス ローリーダーラム アトランタ オールバニー オタワ クリーブランド グリーンズビル グリーンズボロ コロンビア ジャクソンビル シラキュース タンパ In-Flight Service オーランド オタワ コロンビア サンアントニオ シラキュース チャールストン(CHS) ニューヨーク (EWR) ノックスビル バーミンガム バッファロー ハリスバーグ ヒューストン プロビデンス マイアミ モントリオール リッチモンド ルイビル レキシントン ローノーク ローリーダーラム ロチェスター ワシントン (IAD) オースチン グリーンズビル ジャクソンビル チャールストン (CRW) ニューオリンズ ノーフォーク バーリントン ポートランド マンチェスター メンフィス Cruising フィラデルフィア ニューヨーク (LGA) ボストン インディアナポリス シャーロット シンシナティ セントルイス ナッシュビル ピッツバーグ ボルチモア ミネアポリス ワシントン(DCA) オマハ カンザスシティ グランドラピッズ クリーブランド グリーンズボロ コロンバス ダラス タンパ デイトン デトロイト デモイン トロント ハートフォード マディソン ミルウォーキー アトランタ オールバニー アレンタウン ウィニペグ ウエストチェスター 2012 145 ANAグループ 2012年3月31日現在 ANA組織図 グループ経営戦略会議 株主総会 監査役室 監査役 監査役会 オペレーション推進会議 オペレーションレポート&レビュー会議 取締役会 顧問 CS推進会議 会長 社長 監査部 総合安全推進委員会 本社各部署 IT戦略推進委員会 リスクマネジメント委員会 CSR推進会議 コンプライアンス委員会 環境マネジメント委員会 オペレーション統括本部 営業推進本部 貨物本部 運航本部 整備本部 客室本部 国内空港支店 国内空港所 国内支店 海外支店 海外空港所 グループ会社数 事業セグメント 子会社数 うち連結 うち持分法適用 関連会社数 うち持分法適用 航空運送事業 50 34 − 7 4 旅行事業 5 53 5 − 23 5 1 33 12 108 62 5 41 17 その他 グループ全体 1 主要な連結子会社 会社名 主たる事業内容・当社との関係 資本金 ※1 議決権比率 航空運送事業 ※2 エアーニッポン (株) (株) ANAウイングス (株) エアージャパン (株) ANA ケータリングサービス ※3 (株) ANA エアポートハンドリング 新東京空港事業 (株) (株) ANAテレマート (株) エーエヌエースカイパル 全日空整備 (株) (株) OCS 運送の共同引受、当社航空機等の賃貸、整備作業の受託 運送の共同引受、当社航空機等の賃貸、整備作業の受託 当社航空機等の賃貸、整備作業の受託、当社事務所の賃貸 機内食の購入 当社航空機地上ハンドリング・空港旅客サービス業務の委託、 当社事務所・倉庫の賃貸 当社航空機地上ハンドリング業務の委託、当社事務所の賃貸 当社航空旅客への予約・案内業務の委託、当社事務所の賃貸 当社空港旅客サービス業務の委託、当社事務所の賃貸 当社航空機整備の委託、当社土地・事務所の賃貸 航空貨物輸送等のサービス 100 百万円 50 50 100 100.0 % 100.0 100.0 100.0 100 60 50 30 100 120 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 73.4 航空券等の販売、当社事務所の賃貸 1,000 100.0 当社 CRS (Computer Reservation System) の端末展開、設備の賃貸 ソフトウェアの購入、当社情報システムの保守・管理委託、当社事務所の賃貸 航空機関連資材の購入 当社施設管理業務の委託、当社事務所の賃貸 4,000 52 1,000 80 60.0 100.0 100.0 93.6 旅行事業 (株) ANA セールス その他 (株) インフィニ トラベル インフォメーション 全日空システム企画 (株) 全日空商事 (株) スカイビルサービス (株) ※1. 資本金は、連結消去前の各社決算数値を表示しています。 ※2. エアーニッポン (株) は 2012 年 4 月 1 日に全日本空輸 (株) と合併しています。 ※3. 当期において国際空港事業 (株) が ANA エアポートハンドリング (株) に社名を変更しています。 146 全日本空輸株式会社 会社情報 2012年3月31日現在 会社概要 資本金※ 商 号 全日本空輸株式会社 All Nippon Airways Co., Ltd. 231,381百万円 決算日 株式の総数 設 立 1952年12月27日 事業所 ◆ 国内 東京、札幌、名古屋、大阪、福岡、沖縄ほか29都市 • アジア地区 北京・天津、大連・瀋陽、青島、上海・杭州、成都、厦門、 広州、香港、台北、 ソウル、ムンバイ、バンコク、ヤンゴン、 ホーチミン、 シンガポール、 クアラルンプール、 ジャカルタ、マニラ 405,076人 上場証券取引所 東京、大阪、ロンドン 証券コード 9202 株主名簿管理人(2012年4月1日現在) 三井住友信託銀行株式会社 (事務取扱場所)東京都千代田区丸の内一丁目4番1号 三井住友信託銀行株式会社 証券代行部 監査法人 新日本有限責任監査法人 米国預託証券 比率 (ADR: 普通株) : 1:2 シンボル: ALNPY CUSIP: 016630303 名義書換・預託代理人: The Bank of New York Mellon 101 Barclay Street, 22 West, New York, NY 10286, U.S.A. TEL: 1-201-680-6825 U.S. Toll Free: 1-888-269-2377 (888-BNY-ADRS) ホームページ: http://www.adrbnymellon.com Climbing • 欧州地区 ロンドン、モスクワ、 フランクフルト、ハンブルグ、 デュッセルドルフ、 ジュネーブ、チューリッヒ、ローマ、 パリ、ブリュッセル 株主数 Takeoff ◆ 海外 • 米国地区 サンフランシスコ、ロサンゼルス、 シカゴ、ニューヨーク、 ワシントンD.C.、 ホノルル 発行可能株式総数: 5,100,000,000 株 発行済株式総数: 2,524,959,257 株 Boarding 本社所在地 〒105-7133 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 代表TEL: 03-6735-1000 3月31日 ※ Cruising ※ 2012年7月3日開催の当社取締役会において決議した新株式発行ならびに当社 株式の売出しによって、資本金と発行済株式数は下記のとおりとなる予定です。 従業員数 32,884人 (連結) 資本金:318,789百万円 発行済株式総数:3,516,425,257 株 Webサイトのご紹介 ANA IR 検索 ANA CSR CSRサイト: http://www.ana.co.jp/ana-info/ana/csr/ 検索 In-Flight Service IRサイト: http://www.ana.co.jp/ir/index.html Approach Landing お問い合わせ 全日本空輸株式会社 〒105-7133 東京都港区東新橋 1-5-2 汐留シティセンター IR 推進室 E-mail: [email protected] 総務部 CSR 推進チーム E-mail: [email protected] アニュアルレポート 2012 147 Landing ... アニュアルレポート2012はいかがでしたでしょうか? 今後とも、変わらぬご愛顧とご支援を 賜りますよう、お願い申し上げます。 Cruising Climbing Takeoff Boarding 148 全日本空輸株式会社 In-Flight Service Approach Landing アニュアルレポート 2012 149
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