ガゼッタ第26号から第30号のまとめ(6)

メールマガジン「ガゼッタ」 まとめ(6)
第 26 号~第 30 号 (2013 年 5 月 1 日~6 月 15 日配信)
配信した「ガゼッタ」No.26-30 のまとめです。書式と一部表記を変更して図版を取り込み、pdf にしました。
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◆ガゼッタ第
ガゼッタ第 26 号◆
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ガゼッタ第 26 号をお届けします。
ゴールデンウィーク、みなさまどのようにお過ごしでしょうか? 筆者は論文の締切で家に引きこもり…連休中
に二期会《マクベス》を観に行くのが唯一の娯楽です。
本号は、5 月 3 日深夜放送のTV番組のお知らせも兼ね、いつもの 5 日から予定を早めて 1 日に配信します。
なお、多忙につき連載はお休みとし、ロッシーニの新譜 1 点の紹介と二つのテレビ放送の告知のみとさせていた
だきます。5 月 12 日の例会案内はこちらをご覧ください。http://societarossiniana.jp/meeting.html
▼ロッシーニ《小ミサ・ソレムニス(小荘厳ミサ曲)
》の新譜発売!▼
》の新譜発売!▼
◎Rossini: Petite Messe solennelle
ロッシーニ:《小ミサ・ソレムニス(小荘厳ミサ曲)》
アントーニオ・パッパーノ指揮 サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団&
合唱団 マリーナ・レベカ(S)、サラ・ミンガルド(C)、フランチェスコ・メーリ
(T)、アレックス・エスポージト(B-Br)
録音:2012 年 11 月ローマ [EMI TOCE-90255](国内盤 Hi Quality CD2 枚組)
[EMI 4167422](海外盤 CD2 枚組)
近年ロッシーニ作品の録音に力を注いでいる指揮者パッパーノ。2010 年録音(2011 年発売)の《ギヨーム・テ
ル》に続いて 2012 年に録音したのがこの《小ミサ・ソレムニス(小荘厳ミサ曲)》管弦楽伴奏ヴァージョンです。
この作品は今年 1 月に東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会でも取り上げられ、ロッシーニ・ファンに
は馴染みがあり、数々の CD に加えてシャイ―指揮の 2008 年演奏会ライヴ DVD(Euroarts 2057428 海外盤)の名
演もあります。今回のパッパーノ指揮による録音も、なかなか聴き応えのある演奏です。
ソリストのレベカ、メーリ、エスポージトはペーザロの ROF でも活躍するメンバーで、これにコントラルトの
サラ・ミンガルドを加えたところがミソです。ミンガルドはバロック物に定評がありますが、芳醇で深みのある
低声と豊かな表現力を備えており、その意味では大正解の選択と言えます。テノールのメーリはいつもながら力
強い発声歌唱と柔らかな弱声が巧み、エスポージトは劇的な表現が出色。レベカの声と歌唱の魅力も「クルチフ
ィクスス」と「オ・サルタリス」
(CD1-10 と CD2-3)に全開で、
「熟したな~、巧くなったな~」と感心します。
終曲「アニュス・デイ」はコントラルト最大の聴かせどころ。ミンガルドの声の響きと歌い回しは予想どおり
見事で、美しい低音に魅せられます。でもどこか感銘が薄いとすれば、その原因は指揮者パッパーノにあります。
パッパーノは全体を早い速度で牽引するのですが、テンポの急緩変化に乏しくやや即物的。
「クオニアム」
(CD1-7)
の伴奏と続く「クム・サンクト」
、そして終曲など、もうちょっとどうにかならんかなあ~と思ってしまいます。
録音の随所に、
やや雑音めいた不自然な音が混入していることにも違和感があります(明確に特定しえないのですが、
不必要に拾われている気がします。パッパーノの息づかいもそう。1 曲目の「キリエ」からそう感じ、その後も折にふれて気に
なります)。
ちなみに国内盤の定価 3800 円に対して海外盤は 2000 円以下。筆者は迷わず海外盤を購入しました(Amazon
から半額の 1922 円…実際の請求は 1660 円でした! 国内盤は Hi Quality CD とうたっていますが…。びっくりしたのは
Amazon 中古に約 20 万円という異常な価格で出品されていること。新譜なのに!)。
オペラと違って地味なところもある作品ですが、晩年のロッシーニの斬新な管弦楽法による編曲も聴きどころ。
その点でもこの新録音はお薦めです。
▼テレビ朝日「タモリ倶楽部」
(5 月 3 日深夜)
日深夜)にロッシーニのピアノ曲!?▼
にロッシーニのピアノ曲!?▼
こういう仕事をしていると、テレビ番組の制作会社からの問い合わせも珍しくありません。一番驚いたのは「ロ
ッシーニの身長と体重を教えてください」というもので、「ぼくの知る限り正確な記録はありません。勝手な想
像ですが、身長は 165cm 前後、体重は一番多い時で 130 キロと思いますが、晩年は 120 キロかそれよりちょっと
少ない程度でしょう」と答えました。でもなぜ身長と体重を?と疑問に思って問いかけると、「健康番組の収録
用に、ロッシーニの等身大パネルか人形を作ろうと思いまして」との返事。健康番組でロッシーニ…それって「美
食してるとこんなメタボになります」ってことかいな!…とちょっと凹みました。
1
先月はテレビ朝日「タモリ倶楽部」の制作会社 AD から、「ロッシーニのピアノ曲《ロマンティックなひき肉》
の楽譜を入手したい」との電話をもらいました。「出版されているのはロッシーニ財団の楽譜だけ。絶版ではな
いけど取り寄せに時間がかかります」と答えると、「あさっての収録に使いたいから、現物を貸してほしい」と
のこと。もちろん、お貸しました。
でも「タモリ倶楽部」とロッシーニになんの関係があるのでしょう?…先日ネットに次のタイトルと内容予告
を見つけ、疑問が解けました。
タイトルは「昔のスーパースターもゴシップまみれ!?クラシック作曲家のスキャンダルな素顔に迫る」ブラーム
スは風俗王、モーツァルトは尻好き。バッハ、リスト他巨匠達のあきれた性癖とは」。
内容は、「昔のスーパースターもゴシップまみれ!? クラシック作曲家のスキャンダルな素顔の迫る」 ブラー
ムスは風俗王、モーツァルトは尻好き、リストは不倫マニア。ベートーベン、バッハ、ドボルザーク、ロッシー
ニ、シューマン、ラヴェル他クラシックの巨匠達のとんでもない性癖を暴く!!
詳細はこちら。http://tv.yahoo.co.jp/program/?sid=3772
ロッシーニは「食いしん坊」ネタらしく、《ロマンティックなひき肉》は CD をかけて楽譜を映すとの話でし
た。でも、こういうのは編集時にディレクターが「つまんないからこのネタはボツ!」と言えばカットされてし
まうので、結果は放送を見ないと判りません。関心のある方は、5 月 3 日(金)深夜 24 時 20 分~24 時 50 分(4
日 0 時 20 分~0 時 50 分)にご覧ください。
▼クラシカジャパンで 2012 年ボローニャ《アルジェのイタリア女》放映(5 月 25、
25、27~
27~31 日)▼
これは当協会 HP の管理人さんからいただいた、クラシカジャパンが昨年 2012 年 5 月のボローニャ歌劇場《ア
ルジェのイタリア女》を来る 5 月 25 日と 27~31 日に放映するとのお話です。
◎ロッシーニ《アルジェのイタリア女》 2012 年 5 月 13&15 日ボローニャ歌劇場
演出・衣裳:フランチェスコ・エスポージト、パオロ・オルミ指揮ボローニャ歌劇場管弦楽団&合唱団
出演:ミケーレ・ペルトゥージ(ムスタファ)、マリアンナ・ピッツォラート(イザベッラ)、シー・イージェ(リ
ンドーロ)ほか
詳細はこちら。https://www.classica-jp.com/program/detail.pHP?classica_id=CR1206
なかなかいいキャストで楽しめそうですね。ピッツォラートは今年 3 月の来日リサイタルの記憶も新しく、シ
ー君は今年夏の ROF《アルジェのイタリア女》でもリンドーロを歌います。筆者のようにクラシカジャパン未加
入の方は、友人知人に録画を頼んでご覧になってはいかが?
では、楽しいバカンスを!
(2013 年 5 月 1 日 水谷彰良)
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◆ガゼッタ第
ガゼッタ第 27 号◆
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ガゼッタ第 27 号をお届けします。
今回は、会長外遊中のため、HP 管理人からの情報のみとなります。
▼5 月 12 日の例会ご来場御礼▼
日の例会ご来場御礼▼
映画『カーザ・リコルディ』鑑賞会にご来場いただきました方々に御礼申し上げます。ほぼ満席に近い 44 名の
方が日本初上映と思われる鑑賞会にご参加下さいました。また、映画鑑賞後の約 20 分を利用して、今年の ROF
の演目の一つである≪なりゆき泥棒≫の ROF1987 年のポネル演出の映像の一部を鑑賞。舞台がどのように展開
するかを垣間見ることができました。ご来場いただけなかった方のために、当日配布の資料を HP に PDF にて掲
載しておりますので、ご覧ください。http://societarossiniana.jp/meeting.html
▼日本ロッシーニ協会次回の例会(
日本ロッシーニ協会次回の例会(6 月 2 日)のご案内▼
のご案内▼
次回は会場が変わりますのでご注意ください。
日時:2013 年 6 月 2 日(日)午後 1 時 30 分開始 (午後 4 時 30 分終了予定)
会場:三茶しゃれなあど(世田谷区民会館別館)の中の集会室(スワン&ビーナス)
三軒茶屋駅・徒歩 1 分 会場へのアクセス(地図)はこちらです。↓
http://www.setagaya.co.jp/kuminkaikan/sangenchaya/pdf/mapdownload.pdf
会員ならびにそのお連れの方は無料。その他の方は当日 1,000 円を頂戴します。
講師:長木誠司
題目:演劇としてのオペラに投影された現代の政治と社会
内容:オペラが、単なる貴族の享楽ではなく、同時に社会を風刺して告発するものであるのは、何も現代に始
2
まったことではありません。モーツァルトやロッシーニ、マイアベーア、そしてヴァーグナー、シェーン
ベルクなどの作品は、作曲家が常に同時代への鋭い視線を持っていたことを伝えます。現代においてオペ
ラが少し違うのは、過去の作品が担っていた、その当時への告発が、現代にも通用することを演出によっ
て示していることです。もちろん、現在新たに作られているオペラだって負けてはいません。ヴィック演
出による《エジプトのモゼ》を手がかりに、古典作品や現代作品が、どのように「いま」を伝え共有する
演劇としての手段になっているのか、その辺りを少し探ってみましょう。
▼紀尾井シンフォニエッタ東京第 90 回定期演奏会のご案内▼
回定期演奏会のご案内▼
紀尾井ホールの 7 月 26 日(金)と 7 月 27 日(土)の公演にて、ロッシーニのスターバト・マーテルが下記のキ
ャストにより演奏されます。すでにチケットは発売されており、残数が少ない可能性がありますので、ご興味の
ある方はお早めに! 詳細はこちら。http://www.kioi-hall.or.jp/20130726k1900.html
パオロ・カリニャーニ(指揮) ラウラ・ジョルダーノ(Sop) エーレナ・ベルフィオーレ(M-Sop)
フィリッポ・アダミ(Ten) ジョヴァンニ・フルラネット(Bs)
紀尾井シンフォニエッタ東京(Orch) 新国立劇場合唱団(Chor)
曲目 ケルビーニ:交響曲ニ長調
ロッシーニ:スターバト・マーテル
▼フェスティヴァル・ロッシーニ@パリ・シャンゼリゼ劇場▼
フェスティヴァル・ロッシーニ@パリ・シャンゼリゼ劇場▼
オペラの分野でも毎年充実した歌手とプログラムをそろえているパリのシャンゼリゼ劇場が、来年 4 月からフ
ェスティヴァル・ロッシーニと題してロッシーニのオペラ 5 演目(うち 2 演目はコンサート形式)を取り上げます。
◎オテッロ:4 月 7 日から 17 日(6 公演)。オズボーン、バルトリ他(チューリッヒのプロダクション)
◎セビーリャの理髪師:4 月 28 日と 29 日(2 公演)。
◎タンクレーディ:5 月 19 日から 27 日(5 公演)。チョーフィ、シラグーザ他。
次の 2 演目はコンサート形式:
◎アルジェのイタリア女:6 月 10 日(1 公演)。シラグーザ、レガッツォ他。
◎絹のはしご:6 月 13 日(1 公演)。ランカトーレ、ミハイ他。
詳細はこちらでご確認下さい。http://2014.theatrechampselysees.fr/opera
コンサートの詳細は、上記のサイトの上部メニューから黒色のカレンダーのところをクリックし、さらに 6 月
(JUIN2014)をクリックしてご確認ください。
(2013 年 5 月 15 日 by 管理人)
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◆ガゼッタ第
ガゼッタ第 28 号◆
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ガゼッタ第 28 号をお届けします。1 日遅れの配信をお詫びいたします。
1 回お休みした間に、ロンドンで《ドン・カルロ》と《湖の女》
、ザルツブルクで《ノルマ》
、ヴィーンで《カル
メン》と《アンドレア・シェニエ》を観てきました。
《湖の女》の感想は別な機会に書くとして、本号では現地で
ゲットした来年のザルツブルク聖霊降臨祭「ロッシーニッシモ!」のニュースをお届けします。
6 月 2 日の例会案内はこちらをご覧ください。http://societarossiniana.jp/
▼2014 年ザルツブルク聖霊降臨祭はロッシーニ三昧の「ROSSINISSIMO
年ザルツブルク聖霊降臨祭はロッシーニ三昧の「ROSSINISSIMO!」
ROSSINISSIMO!」▼
!」▼
筆者がザルツブルク入りしたのは 5 月 18 日、翌 19 日にモーツァルト劇場でバルトリ主演《ノルマ》を観劇し
ました。バルトリのノルマは 2010 年 6 月ドルトムントでの演奏会形式に接し、
「歴史的名演だ~!」と感銘を受
けたのを覚えています。でも今回は舞台上演での初ノルマ。前回にも増してすごい上演でした。
モーシュ・ライザー&パトリス・コリエによる演出は、時と場所をナチス・ドイツに占領されたフランスのパ
ルチザンの隠れ家とし、抵抗運動の指導者を父に持つノルマと敵の将軍ポッリオーネの愛の悲劇としていました。
筆者はとくに違和感をおぼえずドラマに没入できました。8 月の再演をご覧になる方も多いと思うので詳しく書
きませんが、バルトリの表現主義的な演技と激しい表情はロッセッリーニ監督の映画『無防備都市』
(1945 年)の
女優アンナ・マニャーニにインスピレーションを得たとのこと。フィナーレではノルマとポッリオーネの愛の真
実が描かれ、涙がでてしまいました。演奏にクリティカル・エディションを用い、ピリオド楽器のオーケストラ(ア
ントニーニ指揮ラ・シンティッラ)も絶品。歌手はバルトリ、オズボーン、ペルトゥージ共に素晴らしい出来でした
が、アダルジーザを歌うレベカ・オルヴェラ[オルベラ]がとても若く、発声も未成熟でやや不満。バルトリが弟
3
子として育てようとしているのだなあ~、と思いました。
それはともあれ、びっくりしたのが来年の聖霊降臨祭の告知です。タイトルは「ROSSINISSIMO!」…文字ど
おり「最上級のロッシーニ!」ではありませんか!
会期は 2014 年 6 月 5~9 日、演目と出演者は次の通り。
◎《ラ・チェネレントラ》6 月 5、7 日 19:00~ モーツァルト劇場
ダミアーノ・ミキエレット演出、ジャン・クリストフ・スピノジ指揮アンサンブル・マテウス
出演:チェチーリア・バルトリ、ニコラ・アライモ、エンツォ・カプアーノほか
◎《オテッロ》6 月 9 日 祝祭大劇場 16:00~
モーシュ・ライザー&パトリス・コリエ演出、ジャン・クリストフ・スピノジ指揮アンサンブル・マテウス
出演:チェチーリア・バルトリ、ジョン・オズボーン、エドガルド・ロカ[ロチャ? ウルグアイ人です]、バ
リー・バンクスほか
以上がオペラ 2 演目で、ほかに次の公演、コンサート、イヴェントも催されます。
◎《セビーリャの理髪師》6 月 6、7、9 日 15:00~ マリオネット劇場
註:マリオネット公演。音楽はパタネ指揮の録音を使用
◎演奏会「ジャンバッティスタ・ヴェッルーティ」6 月 6 日 19:30~ モーツァルテウム大ホール
出演:フランコ・ファジョーリ(カウンターテナー)
、ディエゴ・ファゾリス指揮イ・バロッキスティ
曲目はロッシーニ《パルミラのアウレリアーノ》とマイアベーア《エジプトの十字軍》のアリア。
◎ピアノ・リサイタル 6 月 7 日 11:00~ モーツァルテウム大ホール
出演:ダヴィド・フレイ[フレ] 曲目未発表(ロッシーニ、リスト、モーツァルト、バッハ)
◎《スタバト・マーテル》6 月 8 日 祝祭大劇場 12:00~
アントーニオ・パッパーノ指揮サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団&合唱団
出演:クラシミラ・ストヤノヴァ、エリーナ・ガランチャ、ピョートル・ベチャワ、アーウィン・シュロット
曲目はロッシーニ《スタバト・マーテル》とヴェルディ《リベラ・メ》
◎《小ミサ・ソレムニス》 6 月 8 日 17:00~ モーツァルテウム大ホール
アントーニオ・パッパーノ(指揮と第一ピアノ)ほか、ソリストはエヴァ・メイ、ヴェッセリーナ・カサロヴ
ァ、ローレンス・ブラウンリー、ミケーレ・ペルトゥージ
◎大ロッシーニ・ガラ 6 月 8 日 祝祭大劇場 20:00~
アーダム・フィッシャー指揮モーツァルテウム管弦楽団
出演:アグネス・バルツァ、チェチーリア・バルトリ、テレサ・
ベルガンサ、モンセラ・カバリエ、ヴェッセリーナ・カ
サロヴァ、ホセ・カレーラス、カルロス・ショーソン、
レーオ・ヌッチ、アレッサンドロ・コルベッリ、イルデ
ブランド・ダルカンジェロ、ミケーレ・ペルトゥージ、
ルッジェーロ・ライモンディ、アーウィン・シュロット
ほか 曲目未発表(でも当然ロッシーニ!)
◎ロッシーニ風大晩餐会 6 月 8 日 カール・ベーム・ザール
22:45 頃~ロッシーニ風料理のフルコースによる晩餐会!
◎リート・リサイタル 6 月 9 日 11:00~ モーツァルテウム
大ホール
出演:ジョイス・ディドナート(Ms)、David Zobel(pf)
曲目はヴィヴァルディ、フォーレ、ロッシーニ、シューベルト、シューマン、ヘッド、アーンの歌曲とアリア
以上は現地で配布されたプログラムからの転載です。なんとロッシーニの顔がバルトリに!
ザルツブルクのサイトはこちら。http://www.salzburgerfestspiele.at/pfingsten/oper
なんともすごいラインナップですね。来年 6 月はザルツブルクでロッシーニ三昧の日々を過ごしましょう!
(2013 年 5 月 25 日 水谷彰良)
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◆ガゼッタ第
ガゼッタ第 29 号◆
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ガゼッタ第 29 号をお届けします。
本号は 6 月 2 日の例会御礼、5 月にロンドンで観劇した《湖の女》の感想、バルトリの新譜《ノルマ》の紹介
です。オペラの日本初演に関する連載は、当分お休みさせていただきます。
なお、7 月の例会「
《ギヨーム・テル》予習会(ROF 映像鑑賞会)」の詳細は、近日中に HP で告知いたします。
▼6 月 2 日例会の来場御礼▼
日例会の来場御礼▼
去る 6 月 2 日、三茶しゃれなあど集会室にて、講師に長木誠司さんをお迎えして日本ロッシーニ協会例会「演
劇としてのオペラに投影された現代の政治と社会」を開催しました。当日の出席者は 35 名。《エジプトのモゼ》
のヴィック演出を手掛かりに現代オペラの諸相を、「20 世紀オペラのユダヤ人問題」「ナチズムとオペラ」「オ
ペラに描かれる戦争と反戦」「革命と悲惨」「政治史と CNN オペラ」「オペラに描かれる社会問題」に区分し、
該当作品の特色を上演映像を用いて解説していただきました。
ロッシーニ作品の読み替え演出を理解するうえで、現代オペラの政治性や社会問題との関連を知ることが重要
であると再認識できました。この場をお借りして、長木先生と出席いただきました皆さまに御礼申し上げます。
▼ロイヤル・オペラ《湖の女》の感想
ロイヤル・オペラ《湖の女》の感想▼
の感想▼
5 月 17 日、ロンドンのコヴェントガーデン王立歌劇場にてロイヤル・オペラ公演《湖の女》を観劇しました。
これはパリのオペラ座(ガルニエ。2010 年)、ミラーノのスカラ座(2011 年)、ロンドンのロイヤル・オペラ(2013
年)による共同制作で、主役歌手はジャコモ 5 世のフアン・ディエゴ・フローレス、エーレナのジョイス・ディド
ナート、マルコムのダニエラ・バルチェッローナが共通しています。とはいえオペラ座とスカラ座の演出家がル
イス・パスクワル、ロイヤル・オペラの演出家がジョン・フルジェイムスと異なり、指揮者も最初の二つがロベ
ルト・アッバード、ロイヤル・オペラがミケーレ・マリオッティでした。
筆者は最初に 2010 年 6 月 24 日のパリ・オペラ座公演を観ましたが、この日は舞台関係のストライキで装置や
舞台転換が無く、衣装付きセミステージ上演になってしまいました。でも知人によれば、
「ストライキの日と別な
日を観劇したけれど、もともとセミステージ風の舞台だから印象はさほど違わず、歌手たちの出来はストライキ
の日の方が良かった」とのこと。
「自分たちが観客を満足させなければ」との 3 人の主役歌手の意気込みは、筆者
にもひしひしと伝わり、観客も彼らの健闘にさかんな拍手と喝采を送りました。
演出がフルジェイムスに替わったロイヤル・オペラのプロダクションは初日(5 月 17 日)を観ました。舞台に関
してなんの先入観もなしに上演に臨みましたが、のっけから舞台中央のガラスケースにディドナートがいたり、
「この人誰やねん」みたいな初老の人物がうろうろして戸惑いましたが、すぐにこの人物が原作者ウォルター・
スコットの分身と気づきました。衣装もスコットの肖像画と瓜二つ。そこで「初老になったスコットが『湖上の
美人』の物語と人物を蘇らせ、このドラマを自分で再現する設定」と理解しました。
「その着想や良し」と思いましたが、問題は舞台転換ごとの「どっかで観たことあるなあ~」という既視感で
す。第 1 幕の途中で舞台中央に現れる回転式の二重らせん階段は ROF《マティルデ・ディ・シャブラン》の装置
の縮小、第 2 幕の屹立する抽象的な大木の森も「良くあるよね、この手の森……どこかの《ランメルモールのル
チーア》だったかな~」
。劇の人物が長方形のガラスケースに収まる幕切れも、どこかで観た気がしました。他に
も反乱軍の高地人をことさら野蛮に描いたり、第 2 幕冒頭に登場したフローレスがすでにジャコモ 5 世の衣装だ
ったりします(「そこはウベルトに変装だろ!」とツッコミを入れました)。
初日だからでしょうか、ディドナートは声をセーブした感じで、アリア・フィナーレに至ってその実力を遺憾
なく発揮しました。フローレスも安全運転でいつもの圧倒的印象はなく、破綻なく初日をクリヤーした感じです。
バルチェッローナは最初から絶好調で、第 2 幕アリアの超絶技巧が喝采を浴びました。ロドリーゴ役は予告され
たコリン・リーではなく、マイケル・スパイレスが代役を務めました。彼は昨年 ROF の《バビロニアのチーロ》
でバルダッサーレを歌ったアメリカ人バリテノーレで、低音域はバリトンで高音域にファルセットーネを駆使し
ます。フローレスとの声の対比もあり、個人的にはこのキャスト変更は大正解でした。
困ったのは管弦楽が精彩を欠いたこと。前日観たヴェルディ《ドン・カルロ》
(パッパーノ指揮)とは異なり、
《湖
の女》では奏者の技量がもろに判るのです。指揮者マリオッティは気が弱そうなボンボンで、オケをちゃんと統
率できぬまま初日を迎えたという感じ。加えて舞台上のバンダが思い切り下手くそ……とくに一番目立つクラリ
ネットがひどく、わざと下手くそに吹いているのかと思いました……ほとんど「チャルメラ吹き」
(笑)。合唱も練
習不足みたいにバラバラです。ソリストはともあれ他はいいとこなし、との結果に終わりました。カーテンコー
ルの演出家にブー!を叫んだのは筆者だけではなく、あちこちから「ブー!」が飛び交っていました。
舞台写真の幾つかはロイヤル・オペラのサイトに載っています。第 1 幕冒頭はこちら。
http://www.roh.org.uk/news/opera-essentials-la-donna-del-lago
▼お薦め新譜:バルトリの《ノルマ》新録音!」▼
お薦め新譜:バルトリの《ノルマ》新録音!」▼
前号にザルツブルクで観たバルトリ主演《ノルマ》について記しましたが、これに合わせてリリースされた新
譜を紹介しておきます。
◎Bellini: Norma
5
ベッリーニ:歌劇《ノルマ》全曲
ジョヴァンニ・アントニーニ指揮ラ・シンティッラ管弦楽団、International
Chamber Vocalists
チェチーリア・バルトリ(ノルマ)、スミ・ジョー(アダルジーザ)、ジョン・オズ
ボーン(ポッリオーネ)、オロヴェーゾ(ミケーレ・ペルトゥージ)ほか
録音:2011 年 4 月~2013 年 1 月
Decca 4783517 (海外盤 CD2 枚組) 註:国内盤は後日発売予定。
この録音とザルツブルク上演のキャスト異同はアダルジーザ役と合唱団のみ。ノ
ルマがメッゾソプラノでアダルジーザがソプラノという逆転に違和感をおぼえる
人もいると思いますが、これはこれでとてつもなく素晴らしい演奏、まさに 21 世紀ならではの《ノルマ》です。
使用エディションはマウリツィオ・ビオンディ&リッカルド・ミナージ共編の批判校訂版で、ベースになってい
るマウリツィオ・ビオンディ校訂のエディションは 2001 年にパルマのレージョ劇場で使われました(上演 DVD は
TDK から発売済み。伴奏はファービオ・ビオンディ指揮エウローパ・ガランテ)。その意義を知る筆者には新味がありま
せんが、2001 年パルマのそれがベッリーニの自筆楽譜を反映して〈清らかな女神(Casta Diva)〉を従来より 1 音
高いト長調ヴァージョンで演奏したのに対し……それゆえノルマをソプラノのジューン・アンダーソン、アダル
ジーザをメッゾソプラノのダニエラ・バルチェッローナが歌っている……バルトリはヘ長調で歌っています(〈清
らかな女神〉には異稿があり、ヘ長調ヴァージョンは初演歌手ジュディッタ・パスタのための変更と推測されています)。
ベッリーニは《ノルマ》のために多数の異稿とスケッチを書き、批判校訂版が未出版の現状ではバルトリの楽
譜選択の詳細とその根拠は不明です(註:ブックレットに掲載された 2 人の校訂者の対話も従来版との違いを簡単に述べた
だけです)。音楽学的な関心を満たすには正式な全集版の出版を待つほかなく、ここはバルトリの録音を新たな演
奏解釈として楽しみましょう。その演奏は現在望みうる最高水準にあり、2001 年パルマ上演に比して遥かに「進
化」しています。
こうしたピリオド楽器によるベッリーニの演奏を聴くと、ロッシーニも同様のアプローチをすべきではないか、
と思う人も多いはす。これについては次号で紹介する《ラ・チェネレントラ》の新譜(2007 年グラインドボーン歌
劇場上演ライヴ CD)と絡め、あらためてお話させていただきます。
(2013 年 6 月 5 日 水谷彰良)
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◆ガゼッタ第
ガゼッタ第 30 号◆
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ガゼッタ第 30 号をお届けします。
本号は、協会ツイッター開始のお知らせ、夏のツアー宣伝、新譜《ラ・チェネレントラ》とシー・イージェ出
演コンサートの紹介です。
7 月 15 日の例会案内はこちらをご覧ください。http://societarossiniana.jp/
▼日本ロッシーニ協会ツイッター開始!▼
日本ロッシーニ協会ツイッター開始!▼
いまやツイッターが世の中を動かす時代。
「日本ロッシーニ協会でもツイッター始めませんか?」との HP 管理
人さんの提案を受け、
「やりましょう。でもぼくは初心者だからすべてお任せしますね」と答えたら、あっという
間に作ってくれました(6 月 8 日開始)。http://www.twitter.com/JapanRossini
筆者も遅ればせながらツイッターに初登録しました。皆さんもフォロワーになってはいかが?
▼ROF を含む郵船トラベルツアー、まだ空席あり!▼
を含む郵船トラベルツアー、まだ空席あり!▼
筆者が講師として同行する海外オペラツアーを、5年前(2008年)から郵船トラベルで行っています。今年5月の
それはあっという間に満席のため宣伝を控えましたが、8月に予定する「イタリア夏の音楽祭&トスカーナの世界
遺産めぐり10日間(8月7日~16日)」にはまだ数名分の空きがあります。
今回のプログラムはプッチーニ音楽祭《トゥーランドット》
、マチェラータ音楽祭《イル・トロヴァトーレ》
、
ペーザロのロッシーニ音楽祭(ROF)《ギヨーム・テル》
《なりゆき泥棒》
《アルジェのイタリア女》の5演目です。
オプションで《ギヨーム・テル》の2日目も鑑賞可能。トスカーナの世界遺産の観光と宿泊もセットにした贅沢な
旅にご一緒しませんか?
ROFチケットはすでに完売。ROFの初心者、なんとしてでもフローレス出演《ギヨーム・テル》を観たい方に
お薦めです。締め切り間近! 詳細はPDFパンフレットをご覧ください。
http://www.ytk.co.jp/music/0807_2013/0807_2013.pdf
▼新譜:ロッシーニ《ラ・チェネレントラ》CD
新譜:ロッシーニ《ラ・チェネレントラ》CD 発売!▼
発売!▼
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◎Rossini: La Cenerentola(Glyndebourne 2007)
ロッシーニ:歌劇《ラ・チェネレントラ》2007 年グラインドボーン・ライヴ
ディミトリ・ユロフスキ指揮エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団、グ
ラインドボーン合唱団 ラクエラ・シーラン(S) ルクサンドラ・ドノーセ(Ms)
マキシム・ミロノフ(T) アレッサンドロ・コルベッリ(Br) ピエトロ・スパ
ニョーリ(Br) ウンベルト・キオンモ(B-Br)ほか
[Glyndebourne GFOCD018](CD2 枚組。海外盤)
「グラインドボーン音楽祭の《ラ・チェネレントラ》なら、DVD 持っているよ」
という方が多いでしょう。でも DVD は 2005 年の上演映像。今回発売されたのは 2007 年上演のライヴ録音 CD
です。
「ユロフスキの指揮、ドノーセのアンジェリーナとミロノフのドン・ラミーロなら同じじゃない」と言うなか
れ。オーケストラがピリオド楽器のエイジ・オブ・インライトゥメントになり、3 人の男声低声歌手の変更により
グレードアップしているのです。前号に記したバルトリの《ノルマ》もそうですが、ピリオド楽器の使用で音楽
の印象も全然違います。レチタティーヴォ・セッコの伴奏もフォルテピアノ、チェロ、コントラバスのアンサン
ブルですから、音楽に広がりが生まれます。
この演奏、ユロフスキのテンポが非常に速く、刺激的すぎるところもありますが、ピリオド楽器だから超モダ
ンな演奏にもなるのです。果敢に応える歌手たちも立派。とりわけマニーフィコ役のコルベッリとダンディーニ
役のスパニョーリが抜群のアジリタで卓抜な歌唱を繰り広げ、主役のドノーセとミロノフがかすんでしまうほど。
とはいえミロノフも成長して声に力強さが加わり、第 2 幕のアリアのオプションハイ D もばっちり決めてます。
音の分離など音質面でも優れた録音で、観客の爆笑から舞台の楽しさが伝わってきます。Amazon や HMV の
サイトでは発売日が 6 月 20 日。海外盤のため価格はサイトによって異なり、
複数見比べての注文をお薦めします。
▼東邦音楽大学 創立 75 周年記念特別演奏会に
周年記念特別演奏会にシー・イージェ出演!▼
シー・イージェ出演!▼
ロッシーニ・ファンなら中国生まれの若きテノール、シー・イージェをご存知ですね。ROF での活躍はもちろ
ん、2010 年 7 月の東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会《ギヨーム・テル》ハイライト(ゼッダ指揮)、2012
年 7 月の日本デビュー・リサイタルでも素晴らしい歌唱を繰り広げました。筆者の執筆したデビュー・リサイタ
ル推薦文とプロフィールはこちら。http://www.tokyopromusica.jp/concert/yijie.html
今回は「東邦音楽大学創立 75 周年記念特別演奏会」のための来日で、期日と場所は次のとおり。
6 月 24 日(月) 18:30 開演、東邦音楽大学グランツザール
6 月 25 日(火) 19:00 開演、めぐろパーシモンホール(大ホール)
シー・イージェは第 1 部に出演してロッシーニ、グノー、チレーア、プッチーニのアリアを歌い、第 2 部は天
満敦子さんのヴァイオリン独奏でブルッフのヴァイオリン協奏曲その他が演奏されます(指揮:末廣 誠、管弦楽:
東邦音楽大学管弦楽団)。
プログラムと詳細は東邦音楽大学のサイトをご覧ください。
http://www.toho-music.ac.jp/college/news/2013/06/24/2093.html
(2013 年 6 月 15 日 水谷彰良)
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