独立行政法人制度の概要

独立行政法人制度の概要
1.独立行政法人とは
国
企画立案部門
実施部門
… 国
国自ら主体となって直接実施し
なければならないもの
民間の主体にゆだねた場合、当
該事業が必ず実施されるという
保障がなく、実施されないとき
には、国民生活や社会経済の安
定に著しい支障を生じるもの
民間の主体にゆだねることが可
能なもの
… 国
独立
… 行政
法人
… 民間
具体的に言えば、現在、経済産業省が提供している行政サービスでは、企
業が海外に輸出する際にかける保険の引き受けなどを行っている貿易保険や
産業の競争力強化につながるような基盤研究などを行っている研究所が独立
行政法人に。これらの組織においては、外部の人材の活用や内部組織の柔軟
な改編を行うことで、保険内容の充実やニーズのある分野への研究の重点化
が可能となる。
○独立行政法人通則法
(定義)
第二条 この法律において「独立行政法人」とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地か
ら確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する
必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの
又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目
的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいう。
- 1 -
2.独立行政法人の特徴、基本原則
従来の国や特殊法人にはない、次のような特徴を有する。
①
中期的目標管理と評価
・従来
毎年度、全事業について予算の積算まで含めた査定等厳密な管理
・独法化後
3∼5年の中期目標を独立行政法人ごとに大臣が定めて、各法人は、
中期目標の達成義務を負う。そのための業務の運営は独立行政法人に
ゆだねられる。
一方、達成状況について、外部の委員により構成される独立行政法
人評価委員会によって客観的な評価を受け、それに応じた見直し。
②
財務に係る弾力化
・「企業会計原則」を導入した「独立行政法人会計基準」を適用し、内部
留保や移流用を認めるなど、弾力的な運営を行う。
③
組織・人事管理の自律性
・従来型の国の定員管理や組織管理手法の対象外とし、役員の公募や任期
付き任用が可能となるなど、法人の長による自律的な運用となる。
例:国
−給与等は法律によって決定
独立行政法人−流用が認められる予算により、自律的に運営。但し、
中期計画において人件費の見積もりの記載は必要。
④
情報の公開による透明性の確保
・財務、業績、組織など独立行政法人の運営に関する幅広い事項を積極的
に公開。(業務の実績、財務諸表、決算報告、中期計画、監査結果等)
⑤
定期的な見直し
・中期目標期間終了時に、業績の評価等の結果を踏まえ、業務継続の必要
性及び組織形態の在り方について見直しを行う。
- 2 -
3.独立行政法人の種類
特定独立行政法人(公務員型)とそれ以外の独立行政法人(非公務員型)
との間には、国家公務員身分の有無に伴い、以下のような相違が存在。
争議権
身
保
分
障
給
与
服務制
※
限
非公務員型独立行政法人
無
有
有
(法令に定める事由以外でなけれ
ば、意に反して降任、退職、免職
されない。)
無
(免職事由等については、就業規
則により各法人が定める。)
非現業公務員、民間の給与等を考
慮して決定
社会一般の情勢に適合するよう法
人が決定
有
(一部法人の長の判断で弾力的に
緩和可能。)
無
(必要に応じ、見なし公務員規定
(守秘義務)を置く。)
国会実員報告
※
公務員型独立行政法人
有
無
信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務、兼業の制限、離職後における営利企業への就職に
関する制限等
- 3 -
経済産業省の独立行政法人の概要
経済産業省は、非公務員型も含め、20の事務・事業を独立行政法人化。
これは、経済産業省の定員約12,000名の約1/3に当たる。
事務・事業
移行定員
職員身分
役員数
独立行政法人経済産業研究所
内外の経済及び産業に関する事情や経済産業政策に関する調査研究
経済産業政策の提言 等
経済産業研究所
33
非公務員
5
独立行政法人工業所有権総合情報館
特許や商標等の工業所有権に関する情報の収集、閲覧
審査、審判に関する図書及び書類その他必要な文献を収集
工業所有権に関する相談 等
工業所有権総合情報館
56
国家公務員
4
非公務員
6
独立行政法人日本貿易保険
貿易保険
等
貿易保険
145
独立行政法人産業技術総合研究所
鉱工業の科学技術に関する研究及び開発
計量の標準、計量器の検査や計量に関する教習
産業技術総合研究所*
計量教習所
等
3237
5
国家公務員
14
国家公務員
5
独立行政法人製品評価技術基盤機構
工業製品の安全性の評価
工業製品の検査を行う者の能力に関する評価
工業製品の品質に関する情報の収集・提供 等
製品評価技術センター
417
役員数は、理事長、監事2名を含む(産業技術総合研究所のみ副理事長1名を含む)。
*) 工業技術院の一部と産業技術融合領域研究所、計量研究所、機械技術研究所、物質工学工業技術研究所、大阪
工業技術試験所、名古屋工業技術試験所、生命工学工業技術研究所、地質調査所、電子技術総合研究所、資源環
境技術総合研究所、北海道工業技術試験所、九州工業技術試験所、四国工業技術試験所、東北工業技術試験所及
び中国工業技術試験所が統合
- 4 -
各省庁の独立行政法人について
省庁名
独立行政法人
現行(旧省庁)事務・事業
内閣府
独立行政法人国立公文書館
独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構
国立公文書館
駐留軍等労務者の労務管理等事務
総務省
独立行政法人通信総合研究所
独立行政法人消防研究所
独立行政法人統計センター
通信総合研究所
消防研究所
統計センター(統計研修所を除く。)
財務省
独立行政法人酒類総合研究所
醸造研究所
文部科
学省
独立行政法人国立特殊教育総合研究所
独立行政法人大学入試センター
独立行政法人国立オリンピック記念青少年総
合センター
独立行政法人国立女性教育会館
独立行政法人国立青年の家
独立行政法人国立少年自然の家
独立行政法人国立国語研究所
独立行政法人国立科学博物館
独立行政法人物質・材料研究機構
独立行政法人防災科学技術研究所
独立行政法人航空宇宙技術研究所
独立行政法人放射線医学総合研究所
独立行政法人国立美術館
国立特殊教育総合研究所
大学入試センター
国立オリンピック記念青少年総合センター
独立行政法人国立博物館
独立行政法人文化財研究所
独立行政法人教員研修センター
国立婦人教育会館
国立青年の家
国立少年自然の家
国立国語研究所
国立科学博物館
無機材質研究所、金属材料技術研究所
防災科学技術研究所
航空宇宙技術研究所
放射線医学総合研究所
国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国
際美術館
国立博物館
国立文化財研究所
教員研修
厚生労
働省
独立行政法人国立健康・栄養研究所
独立行政法人産業安全研究所
独立行政法人産業医学総合研究所
国立健康・栄養研究所
産業安全研究所
産業医学総合研究所
農林水
産省
独立行政法人農林水産消費技術センター
独立行政法人種苗管理センター
独立行政法人家畜改良センター
独立行政法人肥飼料検査所
独立行政法人農薬検査所
独立行政法人農業者大学校
独立行政法人林木育種センター
独立行政法人さけ・ます資源管理センター
独立行政法人水産大学校
独立行政法人農業技術研究機構
農林水産消費技術センター
種苗管理センター
家畜改良センター
肥飼料検査所
農薬検査所
農業者大学校
林木育種センター
さけ・ます資源管理センター
水産大学校
農業研究センター、畜産試験場、草地試験
場、果樹試験場、野菜・茶業試験場、農業
試験場、家畜衛生試験場
農業生物資源研究所、蚕糸・昆虫農業技術
研究所
農業環境技術研究所
農業工学研究所
食品総合研究所
国際農林水産業研究センター
森林総合研究所
水産研究所、養殖研究所、水産工学研究所
独立行政法人農業生物資源研究所
独立行政法人農業環境技術研究所
独立行政法人農業工学研究所
独立行政法人食品総合研究所
独立行政法人国際農林水産業研究センター
独立行政法人森林総合研究所
独立行政法人水産総合研究センター
- 5 -
経済産
業省
独立行政法人経済産業研究所
独立行政法人工業所有権総合情報館
独立行政法人日本貿易保険
独立行政法人産業技術総合研究所
独立行政法人製品評価技術基盤機構
通商産業研究所
工業所有権総合情報館
貿易保険
産業技術総合研究所、計量教習所
製品評価技術センター
国土交
通省
独立行政法人土木研究所
独立行政法人建築研究所
独立行政法人交通安全環境研究所
独立行政法人海上技術安全研究所
独立行政法人港湾空港技術研究所
独立行政法人電子航法研究所
独立行政法人北海道開発土木研究所
独立行政法人海技大学校
独立行政法人航海訓練所
独立行政法人海員学校
独立行政法人航空大学校
自動車検査独立行政法人
土木研究所
建築研究所
交通安全公害研究所
船舶技術研究所
港湾技術研究所
電子航法研究所
開発土木研究所
海技大学校
航海訓練所
海員学校
航空大学校
自動車検査(検査場における検査)
環境省
独立行政法人国立環境研究所
国立環境研究所
(注1)工業技術院の一部と産業技術融合領域研究所、計量研究所、機械技術研究所、物質工学工業技術研
究所、大阪工業技術研究所、名古屋工業技術研究所、生命工学工業技術研究所、地質調査所、電子技
術総合研究所、資源環境技術総合研究所、北海道工業技術研究所、九州工業技術研究所、四国工業
技術研究所、東北工業技術研究所及び中国工業技術研究所が統合
(注2)独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構は平成14年4月に、自動車検査独立行政法人は平成14
年度前半までに、独立行政法人統計センターは平成15年4月に以降。それ以外については、平成13年
4月に移行。
(注3)このほか、造幣局及び印刷局(病院を含む。)については、平成15年度前半に、国立病院・療養所につ
いては、平成16年度に独立行政法人に移行することとされている。
- 6 -