肥大型心筋症の診療に関するガイドライン

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
肥大型心筋症の診療に関するガイドライン
(2012 年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Patients with Hypertrophic Cardiomyopathy(JCS 2012)
合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本小児循環器学会,日本心血管インターベンション学
会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会,日本心電学会
班 長 土
川
居
田
合
義
蕗
宏
典 高知大学老年病科循環器科
子 富山大学小児科
哉 神戸大学大学院医学研究科内科学講
川
名
正
敏 東京女子医科大学附属青山病院循環
佐
野
俊
二 岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓
班 員 市
稲
萩 原 誠 久
濱 田 希 臣
増 山 理
協力員 阿 南 隆一郎
器内科
血管外科
榊原記念病院循環器内科
外部評価委員
東京医科大学病院循環器内科
慶 東京女子医科大学心臓病センター循
北 岡 裕 章
久 保 亨
志 賀 剛
西 川 俊 郎
南 雄一郎
座循環器内科学分野
高 山 守 正
近 森 大志郎
鄭 忠 和
中 谷 敏
井 和温療法研究所
大阪大学大学院医学系研究科保健学
専攻機能診断科学講座
東京女子医科大学循環器内科
市立宇和島病院内科
兵庫医科大学循環器内科
川内市医師会立市民病院循環器内科
環器小児科
高知大学老年病科循環器科
高知大学老年病科循環器科
東京女子医科大学循環器内科
東京女子医科大学病理診断科
東京女子医科大学循環器内科
北
木
畠 原 康
顕 枚岡病院
樹 広島大学大学院医歯薬学総合研究科
木
村
彰
方
古
藤
吉
賀
原
川
義
久
純
則 医療法人社団誠心会萩原中央病院
義 兵庫県立尼崎病院
一 西宮渡辺心臓・血管センター
循環器内科学
東京医科歯科大学難治疾患研究所分
子病態分野
(構成員の所属は 2012 年 7 月現在)
目 次
改訂にあたって…………………………………………………… 2
4. 小児における肥大型心筋症の診断 …………………… 23
Ⅰ.病態…………………………………………………………… 3
Ⅲ.治 療………………………………………………………… 25
1. 定義と基本病態 ………………………………………… 3
2. 成因・疫学 ……………………………………………… 6
3. 病態生理と血行動態 …………………………………… 9
Ⅱ.診断…………………………………………………………… 12
1. 自覚症状・身体所見 …………………………………… 12
2. 評価法 …………………………………………………… 13
3. 診断のフローチャート ………………………………… 23
1. 日常生活の管理 ………………………………………… 25
2. 薬物療法 ………………………………………………… 27
3. 非薬物療法 ……………………………………………… 33
4. 小児における肥大型心筋症の管理と治療 …………… 38
文 献……………………………………………………………… 41
(無断転載を禁ずる)
1
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
改訂にあたって
肥 大 型 心 筋 症(hypertrophic cardiomyopathy: HCM)
今回も,この領域のエキスパートの委員間で慎重に討議
の診断・治療は専門性の高い領域であるが,臨床の現場
を行い,さらに外部評価委員のコメントもいただいて,
において診療にあたる機会は少なくない.しかし HCM
実際の臨床現場で活用していただけるガイドラインの作
の診断・治療,特に治療に関してはエビデンスが乏しい
成を目指した.本ガイドラインを日常診療に役立ててい
のも事実である.そこで日本循環器学会は 2002 年に肥
ただければ幸甚である.
大型心筋症の診療に関するガイドライン(班長 吉川純
なお,今回のガイドライン作成にあたっては診断法お
一)を発表した.その後 5 年間の新しい知見を加えて,
よび治療法の適応に関する推奨基準として,以下のクラ
2007 年にはガイドラインの改訂(班長 土居義典)がな
ス分類及びエビデンスレベル表示を用いた.
され,日常診療で活用されてきた.その後さらに 5 年が
経 過 し, そ の 間 に AHA(American Heart Association)
クラス分類
および ESC(European Society of Cardiology)による心
クラスⅠ:手技,治療が有効,有用であるというエビ
筋症に関する新しい提言もなされたため,現時点での我
デンスがあるか,あるいは見解が広く一致
が国の HCM の定義を再確認するとともにさらに新しい
している.
知見を加えて再改訂を行うこととなった.
クラスⅡ:手技,治療が有効性,有用性に関するエビ
HCM の診断・治療に関してはエビデンスが少ないた
め,今回の改訂版においても我が国のデータだけではな
デンスあるいは見解が一致していない.
Ⅱ a:エビデンス,見解から有用,有効である可
く,欧米からのデータを用いるに至ったところも多々あ
る.一方,初版から 10 年が経過し新しい臨床データが
能性が高い.
Ⅱ b:エビデンス,見解から有用性,有効性がそ
確実に蓄積してきたことも事実である.まず本疾患の新
規病因遺伝子変異もさらに数多く報告されてきた.また
れほど確立されていない.
クラスⅢ:手技,治療が有効,有用でなく,時に有害
HCM 様の心肥大を呈する疾患,例えば Fabry 病など,
であるとのエビデンスがあるか,あるいは
疾患によっては治療の異なる疾患が存在しているため,
見解が広く一致している.
それらを HCM と鑑別することの重要性も認識されるよ
うになった.さらに画像診断,なかでも心臓 MRI の臨
エビデンスレベル
床応用が進み,とくにガドリニウム遅延造影の臨床的意
レベル A:複数の無作為介入臨床試験または,メタ解
義についての理解が進んだ.またハイリスク患者の危険
析で実証されたもの.
因子についても新しい認識がなされている.以上のよう
レベル B:単一の無作為介入臨床試験または,大規模
なデータに加えて,今回の改訂版では,非薬物治療にデ
な無作為介入でない臨床試験で実証された
バイス治療の項目を設け,これまでのペースメーカ治療
もの.
以外に,植込み型除細動器や心臓再同期療法による治療
レベル C:専門家および / または,小規模臨床試験(後
に つ い て も 追 記 し た. ま た 経 皮 的 中 隔 心 筋 焼 灼 術
向き試験および登録を含む)で意見が一致
したもの.
(PTSMA)についても中長期予後のデータを追加した.
【略 語】
HCM:Hypertrophic cardiomyopathy
HOCM:Hypertrophic obstructive cardiomyopathy
SAM:Systolic anterior motion
MR:Mitral regurgitation
2
ICD:Implantable cardiac defibrillator
PTSMA : Perctaneous transluminal septal myocardial
ablation
D-HCM:dilated phase of hypertrophic cardiomyopathy
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
Ⅰ
る.拡張型心筋症でもアクチン,ジストロフィンなどの
病態
遺伝子異常がみられることが報告されており,心筋症は
もはや“原因不明な心筋疾患”とはいえなくなった.こ
のような進歩をうけて WHO/ISFC 合同委員会の提案が
1
定義と基本病態
1
定義と分類
1995 年に改訂された.
②心筋症の定義と分類 (1995 年 WHO/ISFC の提案 1))
WHO/ISFC の 1980 年の提案 7)では心筋症は“原因不
明な心筋疾患”と定義されたが,1995 年の提案 1)では“原
①心筋症の概念とその変遷
因不明な”とする説明が削除され“心機能障害を伴う心
心筋症は“心機能障害を伴う心筋疾患”と定義される
1)
筋 疾 患 ” と 改 め ら れ た. な お 1980 年 の 提 案 か ら
が ,解剖学的に心臓の大部分を占める心筋の病気であ
cardiomyopathy の病名の中に“原因不明な”という意
る心筋症の存在が臨床的に認識されたのは意外にも約半
味が含まれているとの立場から idiopathic
( 特発性)とい
世紀前に過ぎない.すなわち心臓病としてはそれまで,
う形容詞が外されたが,かなり病因が解明された現在,
①先天性心臓病,②心臓弁膜症,③虚血性心臓病,④高
この意味でも“特発性”は不要といえよう.
血圧性心臓病などが知られていたが,1950 年代の心電
心筋症の分類についても病因の解明がすすめば将来的
図,心臓カテーテル,心血管造影法などの診断法の進歩
には病因分類が採用されると思われる.しかしこれまで
や開心術の発達とともに,これらの異常が見られないに
の臨床病態に基づく分類が定着していることもあり,1995
もかかわらず心肥大,心拡張を来たす症例が存在するこ
年の提案でも拡張型 dilated,肥大型 hypertrophic,拘束型
とが明らかとなった.そして 1957 年英国の Brigden が
restrictive の分類はそのまま残され,新たに不整脈源性(催
心筋の異常による疾患として心筋症 cardiomyopathy と
不 整 脈 性 ) 右 室 心 筋 症 arrhythmogenic right ventricular
いう病名を初めて用いている.1960 年代には原因不明
cardiomyopathy と 分 類 不 能 の 心 筋 症 unclassified
な心筋の病気として原発性心筋疾患 primary myocardial
cardiomyopathy がつけ加えられた(表 1).
disease(PMD)や特発性心筋症 idiopathic cardiomyopathy
一方“原因または全身疾患との関連が明らかな心筋疾
2)
3)
患”については特定心筋症 specific cardiomyopathy とさ
(ICM)の病名が登場した .
肥 大 型 心 筋 症(HCM)が 臨 床 的 に 認 識 さ れ た の も,
れ「二次性」あるいは「続発性」という名称は用いられ
1957 年の Brock4),1958 年の Teare5)の報告以降である.
なくなった.特定心筋症の中には虚血性,弁膜性,高血
本症はまず特異な病態である流出路狭窄を示す疾患とし
圧性,炎症性(心筋炎),代謝性,過敏・中毒性,周産
て注目され,特発性肥厚性大動脈弁下狭窄症 idiopathic
期心筋症や,神経・筋疾患,膠原病などの全身性疾患に
hypertrophic subaortic stenosis(IHSS)6)や,hypertrophic
伴う心筋症が含められている.
3)
obstructive cardiomyopathy(HOCM) などの病名で親し
まれてきた.その後本症は心筋に異常を有する疾患で,
基本病態は心筋の異常肥大と左室拡張能低下であり,流
③ AHAおよびESCによる心筋症に関する新しい提言
2006 年に AHA が心筋症の定義と分類に関する新しい
出路狭窄は心室中隔の異常肥厚に伴う二次的な所見であ
ることが認識されるようになった.そして 1980 年の
WHO/ISFC 合同委員会の報告 7)でほぼ現在と同様な心筋
症の定義・分類・病名が提案され,本症の病名として
hypertrophic cardiomyopathy(HCM)・肥大型心筋症が
ほぼ定着した.
一方,分子遺伝学の進歩により次々と心筋症の病因遺
伝子異常が同定されている 8),9).HCM ではこれまでに
心筋βミオシン重鎖,心筋トロポニン T,心筋ミオシン
結合蛋白 C などの少なくとも 10 種のサルコメア(関連)
遺伝子を中心として 900 以上の突然変異が報告されてい
表 1 1995 年 WHO/ISFC 合同委員会による心筋症の定義と病型分類
定 義:心筋症は心機能障害を伴う心筋疾患をいう
病型分類:1. 拡張型心筋症
(dilated cardiomyopathy; DCM)
2. 肥大型心筋症
(hypertrophic cardiomyopahy; HCM)
3. 拘束型心筋症
(restrictive cardiomyopathy; RCM)
4. 不整脈源性(催不整脈性)右室心筋症
(arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy)
5. 分類不能の心筋症
(unclassified cardiomyopathy)
特定心筋症(specific cardiomyopathies)
3
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
図 1 心筋症の定義と分類(AHA の提言)
HCM: 肥大型心筋症,ARVC/D: 不整脈源性右室心筋症,LVNC: 左室緻密化障害,LQTS:QT 延長症候群,SQTS:QT 短縮症
候群,CVPT: カテコラミン感受性多形性心室頻拍,SUNDS: 夜間突然死症候群,DCM: 拡張型心筋症,
)
提言を行っている 10(図
1).これによれば,心筋症とは,
「通常不適切な心室の肥大や拡大を呈するような心筋の
4
では,肥大型心筋症は蓄積疾患などの肥大型心筋症様心
筋肥大を呈する疾患とは区別して考えられている 11).
器質的あるいは電気的異常を有する多様な疾患群」であ
こ れ に 対 し て 2008 年 ESC は WHO/ISFC 分 類 を 改 訂
り,
「その原因は多岐にわたるがしばしば遺伝性」である.
し,心筋症を「心筋に構造的,機能的異常を来たす心筋
そして主な病変が心臓にあるものを原発性心筋症,全身
障害であり,この障害を説明できるような冠動脈疾患,
疾患の心筋病変を二次性心筋症と大別している.さらに
高血圧,弁膜疾患,先天性心疾患を有さないもの」と定
原発性心筋症は遺伝性,後天性およびその混合型に分類
)
義した 12(図
2).このような表現は臨床診断の思考過程
され,それぞれには図 1 に示すような様々な病態が含ま
を踏襲しており,日常診療において極めて使いやすい定
れる.肥大型心筋症は遺伝性,拡張型心筋症は混合型に
義となっている.ESC 提言では,原発性・二次性の概
属するとされており,遺伝性のなかに構造異常のないイ
念を捨て,WHO/ISFC の 5 つの病型について家族性 / 遺
オンチャネル病が含まれていることが特徴である.この
伝性と非家族性 / 非遺伝性の 2 群に分類することにより,
ように,AHA の分類はこの複雑な疾患群を自然科学的
臨床家に遺伝子異常の関与を想起させて遺伝子検索の重
なスキームから論理的に分類することに主眼が置かれて
要性を強調している.さらに,すべての臨床的な“肥大”
い る. な お, 最 新 の American College of Cardiology
は代謝性疾患やアミロイドーシスなどを含めて“肥大型
Foundation(ACCF)/AHA の本症におけるガイドライン
心筋症”に分類しているのが特徴である.
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
図 2 心筋症の定義と分類(ESC の提言)
Cardiomyopathies
HCM
DCM
ARVC
RCM
Familial/Genetic
Unidentified
gene defect
Disease sub-type
Unclassified
Non-familial/Non-genetic
Idiopathic
Disease sub-type
ARVC: 不整脈源性右室心筋症,DCM: 拡張型心筋症,HCM: 肥大型心筋症,RCM: 拘束型心筋症
④本ガイドラインにおける肥大型心筋症の定義
患として区別する.原因によっては特別な治療法が奏効
する可能性があることに留意すべきである.HCM およ
分子遺伝学の進歩により,多くの HCM 関連遺伝子が
び肥大型心筋症様の病態を呈する類似疾患について病因
明らかになり,病因は複雑となってきている.前述の
からの分類を表 2 に示す.
AHA および ESC による心筋症に関する新しい提言もふ
まえて,本ガイドラインでは,HCM の定義は従来のも
の(1995 年 WHO/ISFC の提言)を踏襲し,サルコメア
関連遺伝子等に病因変異が同定されている場合,また,
2
肥大型心筋症の基本病態
①我が国における歴史的背景
可能な限り評価を行い蓄積疾患や心臓外病変を有する全
我が国においても 1960 年代に心筋症に対する関心が
身疾患などの原因がみられない場合を HCM とする.こ
急速に高まり,1970 年の日本循環器学会において特発
れに対し,蓄積疾患や心臓外病変を有する全身疾患に伴
性心筋症の病名に統一することが提唱された.そして
う心肥大については,肥大型心筋症様の病態を呈する疾
1974 年には病因不明で治療法も確立されていない難病
表 2 肥大型心筋症および肥大型心筋症様病態を呈する類似疾患
肥大型心筋症:
筋原線維蛋白変異(表 4 参照)
ß myosin heavy chain
Cardiac myosin binding protein C
Cardiac troponin I
Troponin-T
a-tropomyosin
Essential myosin light chain
Regulatory myosin light chain
Cardiac actin
a-myosin heavy chain
Titin
Troponin C
Muscle LIM protein
未知の原因遺伝子
肥大型心筋症様病態を呈する類似疾患:
家族性(表 5、表 9 参照)
糖原病
Pompe, PRKAG2, Forbes, Danon など
ライソゾーム病 Anderson–Fabry, Hurler など
ミトコンドリア病 症候性
Noonan 症候群
LEOPARD 症候群
Friedreich 失調症
Beckwith–Wiedermann 症候群
Swyer 症候群
その他 家族性アミロイドーシス
非家族性
肥満
糖尿病母親の児
競技スポーツ選手
アミロイドーシス
5
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
として厚生省特定疾患に指定され,特発性心筋症調査研
は HCM を閉塞性と非閉塞性に分ける分類は採用されて
究班が発足し現在まで継続している.この中で 1986 年
いないが,本ガイドラインの一部では非閉塞性肥大型心
に特発性心筋症・診断の手引が作成された
13)
.その後の
筋症が慣習的に用いられている.
心筋症研究の急速な進歩をうけて 2005 年に心筋症・診
このほかに肥大部位が特殊なものとして,心室中部閉
,さらに 2009 年には公費対
塞性心筋症,心尖部肥大型心筋症が挙げられる.このう
断の手引が全面改訂され
14)
象となる認定基準が設定された 15).
②基本病態
2005 年の心筋症・診断の手引 14)では,HCM の基本病
ち心尖部肥大型心筋症は日本から初めて報告されたもの
で,東北アジア人に多い肥大様式と思われる.
一部の症例で HCM から移行して拡張型心筋症様病態
を呈することが知られている.2009 年の認定基準では,
態は表 3 のように定義されている.この際 HCM と診断
「心筋収縮不全と左室内腔の拡張が肥大型心筋症から移
するには,存在する左室肥大を説明しうる高血圧,大動
行されたことが確認されたものをいう.」と定義されて
脈弁狭窄症のような負荷病態がないことを確認する必要
お り, 拡 張 相 肥 大 型 心 筋 症(dilated phase of
がある.病態生理の特徴は左室の伸展異常による左室流
hypertrophic cardiomyopathy; D-HCM)と呼ばれている.
入障害であるが,拘束型心筋症との混同をさけるために,
これに対して,欧米では一般に“end-stage HCM”あるい
「心肥大に基づく左室拡張能低下」が基本病態とされて
は“burned out HCM”と呼ばれている.特定の遺伝子変
いる.
異が関与するとの報告があり,急激に経過が悪化するた
HCM の分類については従来,左室流出路の狭窄の有
め早期の積極的介入が必要とされる病態である 16),17).
無により閉塞性と非閉塞性の 2 型に分けられてきた.し
かし,本症の本態は心筋肥大であり,流出路の狭窄はそ
2
成因・疫学
1
病因と遺伝
の表現型の一つとするのが妥当と考えられる.また,肥
大型心筋症全体の約 4 分の 3 は非閉塞性とされることか
ら,基本的には肥大型心筋症として総称し,左室流出路
に狭窄が存在する場合特に閉塞性肥大型心筋症
(HOCM)とよぶのが望ましいとされている.なお,閉
①遺伝子変異の種類と発症機序
塞の有無の基準については,連続波ドプラ法を用いた計
HCM に家族性があることは古くから知られており,
測で安静時に少なくとも 30mmHg の左室流出路圧較差
肥大型心筋症の病因解明に分子遺伝学的手法を導入する
がある場合を閉塞性と定義しているが,特定の手技や薬
ことにより,1990 年に心筋βミオシン重鎖遺伝子の異
剤によってのみ圧較差が誘発される例も潜在的な
常が病因である家系が示された 18).
HOCM と定義する.このように新しい診断の手引きで
その後の研究により , HCM の病因として 16 種類以上
の遺伝子の 900 種類以上の変異が報告されており,家族
6
表 3 2005 年特発性心筋症調査研究班による肥大型心筋症の基本病態
性肥大型心筋症の約 50 ~ 60%の家系の病因が明らかに
肥大型心筋症は,明らかな心肥大を来たす原因なく左室な
いしは右室心筋の心肥大を来たす疾患であり,不均一な心肥
大を呈するのが特徴である.また,通常,左室内腔の拡大は
なく,左室収縮は正常か過大である.心肥大に基づく左室拡
張能低下が,本症の基本的な病態である.
されている.常染色体性優性遺伝を呈する HCM の主な
①左室流出路に狭窄が存在する場合,特に閉塞性肥大型心筋
症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy; HOCM)とよ
ぶ.
②肥大部位が特殊なものとして,心室中部閉塞性心筋症
(midventricular obstruction; 肥大に伴う心室中部での内腔狭
窄がある場合)
,心尖部肥大型心筋症(apical hypertrophic
cardiomyopathy; 心尖部に肥大が限局する場合)がある.
③肥大型心筋症の経過中に,肥大した心室壁厚が減少し菲薄
化し,心室内腔の拡大を伴う左室収縮力低下を来たし,拡
張 型心筋症様病態を呈した場合,拡張相肥大型心筋症
(dilated phase of hypertrophic cardiomyopathy; D-HCM)と
される.その診断は経過観察されていれば確実であるが,
経過観察されていなくても,以前に肥大型心筋症との確か
な診断がされている場合も含まれる.
T,心筋トロポニン I,αトロポミオシン,心筋 α アク
病因とその頻度を表 4 に示す 19)-21).タイチン,心筋 β
ミオシン重鎖,心室型ミオシン調節軽鎖,心室型ミオシ
ン必須軽鎖,心筋ミオシン結合蛋白 C,心筋トロポニン
チンなど心筋線維 / サルコメアを構成するタンパク質を
コードする遺伝子,テレトニン,筋 LIM 蛋白,ミオゼ
ニン 2 などのZ帯の構成要素であるタンパク質をコー
ドする遺伝子,ジャンクトフィリン 2,フォスフォラン
バンなどのカルシウムハンドリングに関わるタンパク質
をコードする遺伝子などが HCM の病因になる.なかで
も心筋βミオシン重鎖遺伝子,心筋ミオシン結合蛋白
C 遺伝子の変異が最も頻度が高く,両者で遺伝子異常が
確認された例の約 75 ~ 80%を占め,HCM の病因遺伝子
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
表 4 肥大型心筋症の病因遺伝子
Gene
Myofilament/Sarcomeric HCM
Giant filament
TTN
Thick filament
MYH7
MYH6
MYL2
MYL3
Intermediate filament
MYBPC3
Thin filament
TNNT2
TNNI3
TPM1
ACTC
TNNC1
Z-disc HCM
ACTN2
ANKRD1
CSRP3
LDB3
MYOZ2
TCAP
VCL
Calcium-Handling HCM
JPH2
PLN
Locus
Protein
2q31
Titin(タイチン)
14q11.2-q12
14q11.2-q12
12q23-q24.3
3p21.2-p21.3
β -Myosin heavy chain(心筋 β ミオシン重鎖)
α -Myosin heavy chain(心筋 α ミオシン重鎖)
Regulatory myosin light chain(心室型ミオシン調節軽鎖)
Essential myosin light chain(心室型ミオシン必須軽鎖)
25 - 40
<1
<1
<1
11p11.2
Cardiac myosin-binding protein C(心筋ミオシン結合蛋白 C)
25 - 40
1q32
19p13.4
15q22.1
15q14
3p21.1
Cardiac troponin T(心筋トロポニン T)
Cardiac troponin I (心筋トロポニンI)
α -Tropomyosin (αトロポミオシン)
α -Cardiac actin (心筋αアクチン)
Cardiac troponin C (心筋トロポニン C)
3-5
1-5
1-5
<1
<1
1q42-q43
10q23.31
11p15.1
10q22.2-q23.3
4q26-q27
17q12-q21.1
10q22.1-q23
α -Actinin 2(αアクチニン 2)
Cardiac ankyrin repeat protein(アンキリンリピートドメイン1)
Muscle LIM protein(筋 LIM 蛋白)
LIM binding domain 3(サイファー)
Myozenin 2(ミオゼニン 2)
Telethonin(テレトニン)
Vinculin/metavinculin(ビンキュリン / メタビンキュリン)
<1
<1
<1
1-5
<1
<1
<1
20q13.12
6q22.1
Junctophilin 2(ジャンクトフィリン 2)
Phospholamban(フォスフォランバン)
の主なものは心筋線維 / サルコメアを構成するタンパク
質をコードする遺伝子である .
病因遺伝子変異が原因となり肥大を呈する機序は単一
Frequency(%)
<1
<1
<1
の弛緩を障害し,心筋細胞の肥大を生じると考えられる 21).
②特定心筋症や他の遺伝子異常との関連
ではないと考えられる.多くのサルコメア遺伝子変異で
ミトコンドリア病や Fabry 病が HCM の臨床像を呈す
は筋収縮のカルシウム感受性の亢進が報告されており,
ることがある.また,AMP 活性化プロテインキナーゼ
拡張障害病態(心筋 stiffness の亢進)を説明する所見で
遺伝子変異は WPW 症候群に伴う HCM 様病態を示す糖
ある.またタイチンやテレトニンの変異では Z 帯構成要
原病の原因となる 22)-26).表 5 に HCM 類似の表現型を呈
素間の結合親和性が亢進し,心筋 stiffness が亢進してい
する主な疾患とその病因遺伝子を示す 20),27).Pompe 病,
ると考えられる.また CARP 変異などは心筋ストレッチ
Barth 症候群,Noonan 症候群,LEOPARD 症候群などに
反応が常に生じているような状況をもたらしておりシグ
おいて HCM 類似の心肥大がみられる.
ナル伝達機能の異常により心肥大を来していると考えられる
一方,遺伝子変異を有する HCM の生存予後の個体差
20)
にアンジオテンシン変換酵素の遺伝子多型性の関連が示
維の収縮力を増加させ,心筋の収縮力を強めエネルギー
唆される 28).
.また多くのサルコメア蛋白遺伝子の変異は通常筋線
消費を増大させる.ミトコンドリア病のように心筋エネ
ルギー産生に影響を与えるような変異による病態や,
③心尖部肥大型心筋症との関連因子
AMP 活性化プロテインキナーゼ遺伝子のようなカルシ
孤発例の HCM のなかにはとりわけ心尖部肥大型心筋
ウムセンシング装置の変異でも肥大型心筋症類似の病態
症が多く含まれ,HOCM は少ない.心尖部肥大型心筋
を生じるが,心筋エネルギー代謝やカルシウムハンドリ
症の約半数に高血圧を合併し,また,C 型肝炎ウイルス
ングの変化は,JAK-STAT 系のような経路を刺激し心筋
感染と関連したり,サルコイドーシスの心病変として心
7
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
表 5 HCM Phenocopy Genes
Syndrome
左室緻密化障害
Barth 症候群 / 左室緻密化障害
Danon 病
Fabry 病
Forbes 病
Friedrich 失調症
Noonan 症候群
Noonan 症候群
Noonan 症候群 ,LEOPARD 症候群
Noonan 症候群 ,LEOPARD 症候群
Pompe 病
WPW 症候群を合併した心肥大
Gene
DTNA
TAZ
LAMP2
GLA
AGL
FXN
KRAS
SOS1
PTPN11
RAF1
GAA
PRKAG2
Locus
18q12
Xq28
Xq24
Xq22
1p21
9q13
12p12.1
2p22-p21
12q24.1
3p25
17q25.2-q25.3
7q35-q36.36
尖部肥大型心筋症の病態をとる症例もある 29,30).
④ C 型肝炎ウイルス(HCV)との関連
C 型肝炎ウイルス(HCV)は HCM の原因として重要
であることが示唆されている
31)
.さらに HCV 抗体陽性
Protein
a -dystrobrevin
Tafazzin (G4.5)
Lysosome-associated membrane protein 2
a -galactosidase A
Amylo-1,6-glucosidase
Frataxin
v-Ki-ras2 Kirsten rat sarcoma viral oncogene homolog
Son of sevenless homolog 1
Protein tyrosine phosphatase, non-receptor type 11, SHP-2
V-RAF-1 murine leukemia viral oncogene homolog 1
a -1,4-glucosidase deficiency
AMP-activated protein kinase
②予後
1982 年(昭和 57 年)の厚生省特定疾患特発性心筋症
調査研究班の報告では HCM の 5 年生存率および 10 年生
存率は,それぞれ,91.5 %と 81.8 %
で,約 20 %の患
41)
の HCM の病型としては,非対称性中隔肥大,閉塞性肥
者が診断後 10 年以内に死亡するので,一概に,予後良
大型心筋症,心尖部肥大型心筋症,拡張相肥大型心筋症
好とは言い切れない.女性患者の方が男性よりも予後が
の 病 型 を と る こ と が 示 さ れ て い る.HCM で は
悪い 42).
DQB1*0303,DRB1*0901 といったヒト主要組織適合性
HCM における疾患関連死の原因としては突然死,心
抗原(MHC)のクラスⅡ抗原との関連が示されている 32).
不全死,主に心房細動による塞栓症による脳卒中が主な
2
罹患率と予後
ものである.2002 年に我が国で行われた大規模な疫学
調査では HCM の年間死亡率は 2.8 %であり,死因とし
ては不整脈が 31.9 %,心不全が 21.3 %であった 40) .欧
①有病率
米の HCM における疾患関連死亡 86 例の解析 43)では,突
HCM の有病率に関しては,10 万人あたり 19.7 人から,
然死が 44 例(51%),心不全死が 31 例(36%),脳卒中
1,100 人まで,対象や調査方法の違いによりばらつきが
死が 11 例(13 %)にみられた.突然死は若年者を中心
.調査対象者全員に心エコー図検査
にみられその平均年齢は 45 歳であり,心不全死は中年
を行うスクリーニング法はより見落としが少ないと思わ
以降に多く平均 56 歳,脳卒中死は平均 76 歳と高齢者に
れ,この方法による有病率は我が国で人口 10 万人あたり
多くみられた.
極めて大きい
33)-38)
374 人,米国で 170 人で,HCM は稀な疾患ではない 34),37).
厚生省特定疾患特発性心筋症調査研究班が行った,病
表 6 肥大型心筋症患者の男女別年齢分布
院へのアンケートによる全国疫学調査(平成 10 年)では,
全国推計患者数は 21,900 人,有病率は人口 10 万人あた
り 17.3 人である 39,40).HCM 患者の男女比は 2.3 と男性
が多く,年齢別分布は男女ともに 60 ~ 69 歳にピークを
示した(表 6)39),40).30 歳未満では有病率に性差が認め
られず,常染色体優性遺伝形式に矛盾しないが,30 歳
以降では男性の患者数が多く,中高年男性に心尖部肥大
型心筋症が多いことや医療機関の受診機会の男女差を反
映している可能性もある.
8
年齢
0~9
10 ~ 19
20 ~ 29
30 ~ 39
40 ~ 49
50 ~ 59
60 ~ 69
70 ~ 79
80 以上
合 計
男 性
11
55
39
61
152
348
506
267
51
1,490
(0.7)
(3.7)
(2.6)
(4.1)
(10.2)
(23.4)
(34.0)
(17.9)
(3.4)
(100.0)
患者数(%)
女 性
14
31
31
20
50
101
184
163
50
644
(2.2)
(4.8)
(4.8)
(3.1)
(7.8)
(15.7)
(28.6)
(25.3)
(7.8)
(100.0)
合 計
25
86
70
81
202
449
690
430
101
2,134
(1.2)
(4.0)
(3.3)
(3.8)
(9.5)
(21.0)
(32.3)
(20.1)
(4.7)
(100.0)
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
44)-46)
HCM における突然死の危険因子を示す(表 7)
.
さらに複数の遺伝子変異を持つ症例も報告されてお
心室性不整脈,失神,突然死の家族歴,著しい左室肥大
り,なかでも 3 種類の変異が確認された 4 症例では,若
などが主要な危険因子であり,拡張相肥大型心筋症,左
年発症で,肥大も著しく,拡張相肥大型心筋症への移行
室流出路狭窄,広範な線維化なども関与する.また修飾
や不整脈による ICD 植込みが必要な例がほとんどであ
可能な因子として激しい運動や冠動脈疾患があげられ
り,複数の遺伝子変異の予後に与える意義の大きさを示
る.また,心不全や脳卒中の発症には,拡張相肥大型心
している 54).
筋症への移行や心房細動の併発が深く関与している 47).
我が国に多い心尖部肥大型心筋症は,時に長い経過で
HCM においては同一の変異を有する家系内や,同一
左室収縮能障害を来たし心不全に陥る症例もみられるが,
の変異を有する異なる家系毎に,変異の浸透率,発症年
概ね予後良好である.他方,拡張相肥大型心筋症の 55)-57)
齢,重症度などの臨床型は多様である.さらに環境因
出現率は約 5 ~ 10 %と報告され 55),58)予後は特に悪く,
子,性別,遺伝的修飾因子などが,臨床型の多様性に関
心臓移植の適応ともなりうる 59).
与している.しかし遺伝子型と臨床型の対比により,遺
伝子型により生命予後などの臨床型が明らかに異なる場
3
病態生理と血行動態
1
左室拡張能
合があることが報告されており,疾患の理解に有用であ
る.例えば心筋βミオシン重鎖遺伝子(MYH7)の変
異による HCM は比較的若年発症であり,肥大の程度も
著 し い こ と が 多 い.MYH7 の Arg403Gln 変 異 に よ る
HCM では左室収縮機能が正常で,左室内径が正常あ
HCM で は 突 然 死 や 心 不 全 の 発 症 が 多 く,MYH7 の
るいは縮小している場合においても左室充満圧は上昇
Arg719Trp による HCM は心不全の発症が多い.また心
し,左室の弛緩,伸展性に障害がみられる 60,61).左室の
筋トロポニン T 遺伝子変異による HCM は肥大の程度が
拡張障害は安静,負荷時にかかわりなく,また,左室内
軽度であることが多く,心筋ミオシン結合タンパク C 遺
圧較差の有無,症状の有無や肥大心筋の分布様式とも無
伝子変異による HCM では浸透率が低い傾向にあり発症
関係に存在する 62,63).左室の軽度肥大例や局所的な肥大
年齢が高い傾向にあることなどが報告されてい
を来たしている症例でも拡張不全がみられることより,
る
20),46),48)-53)
.しかし多様性が HCM の特徴の一つであ
非肥大部位においても何らかの心筋組織変化が存在し 64),
り,予後良好とされた変異が病因の家系において突然死
肥大の程度に応じて拡張機能障害の程度は局所的に異な
が多くみられることや,予後不良とされた変異を病因と
る 65)と考えられる.
する家系において疾患関連死が少ないことがあることな
どの報告もあり,遺伝子変異から生命予後を推測するこ
とには現在のところ限界がある 20),46),52).
①拡張障害の機序
左室の弛緩は,左室への負荷条件,カルシウムイオン
の筋小胞体による取り込み様式,左室壁運動の時間的・
表 7 突然死に関する危険因子
主要な因子
・心停止(心室細動)
・自然発症の持続性心室頻拍
・突然死の家族歴
・原因不明の失神
・著しい左室肥大(左室壁厚≥ 30mm)
・ホルター心電図による非持続性心室頻拍
・運動に伴う血圧反応異常
可能性のある因子
・拡張相肥大型心筋症
・左室心尖部心室瘤
・左室流出路狭窄
・MRI による広範な遅延造影像
・心房細動
・危険度の高い遺伝子変異
修飾可能な因子
・激しい身体運動(競技)
・冠動脈疾患
空間的な不均一性(asynchrony, asynergy)などに依存
している 66)-73).心筋の肥大,左室重量の増加に伴い心
室の容積は減少し,心筋の線維化,走行の異常(錯綜配
列)によっても心筋スティフネスは増大する 74).その結
果,心室容量のわずかな増加により拡張期圧は容易に上
昇を来たすようになり,HCM の左室の圧―容量関係は
図 3 のように左上方にシフトする 75).
②血行動態
HCM においては左室拡張末期圧・平均左房圧は上昇
し,左室弛緩の障害により拡張期急速流入期の左室充満
は障害をうけ,その結果心房収縮は亢進してしばしば大
きな第 4 音を聴取し,パルスドプラ法では左室流入速波
形にて心房収縮期波は増高する.心プールシンチによる
左室容量曲線では拡張早期充満率の低下,左室圧曲線で
9
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
図 3 肥大型心筋症の圧ー容積関係の特徴
100
左室圧
(mmHg)
健常心
HCM
左室容積(mL)
は左室圧下降の時定数(time constant:Tau, t)の延長が
偏位し,駆出率は正常かやや大きめとなる.また,血液
観察され,左室圧一次微分曲線では左室等容弛緩の指標
駆出速度は増大し,拍出量の大半は早期に終了する 79)-84).
である最大陰性 dP/dt(peak negative dP/dt)は低下する.
HCM の個々の心筋細胞の収縮能は低下していても,肥
大とリモデリングによって,心臓全体としてのポンプ力
③拡張障害の進行
が維持され,あるいは亢進することはあり得る.
左室弛緩障害のある症例ではしばしば左房の拡大も進
HCM のうち約 5 ~ 10%の症例で約 10 数年の経過とと
行し,洞調律から心房細動を来たす.心房細動による心
もにしだいに左室内腔が拡大し,左室収縮能が低下して
房収縮の消失は,心拍出量の低下から血行動態の破綻に
くる(左室駆出率 50% 未満)17).これを D-HCM と呼ぶ.
つながる.特に HOCM における心房細動の出現は急性
遺伝子異常の関与が示唆されている 16).HCM に比べて
心不全を惹起することがある.さらに,洞調律例では著
心不全死や突然死を来たす頻度が高く予後不良である 17).
明な左房圧,左室拡張末期圧上昇により,拘束性の拡張
障害を来たす 76).
左室流出路狭窄
HOCM は,HCM 全体の約 25 %程度とされている 85).
④右心系への影響
左室内のどの部位がどの程度の拡がりで肥厚するかによ
HCM では左心系のみならず,右心系の拡張性も障害
って,閉塞部位や重症度が異なってくる.最も頻度の多
をうけ,平均右房圧,右室拡張末期圧も軽度上昇がみら
いのは左室流出路狭窄を示すタイプである.
れる場合がある.時に右室壁の肥大による右室流出路の
狭窄がみられ,約 25 %の症例においては平均左房圧の
上昇に伴い軽度~高度の肺高血圧が観察される 70),71).
2
左室収縮能
HCM では拡張不全が主病態で,収縮能は一般的には
保持されている
66),77)
.左室拡張末期容積は正常かいく
ぶん小さめで,収縮末期容積は小さくなっている 77),78).
HCM の圧容積軌跡は図 3 のように正常に比し左上方に
10
3
①病態生理
左室流出路狭窄の形態学的な特徴として,以下の 3 つ
が挙げられる.
①心室中隔の肥厚
②僧帽弁の拡大と伸長
③僧帽弁前尖に連なる乳頭筋付着部の異常(乳頭筋の前
方偏位)と各乳頭筋間の狭小化
僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)が生じる原因とし
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
て以下の機序が推測される.
表 8 様々な介入による肥大型心筋症における流出路圧較差および収縮期雑音の変化
①狭窄した流出路を,血液が高速で通過して生じる陰圧
収縮性
圧較差および雑音を増強させる因子
Valsalva 手技
-
立 位
-
期外収縮後
↑
β刺激薬
↑
ジギタリス製剤
↑
硝酸薬
-
労 作
↑
頻 脈
↑
脱 水
↑
圧較差および雑音を減弱させる因子
Muller 手技
-
躑 踞
-
α刺激薬
-
β遮断薬
↓
全身麻酔
↓
ハンドグリップ手技
-
により,僧帽弁が中隔に引っ張られる(Venturi 効
果)86).
②乳頭筋の前方偏位のため,収縮により僧帽弁が中隔側
に引っ張られ,流出路内に偏位する 87).
③前尖が伸長して,前尖の体部が後尖と接合するため,
前尖先端部に余剰部分が生ずる.また乳頭筋間が狭小
化して,前尖中央部に付着する腱索にたるみが生じる
ため,僧帽弁先端部(特にその中央部)は緊張がなく
なり,流出路の血流の影響を受けて中隔に押し付けら
れる.
また SAM のため,僧帽弁前尖と後尖の接合は破綻し,
僧帽弁逆流(MR)を生ずる 88).僧帽弁自体に器質的異
常が存在する場合には,SAM の程度と MR の程度は必
ずしも相関しない 66).また,この逆流血流は,SAM を
終了させる 1 つの因子として働く(reverse Venturi force).
前負荷
後負荷
↓
↓
↑
↓
↓
↓
↑
↓
↓
↓
-
-
↓
-
↓
↑
-
↓
↑
↑
-
↑
-
-
↑
↑
↑
-
-
↑
(Braunwald E : Heart disease : A Textbook of Cardiovascular
Medicine. 5th ed. pp1420, WB Saunders Company, 1997 を改変)
②血行動態
HCM の流出路狭窄は,大動脈弁狭窄(AS)などと違
ることによる.その重症度は,収縮性,前負荷,後負荷
い,収縮早期には狭窄が存在しないため,大動脈圧波形
により影響を受けるが,SAM や MR は生じない 66).
の立ち上がりは急峻となり,頚動脈波形にて遅脈を示さ
最近心尖部肥大型心筋症の中で,心尖部レベルで内腔
ない.また弁性狭窄と異なり,流出路の圧較差は種々の
閉塞が起こり心尖部心室瘤を形成するタイプがあること
要因により非常に変化しやすい.特に以下のような変化
が明らかになった 90).
は,心室の容積を減少させ,僧帽弁を中隔に近づけ,圧
較差が増強するように働く 6).
4
冠循環
①収縮性の増強
HCM では冠動脈は拡張傾向にあり,狭窄性病変を認
②前負荷の減少
めないにもかかわらず,胸痛,胸部圧迫感などの臨床症
③後負荷の減少
状や異常 Q 波,著しい ST-T 変化などの心筋虚血所見が
このような流出路狭窄の程度は 70 %の症例でかなり
しばしばみられる 91).
動揺すること,大半の HCM には何らかの閉塞機転が働
き症状発現に関与することが最近報告されており 89),安
①心筋虚血との関連性
静時に圧較差が僅かで(< 30mmHg)種々の手技・薬
HCM の単位心筋重量当たりの血流量は健常者に比
物 に よ り 誘 発 さ れ る( > = 30mmHg) 例 は 潜 在 的
し,安静時でも少なく,負荷により,胸痛および心電図上
HOCM(latent HOCM)と称される.
ST の低下,心筋での乳酸産生などの心筋虚血が誘発さ
圧較差を増強及び減弱させる手技,薬物(表 8)により,
れる 92)-96).心筋血流シンチグラフィを用いた検討では,
収縮期雑音の音量は容易に変化し,また心エコー法にて
肥大部の灌流は不均一で,灌流低下を示し,心筋肥厚部
も,圧較差の変化を確認できる.
を中心に一過性欠損像が出現することがある 96)-102).
③その他の閉塞型
ま た, ジ ピ リ ダ モ ー ル 負 荷 を 用 い た PET(positron-
emission tomography)の検討により,HCM において微
通常の左室流出路狭窄(HOCM)とは異なる部位の
小循環の障害が存在し,その重症度が HCM 患者の予後
肥大によって閉塞を生じる型もみられる.心室中部閉塞
に関係することも報告されている 103),104).さらにガドリ
型心筋症(midventricular obstruction)は,左室中部で
ニウムを用いた MRI の検討により,心内膜側に高度の
閉塞機転を生じるタイプであり,肥大した乳頭筋が収縮
灌流低下を認めることが示されている 105).
期に偏位することにより左室自由壁との間で狭窄をつく
11
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
②冠血流速波形の特徴
Ⅱ
HCM では,右冠動脈や左回旋枝の冠血流波形は正常
診断
とほぼ同様であるが,左前下行枝の血流波形は,
(1)収
縮期血流成分の著明な減少や逆流波の存在,
(2)拡張期
HCM の診断手順を図 4 に示す.
開始から拡張期最大血流速度に至るまでの時間の延長な
1
どが特徴で,心筋の著明な肥厚あるいは過剰収縮による
自覚症状・身体所見
収縮期冠血流の障害と左室弛緩特性の低下による拡張早
期の冠血流障害を反映する.また,冠血流予備能は低下
する 106 -108).高周波探触子を用いた心筋内小動脈血流シ
①自覚症状
グナルの観察では,心筋内小動脈の流速は一般に心外膜
HCM 患者では無症状の患者もあるが,多くは心臓の
冠動脈より高値を示し,また収縮期逆流シグナルが高頻
異常に関連した何らかの症状を有している.HCM 患者
度に認められる.また,しばしば加速血流シグナルが認
の自覚症状は大きくは胸部症状と脳症状に2分すること
められ,心筋内小動脈狭窄病変の存在が考えられる 109).
ができる.
1)胸部症状
③冠循環障害の機序
胸痛は HCM 患者の症状として非常に多い.胸痛や胸
冠循環障害の機序としては,(1)冠小動脈の中膜・内
部絞扼感は相対的心筋虚血が原因のことが多い.冠小動
,(2)心筋内
脈病変の存在,冠攣縮 115),116)や冠動脈の狭窄の可能性も
膜肥厚および血管拡張予備能の減少
110),111)
冠血管特に中隔枝の心筋による圧迫狭窄 112),113),(3)左
ある.HCM 患者に対して亜硝酸薬は禁忌薬であり冠動
室弛緩障害による拡張期冠血流の低下,
(4)左室流出路
脈の異常が示唆されるときには冠動脈造影検査を行い適
狭窄による左室内圧亢進,
(5)肥大による毛細血管密度
切な治療法を選択することが必要である.
113)
,
114)
.
呼吸困難を訴える HCM 患者も多い.左室拡張障害に
また,心筋虚血は左室弛緩を障害するため,左室拡張
伴う左室拡張末期圧の上昇による肺毛細管圧の上昇,ま
期圧をさらに上昇させ,冠灌流を低下させて一層心筋虚
た左室内腔の狭小化による低心拍出量などが呼吸困難の
血を生じやすくし,悪循環を生じる.その結果,心収縮
出現に密接に関連しているものと考えられる.特に,心
性や心拍数の増加時には心筋虚血の誘発される可能性が
拍数の増加を伴う労作時には労作に見合った心拍出量の
高い.
増加のないことが呼吸困難感の出現に密接に関連してい
の減少や心内膜下心筋灌流の制限などが関与する
図 4 肥大型心筋症の診断手順
症状・検診
病歴聴取
身体所見
心電図
胸部X線
肥大部位の検出
収縮能・拡張能な
ど心機能のチェッ
ク
心エコー図
ドプラ法
核医学検査
CT,MRI
心臓カテーテル検査
冠動脈造影
心内膜心筋生検
遺伝子診断
確定診断
12
除外診断
弁膜症
先天性心疾患
高血圧性心疾患
虚血性心疾患
代謝性疾患
全身性系統疾患
アミロイドーシス
Fabry 病など
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
る 117).
見上の特徴を確認しなければならない.①駆出性収縮期
動悸は,不整脈,頻脈,あるいは収縮力の増大に伴う
雑音であり,狭窄部を通過する渦流によるもので漸増漸
過収縮に起因していることが多い.HCM 患者では上室
減性である.雑音は胸骨左縁第Ⅳ肋間から心尖部にかけ
性あるいは心室性不整脈に伴う動悸のことが多い.稀な
て最強点を認め,頚部への放散は無いか,あっても弱い.
らず,発作性心房細動や持続性心房細動による動悸もあ
雑音の程度は流出路圧較差の程度に左右される.したが
り,ホルター心電図などを用い適切な診断を行うことが
って,様々な因子や薬物により大きく変化する 123).②
重要である.特に HCM 患者が心房細動を合併する場合,
左室流出路狭窄を有する患者では僧房弁逆流を合併する
持続性あるいは発作性を問わず高頻度に血栓塞栓を合併
ことが多い.心尖部あるいは腋窩領域で多くの患者では
することが知られており 118),適切な抗凝固治療が必須
汎収縮期の高調な音として聴取される.③多くの左室流
である.
出路狭窄を有する患者では図 5124)でみられる収縮早期過
2)脳症状 剰心音が確認される 125).この心音は心室中隔と僧帽弁
立ちくらみ,眼前暗黒間,失神などの脳の虚血を思わ
前尖の接触音であり SAM が中隔に接していれば必ず確
せる症状は HCM 患者の重要な症状であり頻度も高い.
認できる.I音と収縮早期過剰心音のタイミングを考慮
また,これらの症状は突然死に至る HCM 患者の既往症
すれば聴診のみで左室流出路狭窄を有する患者の重症度
.これらの脳症状は心室頻拍な
を判定できる 124).④左室流出路狭窄の存在は左室駆出
どの重症の不整脈を有する患者で出現することが多い 120)
時間の延長をもたらす.このため重症狭窄を有する患者
とされているが,必ずしも不整脈は必須ではない 121).
ではⅡ a 音とⅡ p 音の分裂間隔の短縮あるいはⅡ a 音と
左室内腔の小さい患者,左室内圧較差のある患者での発
Ⅱ p 音の時相の逆転
(奇異性分裂)
を示すことがある 126).
生頻度は高い 122).また,左室壁応力の小さくなる状況
心室中部閉塞型患者の左室内圧較差は臨床の場で見落
で発生することが多い.すなわち,血管拡張薬などの禁
とされている可能性が高い 127).心室中部閉塞型患者の
忌薬の使用時,急に起立するとき,飲酒時,また寒いと
聴診所見上の特徴は少なく,心尖部付近でのあまり強く
としても重要である
119)
ころから暑いところへの移動時などに好発する.
ない収縮期雑音を聴取する程度である.HCM 患者では
心室中部閉塞の合併を疑い慎重に圧較差をチェックする
②身体所見
必要がある.図 6 127)は HOCM 患者の頚動脈波の特徴を
1)視診・触診
示したものである.頚動脈波形を記録しておれば左室流
HCM 患者では心房拡大のある場合は心陰影の拡大し
出路狭窄型,心室中部閉塞型とも見落とす可能性はほと
ていることが多く,心尖拍動は外側に位置していること
んどない.
もある.触診で最も重要な所見は左室のコンプライアン
ス低下に伴う強い左房収縮である.左室拍動とともに
2
評価法
1
心電図・ホルター心電図・加算平
均心電図・運動負荷心電図・
M-TWA・臨床電気生理学的検査
66)
double apical impulse として触診できる .この所見は
左側臥位で明瞭に触診できる.Double apical impulse は
HOCM 患者では必発,非閉塞性肥大型心筋症患者でも
その出現頻度は高い.Double apical impulse は HCM 患
者と心筋梗塞患者で多く認められるが,その間隔は
HCM 患者の方が短い.
2)聴診
① 12 誘導心電図
HCM 患者で最も高頻度で聴取される異常音はⅣ音で
HCM の 75 ~ 96%で異常 Q 波,ST-T 変化,陰性 T 波,
ある.左室のコンプライアンス低下に起因する左房収縮
左室側高電位など何らかの心電図異常がみられ 91),128)-130),
音であり,多くの HCM 患者で聴取される.また,Ⅲ音
心電図は感度の高い有用なスクリーニング検査である 129).
も高頻度で聴取されるがこの原因ははっきりしない.非
無症候例の多くは心電図が診断の契機となる.個々の心
閉塞性の患者でも左室流出路が狭い患者も多く,また駆
電図所見は肥大の病型や程度,病期とある程度関連して
出速度が速いことから機能性雑音と思われる収縮期雑音
おり,病態把握の助けとなる.
を聴取することが多い.
一方,その所見は多様でかつ非特異的であり,心電図
HOCM 患者では左室流出路狭窄型と心室中部閉塞型
のみから HCM の確定診断,閉塞性・非閉塞性の鑑別は
の2型が存在する.左室流出路狭窄型では4つの聴診所
できない.
13
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
図 5 閉塞性肥大型心筋症(左室流出路狭窄)における収縮早期過剰心音
収縮早期過剰心音
図 6 閉塞性肥大型心筋症各タイプの頚動脈波形の特徴
A:正常者,B:左室流出路狭窄症患者,C:心室中部閉塞型患者,
D:心室中部閉塞型患者 DN:dicrotic notch
1)QRS 波の異常
②異常 Q 波ならびに中隔性 Q 波の消失
① QRS 波高の増減
異常 Q 波は,小児 HCM の約半数に 132),成人の 25 ~
成人 HCM の 65 ~ 75 %に左室高電位所見を認める.
31%に認められる 91),128).異常 Q 波形成には,中隔の不
非閉塞性肥大型心筋症では,高電位は V5,6 よりも V3,4
均等な肥大と心筋変性の 2 つの成因が推測される 138).
誘導で顕著な例が多い 131).左室肥大所見は肥大が心室
前者は非対称性中隔肥厚による初期ベクトルの不均衡で
中隔に限局するよりも,左室自由壁にもびまん性に広が
あり,幅の狭い深い Q 波を示し,初期中隔ベクトルが左
る例や心尖部肥大型心筋症で出現する頻度が高い 128).
から右方向に向かう場合には V5,6 に,上方向よりで
また,右前胸部誘導の R 波の増高は中隔肥厚の反映と考
あればⅡ,Ⅲ,aVF に Q 波が形成される.中隔に限局し
えられる.
た若年肥大例で異常 Q 波の頻度が高く 128),肥大が左室
左室高電位の頻度は,若年 HCM では低く
高齢者では高くなる
,成人,
.5 年間に 1.0mV 以上 QRS 波が
133)
自由壁へ進展するか,中隔の心筋に線維化が生じれば,
中 隔 ベ ク ト ル の 相 対 的 減 少 に よ り,Q 波 は 減 高 し,
増高する例では,心事故発生の頻度が高いという報告も
HCM の 15%では消失する.また,心尖部肥大型心筋症
ある 134)が,一方,QRS 波の減高をみる例では,心筋の
や右室肥大例では,異常 Q 波を伴わない 139).
変性,線維化を反映する 134)-137).QRS 波の持続的な減
後者は,心筋の変性,線維化による局所の起電力消失
高は D-HCM にしばしばみられ,心室内伝導障害や異常
であり,R 波の減高とともに新たな異常 Q 波が出現する.
Q 波が新たに出現すると予後は不良である
14
132)
136),137)
.
この Q 波は幅広いことが多く,V4-6 誘導にみられる.
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
D-HCM に多い.
狭窄の増強,血管反応異常による血圧低下などの鑑別の
③その他の QRS 異常
ため行う.
軸偏位は 20 ~ 30%に認められ,左軸偏位が多い.心
2)心室性不整脈の評価
室内伝導障害は刺激伝導系の障害を反映する.1 ~ 5 %
ホルター心電図では HCM の 50 ~ 85 %に心室性期外
に WPW 症候群など心室早期興奮が合併し
突然死の原因となる
140)-142)
,稀に
141)
収縮を,20 ~ 28%に非持続性心室頻拍を認める 150)-152).
若年者で少なく,加齢に伴い増加する.ほとんどは無症
.
2)ST-T 変化
候性で,頻拍レート 180/ 分以下が多く,閉塞性と非閉
ST 下降と陰性 T 波は 70 ~ 95%に認められる.機序と
塞性で出現頻度に差はない.持続性心室頻拍の多くは多
しては,心室肥大に伴う心内膜下心筋の相対的心筋虚血,
形性であり血行動態の悪化から失神あるいは突然死に至
肥大心筋の再分極過程の遅延に伴う一次性変化,脱分極
る.他方,持続性単形性心室頻拍は稀であるが,D-HCM
過程の変化に伴う二次性変化などが推測される.ストレ
や左室心尖部心室瘤を有する HCM に合併する 153).
インパターンが多いが,低下の程度は肥大の程度と相関
心室性期外収縮や非持続性心室頻拍は,持続性心室頻
しない.
拍・心室細動のトリガーとなりうることから,非持続性
心尖部肥大型心筋症で見られる左側胸部誘導の高電位
心室頻拍は突然死の危険因子と考えられている 150)-152).
を伴う巨大陰性 T 波は V3 ~ 5 を中心に,1.0 mV 以上で
その感度,特異度はいずれも 70 %前後であり,陰性的
,心尖部肥厚の
中率は 95%以上と高い 150),154)が ,陽性的中率は 20 ~ 25
.心尖部肥大型心筋症の
%と低い.とくに無症候性で頻度の少ない非持続性心室
対称性を示し,しばしば ST 下降をみ
程度が強いほど深くなる
143)
144)
70%では,高電位や巨大陰性 T 波は経過とともに減少,
頻拍は突然死の予測因子とはならないとの意見もある 155).
消失し 135),その原因は肥大心筋の変性,線維化に伴う
一方で,小児や若年の HCM の突然死例には心室性不整
退行性変化と考えられる.
脈のみられない症例も多く,非持続性心室頻拍がないか
時に,左側胸部誘導,Ⅱ,Ⅲ,aVF,あるいはⅠ,aVL
らといって突然死の危険がないとはいえない 156).
誘導に,R 波の減高や幅の広い異常 Q 波を伴う ST 上昇
3)上室性不整脈の評価
を認めることがあり,心筋変性の進行が推測される 145).
HCM のホルター心電図では,30 ~ 50%に心房性頻脈
D-HCM や心尖部心室瘤合併例にしばしばみられる.
性不整脈を認める 152),154)-157)が,多くは非持続性で無症状
3)P 波の異常
である.発作性心房細動の検出率は 5 ~ 15%である 154),155).
左房負荷所見は左室拡張障害による心房負荷を反映す
また,初診時心電図で持続性心房細動を認める頻度は 5%
る.V1 誘導における P 波の陰性成分の大きさは左室拡
であるが,診断 5 年後には 10%以上に増加するという 157).
張障害と相関し
146)
,左房負荷が進行すると心房細動を
HCM の上室性頻脈性不整脈は予後を悪化させる.急
来たす.
性循環不全を起こす直前,直後の心電図では約 10 %に
4)QT 間隔の延長
上室性不整脈を認める 158).さらに,心房細動の合併は
HCM では,しばしば QT 間隔あるいは QTc 間隔の延
血栓塞栓症の頻度を増加させる 157),159).
長を認めるが 147),148),致死的不整脈の発生と直接関連す
4)心拍変動解析
るとする報告はない.また,12 誘導心電図における QT
HCM では,心拍変動全体あるいは迷走神経の指標と
dispersion の増大が,致死的不整脈の発生や突然死の予
される心拍変動成分が低下している 160),161)が,臨床像や
測因子になり得るかのエビデンスはない 148),149).
予後との関連性についての見解は一致していない.
②ホルター心電図
③加算平均心電図
HCM では,心室性あるいは上室性の頻脈性不整脈,
加算平均心電図による心室遅延電位 late potential(LP)
徐脈性不整脈など,多彩な不整脈が発生し,失神発作や
の検出頻度は 15 ~ 30%で,心室頻拍の有無との関連は
突然死,心原性血栓塞栓症の原因となる.不整脈の多く
ある 162),163)が,突然死や致死的不整脈を予測できるかは
は無症状であるため,全例,ホルター心電図の適応とな
いまだ実証されていない.
る.
1)症状の精査
④運動負荷心電図 164)-166)
動悸,めまい,失神などの不整脈を疑わせる場合にそ
HCM 症例に対する運動負荷にて,運動負荷中に血圧
の原因検索,すなわち,頻脈性や徐脈性不整脈,流出路
の上昇反応の弱い症例(25mmHg 未満),持続的に血圧
15
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
低下を示す症例,または回復早期に一時的に血圧低下を
クラスⅡ
示す症例を認める . このような血圧異常反応は,若年症
1.非閉塞性肥大型心筋症患者の失神発作の原因検索
例や突然死の家族歴を有する症例に多く認められ,突然
2.非持続性心室頻拍を認める HCM のうち,連発数
死の主要危険因子の 1 つされている(表 5).しかし,危
の多いものまたは頻回に認めるもの
険因子として評価する場合には対象年齢が制限(40 歳
未満)されるという報告もあるため,全症例にて評価す
クラスⅢ
ることが困難であり限界がある .
1.心室頻拍が見られず,失神発作に見合う圧較差を
認める HOCM
⑤ Microvolt-level T-wave alternans(M-TWA)
HCM 症例における M-TWA 所見として,M-TWA 陽性
と非持続性心室頻拍の存在および心筋内膜病理所見での
錯綜配列の程度が相関することが示されている 167),168).
2
心エコー図・ドプラ法
①心エコー図による評価項目
しかし,M-TWA 陽性所見が,HCM 症例の長期予後(特
HCM の基本病態は,心内腔の拡大を伴わない心筋の
に突然死)の予知予測の指標として有用であるかは未だ
不均等な肥大であり,断層心エコー図により肥大様式の
実証されていない .
形態評価を,ドプラ法により 1)左室流出路狭窄など左
室あるいは右室の閉塞の評価,2)左室拡張能,3)MR
⑥臨床電気生理学的検査
などの合併症の評価を行う.
HCM の電気生理学所見 142),169)として,約半数で洞房
1)肥大の形態・様式からみた分類
伝導時間は延長するが,洞結節回復時間の 1.5 秒以上の
HCM の特徴的な肥大様式は,圧負荷などで説明のつ
延長は 10%以下である.房室結節の伝導障害は少なく,
かない,不均一で,非対称性の心筋肥大であり,心エコ
HCM の 30 %で 55msec 以上の HV 時間の延長を認める
ー 図 所 見 は, 非 均 等 型 の 左 室 壁 肥 厚 asymmetric left
が,約 10 %の例で房室伝導能は逆に亢進している.心
ventricular hypertrophy である.従来用いられてきた非
房期外刺激や高頻度刺激により,約 10 %で持続性心房
対称性中隔肥厚 asymmetric septal hypertrophy(ASH)
(心
細動または心房粗動が誘発され,約 5%にリエントリー
室中隔壁厚 / 左室後壁厚比が1.3以上5),171))という言葉は,
性上室性頻拍が誘発される.
M モード心エコー図が中心の時代には最も重要な所見
無症候性の HCM では,電気生理学的検査による持続
として扱われ,今でもその重要性を軽視してはならない
性心室頻拍の誘発率は高くない.失神,心肺蘇生の既往,
が,肥大の部位は心室中隔のみならず,左室後壁や左室
あるいは非持続性心室頻拍を有する HCM での持続性心
前壁,側壁,右室に局在することがあるので,断層心エ
室頻拍の誘発率も,通常の 2 連早期刺激では 15 ~ 18 %,
コー図にて ASH を呈さない種々の形態が存在すること
3 連早期刺激まで行うと 27 ~ 44 %に上昇するが,その
を考えると,非均等型の左室壁肥厚と表現するべきであ
多くは多形性心室頻拍であり 142),169),170),突然死予測の
る.
特異度は低い.持続性心室頻拍の誘発は心事故予測因子
非均等型の左室壁肥厚は本症以外にも高度の右室負荷
の一つで,これ以外の,臨床所見,血行動態,ホルター
心,高血圧性心肥大,大動脈弁狭窄症などでもみられる
心電図は予測因子とならなかった
169)
が,その心事故予
一方,対称性壁肥厚もまれではない 172).
測の感度は 80 %,特異度 70 %であるのに対し,陽性的
僧帽弁レベル短軸断層心エコー図では,前部中隔に限
中率は 17 %で,電気生理学的検査による突然死の予測
局する肥厚(Ⅰ型),中隔全体の肥厚(Ⅱ型),中隔から
には限界がある.
左室前壁や側壁を含む肥厚(Ⅲ型),前部中隔以外の部
肥大型心筋症における電気生理学的検査の適応
位の肥厚(Ⅳ型)が観察された 173).
特殊型として下記に示す肥大形態が挙げられる.
クラスⅠ
①心尖部肥大型心筋症
1.心停止後蘇生した HCM 患者の原因検索や植込み
心室中隔および左室壁の壁厚が乳頭筋レベル付近から
型除細動器(ICD)の適否の決定
2.加算平均心電図による心室遅延電位を認める症候
性の HCM
心尖部にかけて急激に増大する.心エコー図により描出
が困難な場合には,経静脈性超音波造影剤を用いたコン
トラストエコー図,CT や MRI などの他の画像診断法か
ら総合的に診断する.
16
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
(restrictive pattern)となる 60).これらの波形は左房圧の
②心室中部閉塞型心筋症
収縮期の左室内閉塞が左室中央部にみられ,この前後
上昇が一因と考えられているが,一方,左室拡張期内圧
に圧較差を生じる.心尖部に壁運動異常が観察されるこ
は左室流入血流速波形から予測困難ともいわれ 180),実
とがある.
際に HCM の多くでは,偽正常化波形や拘束型波形を見
③拡張相肥大型心筋症(D-HCM)
ることはまれである.本症における拡張能は,治療評価
経過中に,肥大した心室壁厚が減少,さらに菲薄化し,
や予後に関連する.また組織ドプラ法による僧帽弁輪部
正常収縮ないし過収縮している壁運動が低下,左室内径
拡張早期速度と拡張能との関連性も報告されてきてい
は増大傾向から左室拡大に至り,左室拡張と収縮能障害
る.
からついにはうっ血性心不全など拡張型心筋症と類似の
4)合併症の評価
病態を示す
174)
.壁厚の減少,内径の増大の程度に明確
本症では MR が高頻度に観察され,僧帽弁逸脱症の
な定義はないが,若年成人(20 ~ 40 歳)の 5 ~ 6 年間の
合併もまれではない 95).また,心房細動例では左房内血
経過観察では,壁厚は 25%(平均で 20mm から 15mm へ,
栓が高頻度に発生する.
年 間 1.0 ~ 2.0mm), 左 室 拡 張 末 期 径 は 20 %( 平 均 で
45mm から 55mm へ,年間 1.0 ~ 1.5mm)変化したとい
う 174).左室駆出率も低下するが,元来,多くの症例で
肥大型心筋症または肥大型心筋症が疑われる患者 における経胸壁心エコー図の適応:
は正常以上の収縮をしているため,低下しても正常範囲
クラスⅠ
をわずかに下回る程度である.
1.HCM が疑われる患者における形態診断と血行動態
2)左室内閉塞の評価
的重症度の評価
2.HCM の確定診断患者で臨床病態に明らかな変化が
①ドプラ法
左室流出路を通過する高速血流はカラードプラ像のモ
生じている場合または薬物療法の選択の指針とし
ザイクシグナルとして,また,連続波ドプラ法では,収
ての再評価
縮中期~後期にピークを有する駆出血流速波形として観
察される.簡易 Bernoulli 式を用いて,この駆出血流の
クラスⅡ
最 高 流 速(V) よ り 左 室 流 出 路 圧 較 差(pressure
1.HCM の診断が確定している患者で臨床病態に変化
gradient:Δ P)が推定でき(Δ P = 4V2)175),心臓カテ
ーテル法で求めた圧較差と良好な一致を示す
176)
.左室
流出路血流速波形は僧帽弁逆流血流速波形と酷似する
が,前者は大動脈弁開放時から大動脈弁閉鎖時まで,後
者は僧帽弁閉鎖から僧帽弁開放まで持続し,持続時間の
違いで鑑別する.しかし,両者の血流信号が重なり,鑑
別が困難な場合は high PRF(pulse repetition frequency)
がない患者の再評価
(ただし,年 1 ~ 2 回程度の,経過観察目的に必要
な心エコー図検査を除く)
2.左室機能の計測による予後リスクの層別化
肥大型心筋症または肥大型心筋症が疑われる症例
における経食道エコー検査の適応:
法や経食道エコー法が役立つ.
クラスⅠ
② M モード法
1.臨床症状または経胸壁エコー図で HCM が強く疑
左室流出路狭窄・閉塞例では僧帽弁装置の収縮期前方
運動(SAM)がみられ,この程度が流出路狭窄の程度
)
と密接な関係を示すとされる 177(病態
Ⅰ -3-3 を参照).
われるが,経胸壁エコー図の画質不良のため,左
室流出路および血行動態の観察が不充分な場合
2.重症僧帽弁逆流症または突然の血行動態悪化の原
左室流出路閉塞により駆出血流が途絶する例では,大動
因として腱索断裂が疑われるため,僧帽弁装置の
脈弁の収縮中期半閉鎖がみられる.また,心音図・心尖
詳細なる観察が必要な場合 181)
拍動図を併用した拡張早期時相分析により,HCM と高
3.心筋切除例における術中のモニター 182)
血圧性心肥大の鑑別が可能である 178),179).
4.心房細動を有する例で左房内血栓が疑われる場合
3)左室拡張能の評価
または電気的除細動を考慮する場合
HCM における典型的な左室流入血流異常は拡張早期
波(E 波)の低下,その減速の延長および心房収縮期波
(A 波)の増高であるが,進行すれば,いわゆる偽正常
化 波 形(pseudonormalized pattern)や 拘 束 型 波 形
クラスⅡ
1.HCM の診断が確定している患者で臨床状況に変化
がない患者の再評価
17
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
る 185).
クラスⅢ
1.臨床上安定しており,処置法の変更が考慮されて
いない患者におけるルーチンの再評価
3
心臓カテーテル検査(含,心内膜
心筋生検)
左室造影では,一般に肥大した心室中隔や乳頭筋の左
室腔への突出,内腔狭小化などがみられるが,造影所見
は左室壁肥大様式により異なる.左前斜位での左右両心
心臓カテーテル検査の意義は,心内圧の直接測定によ
室同時造影により,心室中隔をはさんでその形状を詳細
り HCM の拡張期コンプライアンスの低下を,HOCM
に観察することができる.以下に肥大様式の違いによる
では左室内に収縮期圧較差を証明することである.また,
特徴を示す.
冠動脈造影は冠動脈疾患の除外のために,心内膜心筋生
1)閉塞性肥大型心筋症
検は特定心筋疾患との鑑別のために施行される.
大動脈弁直下の左室流出路の狭窄を反映して,正面像
では収縮期に僧帽弁前尖が心室中隔に近づき,これと肥
①心内圧の測定
厚した心室中隔の間で造影剤が薄くなり,W 字型また
1)血行動態的特徴
は V 字型の透亮像を生じる(W sign または V sign).こ
拡張期コンプライアンスの低下は,左室拡張末期容積
の所見は心エコー図で観察される僧帽弁の収縮期前方運
の増加を伴わず,左室圧波形における著明な a 波の増高
動に相当する.右前斜位像では左室下壁から心内腔に突
を伴った左室拡張末期圧の上昇に表れる.肺動脈楔入圧
出する壁肥厚を認め,拡張期にバナナ状を呈する.拡張
は上昇し,有意な僧房弁逆流を伴う例では v 波の増高
期左前斜位像あるいは側面像では大動脈弁直下の肥厚し
がみられることもある.心拍出量は流出路狭窄の強い例
た心室中隔と僧帽弁前尖により形成される逆円錐像
や拡張相にある症例では低下する 91).左室圧一次微分曲
(inverted cone)を認める.左室形態の異常や僧帽弁の
線からみた左室等容弛緩の指標である左室圧下降速度
収縮期前方運動に加え,しばしば僧帽弁逆流を示す.
(peak negative dP/dt)
は健常者に対して HCM では低下し,
2)心尖部肥大型心筋症
左室圧下降の時定数(time constant T)は延長する 183).
中隔下部から心尖部の心筋が著しく肥厚し,拡張期に
左室駆出率などの収縮機能は,心室全体としては正常
は左室腔は上・中部では狭小化せず丸く,心尖部で急に
あるいは亢進し,HCM の心臓のポンプ機能は保たれて
内腔が狭くなりトランプのスペード型となる.収縮期に
いる.しかし,心筋の収縮性そのものが正常または正常
心内腔が先細りとなり心尖部が消失したようにみえる189).
以上であるか否かについてはいまだ定説はない 184).
3)心室中部閉塞型心筋症(midventricular obstruction)
2)左室流出路圧較差
左室中央部の心筋肥厚により左室腔は中央部が細くく
左室内圧較差は,透視下に左室心尖部,体部,大動脈
びれて心尖部でかえって広く,砂時計状あるいは瓢箪型
弁下部,大動脈の圧を順次に記録する引き抜き圧曲線,
を呈する.
あるいは左室圧─大動脈圧の同時記録により求められ
る.左室流出路閉塞は,安静時あるいは薬剤負荷や運動
負荷により 30mmHg 以上の左室流出路圧較差がみられ
た場合と定義され
185)
③冠動脈造影
ほとんどの症例で,起始部より末梢にいたるまで内腔
,経皮的中隔心筋焼灼術の適応基
拡張がみられかつ著しい蛇行をみる.さらに心筋内に貫
186)
.収縮期圧較差を有する症例の大動
通する中隔枝や,左前下行枝本幹の近位部と中間部の移
脈圧波形は急峻な立ち上がりの後,駆出早期にスパイク
行 付 近 で, 心 筋 が 収 縮 期 に 冠 動 脈 を 絞 る myocardial
を形成後下降し,再び弧状ないしドーム状に上昇し二峰
squeezing 現象が HCM の約 1/3 に出現する 190).
準となっている
性(spike-and-dome 型)となる.また,左室流出路狭窄
を有する症例に右室流出路狭窄を認めることもある 187).
18
②心血管造影
④心内膜心筋生検
心室性期外収縮後の心拍で,長い代償性休止期により前
1)生検標本の病理形態学
負荷が増大し,左室収縮力が増大することにより左室流
種々の染色による光顕的検索,さらに電顕的検索によ
出路圧較差が増加するため大動脈圧が低下する
ってより詳しい情報が得られる 191).光顕では心筋細胞
Brockenbrough 現象は,HOCM に特徴的である 188).安
の肥大と,錯綜配列,および間質の線維化が認められる
静時の左室流出路閉塞は,肥大型心筋症患者における心
が,いずれも特異的病変とはいえず,錯綜配列は二次的
不全症状への進行や死亡に対する独立した予測因子であ
な心肥大や高血圧性心疾患,拡張型心筋症,心筋炎後の
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
状態にも観察される 192).錯綜配列は心筋中層に認めら
態的な非対称性肥大の診断が可能である 195)-197).また,
れるため,心内膜心筋生検で採取されない可能性がある.
心電図同期収集を行えば,左室局所の収縮能を評価でき
HCM に比較的特徴的な所見として,心筋変性や奇妙な形
る 198).
(bizarrely shaped)の肥大した心筋細胞の所見を示す 193).
HCM では,負荷タリウム心筋シンチグラフィにて見
2)適応
られる再分布現象や固定欠損などの血流異常所見は冠動脈
原因不明の心疾患患者において心内膜心筋生検により
硬化病変以外にも,冠血流予備能の低下,心筋細胞壊死,
原因が特定されることはあるが,すべての HCM の患者
心筋組織の線維化,瘢痕化などを反映している 93),97),199)-205).
に生検を行うことに関しては議論がある.1989 年に提
固定欠損は,失神の既往,左室腔,左房径の拡大,左
唱された指針では生検の適応は,二次性心筋症の鑑別診
室収縮能の低下,最大酸素摂取量の低下と関連する.ま
断-心肥大を来たす諸疾患(アミロイドーシス・Fabry
た,MRI で評価されるガドリニウムの遅延造影効果と
病・サルコイドーシス・ミトコンドリア疾患・糖原病な
の関連性も報告されている
ど)の診断あるいは除外-および生命を脅かす心室性不
症症状とは関係しないが,左房径の拡大,左室壁厚の増
整脈である 194).
大と関係し,左室収縮能が保たれている症例で見られる
206)
.再分布は必ずしも狭心
ことが多い 99),207).
肥大型心筋症の診断,評価のための心臓カテーテ ル検査の適応
若年者で可逆性欠損を示す患者は致死的不整脈のハイ
クラスⅠ
血流イメージングと予後が実際に関連するか否かについ
1.冠動脈疾患の鑑別のための冠動脈造影
ては,一定の見解は得られていない 207),209).
2.二次性心筋症の鑑別のための心内膜心筋生検
2)心筋脂肪酸代謝イメージング
3.心エコー図で評価不能の HCM 症例での以下の病
I-123-15-(p-iodophenyl)-3-(R,S)-methylpentadecanoic
態
リスク群である 208).一方,成人症例において負荷心筋
acid(BMIPP)は心筋の脂肪酸代謝状態に応じて心筋細
◦心室の形態,機能診断
胞に摂取され保持される.
◦ HOCM に対する二腔ペーシングの効果の評価
HCM においては,BMIPP の欠損は,心室中隔の前壁
◦ HOCM に対する外科的治療の術前術後の心室
側および後壁側の右室自由壁付着部に好発し,その程度
の形態,機能診断
◦薬効評価
は心筋細胞障害の程度を反映する 210).心筋血流トレー
サーと比較してより高度な BMIPP の取り込み低下(ミ
スマッチ現象)は HCM ではしばしばみられるが,左室
クラスⅡ
肥大を来たす他の疾患(高血圧性心疾患など)では見ら
1.心エコー図あるいは MRI・CT で評価可能な心室
れず,疾患の鑑別に有用である 211)-214).欠損の低下の
の形態,機能診断,治療効果の評価
4
核医学およびその他の画像診断
①核医学検査
程度が強く,範囲が広いほどその後の心事故の発生が多
く,生命予後が不良である 215),216).
3)心筋交感神経イメージング
I-123-metaiodobenzylguanidine(MIBG) は ノ ル エ ピ
ネフリンの類似体であり,心筋に対する神経分布密度と
現在,時間分解能,空間分解能のすぐれた心エコー図
交感神経機能を評価できると考えられている.
法・MRI などの進歩により,HCM の形態的,機能的診
欠損部位は肥大部位と一致し,欠損が強いほど心筋障
断における核医学検査の有用性は相対的に低下したと言
害が強い 217).健常者と比較して中隔心尖部でクリアラ
わざるをえないが,核医学検査では,他の検査法では知
ンスが亢進しており218),219),収縮能および拡張能が低下す
ることのできない,心筋血流や心筋代謝,心筋交感神経
るほど,肥大の程度が強いほどクリアランスが大きい 220,221)
機能の評価が可能であり,予後の推定に有用である.
また,左室全体でのクリアランスの亢進と心室頻拍との
1)心筋血流イメージング
関連性も報告されている 222),223).
塩化タリウム(Tl-201Cl)とテクネシウム(Tc-99m)
4)RI アンギオグラフィ
標識の sestamibi,tetrofosmin のいずれの核種も心筋組
HCM において,平衡マルチゲート法は左右心室腔を
織への集積は,心筋血流量と心筋細胞の量に依存する.
描出することにより形態的に非対称性中隔肥大や,収縮
肥大部はトレーサーの高集積として描出されるので,形
期の左室内腔の狭小化,左室流出路狭窄を検出できる 224).
19
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
また,左室拡張能指標の悪化(最大充満速度の低下,最
得られ,壁運動の変化など機能評価も可能である.ただ
大充満速度までの時間の延長,等容拡張時間の延長)も
し,左室長軸像や短軸像での評価は困難であり,任意の
検出でき,最大充満速度の低下は,HCM の心臓死の予
断面像を得にくいという点では心エコー図や MRI に劣
測因子の一つとなるかも知れない 76),225)-229).
る.また CT や MRI は心電図同期が必要なため,心房細
5)その他
動や不整脈患者での撮像が困難で,呼吸によるアーチフ
心サルコイドーシスではガリウム(Ga-67),ピロリ
ァクトも無視できない.
ン酸(Tc-99m-pyrophosphate)の心筋への異常集積がみ
MRI は,造影剤を用いずに明確に心筋と心腔を分離
られることがあり
230)
, 心 ア ミ ロ イ ド ー シ ス で は Tc-
でき,任意の断面設定が可能で,心エコー図法よりも広
99m-pyrophosphate の心筋への異常集積がみられること
範な部位での心筋壁厚の正確な計測が可能である 238).
がある 231,232).HCM では集積がみられることはなく,
この特性により,MRI は心エコー図法で心肥大の描出
鑑別に有用である.
が困難なことの多い心尖部肥大型心筋症や,側壁に肥大
F-18-fluorodeoxyglucose(FDG)を用いたポジトロン
が限局した心筋症の正確な評価に有用である 239)-241).
エ ミ ッ シ ョ ン ト モ グ ラ フ ィ(positron emission
以上より MRI は左室全体を評価する心筋重量の計測に
tomography(PET))は心筋糖代謝の評価が可能であるが,
適しており,著しく左室重量が増加した症例の予後は不
肥大した心室中隔で,FDG 取り込みが低下 233)-235)ある
良である.ただし,この左室重量と心エコー図法より計
いは亢進
236)
していると報告されている.
肥大型心筋症の診断,評価のための核医学検査の
適応
測された左室最大壁厚との相関は中等度である 242).な
おシネモードにより左室造影のように左室の機能評価も
可能である.
2)組織評価
クラスⅠ
肥大型心筋症では gadolinium の遅延造影効果が 60 ~
1.心エコー図で評価不能な症例での左室の機能診断
80 %の症例で認められる 242)-245).これは肥大部位,特
のための RI アンギオグラフィ
に中隔右室接合部に多く観察され,平均容量は左室心筋
量の約 10%と報告されている 243),244).高リスク群では遅
クラスⅡ
延造影効果の範囲が広範であるとの報告もある 244).特
1.左室の非対称性肥大診断,予後推定のための心筋
に,非持続性あるいは持続性心室頻拍と gadolinium の遅
血流イメージング
2.心筋障害診断,予後推定のための心筋脂肪酸代謝
イメージング
3.心筋障害診断,予後推定のための心筋交感神経イ
メージング
4.心エコー図で評価可能な症例での左室の形態,機
能診断のための RI アンギオグラフィ
5.心アミロイドーシス,心サルコイドーシス除外の
ためのピロリン酸シンチグラフィ
6.心サルコイドーシス除外のためのガリウムシンチ
グラフィ
7.心筋代謝障害診断のための FDG-PET
② CT・MRI
Gadolinium の遅延造影効果と予後に関するいくつか
の報告では,本所見と心臓死・持続性心室頻拍・心室細
動・植込み型除細動器の適切作動などとの間に有意の関
連性を認め,HCM の独立した予後推定因子である可能
性 が 示 唆 さ れ て い る 242),245). た だ し,HCM に お い て
gadolinium の遅延造影効果は高頻度に認められる所見で
あるため,予後推定因子として本所見の広がりに関する
定量評価が必要であるのか,あるいは陰性的中率を重視
するのかなどについて今後の検討を要する 248)-250).
肥大型心筋症における gadolinium の遅延造影効果は
組織学的には線維化に相当すると考えられている
251)
.
この機序を研究するために,組織コラーゲン代謝に関与
するバイオマーカーの測定がサルコメア蛋白関連遺伝子
1)形態・機能評価
異常を持つ HCM 症例で検討された結果,心肥大の表現
HCM の形態診断に心エコー図は必須であるが,とき
型が明らかな症例では,Ⅰ型コラーゲンの産生と分解の
に心エコー図の描出の困難な場合,CT や MRI が有用で
バランスが崩れ,過剰産生にシフトしていると報告され
ある
20
延造影効果の間には有意の相関が認められる 246)-249).
237)
.
ている 252).なお,MRI の遅延造影効果パターンにより
CT では心筋と心腔の区別のため造影剤を用いるが,
多くの心疾患を鑑別できる可能性がある 253).特に非対
近年 CT は,従来よりもさらに空間的解像度の良い像が
称性の心肥大を来たすものとして肥大型心筋症と Fabry
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
病の鑑別は重要であるが,後者の 50 %で心基部後側壁
ガイドラインでも同様に扱われ 258)-262),遺伝カウンセ
に造影遅延効果を認めることは重要である 253).
リングの重要性が以前にも増して重視されている.また,
肥大型心筋症または肥大型心筋症が疑われる患者 の病態把握における CT・MRI の適応:
当然十分なインフォームド・コンセントが必要であるこ
とは大前提であり,さらに,遺伝情報が最高度の個人情
報であることから,その扱いについては極めて厳格な規
クラスⅠ
則のもと,厳重に管理されることが必須とされている.
1.HCM が疑われるが,心エコー図の描出困難な患者
これを受けて日本循環器学会でも「心臓血管疾患におけ
る遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドラ
における形態,機能診断
2.心尖部肥大型心筋症が疑われる患者における形態,
機能診断 254)
イン」(本学会ガイドライン)を作成した 263).したがっ
て,肥大型心筋症の遺伝子診断に当たっては,本学会ガ
イドライン,特にその前文を熟読しておくことが必要で
ある.
クラスⅡ
1.心尖部肥大を除く HCM 患者における形態,機能
診断 254)
2.遅延造影効果による陳旧性心筋梗塞および二次性
心筋症の鑑別
②疾患遺伝子の種類と疾患遺伝子座
HCM の病因は,明らかな家族歴を有する患者の約半
数,家族歴がないか不明な患者の約 15 %で,サルコメ
254)
3.遅延造影効果による患者のリスク層別化
ア構成要素等をコードする遺伝子のいずれかに変異が検
出され(表 4),これらの蛋白の異常が HCM の原因にな
り得ることが判明している 19)-20),27),264).
クラスⅢ
1.撮像時に呼吸・心電図同期の困難な患者
5
遺伝子診断
③家族性肥大型心筋症
肥大型心筋症の約半数は常染色体優性遺伝の家族内発
症であり,このような家族性肥大型心筋症は心筋サルコ
①遺伝子診断に当たって
メア疾患と捉えられている.家族性肥大型心筋症の主な
Seidman らによる肥大型心筋症における心筋 β ミオ
遺伝子異常には,心筋βミオシン重鎖遺伝子(MYH7),
シン重鎖遺伝子点突然変異の発見以来,心筋症での原因
心筋ミオシン結合蛋白 C 遺伝子(MYBPC3),トロポニ
遺伝子の報告が世界各地で行われている
255)
.現在では,
すべての肥大型心筋症の 2/3 で原因遺伝子の特定が可能
である
19)-20),27),256)
ン T 遺伝子(TNNT2)が挙げられ,16 を超える遺伝子
の 900 種以上の変異が報告されている 48),255).心筋 β ミ
. しかし,遺伝子異常を有しながら発
オシン重鎖遺伝子(MYH7)
,心筋ミオシン結合蛋白 C 遺伝
症しない例や臨床像との関連が少ない場合も多い.心筋
子(MYBPC3)の2者で約半数を占めている 19)-20),27),256).
症では遺伝子異常に加え,免疫異常やウイルス感染,さ
)
また,タイチンの変異も報告されている 265[レベル
C].
らに修飾遺伝子や環境因子などの影響も指摘されてお
代表的なものを表 4 に示す 266).心筋βミオシン重鎖遺
り,複合的に発症する可能性が予想されている . 特定心
伝子(MYH7)においては変異アミノ酸の荷電変化や疎
筋症を除き,心筋症における遺伝子解析は研究段階の部
水性が予後と関連するとの報告があり,今後各遺伝子変
分が多く,倫理的問題もあり臨床では日常的には行われ
異と予後の関係が明らかにされていくと考えられる
267)
ない.このため,疾患につながる遺伝情報を取得するに
[レベル C]
. さらに,修飾因子として,重症度や突然死の
あたっては,検査対象者本人の自己決定権,プライバシー
リスクと関連する遺伝子座の特定もすすめられている 268)
の保護,医療機関での守秘義務など,基本的人権に関与す
る事態に慎重に対応することが強く指示されている 257)-262).
2003 年,本邦の遺伝医学関連 10 学会および研究会は,
[レベル C].
④疾患遺伝子異常の検出法
診療行為として位置づけられる遺伝学的検査に関する統
PCR/RT-PCR ダイレクトシークエンス法が用いられ
一したガイドライン「遺伝学的検査に関するガイドライ
る.
ン」を提案した 257).このガイドラインの中では,遺伝
1)家系内集積があり疾患遺伝子検索が希望される場合
学的検査を行う際には事前に“遺伝カウンセリング”を
1 家系で多くの患者がみられ,疾患遺伝子が判明して
行うことが必須であることが明記され,このことは他の
いない場合は,これまでに判明している疾患遺伝子の近
21
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
傍の遺伝子多型を用いて,まず,疾患遺伝子の同定から
た(表 5).詳細に関しては,日本循環器学会「心臓血
始める.
管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関
HCM ではすでに 16 種類以上の疾患遺伝子(表 3)が
するガイドライン」ないしそれぞれの文献を参照された
特定されているので,疾患候補遺伝子から順を追ってス
い.
クリーニングを行う.
1)心 Fabry 病
2)
家族歴が不明または家系内保因者の遺伝子異常が不
Fabry 病はα -galactosidaseA の遺伝子(GLA)異常に
明の場合
よる当該酵素活性低下により生じ,糖脂質代謝異常で,
家族歴が明らかでない場合,または家族歴はあるが家
globotriaosylceramide や galabiosylceramide が血管内膜,
系の他の構成員の DNA が得られていない場合には,発
結合織,心臓,腎臓などに蓄積する.このため,四肢疼
端 者 に 対 し て 疾 患 遺 伝 子 の ス ク リ ー ニ ン グ を 行 う.
痛,アンギオテラトーマ,関節痛,蛋白尿,角膜混濁な
HCM では人種ごと,家系ごとに疾患遺伝子の変異部位
どを現す.心 Fabry 病は Fabry 病の一病型(亜型)で全
が異なっている場合が多く,孤発性変異が確認される家
身症状がなく心異常のみを合併し,心臓の細胞にスフィ
系もある.
ンゴ糖脂質が蓄積し,肥大型心筋症様病態を来たす 269).
肥大型心筋症における遺伝子診断の適応
僧帽弁逸脱・閉鎖不全,大動脈弁閉鎖不全なども見る.
本遺伝子(GLA)が Xq22 領域に存在するため,X 染
クラスⅠ
色体劣性の遺伝形式をとる.女性保因者(ヘテロ接合体)
◦家族性で表現型より遺伝子型が推測できる場合
では酵素活性低下が確認されないため,家族歴も参考と
〈遺伝子検索による遺伝子異常確定の可能性が高い〉
なる.現在まで 11 個以上のミスセンス変異が報告され
1.家族性 HCM で閉塞性,非閉塞性の場合,β ミオ
)
ている 269)-272[レベル
B].
シン重鎖遺伝子の検索
2.D-HCM の場合,トロポニン T 遺伝子の検索
3.次に,頻度の多い心筋ミオシン結合蛋白 C 遺伝子
の検索を行う
4.上記の 3 つの遺伝子でも遺伝子異常が確認できな
根本治療のひとつと考えられる遺伝子組み換えヒト
α -galactosidase A 酵素蛋白を用いた酵素補充療法が開
発され,我が国においては 2004 年 4 月から一般臨床応
用が可能となった.心病変に関しては初期の病変に対す
る有用性が報告されている[レベル B].進行した心病
かったときには,検索可能な環境の場合のみ,上
変に対する有用性はいまだ十分に確認されていない.
記の 3 つの遺伝子以外の疾患遺伝子の検索が推奨
2)糖原病
される
糖 原 病 Ⅱ 型(Pompe 病 )(acid maltase 欠 損:17q21-
q23), Ⅲ a 型(debrancher enzyme 欠 損:1p21), Ⅲ b 型
クラスⅡ
◦家族性であるが表現型から遺伝子型が予測できない場
(debrancher enzyme 欠損:1p21)などにおいて肥大心筋
)
症様の病態をとる 273[レベル
B].Pompe 病では,早期
からの酵素補充療法が有用である[レベル B].
合
◦孤発性でも表現型から遺伝子型が推測される場合
Danon 病は,LAMP-2 遺伝子変異のよる解糖系酵素が
〈遺伝子検索による遺伝子異常確定の可能性は不確実〉
正常なリソソーム性糖原病である.X 連鎖性優性遺伝で,
1.βミオシン重鎖遺伝子,心筋ミオシン結合蛋白 C
男性は,ミオパチー,精神遅滞,心筋症が 3 主徴で,女
遺伝子,トロポニン T 遺伝子の検索
2.上記の 3 つの遺伝子でも遺伝子異常が確認できな
性は主に心筋症のみを呈する.発症は 10 歳代でミオパ
チーが軽症であるため,しばしば肥大型心筋症様の心筋
かった場合,検索可能な環境の場合のみ,上記の
)
肥大で発見される 274[レベル
C].
3 つの遺伝子以外の疾患遺伝子の検索が推奨され
3)ムコ多糖症
る
常染色体劣性遺伝であり,弁膜症が主体であるが,左
室収縮能低下や肥大型心筋症様の病態を認める場合もあ
クラスⅢ:
る.Hurler 症候群(MPS Ⅰ:α - イズロニダーゼ欠損症),
◦孤発性で表現型から遺伝子型が推測できない症例
Sanfilippo 症候群(MPS Ⅲ:ヘパラン -N- サルファター
⑤特定心筋症
ここでは主に「肥大型」となる代表的疾患のみを挙げ
22
ゼ(A 型),α -N- アセチルグルコサミニダーゼ(B 型),
アセチル CoA: α - グルコサミニドアセチル転移酵素(C
型),N- アセチルグルコサミン 6- サルファターゼ(D 型)
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
の 4 種の酵素欠損),Morquio 症候群(MPS:ガラクト
ース 6- サルファターゼ(A 型),β - ガラクトシダーゼ(B
-循環器専門外来のレベル
3.ステップ 3:病態把握,重症度判定を目的とした精密
型)の 2 種の酵素欠損),Maroteaux-Lamy 症候群(MPS
検査-入院も含めた精査のレベル
Ⅳ:N- アセチルガラクトサミン 4- サルファターゼ欠損),
病因に関する検査では,肥大型心筋症様の心肥大を呈
Sly 病(MPS Ⅶ:β - グルクロニダーゼ欠損症)が報告
する疾患の中には,特別な治療法が奏効する可能性のあ
)
されている 275[レベル
B].原因遺伝子が単離されてお
るものが存在するため鑑別が重要である.
り,遺伝子診断は患者・保因者・出生前診断のすべてに
適用できる.
4
4)Noonan 症候群
この 50%は 12q24.1 の領域のプロテインチロシンリン
小児における肥大型心筋症の
診断
酸化酵素遺伝子(PTPN11)の変異による.肥大型心筋
)
症様の病態をとる場合が多い 276[レベル
B].RAF1 遺伝
子変異のある症例では肥大型心筋症の発症率が高いとい
①発見ないし疑診断のきっかけ
)
う報告もある 267[レベル
C].
無症状の場合,小学校および中学校入学時に全員に心
5)Left ventricular noncompaction 心筋緻密化障害
臓検診があり,心電図異常にて偶然本症が発見される.
心室壁の網目状の肉柱形成と深い間隙を形態的特徴と
失神や胸痛による受診,心聴診上の異常,他の理由によ
する心筋症であり,典型例は新生児期に心不全発症し,
る心電図記録ないし胸部 X 線などによって本症が疑わ
心移植の対象となる疾患である.しかし,近年,年長児
れることもある.胸部 X 線は本症の診断特に初期診断の
や成人例も多く報告されるようになり,心不全,不整脈,
きっかけとしての役割は少ない.
塞栓症の合併が特徴的で,長期間無症状のものから突然
学校心臓検診では,予診表に,胸痛,失神の既往があ
死するものまで,臨床経過は多様であることが分かって
る場合には,心電図が正常でも二次検診に呼び,既往症
277),278)
. 原因遺伝子は,新生児乳児例では,TAZ 遺
の詳細および家族歴を聞く.胸痛や失神が運動と関連し
伝子異常が報告され,Barth 症候群と allelic な疾患と報
ている場合,家族歴に突然死がある場合には,さらに検
告されていたが,最近,小児や成人例では,LBD3 遺伝
査を行う.
子やサルコメア遺伝子異常が高率に認められることが報
検診の心電図は,年齢層ごとに正常 282)と比較する.
告されている 279),280). 最近の AHA 分類では,遺伝的要
QRS 波高電位差,左房ないし右房負荷,ST・T 波異常,
きた
素の強い primary cardiomyopathy に分類されている(図
Q 波異常などがあれば,HCM の疑いをもって二次検診
1)
さらに専門的診断へと進む.
3
診断のフローチャート
②小児における診断のフローチャート
HCM の診断の流れ(図 8)を示す.
HCM の診断にあたっては,病歴や身体所見から心臓
カテーテル検査や心内膜心筋生検所見まで,様々な質の
異なる情報を駆使して行うが,心肥大・拡張機能低下 173),
③二次性心筋症の鑑別
成人に比べ小児における肥大型心筋症様の心筋肥大の
の 3 つの病態に留意する
原因は多様である 283).表 9 に小児で遭遇する主な二次
ことが重要である.この過程で心エコー図検査は豊富な
性心筋症を例示する 269),283)-295).このうち,ミトコンド
情報を提供するので,これを軸にするが,最初に HCM
リア心筋症と糖原病は,AHA 分類では遺伝的要素の強
を疑うところから心エコー図検査,さらに病態把握や重
い primary cardiomyopathy に分類されている 291).Pompe
症度評価を目的として行う心臓カテーテル検査を含めた
病と心 Fabry 病は,酵素補充療法が可能であり,早期診
精密検査まで,様々な診断上のステップが存在する.
断が望まれる.また,Danon 病は 10 歳代で発症し,ミ
左室流出路狭窄
281)
,不整脈
152)
HCM 診断の以下のようなステップごとのフローチャー
オパチーが軽症であるため見逃されている可能性が高
トを示す(図 7).
い.
1.ステップ 1:自覚症状から HCM を疑うまで-非循環
器専門医も含めた一般外来のレベル
2.ステップ 2:心エコー図検査で HCM と診断するまで
23
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
図 7 各ステップごとの診断フローチャート
ステップ1:自覚症状から肥大型心筋症を疑うまで
息切れ
呼吸困難
自覚症状
肺うっ血・左房圧上昇
に起因するか?
頚静脈波での a 波増高
心尖拍動の増大
心音:Ⅳ音の亢進
心雑音:収縮期雑音
(肺胞性クラックル)
一般検査
所見
推定される
病態
左室流出路閉塞
に起因するか?
動悸
脈の乱れ
胸部不快感
胸痛
不整脈に起因
するか?
心悸亢進
症状なし
疲労感
心筋虚血に 起因するか?
家族歴,既往歴(検診歴)
,職業歴,嗜好・常用薬
詳細な病歴聴取
身体所見
失神
めまい
脈拍・頚動脈拍動:
2峰性脈波
心雑音:
左室流出路
駆出性雑音
鑑別診断上のポイント
収縮機能不全を
示唆する所見が
ないか?
心電図:
左房負荷 左室肥大 高電位
異常 Q 波 ST-T 変化 巨大陰性 T 波
調律の異常 伝導障害
胸部 X 線写真
正常または軽度心拡大
上肺野血管陰影増強
心肥大
拡張機能低下
左室流出路狭窄
心肥大を来たす
他の疾患を示唆
する所見がない
か?
不整脈
心臓超音波検査
ステップ 2:心臓超音波検査で肥大型心筋症と診断するまで
心臓超音波・ドップラー検査
左室壁運動正常
左室壁厚増大
・非対称性肥大部位の同定
左室内狭窄の有無と部位の同定
・左室内加速血流
・SAM (僧帽弁逆流)
左室拡張機能障害
・左室流入血流速波形
・弛緩障害型パターン
・偽正常化パターン
・拘束型パターン
・組織ドプラー法による僧帽弁輪
部拡張早期速度
(右室収縮期圧推定)
肥大型心筋症
HCM
24
心臓超音波検査における鑑別ポイント
弁膜の異常
弁膜疾患による心肥大
左室壁運動・
壁厚正常
左室拡大・
壁運動低下
“ 心電図異常 ”
拡張型心筋症
DCM
拘束型心筋症
RCM
不整脈源性右室
心筋症
ARVC
拡張相
肥大型心筋症
DHCM
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
ステップ 3:病態把握,重症度評価を目的とした精密検査
左室形態(壁厚部位)
の評価
・Moron 分類の各型
・心尖部肥大型
左室内狭窄の評価
・部位
・程度
・僧帽弁の状態
不整脈評価
左室拡張機能
の評価
心筋虚血
の評価
詳細な家族歴調査
ホルター心電図
心臓超音波・ドップラー検査(経胸壁,経食道)
心電図上の QT 時間,QT dispersion
加算平均心電図による LP
心臓 MR
・左室形態の評価
・心筋傷害の評価
(Gd 遅延造影)
病因に関する検査
運動負荷試験
遺伝子検査 *
内分泌学的・
免疫学的検査
心筋シンチグラム
電気生理学
的検査
心内圧測定,心室造影
冠動脈造影
心筋生検
心臓カテーテル検査
図 8 小児期肥大型心筋症診断のフローチャート
学校検診
一般受診
疑い
失神・胸痛
心電図所見
S34
否定
家族歴,症状,理学所見
心電図,胸部レ線,心エコー図検査
終了
終了
随時受診
否定的
確定的
可能性あり
所見が無い
運動負荷テスト,核医学検査,ホルター心電図
所見がある
種々のリスクがある
心カテーテル検査
管理・治療
オプション
心内膜心筋生検
遺伝子検索
1
Ⅲ
治療
運動
競技スポーツは,症状や左室流出路圧較差の有無に関
わらず,一部の軽いスポーツ(ビリヤード,ボーリング,
ゴルフなど)を除き,禁止する 296),297).失神の既往や突
1
日常生活の管理
然死の家族歴などリスクの高い場合は殊に厳重に注意す
る(表 7)44),296).ただし 30 歳以上で,表 5 の突然死の
リスクが認められない患者では,個々の判断で競技に参
加できる可能性はある.なお,左室内圧較差は運動中よ
25
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
表 9 小児で鑑別すべき二次性心筋症
疾 患 名
Noonan 症候群
LEOPARD 症候群
(multiple lentigines
syndrome)
Pompe 病
Danon 病
Fabry 病
Friedreich's ataxia
糖尿病母体児
(IDM:Infant of Diabetic
Mother)
von Recklinghausen 病
双胎間輸血症候群
(twin-to-twin transfusion
syndrome:TTTS)
先天性筋緊張性
ジストロフィー
ミトコンドリア病
機 序 ・ 全 身 症 状
特異な顔貌,低身長,翼状頚など Turner 症候群と
類似の表現型をとる.
染色体は正常であるが,12q24 への連鎖の報告
がある.
首と体幹部の多発性の黒子,軽度の発育不全,眼
球隔離,目立つ耳介,中等度の感音性唖,性器異
常などの症候群である.Noonan 症候群との類似
性も指摘されている.
酸性α -glucosidase 欠損のため,グリコーゲンが
全身に蓄積する疾患で,乳児型が Pompe 病と呼
ばれる.乳児期前半に発症し,筋力低下のため
frog position をとる.予後不良で呼吸困難や心不
全で死亡する.酵素補充療法が有効である.
LAMP-2 遺伝子変異による解糖系酵素が正常なリ
ソソーム性糖原病.X 連鎖性優性遺伝で、男性ミ
オパチー、精神遅滞、心筋症が 3 主徴.
α -galactosidase 欠損による伴性劣性遺伝の糖脂
質 代 謝 異 常 で,globotriaosylceramide や
galabiosylceramide が血管内膜,結合織 、 心臓 、 腎
臓などに蓄積する.Xq22 上に原因遺伝子座があ
る.小児期以降,四肢疼痛,アンギオテラトーマ,
関節痛,蛋白尿,角膜混濁などを現す.酵素補充
療法が行われている.
進行性家族性の延髄小脳失調
母体の高血糖により胎児高インスリン血症が起こ
り,蛋白合成が亢進して心筋細胞肥大が生じる.
軽度肺動脈狭窄,肥大型心筋症特に閉塞型,PQ
時間延長をみる.
著しい心筋肥厚があり,左室はやや拡大する.心
電図は特徴的で著しい高電位差で PQ 時間が短
い.
筋細胞内の特異な自己貪食空砲を特徴とする.発
症は 10 歳代でミオパチーが軽症であるため,し
ばしば心筋症で発見される.
肥大型心筋症が主で,僧帽弁逸脱・閉鎖不全,大
動脈弁閉鎖不全なども見る.全身症状がなく心異
常だけの例があり,心 Fabry 病と呼ばれる(心
Fabry 病は通常は中年以降の発症となる)
.
肥大型心筋症を高頻度に合併する
5 ~ 30%に心室中隔の非対称性肥厚(ASH)を合
併する.流出路狭窄が血行動態的障害となること
がある.通常生後 1 週間くらいで消失する.
染色体 17q11.2 上の NF1 変異による疾患で,近 肺動脈狭窄,ファロー四徴などが主であるが,肥
年は neurofibromatosis 1 と呼ばれ,カフェ・オ・ 大型心筋症合併の報告がある.
レ斑,多発神経線維腫がある.
一絨毛膜性双胎で両児の胎盤内血管の吻合によっ 受血児では容量負荷から心筋肥厚が起こり,心不
て,一児から他児へ血液の移行が起こる.
全となる.胎内死亡も多く,出生しても治療に抵
抗して死亡率が極めて高い.
骨格筋萎縮,筋力低下,知能低下,白内障などを 伝導系異常,軸偏位など知られている.小児例を
有 す る 常 染 色 体 性 優 性 遺 伝 疾 患 で, 染 色 体 分析した黒崎によれば,心エコー検査を行った
19q13.3 上の myotonin protein kinase をコードす 11 例中 7 例に ASH があり,うち 1 例では肥大型
る遺伝子のトリプルリピートによる.
心筋症であった.
ミトコンドリア遺伝子異常により,骨格筋や心筋 心室壁肥厚をみる.
に形態学的および機能異常を呈する.電顕ではミ
トコンドリア形態異常が認められる.
りも運動直後に高くなるといわれ,失神や突然死は,運動
中のみならずむしろ運動直後に見られるので注意する
298)
.
を対象とし,HCM についてのまとまったエビデンスは
見あたらない.しかし,心室性期外収縮の増加や血管拡
レクリエーションとしては,テニス(ダブルス),ハ
張作用による左室流出路圧較差の上昇にともなう失神 304),
イキングなどの中等度の運動や,ゴルフ,スケートなどの
動悸を伴う心房細動 305)などが報告され,投与を避ける
軽度の運動は安定した状態であれば許可してもよい 299).
のが望ましい.
2
またバルデナフィル塩酸塩水和物(商品名レビドラ),
性生活
タダラフィル(商品名シアリス)の使用に関してトラブ
性交時には心拍数,血圧とも上昇し,運動の二重積は
ルの報告はないが,塩酸シルデナフィルと同様の注意が
約 3 倍に達し
必要である 302).
300)
,Master single step test に匹敵するので,
HOCM ではあらかじめ十分な内科治療を受け,安定し
た状態であることが前提となる 301),302).
なお,シルデナフィルクエン酸塩(商品名バイアグラ)
303)
の使用に関する Consensus Document
26
心 症 状
異形成弁による肺動脈弁狭窄,肥大型心筋症特に
中隔肥厚が強い型,心房中隔欠損などがある.
は,冠動脈疾患
3
妊娠
若年の女性患者では妊娠・出産に際して,血行動態は
変化するため常に潜在的なリスクをともなうことに留意
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
する.しかしほとんどの低リスクの女性患者は安全に妊
娠・出産が可能である
44),306),307)
患者本人および家族を含めた遺伝相談が必要な場合があ
る 319),320).患者と接する個々の臨床医の遺伝学的知識が
.
左室流出路圧較差や MR は増強し,心不全症状の新た
必要であるが,臨床遺伝学専門医や遺伝カウンセラーな
な出現や増悪を伴う 308),309).また,胎児仮死を惹起する
どこの分野の我が国の体制は未だ十分とはいえず,今後
上室性頻拍,血行動態の悪化を伴う心房細動,さらに心
早急に整備される必要がある.
室性不整脈や妊婦の突然死 310),利尿薬投与が必要な呼
なお,日本循環器学会学術委員会作成「心臓血管疾患
吸困難の出現やβ遮断薬による低出生体重児や胎児の
における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガ
などの報告がある.また,重症の不整脈例では,
イドライン」[Circ J(Suppl)2006],遺伝学的検査に対
妊娠後期に DDD ペースメーカーを植え込んだり 312),
する関係学会のガイドライン,日本医学会などによる指
徐脈
311)
ICD を植え込んでの出産の例もある
313)
.一般には経膣
針,見解などがインターネット上のホームページにも収
分娩可能であるが,多量の出血や血管拡張性薬剤・交感
載されており,参照されたい(Ⅱ -2-5 遺伝子診断の項を
神経刺激性薬剤の投与,子宮収縮薬の使用,硬膜外麻酔
参照).
や脊髄麻酔の際に母体・胎児の変化に十分注意しなけれ
ばならない.
2
薬物療法
出産時には心エコー図・ドプラ法による非侵襲的血行
動態のモニタリングが有用である 314).また,出産,産
褥期には,感染性心内膜炎の予防のため,抗菌薬の投与
が考慮されるべきである.
4
飲酒と喫煙
(以下,表 10 薬剤の一覧表参照)
1
β遮断薬
β遮断薬は HCM の自覚症状を改善する対症療法と考
えられるが確立したエビデンスは多くない 321).少なく
飲酒の HCM への影響に関する明らかなエビデンスは
ともβ遮断薬の使用により HCM 患者の左室心筋障害を
現在のところ見あたらない.しかし,HOCM において,
抑制(拡張相肥大型心筋症への移行)することはできず,
少量のエタノール(40%エタノール 50mL)の摂取によ
生命予後の延長に結びつくエビデンスはない 85).過収縮
り,収縮期血圧の低下,SAM の増強,左室流出路圧較
が左室内圧較差の増加に関連している HOCM 患者への
差の上昇が認められ 315),さらにアルコールは,交感神
β遮断薬の使用は非常に有効であり今日でも第一選択薬
経系の亢進を来たし,心拍数を増加させるので,HCM
として問題はない.
全般に好ましくないと考えられる.喫煙の HCM への影
響についても明らかなエビデンスはないが,HCM で喫
煙が冠スパズムの引き金になるという 115).
5
感染予防
①作用機序
心筋収縮力の低下(陰性変力作用)と心拍数の減少(陰
性変時作用)による.
1)拡張機能に対する効果
特に閉塞性では感染性心内膜炎の罹患率が高くなり,
HCM 患者では弛緩障害と左室コンプライアンスの低
抗菌薬の予防内服が必要である 316,317).
下が特徴である.HCM 患者の左室拡張障害には細胞内
6
塞栓症の予防
Ca2+ 濃度の上昇が密接に関連していること 322),また細
胞内 Ca2+ 濃度の上昇そのものが心肥大の程度とも密接
高齢者のみならず,若年者においても心原性塞栓症を
に関連していること 323),324)が明らかになっている.した
起こすことがある.特に心房細動などを合併する場合は,
がって細胞内 Ca2+ 濃度の抑制作用のないβ遮断薬には
抗凝固薬の投与が必要であり,抗血小板薬を併用するこ
左室拡張機能の改善は期待しがたい.事実,多くの臨床
ともある.心房細動を合併しているあるいは心房細動の
研究で active suction に相当する時相の改善効果の報告
既往がある群において脳および末梢動脈塞栓は年間 2.5
はない.しかし,β遮断薬による心拍数の減少作用は
%に見られ,ワルファリン投与は塞栓症の頻度を減少さ
拡張時間を延長させることで左室拡張末期圧の上昇を抑
せる 318).
制することが確認されている 325),326).したがって,頻拍
7
遺伝カウンセリング
臨床遺伝学に精通した遺伝カウンセラーなどによる,
傾向の HCM 患者では使用効果が期待できる.
2)左室流出路狭窄に対する効果
β遮断薬は陰性変力作用により左室内圧較差を減少さ
27
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
表 10 薬剤の一覧表
海外での報告
本邦での一日投与量
β遮断薬 a
ISA
プロプラノロール
ブフェトロール
ブプラノロール
ブクモロール
ベフノロール
ナドロール
チモロール
チリソロール
メトプロロール
アテノロール
ビソプロロール
ベタキソロール
カルシウム拮抗薬 b
120 ⊖ 160 mg/day
Ⅰ類
Ⅱ類
2群
-
50 mg/day
4群
-
40 ⊖ 80 mg/day
20 mg/day
4群
-
ベラパミル
ジルチアゼム
ニフェジピン※
抗不整脈薬 c
ジソピラミド
シベンゾリン
アンジオテンシン変換酵素阻害薬 d
エナラプリル
リシノプリル
60 ⊖ 120 mg/day
15 mg/day
30 ⊖ 60 mg/day
15 ⊖ 30 mg/day
30 ⊖ 90 mg/day
30 ⊖ 60 mg/day
10 ⊖ 20 mg/day
10 ⊖ 20 mg/day
60 ⊖ 120 mg/day
50 ⊖ 100 mg/day
5 mg/day
2.5 ⊖ 20 mg/day
150 ⊖ 300 mg/day
50 ⊖ 100 mg/day
5 ⊖ 10 mg/day
5 ⊖ 80 mg/day
240 mg/day
360 ⊖ 480 mg/day
なし
10 mg(舌下)
120 ⊖ 240 mg/day
600 ⊖ 800 mg/day
260 ⊖ 390 mg/day
300 mg/day(*)
300 mg/day(*)
SOLVD
初期量 5 mg/day
目 標 20 mg/day
実際使用量
Prevention trial 16.7 mg/day
Treatment trial 16.6 mg/day
CONSENSUS
初期量 10 mg/day
目 標 20 mg/day,最大 40 mg/day
実際の使用量 18.4 mg/day
ATLAS
初期量 2.5 ⊖ 5 mg/day
目 標
低用量:2.5 ⊖ 5 mg/day
高用量:32.5 ⊖ 35 mg/day
5 ⊖ 10 mg/day
2.5 mg/day より開始
90 ⊖ 180 mg/day
10 ⊖ 20 mg(舌下)
5 ⊖ 10 mg/day
腎障害・高齢者では 2.5mg/day より
開始
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 e
ロサルタン
カンデサルタン
バルサルタン
保険適応
a:高血圧,狭心症,頻脈
性不整脈
b:ベラパミル:心筋梗塞,
狭心症などの虚血性心疾患
ジルチアゼム:高血圧,狭
心症
28
ELITE Ⅱ
初期量 12.5 mg/day
目 標 50 mg/day
実際の使用量 42.6 mg/day
CHARM
初期量:4 or 8 mg/day
目 標:32 mg/day
実際使用量:24 mg/day
ARCH-J
初期量:4 mg/day
目 標:8 mg/day
実際使用量:8 mg/day
Val-HeFT
目 標 320 mg/day
実際の使用量 254 mg/day
c:ジソピラミド:頻脈性
不整脈
シベンゾリン:頻脈性不整
脈(本剤は米国未発売)
25 ⊖ 100 mg/day
4 mg/day( 重 症 例 で は 2 mg/day)
より開始
維持量:8 mg/day
高 血 圧 症:4 ~ 8 mg/day( 最 大 12
mg/day)
腎障害では 2 mg/day より開始
40 ⊖ 80 mg/day(最大 160 mg/day)
(*)
:期外収縮,発作性頻拍
に対する用量
d:高血圧,心不全
e:高血圧
エナラプリル~バルサルタ
ンの項までは日循の慢性心
不全ガイドライン(2010 年
改訂版)より引用
※急激な血圧低下,反射性
の頻脈などのため,舌下投
与は推奨されない.
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
せ,全身倦怠感,めまい,失神発作などの自覚症状を改
弛緩特性を改善し 322),弛緩異常の原因となる拡張期の
善することが知られている 321).特に,過収縮気味で頻
asynchronous な 壁 運 動 に 対 し 331), 左 室 局 所 の 拡 張 期
拍気味の患者に対する効果が著しい.頻拍を呈する
asynchronous motion を改善する 73),332).
HCM 患者では心筋虚血の改善にもつながる.
2)左室流出路狭窄に対する効果
3)不整脈および突然死に対する効果
β遮断薬による心室内圧較差の減少が不十分な症例で
β遮断薬が失神やめまいなどの症状を改善するとの報
も,ベラパミルあるいはジルチアゼムが有効な場合があ
告はあるが,突然死を減少させるとのエビデンスはない.
る 44).カルシウム拮抗薬は陰性変力作用により,左室流
また,不整脈に対して有効であったとする報告,無効で
出路の圧較差を軽減させるが,一方で,末梢血管拡張作
あったとする報告があり一定ではない.
用により左室―大動脈間の圧較差を悪化させる恐れがあ
HCM 患者の失神時,ショック時の対処法を論じたも
り 329),まれに心原性ショック,肺うっ血,肺水腫や失
のは少ない.昇圧薬やβ刺激薬はむしろ禁忌である.
神発作を来たす 66),333),334).したがって,副作用を十分認
失神時の HCM 患者にβ遮断薬の静脈注射が奏功した報
識し,強い血管拡張作用を有するジヒドロピリジン系カ
告がある
327)
.この患者は過収縮による一回拍出量の低
ルシウム拮抗薬は使用すべきではない.
下が失神の原因でありβ遮断薬の静脈投与で過収縮が
3)不整脈に対する効果
抑制されたのが奏功の原因であった.
慢性心房細動の心拍数のコントロール 66),157),199),331)や
頻拍性不整脈 335)に対してベラパミルは有効である.
②β遮断薬の使い方
4)心筋虚血に対する効果
β遮断薬はβ受容体サブタイプの選択性,内因性交
HCM では明らかな冠動脈狭窄がなくても運動負荷に
感神経刺激作用(ISA)の有無,膜安定化作用(MSA)
より一過性に心筋灌流低下がみられ 99),ベラパミルは拡
の有無,α遮断作用の有無により分類されている.α
張早期の冠血流改善により 61),336),337),運動負荷時の心筋
遮断作用や ISA を有しているものは適応とはならない.
虚血を改善させる 332).さらにベラパミルは冠拡張作用,
β1選択性は非選択性のどちらがより適しているかは現
冠スパズムの抑制作用を有し 338),肥大心の心内膜下虚
在のところは明らかではない.気管支喘息などの誘発な
血を改善させる 333),339).しかし,ベラパミルの陰性変力
どを考慮すればβ1選択性のβ遮断薬が無難であろう.
作用により収縮性を悪化させ,心不全を招来する可能性
また組織移行性の良いβ遮断薬の選択を考慮すれば水
もあり注意を要する 66).
溶性より脂溶性β遮断薬が推奨される.HCM 治療薬と
して左室内圧較差軽減作用,左室拡張機能改善効果,ま
②ジルチアゼム
た左室肥大改善効果を有する薬剤 328)が利用できる今日,
ジルチアゼムは,静脈内投与 339),340),経口投与 341,342)
副作用にのみ注意を払えばβ遮断薬の選択に神経質に
ともに,左室等容拡張時間の短縮,最大左室充満速度
なる必要はない.
2
(PFR)増加,左室圧下降の時定数(Tau)の改善など,
カルシウム拮抗薬
拡張機能を改善させ,ベラパミルと同等の自覚症状と運
動耐容能の改善 343),心筋虚血の改善 344)が認められる.
カルシウム拮抗薬は,特に無症状の患者に対して本剤
一方で,HOCM では,時に血管拡張作用により左室流
を投与すべきか,あるいは本剤とβ遮断薬のどちらを
出路圧較差の増大を来たし 340),左室拡張末期圧の上昇
優先して予防的に使用すべきかについて明確なコンセン
から左房負荷を増強させ,心房細動を誘発したり 345),
サスは得られていない
329)
.また,心臓突然死の予防効
果については明確なエビデンスはない 66).
①ベラパミル
左室弛緩は改善しないとする報告 346)もみられる.
③ニフェジピン
以前はニフェジピンの左室肥大退縮効果 347),血行動
陰性変力作用,陰性変時作用を期待して用いられる 44).
態の改善効果 348)が報告されたが,ニフェジピンの舌下に
1)拡張能障害に対する効果
より末梢血管拡張に伴う左室流出路圧較差の増大 349,350),
ベラパミルは徐拍化による拡張機能の改善を目的とし
肺動脈楔入圧の上昇,収縮期血圧の低下 349),左室拡張
て,β遮断薬により症状の改善がみられない例におい
末期圧の上昇 351)等,血行動態が悪化する症例の報告が
ても有用である
66),329),330)
.
ベラパミルは心筋細胞内カルシウム過負荷を抑制し,
相次ぎ,ジヒドロピリジン系の HCM に対する有用性は
乏しいと考えられている.
29
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
進展が病態と深くかかわり,アンジオテンシン変換酵素
抗不整脈薬
3
阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
①閉塞性肥大型心筋症(HOCM)における効果
Ⅰ a 群抗不整脈薬(ナトリウムチャンネル遮断薬)で
あるジソピラミドは強い陰性変力作用を有し,SAM や
左室流出路圧較差,僧帽弁逆流を軽減することから症状
果が期待される.一方,高齢者で HOCM 類似の高血圧
患者においては,ACEI は禁忌である 360).
①非閉塞性肥大型心筋症に対する効果
を改善すると報告されている 352)-354).その際に,左室
ヒト HCM で確認された心筋トロポニン T の点変異
弛緩時定数は短縮,左室スティフネス係数は低下して左
(Arg92Gln)を導入した HCM モデルマウスにおいて,
室拡張機能の改善が認められ,肺動脈楔入圧および左室
ARB の投与が心筋線維化を抑制する 361).また,A Ⅱタ
.多施設臨床試験に
イ プ 1 受 容 体 の 遺 伝 子 多 型(1166 の 位 置 に お け る
よる長期成績でも,圧較差および自覚症状の軽減効果が
adenine/cytosine の置換)が,臨床上の心肥大の程度の
3 年以上持続することが示され,心臓死には影響しなか
差異に関連する 362).したがって,非閉塞性肥大型心筋
拡張末期圧の低下が認められる
った
355)
356)
.なお,ジソピラミドは抗コリン作用を有する
症 で は, 血 管 拡 張 薬 の 使 用 が 禁 忌 と な ら な い た め,
ことから口渇,便秘や排尿障害などを引き起こすことが
ACEI や ARB は,非閉塞性肥大型心筋症に対する治療手
ある.さらに,房室伝導を促進することから心房細動が
段となりうる可能性がある.また,拡張相に移行した非
出現した際に心室レートが増すため,β遮断薬の併用
閉塞性肥大型心筋症では拡張型心筋症と類似の病態を呈
が望ましい.また,ジソピラミドはナトリウムチャネル
し,心不全に対し ACEI や ARB が選択薬となりうる 44).
遮断作用のみならずカリウムチャネル遮断作用も有する
ため,過量となると QT 延長から多形性心室頻拍を来た
す可能性があり,QT 間隔についてモニタリングが必要
である
44)
.他のⅠ a 群抗不整脈薬については,我が国か
らジソピラミドより抗コリン作用による副作用が少な
く,カルシウムチャンネル遮断作用も有するシベンゾリ
ンの左室流出路圧較差軽減効果が報告されている 126).
②閉塞性肥大型心筋症(HOCM)に対する効果
HOCM では,ACEI や ARB のように血管拡張作用を
有する薬剤は左室流出路狭窄を増強させる可能性が高い
ことから,これらの薬剤の使用は望ましくない.
5
合併する不整脈の管理
また急性効果のみの報告ではあるが,Ⅰ c 群抗不整脈薬
1)心房細動
であるピルジカイニドによる左室流出路圧較差軽減効果
心房細動は肥大型心筋症の約 20%に伴い 363),364),年率
も報告されている
357)
.
②非閉塞性肥大型心筋症における効果
非閉塞性肥大型心筋症におけるジソピラミドの作用に
2%で頻度が増加するといわれる 365).左房拡大が一因と
され,高度の心筋肥大を有する症例に多い 159),366).
肥大型心筋症に伴う心房細動治療の目的は,心拍数の
コ ン ト ロ ー ル と 脳 卒 中 の 予 防, 生 活 の 質(Quality of
ついては,左室収縮性の低下,左室拡張機能の悪化,心
life: QOL)の改善であり,洞調律維持も含まれる.頻
拍出量の低下,肺動脈楔入圧や左室拡張末期圧の上昇な
脈性心房細動は血行動態を悪化させ,息切れや胸痛,失
どを招いたり 355),心房細動時に心室レートを増加させ,
神などを引き起こす.
血 行 動 態 の お そ れ も あ る と い わ れ て い た が, 最 近
心拍数コントロールとしては,カルシウム拮抗薬や
HOCM と同様に,ジソピラミド 358)やシベンゾリン 359)の
β遮断薬で心拍数をコントロールすることにより,血行
治療効果を認めるという報告がある.
動態を保ち,症状の改善が得られる 157),199),366),367).ただ
なお,HCM に合併する不整脈に対する治療アプロー
し HOCM においては,ジギタリスはその狭窄度を強め
チについては別項(2-5 合併する不整脈の管理)で述
ることから禁忌である.なお,限られた例に対しては,
べる.
房室結節アブレーションとペースメーカ植込みが有用で
4
30
(ARB)の,レニンーアンジオテンシン系を抑制する効
アンジオテンシ変換酵素阻害薬・
アンジオテンシⅡ受容体拮抗薬
あるかもしれない.
肥大型心筋症では,心房細動を合併すると脳梗塞のリ
スクが 8 倍になると報告されている 159).発作性,持続
HCM では,組織中のレニンーアンジオテンシン系を
性あるいは永続性の心房細動を伴う肥大型心筋症患者に
介した,心筋線維化や心筋細胞肥大による心筋再構築の
は,経口抗凝固薬を禁忌でない限り使用すべきである 368).
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
心房細動は肥大型心筋症の臨床転帰に係わる因子であ
という報告もある 380)が,単独では弱いとされる 379).さ
る 159,368). 洞調律化のために十分な抗凝固療法,あるい
らに,近年の研究から拡張相(D-HCM),左室心尖部の
は心内血栓がないことを確認したうえで薬理学的あるい
瘤形成(左室中部閉塞に伴うものを含む),左室流出路
は電気的除細動を行う.また,心房細動を合併すると血
閉塞,MRI による広い遅延造影像などが突然死の危険
行動態の破綻を来たすことがあり
157),159),369)
,その際に
)
因子としての可能性を指摘されている379),381)-383(表7)
.
は早急な心拍数コントロールあるいは除細動を行う.
一方,心房細動や電気生理学的検査による持続性心室頻
心房細動の予防には,アミオダロンが最も効果が高
拍・心室細動誘発の誘発性については,突然死の予測性
152)
,
157)
,
370)-372)
.
Ⅰ a 群抗不整脈薬であるジソピラミド+
に限界がある 379),384).また,遺伝子変異についても臨床
β遮断薬の併用は左室内圧較差軽減効果もあり,HOCM
転帰との関連性について調べられてきているが,現時点
い
例では有用である
373)
.他の左室内圧較差軽減効果を示
では突然死の予測性はまだ確立していない 385).β 遮断
すⅠ a 群,Ⅰ c 群抗不整脈薬でも同様な効果が期待でき
薬やベラパミルが経験的に使用されているが,突然死予
るが,その心房細動予防効果および長期予後への効果は
防効果の評価は定まっていない.アミオダロンは不整脈抑制
不明である.近年,心房細動に対するカテーテルアブレ
効果があるものの突然死予防については限界がある150),363),369).
ーション治療の有効性が報告されており,肥大型心筋症
リスクがある例については ICD が最も有効である 386)-388).
も症状や QOL 改善に期待されている 374)-376).ただ,左
房径が大きな例や拡張障害の強い例は再発が多い.現在
肥大型心筋症に合併する不整脈の薬物療法の適応
のところ,限られた例においてのみ適応を考慮する.
クラスⅠ
2)心房粗動
1.心拍数が速く,血行動態に影響する心房細動,心
薬物治療に関しては,心房細動に準ずる.非薬物療法
房粗動
としては,通常型心房粗動に対してカテーテルアブレー
2.発作性上室性頻拍
ションを第一選択の治療として考慮する.
3.症状のある突然死の危険因子を持った非持続性心
3)発作性上室性頻拍
室頻拍
薬物治療として,停止にはベラパミルやジルチアゼム
4.持続性心室頻拍
となどカルシウム拮抗薬や ATP 製剤,Wolff-Parkinson-
White(WPW)症候群合併例にはⅠ a 群,Ⅰ c 群抗不整
クラスⅡ
脈薬あるいはアミオダロンを静脈内投与する.WPW 症
1.症状のある上室性あるいは心室性期外収縮
候群あるいは房室結節リエントリー性頻拍の予防には,
2.無症状あるいは血行動態の安定した非持続性心室
カテーテルアブレーションの有効性が高い.
頻拍
4)突然死
肥大型心筋症に伴う突然死の発現頻度は 1 % / 年ある
クラスⅢ
いはそれ未満といわれ 363),364),377),肥大型心筋症患者の
1.無症状の上室性あるいは心室性期外収縮
死因のなかでは最も多いが,必ずしも突然死の危険性が
2.無症状の徐脈
高い患者は多くない.一般的に,突然死の危険性が高い
例は若い症例(特に 25 歳未満)に多いが,中年以降も
6
治療のフローチャート
認められる.突然死の危険因子として,心停止,心室細
薬物療法の目的は 1)生命予後の改善 2)症状の軽
動あるいは持続性心室頻拍からの蘇生例は,再発の危険
減 3)合併症の予防 にある 331),389)-393).図 9 に HCM
性が高い(年率 10 %程度 378))44).さらに突然死の危険
の治療のフローチャートを示す.症状の有無や,その程
因子として5つの危険因子が知られている
. 1)
44),379)
度,左室流出路狭窄の有無によって適切な治療法の選択
肥大型心筋症に伴う突然死の家族歴(40 ~ 50 歳未満),
2)
が必要となる.
原因不明の失神,3)著明な左室肥大(≧ 30mm),4)
HCM の治療においては無症状例をどのように扱うか
ホルター心電図による非持続性心室頻拍,5)運動中の
が問題となるが,若年発症例や突然死のハイリスクグル
血圧異常反応であり,危険因子の数が増えるほど突然死
ープとされる症例(表 7)では,無症状であっても何らか
の危険性も増すといわれ
,危険因子 2 つ以上で高度,
164)
の治療を講じる必要があると考えられている 150),394),395).
1 つでは中等度となる.なお,非持続性心室頻拍につい
ては,若年(30 歳以下)では独立した危険因子になる
31
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
図 9 肥大型心筋症の治療フローチャート
肥大型心筋症
自覚症状
(−)
不整脈
(−)
心機能正常
自覚症状
(+)
非閉塞性
閉塞性
β遮断薬,カルシウム拮抗薬
+
心不全例:ACE 阻害薬,ARB,
利尿薬
β遮断薬,カルシウム拮抗薬,
ジソピラミド,シベンゾリン
+
心不全例:ACE 阻害薬,ARB,
利尿薬
無投薬で経過観察
ベラパミル(?)
β遮断薬(?)
不整脈
(+)
反応が良好であれば
薬物療法を継続
心移植
外科療法,ペーシング植込み
術,PTSMA
①無 症状例(若年者あるいはハイリスクグループ ではない例)
薬物療法の有効性について明らかなエビデンスはみら
れない
389)
.
臨床的または遺伝学的に
突然死のリスクが高い症例
アミオダロン
心房細動
心房細動
上室性頻拍
WPW 症候群
植込み型
除細動器
心室頻拍
心室細動
抗不整脈薬
抗不整脈薬
抗不整脈薬
(ジソピラミド
(ジソピラミド
アミオダロンなど)
アミオダロンなど) カテーテル
アブレーション
植込み型
抗凝固薬
除細動器
(カテーテル
アブレーション
+ペースメーカ)
β遮断薬
ベラパミル,ジルチアゼム
クラスⅡ注1
ジソピラミド
シベンゾリン
クラスⅠ
なし
クラスⅢ
左室流出路に高度な狭窄を有する患者におけるジヒド
クラスⅡ
ロピリジン系カルシウム拮抗薬,陽性変力作用を有する
β遮断薬,ベラパミル
薬剤
②有症状例(軽度~中等度)
2)非閉塞性肥大型心筋症
労作性呼吸困難や狭心痛のある例ではβ遮断薬,ベ
1)閉塞性肥大型心筋症
ラパミルが有効である 392).β遮断薬とベラパミルの併
β遮断薬,陰性変力作用を有するカルシウム拮抗薬(ベ
用,単剤のどちらがより有効かは明らかではない.
ラパミル,ジルチアゼム)
,Ⅰ a 群の抗不整脈薬(ジソピ
ラミド,シベンゾリン)が用いられる 44),126),340),359),392),393).
カルシウム拮抗薬は末梢血管拡張作用により,左室流出
β遮断薬
路 圧 較 差 を 増 大 さ せ る た め, 使 用 に は 注 意 を 要 す
ベラパミル,ジルチアゼム
る 349),392).
クラスⅠ
32
クラスⅠ
注1 Ⅰ群抗不整脈薬のジソピラミド・シベンゾリンについて
は,現時点で大規模臨床試験のデータがないことを除け
ば,Class Ⅰに準ずる.
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
③心不全例
④ハイリスクグループ
1)閉塞性肥大型心筋症
ハイリスクの HCM(表 7)では突然死の予防のため,
高度な圧較差をともなう場合,β遮断薬やナトリウ
症状の有無にかかわらず,積極的に治療をおこなうべき
ムチャンネル遮断薬を用い,アンジオテンシン変換酵素
である.非持続性あるいは持続性心室性頻拍症に対して
阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬はむしろ禁忌で
はアミオダロンや ICD が適応となる 395).
ある.薬物療法に抵抗性の場合には,非薬物療法を考慮
する.
肥大型心筋症の突然死の予防に関する諸治療の 位置付け
クラスⅠ
クラスⅠ
左室流出路狭窄例:β遮断薬,ベラパミル,ジルチ
1.心停止蘇生例に対する ICD 植込み術
アゼム
収縮能低下例:利尿薬,アンジオテンシン変換酵素阻
クラスⅡ
害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
1.突然死の一次予防目的の ICD 植込み術ないしアミ
オダロンの投与
拡張能低下例:β遮断薬,ベラパミル,ジルチアゼ
ム
⑤不整脈
クラスⅡ
(Ⅲ -2-5 合併する不整脈の管理の項参照)
左室流出路狭窄例:シベンゾリン,ジソピラミド
クラスⅠ
β遮断薬,ベラパミル,ジルチアゼム,Ⅰ a 群,Ⅰ c
クラスⅢ
群の抗不整脈薬,アミオダロン
高度収縮機能低下例における陰性変力作用を有する薬
心房細動例ではワーファリンの投与
剤(少量のβ遮断薬は認容性があれば使用)
高度な圧較差をともなう症例におけるアンジオテンシ
(*)失神や著しい QOL の低下を伴う薬物療法抵抗性
ン変換酵素阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬
の頻脈性心房細動,Ⅰ型心房粗動,発作性上室性頻拍,
2)非閉塞性肥大型心筋症
持続性心室頻拍などはカテーテルアブレーションの適応
心不全例や D-HCM では一般の心不全治療に準じる
となり得る.(「不整脈の非薬物療法ガイドライン」参照)
(詳細は「慢性心不全治療ガイドライン」を参照).
収縮能の低下している例においては,利尿薬,アンジ
3
非薬物療法
1
手術(心筋切開術,心筋切除術,
僧帽弁手術)
オテンシン変換酵素阻害薬,アンジオテンシン受容体拮
抗薬による治療をおこなう 361),390),391).
クラスⅠ
拡張機能低下例:β遮断薬,ベラパミル,ジルチア
ゼム
①手術手技の選択
収縮機能低下例:アンジオテンシン変換酵素阻害薬,
現在,非薬物療法には 1)外科治療,2)DDD ペース
アンジオテンシン受容体拮抗薬,利尿薬
メーカ,3)PTSMA があるが,このうち最も歴史が古く,
治療成績が確立しているのは外科治療で,心筋切開術,
クラスⅡ
心筋切除術および僧帽弁手術が行われ 396),左室流出路
なし
の解剖学的な拡大と血行動態上の障害となる SAM の解
除を目的に行う.
クラスⅢ
僧帽弁手術を必要とするのは,1)MR の原因が SAM
高度収縮能低下例における陰性変力作用を有する薬剤
ではなく僧帽弁自体の器質的変化による場合,2)中隔
(少量のβ遮断薬は認容性があれば使用する)
の肥大が非典型的な場合(例えば,僧帽弁前尖への異常
腱索の付着,びまん性の心筋肥大などで,SAM がないか,
33
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
あっても左室流出路狭窄に関与していない場合),3)切
現時点では,外科治療が非薬物治療のスタンダードで
開,
切除の対象となる前方中隔の肥厚が強くない場合
(18
あるが,DDD ペースメーカーや PTSMA など,いずれ
mm 以下),4)心筋切開,切除術で充分な効果が得られ
の治療法を選択すべきか明確な適応基準がない.したが
ない場合である 397).前乳頭筋の肥大やびまん性心筋肥
って,個々の症例で,各々の方法の利点と問題点を考慮
大などには僧帽弁置換術が有効である.
しながら最も適した治療法を選択せざるをえない.
術式は Morrow398)あるいはその変法 399)で,右室切開
アプローチにて,心室中隔切除,心室中隔形成と左室流
肥大型心筋症の外科治療の適応 331,397)
出路形成を行う術式も考案されている.術後心エコー図
クラスⅠ
により,①心室中隔肥厚部の十分な切開溝,② SAM の
1.NYHA Ⅲ度以上の症状を有し,薬剤抵抗性で,安
静時に 50mmHg 以上の左室流出路圧較差を認める
改善を評価する.
HOCM
②手術成績
2.意識消失発作から回復し,安静時ないし薬物負荷
心筋切開,切除術により 90 %以上の症例で左室流出
時に 50mmHg 以上の左室流出路圧較差を認め,薬
路狭窄が解除され再発はほとんどみられない 400).70 %
物抵抗性の HOCM
以上の症例で 5 年以上にわたり,心不全の改善,運動能
力の向上がみられ,10 年生存率は 72 ~ 88%である 401),402).
クラスⅡ
一方,手術死亡は 3.2 ~ 4.6%で,経験豊富な施設では 0
1.心症状は軽度ないし認めないが,薬剤抵抗性の,
~ 2%と報告されている
安静時に 50mmHg 以上の左室流出路圧較差を認め
400)
.手術死亡の危険因子として
る HOCM
は,高齢,術前の NYHA class Ⅳ,及び肺高血圧症が挙
げられる 397),401).
僧帽弁手術については,手術死亡は 6%程度で,10 年
クラスⅢ
生存率は約 75%と心筋切除と変わらず
1.無症状ないし薬物療法にてコントロール可能な
403)
,良好な成績
を示している.
HOCM
2.症状はあるが運動あるいは薬物負荷試験にても左
③合併症
室流出路圧較差のない HCM
左脚ブロック,房室ブロック,心室中隔穿孔,大動脈
弁損傷,冠動脈瘻などがある.
④他の非薬物治療との比較
DDD ペースメーカは手術に比べ低侵襲であるが,左
2
デバイス治療
①心臓ペースメーカ:左室内圧較差に対する治療
として
室流出路圧較差の改善が得られるのは 60 ~ 90%と報告
クラスⅠ
によりまちまちであり,自覚症状の改善にはプラセボ効
1.有意な流出路圧較差があり,圧較差に基づく症状
果が加わっている可能性も否定できず,運動能力の向上な
により QOL 低下を来たす HOCM で,他にペース
66)
どの客観的データは充分得られているとは言いがたい .
メーカ植込みの適応となる理由を有する場合(薬
一方,PTSMA は手術療法に匹敵する効果がみられ,
剤による徐脈を含む)注1.
侵襲も比較的小さく,今後操作手技の習熟や器具の改善
により治療成績の向上が期待される一方,急性期死亡率
クラスⅡ
は PTCA より高く,人為的な心筋梗塞(scar)の作成が
1.有意な圧較差があり,圧較差に基づく症状により
将来の心室頻拍の基質となる危険性や D-HCM へ移行す
QOL 低下を来たす HOCM で,症状と圧較差が関
る可能性について治療の歴史が浅いため明らかではな
連しており,薬物治療が無効か副作用のため使用
い.また房室ブロックの合併もみられ,アルコールが前
不能か,他の方法が不適当な場合
下行枝など意図しない血管へ流入すれば重篤な合併症を
招く.長期成績・生命予後などが明らかになりつつあり,
クラスⅢ
良好な成績も散見するがエビデンスレベルの高い報告は
みられない.
34
注1 「不整脈非薬物治療ガイドライン」に基づく
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
1.圧較差がなく,徐脈による植込み適応注1もない場
合.
⑥左室等容弛緩時間(IRT)の変化などを評価し,SAM
および左室内圧較差を減少し,かつ動脈圧や心拍出量を
HOCM に対する心房同期心室ペースメーカ療法は,
低下させないような至適の AV 間隔を見出す 405),411).さ
薬物抵抗性の際の治療法の 1 つとして現在広く認識され
らに,運動時にも心室ペーシングを確実にするためには,
404)-408)
.ペーシングにより左室流出路圧較差が
心拍数に応じた rate adaptive AV delay を設定し,また
減少する作用機序として,①右室心尖部ペーシングによ
pacing AV delay と sensing AV delay を独立して設定する
り左室側の収縮が遅延し,心室中隔の奇異性運動を起こ
ことも必要となる.また,自己 AV 間隔が短い症例では
ている
すことによる
405)
,②左室流出路が収縮する前に左室心
併用薬剤の増量・種類の変更,およびカテーテルアブレ
尖部寄りの内腔(high-pressure chamber)が先行して収
ーションによる AV 伝導の抑制などを検討すべきであ
縮するため,③ 左室全体の収縮能低下による Venturi 効
る 417).
果の減少の関与
409)-411)
,④慢性期に認められる心室中
隔肥大の退縮 410),などの諸説があるが未だ十分に解明
されていない.
②植込み型除細動器(ICD)
クラスⅠ
当初の報告は小人数の観察研究であり,評価項目は症
状や運動耐容能,左室内圧較差軽減効果であった
426)
.
1.過去に持続性心室頻拍,心室細動,心停止の既往
を有する場合
その後,薬物抵抗性の症候性 HOCM 患者 83 名を対象と
し,
AAI ペーシングと DDD ペーシングのクロスオーバー(6
クラスⅡ a
か月)試験である the European Pacing in Cardiomyopathy
1.非持続性心室頻拍,突然死の家族歴,失神,左室
では,AAI ペーシングに比し DDD ペーシングにて有意
壁厚 30mm 以上,運動時の血圧反応異常のいずれ
な症状(NYHA 心機能分類)や運動耐容能の改善およ
かを認める場合
び左室内圧較差の軽減を認めたが,AAI ペーシングでの
プラセボ効果も認められた 406).さらに同様なクロスオ
心停止,心室細動あるいは持続性心室頻拍からの蘇生
ー バ ー 試 験 で あ る the Multicenter Study of Pacing
例は,二次予防として ICD 植込みの適応となる.突然
Therapy for Hypertrophic Cardiomyopathy(44 例 )
死一次予防のリスク層別化として 5 つのリスク因子が知
407)
や
Mayo Clinic Study(19 例)408)では症状や運動耐容能にお
られている. 1)肥大型心筋症に伴う突然死の家族歴,
2)
いても DDD ペーシングの優位性が示されなかった.し
原因不明の失神,3)著明な左室肥大(> 30mm)
,4)
かし,長期観察研究では DDD ペーシングが症状改善効
ホルター心電図による非持続性心室頻拍,5)運動中の
果や左室内圧較差軽減効果を維持したという報告 412)や
血圧異常反応,上記のうちいずれかが認められる場合,
薬物療法との併用で相乗効果が得られたとする報告
413)
,
414)
予防的 ICD 植込みを考慮する.本邦における予防的 ICD
などもあり,HOCM に対する治療の役割はあると考え
植込みに関する報告はほとんどない.なお,ICD 治療を
られる.現時点では薬剤抵抗性の症候性 HOCM 患者す
受けている肥大型心筋症 334 例(92%が一次予防)を対
べてに DDD ペーシング治療は推奨できないが,不整脈
象とした観察研究によると,適切作動が 8%(年率 2.3%)
に対するペースメーカあるいは ICD の適応がある患者,
であり,不適切作動が 16 %(年率 4.6 %),植込みに伴
他の治療を施しても症状が強い患者に対しては考慮して
う合併症が 18%(年率 5.1%)に認められた 418).ICD の
もよい.
適応のみならず管理(不適切作動の回避や長期デバイス
心室中隔基部のペーシングでは圧較差が軽減されない
ことからペーシングリードを右室心尖部に留置する
415)
,
416)
.
HCM は左室拡張能が低下しており,右室ペーシングの
合併症の予防など)を慎重に行っていく必要がある.
③心臓再同期療法
みでは左房収縮による左心室への流入が減少するため,
クラスⅠ
心房収縮に同期した,AV 間隔を自由に設定できる DDD
1.最適の薬物治療でも NYHA クラスⅢまたは通院可
モードを選択する.
能な程度のクラスⅣの慢性心不全を呈し,左室駆
急性効果は心臓カテーテル検査・心エコー図ドプラ法
出率 35 %以下,QRS 幅 120 msec 以上で,洞調律
によって評価する.AV 間隔を 50 ~ 200msec の間隔で変
の場合
化させながら,①左室内圧較差,②血行動態,③ SAM,
④ MR ,⑤左室流入波形(E/A 比・E 波減速時間(DT)),
クラスⅡ a:
35
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
1.最適の薬物治療でも NYHA クラスⅢまたは通院可
能な程度のクラスⅣの慢性心不全を呈し,左室駆
出率 35%以下,QRS 幅 120msec 以上で,心房細動
を有する場合
2.最適の薬物治療でも NYHA クラスⅢまたは通院可
能な程度のクラスⅣの慢性心不全を呈し,左室駆
ICD 適応の患者には,両室ペーシング機能付き植込み型
除細動器(CRT-D)が推奨される.
3
経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)
①カテーテル治療の適応と手技
出率 35%以下で,ペースメーカが植え込まれ,ま
1)適応
たは予定され,高頻度に心室ペーシングに依存す
薬物抵抗性の HOCM は欧米では従来外科治療の適応
るかまたはそれが予想される場合
とされ,欧米での手術成績は実施施設の経験の差に関連
し多数例の実施センター施設の成績は非常に良い 401).
クラスⅡ b:
しかし我が国では多数例での治療成績の報告はなく,最
1.最適の薬物治療でも NYHA クラスⅡの慢性心不全
近の日本胸部外科学会による全国規模年次集計にても,
を呈し,左室駆出率 35%以下で,ペースメーカの
中隔心筋切開切除術は年間 50 ~ 60 例であり,かつ 8 割
植込みが予定され,高頻度に心室ペーシングに依
が大動脈弁または僧房弁置換術に対し追加実施した例で
存することが予想される場合
あり,純粋な中隔心筋切開切除術は極めて少ない 421).
一方,ペースメーカ療法の効果は必ずしも一定せず,
クラスⅢ
既に米国 ACC/AHA/NASPE ガイドラインでは症状改善
1.左室駆出率は低下しているが無症状で,ペースメ
への治療としては class Ⅱ b に位置づけ,徐脈性不整脈
ーカの適応がない場合
2.心不全以外の慢性疾患により身体機能が制限され
たり,余命が 12 か月以上期待できない場合
が本態の患者を除き積極的には勧めていない 407),422).近
年,心室中隔切除術と同じコンセプトをもつ PTSMA が
90 年代に開発され,臨床に適応され多数例に実施され
てきた.PTSMA の長期予後については十分に明らかで
拡張相肥大型心筋症(D-HCM)においては,収縮不
はなかったが,近年報告を散見するようになった.治療
全による心不全の管理が必要となる.心不全においては
効果判定は術後ならびに施行後の臨床症状と左室内圧較
心室内伝導障害,心房心室間同期不全,心室内同期不全,
差の改善から判定され,治療後早期は焼灼部は浮腫状で
心室間同期不全が生じやすい.これらを改善するのが両
半年~ 1 年を過ぎて壊死部が縮小し壁厚減少,症状改善
室 ペ ー シ ン グ に よ る 心 臓 再 同 期 療 法(Cardiac
が得られる.適応は,薬物治療に抵抗性の心不全(NYHA
Resynchronization Therapy:CRT)である.CRT は心収
Ⅱ m ~Ⅳ),狭心症状または失神があり,かつ安静時ま
縮能が低下し,心臓の同期不全を伴う中等症以上の慢性
たは薬物負荷時の左室内圧較差が 30mmHg 以上である
心不全患者において,心不全悪化を防止するのみならず
こと 186)に加えて中隔壁肥厚が 15mm 以上あること,左
その予後を改善する 419).一方,CRT はすべての心不全
室駆出率が 40%以上であることなど 423),424)が基準として
例で有効とは限らない.また,拡張相肥大型心筋症例の
用いられ実施されている.
みを対象とした CRT の有効性に関する報告はないが,
2)手技
非虚血性心不全例として一般の CRT 適応に準じて考慮
PTSMA は経皮的冠動脈形成術の技術と器具を応用し
する.CRT 有効性の予知指標として左室駆出率の低下
た技術であり,左室流出路狭窄の原因となる肥厚した中
と心電図上の幅広い QRS 波が重要である.多くの臨床
隔心筋を灌流する冠動脈に高濃度エタノールを緩徐に注
試験は QRS 幅が 120 ~ 150msec 以上の症例を対象とし
入して局所的に壊死させ,左室流出路狭窄を解除する治
て 実 施 さ れ て お り, 幅 広 い QRS 波 の 基 準 と し て 120
療である.当該部位を灌流する左前下行枝から分枝する
msec 以上としている.
中隔枝の同定は心エコー図と冠動脈造影の所見より推定
現在までのエビデンスからは,CRT は心不全患者の総
しておき,超選択的心筋コントラストエコー法により最
死亡を減らすが,心臓突然死には影響しないともいわれ
終的に同定すると治療成績の改善と合併症減少が著明と
る 420).CRT に ICD のバックアップが入ることにより,
なる 425),426).
心臓突然死を抑制することで心不全患者の総死亡も抑制
する可能性がある.NYHA クラスⅢあるいはクラスⅣ
で,左室駆出率 35%以下,QRS 幅 120msec 以上,かつ
36
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
心室細動抑制のためにβ遮断薬 434)をはじめとする薬物
②合併症
療法や,突然死ハイリスク例への ICD の併用は積極的
1)主な合併症
に考慮する必要がある.
PTSMA の急性期合併症は,①心筋壊死による胸痛,
②完全房室ブロックおよび脚ブロック,③左前下行枝本
③長期成績と予後
幹へのエタノール流出による広範囲心筋梗塞の発生,④心
PTSMA 後の長期成績に関する報告が散見されるよう
425 -428)
になり,海外からの報告によれば,自覚症状の改善や左
PTSMA の実施にて問題となった完全房室ブロックや
室内圧較差の減少は長期的に維持され,心不全の発生や
合併症については術中心筋コントラストエコー併用によ
左室拡大は起こらないとされる 429),435).一方,我が国の
り安全なレベルにまで改善し,ペースメーカ植込み率は
2006 年 の PTSMA 全 国 調 査 に よ れ ば 230 例 の NYHA ク
室性不整脈
(心室頻拍,心室細動)
などが挙げられる
.
20%以上から5%以下へと減少し,また PTSMA が原因
ラスは施行前の平均 2.6 から施行後は 1.4 に改善し,遠
となる急性期死亡は 1 ~4%とされる 429),430).心タンポ
隔期も 1.4 に維持されたという 436).また自覚症状の改善
ナーデ,後腹膜出血,心室細動,エタノールの前下行枝
後の長期にて NYHA3-4 への再発はないとされる 437).エ
への流出による大梗塞,ガイドカテーテルによる左主幹
タノール治療による自覚症状の改善は,有意な運動機能
部の解離による緊急手術例などが報告されている.重症
の改善,無酸素閾値や最大酸素摂取量の増加により裏付
閉塞性肥大型心筋症例の血行動態破綻例は術中術後の管
けられている 438),456).また心室中隔壁厚の減少のみなら
理には細心の注意が必要であり,ショック例でも IABP
ず左室後壁厚が有意に減少し左室全体のリモデリングと
や PCPS の効果は限界がある.早期の人工呼吸管理とカ
左室重量の減少が示され肥大の退縮がもたらされる 440).
テコラミンを用いずに静注β遮断薬を駆使する必要が
左室内圧較差の再上昇 ・ 症状再発に対する再 PTSMA は
あり,通常の冠動脈インターべンションとは異なる視点
5 ~ 15%に実施されており,初回 PTSMA と同様に有効
からの管理を要する.
とされる.
2)合併症への対策
外科治療と PTSMA の比較研究の報告も小規模ではあ
合併症を最小限に抑えるためには,正確な責任中隔枝
るが報告されており,治療後早期ならびに長期的な効果
の同定が必須であり,術中心筋コントラストエコーの併
は外科手術が優れるが,PTSMA の成績も近づきつつあ
用が必須である.一時的バルーン閉塞のみによる圧較差
る 441),442).米国からの両者の比較検討報告では,全体の
の推移のみでの同定は全く不十分であり,PTSMA 初期
長期死亡に差はないが,65 歳未満では中隔心筋切除術
の合併症頻発はエコー不使用が大きな成因とされる.心
の方が有意に有効とされ,65 歳以上では同等であり低
筋壊死のサイズは必要最小限が望ましいが,同時に不十
侵襲の PTSMA が選択されるに至った 443).
分な焼灼では圧較差と症状の再発が起こり易く心筋コン
慢性期合併症として心室性不整脈(心室頻拍,心室細
トラストエコーを用いた評価が重要である .
動)やそれによる突然死の可能性を示す報告が挙がって
PTSMA 直後の心筋壊死部は浮腫により流出路が狭ま
いる 444),445).外科治療に比し ICD 作動例が多いとも報告
り,一時的に圧較差が再上昇するが,遅れて組織の線維化
されるが 446),突然死の増加はないとする報告も少なく
428)
.
なく,まだ十分なコンセンサスを得たとは言えない.一
術中は一時的ペーシングのバックアップが必須であり,
方ドイツの登録研究や多数例の報告では肥大型心筋症の
遅れての完全房室ブロック発生もあり,初期は CCU で
突然死自然歴と変わらないとされる 446)-448).メタ解析
の管理を要する.術後 3 ~ 7 日間の厳重な心電図モニタ
によっても,外科手術と PTSMA に有意な差はないとさ
が徐々に進み,圧較差減少は遠隔期にさらに増強する
ー管理を行うことが必要である
.徐脈性・頻
れる 449).拡張相への移行を危惧する意見もあるが左室
425)-428),431)
脈性不整脈の合併に対しては PTSMA 前後でホルター心
拡張性の改善や良好な左室収縮性の維持も長期予後の評
電図・臨床電気生理検査などを施行してペースメーカお
価にて報告されてきている 445),450),451).HCM は心臓突然
よび ICD の適応を十分に検討すること 423),432).PTSMA
死のリスクを保有する患者が多く,さらに作成した心筋
433)
もあるが,術後早期は促進心室
壊死がその後の新たな心室性不整脈発生の substrate とな
調律を頻繁にみるが治療不要であり,心室頻拍・細動は
ることがないか,慎重な対応が必要であり,ICD 適応の
後に突然死した症例
少ない.突然死の増加の可能性については,まだ必ずし
検討は必ず行われるべきで,不整脈専門医と PTSMA 実
も一定のコンセンサスが得られていないが,慢性期合併
施医との協力が必須である.HCM の最大の問題となる
症の項で示す.PTSMA 前のみならず施行後も心室頻拍・
突然死については,ハイリスク群への心室頻拍誘発試験
37
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
などによる積極的評価と ICD 植込みを考慮する必要が
ある.
2.症状はあるが左室流出路圧較差のない HCM
④保険の適応
肥大型心筋症における PTSMA の適応
2005 年 4 月より,本法は医療保険に収載され,心臓
外科実施施設にて適応される.
クラスⅠ
なし
4
小児における肥大型心筋症の
管理と治療
1
突然死の予防と管理
クラスⅡ a 注 1
1.NYHA Ⅲ 度以上の症状を有し,薬剤抵抗性で,安
静時ないし薬剤負荷時に 30mmHg 以上の左室内圧
較差を認める HOCM
2.左室内圧較差を原因とする意識消失発作を有し,
HCM は若年者の心臓突然死の最も一般的な原因であ
安静時ないし薬物負荷時に 30mmHg 以上の圧較差
り,特に運動中の突然死を来たす 452).小児では成人に
を認める HOCM
比べ突然死の頻度が約 2 倍とされ,最もおこしやすい年
3.左室内圧較差(30mmHg 以上)が関与する薬物治
療抵抗性の発作性心房細動
齢は 12 ~ 35 歳である 119).危険因子は,心停止あるいは
持続性心室頻拍の既往,突然死の家族歴,反復性の失神
(特に運動中),左心室の心筋肥大(最大壁厚が 30mm 以
クラスⅢ
上)とされる 164),453).また,運動負荷時の血圧上昇の反
1.無症状ないし薬物療法にてコントロール可能な
応性低下も危険因子として報告されている 454),455).我が
国では日本学校保健会の作成した学校生活管理指導表
HOCM
注1 PTSMA の適応については,現時点で Class Ⅰにするに
はエビデンスが未だない
(平成 23 年度版)(表 11)に基づきハイリスク児ではほ
とんどの運動やスポーツ競技は禁止し,有症状児および
閉塞型の症例では中等度および強い運動は禁止する 296),456).
表 11 日本学校保健会による学校生活管理指導表
38
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
突然死の危険性が低いとされるものや無症状の例ではレ
クリエーション程度のスポーツは殆ど制限する必要はな
いが,スポーツトレーニングや競技は禁止する.ここで
小児では各β遮断薬の比較検討はない.
②カルシウム拮抗薬
最も重要なことは,病態や突然死のリスク評価を十分に
ベラパミルが成人で用いられ症状と運動量の改善が見
行ったうえで指導することである.
られる 463).小児でのデータは少ないが,症候性で β 遮
乳幼児期発症例ではうっ血性心不全のため多くが死亡
断薬が無効の場合は試してみる 461).成人と同じく左室
し予後不良である 457).心雑音のみの症状の乳児でも一
流出路の狭窄を増強させ突然死の原因となる者もいるの
年生存率は 50 %であるが,数年経つとうっ血性心不全
で,効果・副効果を見ながら慎重に投与する 462).
の症状は軽減するが,代わりに突然死の割合が高くなっ
てくる 458).
③抗不整脈薬
HCM による突然死をどれくらい予防できるかという
ジソピラミドは,陰性変力作用による左室流出路での
データはない.ハイリスク児に対する十分な運動管理と
圧較差の減少効果,および抗不整脈作用のため成人で用
薬物治療を積極的に行い,さらに外科的治療や DDD ペ
いられるが 463)が,小児では経験が少ない.β 遮断薬や
ースメーカおよび ICD などの適応を検討する(表 12,
ベラパミルが無効な例ではそれらと併用で効果の出る可
図 10).
能性がある.
2
薬物療法の適応
④ ACE 阻害薬
ハイリスク児や有症状児では成人の場合と同様に,薬
ジ ゴキ シン,そ の他の 強心 薬(陽性 変 力作 用 薬),
物療法は必須でありβ遮断薬が基本となる(図 6).
ACE 阻害薬については,閉塞を悪化させるため禁忌で
ある.しかし,ACE 阻害薬は D-HCM では有用で左室機
①β遮断薬
能を改善する.D-HCM では通常,β遮断薬と ACE 阻
プロプラノロールのような非選択的なβ遮断薬が使
害薬の併用が一般的で,さらにジゴキシンを併用する場
用される 389).使用量は一般的には 2.0 ~ 5.0mg/kg/day だ
合もある 283).利尿薬は前負荷の減少をもたらすので一
が,小児ではさらに大量の投与(5.0 ~ 23mg/kg)が生
般に用いないが,心不全を呈する症候性幼児には併用す
存率を改善させたという報告がある 459).他の β 遮断薬
る.
(アテノロール,メトプロロール)なども用いられるが,
表 12 小児の肥大型心筋症の治療:RAPID ACCESS GUIDE
病 態
Class Ⅰ
無症状例
Class Ⅱ
一般に薬剤は用いないが症例に
よってはβ遮断薬,カルシウ
ム拮抗薬を用いる
拡張機能低下例
β遮断薬
カルシウム拮抗薬
有症状および
閉塞性肥大型心筋症
β遮断薬
カルシウム拮抗薬
ジソピラミド
中隔心筋切除術
突然死のハイリスク群 **
β遮断薬
カルシウム拮抗薬
植込み型除細動器
乳幼児例
(心不全をしばしば伴う)
拡張相肥大型心筋症
不整脈合併例
ジゴキシン,利尿薬
血管拡張薬
ジゴキシン,利尿薬
血管拡張薬
アミオダロン
β遮断薬
カルシウム拮抗薬
Class Ⅲ
ジゴキシン,陽性変力作用薬は
禁忌
強い運動 * は禁止
ジゴキシン,陽性変力作用薬は
禁忌
強い運動 * は禁止
ジゴキシン,陽性変力作用薬は
禁忌
強い運動 * は禁止
ジゴキシン,陽性変力作用薬は
禁忌
強い運動 * は禁止
β遮断薬 ACE 阻害薬
強い運動 * は禁止
β遮断薬 ACE 阻害薬 心移植
強い運動 * は禁止
心筋切除術
ジゴキシン,陽性変力作用薬は
禁忌
強い運動 * は禁止
* 日本学校保健会による学校生活管理指導表(中学,高校生用)に準ずる.
**心停止あるいは持続性心室頻拍の既往,肥大型心筋症による突然死の家族歴,運動中の失神.
39
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)
図 10 小児の肥大型心筋症の管理
肥大型心筋症
症状なし
自覚症状あり
不整脈あり
胸痛
心房性
心機能正常
失神
心室性
遺伝子異常
有意の閉塞
不整脈なし
運動制限
(D ランク)
心不全
運動制限
(B C ランク)
運動制限
(B C ランク)
無投薬?
心不全治療
β遮断薬
β遮断薬?
β遮断薬?
カルシウム拮抗薬?
運動制限
(B C ランク)
抗不整脈薬
(ジソピラミド,アミダロン)
ジソピラミド?
procedure),Modified Konno 手術などが行われているが,
⑤不整脈治療
小児での経験は極めて少なく長期的な成績も不明であ
幼少児では不整脈は稀であるが,コホート研究で 16
~ 18%が非持続性心室頻拍を示した 156).心室性頻拍は,
アミオダロン 150)ないし薬物抵抗性で手術適応のある場
合には心筋切除術 464),もしくはその両者,あるいは
ICD により治療する
387)
.小児での ICD の経験は極めて
少ないが,突然死が学童期や若年者に多いことから今後
の検討が必要である .
3
非薬物療法
①手術
中隔心筋切除術(septal myotomy-myectomy: Morrow
40
抗血栓療法
る 465),466).
②ペースメーカ植込み術
小児における適応や効果についてはデータがないので
適応は慎重に考慮すべきである .
③経皮的中隔心筋焼灼術
小児では心筋壊死後の瘢痕による不整脈や突然死のリ
スク増加なども予測され,現時点では推奨できない.
肥大型心筋症の診断に関するガイドライン
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