みなさん、こんにちは。ソーニャ・ポールです。Shizuoka Speaksへ

EPISODE 5 TRANSCRIPT - 日本語
みなさん、こんにちは。ソーニャ・ポールです。Shizuoka Speaksへようこそ。今回は
静岡市にお住まいの様々な方々と、言語学習の経験についてお話していきます。お話を
通して、いろいろな方々にとって言語学習がどのような意味を持っているか、また、世
界がどのように変化していっているのかについても考えてみましょう。
先週は、日本とフィリピンのハーフの学生で15歳の奈津美さんとお話しました。彼女
は現在、静岡で勉強しています。フィリピンの小学校で英語を勉強していたので、彼女
が10歳で日本に来た時には、すでに英語はある程度知っていました。
今日のテーマはそれと関係したものです。日本における英語教育がどのようなもの
か、ある程度はご存知かとは思いますが、他のアジアの国々ではどうなっているので
しょうか?
再びリア・ファン・マンシーさんたちに話をして、探ってみましょう。
---ソーニャ:ベトナムでは英語は必須科目ですか?
---ファン: 英語は12年前に、ベトナムで学習し始めました。
---ファン:ベトナムには欧米の会社が多くあります。なので、もし高い給料が欲しけれ
ば、英語を学ばないといけません。
--- ここでファンさんは「お金」−このケースでは高い給料―を挙げました。誰もが新し
い言葉を勉強する際にあげる、一般的な理由の一つです。
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リアさんが英語を学習している理由も、とても実用的なものです。インドネシアの人
は一般的に小学校から高校まで英語を学習しますが、リアさんはさらに上級の英語の
コースを受講しました。
---リア:理由は、そうですね、いつか英語がとても役に立つと思うから、ただそれだけで
す。大学に行く時、たくさんの英語の本を読まないといけないですし、情報も・・・。
あと、映画や歌、英語の歌が大好きなので。
ソーニャ:どのような英語の歌がお好きですか?
リア:え、もうたくさんあるんですよ!インディー音楽からロックまでとか、R&Bと
か、・・・もうみんな大好きなんです!歌詞がいい歌が大好きですね。
ソーニャ:では、インドネシアでは英語はすごい人気があるんですか?勉強している人
は多いですか?
リア:そうですね、ただ学校で勉強しているだけでは、全く十分ではないと思います。
自分で調べたり、勉強したり、そういったことが英語を本当に上達させることができる
のです。大学までは全然、英語を使うことはありませんでした。ただ理論を勉強するだ
けで、話す機会はなかったんです。実際には、一度だけ仕事で使ったことがあります。
上司に報告書を作成しなければならなかったのですが、上司はフランス人でした。でも
私はフランス語が話せませんし、上司は英語を知っていたので英語を使いました。
--- またもやファンさんと同様に リアさんも英語の実用性を重要視されています。彼女
は英語―彼女の母語ではない言葉―を、同じく英語を外国語として話す同僚とコミュニ
ケーションをとるために話す必要性があったのです。
このようなことは、まったく珍しいことではありません。今日現在、4人の内3人の
人が英語を外国語として話しています。
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ソーニャ:言語それ自体に違いはあると思いますか?
リア:どういう意味ですか?
ソーニャ:例えば、いろいろな言語を学んだりすると自分を表現したりするのがしやす
くなるんでしょうか?
リア:実際のところ、私が覚えた言語の全てがそうなのですが、映画に興味を持ったか
らとか、その言語に興味をもったから、勉強がしたくなって勉強を始めました。もし勉
強したくなかったらしません。インドネシア語は英語や日本語とは全く違う文法なの
で、そこが難しかったです。文法を勉強するのは、一生懸命勉強しないといけませんで
した。
ソーニャ:インドネシア語の文法はどのようなものですか?
リア::インドネシア語には未来時制や過去形、そういったものがありません。あとは
インドネシア語にはあまりボキャブラリーがないということに気が付きました。ですか
ら、インドネシア語では何としても表現できない場合は、英語で表現しないといけませ
ん。それが今でも英語を勉強することに興味がある理由です。「ああ、こんな気持ちの
ときは、この言葉をつかえばいいんだ!」そんなかんじですね。
---ソーニャ:では、あなたの英語の経歴はどうですか?どれくらいの期間、英語を勉強し
ていますか?
マンシー:そうですね、インドでは生まれてからすぐに英語を勉強します。
--- 再び、マンシーさんです:
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マンシー:つまり、私の父は軍人出身で英語の経験が豊富でしたので、私たちはいつも
英語で話していました。両親も英語で話します。そのため言うまでもなく、教育を受け
始める幼稚園から全て、英語でした。本も全て、英語で書かれています。
ソーニャ:本当ですか?
マンシー:はい、もし英語を知らなければ、勉強さえできませんからね。
ソーニャ:では、小学校でさえ・・・
マンシー:小学校でさえ、全部が英語です。いくつかの学校を除いては。要するに公立
学校のことなんですが、今もまだ残っているかどうかわかりません。でも英語で教えて
いない学校はほとんどないですね。学校は全て英語を伝達手段としています。
ソーニャ:国全体でさえそうなんですか?北の方やその他も・・・?
マンシー:今は国全体がそうですね。実は、南部の方が北部よりももっと普及していま
すが。
ソーニャ:そうなんですか。では、インドでは英語は英語で教えられているんですか?
マンシー:英語でです。その通りです。
ソーニャ:・・・ヒンディー語も英語で教えるんですか?
マンシー:いえ、ヒンディー語はヒンディー語で教えます。
ソーニャ:そう、そうですよね!
マンシー:でも、ヒンディー語はある程度のレベルまでだけです。もし私が間違ってな
ければ、8年生(訳注:日本の中学2年生にあたる)まで勉強しなければなりません。
そしてその後、特定の言語の中から選ぶことになります。私の時代には、サンスクリッ
ト語かヒンディー語しかありませんでしたが、今では多くの言語から選べます。今では
フランス語、日本語、そしてドイツ語やスペイン語、その他いろいろな言語から選ぶこ
とができます。
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ソーニャ:すごい!
マンシー:なので、ヒンディー語は英語ほど重要ではないんです。実はインドの公用語
が英語だとお聞きになると、驚かれることでしょうね。
ソーニャ:ヒンディー語と英語ですよね。
マンシー:違いますよ。
ソーニャ:英語だけなんですか?
マンシー:英語だけです。実は、英国が来た時からそうです。それから変わっていませ
ん。
--- ここでいくつか明確にしておきましょう。まず、マンシーさんが英国について話した
時、インドのイギリスによる歴史的遺産のことを話されていたのです。旧英国領として
のインドの歴史に由来しています。そしてそれから後も、英語がインドにとって重要な
言語として残されました。しかし厳密に言うと、英語が唯一の公用語なわけではありま
せん。ヒンディー語と英語の二つがあります。
彼女の英語に対する主張は、しかしながら、インドの異なる州をまたがるコミュニ
ケーションにおいては英語が最も重要な言語である、というところにあります。インド
は、何千もの言語や方言がある、非常に多様性のある国です。英語は、インド国内の一
地方を他の地方よりもひいきにしないため、どこにも属さない共通語のような役割をし
ているのです。
---マンシー:・・・そのため、何をするにしても英語を必要としているので、もしどこで
あっても仕事をする時は、英語で行わなければなりません。ですからもし英語がわから
ないとしたら・・・。つまり英語は、なんというかもう普通なんですね。
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ソーニャ:まあ、すごいですね。では、マンシーさんご自身の英語力を評価すると、ど
れくらいですか。
マンシー:自分でこういうべきではないでしょうが、謙虚でいるべきだとは思うのです
が、おそらく・・・
ソーニャ:謙
しないで。
マンシー:よくわかりませんが、おそらく10のうち9くらいではないでしょうか。なぜ
なら、どういうわけか英語は私にとって、母語のような感じなんですね。私が考えるこ
とや、頭にあるものが全て、英語なんですから。その中に少しだけヒンディー語があり
ますが。
ソーニャ:ヒンディー語と比べても英語でご自身を表現なさる方が、気楽な感じだとい
うことですか?
マンシー:そうですね。英語の方がいいです。
--- マンシーさんのお話をお聞きになって、「参ったなあ!」インドの人は英語が話せる
からなあ、と思われたのではないでしょうか。これは真実ではあり、また真実でないと
も言えます。マンシー]さんご自身がおっしゃったとおり、お父さんが軍隊で仕事をし
てて、家でも英語を話していました。彼女の英語力は当然、それから影響を受けていま
す。
しかし、インドの状況はとても多様性があります。英語は教育を受けた人々の間では
好まれたコミュニケーションの手段であるかもしれませんが、インドには今もなお、世
界の貧しい人口の内の3分の1の人々が住んでいます。ですから、一つだけ確実に言える
ことがあります。つまり全ての人が学校に行けるというわけではない、ということで
す。
しかしこれら全てをふまえても、「Hinglish」という用語は、インドではかなり広
まっていると言えます。「Hinglish」とは、話し言葉として、ヒンディー語と英語が混
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ざったものの呼び方です。日常生活で聞くことがないとしても、映画の中で聞くことが
できます。このような組み合わせは他の言語にもみられます。例えば、中国語
(Chinese)と英語(English)が混ざったものは「Chinglish」、スペイン語
(Spanish)と英語では「Spanglish」などがあります。
ところが、日本ではそのような一体化はそれほど一般的ではありません。少なくとも
いまのところは。それは日本人の英語の話し方を表現する言葉にまで反映されていま
す。「Japanglish」はありませんが、Japanese Englishがあります。Japanese English
とは、一般的には、英語の単語やフレーズの日本人のアクセント、また実際には日本で
しか使われていない英語のフレーズのことです。
Japanese Englishについては、当シリーズで後ほどもっとお話しすることにしましょ
う。今のところは、琴美さんの言語学習の経験についてお話しします。
---琴美:私は、静岡県立大学の在学中は国際関係学部にいました。私の第二外国語はフィ
リピンの言語、タガロク語でした。そして私が大学三年生の時、一年間の休学期間を取
り、フィリピンの山間部で環境保護の非政府組織(NGO)でボランティアをしまし
た。そこに1年ほど滞在し、植林やマイクロ水力発電プラント事業、バイオガスなどの
環境保護の教育を行うワークショップに参加しました。
琴美:タガログ語を外国語として勉強しようと思ったのはなぜですか?
琴美:ああ、外国語としてですか。特にこれといってないのですが・・・。私が静岡県
立大学の入試試験を受けた時、試験は小論文でした。そしてその時、小泉首相とアロヨ
大統領が―――
--- アロヨ大統領とは、グロリア・マカパガル・アロヨ大統領のことです。
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琴美:フィリピンの大臣だったのですが、ちょうど、自由貿易協定に合意したところで
した。その当時、日本はフィリピンから看護人やヘルパー、介護士などをもっと受け入
れることを決定しました。その時、私はよく考えていました。ここ静岡には多くの外国
人がいるのに、更に外国人を受け入れることについてです。今でも、外国人については
多くの問題があると思います。例えば、まだ静岡で働いているインドネシア人やブラジ
ル人の方に対する人種差別のようなものが、多少あります・・・。ですので私は小論文
で、フィリピンからの労働者をもっと受け入れると何が起こるのか、について書きまし
た。あまりよく覚えていませんが、そんなところです。そしてその後、入試に合格して
静岡県立大学に入学しました。その次に、第二外国語を決めなければなりませんでし
た・・・。それで私はタガログ語を選びました!
そして、私が高校生の時は陸上部に入っていました。私の友達のお母さんはフィリピ
ン人でした・・・。私が友達のおうちに遊びに行ったとき・・・彼女達の親切にもてな
しをしてくれました。彼女はいつも温かく迎えてくれました。とても親切でした。私が
高校にいたその時に、フィリピンの文化に触れた気がします。だからだと思います。で
も、タガログ語を選んだ時は本当にあまり深く考えていませんでした。
--- 言うまでもなく、琴美]さんは英語も話します!大学に在学中は英語を勉強し続けま
した・・・そして、フィリピンに滞在していた時もです。
---琴美:・・・実のところ、フィリピンには7千もの島がありますよね。そして言葉に関
しては、170から180の言語があります。タガログ語はマニラ周辺に位置する一つの言
語に過ぎません。ですので山間部の人たちはイロカノ語、もしくは英語を話します。そ
のため、私が彼らと話す時は、タガログ語やたまにイロカノ語、または英語を話さなけ
ればなりませんでした。だから、おそらく私の英語も多少、上手になったのでしょう!
--- 英語力についてフィリピンは、インドやシンガポールのような国々と並んで、アジア
諸国内の中でも常に最上位を占めています。その一方、日本は常に最下位周辺に位置づ
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けられています。しかし最上位を占めている国々では、英語が公用語になっています。
日本では、唯一の公用語は日本語です。
TOEFL(Test Of English as a Foreign Languageの略)の2004年、2005年のデータ
によると、平均としては日本は全てのアジア諸国の中で最下位から2番目であったこと
が明らかになりました。日本よりも下位にいた唯一の国は北朝鮮でした・・・そしてそ
の差は、たったの1点でした。
日本が向上のために努力していない、と言おうとしているのではありません。例え
ば、2010年のTOEFLのデータによると、紙ベースでは日本の平均点が上がっていて、
現在ではいくつかの他のアジアの国々よりも上位にいます。・・・しかしその一方でコ
ンピューター・ベースの点数は・・・、さて、それについては日本はまたもや、最下位
から2番目になっています・・・。
ただし、試験からわかることは話の一面にすぎません。試験からは、受験者の実際の
能力についてはあまりわかりません。また、日本国内でも国外でも、日本人の英会話が
下手なことは共通の理解となっています。
日本は、英語のカリキュラムの強化の実行という点においても、他のアジア諸国の中
で英語を公用語として話さない国々よりも遅れています。日本では長い間、中学校・高
校では英語教育は必須でした。しかしようやく今年になって、2011年4月以降、小学校
の5、6年生の英語活動が必須となりました。
中国は2001年に、小学校の英語教育を必修としました。韓国は1997年に同様のこ
とを行っています。そしてタイでは1996年に小学校での英語教育を実施していま
す・・・、日本が開始する15年前のことです。
疑問に思いませんか・・・(音楽が小さくなり始める)日本の語学教育政策の裏側に
ある姿勢は、一体どのようなものか?そして、日本国民の英語に対する態度について
は?どこからやってきたのでしょうか?これらの質問にお答えしていきますので、今後
もぜひ、毎週チャンネルを合わせ続けてくださいね。
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ファン・リア・マンシー・琴美]さん、ありがとうございました。ソーニャ・ポール
が、Shizuoka Speaksの最新のエピソードをお届けしました。お聞きくださって、あり
がとうございました。