SCAJニューズレター vol.46 SCAJニューズレター SCAJニューズレターVol.46 2015年4月22日 発行 一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会 編集発行人:広報委員会委員長 丸山 健太郎 〒105-8577 東京都港区新橋6-1-11 Daiwa御成門ビル TEL.03-5400-5506 FAX.03-5400-5613 www.scaj.org 2015 4 NL 46 ワールドコーヒー リーダーズフォーラム 2014 特集 第2回スペシャルティ コーヒーマーケット 市場調査 NewsLetter SCAJニューズレター vol.46 ここ1∼2年、 ブームとなっているコンビニコーヒーはコーヒーを より身近な飲物として拡大し、今年2月東京にオープンした海外 コーヒーチェーンはコーヒーの質 (原料、焙煎、抽出、 サービス) を アピールし、注目されています。 この様に、 日本のコーヒー市場が 非常に賑わう中、 SCAJの会員数は1,310会員 (2014年12月 末) と着実に増加しています。 美味しいコーヒーが色々な場所で手軽に楽しまれる様になり、 今後、一層風味の良いコーヒー、 より良いサービスが求められ、 ま さに質の競争が激化するのではと思います。 こういった事を背景 に現在、林委員長を中心とする資格認証委員会で、SCAJ資格 認証制度の構築が急ピッチで行われている。SCAJは、資格認 証制度の構築を最重要プロジェクトの一つと位置付けています。 それはなぜでしょうか? スペシャルティコーヒーの中核的概念の一つに 「From seed to cup」 があります。From seed to cupとは、 スペシャルティコーヒーのサプライチェーンのスタートとなる生産地でのコー ヒーの栽培から始まり、収穫、処理、 その後の船積み・輸出、消費地に着いてからの保管、焙 煎、粉砕、包装、 そして店舗でのバリスタによる消費者へのコーヒー提供が行われる最終段 階まで、 すべての段階で品質管理がなされてこそスペシャルティコーヒーは実現する、 という 考え方です。 コーヒーの豆 (種子) からカップまでの総ての段階に於いて一貫した体制・工程 で品質管理が徹底して初めて、 スペシャルティコーヒーの定義・ 「消費者(コーヒーを飲む人) の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美 味しいと評価して満足するコーヒーであること」 が実現されます。風味の素晴らしいコーヒー の美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続 するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくことであります。 つまりスペシャルティコーヒーを実現するためには、 スペシャルティコーヒーのサプライ チェーンの各段階に携わるスタッフが高いスキルをもたなくてはなりません。 そのためには、 ス タッフ教育が重要です。 このことはスペシャルティコーヒー産業が、教育産業と言われる所 以であります。 そのために、SCAJは資格認証制度の構築が重要と考え、 その構築を目指しています。 2015年4月 一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会 会長 長谷川 Contents [目次] SCAJ2015 Special Report 1 ・会長挨拶 ・SCAJコーヒーカレンダー 2 ・ワールドコーヒーリーダーズフォーラム2014に参加して 3- 11 ・SCAJ報告会 12-14 15 16 17 18 19 20-22 22 スペシャルティコーヒー市場調査2014 ・SCAJ報告会 WCR (Wor l d Cof fee Research) ・福岡県が生んだ日本チャンピオン3名 小川福岡県知事を表敬訪問 ・九州レポート ・JLAC2015決勝大会を開催 ・JCIGSC2015決勝大会を開催 ・JBrC2014/15決勝大会を開催 ・世界大会へ向けて ・編集後記 勝彦 SCAJコーヒーカレンダー 2015 April 4月 4月12日 4月13日 4月14日∼19日 4月18日 4月20日 ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ予選 (札幌) Qグレーダーキャリブレーション (東京) SCAA・CQI認定Qグレーダーコース (神戸) 初級カッピングセミナー (東京) ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ予選 (福岡) Qグレーダーキャリブレーション (神戸) ワールドコーヒーリーダーズフォーラム2014に参加して 「近くて遠い国」 。 韓国に到着すると同時に頭に浮かんだ言 葉だ。 成田からインチョン国際空港まで2時間40分で到着す る。 東京から大阪へ行くような感覚だ。 しかし、 そこは外国、 イ ンチョン国際空港からバスに乗ってソウル市内に入れば、 すべ てハングルで書かれた街、 私はハングルは全くわからない。 今回、 私は第3回ワールドコーヒーリーダーズフォーラム2014 日本の にスピーカーとして招待された。 SCAJの会長として、 スペシャルティコーヒーマーケットについて話してくれとの 要請だった。 日本からは、 2014年ワールドバリスタチャンピオ ンの井崎英典氏も招待されている。 国連傘下の国 ワールドコーヒーリーダーズフォーラムとは、 際コーヒー機構 (ICO) から公式後援を受けているコーヒー専 門の国際会議で、 コーヒー産業を代表するリーダーを招きコー ヒー市場が直面している変化を見つめ直し、 持続可能な発展方 法をさぐるのが目的。 会場は、 韓国ソウルのコエックス。 この会 議に続き、 同じコエックスで韓国カフェショウも開催される。 11月19日 朝10時よりオープニングセレモニーが始まる。 ●1日目 Name キイノートスピーチは、 ICO・Executive DirectorのRoberio Oliveira Silva氏。 その後に、 Illy CaffeのAndrea Illy社長の講演。 続いて、 SCAA 専務理事Ric Rhinehart氏。その後、アメリカ Matt Lounsbury氏 (ス タンプタウンコーヒーロースター、 副社長)と続く。 初日の最後に、 スピーカーによるパネルディスカッションが行われた。 題目は、 “Paradigm Shifts in Coffee Industry and its Countermeasures” 会場の聴衆を巻き込んでの、 活発な意見交換が行われた。 2日目。 ※スピーチの順番とスピーチタイトルは右記にてご確認ください。 3日目よりは、各部屋に分かれて、Technical Sessionと、各生 産国がプレゼンテーションを行うAdventure Session、Business Session, SCAEのCertificate Courseが行われた。 ワールドコーヒーリーダーズフォーラムのあと、韓国カフェ ショウも見学した。 巨大な会場で開催され、 コーヒーだけでなく 食品もある。日本でいうと、フーデックスとホテルレストラン ショウとSCAJ展示会が合体したようなショウである。 今回のワールドコーヒーリーダーズフォーラム2014に参加 して、 一番強く印象に残ったのは、 韓国の若いコーヒー関係者の 熱心さであった。 とにかく、 スペシャルティコーヒーを勉強した い、 何でも吸収したいという熱意を感じた。 私達SCAJも、 あの熱 意は見習うべきだと感じた。また今後、韓国のスペシャルティ コーヒー業界関係者との関係強化も行っていければと思う。 ●2日目 ※スピーチタイトルは右記にてご確認ください。 2015 May 5月 5月11日∼12日 5月18日∼19日 5月20日∼21日 5月23日 5月26日 第22期コーヒーマイスター実技講習会 (神戸) ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ予選 (東京) ジャパンサイフォニストチャンピオンシップ予選 (東京) 中級カッピングセミナー (東京) 第22期コーヒーマイスター実技講習会 (福岡) 2015 June 6月 6月2日∼4日 6月6日 6月7日 6月14日 6月23日 6月26日 6月30日 第22期コーヒーマイスター実技講習会 (東京) 初級カッピングセミナー (札幌) 中級カッピングセミナー (札幌) 中級カッピングセミナー (神戸) アドバンスドコーヒーマイスター講座③ (4章、5章) (大阪) アドバンスドコーヒーマイスター講座③ (4章、5章) (東京) ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ決勝 (東京) 2015 July 7月 7月1日 7月15日 ジャパンサイフォニストチャンピオンシップ決勝 (東京) 第22期コーヒーマイスター認定試験 (東京、大阪、福岡) Speech title Country Mr.Roberio Oliveira Silva Emerging Issues and changes for the Sustainability of Global Coffee Industry Brazil Mr.Andrea Illy Creative Development and Future of Espresso Market Italy Mr.Ric Rhinehart Coffee Leaf Rust Effect and the Future of Specialty Coffee USA Stumptown as a Sustainable Business Model-from the People to Practice USA Mr.Mark Pendergrast The history of Coffee: Black Puddle Water, Gift of the Gods, or Just a Berry? USA Mr.Rick Peyser Creating Significant Value for Consumers and Customers throughout the Supply Chain Management USA Executive Director International Coffee Organization (ICO) Chairman & CEO Illy Caffe S.p.A. Executive Director Specialty Coffee Association of America (SCAA) Mr.Matt Lounsbury Vice President Stumptown Coffee Roaster Author Author of 'Uncommon Grounds' Senior Relationship Manager, Coffee & Cocoa Lutheran World Relief Name Mr.Myung-Kyu Ahn Speech title Country President CoffeeMyungga Co., Ltd. Korea Coffee Market Status and Trend Korea Mr.Pil Hoon Seu Aspects of Coffee Producing Area and the Direct Trade in Korea Korea Ms.Mi Ran, Oh Korea’s coffee market moves the coffee market in Asia Korea Mr.Katsuhiko Hasegawa Japan Coffee Market Status and Sustainable Development Japan Ms.Sunalini Menon Robusta - Quality and Sustainability From an Indian Perspective India General Manager CHINA TEA CO., LTD (COFCO) China Coffee Market Insight and Trends China Mr.Ja Sang, Shin Overseas Expansion to China Coffee Market Korea Mr.Dato'Seri.Chia Kwang Chye The Coffee Aroma in Malaysia. An emerging market Malaysia CEO, Coffee Libre President LA Healing Coffee Roasters President Specialty Coffee Association of Japan (SCAJ) CEO Coffeelab (Asia's First Lady of Coffee) Ms.Xu Lu Chairman Maan Coffee Former Deputy Minister of Ministry of Information 日本スペシャルティコーヒー協会 会長 長谷川勝彦 1 NewsLetter NewsLetter 2 Special Report SCAJ報告会 スペシャルティコーヒー市場調査2014 日本スペシャルティコーヒー協会は3月9日、 東京プリンスホテルで 「2015年度社員総会」 を開催、 終了後に 2つの報告会①Wo r l dCo f f eeResea r chの活動=講師林秀豪理事②2014年度スペシャルティコーヒー市 場調査報告=講師北口芳次郎 (K I Tコンサルティング代表) を行った。 スペシャルティコーヒー市場調査は、 「一次インタビュー調査」 (対象37社) と 「二次DM(ダイレクトメール)調査」 (同553件) により構成されてい る。 報告要約の目次は、 ①調査実施プロファイル ②マーケット規模2013/2014 ③コーヒー売上推移と 予測 ④マーケットのトレンド ⑤スペシャルティコーヒーのターゲットマーケット ⑥消費者が満足するコー ヒー ⑦消費者が適正と判断する価格の把握 ⑧ロースターの競争相手 ⑨スペシャルティコーヒーマー ケットを伸ばすために強化すべきこと ⑩消費者の酸味と苦味の理解 ⑪サステイナビリティ―商品の取り 扱い ⑫サステイナビリティ―に対する消費者への説明と消費者の認識・評価 ⑬サステイナブル商品の 今後の取り扱い ⑭生産国から日本国内までの流通ガイドラインの必要性 ⑮顧客教育 ⑯スペシャル ティコーヒー認知度、 理解度 ⑰消費者のスペシャルティコーヒー価格理解度、 飲用状況 ⑱スペシャルティ コーヒーを飲む時、 飲まない理由。 なお、 今回調査では、 DM対象件数 (サンプル数) が前年 (150件) から大幅 に伸びていることから本稿は二次調査を中心にまとめた。 ■コーヒー豆年間取扱量 ●今回のサンプルにおける<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>の年間コーヒー豆取扱量は平均値で1302tであり、 昨年の1097tからおよそ200t増加している。 ●最大・最小をみると昨年は50kg∼ 6 万tだが、 今年は10kg∼ 12 万t と幅広くなった。 ●中央値は昨年4tから今年3tと、 1t少なくなっている。 ●上記から、 サンプル数が大幅に増加したことで、 取扱い量が多い 「輸出入・卸業者」 が増えたため平均値がアップ、 「小規模ロースター・小売り・自家焙煎店」 が増えたために中央 値が下がったと思われる。 ●法人会員 「ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入」 の規模において、 昨年と今年のサンプルに大きな隔たりはないため、 比較分析には影響はないと考えられる。 基本統計量用語に関して [ 平 均 値 ]すべてのサンプルの数値を積算してサンプ ル数で割った平均数値。 [ 中 央 値 ]数字の高い順から低い順に並べてちょうど真 ん中の値。 従って平均値は大きく外れた値に 影響され誤差が大きくなることがあるが中央 値はそれに影響されない。 また、 データの分布 が対称である場合、 中央値と平均値は等しく なる。 [ 最 頻 値 ]最も多く出現する値、必ずしも平均値や中 央値に出現するとは限らない。 [標 準 偏 差]分散によるデータの散らばり具合を、元の データや平均値と直接比較するための値。 [ 分 散 ]データのバラツキの尺度を表す∼データ間 の差異が大きければ大きいほどバラツキも 大きくなる。 [範囲(レンジ) ]一組の要素の最大値と最小値の差。 北口芳次郎講師 ※全文はSCAJホームページの 「会員専用ページ」 にてご覧ください。 (www.scaj.org) ■本調査における分析値について ●本調査においては会員区分を右下の表のように「13」に分けて調査を実施した。 ●調査結果から本調査における分析軸を下図のように統合し、分析は<ロースター卸・小売・喫茶店・生産輸入計><その他法人会員><個人会員>の 3 分類で進める。 ●昨年と比較すると、総サンプル数で 2013 年 150sから、2014 年 553sと大幅に伸びた。 <ロースター卸・小売・喫茶店・生産輸入計>は 120sから282sと倍増、 <個人会員>は 13sから239sと20 倍近いサンプルを得た。 2013年 ■マーケット規模 区 分 2014年 【上段黒字は今年度(2014)、下段白字は昨年度(2013)の調査結果】 1 日本のスペシャルティ コーヒー推定割合 2 コーヒー取扱量合計 (A) 3 スペシャルティコーヒー 取扱量合計(B) 4 スペシャルティ コーヒー比率(B/A) 5.4-6.0% 407,000トン 22,250-23,550トン 5.5-5.8% 6.1-6.4% 388,000-395,000トン 17,600-17,900トン 4.1-4.3% 3.7-3.9% 54,000-55,000トン 7,330-12,530トン 13.3-23.2% 3.3% 48,200トン 11,000-11,330トン 22.8-23.5% 5.3-6.3% 123,700トン 6,255-8,405トン 5.1-6.8% 4.0-4.2% 104,400トン 7,333トン 7.0& 5.3-7.2% 3,058トン 1,845トン 60.3% 9.8-10.3% 2,735-2,745トン 1,313-1,553トン 47.8-56.8% 6.4% 322トン 222-227トン 68.9-70.5% 4.9-5.7% 300-302トン 224-226トン 74.1-75.2% 588,080-589,080トン 37,901-46,556トン 6.5-8.0% 総合商社 専門商社 大ロースター 中ロースター 小ロースター 4.7-5.0% その他 4.5-6.0% 関連業界 5.2-6.0% (33 社単純平均) (32 社加重平均) 総 計 5.8-6.2% (27 社単純平均) 3 NewsLetter 543,635-550,647トン 37,470-38,342トン 6.8-7.1% (32 社加重平均) NewsLetter 4 Special Report ■レギュラー・スペシャルティコーヒーの売上推移 ■スペシャルティコーヒーのユーザー層 ●<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>における過去3年間の「レギュラーコーヒー売上の推移」は、51.8%が増加しており、平均増加率 136.3%と大きく伸びている。 減少しているのは 14.2%と少ない。 ●また 「スペシャルティコーヒー」 に限ってみると55.0%が増加しており、 平均増加率でも141.1%であり、 レギュラーコーヒーよりも増加率が高い。減少しているのは3.2%と非常に少ない。 ●<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>が考える「スペシャルティコーヒーのユーザー層」は、性別では「男性(35.3%) 」が「女性(25.7%) 」よりやや高い。 年代では「40 ∼ 50 代(52.0%) 」が「30 代以下(30.9%) 」 「60 代以上(17.8%) 」より高い。 飲む場所では「自宅で飲む(55.0%) 」に比べ、 「店で飲む」は 32.0%と低い。 Q2- 4. スペシャルティコーヒーのユーザー層(単位:%) 6 0 .0 5 0 .0 4 0 .0 3 0 .0 2 0 .0 1 0 .0 0 .0 ●<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入><個人会員>ともに同様の傾向を示しており、 「コンビニコーヒーのユーザーが増えている」が最も高く、 「ロースター・卸・小売・ 喫茶店・生産輸入」が平均値 4.2、 「個人会員」が 4.4 である。 ●次いで「抽出方法 / 器具が多様化」で、 <ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入><個人会員>ともに 4.1 である。 3 番目に「新しい飲み方の製品が出てきた」が、 <ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>4.0、 <個人会員>が 4.1 である。 ● <ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>と<個人会員>の差が大きい項目は「オーガニックコーヒーが増えている」 (各 2.7 / 3.2)である。 ● <ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>に関して、昨年(次ページ)と比較すると、 「新しい飲み方の製品が出てきた」が 3.3 から4.0 へアップしているのが目立つ。 4 .5 3 .5 3 .8 3 .7 3 .5 3 .0 2 .5 3 .9 3 .3 3 .4 3 .3 3 .6 3 .53 .5 3 .2 3 .2 2 .82 .8 2 .8 3 .3 3 .2 3 .1 3 .3 3 .2 3 .0 2 .9 3 .8 3 .8 3 .3 3 .3 3 .2 その他 3 0 .5 5 2 .0 1 7 .8 3 2 .6 5 2 .7 3 .0 2 .3 3 5 .3 2 5 .7 3 0 .9 5 2 .0 1 7 .8 3 2 .0 5 5 .0 3 .3 2 .6 その他法人会員 (n= 2 9 ) 3 1 .0 1 3 .8 2 7 .6 5 1 .7 1 7 .2 3 7 .9 3 1 .0 0 .0 0 .0 ●<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>における「消費者が満足するコーヒー」とは、 「味と価格のバランスが良い」 67.0%、 「期待以上の味、品質である」63.4%の 高さが目立つ。 ●品質重視を意味する「安心して買い続けられる」が 40.6%であり、消費者の目の厳しさが意識されている。 ● 「売り場スタッフの説明が的確である」36.6%、 「ストーリー性や希少性がある」36.6%と高く、SCAJ 会員と顧客の、コーヒーに対するこだわりの高さと考えられる。 8 0 .0 7 0 .0 6 0 .0 3 .8 4 .2 3 .8 3 .7 4 .0 4 .0 3 .6 テイクアウト が多い 4 .1 3 .8 3 .4 3 .4 3 .4 自宅で 飲む人 が多い 2 4 .5 4 .4 4 .3 4 .3 3 .9 店で飲 む人が 多い 3 4 .9 新しい飲み方の製品が出てきた 3 .8 6 0 代以上 が多い Q2- 2a. 消費者が満足するコーヒー(単位:%) 5 .0 4 .0 40~ 5 0 代が 多い 合計(n= 2 9 8 ) コンビニコーヒーのユーザーが 増えている 4 .1 4 .1 3 0 代以下 が多い ロースター/ 卸/ 小売/ 喫茶店/ 生産輸入計 (n= 2 6 9 ) Q2- 1a.2014年レギュラーコーヒーの動向(単位:平均値) 4 .1 4 .1 4 .1 女性が 多い ■消費者が満足するコーヒー ■レギュラーコーヒーマーケットトレンド ※「かなりそう思う」5点∼「まったくそう思わない」1点とし、平均スコアを算出した 抽出方法/器具が多様化 男性が 多い 3 .6 3 .7 3 .8 2 .9 2 .8 3 .0 2 .7 2 .7 2 .7 2 .7 3 .1 3 .1 3 .1 3 .1 2 .9 2 .8 2 .8 2 .8 3 .4 5 0 .0 3 .3 3 .2 4 0 .0 3 .2 3 0 .0 2 .9 2 0 .0 2 .0 1 0 .0 0 .0 ストーリー性や 希少性がある 合計(n= 5 5 3 ) 5 NewsLetter ロースター/ 卸/ 小売/ 喫茶店/ 生産輸入計 (n= 2 8 2 ) その他法人会員 (n= 3 2 ) 個人会員 (n= 2 3 9 ) 2013年から 変化した項目 期待以上の味、 品質である 味と価格 のバラン スが良い 売場スタッフの 説明が的確で ある 試飲して 納得できる 安心して 買い続けられる その他 合計(n= 3 0 6 ) 3 5 .6 6 1 .1 6 7 .3 3 4 .6 2 5 .2 3 8 .9 1 .6 ロースター/ 卸/ 小売/ 喫茶店/ 生産輸入計 (n= 2 7 6 ) 3 6 .6 6 3 .4 6 7 .0 3 6 .6 2 6 .4 4 0 .6 1 .8 その他法人会員 (n= 3 0 ) 2 6 .7 4 0 .0 7 0 .0 1 6 .7 1 3 .3 2 3 .3 0 .0 NewsLetter 6 Special Report ■消費者の適正価格把握方法 ■スペシャルティコーヒー成長への強化ポイント ● <ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>における「消費者が適正と評価する価格の把握方法」は、 「品質特性で価格付け」が最も高く 65.9%、 「顧客にとってリーズナ ブルで買いやすい価格帯を想定」が 33.0%と数字にかなり差があり、品質特性に対する自信とも考えられる。 ● 「原価率考慮」30.8%、 「競合店価格を参考に」25.4%は、比較的低い。 Q2- 2b..消費者が適正と評価する価格の把握方法(単位:%) ●<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>が考える「スペシャルティコーヒー成長への強化ポイント」は、 「消費者への説明・アピール」が最も高く「 、もっと強化すべき」が 48.6%、 「強 化すべき」46.5%を合わせると、計 95.1%である。 ●次いで「社員教育」が「もっと強化すべき」が 35.5%、 「強化すべき」51.8%と合わせると、計 87.3%、 「良質な原料の確保」が「もっと強化すべき」39.0%、 「強化すべき」 45.7%を合わせると、計 84.7%である。 ●上述から、 「社員教育を徹底する」自社努力を前提に、 業界全体で取り組まねばならないこととして「良質な原料の確保」が期待され、 「消費者に対するプロモーション」の拡充により、 認知・理解度を向上させたいと考えている。 Q3-1. スペシャルティコーヒー成長への強化ポイント(単位:%) 7 0 .0 全体(n=314) 6 0 .0 Q3 Q3 5 0 .0 Q3 Q3 4 0 .0 Q3 Q3 3 0 .0 Q3 2 0 .0 1 0 .0 ロースター・卸・小売・ 喫茶店・生産輸入 (n=282) 0 .0 原価率と利 益を考慮する 品質特性で 価格つけ 競合店価格 を参考にする 試飲し納得 して頂ける価格 Q3 Q3 顧客にとって リーズナブルで 買いやすい 価格帯を想定 その他 Q3 Q3 Q3 合計(n= 3 0 5 ) 2 9 .5 2 4 .3 6 5 .9 2 4 .3 3 1 .8 1 .0 ロースター/ 卸/ 小売/ 喫茶店/ 生産輸入計 (n= 2 7 6 ) 3 0 .8 2 5 .4 6 5 .9 2 5 .0 3 3 .0 1 .1 その他法人会員 (n= 2 9 ) 1 7 .2 1 3 .8 6 5 .5 1 7 .2 2 0 .7 0 .0 Q3 Q3 その他法人会員 (n=32) Q3 Q3 Q3 Q3 Q3 ■競合店への意識度 Q3 ※「かなりそう思う」5点∼「まったくそう思わない」1点とし、平均スコアを算出した Q3 ●<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>の競合店への意識度は、 「地域の同業者自家焙煎店」が最も高く平均スコア 3.6、次いで「外資系コーヒーチェーン店」が 2.8 、「日本企業系コーヒーチェーン店」2.7、「コンビニコーヒー」2.6となっている。競合として最も意識されているのは、 「地域の同業者自家焙煎店」であると考えられる。 ● <ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>の昨年データ ( 次ページ )をみると、0.2 以上差のある項目はなく、同傾向である。 ■サステナビリティ商品の取り扱い品目 ● <ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>においては、75.9%が「サステナビリティ商品」を取り扱っている。 ●「サステナビリティ商品」の取扱い品目をみると、 「有機栽培 / オーガニック」が最も高く56.4%、次いで「レインフォレスト」が 53.2%である。 ● 「フェアトレード」も 35.8%が扱っており、生産地への配慮が欠かせない時代になったことをうかがわせる。 Q2-3.競合店としての意識度(単位:%) 地場同業者 自家焙煎店 4 .0 Q4- 1.取扱いサステナビリティ商品(単位:%) 3 .6 3 .5 外資系チェーン店 3 .0 2 .82 .8 2 .5 2 .7 7 0 .0 3 .5 日本企業系 チェーン店 コンビニ コーヒー 2 .8 2 .7 6 0 .0 2 .7 2 .5 2 .7 2 .5 2 .1 2 .6 2 .6 2 .5 2 .7 5 0 .0 2 .3 2 .4 2 .4 1 .9 2 .4 2 .4 4 0 .0 2 .0 1 .7 1 .5 1 .8 2 .0 2 .0 3 0 .0 1 .6 2 0 .0 1 0 .0 0 .0 合計(n= 3 1 4 ) 7 NewsLetter ロースター/ 卸/ 小売/ 喫茶店/ 生産輸入計 (n= 2 8 2 ) その他法人会員 (n= 3 2 ) 有機栽培/ オーガニック レイン フォレスト Qグレード ウツカペ バード フレンドリー フェアトレード その他 取扱って いない 合計(n= 3 1 4 ) 5 4 .1 5 0 .0 2 1 .3 1 6 .2 1 5 .3 3 2 .8 2 .2 2 7 .7 ロースター/ 卸/ 小売/ 喫茶店/ 生産輸入計 (n= 2 8 2 ) 5 6 .4 5 3 .2 2 3 .4 1 8 .1 1 7 .0 3 5 .8 2 .5 2 4 .1 その他法人会員 (n= 3 2 ) 3 4 .4 2 1 .9 3 .1 0 .0 0 .0 6 .3 0 .0 5 9 .4 NewsLetter 8 Special Report ■サステナビリティ商品の説明 ■消費者教育・アピールの重要性と実施 ●サステナビリティ商品を扱っている<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>での説明は、 「あまり出来ていない」が 46.3%、 「まったく出来ていない」8.4%、 「説明不要」 3.3%を合わせると、計 58.0%である。 ● 「かなり出来ている」5.1%、 「まあ出来ている」36.4%を合わせても、計 41.5%であり、現状では半数以上が十分説明できていない。 ●<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>では、消費者教育・アピールの重要性に関して「非常に重要」が最も高く 48.9%であり、 「まあ重要」の 41.1%と合わせると、 計 90.0%が重要と考えている。 ●一方、消費者教育・アピールの実施では、 「行っている」が 73.0%となっており、消費者への何らかのアピールはされている。 ●昨年のデータと比較しても、2013 年は「アピールしている」が 73.3%であり、2014 年とほぼ同様の結果となっている。 Q4-2.サステナビリティ商品の説明(単位:%) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% Q5-1a . .スペシャルティコーヒーに関する消費者教育・アピール重要度(単位:%) 合計(n= 2 2 7 ) 4 6 .3 3 7 .0 4 .8 7 .9 3 .5 9 0 .0 % ロースター/ 卸/ 小売/ 喫茶店/ 生産輸入計 (n= 2 1 4 ) 4 6 .3 3 6 .4 5 .1 8 .4 3 .3 4 1 .5 % 非常に重要 その他法人会員 0 .0 (n= 1 3 ) かなり出来ている 4 6 .2 4 6 .2 まあ出来ている あまり出来ていない まったく出来ていない 説明不要 まあ重要 あまり重要ではない 重要ではない わからない 0 .0 7 .7 Q16.スペシャルティコーヒーの顧客へのアピール実態(単位:%) わからない 2013年 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 6 6.0 7 3.3 ■サステナビリティ商品の販売見込み 1 7.6 ●<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>が考える「サステナビリティ商品の販売見込み」は、 「まあ増加する」が高く 34.8%、 「かなり増加する」の 9.6%を合わせると、 計 44.4%が今後増加すると予測している。 ●また、 「どちらともいえない」が 36.9%となっており、約 4 割は見込みが立っていない状態である。 ●一方、 「増加しない」は 17.7%であり、趨勢は「増加」であろうと考えている。 アピールしている アピールしていない 該当しない わからない Q4- 4.サステナビリティ商品の販売見込み(単位:%) 0% 合計(n= 3 1 4 ) 10% 8 .9 20% 30% 40% 50% 35.0 60% 70% 80% 3 4 .7 90% 1 3 .4 100% 4 .1 3 .8 1 .1 ロースター/ 卸/ 小売/ 喫茶店/ 生産輸入計 (n= 2 8 2 ) 9 .6 34.8 3 6 .9 1 3 .8 Q5-1b .スペシャルティコーヒーに関する消費者教育・アピール実施(単位:%) 2014年 0% 20% 40% 6 9.4 3 .9 4 4 .4 % かなり増加すると思う 9 NewsLetter まあ増加すると思う 37.5 どちらともいえない 1 5 .6 9 .4 6 .3 まったく増加しないと思う 100% 2 .9 1 .4 2 5 .5 4 6.9 1 5 .6 2 8 .1 行っている あまり増加しないと思う 80% 2 7 .7 7 3.0 3 7 .5 その他法人会員 3 .1 (n= 3 2 ) 60% 行っていない わからない わからない NewsLetter 10 Special Report ■スペシャルティコーヒー(言葉)の認知度 ●<ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>が考える「顧客のスペシャルティコーヒー(言葉)の認知度」は、計 57.0%(「知っている客が多い」15.2%、 「知っている客 がある程度いる」41.8%)である。 ●昨年は、計 52.5%(「知っている客が多い」8.3%、 「知っている客がある程度いる」44.2%)であリ、この1年で若干の増加が認められる。とくに「知っている客が多い」とする 回答は約 7 ポイントアップした。 Q14.スペシャルティコーヒーの認知度(単位:%) 2013年 0% 10% 20% 1 1 .3 合計(n= 1 5 0 ) 30% 40% 50% 60% 4 0 .0 70% 80% 90% 1 7 .3 100% 0.7 平均値 【3.0】 3 0 .7 0.8 ロースター卸・小売・喫茶店・生産輸入計 8 .3 (n= 1 2 0 ) 4 4 .2 52.5 % その他法人 (n= 1 7 ) 2 3 .5 個人会員 (n= 1 3 ) 2 3 .1 知っている客が多い 1 5 .8 2 3 .5 1 7 .6 2 3 .1 知っている客がある程度いる 3 5 .3 3 0 .8 どちらともいえない 【3.0】 3 0 .8 2 3 .1 知っている客は少ない 0 .0 【2.9】 0 .0 【3.5】 知っている客は全くいない Q6-1a.スペシャルティコーヒー(言葉)の認知度(単位:%) 2014年 0% 10% 合計(n= 3 1 4 ) 20% 30% 1 4 .6 40% 50% 4 0 .1 60% 70% 80% 1 5 .6 90% 100% 1.3 平均値 【3.0】 2 8 .3 1.1 ロースター/卸/小売/喫茶店/生産輸入計 (n= 2 8 2 ) 1 5 .2 その他法人会員 (n= 3 2 ) 4 1 .8 57.0 % 9 .4 知っている客が多い 1 3 .8 2 5 .0 3 1 .3 知っている客がある程度いる どちらともいえない 【3.0】 2 8 .0 3 1 .3 知っている客は少ない 3.1 【2.7】 知っている客は全くいない ■スペシャルティコーヒーの内容理解度 ● <ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入>が考える「顧客のスペシャルティコーヒーの理解度」は、 「理解している」顧客が計 39.7%( 「理解している客が多い」6.4%、 「理 解している客がある程度いる」33.3%)で、 昨年は「理解している」が計 37.5%( 「理解している客が多い」4.2%、 「理解している客がある程度いる」33.3%)であり、 微増である。 ●認知度(前ページ)57.0%、理解度は 39.7%と、 「認知しているとはいえ内容理解まで至っていない」顧客がかなり存在する。 Q15.スペシャルティコーヒーの理解度(単位:%) 2013年 0% 合計(n= 1 5 0 ) 10% 6 .0 その他法人 (n= 1 7 ) 20% 30% 40% 50% 3 0 .7 2 5 .3 3 3 .3 2 3 .3 60% 70% 80% 90% 100% 1.3 3 6 .7 1.7 ロースター・卸・小売・喫茶店・生産輸入計 4 .2 (n= 1 2 0 ) 37.5 % 5 .9 個人会員 (n= 1 3 ) 2 3 .5 3 7 .5 2 3 .5 2 3 .1 知っている客が多い 4 7 .1 1 5 .4 知っている客がある程度いる 0 .0 4 6 .2 どちらともいえない 1 5 .4 知っている客は少ない 0 .0 知っている客は全くいない Q6- 1b. スペシャルティコーヒーの内容理解度(単位:%) 2014年 0% 10% 合計(n= 3 1 4 ) 6 .1 ロースター/ 卸/ 小売/ 喫茶店/ 生産輸入計 (n= 2 8 2 ) 6 .4 その他法人会員 3.1 (n= 3 2 ) 理解している客が多い 11 NewsLetter SCAJ報告会 WCR(World Coffee Research) 20% 30% 40% 3 1 .2 39.7 % 2 3 .9 3 3 .3 1 2 .5 理解している客がある程度いる 50% 2 1 .6 4 3 .8 どちらともいえない 60% 70% 80% 90% 100% 3 6 .0 2.9 3 6 .2 2.5 3 4 .4 理解している客は少ない 6.3 理解している客はまったくいない WCRは、供給体制の開発、作物の回復力、気候変動の影響の軽減及び品質改善のため の戦略的かつ科学的なアプローチを確立し、 ひいては持続的な成長のための計画を作成する ため、 コーヒー産業界によって組織された。 WCRは、新たな科学的解決策を開発し、既存の科 学を向上し、 そしてコーヒー産業に多くの科学的な技術的革新をもたらしている。初年度の活 動として、業界全体の進歩を促進させ、知識を普及させるために、一流の科学者や研究機関 とのグローバルネットワークを構築した。 WCRの取り組みは協力的かつオープン、農家レベル にまで、 さらに多くのアクセスポイントを作り出した。 バリューチェーン内の誰もが我々の取り組 みから利益を得る機会を持てると共に、将来において品質の高いコーヒーの供給を確保する ためである。 WCRは、 日本市場では一般的に殆ど知られていない。従っ て一般のロースターズも関心を持っていない。然し、地球の気 候変動は確実に起きており、 その影響として、温暖化現象が 指摘される。高温の日がある程度続く局面では、高温が品質 特性に影響を与え、病虫害の発生が危惧される。高温耐性の メカニズムは未だ解明されていないが、例えば同じ品種のコー ヒーの木が狭い範囲内の地域で海抜標高600mで栽培され たコーヒーと1300mで栽培されたものではカップクオリティは 異なる。低地のコーヒーのカップクオリティは高地のコーヒーよ り遥かに劣ることは検証された事実。低地の方が気象条件は 厳しく、病虫害が多いこと (土の中も含め) も検証されている。 今後30年程度の間に、仮に平均気温が2℃上昇すると、 600∼700mの高い地域で栽培しないと、同じような気候条 件では栽培できないと言われている。通常海抜標高が100m 上がると気温は0.6℃下がると言われるが、平均気温が1℃上 昇の場合、300∼500m高い場所でないと同じような栽培環 境にならないと言われている。 現在、世界的にアラビカが栽培されている地域より、600∼ 700mも標高の高いところに耕作・栽培可能地域は存在して 講師 林秀豪理事 いないのは周知の事実である。 今後危惧される地球の気候変動に備え、高温耐性があり、 病気(サビ病、 アントラキノーゼ、 アフリカで蔓延しているCBD 等) に対する抵抗力があって、 しかもカップクオリティが良く、且 つ生産性が高い新しい品種(変種) を開発して生産者に配布 し、高品質アラビカの持続的供給を確かなものとすることがプ ロジェクトの目的。 目的達成のため、生産者代表を含む世界の コーヒー業界が資金を拠出し、Texas A&M大学の国際農業 Norman Borlaug研究所により運営されている。現在の取り 組み課題は、①生殖細胞質の収集・選別・保存、②新しい繁 殖固体群の開発、③品種開発の試み、④種子増殖技術の開 発、⑤農園の生産性向上、⑥感応評価の強化―の6項目。 な お、 WCRは遺伝子組み換え作物に連携する遺伝子エンジニ アリング科学技術は採用していない。 また、 このプロジェクトは 病気対策のために、農薬散布を行うのではなく、病気抵抗力 がある新しい品種(変種) を開発することを目指す。従ってコー ヒー生豆輸入に際し、世界で唯一の残留農薬検査を実施し ている日本にとっては、大変重要なプロジェクトである。 NewsLetter 12 Special Report JLAC2015決勝大会を開催 JCIGSC2015決勝大会を開催 第43回国際ホテル・レストラン・ショー/東京ビッグサイト東6ホール 2015年2月17日 (火) 第43回国際ホテル・レストラン・ショー/東京ビッグサイト東6ホール 2015年2月17日 (火) Japan Latte Art Championship 2015 Japan Coffee In Good Spirits Championship 2015 ジャパン ラテアート チャンピオンシップ 2015 ジャパン コーヒー イン グッド スピリッツ チャンピオンシップ 2015 まだ寒さを強く感じる中、去る2月17日にジャパンラテアート チャンピオンシップ2015の決勝大会が行われました。 今回も、新たな取組や変革を感じる大会となりました。地区予 選は昨年同様の4会場で開催されましたが、 そのうち九州・大阪・ 東京の3会場については例年と違う会場で開催することとなりま した。 それによってステーションレイアウトや大会進行について随 所に新たな試みを導入し、 来場者側から見てもより興味深く充実 した予選となったのではないかと思います。 競技に参加されるバリスタの方々を見ていて例年感じることで すが、 彼らのラテアートテクニックの創造に対する意欲は終りがあ りません。 ジャッジするものの想像を駆り立て、 たった一枚のキャン バスに描かれるアートはバリスタ自身の思いの詰まったものが多 く、完成されるまでの努力や苦労が随所に感じられるものがたい へん多かったように感じます。 そういった努力の結晶を手に、今年 こそはと決勝の舞台を目指す中堅選手や優勝への悲願を達成し たい熟練バリスタなど、 チャレンジを続ける多くのバリスタたちが凌 ぎを削っていた一方で、 初出場の選手が驚きのテクニックを披露 する場面もありました。 このような点においても、全般を通じ参加 者の高い意欲がうかがえる大会であったと言えます。 また、 今大会では決勝進出の1枠に初出場枠を設けるという初 めての試みも行いました。 初出場者の大会出場意欲を高めること をねらいとした試みでしたが、 結果例年より多くの出場者を集める ことによって活気ある大会を作る要因となったと確信しています。 実際、 今回初出場で決勝に進んだ福田選手。 決勝において は、 彼女の有する技術と実力に注目が集まりたいへんな盛り上 がりを見せました。 披露されたラテアートは、 確かな技術と福田さ ん自身の想像力の豊かさを存分に発揮したものであり、 競技後 のインタビューでお話しいただいた、 創作時のきっかけについて のエピソードもたいへん興味深いものでした。 さて、 今回優勝の悲願を達成したのは、 名倉選手。 ご自身2回 目となる決勝進出を経ての悲願成就となりました。 ここ数年、 優 勝獲得をはじめ女性バリスタの大躍進が続いていますが、 これま コーヒーの新しい可能性を感じさせる大会、 ジャパンコーヒーイ ングッドスピリッツ2015の決勝大会が終了しました。決勝の舞 台となった東京ビッグサイトでの国際ホテルレストランショー 2015 (HCJ 2015)イベント会場は、 関係者ばかりでなくこの大 会の模様を一目見ようと訪れる多数の一般来場者含め、 たいへ んな賑わいとなりました。 このように多数の一般来場者を集めた背景は、 ただ単に昨 今のコーヒー産業が注目されているということだけでなく、 コー ヒー産業が今後の飲料業界においていかなる潜在性・可能性 を秘めているかという点に多くの期待が集まっているからこそで はないかと思います。 他業種から見ても魅力的と思えるこの大会 は、 今後もさらなる発展を遂げていくに違いありません。 また、 競技参加者数においては前年の約3倍にもなった今大 会ですが、各選手が存分に趣向を凝らした競技はどれもハイレ ベルで非常に内容の濃いものであり、 予選会場となった2会場 では多くの来場者からの賞賛を集めました。 実際、 決勝進出者以外の競技においてもジャッジの高ポイント を獲得したドリンクが多かったという点からも、 競技全体のレベル の高さがうかがえると思います。 今回決勝に残った4名の競技はいずれも、8分間という短い 競技時間でありながら最大限効率的かつハイパフォーマンスな プレゼンテーションにまとめており、 その手腕には圧倒されるばか りでした。 今回チャンピオンの座を手にしたのは大渕選手。2回目の JCIGSC優勝となり、 世界大会へは2度目のチャレンジとなりま すが、 世界大会においても前回の経験を踏まえた最高の競技を 見せてくれることでしょう。 大渕選手の強みは、 なんといってもお酒に関する深い知識を 有していることです。 彼のプレゼンテーションは、 微かな組み合わ せの差によってもたらされる味の劇的な変化についての叙述が 巧みに盛り込まれており、 ジャッジや観衆に受け取り易い的確さ も含め、 非常に完成度・密度の高いパフォーマンスであったと感 じます。 での彼女たちの活躍を見ていると、特に大舞台での精神力の 強さには驚かされるばかりです。 女性ならではの細やかな感覚が 注目されてきた近年の大会ですが、 こういった精神面での強さも また、 彼女たちの優れた素質なのかもしれません。 本年の世界大会が開催されるのはスウェーデンのヨーテボリ です。 近年、 良質なコーヒーの消費量が世界上位を誇る北欧と いうこともあり、世界中から強者たちが集結するにふさわしい地 でもあります。 昨今世界大会での日本選手の動向が注目され続 けているだけに出場者のプレッシャーもより大きくなってきている ことと推測しますが、 名倉選手には是非プレッシャーに屈せず持 ち前の素質を存分に発揮し、 日本の実力の高さと競技舞台での 対応力の高さを存分に披露して頂きたいと願っています。 最後に、 今大会に於いて予選大会から決勝大会までの長き に渡り、 多くのご協力とご協賛頂きました多くのスポンサーの皆 様に心より感謝申し上げると同時に、 ボランティアにてご参加頂 きました方々・大会前からのカリブレーションや長時間に及ぶ審 査全般にご協力頂きましたジャッジの皆様・運営に関して多大 なご理解を頂いた協会関係者の方々に深く感謝申し上げます。 バリスタ委員会 左野 徳夫 世界の舞台においては、 多くのジャッジが海外の面々になりま す。 世界でも認められる結果を得るためには、 高い想像力をベー スにダイナミックなパフォーマンスも必要とされるかもしれません。 日本ではこの競技自体がまだまだ発展の途中であることもまた 事実であり、 実際に運営側の立場のバリスタ委員会内でも今後 の発展的な可能性を探るべくディスカッションが重ねられており、 大会そのものが今後も大きく発展していくことはじゅうぶん期待 できると考えています。 最後に、 今大会では新たなスポンサー企業様からのご協賛を お受けできたことも、 大会が盛り上がる一つの要因となりました。 この場をお借り致しまして厚く御礼申し上げます。 また、 複雑なプレゼンテーションに対しても順応して頂いたボ ランティアの皆様・スピリッツ (酒類) が含まれた提供ドリンクに 確実に対応できるようカリブレーションと準備を行って頂き、 審査 に臨んで頂いたジャッジの方々・大会運営に関し多くのご理解と ご協力を頂いた協会関係者の皆様に心から御礼申し上げます。 バリスタ委員会 左野 徳夫 ジャパン ラテアート チャンピオンシップ(JLAC)2015 結果 JLAC 2015 スポンサー エスプレッソマシン スポンサー/グラインダースポンサー 現金協賛スポンサー メリタジャパン株式会社 株式会社 エフ・エム・アイ 極東ファディ株式会社 猿田彦珈琲株式会社 デロンギ・ジャパン株式会社 株式会社ディーシーエス 株式会社 丸山珈琲 ラッキーコーヒーマシン株式会社 シロップスポンサー ダ・ヴィンチ グルメフレーバー シロップ コーヒー豆 スポンサー UCC上島珈琲株式会社 年間競技会スポンサー 株式会社 明治 雪印メグミルク株式会社 17 NewsLetter 浄水器スポンサー エバーピュア・ジャパン株式会社 順位 氏名 優勝 名倉 麻央 株式会社フォンス/シティベーカリー広尾 所 属/店 舗 準優勝 大澤 直子 小川珈琲株式会社/京都駅店 スピリッツスポンサー 年間競技会スポンサー 第3位 吉住 美奈子 株式会社ディーンアンドデルーカジャパン/ディーンアンドデルーカ サントリースピリッツ株式会社 第4位 高山 久美 猿田彦珈琲株式会社/猿田彦珈琲恵比寿店 シロップスポンサー 株式会社 明治 雪印メグミルク株式会社 第5位 大磯 悟 有限会社スタンダード ビーンズ/STANDARD COFFEE LAB ダ・ヴィンチ グルメフレーバーシロップ 現金協賛スポンサー 第6位 小賀 百悠 レックコレクティブ株式会社/REC COFFEE 薬院駅前店 エスプレッソマシン スポンサー/グラインダースポンサー 第7位 舘盛 いずみ 有限会社とみかわ/Coffee Beans+Café MicT 第8位 福田 雅 イーストミーツ・ウエストカンパニージャパン有限会社/manu coffee 第9位 堀内 広紀 有限会社丸美珈琲/MARUMI COFFEE STAND 第10位 安藤 貴裕 タウンスクエアジャパン株式会社/タウンスクエアコーヒーロースターズ JCIGSC 2015 スポンサー メリタジャパン株式会社 株式会社ディーシーエス デロンギ・ジャパン株式会社 ボダムジャパン株式会社 株式会社 丸山珈琲 ラッキーコーヒーマシン株式会社 猿田彦珈琲株式会社 ジャパン コーヒー イン グッド スピリッツ チャンピオンシップ(JCIGSC)2015 結果 順位 氏名 所 属/店 舗 優勝 大渕 修一 Mixology Bar Source 2102 準優勝 内部 利夫 株式会社ヒサシヤマモトコーヒー/Unirウニール長岡天神店 第3位 岡田 章宏 小川珈琲株式会社/三条店 第4位 栗田 栄一 株式会社スマイルズ NewsLetter 18 Special Report 5ヵ年戦略プラン 世界各国における品種検証実験 計画評価 消費者 より高い品質、より大きい消費を導くより多くの選択肢とより素晴らしい味覚の差別化 世界的コーヒー産業 より素晴らしい生産物の差別化の潜在的可能性を持つ高品質コーヒー栽培の供給 生産者 より高い生産性歩留まりと品質が収入の増大をもたらし、生計の改善をもたらす 戦略的な作業フロー 新しい変種を入手し科学技術を伴い、 生産者の手許に届ける 支払い可能で、簡単に採用可能な 新しい科学技術を創造する 総ての生産国における変種の比較特徴の 作業遂行を早急に実施する 生産現場での迅速で簡易な増殖の為に 強く好ましい遺伝子をストックする 気候変動、品種属性、生産性と 病気抵抗力 現在 2-5年 ”種子“の増殖科学技術の開発。生産国における 新規科学技術を広める 2-10年 MLVT‐多くの場所における変種の特徴検証。 気候変動と品質の調査研究に関わる科学的情報 10-15年 永劫 地球気候変動に伴う環境変化のため、何故新しい品種 (変種) を開発しなければ対応できないのか? エチオピアに は野生在来種が3000種類もあると言われ、 その中には、病気 抵抗力があり、高品質、高生産性のある品種が幾つもあると 言われている。然しながら、現在世界のコーヒー生産国で栽培 されているアラビカの品種(変種) の祖先は、偶々、2つの遺伝 子基盤。 これにロブスタの因子を持つ品種、或いはリベリカの 因子を持つ品種を交配させたもの。 アラビカの遺伝子は2つの因子。 この遺伝子基盤の狭さか ら、現在栽培されているアラビカは、高温環境で栽培した場合 の品質、病気抵抗力に問題を抱えていると理解されている。 何故、遺伝子基盤は2つなのか? 偶々数百年前にエチオ ピアからイエメンに持ち出された品種が2つであったから。一つ は、 イエメンからインドのマラバールに持ち出された後、当時の オランダ領東インド、現在のジャワ島に持ち込まれて栽培が成 功した。 その後、本国アムステルダムの植物園に持ち込まれ、 それがフランス、 その後マルチニークで栽培に成功し、 そしてカ リブ海諸国、 ラテンアメリカに持ち込まれた品種。一般的に Tipicaと呼称されている。 (ブラジルはマルチニーク経由ではな くオランダからオランダ領スリナム経由でブラジルのパラに持 ち込まれた。 ブラジルではT i p i c aと呼ばれず、C o m u n 、 Nacionalと呼ばれるが遺伝子基盤はTipicaと同一)。 もう一 つはイエメンから仏領ブルボン島(現在リユニオン) に持ち込ま れた後の変種がNyasalandd経由で世界中に伝播された Bourbonと呼ばれる品種。Bourbonの突然変異種(矮小種) 13 NewsLetter 生産性の強化を加速する。拡充、与信、肥料、検証、 生産現場での公開実験 新しい繁殖個体群の開発。気候変動耐性、高品質 属性(特性)、CBB, CBD, サビ病等に対する抵抗力 生殖細胞質採集、選別と保存、コーヒーの種の多様性の保存 がCaturra。結局、現在世界中で栽培されている殆どのアラビ カの遺伝因子は2つ。 (Gaishaはこれらの2つとは別の因子)。 WCRは当初、 エチオピアの野生在来種を使用し、新しい品 種(変種) を開発し生産者に配布することを考えたが、EIPO (Ethiopia Intellectual Property Office) が高額の知的財 産権料を要求したため、 エチオピアと生態系の多様性が酷似 している南スーダンから生殖細胞質を採集することになった。 他に、 コスタリカのCATIEで栽培されているエチオピア在来種 の約1000種類を新種開発対象とし、 また、 インドネシア、 コロ ンビアその他の生産国から採集を検討している。 改良変種開発の為の試験に使われる生産国において 現在栽培されている変種 MLVT (Multi Location Varietals Trials) とは、多くの場所 における変種の特徴検証。何故行うのかというと。或る一つの 新しい品種(変種) が開発された場合、 ある特定の限定された 場所で栽培した時に、素晴らしいカップクオリティ、病気抵抗 力、生産性が良くても、他の幾つもの国、異なる栽培環境・土 壌で試験・検証しなければその特定の新しい開発品種が、他 の地域の生産者に配給できるものか判定できない。従ってW CRの下では、 MLVTを通じて検証作業が数年間に亘り、継続 して検証を行っている。2013年の段階で30の新しい変種、交 配種F1が20の参加生産国の複数個所でMLVTが実施開 始されている。 なお、今年7月14日に、 WCR専務理事兼最高経営責任者で あるTimothy Schilling氏が来日され、最新活動報告を行う予 定である。 NewsLetter 14 Special Report 福岡県が生んだ日本チャンピオン3名 小川福岡県知事を表敬訪問 九州レポート その① MANU COFFEE 春吉店 左より秋本、 田原さん、 福岡県小川洋知事、 岩瀬さん、 後藤さん 福岡県小川洋知事 スペシャルティコーヒーが最も盛り上がる日本の最先端都市は、福岡である! 平成26年12月1日 (月)、福岡が輩出した各種競技会の 世界的なスペシャルティコーヒーの潮流と、 日本そして福岡 チャンピオン3名と共に、福岡県庁に福岡県小川洋知事を表 における現状と将来の大いなる可能性について小川知事に 敬訪問しました。 説明するとともに、福岡発で世界に大きく存在感を示すチャン 小川知事を訪ねたのは、福岡在住のチャンピオン3名。 ピオン3名を知事に紹介し、 それぞれの華麗なパフォーマンスを まず、 ジャパンロースティングチャレンジ2012 優勝、同世界 披露してもらいました。 大会(仏ニース)2013でも優勝し世界一の栄冠を手にした後 小川知事はカプチーノなどを味わい、福岡が「日本のシアト 藤直紀さん (豆香洞コーヒー)。 そして、 ジャパンバリスタチャン ル」 としてサードウェイブの聖地となればとの期待を込めながら、 ピオンシップ 2014 優勝、今年の世界大会(米国シアトル) に チャンピオンを激励していました。 日本代表として出場する岩瀬由和さん (レックコーヒー)。 さら この 模 様は同日午 後6時 のKBC (九 州 朝日放 送) TV に、 ジャパンカップテイスターズチャンピオンシップ 2014 優勝、 ニュースでも取り上げられました。 今年の世界大会(スウェーデン・ヨーテボリ) に日本代表とし て出場する田原照淳さん (珈琲蘭館)。 日本のスペシャルティ コーヒーの世界をけん引する代表選手というべき3人です。 15 NewsLetter 日本スペシャルティコーヒー協会 理事 秋本修治 ある雑誌がコーヒー特集をやるにあたって、 いくつか聞きた いことがあるということでインタビューをされたことがありました。 一昨年の夏ごろだったと思います。話の中で 「今一番注目して いる、 あるいは美味しいコーヒーが飲める都市は世界のどこで すか?」 と聞かれ、私は 「福岡」 と即答しました。取材の方は 「へ え∼、福岡ですか?」 と少し驚かれたようでした。私がサンフラン シスコとかロンドンとか答えると思われていたようです。福岡だと 考える理由をいくつか上げ、大きく注目していると話しました。 そ の後、雑誌が発売され読んでみるとヨーロッパの都市がフィー チャーされていました。 その雑誌のテイスト上、 日本の都市とい うのは合わなかったのかもしれません。 あれから約 2 年 経ちましたが、今 年 は 福 岡 市 のREC COFFEE 岩瀬さんが WBCに、大野城市の豆香洞コーヒー 江 口さんが WCRCに、太 宰 府 市の珈 琲 蘭 館 田 原さんが WCTCに日本代表として出場します。大野城市も太宰府市も 福岡県にあり、今間違いなく世界で一番元気のあるコーヒー エリアは福岡と言ってよいのではないでしょうか。 今回は (2月の下旬) そんな元気な福岡を訪問してきました。 今回は九州福岡レポート第一弾です。 福岡に到着した晩、23 時半過ぎにMANU COFFEE 春 吉店を訪問しました。MANU COFFEEは夜遅くまで営業して おり、元気な福岡コーヒーシーンに刺激を与え続けてきた店で す。私が訪問した30 分ほど前まで、REC COFFEEの岩瀬さ んが来店していたらしく、 ニアミスでした。 その時はたまたま他の コーヒー関係者も居合わせたらしく、一緒のテーブルでコー ヒー談義をされていったと聞きました。 この距離的、心理的「近 さ」 が福岡の特徴の一つではないでしょうか? 福岡市単独で 人口は100 万を超える大都市なのに、同じ業界の人間が近 い距離感で行き来できるというのが魅力です。店舗の顧客を 対象にしたイベントから、同業者同士での勉強会まで心地よ い距離感で行われているようにいつも感じます。 REC COFFEE 薬院駅前店 翌朝 REC COFFEE 薬院駅前店を訪問しました。福岡に 行く度に何度か訪問していますが、岩瀬バリスタが JBCチャン ピオンになってからは初めてです。新しいスタッフも増え、 お店 の佇まいにも風格が出てきたように感じました。 このお店の特 徴は女性客の多さだと感じます。女性が一人で入っても安心 してコーヒーが楽しめる店です。 スタッフもコーヒーについて説 明を詳しくしてくれます。 エスプレッソ系のドリンクが充実してお り迷いますが、 シングルオリジン豆もフレンチプレスなどで飲む ことができます。店内には岩瀬バリスタのWBC 出場のポス ターが貼ってあり、 スタッフだけでなく常連客間でのワクワク感 も感じられます。 REC COFFEEはもともとは改造した車にエスプレッソマ シーンを搭載し、市内の駐車場などに停車し( 駐車場オーナー の了承のもと)、 コーヒースタンドをスタートしたのが始まりだと 聞きました。 博多では屋台が有名ですが、 ある意味、移動式コーヒースタン ドも屋台と言えます。 ラーメン店で屋台からスタートし実店舗を構えるようになった 店はたくさんあります。 ビジネス立ちあげ時はみな余裕がなく最 低限の装備、環境で始めざるをえないのですが、 それを温かく 応援する空気が福岡にはあるような気がします。 もちろん周囲の環境だけでなく、 ご本人たちのマインドセット ( 心構え)も大きいです。私の知ってる福岡のコーヒー人は、 と いうか九州のコーヒー人は新しい物をいち早く取り入れてみよ うという人が多いです。 前にあげた 「近さ」 もあいまって、皆で新しいものに取り組ん でいくコーヒーコミュニティが生まれていると思います。 スペシャ ルティコーヒーのような新たな商品が進化していくのにはうって つけの場所ではないかと感じます。 これは海外でいえばメルボ ルンでも同じことを感じました。 広報委員会 委員長 丸山健太郎 NewsLetter 16 Special Report 世界大会へ向けて JBrC2015決勝大会を開催 (開催順・敬称略) Japan Brewers Cup 2015 Questions ジャパン ブリューワーズ カップ 2014/15 Q1 あなたは、 なぜ、 この競技 会に出場されましたか? Q2 あなたにとって、 この競技 会の魅力はなんですか? Q3 世界大会に向けてどのような練習をなさって ますか?また時間はどのくらいですか? Q4 と考えているものは何ですか? Q5 どのように気分転換をさ れますか? Q6 座右の銘をお聞かせください。 Q7 コーヒーに携わっていなければ、 今頃何をされていましたか? Q8 Q9 アピールポイントは? Q10 最後に一言!! 質問項目 世界大会に必ず持っていこう 世界大会にかける意気込み をお聞かせください。 ワールド バリスタ チャンピオンシップ(WBC) 2015 出場者 岩瀬 由和 3月20日(金)神谷町のJCビルにて日本では二回目の開催 となるジャパンブリューワーズカップ2014/15(以下JBrC)が 行われた。 今大会は2月に東京にて3日間81名の選手の中から準決 勝に12名、 そして決勝に6名が勝ち進み優勝を争った。 競技の内容としては、予選では必修サービスと呼ばれるプレ ゼンテーションなしで競技会からの提供豆を使用し3杯のコー ヒーを淹れ、審査員はブラインドでテイストのみで審査する。準 決勝と決勝では選手自身の持ち込んだ豆を使用し、 目の前に 座る審査員にプレゼンテーションとともに同じく3杯を提供する 競技会内容となっている。 また、 この競技会では機械的動力を 伴わない手動の器具をハンドドリップ、 エアロプレス、 クレバー など競技者がこれぞ!と思う器具でコーヒー淹れて争うのも面 白いところだ。 全体的にはハンドドリップが多いと感じる競技会であるが、 競技者は各々工夫を凝らし、 あるメーカーのドリッパーに別メー カーのペーパーフィンターを使ったり、濃い目に抽出した液体 にお湯を足して味を作ったりとメーカーの説明書通りの抽出方 法から離れ、各競技者の創意工夫とコーヒー抽出に対しての 熱意が伝わってきた。 その創意工夫と熱意を今大会で一番発揮出来たのが上田 バリスタであったのだろう。昨年のこのJBrCでも3位と上位入 賞し、今年は見事に優勝を勝ち取った。 上田バリスタはエアロプレスを使い少量のコーヒーを3分間 かけて抽出し、 それにお湯を足してアメリカーノタイプのコー ヒーを提供し優勝を勝ち取った。決勝した上田バリスタは6月 にスウェーデンで行われるワールドブリューワーズカップ(以外 WBrC)に日本代表として挑戦する。 ぜひ異国の地でも実力を 発揮して欲しいと願っている。 さて、今大会は今年度中にもう一度開催される。来年2016 年のWBrCの日本代表を決める為、 7月に予選、秋のSCAJ 展示会のステージにて決勝を行う予定である。今大会を参考 にどんなコーヒー抽出が披露されるのか、 今から楽しみである。 最後に、審査員の方や予選そして準決勝、決勝とボラン ティア含めて関係者の多大な努力の上に成功裏に終わる事 が出来き、 ご尽力頂いた方々に深く感謝するとともに、昨年の 初回大会に続き今大会にもWorld Coffee Events(WCE) からキョンヒー女史がアメリカから来日し、 タイトなスケジュール の中で審査員プログラムからベッドジャッジまで取り仕切って 頂いた、 ここに感謝申し上げたい。 コーヒーブリューワーズ委員会 倉永 純一 ジャパン ブリューワーズカップ(JBrC)2014/15 結果 JBrC2014/15 スポンサー コーヒー豆・グラインダースポンサー 抽出器具シングルスポンサー ワタル株式会社 順位 氏名 小川珈琲株式会社 メリタジャパン株式会社 ラッキーコーヒーマシン株式会社 優勝 上田 脩太 準優勝 村田 果穂 UCCホールディングス株式会社 第3位 島田 佳祐 ティー・ワイ・エクスプレス株式会社/THE ROASTERY BY NOZYCOFFEE 第4位 佐藤 英徳 シーシーエスコーヒー株式会社 第5位 近井 博規 株式会社NOZY珈琲/NOZY COFFEE木更津店 第6位 安部 龍 有限会社 山/カフェバーンホーフ 抽出器具スペシャルスポンサー 株式会社カリタ HARIO株式会社 株式会社サザコーヒー 給湯器スポンサー メリタジャパン株式会社 協賛企業 京都飲料株式会社 株式会社アタゴ 19 NewsLetter 所 属/店 舗 株式会社石井商事/Amameria Espresso Yoshikazu Iwase レックコレクティブ株式会社(REC COFFEE) Q1 私たちが競技会に参加する理由は素晴らしい品質のコーヒーと向き合 い学ぶ為です。 そして競技会を通じて新たな価値観を創造し店舗に行 かし、 カップに表現する為です。 この競技会は素晴らしい発見とチャレン ジの連続です。 Q6 初心忘るべからず Q2 自由な発想とチャレンジが評価され新しい扉を自分の手で開く事が出 来るところです。 そしてコーヒーを通じて多くの競技者や仲間と出会う 事ができお互いの価値観を知り、 世界が広がる事です。 そしてその全て の考えや、 技術、 努力はお客様へ提供するカップに表現されるという事 です。 Q7 何をしていたのでしょうか?想像す る事が出来ませんが、 コーヒー関 連以外の小さいな会社の経営者 にでもなっていたのでしょう。 Q3 WBCに向けての準備はJBC直後から始まりました。 使用するコーヒー の選定、生産国での生産処理の実施、 その後3ヶ月前からプレゼン テーションの本格的な構築、 テクニカルスキルの見直し、 ルーティンの 練習を行ないました。 練習時間は記憶してないです! ! Q8 全てを出し切ります。最高の結果 を日本に持って帰ります。 Q9 プレゼンテーション全てです。 Q4 必ず持って行くものは、 もちろん大会に関わる全てのものです。 その他 では応援して下さる方から頂いた物。 そして自信です。 Q5 気分転換はあまりしていませんでした! !現地に到着して大会まで1週間 ほどあるので最終トレーニングの合間を縫って気分転換します。 Q10 今回のWBCに出場するにあたり、 本当に多くの方々のご協力を得て出 場する事ができています。 その気持ちは忘れません。 そして、 これだけの 多くの方々に応援されて世界のステージに参加できる事を誇りに思い ます。 全てを出し切ります。 ワールド ラテアート チャンピオンシップ(WLAC) 2015 出場者 名倉 麻央 Mao Nagura 株式会社 フォンス Q1 スキルアップのため。 Q6 楽しく Q2 たくさんのバリスタと交流できるところ。 Q7 思いつかないです! Q3 スチーミングを重点的に。 仕事以外の空い ている時間はできる限り練習しています。 Q8 楽しんできます! Q4 味噌汁。 Q9 フラミンゴ。 Q5 好きな音楽を聴く。 Q10 初めての世界大会、 わくわくしています。 こんなに貴重な経験を させて頂けるのも周りの方々のサポートがあってこそ。 いつもあ りがとうございます。 しっかりと世界を見てきたいと思います。 NewsLetter 20 Special Report 世界大会へ向けて Questions (開催順・敬称略) 質問項目 Q1 あなたは、 なぜ、 この競技 会に出場されましたか? Q2 あなたにとって、 この競技 会の魅力はなんですか? Q3 世界大会に向けてどのような練習をなさって ますか?また時間はどのくらいですか? Q4 と考えているものは何ですか? Q5 どのように気分転換をさ れますか? Q6 座右の銘をお聞かせください。 Q7 コーヒーに携わっていなければ、 今頃何をされていましたか? Q8 Q9 アピールポイントは? Q10 最後に一言!! 世界大会に必ず持っていこう ワールド コーヒー イン グッド スピリッツ チャンピオンシップ(WCIGSC)2015 出場者 大渕 修一 Shuichi Obuchi Mixology Bar Source 2102 Q1 最初は、 コーチからの紹介。 コーヒーとアルコー ルという未開のジャンルに魅力を感じたから。 Q6 日進月歩 Q2 コーヒーの新しい魅力に出会える。 Q7 ソムリエ Q3 テーマ、 レシピ作り、 プレゼン構築、反復練習。約 3時間くらい。 Q8 優勝あるのみ! ! Q4 日清カップヌードル Q9 味はもちろん、外観の美しさ ! Q5 酒を浴びる Q10 ヨーテボリの中心で 「獲ったどー! !」 と叫ぶ! ワールド カップテイスターズ チャンピオンシップ(WCTC) 2015 出場者 田原 照淳 Terukiyo Tahara 珈琲蘭館 Q1 参加することでスペシャルティコーヒー産業にとって重 要なカッピング技術の精度を高められると思いました。 Q6 唯一無二の存在になること。 Q2 ジャッジが自分自身であり、誰が見ても明確な結果が 得られるところです。 Q7 分かりません。 希望は学校の先生です。 Q3 毎朝お店のオープン前に競技形式で8問(24カップ) 用意して実戦を想定してカップをとっています。 とにか く休まず毎日コツコツと短い時間でもカップすることを 大切にしています。 Q8 Q4 使い込んだカッピングスプーンと2月に亡くなった祖母 の写真がお守りです。 Q9 元気の良い大きな掛け声です。 Q5 自家焙煎した珈琲豆でネルドリップ抽出することです。 とにかく無心になれます。 Q10 世界一のカップテイスターを目指します。 どうぞ応援をよろしくお願いいたします。 素晴らしいスウェーデン大会にしたい。 世界大会にかける意気込み をお聞かせください。 ワールド コーヒー ロースティング チャンピオンシップ(WCRC) 2015 出場者 江口 崇臣 Takaomi Eguchi Q1 競技や練習を通して自己の技術向上の一環と、 よ い焙煎をする為に様々な問いや試練を与えてくれ るから。 Q2 決勝に残れば、全国から集まった焙煎人の焙煎技 術を間近で見れて競技の最後には全てのカップ がとれる事。 Q3 日々の営業中に行う平均8∼10時間程度の焙煎 とハンドピックがトレーニングとして身になっている と思います。 また、 マイスター5とギーセン15Aの2台体制から得 れる味わいの広さが世界大会で活きてくると信じ てます。 Q4 応援して下さっている皆様の声援と自分に打ち勝 つ強い気持ち。 豆香洞コーヒー Q5 特に気分の転換をする事はしません。 Q6 沈着冷静。何事も慌てず冷静かつ少し大胆に。 Q7 ものづくりを通して誰かを笑顔にさせられるような 仕事に就いていたいです。 Q8 焙煎人として求められる事を最大限発揮できるよ うに、最高の焙煎を目指します。 Q9 判断力と忍耐力 Q10 いつも通り豆としっかり向き合い会話してベ ストを尽くします。 ワールド ブリューワーズカップ(WBrC) 2015 出場者 上田 脩太 Yuta Ueda 株式会社石井商事/Amameria Espresso アマメリアエスプレッソ Q1 準備過程において、 コーヒーへの知識を深める事 ができると思い、競技会に参加しました。 Q6 現状から逃げないこと。 うまくいかないことも全て受け入れ、 自分自身を見 つめなおすきっかけにしています。 Q2 同じ評価基準のもと、 それぞれが違う抽出方法で 競い合うところに魅力があると思います。 Q7 Q3 カップごとの差をなくし、完璧な抽出に近づけるこ とやプレゼンテーションをおこないながら細かい動 作の調整をしています。 パンが好きなのと、小さい頃から食に関するものづ くりが好きだったのでパン職人を目指していたと思 います。 Q8 本番でいつも通りの抽出、 プレゼンテーションがで きるように練習を積み重ねていきたいと思います。 Q4 コーヒー豆と、 自信です。 Q9 抽出方法、抽出している様子をしっかりみていただ きたいです。 Q5 食に関心があるので、休日はなるべく色々な食 べ物に触れることで気分転換をしています。 Q10 楽しんで競技し、 良い結果をのこしてきたいと思い ます! 【編集後記】 広報委員会/石川 康雄 2015年世界大会の各競技に出場される日本代表が決定しました。 世界大会は4月アメリカ・シアトルでWBC2015 (岩瀬 由和さん) 、 6月スウェーデン・ヨーテボリでWLAC2015 (名倉 真央さん)、WCTC2015(田原 照淳さん)、WCIGSC2015(大渕 修一さん)、WCRC2015(江口 崇臣さん)、 WBrC2015 (上田 脩太さん) が開催されます。平常心で日頃の実力を発揮し、 “勤勉で繊細なJAPAN” をアピールし て来てください。 21 NewsLetter NewsLetter 22
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