今回のテーマ 「お正月」

今回のテーマ 「お正月」
11月に入ると今年もあと少し。そろそろ年末やお正月の準備が気になる
時期ですね。そこで今回のテーマは「お正月」です!
皆さんは、「お正月」の意味について改めて考えたことはありますか。
1年の初めに、新しい歳神(トシカミ)様が家々に降りてきて、その年の
豊作と家族の幸せを約束してくれると言い伝えられています。正月は
その歳神様を祭る行事なのです。年末に門松やしめ飾りなどをそなえるのは、歳神様を歓迎する気持ちを
表すもので、その飾りについても、ひとつひとつ深い意味があり、そこには神仏に感謝し、自然を敬う日
本人の心が生きているのです。
お正月飾りは、すす払いをして1年の厄を落とした後、12月26日から28日までの間、または12
月30日に飾ります。29日は「苦待つ」「苦立て」に通じ、31日は「一夜飾り」になることから縁起
がよくないとして、昔から避けられてきました。また、旧暦には31日がなく、30日が大晦日とされて
いたため、大晦日の前日である29日(小晦日)に、そのようなことを押し詰まってからするものではな
いという戒めからのようです。
例えば、家の門口に立てる門松、これは歳神様の依代(神が宿る場所)になるものです。3本の竹を束
ね、松で囲み、梅や笹などをあしらい、門や玄関の左右に一対になるように立てます。外から見て左手が
雄松(葉が固いもの)、右手が雌松(葉が柔らかく枝の多いもの)となります。松は常緑であることから
不老長寿、竹は竹の子から子孫繁栄を意味しています。
マンションやアパートなどで門柱がない場合は、松の小枝を和紙で右前(向かって右側が上になること
)になるように巻き、「赤白」か「金銀」の水引で結んだ略式の門松を玄関ドアの両側に飾ります。
今は門松の絵が印刷されたものを多く見かけますが、やはり少し味気なさを感じます。ほんの少し手間
をかけてお飾りを手作りし、いつもと違うお正月を過ごしてみるのもよいのではないでしょうか。
そして、門松をはずすのは1月7日が一般的です。元旦から7日までを「松の内」と言いますが、これ
は門松を立てておく期間を指しているのです。
食べることもお正月の楽しみの一つですが、お雑煮などの食に関しても多くの意味が込められています
。お雑煮は大晦日に歳神様にお供えした餅や野菜を元旦の朝に下げ、煮て食べたことが始まりとされてい
ます。材料や調理法、餅の形は地域や家によって異なりますが、東京は焼いた角餅で醤油ベースのすまし
汁が多く、大阪では焼いていない丸餅で白味噌の所が比較的多いようです。
里芋、大根、人参、青菜、豆腐、鶏、塩ブリ、塩鮭などの具材を入れますが、地域によっても具材は様
々です。奈良県添上では味噌仕立てに餅にきな粉をつけて食べ、島根県出雲・松江市は、ゆで小豆を甘く
仕立てて、ゆでた丸餅を入れるお雑煮です。沖縄県では雑煮文化はないそうです。
また、1月7日の朝にいただく七草粥は生命力あふれる新芽をおかゆに入れてその年の無病息災を祈願
します。なずな、ごぎょう、ほとけのざ、すずな、はこべら、すずしろ、せりの春の七草を入れることは
一般に知られるところです。
そして、子供達の楽しみはお年玉でしょう。お年玉は歳神様に供えた餅をおろして分け与えるという意
味で、年長者から年少者に渡したのが始まりです。子供には「お年玉」「おもちゃ料」「絵本料」の表書
きですが、上司の子供には「お年玉」の表書きは一般的に失礼とされているので、「文具料」「図書料」
などとします。両親には「御年賀」「御慶」とするのがよいでしょう。
お正月まであと1ヶ月余りとなりましたね。いつもは慌しく過ごしてしまう師走ですが、今年はお正月
の意味を考えながら、様々な準備を自分なりのやり方で楽しむ、そんな心の余裕を持てたら素晴らしいで
すね。また、こんなお正月の過ごし方があります、こんなお雑煮がありますなどといったお便りをいただ
ければ幸いです。
2004年創刊号より抜粋