わたしらしく あなたらしく わたしらしく あなたらしく

わたしらしく
わたしらしく
あなたらしく
あなたらしく
認知症高齢者ケア標準化実践行動指針
四 恩 園
も
Ⅰ
く
じ
はじめに
認知症高齢者ケア標準化実践行動指針のねらい
Ⅱ
………………………………
3
……………………………………………………
4
行動指針
1.認知症高齢者と権利擁護
2.認知症高齢者とのコミュニケーションの心得
……………………………
5
3.認知症高齢者の介護の心得
…………………………………………………
6
4.ご家族の理解と対応の心得
…………………………………………………
8
5.認知症高齢者の身体拘束と虐待
6.医療機関受診の心得
8.認知症高齢者と地域ケア
9.認知症予防のあり方
……………………………………………14
……………………………………………………16
…………………………………………………………17
10.認知症高齢者の介護と職業倫理
資
9
…………………………………………………………12
7.認知症高齢者と住環境のあり方
Ⅲ
……………………………………………
……………………………………………18
料
1.クリスティーン・ブライデン「私は私になっていく」より …………… 20
2.認知症の相談窓口
……………………………………………………………21
3.「目を開けて、もっと私を見て!」………………………………………… 23
4.新しい認知症ケア10のメッセージ
………………………………………24
5.認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式
……………………30
6.参考文献…………………………………………………………………………52
2
認知症高齢者ケア標準化実践行動指針のねらい
1.認知症高齢者の尊厳を支える実践
認知症高齢者は、施設利用者において8割の方が、介護認定を受けた方の約半数が認知症と言わ
れております。認知症高齢者支援のコンセプトは「人間としての尊厳」や「その人がその人らしく
生きる」ということを支えることであります。そのためには認知症に関わる全ての人が、認知症へ
の理解を深めることが求められます。
認知症高齢者へのケアは「行動障害」が出ないようにしましょうということではなく、その人が
その人らしく生きるための「内的世界」を理解したケアに努めることで、かけがえのない人生を支
えるということであります。人間としての尊厳を示すのは言葉ではなく、その方の尊厳をどのよう
にケアし実践しているのかで現されるものであります。
2.一人ひとりを支える行動指針として
行動指針は、職員一人ひとりが認知症への理解を深め、基本的なケアの方法の意思統一を図ると
いうことであります。統一を図るという意味は、認知症高齢者に一律に関わるということではあり
ません。むしろ逆で、認知症高齢者一人ひとりの個別性を理解し、その方に応じたケアの実践を行
うということであります。行動指針を単なるマニュアルとして、認知症高齢者に漠然とケアするこ
とのないよう、一人ひとりの生き方や思いを理解したケアが求められます。
3.認知症高齢者の立場に立ったケアの実践
行動指針は、「わたしは…」と第一人称で記載されているところがありますが、それは認知症高
齢者の思いや考えを想定し、その人の立場に立った言い回しをしております。認知症であるが故に
自分の意思を表現し伝えることが困難な方々であります。これらの表現は必ずしもご本人にあては
まるものではないと思いますが、私たちは私たちが満足するためのケアを行うのではなく、認知症
高齢者の主観的QOLを大切にしたその方が望む対応が求められるということであります。職員は
行動指針を認知症高齢者の思いを理解するための道具とし、ケアマネジメントセンター方式にある
ように個別性(その人らしさ・その人の安心・その人の力・そのひとの安全・そのひとのなじみ)を
理解し感性を働かせケアに望むことが求められるものである。
4.作られる認知症の人の行動・心理症状(BPSD)
妄想や徘徊などの行動障害は作られたものであるという考え方であります。認知症高齢者の思い
や行動の背景にあることの無理解による対応や体調不良が認知症高齢者のストレスを生み、それは
ケアを提供する側のストレスともなり、ストレスがストレスを生むという悪循環がそのような行動
につながるものであります。認知症高齢者のすべて行動障害をみるということではなく、認知症が
重度であっても行動障害が見られない方もおります。対応としてはすでに述べたように一人ひとり
の個別性を理解し、その方の立場に立ったケアを目指すことで BPSD は防げるものであります。
5.地域における認知症高齢者の理解に向けて
認知症ケアの方法が研究され進展することで、私たち自身も学びながら新しい認知症ケアを理解
し実践していかなければならないものであります。地域において認知症はどのような病気でどのよ
うに進行し、どのようにケアをしていったらよいのかということがまだまだ理解されておりません。
それは家族の方々にも言えることであります。認知症高齢者が地域に受け入れられ普通の生活を送
れるようになるには、地域での認知症高齢者の理解が必要であります。職員一人ひとりがこの行動
指針を実践し、すこしでもご家族や地域の方々に認知症の理解が広がることを願うものであります。
2005年5月
北広島リハビリセンター特養部四恩園
施設長 三 瓶
徹
3
1.認知症高齢者と権利擁護
認知症高齢者はその身体像(身体的・精神的・社会的)のゆえに権利の侵害を受けやすく、社
会生活全般においてそのリスクを負っているものであります。その現実をサービス利用者によ
り身近に関わる私たちが一番理解できているものであり、サービス利用者の権利を擁護しなけ
ればならないことを分かっている者がそれに努めることが望ましく、認知症高齢者の尊厳を守
るために次の事項を行動指針とし実践に努めるものであります。
1.私たちは認知症高齢者の権利と人格を守りその人がその人らしく生きられるように努めます。
・私は私が生きてきた自分史や生活史があります。私の好む食べ物、趣味、思い出や人とか場所、
私が好きなこと嫌いなことがらを理解してしっかり私を見て支えてください。
・私は私の意見や権利を主張することが難しくなっており、この主張を代弁してください。
・私は認知症ではあるが、子供扱いなどしないで人格ある存在として受け止めてください。
・私ができないことは何かを理解し、できないところを支援してください。
・私は認知症ではあるが、何もできないのではないので、出来ることはさせてください。
2.私たちは認知症高齢者を虐待することなく、また、されることのない社会になるよう努めます。
・私は私の中にある世界(内的世界)のことを話し、訳の分らないことを言ってしまいますが、怒
鳴ったり馬鹿にしたり偏見を持った関わりをしないでください。
・私は病気で今自分が言ったことや行ったことをすぐ忘れてしまいます。そのことで一番お世話
になっている人を疑ってしまったりしますが悪気はありませんので、叩いたり怒鳴ったり叱っ
たりしないでください。
・私は病気で整理整頓や衛生面のことがよく分らなくなっております。自分では一生懸命のつも
りでもそのように受け止められない行為になっていると思いますが、叱ったり怒らないでやさ
しく教えてください。
・私は怒鳴られたり叱られたり叩かれたりすると、その人を信じることができなくなり、猜疑心
が強くなり、いろいろな妄想をいだいてしまいます。もっと語り合って話す言葉の背景にある
わたしの気持ちや思いを理解してください。
3.成年後見制度や地域福祉権利擁護事業の必要性を認識し普及に努めます。
・私は認知症になっても、私の人生を最期まで私らしく生きたいと思っており、この願いを叶え
る手立てを考えてください。
・私はお金の価値や計算が出来なくなってしまいましたが、私の財産は私が私らしく生きるため
に使えるようにしてください。
・私は私が望む医療や介護サービスを利用したいと思います。私の意思を尊重してください。
・私は訪問販売等の方が来ると分らず契約してしまったり、すぐにだまされてしまったりします
ので、そんな私を支えてください。
・私は私を理解してくれるひとがいつもそばにいて相談にのってくれる人がいると安心して生活
することが出来ます。
4.私たちは認知症高齢者には認知症高齢者の内的世界があることを理解しそれを侵害しないよう
に努めます。
・私は徘徊したりしますが、探し物や行かなければならないところや不安などの理由があって歩
いておりますので、私を無理やり連れ戻したり、そこから出られないようにしたりしないで私
の内的世界を理解してください。
・私は「家に帰る」と言いますが、不安なことがあって安心のできる心のよりどころとなる家に
帰ると言っていますので、「ここが家だよ」とか「そんな家はないよ」とか連れ戻したりしな
いで、その不安が何かわたしの内的世界を理解してください。
4
2.認知症高齢者とのコミュニケーションの心得
認知症高齢者の多くは記憶が失われていく、周囲の事情がわからない、自分の行動を受けと
めてもらえないことで不安を抱え、「自分が自分でなくなっていく」という恐怖感、そして孤
独を感じてしまうものであります。そのため私たちはお客様一人ひとりが安心を感じられるよ
うに本人の言動を受けとめられる「聴くことのできる力」が求められております。
1.私たちはお話をする時、皆様の気持ちを考えます。
・私は多くのことを忘れてしまいますが「気持ちよい」「心地よい」「うれしい」「楽しい」とい
う気持ちは残っているので、不快になるような言動はやめてください。
・私は自分の気持ちを上手に伝えることが出来ないので、表情や態度をよく見てください。そし
て察してください。
・私はこれから自分がどうなってしまうのか不安と恐怖で一杯なので、時にはだまってそばにい
てください。励ましの言葉が辛くなる時があります。
・私が元気な頃、いつも行っていたところはたくさん覚えております。覚えていることを沢山話
すことが楽しみです。
・私は忘れてしまっていることを他人にしられたくないので、作り話をしてしまいます。でも嘘
をつきたいわけではありません。
・私は上から見下されると恐怖感を感じます。同じ目線の高さで話をしてください。
・あなたにさっき会ったことも忘れてしまいます。私に会うときはいつも笑顔と明るい態度で接
してください。あなたがなぜ怒っているのか分りません。
・私は一人になりたい時もあるのです。でも無視されるのはいやです。「自分で選んだ、落ち着
けるこの場所にいたい」という気持ちをわかって下さい。
・私は家族の顔も名前、自分の年齢もわからなくなっています。
「この人、だれ?」
「何歳ですか」
と聞かないでください。分からない自分が悲しくなります。
2.私たちは「あなた」のすべてはわかりませんが、
「わかりたいと思う気持ち」は惜しみません。
・私は今、話したこと、聞いたことをすぐ忘れてしまいますので、何度も同じ事を聞き返したり
します。でも「しつこい」と思わず、同じ事を何度でも答えてください。
・私はお話ができなくても歌うことが出来る場合があります。一緒に口ずさんでくれるととても
楽しい気分になれます。
・昔は、いつも近くの子供たちや、動物がいました。昔のことは覚えているので懐かしい気持ち
になることが出来ます。
・過去の世界が、突然よみがえってきます。その世界に付き合ってもらえるととても安心できま
す。否定されると自分の人生を否定されたようで悲しくなります。
・私は子供ではありません。幼児言葉を使われるといやな気持ちになります。ひとりの大人であ
ることを忘れないでください。
・いつも一緒にいる人、顔なじみの人がいると安心できます。私たちにも好きな人、嫌いな人が
いることを忘れないでください。
・私にも人生の歴史があります。それをわかってくれると私たちの言動の意味がわかるかもしれ
ません。
3.私たちは、あなたに言葉が通じなくても言葉を大切にします。
・私は難しい話はまとめることが出来ません。簡単な言葉、短い文章で話してください。
・私は聞きなれた呼び方をしてくれたほうがわかりやすいときがあります。私の歴史につき合っ
てください。
・私は自分でも何を話しているのか分らなくなることがあります。じっくり聴いて欲しいのです。
・私は耳が遠くてあなたの話が聞き取りにくい時があります。でも大声で話されると怒られてい
るように感じてしまいます。耳元でやさしく話してください。
・私は言葉だけだと分らないことが沢山あります。身振り手振りや時には手本をみせてください。
・私はたとえ言葉の意味がわからなくても、通じなくても必ず「言葉」をかけてください。わた
したちはモノではありません。
・私は沢山の音があると聞き分けられません。静かな場所を望みます。
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3.認知症高齢者の介護の心得
認知症高齢者といっても一人一人状況が違うことを理解しなければなりません。その人
がどのような人生を歩んできたかという生活歴や人生観を知ることによって介護者の対応が
違ってきます。大切なことはその人の人格を最大限尊重し守り介護にあたらなければならな
いものであります。
1. 私たちは、居心地のよい環境づくりに努めます
・私は環境が変わると、ここがどこなのか分からなくなります。皆さんが外国で迷子になったよ
うな気持ちと同じです。環境の変化に対応ができないため、一緒にいる人がいなかったり、い
つもと場所が違うと混乱します。できるだけ同じ場所で生活することを望みます。
・私は直前の出来事はすぐに忘れてしまいますが、昔の記憶はよく覚えています。部屋に以前か
ら使っていた物があると居心地が良くなります。
・私は音にはとても敏感です。人々同士が呼び合う大きな声、騒々しさ、また車や機械音などに
恐怖を感じます。できるだけ静かなところが良いです。また癒し系の音楽は心地よくなります。
・私の生活習慣は長い期間で身についたものです。毎日同じリズムの生活が送りたいです。
・私は病気の進行によって、今まで理解していたことも分からなくなります。特に困ることがト
イレの場所です。早い時期から目立つものをぶら下げるとか、「便所・はばかり・かわや」等
と私が理解しやすい言葉で表示します。夜間は必ず明るくしておきます。
2. 私たちは、なじみの関係づくりに努めます
・私は知らない人の中に入っていくことが怖く、しり込みしてしまいます。でも知っている人や
仲間がいるとほっとします。なじみの関係が楽です。また大勢の人より少ない人のほうが安心
します。
・私は友達と楽しく話をしていても、相手が何を話しているか分からなくなり急に怒り出してし
まうことがあります。介護者は必ずそばにいて、私たちが楽しく生活できる橋渡しをして下さ
い。
・私は施設でも家庭で生活するような空間や雰囲気があると安心します。
3.私たちは、安心できるやさしい言葉がけに努めます
・私は介護者の介助方法が自分に危険かどうかの判断をします。私の気持ちを理解したやさしい
言葉で話しかけて下さい。
・私はコミュニケーションが取れなくても介護者のやさしい表情は分かります。
・私は短い言葉ではっきり話しかけをしてくれると理解できることもあります。
・私と話をするときは目の高さを同じくして、私の視野に入ることを望みます。
・私はやさしい言葉と同様、スキンシップを好みます。
4.私たちは、説得より納得に努めます
・私には時々幻覚や妄想が見えますが誰も信じてくれません。かえってむきになって怒ったり説
得させようとしますが、私には不満しか残りません。理屈に合わなくても事実と違っても、私
が納得できる話をして欲しいのです。
・私がおかしなことを話しても、否定せず受け入れてください。
5.私たちは、皆様のできる能力を活用します
・私は記憶は忘れても身体を動かすことはできます。簡単な作業ならできることもあります。
・私の生活歴の中でやっていたことは得意です。昔の趣味や活動をとりいれると、私も動きが活
発になります。
・私は毎日繰り返すことによって、忘れていた道具の使い方を思い出す場合があります。
6.私たちは、皆様の健康管理に気をつけます
・私は言葉で表現することができないため自分の体調を訴えることができません。日頃から私の
健康状態を把握し、バイタルチェックをすることを望みます。
・私は便意、尿意を感じると落ち着かなくなり不機嫌になります。また機嫌の悪いときは便秘か
どうか疑ってみて下さい。
6
7.日常的な介護の関わりについて
(1)食事の援助
・私は食べることが大好きで、食事の時間はとても楽しみです。落ち着いた場所で、ゆったりと
して食べることを望みます。
・私の食欲がわかない時、体調はどうか、排便の状況、睡眠不足、義歯が合っているか等の原因
を探ってみます。食前に食べ物を口にしたためお腹が空いていない場合もあります。
・私は目の前のお膳に、好きなものがないから食べないこともあります。私の食習慣を調べてみ
てください。
・私は箸やスプーンが何の道具か分からず手で食べてしまうのです。おにぎりや一口大の大きさ
にして提供してもらえれば、手掴みで食べられるし、こぼして迷惑をかけることも少なくなる
はずです。
・私は食べたことを忘れて何度も食事の催促をします。「今食べたばかりでしょう」と怒らず、
飲み物を勧めたり興味ある話をしてください。また一日 3 食にこだわらず、量を減らして4〰
6食にしてもらうのもいいかもしれません。
・私は食べ物かどうかの判断ができず何でも口に入れてしまいます。そんな私の周囲を常に整理
整頓しておいていただければ安心できます。
(2)更衣の援助
・私は暑いか寒いかが分からず何枚も重ね着をしてしまいます。身につける服だけ出しておいて
いただければ混乱しません。
・私はかぶりの服は嫌いです。一瞬、目の前が暗くなり怖いのです。
・私の更衣介助をするときは、言葉掛けと同時にその部分を触って誘導してください。
(3)入浴の援助
・私は「お風呂に入る」と言われても理解できません。「お風呂に行きます→戸を開けます→服
を脱ぎます→湯船に入ります」と一つ一つの動作に声をかけてくれると分かりやすいです。
・私はどうして裸になるかが分かりません。裸になるのはとても恥ずかしいことです。無理に服
を脱がせようとしても理由が分からないので拒否してしまいます。浴槽まで一緒につれてって
いただき私にお湯を触らせてください。お風呂に一緒に入り、同じ行動をとってくれると安心
します。
・私は浴槽のお湯がなんだか分からず怖いのです。浴槽のそばで足浴をしたり、気持ちよいこと
が分かればそのまま入ることもあります。
・私は日中に入浴したことがないため拒否することもあります。入浴時間が変われば入ることも
あります。
(4)排泄の援助
・私はトイレの場所が分からなくてうろうろします。そんな時は声をかけトイレに誘導してくだ
さい。また、間に合わずに放尿したり、失禁をしてしまいます。私の生活習慣などから排泄の
タイミングやしぐさを知っていてくれると助かります。失敗しても怒ったり叱ったりしないで
下さい。私にも羞恥心はあります。
・私は排便したことが分からず、もぞもぞしたり、気持ちが悪いから触っているのです。臭さも
感じなくなってきました。叱らずに拭いてください。
・私はトイレの中の水が手洗い場に思えるのです。便をしたとき、そこで手を洗っているだけで
すので、ある程度の時間で声をかけてください。
7
4.ご家族の理解と対応の心得
認知症高齢者を介護するご家族は、身内が認知症になったことを受けとめることができず、
自らの生活を犠牲にすることで大きなストレスを抱えています。そのようなご家族の思いを
理解し、ご家族と認知症高齢者が関係を維持して、住み慣れた地域での生活を維持できるよう
努めます。
1.私たちは、ご家族が認知症を受けとめ理解できるよう啓蒙に努めます。
・ご家族は認知症を認めたくない傾向があります。
・ご家族は認知症高齢者の介護の方法がわからない傾向があります。
・ご家族は認知症であることを理解できないことがあります。
・ご家族が認知症高齢者に役割を与えると認知症は進行しにくいものです。
・認知症は本人とご家族の過去の家族関係に影響されやすいものであります。
2.私たちは、地域の人々が認知症高齢者を受け止め理解できるよう努めます。
・ご家族は地域・近隣等周囲に介護の大変さを理解されないと感じております。
・ご家族は認知症によって近隣に迷惑をかけたくないと感じております。
・ご家族は近隣に認知症のご家族がいることを知られたくないという傾向があります。
・認知症高齢者を介護するご家族は地域から孤立する傾向があります。
3.私たちは、ご家族の認知症高齢者によるストレスを理解し軽減できるよう努めます。
・認知症を受けとめることができず、ご家族はそれをストレスに感じるものであります。
・献身的なご家族ほどストレスが大きくなりやすいものであります。
・ご家族が介護を抱え込んでしまうほどストレスは大きくなる傾向があります。
・介護によってご家族はストレスを感じることがあります。
・介護者のペースで介護できないためストレスを感じることがあります。
・ご家族は日々の介護をほめられることもなく発散できないでおります。
4.ご家族にサービスの様子をお知らせして、安心して利用できるよう努めます。
・施設サービス、在宅サービスの様子を伝えることで安心できるものであります。
・サービス、介護用品の情報を知る機会がないものであります。
8
5.認知症高齢者の身体拘束と虐待
身体拘束は、身体的拘束及び他者から行動の自由を制限されることであり、高齢者ケアの
基本的な在り方に関わる問題である。虐待とは他者からの不適切な取り扱いにより人権を侵
害される状態や生命、健康、生活が損なわれる状態におかれることを意味します。虐待は被
虐待者に対し精神的・身体的に大きな弊害をもたらすだけでなく、虐待者にも精神的なダメ
ージを与え、社会的にも大きな問題を引き起こすものであります。私たちは身体拘束を虐待
のひとつの態様と捉え、命を尊重する姿勢を忘れず、仕事に誇りとやりがいを持てるよう、
「虐待をしない、させない」為の努力を全職員で取り組んでいくものであります。
施設における虐待は5つの基本的ケア(
「起きる」
「食べる」
「排泄する」
「清潔にする」
「活動する」
)を充実させ、認知症高齢者の精神・身体状況を良好に保つことにより、その
多くを解決することが出来ると考えます。
1.私たちは認知症高齢者の施設内での虐待ゼロに努めます。
・お客様やご家族、地域住民がサービスに参加することで身体拘束・虐待が直ぐに発見されるよ
うな開かれたサービス提供をしていきます。
・認知症高齢者が心地よく安心して暮らせる人間関係と環境整備が虐待を生まない第一歩と考え
ます。
・認知症高齢者の個別性を理解した上で、その人毎に対応方法を検討・実践・検証します。
・車椅子から落ちないようにと、ベルトや車椅子テーブルを付け拘束するのではなく、動こうと
するお客様の気持ちを知り、落ちる原因を探りつつ落ちない工夫や落ちても怪我のない環境を
考えていきます。
・ベッドを四本のサイドレールで囲まれることで閉じ込められたという恐怖や不安を感じさせる
かもしれません。
・在宅で拘束衣を着用させられていても、他の方法で工夫が出来ないかご家族と施設で一緒に考
えていきます。
・徘徊はご本人なりの理由があり、そのことを受け止め解決することが大切です。ベッドに拘束
すれば不安や恐怖を大きくするばかりです。
・お客様を“○○ちゃん”と呼ぶことで、お客様やご家族を「子ども扱いされた、馬鹿にされた
といった不快な気持ち」にさせるかもしれません。
・同じ訴えの繰り返しであっても、瞬間に生きるその方にとっては毎回あらたに困っているので
あり、
「またか」と受け取らず、一つ一つのナースコールに誠意を持って対応します。
・“安全の為に”という名の下に、介護の省力化の為に拘束していないか自分たちのケアを振り
返ります。
・一人ひとりにとっての自己決定・自立のあり方を考えて、支援者が生活を過度に制限せず「そ
の方のしたいこと、出来ること」を支えます。
・お客様に笑顔で接するためには介護にあたる職員が心身共に健康であることが大切です。
2.私たちは認知症高齢者の在宅での虐待ゼロに努めます。
・虐待は過去の家族関係が左右することが多い為、ご本人・ご家族、それぞれの思いを理解した
上で支援します。
・認知症高齢者が身体拘束・虐待を受けないで済むよう、その方に合った介護方法の工夫や住環
境の整備、サービスの利用等を提案していきます。
・虐待の確認は難しく、被虐待者を孤立させない為にも関係機関との連携のもと慎重な対応が必
要です。
・家庭という密室では虐待の発見が難しい為、周囲の者は小さな「傷や表情」を見逃さないこと
が大切です。
・過剰な介護負担が介護者の心や身体を蝕み虐待を生むことも多い為、サービスの利用や相談援
助等、介護者を孤立させないことが大切です。
・病院入院と同時に身体拘束の同意書を交わせられることがあるが、他に方法が無いのか十分に
協議していく必要があります。
・認知症が原因による虐待を防ぐ為、ご家族の認知症に対する理解を促します。
・虐待する側も被害者であることを理解し、責めずに解決の方法を一緒に考えます。
9
・虐待している人自身が「悪い」ということを十分理解し苦しんでいることがある為、周囲の者・
関係者は介護者の辛さを理解し、精神的なサポートをしていく必要があります。
・介護者のストレス解消が、虐待の予防に繋がります。認知症高齢者と同時に介護者の人生も大
切に考えます。
・身体拘束・虐待を「仕方がない」と受け入れないよう、虐待についての知識・理解を深め根気
強く関わっていきます。
・人の良い訪問販売に騙されないよう、サービス提供者や地域住民が見守りのネットワークで支
えていくことが必要です。
3.私たちは認知症高齢者を虐待から守るよう努めます。
・拘束により行動範囲が狭くなることで、自由を奪い人としての尊厳を奪っているということを
理解します。
・拘束・虐待によって、身体機能の低下や認知症状の悪化が加速することを理解します。
・虐待はサービスの利用により明らかにされ易く、家族を孤立させないことが大切です。
・定期的な体重測定をすることが、きちんと食事が提供されているか必要な医療的管理を受けて
いるかを知る助けになります。
・虐待についての知識・理解を深めます。
・認知症高齢者についての知識・理解を深めます。
・身体拘束を行なわないケアのあり方を考えます。
・虐待・身体拘束の研修を定期的に行ない、法人・地域で組織的に取り組みます。
・虐待を予防する環境を整えます。
・虐待を無くす為には、様々な職種の連携が必要です。
・虐待する側も問題を抱えていることが多く、認知症高齢者を守ると同時に、虐待者もサポート
する必要があります。
・介護者の集いや講演会などを開き、介護者のストレスを発散させることが出来る場の提供や仲
間作りを支援します。
・虐待が疑われるケースは、行政を含めた対応を考えます。
・虐待かなと思ったら虐待の疑われる状況についての経過観察記録を残すことが必要です。
・職員間で客観的な相互評価が出来、自分自身の言動が虐待ではないか振り返りながら仕事をし
ていきます。
・お客様や介護者の生活歴や価値観を知り、虐待の原因となっている問題状況に対応します。
・認知症があり思いを言葉に出来ない方であっても、「お客様のこうありたい、こうしたいとい
う気持ち」を最大限に尊重し、「より心地よく、より安心して生活していただく」ことを目指
してお客様の生活を支えます。
・お客様や介護者の意見を言う権利・知る権利を尊重します。
・お客様や介護者のプライバシーを尊重します。
・安全確保と適切なリスクマネジメントにより、事故や虐待のないサービス提供に努めます。
・ご家族や地域に開かれたサービスを提供します。
・虐待を受ける認知症高齢者を守る法律や、経済的な虐待に介入可能な法律などの整備がされる
よう声を上げていきます。
・『高齢者虐待』とは?
① 身体的虐待…あらゆる身体的な暴力をいう。
(平手打ちする/つねる/殴る/蹴る/無理やり食事を口に入れる/火傷・打
撲させる/食事を与えない/など。)
② 心理的虐待…被虐待者に心理的・情緒的・精神的に害悪を与えるものをいう。
(排泄の失敗などを嘲笑したり、それを人前で話すなどにより、お客様に恥を
かかせる/怒鳴る/罵る/悪口を言う/侮辱を込めて子どものように扱う
/お客様が話し掛けているのを意図的に無視する/にらむ/など。
)
③ 経済的虐待…被虐待者の金銭や所有物を。不当に搾取するものをいう。
(日常生活に必要な金銭を渡さない・使わせない/ご本人の自宅などを、ご
本人に無断で売却する/年金や預貯金を、ご本人の意思・利益に反して使
10
用する/など。)
④ 性 的 虐 待…被虐待者が拒んでいるにも関わらず、無理に性的行為を強要するものをいう。
(排泄の失敗などに対して、懲罰的に下半身を裸にして放置する/キス/性器
への接触/性交を強要する/言葉による嫌がらせ/など。)
⑤ 放
任…被虐待者にとって世話や介護が必要であるにも関わらず、そうした行為をし
ないものをいう。世話や介護が必要であると分かっていながらあえて行なわ
ない「意図的放任」と、そうした行為の必要性が理解出来ず、結果として必
要な行為をしない「無意図的放任」に大別される。更に意図的放任は、施設
における介護者の無知や勤務体制、職員配置など施設運営管理上の理由など
による「消極的放任」と、怠慢・嫌がらせなどによる「積極的放任」に二分
される。(入浴しておらず異臭がする/髪が伸び放題/皮膚が汚れている/
水分や食事を十分に与えられていないことで、空腹状態が長時間にわたって
続いたり、脱水症状や栄養失調状態にある/室内にゴミを放置させるなど、
劣悪な住環境の中で生活をさせる/お客様自身が必要とする介護・医療サー
ビスを、相応の理由なく制限したり使わせない/病気の際の看病を怠る/な
ど。)
⑥ 自 己 放 任…自分に対して必要な生活行為を自ら行なわないものをいう。そうした行為が
必要であると分かっていながら、あえて行なわない「意図的自己放任」と、
必要性が理解出来ず、結果として必要な行為をしない「無意図的自己放任」
に大別される。
⑦その他の虐待…(老人クラブや趣味のサークルの参加、選挙投票など、社会的行為への参加
を阻止する/就労の際、高齢を理由に正当な報酬を支払わない/公的制度
として十分な福祉・医療・保健サービスを用意しない/など。)
・『身体拘束』とは?
① 身体の抑制…ベッドなどに胴や四肢を縛る/車椅子にY字型拘束帯・腰ベルト・紐で固定
する/車椅子にテーブルを固定する/桎梏(紐・ロープ・ビニールテープ・
布紐・鉄鎖・手錠などによる拘束)/など。
② 行動の抑制…ミトン型の手袋をつける、介護着・つなぎを着せるなど、拘束衣・拘束具の
装着/立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用す
る/ベッド柵を二個使用して固定する/ベッド柵を四本つける/長時間に
わたる無意味な、あるいは罰として鍵がかかる部屋・病室に患者を入れ、
施錠する/長期にわたる身元引受人などとの面会謝絶、帰宅の拒否・不許
可中止などの外部交流の遮断/など。
③ 言葉による抑制…「立たないで」
「ちょっと待ってて」など、意欲をなくすような声掛けを
する/など。
④ 薬による抑制…精神作用を減退させる向精神薬の使用/薬の過剰投与/など。
11
6.医療機関受診の心得
認知症であるか、さらには認知症をきたしている原因はどんな病気なのかなど、認知症
の診断を行なうための目安として、高齢者の生活に関する正確な情報が必要になります。
精神科や神経内科などの診察は、高齢者はもちろんですが、付き添うご家族にもなじみが
少なく、どんな質問をされるか不安に感じたり高齢者の具体的な症状や行動などを上手に
説明できなかったり聞きたいと思っていたことを聞き忘れたりといったことになりかね
ません。伝えたいこと、聞きたいことなどを、前もってメモをしておくと診察がスムーズ
に進みます。様々な理由から受診をいやがる高齢者を上手に納得させる為のアドバイス法
も、身につけておきたいものです。
認知症の早期発見・早期診断・早期対応に努めましょう。
1.受診の前にメモしておいたほうが良いことは?(正確な情報は、正確な診断に結びつきます。
)
①生年月日
②生活暦(出生地、最終学歴、職業暦、結婚暦、ご家族構成、過去の大きな出来事など)
③既往歴(過去にかかった病気、手術や事故の有無、現在治療中の病気、現在服用中の薬等)
④生活習慣(お酒、タバコ、食事、運動など)
⑤特に最近、変わったこと(例えば「物忘れが多くなった」「趣味の庭いじりをしなくなっ
た」など)
⑥いつ頃、どんな時に、どんな症状がでたか(例えば「1~2年前から、夜になると興奮し
やすくなった」
「最近、散歩に出ると迷子になるようになった」
「同じ料理ばかり作るよう
になった」など)
⑦日常生活の自立度(食事、排泄、着替え、服薬など身の回りのことが出来るか)
⑧その他(病院までの交通機関、朝食の内容など)
2.誰が一緒に病院に付いていけばよいか?
高齢者の生活ぶりを十分に把握している人が、受診に付き添うようにします。高齢者の状態に
よって、高齢者と付き添い者が一緒に医師と面談することもありますが、最初にご家族との面談
を行い、その後で高齢者との面談になる場合もあります。ご家族と医師の面談中に高齢者が不安
に陥らない為に、可能であれば、誰か信頼できるご家族がもう一人付き添うようにするのも良い
方法です。
3.受診を嫌がった時はどうしたらよいか?
高齢者が受診を嫌がるには、様々な理由が考えられます。自分がボケているという自覚がなけ
れば、病院に行く必要がないと言い張るかもしれません。たとえ物忘れを自覚していても、知ら
ない病院にいくことを不安に感じて躊躇することも考えられます。無理に連れ出そうとして、興
奮や暴力を引き起こすこともあり得ます。
高齢者のプライドを傷つけずに受診する方法について考えてみましょう。結論から言えば、
「こ
うすればよい」という確実な方法はありません。高齢者の性格やご家族との関係、認知症の進行
程度などによって、受診の誘い方、納得のさせ方は異なって当たり前なのです。ご家族からアド
バイスを求められたときの参考のために、誰でも通用するとは限りませんが、やり方の一例をご
紹介しましょう。
※「健康診断に行きましょう」
「いつまでも元気でいてほしいから、一度、健康診断に行きましょう」と言うように、高齢
者が受け入れやすい情緒的な話し方で受診を促すことを試してみましょう。最初は、高齢者
が受け入れやすい内科で受診し、「次の検査はこっちですよ」と精神科に回してもらう方法
をとることもできます。
※「心配だから一度診てもらいましょう」
高齢者が物忘れを気にしている場合は、「病院で見てもらったら、安心ですよ」と、前向
きな姿勢を示すことで受診がスムーズに行く場合もあります。
※「市(町)からのお誘いですよ」
「おばあちゃんは○歳になったから、市から検診を受けてくださいと電話がありましたよ。
皆さん、受けに行っているようですよ」と病院にいくのは自分だけではないことを理由にし
12
て受診を薦めて納得させた例もあるようです。
※「○さんが一緒に行きましょうって迎えに来ましたよ」
高齢者が心を許している友人に事情を説明し、ご家族と一緒に病院に同行してもらうこと
で、受診を受けいれたケースもあるようです。
※「元気なうちから病院にかかっておいたほうがいいのよ」
認知症はあるものの健康状態は良好で、ほとんど病院には行ったことがない高齢者に言っ
た声がけの一例です。「若い頃から仕事を頑張ってきて、いろいろ体の不調も出てくること
があるから、元気なうちから病院の先生と仲良くなっておきましょう」と情に訴えることで
受診に結びつきました。
※「○○先生(さん)が1回病院に行ったほうがいいって言っているから行こうね」
例えば高齢者が信頼している かかりつけ医やケアマネジャー、看護師などの名前をだし、
受診を勧めるとスムーズに受け入れる場合もあります。また、嫁には反発しても、娘から言
われると素直に受け入れることもあります。
※2~3日前に話す
受診することを納得したように見えても、予約日までに日数がありすぎると受診というス
トレスから次第に不安になる高齢者もいます。また、受診そのものを忘れて「そんなことを
約束した覚えはない」と言い出すケースもあります。高齢者の性格や認知症の進行度にもよ
りますが、2~3日前、あるいは前日に受診のことを話したほうがよい場合もあります。
4.薬物療法での留意点。
正しく服用されているか。他科から向精神薬が処方されていないか。薬物の効果が出る前に服
薬を中断していないか。副作用が出現していないか。
(抗精神病薬:眠気、パーキンソンニズム、
便秘、排尿障害など、抗うつ薬:眠気、食欲不振など、抗不安薬、睡眠薬:眠気、ふらつき、健
忘、せん妄など、抗痴呆薬:興奮、嘔気、食欲不振など)に十分注意しなければなりません。
5.一般的にどんな検査をするのでしょうか?
病院で行なう検査は、ご家族や本人への問診、知的機能の様子を調べる為の簡単なテスト、血
圧や血糖値、コレステロール値、中性脂肪値などの一般的な健康診断、脳波検査、頭部CTやM
RIなどの画像検査などです。
<病院での高齢者の態度?>
「病院に行くことを嫌がっているのだから、無理して連れて行っても頑強に診察を拒否して、き
ちんとした検査を受けられないのでは」と心配するご家族は多いものです。しかし、病院のよう
に人目のある所では、自分の能力の低下を見せたくないという心理が働き、ご家族や医師の指示
に素直に従うことが多いようです。また、医師の問いかけや知的機能検査でも、日頃とは比べも
のにならないほどしっかりとした答えをして、ご家族を驚かせることがあります。これも自分が
しっかりしていることを知らせたいと言う心理の現われと解釈できます。
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7.認知症高齢者と住環境のあり方
認知症の症状や進行の状況に対応できる個別の介護サービスのあり方や安心感を与える
ような周囲のかかわり方を明らかにして、住まいの中から障害となる危険なものを取り除
き、本人の不安を軽減し、事故を防ぎ、安心して暮らすための「住まい」づくりに努める
ものであります。
1.浴室について ~のんびりつかって心身ともにリラックスしてもらう~
・手すりをつけます……入浴の動作にそって適切な位置に設置すします。
・腰掛スペースをつくります……浴槽の脇に高さを合わせた腰掛を設置して出入りします。
・出入口の段差をなくします……すのこを敷くなどして脱衣室との段差をなくします。
・床材はすべりにくいものにします……すべり止めのマットやすのこを敷しきます。
・水栓はつかいやすいものにします……温度の調節がかんたんで確実なもの。
2.トイレについて ~回数がふえるが人の手はかりたくないもの~
・手すりをつけます……たちあがりや横移動で安心するように L 字型が合理的。
・ドアは引き戸か外開きにします……万が一のとき外から開けやすい。鍵の解除も外から。
・洋式便座にします……高さをあわせた洋式のほうが便利です。
・暖房で室温を保ちます……温度差が大きいと事故(心疾患・脳卒中)につながります。
・段差をなくします……廊下や寝室との段差をなくします。
3.階段廊下について ~足元の安全に細心の注意を~
・手すりをつけます……できれば階段の両側に。
・証明は複数を組み合わせます……「階段や廊下が暗くて不安」自動点灯の足元灯が便利。
・すべり止めをつけます……直線階段には色をかえたすべり止めを設置すると安全。
・廊下にも手すりをつけます……歩行のバランスをとります。
4.玄関について ~「いってきます」積極的に外出する気持ちになれるように~
・手すりをつけます……上がり框に縦、腰掛ベンチを置くと座って靴を履けます。
・足元は明るくします……全体を照らすほか、足元灯も設置すします。
・玄関ポーチはすべりにくくします……雨・雪に濡れにくいように庇やフードをつけます。
・入口の段差をできるだけ解消します……解消するか数センチであれば色で分るようにします。
5.寝室について ~生活の中心になるので、眺めや陽あたりのよい部屋を~
・照明はあかるくします……視力低下のため極力明るい間接照明を心がけます。
・ベットまわりすっきりと……整理整頓し、余計なものは置かない。コード類は整理。
・出入口は広く段差解消……段差スロープなど色違いでわかるように。車いす対応可。
・床材に注意……じゅうたんはつまずきやすい。
・負担の少ないベットにします……立ち上がりが楽です。
・トイレが離れている……インテリ性の高い家具調のポータブルトイレも考えます。
6.台所・食堂 ~おいしく三度の食事に配慮する~
・台所と食堂はワンルーム……配膳・下膳が楽にできます。
・床材…… すべりにくく掃除しやすいものにします。
・座って作業……座って調理できるように高さをあわせます。
・安全に注意します……ガスもれ警報、火災報知機、消火器など安全面で換気も適度に。
7.環境を整える
・本人を緊張させている刺激を点検します。
高い音や騒音、強すぎる光、空調の吹き出し、広すぎる場は落ち着つかなることがあります。
・心地よい五感刺激のある環境づくり
色彩、音、いい香り、変化にとんだ味の食材、触れて心地よいよいクッション、抱けるもの
木や自然素材などのやさしい感じを与えるものが好まれます。
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・身体で覚えている力を引き出すもの・場面づくり
家事、育児、仕事などの習慣動作や楽しみごとを自然にやれる
・自分を取り戻せる場づくり
本人やご家族の写真、思い出のもの、本人の好むもの
・安心していられる居場所の確保
本人の行動パターンの把握、なじみのものを活かした居場所づくり
・見当識を強化する場所づくり
本人にわかる目印、月日や季節がわかる暦、カレンダー、職員の名称と顔のわかる名札、季
節感のあるしつらえが落ち着きます。
・自然や地域との交わり
日常的に、自然光、風、緑、生き物に触れる場面をつくるり、ご家族はもちろん、地域の人々、
子供たちとふれあう場面づくり、戸外にでる機会づくり(散歩・ドライブ・買い物・好む場所)
が好まれます。
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8.認知症高齢者と地域ケア
高齢化の進展に伴い、認知症高齢者が増加しており、住み慣れた家庭や地域で暮らしていく
ためには、在宅における保健・医療・福祉サービスを充実していくとともに、地域全体で支え
ていく仕組みづくりを進める必要がある。サービスが充実し、地域で暮らす認知症高齢者も多
くなることが考えられ、ますます地域住民の力が必要となってくる。認知症高齢者になっても
安心して暮らせる地域社会の構築を目指さなければならない。
1.私たちは、「認知症の予防」を地域ぐるみで行えるよう努めます。
・認知症の原因の一つが高血圧・糖尿病・高脂血症と考えられているため、中高年の生活習慣
病を予防していきます。
・子供から高齢者までが異世代交流できる機会をつくり、生きがいづくりを通して喪失体験の
多い世代を地域で支えていきます。
2.私たちは、安心できる「街づくり」に努めます。
・高齢者が悪徳商法や犯罪に巻き込まれないよう、又認知症高齢者は交通事故などにあう危険
性が高いため、安心して生活できるためのシステム化を図っていきます。
・地域で見守り隊(定年退職後の男性)を結成したり小学生からのボランティアの育成をし、
認知症があっても地域で安心して生活できるんだと住民みんなが思える街にしていきます。
3.私たちは、地域住民の理解と協力が認知性高齢者を支えます。
・地域住民の方々に認知症とは何かを知ってもらいます。そして、理解と協力が得られること
で認知症高齢者が地域で生活できる可能性が広がっていきます。
・認知症を知ってもらうために、寸劇・紙芝居・座談会などいろんな機会を通して地域の方に
提供していきます。
4.私たちは、認知症高齢者の「出かけたい」という気持ちを大切にします。
・地域ぐるみで見守りするためのネットワーク作りを目指します。
(家族・行政・警察・医療機関・民生委員・福祉委員・婦人部役員・商店・薬局・ボランティ
ア・学校・事業所など)
・危険の無いような配慮のもといつでもどこでも外出できる体制をつくります。 (GPS など
の活用)
5.私たちは、認知症高齢者の地域での孤立を減らし行動障害を防ぎます。
・地域において認知症高齢者が交流できる機会や、気軽に遊びに行ける場所をつくります。
(保
育園やミニデイサービス・グループホーム・お茶のみ会やサロンなど)
・社会資源にはどのようなものがあるのか認知症高齢者や地域住民が利用しやすいマップを作
成していきます。
16
9.認知症予防のあり方
アルツハイマー型の認知症は発症の原因がまだ特定されてはいませんので予防策も確立さ
れてはいませんが、脳血管性認知症の場合では、複数のリスクファクターにより発症しやす
いと考えられています。また認知症の初期段階で、進行予防のプログラムを展開することによ
り、進行を遅らせることができることもわかってきています。認知症も他の疾患同様、早期発
見・早期対処が重要と思われますので、認知症予防の重要性を、市民一人ひとりが理解し、日
ごろから認知症の予防を心がけた生活を送ることが大切であります。専門職者は、看護や介護
・相談の各場面において、常に予防的視点をもって業務を遂行するものであります。
1.生活習慣のうち、動脈硬化や脳障害を防ぐ食事習慣
・偏食を避けて塩分控えめに。
・糖尿病や高血圧、高脂血症の人は特に治療食を守って動脈硬化を進行させないように努める。
・長期に渡る過度のアルコール飲用は良くない。
・水分補給が大事。
2.心のあり方や人間関係が認知症に関与していないだろうか。
・明るい気持ちを持つように心がける。
・ストレスをためないように心がける。
・孤独にならないように努めること。
・自分自身に役割をもち日常的に実践すること。
・プライドを大切にしよう。
3.生活習慣が認知症の発症や進行の予防に有効。
・適度な運動や体操をしている人
・日記をつけている人
・喫煙者は脳動脈硬化症に関与することもあるので控えめに。
※常日頃から認知症予防について意識的に情報収集や分析を行い、福祉の現場として予防のた
めに何が有効なのかを継続的に検討していくことが求められる。
17
10.認知症高齢者と職業倫理
私達の事業は社会との関係(契約)において、信頼性、誠実性、専門性が求められ、利用者の
最善の利益(権利擁護)を考え業務に携わり、利用者に決して不利益や害を与えるようなこと
があってはならないものであります。それを規定しているものが法律であり、定款や服務規程
であると共に、業務指針や理念である。私達はこれらの規定に基づきながら業務を遂行するこ
とが求められるものであり、経営優先の論理が倫理を後退させてしまうということであっては
ならないものです。
「利用者の権利」や「福祉の価値・倫理」を無視したサービスは社会的信
頼を得られるものではなく、このような考え方の素地に「モラル・ハザード」が起きるものです。
介護福祉サービスの専門施設として組織倫理、職業倫理、個人倫理を高め、「社会秩序を乱す
行動や社会から非難される行動をしないこと」という「コンプライアンス(法令遵守)」を意識
したサービスの在り方を基本的な考えとしていかなければならないものであります。
高 次
A 組織倫理
A+B+Cの部分が
「コンプライアンス」
として求められる
理念
行動指針
ABC
定款・管理規程等
B
職業倫理 C 個人倫理
法
令
社会福祉法・介護保険法・民法・労働法等
遵 守
1.介護福祉サービスの倫理とコンプライアンス(法令遵守)
・組織倫理~法令や各種規程に基づく実践をしているか(信頼性)
・職業倫理~倫理コードに基づく実践をしているか(専門性)
・個人倫理~自分の行動は社会人として反していないか(誠実性)
2.認知症高齢者の権利を擁護し尊厳を支えるために実践しなければならないことがらについて
利用者本位
・真に自己決定権を尊重したサービスに努めているのだろうか。
・認知症高齢者の個別性を大切にしたケアを実践しているのだろうか。
・認知症高齢者の内的世界を理解しているのだろうか。
・利用者本位を理解しそのためにしなければならないことに努めているだろうか。
自立支援
・認知症高齢者の持っている力を理解しているのだろうか。
・認知症高齢者の持っている力を奪ってはいないだろうか。
・認知症高齢者にとっての「自律」支援の意味を理解しているのだろうか。
・自立を支援するケアプランとなるように努めているだろうか。
対
等
・サービス利用者との関係において強者と弱者の関係になっていないだろうか。
・目線が高くはなっていないだろうか。
・認知症高齢者に人格ある存在として接しているだろうか。
・認知症高齢者との信頼関係形成に努めているだろうか。
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選
択
・ライフスタイルに合わせたサービス提供に努めているだろうか。
・個別的なニーズに応じることのできる資源創出に努めているだろうか。
・認知症高齢者の選択権を奪っていないだろうか。
地域ケア
・地域住民・事業者・自治体と共に取り組む福祉のあり方を目指しているだろうか。
・生活の基盤は地域にあることを理解した利用者への関わりとケアに努めているだろうか。
・施設サービスも地域ケアであることを認識しサービスに努めているだろうか
契
約
・法的効力を持つ契約を取り交わしているのだろうか。
・サービスに関わる権利と義務をはたしているのだろうか。
・契約書に基づくサービスの提供に努めているだろうか。
サービスの質
・自己評価などのサービス評価によりサービス向上に努めているだろうか。
・第三者評価を行いサービスの質向上に努めているだろうか。
・認知症高齢者にとってサービスが受身になりがちであることを理解しているだろうか。
・認知症高齢者の主観的 QOL を理解したサービスに努めているだろうか。
・認知症高齢者へのサービスは、その家族を含むサービスに努めているだろうか。
権 利 擁 護
・自己決定能力の低下しているお客様の権利を擁護しているだろうか。
・認知症高齢者を虐待することなく、また、されることのない社会になるよう努めているだろうか。
・認知症高齢者は人格ある存在として偏見を持つこと無くケアに努めているだろうか。
・認知症高齢者に内的世界があることを理解しそれを侵害しないように努めているだろうか。
・成年後見制度や地域福祉権利擁護事業の必要性を認識し普及に努めているだろうか。
苦 情 解 決
・第三者を含む苦情解決のためのシステムにより迅速な苦情解決に努めているだろうか。
・認知症高齢者の現れにくい苦情を受け止めことが出来るよう努めているだろうか。
・利用者も職員も苦情が言える環境作りに努めているだろうか。
情 報 開 示
・サービスや事業内容の開示によりサービスの状況を理解できるように努めているだろうか。
・サービス利用者との信頼関係を強めるための情報開示に努めているだろうか。
・情報開示は時代の流れでありそれに対応できるよう努めているだろうか。
ま と め
認知症高齢者の権利擁護とは「人間としての尊厳」や「その人がその人らしく生きる」というこ
とを支えることであります。
認知症高齢者を「尊厳ある存在」とするのは制度や在り方ではなく、サービス提供者のアドボケ
イトによるケア実践においてほか証明することはできないものであります。
19
参考:クリスティーン・ブライデン「私は私になっていく」より
コミュニケーション
私たちがより感情の世界に生き、認知の世界を生きることが少なくなっているので、記憶に残る
のはあなたが何を言ったかではなく、どんなふうに話したか、ということだ。私たちには感情はわ
かるが、話の筋道はわからない。あなたの微笑み、あなたの笑い声、私たちにふれるあなたの手が、
私たちに通じるものだ。185 頁
ゴールドスミスは、どうすれば痴呆症のある人たちともっととうまく意思疎通できるかを、みご
とにまとめている。
・ゆったりした環境をつくる。
・穏やかな、自信に満ちた、気さくな態度をとる。
・その人の視野の内に入り、同じ目の高さで目を合わせたまま、名前を言う。
・その人がいやがらない範囲内で身体にふれる。
・簡単な言葉でゆっくりと、敬意をもって話す。
・理解する時間を与える。
・聞き上手になって、言葉がつかえてもじっと待ち、言葉の裏にある意味を察する。
・あいまいな言い方を避け、短い文章を使う。
・できれば写真などを使って、言っていることを具体的に説明する。
・話について行くように努力し、言い問違いを直したり、不適切な返答を笑ったりしない。
・よくできた時はほめる。
・感情をむきだしにされても、あわてない。190 頁
行動障害
世界は私たちのテンポよりもずっと速く、目の回るようなスピードで動いているというのに、私
たちは、やれこれをしろ、早く答えろ、ゲームをしろ、グループ活動に参加しろと言われている。
あまりにもスピードが速すぎるので、本当は、向こうへ行ってほしい、もっとゆっくりやってほし
い、私にかまわないでほしい、とにかくあっちへ行ってほしい、と言いたいのだ。私たちが扱いに
くくて協力的でなくなるのは、たぶんそういう時かもしれない。
これは「問題行動」と呼ばれている。だが私に言わせれば、これは自分の介護環境に適応しよう
としている「適応行動」である。あなたを押しのけるのは、無理やりシャワーを浴びさせようとす
るからだし、食べ物を吐き出すのはそれが嫌いだからだ。間違ったところで用を足そうとするのは
トイレの場所を忘れてしまったからだし、別の人の部屋へ入っていくのは自分の部屋がどこか忘れ
てしまったからだ。どうか私たちがいつもそうしている時間にシャワーを浴びさせ、お風呂に入れ
てほしい。どんな食べ物が好きか知っていてほしい。トイレの場所がはっきり見えるようにしてお
いてほしい。私たちにはもう数字は読めないのだから、部屋の入口にはわかりやすいマークか絵で
目印をつけてほしい。飼っている猫の絵とか好きな花とか、何か私たちにとって特別な物の絵を掛
けてはどうだろうか。
介護環境が、介護される人とその人のニーズを中心に考えられていれば、いわゆる「問題」行動
は起こる必要がないはずだ。171~172 頁
内的世界
ヴィクトル・E・フランクルは、
「異常な状況に異常に反応するのは正常だ」と言った。私たちの
頭の中で起こっていることを考えれば、私たちの行動は正常なのだ。どうかあなたが私たちのゆが
んだ現実の中に足を踏み入れてほしい。私たちがあなたの現実に押し込められるとさらにストレス
を感じてしまうのだ。
私たちの現実に入ってきて、私たちを見たりふれたりしながら、つながってほしい。どこか遠く
ではなく、確実にそこにいてほしい。私たちの心がどこか遠くに行ってしまっていたり、放心した
りしているのではなく、伝達能力と明晰な思考能力がないために、脳の損傷が作り出した、この奇
妙な混乱した世界を表現できない状態に陥っているということをわかってほしい。私たちの経験し
ているこのような内的現実について考えて、そこにつながってほしい。想像力を使ってほしい。創
造力を働かせてほしい。そうして、私たちの世界とあなたの世界を隔てている溝を、またいで乗り
越えてほしい。199 頁
※
内のタイトルは書籍の見出しでなく、こちらでつけたものです。
20
認知症の相談窓口
<
在宅介護支援センター
>
○北広島市中央在宅介護支援センター
TEL 372-3311
北広島市中央4丁目2-1(市役所福祉内)
○北広島市みなみ在宅介護支援センター
TEL 372-8110
北広島市富ヶ岡509-31(四恩園内)
○北広島市きた在宅介護支援センター
TEL 375-5888
北広島市西の里347-4(聖芳園内)
○北広島市にし在宅介護支援センター
TEL 370-3922
北広島市大曲中央1丁目1-8
NKビル1階
○北海道高齢者総合相談センター
(財団法人 北海道長寿社会振興財団)
〒060-0002
札幌市中央区北2条西7丁目 かでる2・7 道立社会福祉総合センター2階
TEL 011-251-2525
FAX 011-251-6156
*各都道府県に1ヶ所ずつ設置。相談無料。
*『シルバー110番』プュシュホン回線の電話で#8080を押すと、お住まいの地域の
高齢者
総合相談センターにつながります。
*相談受付時間:月曜~金曜日及び第1・第3土曜日 午前9時~午後5時
*相談方法:電話、来所、手紙(FAX)
○社団法人 呆け老人をかかえる家族の会 <国際名:日本アルツハイマー病協会>
・家族の会 ぼけの電話相談(本部)
TEL 0120-294-456
*土・日・祝日を除く毎日、午前10時~午後3時まで。
*全国どこからでも無料(携帯、PHSは不可)家族の会が行う事業。研修を受けた介護
経験者による相談。
・北海道支部
代表:石井一雄氏
TEL 011-204-6006
FAX 011-204-6006
連絡先 〒060-0002 札幌市中央区北2条西7丁目
相談: 毎週月~金曜日、午前10時~午後3時まで。
かでる2・7
・札幌ぼけ老人を抱える家族の会
TEL・FAX 011-281-2969
*火・水曜日 10~15時
FAX・面談も可能。
・北広島市介護者と共に歩む会
会長 加藤宅 : TEL・FAX 011-865-8341
事務局長 内堀宅 : TEL・FAX 011-373―3349
事務局次長 佐藤宅 : TEL・FAX 011-372-9143
21
○ぼけ110番
TEL 03-3215-1166
*毎週 月・木曜日、午前10時~午後3時まで。
*ぼけ予防協会と毎日新聞社が開設している全国的な電話相談。医療ソーシャルワーカー、
看護師、(社)家族の会東京都支部世話人等が相談に応じています。
○高齢者介護支え合い相談
TEL 0120-070-608
FAX 0120-502-588
*国際長寿センターが、厚生労働省の助成を受けて、介護にあたる家族の悩みを受け止める
ために設立。フリーダイヤルで介護の悩みごとや諸制度利用の相談に応じている。
*毎週 月~金曜日、午前10時~午後3時まで。(土・日・祝日・年末年始はお休み)
*FAXは24時間受付
○北海道立精神保健福祉センター
TEL 011-864-7121
FAX 011-864-9546
相談専用電話 011-864-7171
〒003-0027 札幌市白石区本通16丁目北6番34号
相談受付 : 平日 午前9時~午後5時 (土曜日 午前9時~午後1時)
○市立札幌病院静療院・老人性痴呆センター
TEL 011-821-9861
札幌市豊平区平岸4条18丁目1-21
担当:遠藤氏、田中氏
*相談・診察共に予約制
○社団法人 成年後見センター・リ-ガルサポートさっぽろ
TEL 011-280-7077
FAX 011-280-7078
札幌市中央区大通西13丁目 中菱ビル6階 札幌司法書士会館内
< 法律相談 >
○札幌弁護士会法律相談センター
TEL 011-251-7730
札幌市中央区大通西10丁目 南大通ビル7階
*完全電話予約制
相談時間:30分程度
相談料:5000円
*電話受付時間 : 平日 午前10時~午後4時
○札幌弁護士会新さっぽろ法律相談センター
TEL 011-896-8373
札幌市厚別区厚別中央2条5丁目 サンピアザ3階
*完全電話予約制
相談時間:30分程度
相談料:5000円
*電話受付時間 : 月~土曜日 午前10時~午後4時 (土曜日は午後1時まで)
○札幌弁護士会 高齢者・障害者支援センター「ホッと」
TEL 011-242-4165(専用ダイヤル)
札幌市中央区大通西10丁目 南大通ビル7階
*来館相談 40分5000円
毎週火曜日10~12時
*出張相談(札幌市内のみ) 60分1万5000円
交通費込み。
*生活保護世帯については相談料が免除されます。
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目を開けて、もっと私を見て!
パット・ムーア「わたしは3年間老人だった」より
イギリス ヨークシャー・アシュルディー病院である日一人の老婦人が亡くなりました。
彼女の持ち物を調べていたら看護婦さんが彼女の遺品の中から、彼女が書いたと思われる詩を見
つけました。
何が見えるの、看護婦さん、あなたには何が見えるの
あなたが私を見る時、こう思っているのでしょう
気むずかしいおばあさん、利ロじゃないし、日常生活もおぼつかな<
目をうつろにさまよわせて
食べ物をぼろぼろこぼし、返事もしない
あなたが大声で「お願いだからやってみて」と言っても
あなたのしていることに気づかないようで
いつもいつも靴下や靴をなくしてばかりいる
おもしろいのかおもしろくないのか
あなたの言いなりになっている
長い一日を埋めるためにお風呂を使ったり食事をしたり
これがあなたが考えていること、あなたが見ていることではありませんか
でも目を開けてごらんなさい、看護婦さん、あなたは私をみてはいないのですよ
私が誰なのか教えてあげましょう、ここにじっと座っているこの私が
あなたの命ずるままに起き上がるこの私が誰なのか
私は十歳の子供でした。父がいて、母がいて
兄弟、姉妹がいて、皆お互いに愛し合っていました
十六歳の少女は足に羽根をつけて
もうすぐ恋人に会えることを夢見ていました
二十歳でもう花嫁。私の心は踊っていました
守ると約束した誓いを胸にきざんで
二十五歳で私は子供を生みました
その子は私に安全で幸福な家庭を求めたの
三十歳、子供はみるみる大きくなる
永還に続<はずの絆で母子は互いに結ばれて
四十歳、息子たちは成長し、行ってしまった
でも夫はそぱにいて、私が悲しまないように見守ってくれました
五十歳、もう一度赤ん坊が膝の上で遊びました
私の愛する夫と私は再び子供に会ったのです
暗い日々が訪れました。夫が死んだのです
先のことを考え不安で震えました
息子たちは皆自分の子供を育てている最中でしたから
それで私は、過ごしてきた年月と愛のことを考えました
今私はおぱあさんになりました。自然の女神は残酷です
老人をまるでばかのように見せるのは、自然の女神の悪い冗談
身体はぼろぽろ、優美さも気力も失せ
かつてこころがあったところにはいまでは石ころがあるだけ
でもこの古ぼけた肉体の残骸にはまだ少女が住んでいて
何度も何度も私の使い古しのこころをふくらます
私は喜びを思い出し、苦しみを思い出す
そして人生をもう一度愛して生き直す
年月はあまりにも短すぎ、あまりにも速<過ぎてしまったと私は思うの
そして何物も永遠でないという厳しい現実を受け入れるのです
だから目を開けてよ、看護婦さん・・・・目を開けて見て<ださい
気むずかしいおばあさんではなくて、「私」をもっとよく見て
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「いつどこネット」認知症介護研究・研修東京センターのホームページより
新しい認知症ケア10のメッセージ
1.苦しみの源は病気です
-冷静にそしてあきらめないで-
認知症(痴呆)を年のせいにしていませんか。
認知症(痴呆)と、年齢相応の物忘れとは、全くの別もの。
認知症は、脳細胞が障害されていく病気のために起こります。
認知症になる病気はたくさんあります。
残念ながら、治療が難しい病気が大半です。
しかし、中には治る病気も、進行を遅らせることが可能な病気もあります。
苦しみの正体を早く知ろう。
認知症は、頭の中の見えない病気です。
見えない敵と格闘しても疲れるばかりです。
病気によって経過も異なりますし認知症は確実に進んでいきます。
信頼できる医師に相談し、診断を受けましょう。
診断に基づく適切な対応が遅れるほど、本人は苦しみ、介護は大変になっていきます。
目をそらさずに、認知症という病気と冷静に向き合いましょう。
2.認知症の道のりは長丁場
-いっしょに乗り越えていくチームをー
介護の期間は周りが気づいてから平均10年近く。
認知症(痴呆)は慢性的に、徐々に進行します。
体の動きにくさや体調の乱れも出てきます。
介護の期間は、年齢や認知症の種類などによりさまざまです。
平均 10 年近く、20 年以上になる場合もあります。
いつまで続くか、先が見えない。
認知症は 24 時間 365 日、消えることのない病気です。
本人にも、家族にも、たくさんの生活上の困りごとが現れます。
いつまで続くか、先の見えにくいのが認知症の経過です。
最初が肝心、山場は前半です。
まだまだ症状が軽いと対応を先延ばしにしがちですが、家族の対応は、障害が少ない初期が肝
心です。
それに、認知症は、本人の心身がしっかりしているときほど大変です。
ささいなことでも遠慮せず、早く介護のプロ(専門職)に相談をしましょう。
がんばり過ぎずに、気軽に「助けて」といいましょう。
長丁場の介護を、いっしょに乗り越えてくれるプロ(専門職)や仲間を探しましょう。
地域には必ず相談窓口がありますし、家族会もあります。
一人で悩まずに、まずは誰かに「ちょっと、助けて」といいましょう。
可能性と危険性をチームで見極め、最良の判断を。
日常の過ごし方、金銭管理、本人の自由な暮らし、危険の回避など、本人が自分で決められな
くなる分、それを誰が、どのように決めるのがもっとも適切か、認知症ケアは迷いの連続です。
本人と家族を中心に専門職がチームを組んで支え、最良の判断となるように、ともに考え、苦
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労をわかちあって進んでいきましょう。
3.認知症の人が現す姿
-作られた障害をなくしてその人らしくー
認知症(痴呆)は、脳の「一部」が障害されたため現れる症状。
認知症の人は、脳の障害された部位に応じて、さまざまな症状を現します。
必ず現れるのが記憶障害(物忘れなど)
。
そして判断したり実行することの障害です。
不安とストレス、そして何もすることのない暮らしが招く「作られた障害」。
認知症の人にとっての大敵が、不安と心身のストレス、そして何もすることのない(無為な)
暮らしです。
これらが続くと認知症の人は混乱が強まり、同じ行動の繰り返し、うろうろ歩く(徘徊)、そ
してパニック(大声、拒否、乱暴)等が起きてきます。
できるはずの行動もできなくなり、外見上はその人らしい姿とは別人のようになってしまいま
す。
認知症の人の状態は移ろいやすい。
認知症の人は、安心とリラックス、力を活かせる場面があると、見違えるほど落ち着いて、そ
の人らしい姿を現してくれます。
今、目の前の姿に目を奪われず、本人と家族を苦しめている「作られた障害」をなくしていく
ことが、全員のテーマです。
4.認知症の人の思い
-まずは本人のかたわらにそして対話を-
たくさんの症状は、本人のSOSです。
周りから見ると不可解な症状や、暮らしの中で手間どる行動(食事、着替えなど)の一つ一つ
の場面。
介護で大変な時ほど、本人自身がどうしていいか苦しんでいるときです。
本人は、暮らしの中の不安とストレスと闘いながら、声なき悲鳴をあげていることが、しばし
ばです。
わずかな時間でも、本人のかたわらにいて、その声、ふるまいを見つめてみましょう。
願わくば、いっしょに話を。
どんなに認知症(痴呆)が進んでも、心は豊かに生きています。
記憶はとぎれとぎれになっていきますが、瞬間瞬間に感じる喜怒哀楽はとても豊かです。
知的な力に頼れない分、感性はむしろ研ぎすまされています。
うれしい、楽しい、誇らしい気持ちの余韻は残ります。
不快感や、悔しさ、怒り、哀しい気持ちは尾を引きます。
感性、美しいもの、豊かなものを求める気持ち、年長者としての誇り、他者や子どもをいつく
しむ気持ちは、それをうまく表せない分、あふれるほどに秘めています。
5.いつでもどこでもなじみの関係作りを
家庭でさえわからなくなっていく。
認知症(痴呆)が進むにつれて、人の名前だけでなく、存在そのものがわからなくなっていき
ます。
毎日会って、こちらがわかっているつもりでも、本人にはわかりません。
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大切な家族さえわからなくなっていきます。
町の人や医師。わからない人だらけです。
周りの人の見当がつかなくなる恐怖
そばにいる人がわからない。知らない人がいる。
緊張が走ります。
それが寝室やトイレ、お風呂場だったら。
いつもの場所で恐怖に陥ります。
本人にとってなじみの人が関わり続ける。
この人ならわかる。そんななじみの関係になることが、安心を生み出すための第一歩です。
関係ができていないのに、そばにいたり、ましてや手出しをしたら、本人は拒否したり、場合
によっては、抵抗や妄想が作り出されてしまいます。
本人にとってなじみの人は、暮らしていく上での頼みの綱です。
いつでもどこでも、なじみの環境作りを。
長丁場の介護の中で、なじみの人がずっと関わり続けることは困難です。
でも、しかたがないとあきらめないで。
その人にとってのなじみの関わり方(話し方、接し方など)を関わる人同士で伝授しあってい
きましょう。
この人ならだいじょうぶ。脅かさない関わりを。
いつもいっしょにいるからといって、なじみと思ってもらえるわけではありません。
言葉はもちろん、まなざしや態度もやさしく。
そして、決して急がせないで。
「ふーっ」と肩の力を抜きましょう。
本人が、どんなにほっとすることでしょう。
いつだって、一期一会。
すぐに忘れてしまうのが認知症です。
出会いの度、向き合う度に、この人は大丈夫、そんな感触をもってもらえるような、一瞬一瞬
の関わりが大切になります。
すべての場面では、たとえプロ(専門職)でも困難です。
本人が、目覚めた時、不安になりやすい時間帯や場面、眠りに落ちる前、そんなポイントでは
しっかりと。
6.いつでもどこでもなじみの環境作りを
自分の家さえわからなくなっていく。
認知症(痴呆)が進むにつれて、住所や地名を忘れるだけでなく、家の中にいるときでさえ、
場所の見当がつかない状態が起きてきます。
まして、なじみのない病院や施設にいったら、混乱は想像以上です。
居場所の見当がつかなくなる恐怖
ここがどこかわからない。
知らない国で、たった一人で迷ってしまったような恐ろしさ。
身の置き所がなくなると、立ち上がってうろうろ。
本人は安心できる居場所を求めて、外に出かけていくのかもしれません。
普通の環境にあるささいな刺激が襲ってくる。
居場所さえわかりにくくなっている人には、取り巻くすべての刺激がストレスになります。
テレビや電話の音、鳴り続ける音楽、話し声、施設の広い食堂、トイレや浴室、長い廊下、一
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律の職員のユニフォーム。
これらは、想像以上に認知症の人を怖がらせています。
行動の失敗も引き起こします。
本人にとってのなじみの環境作りを。
ここはほっとする、なぜか懐かしくてくつろげる。
なじみの場所を作ることが認知症の人の安心とリラックスのためには不可欠です。
慣れ親しんできた場所やもの、配置を大切にしましょう。
知らない場所への移動が作られた障害を生む。
なじみのない環境では、本人の不安と混乱が一挙に高まります。移り住みの害(リロケーショ
ンダメージ)といわれるもので、作られた障害を生み出す最大の引き金の一つです。住み慣れ
た居場所を移らざるをえないことも起こります。そんなとき、本人のなじみのもの、思い出の
ものの配置や居場所作りの工夫など、行く先にバトンタッチしていきましょう。
住み慣れた地域の中での新しい「住まいの方」増えています。
家で住めなくなっても、「自宅にかわるような場」で暮らし続けることを目指しているのが、
グループホームや施設でのユニットケアです。身近な地域で認知症の人が安心して移り住める
それらの場があるか、ぜひ、探したり訪ねてみましょう。
7.古い記憶・刻まれている記憶を活かして生きていく
過去は本人が生きていくための宝の山
病気になって以降は、脳に新しい記憶を刻みにくくなります。
でも、本人にとって印象深く楽しかったこと、充実していた頃の記憶はふんだんに残っていま
す。
日々に活かすかつての記憶。
ただの昔話が、本人にとって安心感にひたれるかけがえのない時間になります。
昔の話、アルバム、懐かしい人、懐かしいもの。
忘れがちなそれらの中に、本人を落ち着かせ、力を引き出す手がかりがふんだんに眠っていま
す。
新しいことをゆっくりと、繰り返す。
新しいことを覚えるのが苦手になっていきます。
その力が、なくなるわけではありません。
本人が覚えたい気持ち、やりたい気持ちを大切に。
ゆっくりと、一つずつ、繰り返し。
あきらめないで、本人が新たに自分らしく生きていくチャンスを。
8.してあげる介護から生ききることの支援へ
認知症(痴呆)の人は地元の生活文化の伝承者。
記憶は、言葉や思い出だけではありません。
認知症の特徴は、からだで覚えた記憶は、比較的よく保たれていることです。
ふるまい、家事、育児、仕事、楽しみごとなど、本人ができるすばらしい底力がたくさん眠っ
ています。
生活文化を伝えてくれる人も少なくありません。
できないのではなく、やる機会がない。暮らしの中で出番を。
もうできない、もうわからないと思いこんでいませんか。
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してあげる前に、待ってみて。
時間がかかるかもしれません。
やり遂げられたら、どんなに自信が保たれることでしょう。
さり気ないお膳立てと、助け舟を。
さりげなく本人の出番を作ったり、できそうな仕事や動作のお膳立てをしてあげてください。
失敗しそうになるかもしれません。
少々、危険なことも起こります。
そんな時は、そっと助けてあげてください。
してあげる介護から、本人が生ききることの支援へ。
認知症があっても、本人は立派に生きてきた大人です。
本人の残された人生、お世話になって遠慮や失意の中で暮らすのではなく、本人が力を振り絞
り自分らしく生ききる姿を、みんなで支えていきたいものです。
9.自然や町の力を借りて
-地域には宝がいっぱい-
建物の中だけでの暮らしはストレスが膨らむ。
どんなに居心地のいい住まいでも、ずっと家の中にいたのでは本人も介護者もストレスがたま
ります。
一日に一回は、戸外に出て、自然に身を委ねましょう。
新鮮な空気、季節の風、お日さまの日差し、木もれ日、四季の緑や草花。
地元の町並や山や川。
空や星やお月様。
認知症(痴呆)がどんなに重度でも、しっかりとある命の力。
自然に触れるとそれらが蘇り、活き活きとした顔や姿に、きっと出会えるはずです。
本人らしい力や姿を引き出してくれる手がかりは、町の暮らしの中に。
買い物を楽しみたい、行きつけの理美容院で素敵になりたい。
草取りや畑仕事をしたい、掃除や手仕事をして人の役に立ちたい、このように積極的な気持ち
を秘めている人も少なくありません。
かなわぬ日々の不満から、作られた症状が噴出しやすいのが、認知症の人です。
家族だけ、専門職だけではそれらには到底応じきれません。
でもあきらめないで。
介護は無理でも、ふつうの暮らしをいっしょに楽しむことなら力を貸してくれる人が町の中に
は大勢出番を待っています。
隠さず、ひるまず、町にでることが、次の人の道になる。
町に出たり、人の力を借りたり。
思ってはいても、人目が気になります。
心ない声に、傷つくことが少なくない現実もあります。
スーパーのレジの人たち、街で働く人々、駅員さんやおまわりさんなど、認知症の人と家族や
関わり手をそっと見守り、応援してくれる人々が町に増えてきています。
本人がついおかしなことをしてしまい、赤面したり、情けない思いをすることもあるでしょう。
身内にとってそれは幾重にもつらい出来事ですが、どうかひるまないで。
人々は「認知症の人が町に出て過ごすこと」の可能性や大切さに気づきはじめています。
認知症の人が町で過ごすことが、あたりまえになる日がきっと来ます。
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10.家族にも十分なケアを
-家族の声をそして力を活かして-
家族の暮らし、介護の日々。
一人一人の家族も、大切な自分の暮らしをもっています。
しかし、24 時間 365 日。
たとえ手を出してはいなくても、目を離せないのが、認知症(痴呆)の人との暮らしです。
たとえ施設に預けていても、気の休まる時がないのが家族なのです。
身内が認知症(痴呆)になること。
認知症のことは、知識としてわかった。
でも、どうして、あの父が、母が、連れ合いが、こんなに変わってしまったのでしょう。
いつまでこんな日々が続くのか。
認知症の人への接し方も、わかっているけど、やりきれない。
やさしくしたいに決まっています。
その人は大切な身内ですから。
やさしくしたくてもできない、だからつらいのです。
どうか抱え込まないで。
同じような悩みを抱えながら、介護を乗り越えている人たちが、町にはたくさんいます。
近所の人や知り合いに、一声かけてみてください。
話せる仲間がきっと見つかります。
もし、身近な人に声をかけにくかったら、ぜひ家族会や電話相談に一報を。
そして何よりも地元の福祉の窓口へ。
一日も早く、支えてくれる人とサービスに出会って。
家族の声を力を活かしてください。
認知症の人のケアは、本人のこれまでの経過や歴史、その人なりの具体的な暮らしの有り様の
情報こそが、鍵となります。
家族でしか知りえない、貴重なそれらの情報や気づき、願いを、プロ(専門職)にどうか教え
てください。
いっしょに、介護を乗り越えるプランを作ってください。
介護の日々、看取りの日々が、家族にとって豊かな体験になることを願って。
身内の方の晩年が、どんな姿として家族の目に映ったか。
それらが、暗く、辛いだけのものであったなら、それは社会やプロ(専門職)の責任です。
どうか、あきらめず、サービスを使ってみてください。
もし、介護の体験が、家族にとって何らかの絆や豊かさを秘めるものであったなら、どうか、
それを、私たちにも教えてください。
それらは、これから認知症となる人、認知症と向き合うであろう数多くの人たち、私たちすべ
ての希望となり勇気となるからです。
認知症の定義(WHO)
認知症の定義は、いったん発達した知能が様々な原因で持続的に低下した状態(年をとって、
物忘れがひどくなり、生活に支障が出ること)である。
認知症とは通常、慢性あるいは進行性の脳の疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、概念、
理解、計算、学習、言語、判断など多数の高次脳機能の障害からなる症候群である。
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参考文献
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・クリスティーン・ブライデン「私は私になっていく」クリエイツかもがわ 2004.11
・クリスティーン・ボーデン「私は誰になっていくの」クリエイツかもがわ 2003.11
・(社)ボケ老人をかかえる家族の会「痴呆の人の思い、家族の思い」中央法規 2004.12
・高齢者痴呆介護研究・研修センターテキスト編集委員会「高齢者痴呆介護実践講座Ⅰ 研修用テ
キスト-基礎課程-」第一法規出版 2001.2
・高齢者痴呆介護研究・研修センターテキスト編集委員会「高齢者痴呆介護実践講座Ⅱ 研修用テ
キスト-専門課程-」第一法規出版 2001.2
・認知症介護研究・研修東京センター 「新しい認知症介護 実践者編」中央法規 2005.3
・認知症介護研究・研修東京センター 「新しい認知症介護 実践リーダー編」中央法規 2005.3
・日本痴呆ケア学会「痴呆ケア標準テキスト痴呆ケアの基礎」ワールドプランニング 2004.6
・権利擁護研究会 「ソーシャルワークと権利擁護」中央法規 2001.6
・高山直樹・川村隆彦・大石剛一郎「福祉キーワードシリーズ 権利擁護」中央法規 2002.12
・日本弁護士連合会編 「契約型福祉社会と権利擁護のあり方を考える」あけび書房 2002.10
・大國美智子・久岡英樹「高齢者の権利擁護」 2004.4
・リチャード・V・オルセン「痴呆性老人のためのやさしい住まい 在宅介護を成功させるために」ワールドプランニング
・三好春樹「生活障害論」雲母書房 1997.9
・三好春樹「関係障害論」雲母書房 1997.4
・三好春樹「痴呆論」雲母書房 2003.12
・雨宮克彦他「専門性のあるケアのために・老年期痴呆のケアの実践」一橋出版 2001.3
・雨宮克彦他「専門性のあるケアのために・老年期痴呆の医学的理解」一橋出版 1999.3
・小澤勲他「物語としての痴呆ケア」三輪書房 2004.9
・ジェーン・キャッシュ「痴呆の人とともに~痴呆の自我心理学入門」クリエイツかもがわ
・小澤勲「痴呆を生きるということ」岩波新書 2003.7
・竹内孝仁「介護基礎学」医歯薬出版株式会社 1998.4
・生活介護研究所「介護職人スーパーテキスト」オフィスエム 2003.6
・大田仁史他「新しい介護」講談社
・小宮英美「痴呆性高齢者ケア~グループホームで立ち直る人々」中公新書
・坂本宗久「生活支援型ケアプランとケアマネジメント」関西看護出版 2002.2
・和田行男「逆転の痴呆ケア」
・パット・ムーア「わたしは3年間老人だった」朝日出版社
・監修:岸本年史他「あなたの『思い』が実現できる!痴呆『生活』介護マニュアル」日総研出版
・厚生労働省・身体拘束ゼロ作戦推進委員会「身体拘束ゼロへの手引き~高齢者ケアに関わるすべ
ての人に~2001.3」
・北海道医療大学・石川秀也氏「尊厳あるケア~高齢者虐待を通して」2004.11.18 研修資料
・市川和彦氏「施設内虐待-なぜ援助者が虐待に走るのか」誠信書房 2000.4
・高齢者虐待防止研究会「高齢者虐待に挑む-発見・介入・予防の視点」
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