デジタルテレビの効果的な教育利用に関する 検討報告書

地上デジタル放送への移行に伴う
デジタルテレビの効果的な教育利用に関する
検討報告書
2009年5月
社団法人 日本教育工学振興会
はじめに、
2011年7月24日にアナログ放送は停波され、地上デジタル放送に切り替わることから、学校に導入さ
れているアナログテレビを地上デジタルテレビに置き換えるための予算措置が、平成21年度の補正予算に
計上され、本格的な導入が始まろうとしています。
このことに関連して、デジタルテレビ装置は、テレビ受信機能ばかりではなく、パソコンや実物投影機等か
らの提示装置としての優れた用途があり、大型スクリーンに提示するプロジェクターとの使い分けについて
正しい知識を得る必要があります。
さらに、既存の提示用コンテンツはプロジェクターによる提示を目的として作成された物が多く、デジタル
テレビ装置への提示については、その特徴を活かした工夫が必要です。
一方、デジタルテレビ装置への提示を目的として作成されるコンテンツの制作では、あらかじめ有効な提
示方法を習得しておく必要があります。
これらについては、色の再現性、音声、操作性、設置性などにおいて、それぞれの特徴があり、正しく把
握することによって、それぞれの優位性を活かすことができます。
本報告書は、JAPET の参与会において教育工学的見地から調査研究し、以下の内容で作成しました。
1 デジタルテレビとプロジェクターの違い
2 大型デジタルテレビの利用が有効と考えられる活用場面
3 コンテンツの利用と教材開発における留意点
4 教室環境及び機器レイアウト等の提案
この報告書は、コンテンツ制作の専門家ばかりではなく、教育関係者が利活用する際のガイドブックとし
て役立つものと期待しています。
社団法人 日本教育工学振興会
地デジ活用ワーキンググループ
目
次
1、デジタルテレビとプロジェクターの違い
(1) プロジェクター
1
(2) デジタルテレビ(フラットテレビ)
1
(3) 色の再現性について
2
(4) 動画コンテンツの再生と音声について
2
(5) ハイビジョン対応について
3
(6) 画面の縦横比(アスペクト比)
3
(7) 機器間の接続について
3
(8) 画面サイズと表示方法の違いによる視認性について
4
(9) 画面サイズの対比について
5
(10) 設置性・安全性について
5
2、大型デジタルテレビの利用が有効と考えられる活用場面について
(1) 文字を表示する活用事例
6
(2) 図形を表示する活用事例
6
(3) 資料や動画を提示する活用事例
7
(4) 視聴覚教材を利用する活用事例
7
3、コンテンツの利用と教材開発における留意点
(1) 教材制作会社開発教材コンテンツ
(2) 公開コンテンツ、自作教材コンテンツ
9
11
4、教室環境及び機器レイアウト等の提案
(1) 設置スペースの確保
13
(2) 普通教室における設置場所
13
(3) 専用台による設置
14
(4) 太陽光・電灯
15
(5) 画面の明るさや音声の設定
15
(6) テレビケーブル及び電源の確保
15
5、まとめ
1.デジタルテレビとプロジェクターの違い
視聴覚教育や情報教育の場面で、プロジェクターはビデオ教材やパソコンの普及とともに、それまで学
校で活躍していた映写機に代わる新しい大型投影装置として学校に導入され活用されてきた。
当初は主に特別教室に整備され、教室のテレビとすみ分けをしながら活用されたプロジェクターだが、
ハードの性能向上や低価格化、また普通教室でのICT活用教育の増加により、普通教室で利用され始
めると教室テレビとプロジェクターのすみ分けがなくなり、現在ではむしろ大型スクリーンで投影できるプ
ロジェクターを授業に活用することが多くなっている。
活用機会の少なくなった教室テレビだが、テレビ放送のデジタル化を迎え、テレビもブラウン管から液晶
やプラズマといった表示方式のデジタルテレビ(フラットテレビ)に代わり、ハイビジョンの高精細な映像
を42インチや50インチといった大画面で視聴することができるようになり、また、豊富な入力対応によ
り、単なるテレビ放送視聴用でなく、プロジェクター同様表示装置としても活用することができるようにな
った。
そこで、教室における用途や活用シーンに合わせて選択できる様、プロジェクターとデジタルテレビの違
いやそれぞれのハード特性を整理する。
(1) プロジェクター
プロジェクター内部で表示された画像を光源とレンズを使って、外部のスクリーンに拡大投写する表示
装置。当初の普及モデルは高輝度CRT(ブラウン管の小さなもの)をレンズで拡大投写していたため明
るさに限界があり、映写機同様暗幕なしでは視聴が難しかったが、現在主流の液晶方式やDLP方式な
どランプを光源にすることで、明るい環境下でも、大画面に投写できるようになっている。
主な方式
液晶方式
本体に内蔵した液晶パネルに光を透過させてレンズを通して投写
する方式。 小型で可搬性が高く、設置の際の調整も簡単にできる
ようになっているものが多い。
DLP方式
非常に小さな金属ミラーを多数配列した DLP チップを
(R)
デバイスとして用い、これをデジタル制御してランプからの入射光の
反射方向をコントロールし映像を構成したものをレンズを通して投写
する方式。光を透過する液晶方式に比べ光源のロスが少なく大画面
投写に適する。
(2) デジタルテレビ(フラットテレビ)
テレビの大画面化に伴い、従来のブラウン管テレビに代わり大画面化に適した薄型テレビが主流になっ
ている。デジタル放送開始により ハイビジョンに対応した横長(画面縦横比 9:16)のディスプレイが急速
に普及している。
主な方式
液晶テレビ
テレビ画面に液晶パネルを用いて表示するテレビ。自己発光しない
ため、冷陰極管(蛍光管)やLEDを光源とする
バックライトと組み合わせて画像を表示する。
-1-
プラズマテレビ
放電による発光を利用した平面型の表示装置。自己発光のため
視野角が広く、表示応答速度は速い。コントラストが高く奥行き感
のある映像表現。
◆表示装置・方式の比較
デジタルテレビ
方
式
プロジェクター
アナログテレビ
プラズマテレビ
液晶テレビ
DLP方式
液晶方式
ブラウン管TV
フル対応・対応
フル対応・対応
一部対応
一部対応
非対応
9:16
9:16
3:04
3:04
3:04
-
-
4,000~7,000lm
2,600~4,000lm
-
30,000~
40,000:1
2,000:1
800~2000:1、
500~600:1
教室における視認性
○
○
△
×
△(サイズ)
暗所における視認性
○
○
○
○
△
可搬性
△
△
○
○
△
△(42,50 型)
△(42,52 型)
○(50~600 型)
○(33~300 型)
×(25-33 型)
低反射性(写り込み)
△
○
-
-
△
応答速度
○
△
○
△
○
視野角
○
△
○
○
○
パソコン信号入力
○
○
○
○
×
音声再生
○
○
×~△
×~△
○
消費電力
△
○
△
○
△
管面(画面)強度
○
△
ハイビジョン対応
アスペクト比の主流
輝 度
コントラスト比
表示サイズ
○
(3) 色の再現性について
遮光カーテンのない普通教室での使用環境においては、明らかにデジタルテレビの方が色の再現性に
おいては優れているといえる。プロジェクターは光源から光を透過させてスクリーンに投写して映像を表
示するため、いかに色再現性を高めても、スクリーンに照明や外光が当たるなどの外的要因により大き
く変わってしまう可能性がある。
(4) 動画コンテンツの再生と音声について
デジタル放送の視聴やビデオ教材などの動画コンテンツの再生では、音声を教室内に拡声する必要
があり、その音質なども含めて考慮する必要がある。
プロジェクターはスピーカーが内蔵されていないか、内蔵されていてもモニター程度のため、十分な拡
声音量を確保できず、また音質もデジタルテレビに劣るため、別途拡声(音響)設備を用意する必要が
ある。
デジタルテレビは本体にアンプとスピーカーを内蔵しているため、テレビ放送も外部機器の音声も簡単
に切り替えて再生することができ、またテレビと一体のため映像と音声の方向感が一致し疲れにくいと
いうメリットもあり、普通教室での活用ではデジタルテレビに優位性がある。
-2-
(5) ハイビジョン対応について
デジタルハイビジョン放送では 720P(750P)や 1080i、1080P などいくつかの放送信号が使われているが、
1080i と呼ばれる 画素数 1,080×1,920(ワイド)、1,440×1,080(ノーマル)が主流となっており、その放送
信号をそのまま表示できる画素数を有するパネルを「フルハイビジョン」と称し、画素数 1,366×768 また
は 1,280×720 のパネルも「ハイビジョン対応」と呼ばれ、デジタルテレビはこの画素数を有する横縦比1
6:9のディスプレイが主流となっている。
プロジェクターは、パソコンの接続を想定しSVGA(800×600)、SXGA(1,024×768)、などの横縦比4:3
のパネルを使用したモデルが多く、ワイドパネルでは 1,280×800(16:10)の「ハイビジョン対応」パネル
のモデルが多い。
(6) 画面の縦横比(アスペクト比)
デジタル放送への移行期のため、学校現場にはアナログ機器とデジタル機器が混在しており、機器の
接続や表示設定に気をつける必要がある。一番の問題は表示画面の縦横比(アスペクト比)が3:4と
9:16が混在し、設定により正しく表示されないことがあることである。
ハイビジョンなどのデジタル素材(9:16 の画像)をハイビジョン対応の表示装置(9:16 の画面)で表示した
り、アナログ放送などのアナログ素材(3:4 の画像)を、従来のTVやプロジェクター(3:4 の画面)で表示す
るときは特に注意する必要はないが、3:4の画像を9:16の表示装置に表示する際は、表示装置の設
定状態により、周辺部を伸長して画面いっぱいに表示することがあり、円や正方形、直線などの図形が
正しく表示されないことがある。
また、PCの外部表示の接続設定も、WXGA(768×1,366)などのワイドアスペクトの設定にしておかな
いと、左右に伸長した画像か左右に未表示部分が残り小さな画面表示になることがある。
◆テレビと再生素材による映り方について
HD 素材(9:16)
SD 素材(3:4)
SD 素材を伸長
ハイビジョンテレビ
(縦横比 9:16)
ノーマルテレビ
(縦横比 3:4)
(7) 機器間の接続について
VTR等の再生装置とテレビやプロジェクターなどの表示装置をつなぐ接続端子は高画質化や接続によ
る信号劣化を防ぐために様々な変遷をとげてきた。
機器間を接続する映像信号は、当初 ビデオ信号(コンポジット)からスタートし、S(2)映像信号、
-3-
RGB端子、コンポーネントビデオ(Y,Pb,Pr)、D端子、HDMI端子と、接続する機器や用途により
多くの規格が生まれ、現在のデジタルテレビや、BRレコーダー/プレーヤー、デジタルレコーダーには、
それらアナログやデジタルの入出力端子を備えているものが多い。
せっかくのデジタル機器や表示装置でも、接続するケーブルの種類によって、画質が大きく変わるため、
接続する機器同士の持つ入出力端子を把握し、一番高画質で劣化の少ない信号で接続することが重
要である。
(8) 画面サイズと表示方式の違いによる視認性について
授業の中で、さまざまな映像教材や動画などを提示する際、それらを判別したりや理解させたりする上
で視認性は重要である。
写真は、80 インチのスクリーンに投影した液晶プロジェクターと 42 インチ、と 50 インチのプラズマテレビ
に同じ画像を比較表示したものである。
広い教室の中で視認性を高めるには大きい画面のほうが有利であり、文字などを判読させたり細かな
図などを見せる場合は大画面で表示することができるプロジェクターが有効である。しかし、プロジェク
ターも以前より明るくなったとはいえ、スクリーンに外光や照明の影響を受ける教室ではコントラストが
悪く、色再現や視認性が低下する。
明暗部の差がはっきりした図形や文字などは良いが、写真や動画などで明暗の差がないものや全体的
に暗い映像は不向きである。
デジタルテレビは、従来のテレビよりも画面サイズが大きくなり、またハイビジョンの表示では解像度が
飛躍的に向上したため、画面サイズではプロジェクターに劣るものの、図形や文字の表示から写真や
動画まで鮮明に表示することができ、特に色や質感、葉脈などの細かな物を見せる場合はデジタルテ
レビが有効である。普通教室での使用では、最低 40 インチ以上のサイズが必要であり、出来れば 50 イ
ンチのサイズが望ましい
(デジタルテレビも外光や照明の写り込みにより見にくくなるため、テレビの設置場所や向きに配慮が必
要)
単に放送番組の視聴だけでなく、高精細な表示装置として活用するために、さまざまな機器と接続でき
るモデルを選ぶことが必要である。
◆表示装置によるコンテンツの見え方比較(左から液晶 PJ(80 インチ)、プラズマ TV(42 インチ)(50 インチ))
-4-
プロジェクター用のスクリーンは照明などの外光が反射し白くなってしまっている。
大きな図や文字などのコントラストの明確な画像はプロジェクターの大画面で表示するのが有効。
動画や写真などのコントラストの差が少ない画像はプロジェクターでは判別できず、デジタルテレビが有効。
42インチより50インチの方が視認性は高い。
(9) 画面サイズの対比について
画面の大きさは画面の対角寸法をインチで表すため、縦横の比率の違うテレビでは画面サイズだけで
は単純比較できない。
文字の表示やデジタルテレビでSD素材の再生を考えた場合は画面の縦サイズを同じにしないと表示
サイズが変わってしまうため、縦サイズ(a)を同寸法としたときのインチサイズを下表に比較した。
縦サイズ(a)を合わせる
画面サイズA(H×W)
画面サイズB(H×W)
デジタルテレビ
42インチ
50インチ
(縦横比 9:16)
518×922mm
622×1,106mm
ノーマルテレビ
518×691mm
622×829mm
(縦横比 3:4)
≒34インチ
≒41インチ
(10) 設置性・安全性について
プロジェクターはほとんどのモデルが据置、天井吊下げに対応しており、本体は小型のため可搬性に
優れている。但し、映像を投写スクリーンを用意する必要があり、移動式の場合には周辺機器との接続
や画面の調整(画角、サイズ、ピント調整、台形補正など)を行う必要がある。
デジタルテレビの場合、画面サイズが大きくなり、(台を含めた)重量も重くなっているため、教室間の移
動には適さないが、画面調整の準備が必要なく、アンプやスピーカーも一体のため、電源と入力(アンテ
ナ、AV 機器、PCなど)さえ確保出来れば、非常に簡単に準備が整う利点がある。
教室にデジタルテレビを常設する場合は、安全のため設置場所や設置方法、落下や転倒防止などの
配慮が重要である。
また、カードの抜き取り防止やいたずら防止のための操作ロック、万一画面に物があたってもパネル割
-5-
れが起こりにくいなどの配慮が望ましい。
以上の様に、地上デジタル放送の移行に伴う放送のハイビジョン化等により、教室に設置したデジタル
テレビの活用が増えていくと思われるが、プロジェクターとデジタルテレビの特性や長所・短所を正しく
理解し、用途や授業シーンごとに使い分けて利活用することで、既存のコンテンツや新しいコンテンツを
活かした、理解度や学習意欲の向上に役立つツールとなる。
2、大型デジタルテレビの利用が有効と考えられる活用場面について
大型デジタルテレビの導入によって、より効果的にデジタルコンテンツを活用することができる可能性を、
文部科学省のインターネットホームページ「IT授業”実践ナビ(http://www.nicer.go.jp/itnavi/)」で公開
中の教育実践事例を題材に考察する。
(1) 文字を表示する活用事例 (http://www.nicer.go.jp/itnavi/jirei/ITN42324.html)
「学校でのことをおしえてあげよう(原稿用紙の使い方)」は、実物投影機を利用して、小学校 1 年生に
原稿用紙の使い方を説明する簡便な実践事例である。
実物投影機を使って、児童生徒の原稿やノートを提示して指導を行
うのは、IT機器の活用事例として、国語だけでなくさまざまな教科で
行われている典型的な事例である。
普通教室に暗幕カーテンが設置されていることはまれであり、プロ
ジェクター環境では、教科書など印刷された視認性のよい文字であ
ればしっかり読み取ることができるが、児童生徒が鉛筆で書いた薄い文字や、紙が色を帯びている新
聞記事などの場合は、晴天の日などでは、教室の場所によって見え難い場所が生じる可能性がある。
大型デジタルテレビを利用する場合は、あらかじめ反射光を避ける角度に設置することによって、
晴天の日でも安定して文字を読み取ることができ、教員が安心して実践を行える提示環境を実現
することができるだろう。
また、提示教材の説明文は、教室の後方からでも読み取れる大きさで表示できる必要があると考
えられるので、できるだけ大きな画面、少なくとも 40 インチ以上のサイズ、出来れば 50 インチのサ
イズの大型デジタルテレビを導入することが望ましいと考えられる。
(2) 図形を表示する活用事例 (http://www.nicer.go.jp/itnavi/jirei/ITN42322.html)
「三角形の面積」は、ミレニアムプロジェクト「教育の情報化」実証実験で開発されたインターネット上の
教材コンテンツを提示用に活用する、小学校 5 年生の算数の事例で
ある。この事例は、誰でも手軽にできる普通教室におけるデジタル
コンテンツの活用例として評価が高い。
プロジェクターを使用して、図形の教材を提示する場合には、並行
線がきちんと並行に、正方形が正方形に見えるように、照射する機
材とスクリーンの位置関係や台形補正に注意してセッティングしな
-6-
ければならず、機材の準備に時間が必要である。
大型デジタルテレビの場合は、セッティングに手間をかけなくても、教材開発者が意図したとおり
画面を提示することができ、教員の負担を軽減することができる。
算数・数学の図形学習のためのデジタル教材は、グラフィカルな表現を工夫した優れた既存教材が多
く存在する。これらを個別学習用のソフトウェアを購入して利用している学校も多いので、大型デジタル
テレビに表示することによって工夫次第では普通教室での提示用教材として活用できる可能性が
あるのではないだろうか。
(3) 資料や動画を提示する活用事例 (http://www.nicer.go.jp/itnavi/jirei/ITN51116.html)
「こんにちは、香川県」は、プレゼンテーションソフトを活用して地図
や資料の比較をしたり、動画による映像資料を提示したりしながら、
生徒が主体的に情報を収集しながら課題を解決していくように導い
ていくITを活用した授業実践事例である。
社会科や理科や総合的な学習の時間では、このようにさまざまな資
料や動画を提示するためにIT機器を使用する実践が数多く報告さ
れている。
普通教室でこうした資料を提示する場合には、教員が見て欲しいと意図した箇所が、教室の全体では
っきりと視認できること環境が用意されていることが重要である。(1)の国語における活用事例で述べ
たように、大型デジタルテレビを導入することによって、晴天の日でも教員が安心して資料を提示し
て授業を行うことができるだろう。
(4) 視聴覚教材を利用する活用事例(http://www.nicer.go.jp/itnavi/jirei/ITN51118.html)
理科室には、実験に必要な教室環境を作るために遮光カーテンが設置されており、プロジェクターやス
クリーンも最適な位置にいつでも使えるように固定されている場合も少なくない。
理科においては、以前からこうした教室環境を生かして、視聴覚教材が授業の中で活用されてきたこと
もあり、映像教材やコンピュータ画面を投影した授業実践も数多く行われている。保健体育、図画工作、
美術・家庭科、音楽、道徳等、視聴覚教材やインターネットを積極的に活用して良質な教育実践が行
われている教科も多い。
普通教室に大型デジタルテレビを導入することによって、ハイビジョ
ン対応の高画質な映像の活用が期待されるが、既存の視聴覚教
材やコンピュータソフトやインターネット上のデジタルコンテンツ等の
活用においても、消灯して教室を暗くすることなく、適切なタイミング
で効果的に提示することができるようになることによって、より幅広
い活用の可能性が高まることが期待できる。
ここでは、実際の活用事例を題材に、大型デジタルテレビを導入した場合のメリットを中心に考察し
てきたが、「“IT授業”実践ナビ」には、プロジェクターの可搬性を生かした良質な実践事例も数多く紹
介されている。
-7-
大型デジタルテレビが普通教室に導入されることによって、プロジェクターもその特性を活用できる
場面で、より効果的に活用されることが期待できると考えられる。
次ページの表に、大型デジタルテレビとプロジェクターの特性とコンテンツとの相性を簡単にまとめ
てみたので参考にしてほしい。
◆表2-1 コンテンツの提示装置の特性と相性
活用の場面や教科
提示装置との相性
大型デジタルテレビ
プロジェクター
活用の場面
教科
実物投影機で教科書や図書
資料の表やグラフを資料とし
て表示する
各教科
○
色が重要な写真などは、発
色が鮮やか
印刷された資料は投影しても
◎ 見やすく、より大きく拡大でき
る
教材ビデオやDVDソフトを視
聴する
各教科
◎
制作者の意図した色や表現
を再現できる
暗幕のない環境では、重要
△ なシーンが見え難いことがあ
る
児童・生徒が調べた内容を発
表する
各教科
◎
準備が不要で手軽に活用で
きる
◎
実物投影機で児童の原稿を
例として表示する
国語等
◎
文字が読みにくくならないよう
鉛筆で書かれた文字もしっか
△ に遮光するなど、設置に留意
りと読める
する必要あり
図形学習のコンテンツや作画
ツール等のソフトウェアを提示
する
算数
数学
◎
平面図形の形が正確に表示
できる
△
図形の形がひずまないように
調整に留意する必要あり
実験や観察のビデオクリップ
を資料として提示する
理科
◎
解像度、色再現性が高く、細
部まで見える
△
消灯しないと、色や細部を判
別し難い場合がある
音楽ソフトウェアを用いて歌唱
や器楽合奏の指導をする
音楽
内蔵スピーカーは音質が良い
内蔵スピーカーは音量が十
◎ ものが多く、CDの鑑賞にも向 △ 分で音質の良いものは少な
く
い
色の効果を理解させるため、
作画ツール等でシミュレー
ションを提示する
図画工作
美術
児童・生徒の運動や競技を撮
影して、振り返りに使用する
体育
語学学習のための教材を指
導のために提示する
外国語
知的な障害を持った子どもた
ちの指導にコンテンツを利用
する
特別支援
教育
◎
微妙な色調の違いをはっきり
と表示することができる
△
講堂などにも設置でき、非日
常を演出する効果もある
微妙な色調の違いは判別し
にくい
体育館等にも設置されていれ
可搬性を生かして、体育館等
○ ば、直後に利用することがで ◎ に持ち運んで直後に提示でき
きる
る
内蔵スピーカーは音質が良い
内蔵スピーカーは音量が十
◎ ものが多く、リスニングにも向 △ 分で音質の良いものは少な
く
い
設置環境がシンプルで、暗幕
機器の配置や、投影光の影
◎ も必要ないために利用しやす △ 響があり、コンテンツに集中さ
い
せ難い
なお、この表にまとめた相性は、あくまで一般論であり、△とした組み合わせでも、教員の工夫や調整
次第では、良い実践が行える場合があることを付け加えておく。
-8-
3、コンテンツの利用と開発における留意点
教材コンテンツを大型デジタルテレビやプロジェクターに表示して授業を行う場合には、そのコンテンツ
の開発の背景を理解して適切に利用することが望ましい。
教室で利用される教材コンテンツには、教材制作会社が開発したものと教員が授業等で利用するため
に参照、自作するものとがあり、前提とする提示装置によって、次のように大きく分類することができる。
本章では、表示する文字の大きさについて、開発の背景にある考え方を解説する。
(1) 教材製作会社開発教材コンテンツ
①ビデオやテレビ放送のために制作された視聴覚教材
テレビ受像機での視聴を前提に制作される視聴覚教材は、表3-1のように、アナログテレビや VHS ビ
デオレコーダーの解像度を前提に、表示する文字の最小サイズを考慮して制作されている。
従って、このような視聴覚教材は、37型以上の大型ディスプレイで全画面表示すれば、普通教室の
後方の児童・生徒でも文字を読むことができるものと考えられる。
◆表3-1 ビデオやテレビ放送のために制作された視聴覚教材を利用する場合
No
1
項 目
想定画面解像度
状況・推奨値
VGA(640×480 ピクセル)より
少し劣る程度
備 考
・PC 画面へ換算した場合
・PC 画面へ換算した場合
2
利用文字サイズ
15ポイント程度
・テレビ放送の字幕テロップは、
写植文字 20 級が標準
3
提示最適
画面サイズ
37型以上
②個別学習のために開発された教材ソフトウェア
現在販売されている教材ソフトウェアは12ポイント以上の文字を使用している場合が多い。従って、こ
のような個別学習用の教材ソフトウェアを利用する場合、普通教室の後方の児童・生徒が文字を読め
るように表示するためには、50型以上の大型ディスプレイを用いて全画面表示する必要があると考え
られる。
-9-
◆表3-2 個別学習のために開発された教材ソフトウェアを利用する場合
No
項 目
状況・推奨値
備 考
・2000 年頃までは VGA(640×480 ピクセ
ル)または SVGA(800×600 ピクセル)
1
想定画面解像度
XGA(1024 ×768 ピクセル)
・Windows XP が普及した 2002 年以降は、
XGA を標準の画面サイズとして使用し
ているものが多い
・教育用漢字の全ての画を省略することなく
2
利用文字サイズ
12ポイント程度
表現するために必要な
文字サイズ
3
提示最適
画面サイズ
50型以上
③プロジェクター等に表示する前提で開発された提示用教材
普通教室でプロジェクターを使った授業実践が行われるようになった 2000 年以降、JAPET 会員の教
材制作会社も、プロジェクターで投影することを前提として提示用教材を数多く開発してきた。液晶プ
ロジェクターは、2000 年当時は VGA や SVGA が標準で、現在は XGA まで表示できるものが主流であ
る。機器の普及の状況から、各社が提示用教材として販売している教材コンテンツは、このような表示
環境の現実を考慮して、文字の大きさを設計しているものが多い。
従って、これらの教材コンテンツは、37 型以上の大型ディスプレイで全画面表示すれば、普通教室の
後方の児童・生徒でも主要な解説文を読むことができるものと思われる。
◆表3-3 プロジェクター等に表示する前提で開発された提示用教材を利用する場合
No
項 目
状況・推奨値
VGA(640×480 ピクセル)
1
想定画面解像度
SVGA(800×600 ピクセル)
XGA(1024 ×768 ピクセル)
2
3
利用文字サイズ
提示最適
画面サイズ
表示環境の現実を考慮した
文字の大きさ
37型以上
- 10 -
備 考
・2000 年頃は、VGA の解像度が標準であ
り、SVGA の PC を接続するとエミュレーシ
ョンモードと称して画素を間引いて表示す
るものがほとんどであった。
(2) 公開コンテンツ、自作教材コンテンツ
①インターネットで一般公開されているホームページ
インターネットのホームページは、本来、個別の PC で閲覧するために設計されているので、提示装置
で表示することを考慮して設計してはいない。
従って、本文の文字サイズは、通常はブラウザーで表示される11ポイント前後の大きさが標準となっ
ている。
教員がホームページを参照して、それを教材コンテンツとして提示装置に表示する場合はこの点を考
慮して、スクリーン拡大機能を利用する等の工夫をして提示することが必要である。その場合、50 型
以上の大型ディスプレイを用いて表示することで、ある程度までの可読性を確保することができると思
われる。
◆表3-4 インターネットで一般公開されているホームページを教材として利用する場合
No
項 目
状況・推奨値
1
想定画面解像度
XGA(1024 ×768 ピクセル)
2
利用文字サイズ
11ポイント程度
3
提示最適
画面サイズ
備 考
・提示装置のスクリーン拡大機能を利用し
て見やすくする。
50型以上
②教員が自校内もしくは他校との交流学習等で利用するために作成した自作教材
これまでは、既製の教材コンテンツを利用する場合の教材コンテンツで使用する文字の大きさや利用
する提示装置について述べてきた。ここでは、教員が授業で使用する教材を作成する場合について述
べる。
自作教材の場合は、自分が授業する自校内の教室環境(普通教室でプロジェクターを使用、コンピュ
ータ室でパソコンのディスプレイを使用等)を想定して設計するので、開発する場合に一定の基準を設
けておくとよい。
基準を設けることによって、他の教員と教材を共同開発する場合及び異動などで他校に移った場合に
も利用できるだけなく、授業研究や教育資源の共有の面からも望ましい。
なお、ここで示す基準(ガイドライン)は、ある教育機関が、インターネットを利用した遠隔授業行う際に
策定した、教材コンテンツ作成のガイドラインで、前述した自校内だけでなく、インターネットを介した他
校との交流学習等で使用する教材コンテンツを作成する場合にも役立つものである。
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◆表3-5 自作コンテンツ作成のガイドライン
No
1
項 目
文字サイズ
状況・推奨値
漢字、かな(全角文字):32pt 以上
英数字(半角文字):28pt 以上
基本的にゴシック体
文字フォント
3
線の太さ
3pt 以上
4
背景色
色の鮮やかさ注1):200 以下
文字色
・サイズが大きくなると、1画面に書ける文
字数が減るので、キーワードだけを載せ
る工夫が必要
・明朝体など横線が細いフォントは、太字
2
5
備 考
明朝体は 40pt 以上にする
にすることで横線が消えることを防ぐ
・細い線は消えてしまう
明るい文字色:暗い背景色
暗い文字色 :明るい背景色
注1)色の鮮やかさ
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・原色(鮮やかさ 255)は使用しない。
・特に赤や黄色は注意が必要
・白地に黒文字は見易いが、明るすぎて
目が疲れるので、白の明るさを 230~
240 に押さえる
4、教室環境及び機器レイアウト等の提案
デジタルテレビを普通教室に設置しようとする場合、各学校の状況を個別に調査する必要がある。
その際に、配慮しなければならない点について、いくつかの留意点を示す。
(1) 設置スペースの確保
普通教室で使用する場合は、デジタルテレビでは最低
40 インチ以上のサイズが必要であり、出来れば 50 イン
チのサイズが望ましい。設置する場合には、各学校の
普通教室の環境が大きく異なるため、小学校、中学校、
特別支援学校などを分けて検討することが望ましい。
たとえば、教室に教員の机や、資料棚、ロッカーなどが
設置されていたり、教壇が設置されていたり、黒板横の
掲示板に掲示物が多く貼られていたりする。掲示板や
資料棚をふさぐ形での設置は教育活動を妨げるリスク
もある。
また、天吊りや壁掛けを行う場合、前述のリスクは低減
するが、学校の建物自体が古い場合は、地震発生の際
にも耐える事が可能な範囲でデジタルテレビを設置で
きるかどうか、天井や壁の耐久性確認も必要になる。
(2) 普通教室における設置場所
授業で利活用することを前提とした場合、児童生徒全
員が視認しやすく、教員が授業しやすい場所を選択し
たい。
ここでは、教室の前方、後方に廊下側からの出入り口
を配した、多くの学校に見られる普通教室を念頭に説
明する。
教室前方は、授業者がデジタルテレビ視聴中の児童生
徒の表情も確認しやすい。また、視聴後に児童生徒の
動線がほとんど生じないため、授業をスムーズに行い
やすい。
前方廊下側にデジタルテレビの常設が可能であれば、
窓側からの太陽光の影響は少ないが、廊下側は入り口
に近く、児童生徒の動きも多いため、デジタルテレビを
平置きする場合は、たとえば、デジタルテレビの角にクッション材を貼り付けておく等、児童生徒との接
触による事故防止策を行っておくなど配慮が必要になる。
また、教室に廊下側の壁がないオープン型の場合、廊下側への設置は、音声が隣の教室の授業に与
える影響も考慮する必要がある。
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窓側にデジタルテレビを常設する場合は、太陽光への
対策が必要になり、遮光カーテンなどが設置されてい
る場合は良いが、遮光カーテンが設置できない場合は、
遮光フードの設置も検討したい。
また、夏季休業などの長期休業中に、強い日差しが直
接あたったり、冬の結露などで部品等の劣化も考えら
れることから、窓側への設置には、こうした影響を配慮
したデジタルテレビの選択ないし対策を行いたい。
教室側面への常設は、廊下側の壁面か、窓側に設置
することになる。しかし、いずれもデジタルテレビとの距
離が適正距離よりも極端に近距離となる児童生徒が
生じやすい。
窓側に常設すると、窓をふさいでしまう場合がある。
また、廊下側の場合は、掲示物が貼られていることが多いこともあり、実運用が難しい。
教室後方への常設は、デジタルテレビを視聴する際に、児童生徒が後ろを向かなければならず、授業
者が児童生徒の表情を確認しづらくなる。しかし、教室の前面は資料棚や掲示板などがあるため、教室
の後方は、前方にくらべて設置スペースを確保しやすい。
ただし、教室の後方は電源コンセントなどが配置されていないことが多いため、電源の確保に一定の配
慮が必要になる。
以上については、建物の形状(一棟中廊下式なのか、片側廊下式なのか、オープン型なのか)や、教室
が一階なのか、四階なのか、教室の窓がどの方角を向いているのか、学校の所在地が山間部なのか
平野部なのかといったことでも、最適な設置場所についての条件は変わってくる。
こうした条件はあるものの、概して授業者の授業のしやすさと児童生徒の負担を考慮すると、デジタル
テレビは教室の前方廊下側ないし窓側への設置を考えたい。
(3) 専用台による設置
「移動可能なように」と車輪が付属している専用台による平置きの事例も見受けられるが、実際に移動
させる際は、児童生徒が行うには危険が伴うことも認識しておく必要がある。
移動させる際には、電源ケーブルやテレビケーブル長が不足することがないよう、また、ケーブルに児
童生徒が足を取られることがないように配慮しなければならな
い。
また、各階ごとに数台の移動可能なデジタルテレビを整備す
る場合は、教室の扉の形状や大きさ、教室の出入り口付近に
ロッカーやパソコンなどが設置されているかどうかなど、教室
への出し入れが現実に可能かどうかを事前に確認しておくこ
とも必要であり、特に安全面においては、画面サイズが大きく
なれば転倒防止と共に画面表面の物理的な強度に関しても十分な配慮が必要となる。
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(4) 太陽光・電灯
一般的に、普通教室は、採光を考慮してつくられているため、太陽の光が入り込みやすい。また、教室
は一定の明るさを確保するために電灯の整備も適切に行われている。
デジタルテレビを視聴する際、こうした光が、画面に反射し、視聴しづらくなることがあるため、光源およ
び光量については、実際の学校の教室を確認した上で整備される事が望ましい。
特に、春秋季、夏季、冬季及びそれらの時間帯及び天候によって太陽光の入り方が異なることも考慮し
て、設置場所を決定することが望ましい。
また、デジタルテレビのパネルがグレアパネルの場合、画面が外部の光を反射しやすいため、今までの
アナログテレビ以上に視認しづらいことがある。デジタルテレビの画面において、どのような光の反射が
どの程度起きるのかについても、整備する際に確認しておきたい。
(5) 画面の明るさや音声の設定
デジタルテレビの中には、画面の明るさや色合い、音などの設定を学校で変更し、記憶しておけるもの
がある。また、PC の画面を表示するための最適な画面設定や、教材や映画などを見るときに最適な画
面設定など、いくつかの設定があらかじめ用意されているものもある。
複数の設定を記憶できる機種においては、天候、季節、時間帯によって変わる教室の明るさに応じて、
適切な設定に切り替えて利用する事により、児童生徒がより視聴しやすくなる。
(6) テレビケーブル及び電源の確保
既設のテレビケーブルは、地上デジタル放送に対応出来るものもあるが、学校の場合、テレビケーブル
の設置から 30 年 40 年という経年による劣化などから、地上デジタル放送を視聴することが難しい場合
もある。
既設のアナログテレビが 20 インチ程度以下の小さなものであった場合、40 インチ以上のデジタルテレビ
が設置されることによって、特に、利活用する台数が増える場合、電源容量の確保が重要になる。
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まとめ、
「確かな学力向上」のための施策として、文部科学省の指導のもと「学校のICT環境整備」がすすめられ
てきました。
全ての普通教室にパソコンとプロジェクターを整備し、より分かり易い授業を実現するために教育機器
(ハードウエア)の整備と併せて、教育用コンテンツ(ソフトウエア)も教育情報ナショナルセンター(NICE
R)をコンテンツサーバーとして、先生方が利活用できる環境整備をすすめてきました。
特に従来の資産を有効に活用するという視点で、教育情報ナショナルセンター(NICER)に登録されて
いる教材(教育用コンテンツ)が、今回のデジタルテレビ整備計画で各教室に整備された場合、プロジェ
クターと同様にそのまま利用できるのか。従来のプロジェクターとデジタルテレビの違いによる利用面で
の違いはあるのかなどを具体的に検証しまとめることができました。
デジタルテレビをより有効に活用するためのガイドラインや自主教材作成時の留意点、効果的な活用
方法についても検討をすすめ、デジタルテレビの画面サイズに関しては50インチ以上であれば、従来
の教育用コンテンツ(パソコンやプロジェクターで利用する事を前提として作成された教育用コンテンツ)
が普通教室でそのまま活用できるという結論に達しました。
より大型のデジタルテレビを設置し、効果的に授業をすすめるためには各種の機器(パソコン、デジカ
メ、実物投影機(書画カメラ) 等)との接続性や各教科教材コンテンツの整備と同時に、教育機器として
の設置環境及び運用に関する安全性も十分に確保する必要があります。
特に、耐震対策や落下防止対策を十分に確保することは大前提ですが、画面サイズが大きくなればな
るほどテレビ画面表面の物理的な強度に関しても十分な配慮が必要です。
従来の教室用テレビ同様に、大型デジタルテレビが常設されれば、授業の為の設置準備や教育環境
が大幅に改善され、単に地上デジタル放送(教育用の番組)を利用した授業だけでなく、パソコンの表
示装置として、実物投影機(書画カメラ)の表示装置及びデジタルカメラやDVDの情報を提示する「マル
チディスプレー」としての機能が「未来の黒板」につながる大きな教室環境変化であり、価値ある「教育
の情報化」を実現する次世代の教育機器となりえるはずです。
尚、本報告書は下記のWebページでも公開してありますので、今後デジタルテレビを整備・活用する上
で地域の教育委員会、学校現場及び教育関係者で広く活用して頂きたいと思います。
(http://www.japet.or.jp/index.cfm/4,1953,115,97,html)
最後になりましたが本報告書をまとめるにあたり、ご協力頂いた関係教育機関、企業の方々に心から
感謝すると共に引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。
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社団法人 日本教育工学振興会
地デジ活用ワーキンググループ
〒107-0052
東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル
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FAX 03-5575-5366
URL: http:/www.japet.or.jp/
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