アサーティブネスとは ● アサーティブネスとは、相手との対等で率直で誠実なコミュニケーションの方法と考え方です。 「アサーティブネス(Assertiveness)」は、直訳すると「主張すること」「断言すること」という意味 です。しかし、アサーティブであることは、「自分の意見を押し通す」ことではありません。自分の気持 ちや考えを、相手の立場、考えを尊重しながら、相手の権利を侵害することなく、率直に伝えることを意 味します。そしてその根底には、ありのままの自分を、世界にふたつとないかけがえの無い存在として受 け入れる考え方が流れています。 ● アサーティブネス・トレーニングは、欧米を中心に 1970 年代における人権擁護の思想と女性解放運動 のなかで生まれてきたものです。ずっと我慢を強いられ、自分たちの意見を言えなかった女性たちが私た ちも言いたいことがある、私も自分の権利を主張してもいい、と立ち上がる“道具”として使ったのが、 アサーティブネス・トレーニングでした。 それまで自分のことは二の次にして、誰かの次においてきた女性たちが、自分のことは自分で決める、誰 かのために生きるのではなく自分自身のために生きるということを、意識的に選択し始めたことが始まり でした。 ● 基本は4つの柱 アサーティブネスでは、人と向き合い、コミュニケーションをとるときの大事な柱があります。これらの 柱を自分の中にしっかり持った上で人と向き合います。 ・誠実であること ・率直であること ・対等であること ・自己責任をとること ● 人間関係の持ち方のタイプ ・自分のことだけを考えて他者を踏みにじるやり方・・・攻撃型 ・自分よりも他者を常に優先し、自分のことを後回しにするやり方・・・非主張型・受身型 ・相手に悪いなと思わせて、自分の得たいものを得るやり方・・・作為型 ・自分のことをまず考えるが、他者をも配慮するやり方・・・アサーティブ型 ● アサーティブ型とは ~自分の行動や選択、人生に対して自分が責任を負っていることを自覚していて、周りの人からの評価 に頼らず生きていける。ひとりで何もかもするのではなく、必要に応じて人に頼める。自分の主張をし た上で相手との食い違いについて話し合う心の準備がある。自分の感情に耳を傾けることができ、自分 の長所と短所のどちらも含め、あるがままの自分を受け入れられる。 【参考資料】 ・アサーティブジャパンホームページ ・フォーラムブック8「ことばに出そう、自分の気持ち 森田汐生講演録 横浜市女性協会 ・「アサーション・トレーニング」 ☆ アサーティブネス・トレーニングのすすめ」 平木典子著 日本・精神技術研究所 より詳しくお知りになりたい方は、ぜひ参考書籍をご覧ください。 ■相談事例(プライバシー保護のため複数例を組み合わせてあります。) 「職場のパワーハラスメント」 相談内容 結婚により、退職したが、今月から、パートとして週 3 日、働き始めて いる。仕事の内容について隣の席の人に質問していたところ、職場の先 輩から、 「私語が多い」と攻撃的に非難され、衝撃を受けた。 「どうして 私だけ?」と思うとそのこともショックだった。今後どう仕事をしてい けばいいかわからなくなった。 相談員の対応 ・状況を聴き取り、相談者の受けた衝撃の大きさに共感。 ・相談者の問題ではなく、相手の問題であることを話し合った。 ・アサーティブネスをはじめ以下の情報提供を行った。 紹 介 し た 講 座 や ・アサーティブネスの考え方と関連書籍 書籍、考え方など ・再就職準備講座「ルトラヴァイエ」 結果 (相談者の状況) 「私は、自分を責めなくてもいいんですね。少し気持ちが軽くなりまし た。本を読んでみます」と。 「セックスレスの悩み」 相談内容 出産後、子育てに忙しく、夫からのセックスの申し出を断る事が何度か あったが、そのうちセックスレスになり数年が経った。当初は、(セッ クスは)無い方が楽だと感じたが、今は物足りなく感じている。 相談員の対応 ・夫婦は、それぞれ違うが、セックスも大切なことであると思う。あな たが物足りなさを感じているとしたら、そのことは夫と共有すること が大切だと思うと伝えた。 ・夫は話し合いが成り立つ相手であること、相談者のことを大切に思っ ていることを聴き取り、伝え方のこつを話し合った。 紹 介 し た 講 座 や ・Iメッセージ(「私」を主語にして気持ちなどを述べること) 書籍、考え方など ・アサーティブネスの考え方 結果 (相談者の状況) 「話してもいいんですね。思い切って、夫に話してみようと思います。 少し気持ちが晴れました」とのこと。 「母との関係」 相談内容 子どもの頃から、母には絶対に従わなければならず、母の機嫌を損なわ ないようにすることを最優先に考え、自分自身がどうしたいかなど考え ることは全く無かった。子どもを出産後、母への怒りの気持ちがこみ上 げてきて、耐え難くなり、最近になって母とは会わないようにしている。 心の健康を取り戻すために相談したい。 相談員の対応 ・相談者の母への怒りの気持ちは当然のものと受け止めた。実生活のな かで母と距離を取る工夫をされていることに共感。 ・「無理をして母と連絡をとろうとすると『恨み』になるので、当面連 絡は取らないようにしようと思う」と語る相談者の方針に賛成した。 紹 介 し た 講 座 や ・アサーティブネス講座 書籍、考え方など ・アサーティブネス関連書籍 ・自助グループ 結果 (相談者の状況) 「自分が何をしたいのか全くわかりませんでしたが、自分の気持ちを大 切にしてもいいことに気づきました」とのこと。 (男女共同参画センター横浜 総合相談課)
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