1 - 日本ロッシーニ協会

メールマガジン「ガゼッタ」 まとめ(1)
創刊号~第 5 号 (2012 年 9 月 7 日~10 月 3 日配信)
配信した「ガゼッタ」No.1-5 のまとめです。書式と一部表記を変更して図版を取り込み、pdf にしました。
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◆ガゼッタ創刊号◆
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▼ガゼッタ創刊のご挨拶▼
日本ロッシーニ協会HPのリニューアルに伴い、
「ガゼッタ」と題したメールマガジンを発行することになりま
した。筆者は情報発信が苦手ですが、HP管理人の協力を得て、週 1 回を目安にロッシーニ・ファン向けの最新
情報や豆知識を提供すべく努力しますので、気長にお付き合いいただければ幸いです。ジャーナリスティックな
話題とは別に専門的な話も織り交ぜ、幅広い視野で発信していきますので、なにとぞよろしくお願いいたします。
▼ピッツォラート来日リサイタル速報▼
ロッシーニ歌手として活躍するメッゾソプラノ、マリアンナ・ピッツォラートが東京プロムジカの招聘で来日
リサイタルを開きます。期日は 2013 年 3 月 4 日(月)
、会場は紀尾井ホールです。
藤原歌劇団《タンクレーディ》
(2010 年 6 月)の来日をご記憶の方も多いと思いますが、近年成長いちじるし
い(…いろんな意味で…)の新たなディーヴァで、芳醇な低声と強弱法を駆使した陰影豊かな歌唱により、歌曲
や宗教曲の分野でも高い評価を受けています。日本ロッシーニ協会の後援につき、会員向けチケット割引も実施
します。詳細と申し込み方法は、近日中に発送する『ロッシーニ通信』でお知らせします。筆者によるチラシ裏
面の文章と演奏曲目は、主催・東京プロムジカの HP でご覧ください。
http://www.tokyopromusica.jp/concert/concert_20130304.html
(2012 年 9 月 7 日 水谷彰良)
★新 HP 管理人より★
新しい HP はいかがですか?まだ準備中のページもありご迷惑をおかけして申し訳ございません。ウェブのプ
ロではありませんので、デザイン的にできないことも多々ありますが、情報が届き次第速やかにHPに掲載する
よう努めますのでよろしくお願いいたします。また、メルマガの名称は、ロッシーニのオペラでもおなじみの《新
聞》=「ガゼッタ」以外に考えられませんでした。こちらもよろしくお願いいたします。
さて、管理人の目に留まった海外でのこれからのロッシーニの公演情報です。詳細はパソコンからそれぞれの
劇場のサイトで確認してみてください。
☆11 月~12 月,来年 2 月~3 月:パリ・ガルニエ
http://www.operadeparis.fr/en/saison_2012_2013/operas/la-cenerentola-rossini/detail/ 「ラ・チェネレントラ」
ミロノフ/シラグーザ、ピッツォラート/マルフィ、デ・シモーネ/アライモ他
☆来年 1 月末~:ウイーン
http://www.wiener-staatsoper.at/Content.Node/suche/suche_detailansicht.de.php?eventid=1024381&month=
01&year=2013&mode=current 「ラ・チェネレントラ」コルチャク他
☆来年1月末~2 月:アムステルダムのネーデルラント・オペラ
http://www.dno.nl/index.php?m=performances&sm=season&s=367
ン、スポッティ、レべカ他
「ギヨーム・テル」
、アライモ、オズボー
☆来年 2 月:アン・デア・ヴィーン http://www.theater-wien.at/index.php/en/programme/production/100146 「オ
リー伯爵」
、ブラウンリー、バルトリ他
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◆ガゼッタ第 2 号◆
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ガゼッタ第 2 号をお届けします。
本号では、今年 8 月に ROF で発売された 2011 年の演奏会形式《セビーリャの理髪師》DVD を紹介します
▼ROF2011
演奏会形式《セビーリャの理髪師》DVD 発売!▼
◎Rossini: Il barbiere di Siviglia. Registrasione dal vivo effettuata al Teatro Rossini di Pesaro il 22 agosto
2011. (Esecuzione in forma di concerto)
1
Il Conte d’Almaviva ... Juan Francisco Gatell
Rosina ... Marianna Pizzolato
Figaro ... Mario Cassi
Bartolo ... Nicola Alaimo
Basilio ... Nicola Ulivieri
Berta ... Jeannette Fischer
Lisa ... Francesca Pierpaoli
Fiorello / Un Ufficiale ... Clemente Antonio Daliotti
Ambrogio…N.N.
Direttore ... Alberto Zedda
Orchestra e Coro del Teatro Comunale di Bologna
Maestro del Coro ... Lorenzo Fratini
〈収録:2011 年 8 月 22 日ペーザロ、ロッシーニ劇場〉
[Rossini Opera Festival(製品番号なし)DVD2 枚組、PAL 仕様]
昨年 ROF の終盤、8 月 22 日に行われた演奏会形式《セビーリャの理髪師》をライヴ収録した 2 枚組 DVD で
す。今年 8 月 ROF のショップで販売され、価格は 10 ユーロと格安です。ROF 自主レーベルのため製品番号が無
く、市場での販売も現時点では想定していないようです。
指揮者アルベルト・ゼッダの校訂による全集版(批判校訂版)を使用し、若い歌手を中心にした演奏会形式の
上演で譜面台を置かず、適宜演技をしながらの出入りと歌唱です。歌手は、見るからに若くて声楽的にもこれか
ら、といった感じの伯爵役フアン・フランシスコ・ガテルとフィガロ役マリオ・カッシ、安定した歌と表現なが
ら横綱級の体型でも圧倒的存在感のロジーナ役マリアンナ・ピッツォラートとバルトロ役ニコラ・アライモが見
どころ聴きどころで、バジーリオ役のニコラ・ウリヴィエーリなど脇役も充実しています。
なにより素晴らしいのがゼッダ先生の指揮と、そこから流れ出る躍動感あふれる音楽です。映像はきちんと編
集されていますがハイビジョンに慣れている者には画像が粗く、色目も悪く、音響面もいま一つ。DVD2 枚組で
10 ユーロ(購入時のレートで 980 円!)と格安なのでその辺は我慢しましょう。
(2012 年 9 月 12 日 水谷彰良)
■お知らせ■
■日本ロッシーニ協会定期演奏会2012 オペラ《セミラーミデ》抜粋
2012 年 11 月 26 日(月)18:30 開演 チケット一般発売中!
詳細は http://societarossiniana.jp/concert.html にて
■日本ロッシーニ協会 リニューアル例会: 9 月 17 日(月・祝)13:30~
北沢タウンホール 3Fミーティングルームにて
会員の方も、会員でない方も、ぜひご参加ください!
詳細は http://societarossiniana.jp/meeting.html
■メルマガ「ガゼッタ」創刊号を逃した方は、[email protected] へ件名を創刊号希望と記入し、メー
ルを送信してください。創刊号が自動送信されます。件名を空欄のままでも受信可能な方もいらっしゃいますが、
件名が空欄ですと迷惑メール扱いとなり受信できない場合もあります。
■HP管理人より■
国内のロッシーニの公演のチケット、購入はお済ですか?
☆朝岡聡のオペラは恋の処方箋 vol.3 何はなくともロッシーニ
(10 月 24、25 日 銀座ヤマハホール)
http://www.yamaha.co.jp/yamahaginza/hall/eventdetail_6923.html
☆新国立劇場オペラパレス《セビリアの理髪師》11 月 28 日~12 月 9 日
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000610_opera.html
☆東フィル 定期シリーズ 《小荘厳ミサ曲》
1 月 17 日(オペラシティコンサートホール)
1 月 18 日(サントリーホール大ホール)
http://www.tpo.or.jp/concert/detail-2247.html エッティンガー指揮
★管理人の目に留まった海外でのこれからのロッシーニの公演情報第 2 弾です。
詳細はパソコンからそれぞれの劇場のサイトで確認してみてください。
☆2010 年のパリ・ガルニエと 2011 年のミラノ・スカラでの《湖の女》
(ディドナート、フローレス他)を見逃し
た方、3 回目の上演、ロンドン公演が 5 月 17 日から 6 月 11 日にかけてあります。
2
http://www.roh.org.uk/productions/la-donna-del-lago-by-john-fulljames
チケットの一般発売は来年 1 月 15 日から。
アメリカ国内
☆来年 1 月 17 日~2 月 5 日:メトロポリタン・オペラ 《オリー伯爵》
http://www.metoperafamily.org/opera/comte-ory-rossini-tickets.aspx
マチャイゼ、フローレス他
☆来年 4 月:ニューヨーク・シティ・オペラ 《エジプトのモゼ》
http://www.nycopera.com/seasontickets/
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◆ガゼッタ第 3 号◆
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ガゼッタ第 3 号をお届けします。本号では、今月新譜の 2009 年ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァル《ゼルミ
ーラ》上演映像(DVD&BD)を紹介します。
▼ROF2009 年《ゼルミーラ》DVD&BD 発売!▼
◎Rossini: Zelmira.(Rossini Opera Festival 2009)
ロッシーニ:歌劇《ゼルミーラ》2009 年ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァル(1826 年パリ改訂版)
ジョルジョ・バルベーリオ・コルセッティ(演出)
、ロベルト・アッバード(指揮)
、
ボローニャ市立劇場管弦楽団&合唱団
主な配役
アレックス・エスポージト(ポリドーロ、バス)
ケート・オルドリッチ(ゼルミーラ、ソプラノ)
フアン・ディエゴ・フローレス(イーロ、テノール)
グレゴリー・クンデ(アンテーノレ、テノール)
マリアンナ・ピッツォラート(エンマ、メッゾソプラノ)
ミルコ・パラッツィ(レウチッポ、バス)
〈収録:2009 年 8 月ペーザロ、アドリアティック・アレーナ〉
[Decca 0743465](DVD2 枚組) [Decca 0743466](BD)
2009 年 ROF《ゼルミーラ》の上演映像が DVD と BD(ブルーレイディスク)で発売されました。コルセッテ
ィ演出の舞台は二層構造で、床下に地下牢を設け、背後の斜めの鏡に地下の様子を映し出すというもの。全体に
暗く、血なまぐさい残酷な光景を見せる演出に賛否両論でした。歌手は登場のカヴァティーナでハイ D を連発す
る絶好調のフローレス、力強い発声で存在感も抜群のクンデとピッツォラート、大健闘のオルドリッチとみな素
晴らしく、R・アッバード指揮のオケと共に円熟期のロッシーニ作品を満喫させてくれます。
ROF の《ゼルミーラ》はデヴィーア主演の 1995 年が唯一で、14 年ぶりとなる 2009 年の上演では 1826 年パ
リのイタリア劇場改訂版を用いています。初演版との歴然たる違いは第 2 幕フィナーレにあり、パリ版では五重
唱(N.10)の後のレチタティーヴォを変更し、ゼルミーラのアリアを与え(N.10bis.《エルミオーネ》グラン・
シェーナのカバレッタ転用を含む)
、さらにオリジナルのアリア・フィナーレ(N.11)のゼルミーラの旋律をイー
ロとポリドーロに振り分ける改作をロッシーニ自身が行っています。
以下、簡略作品解説、登場人物、あらすじを記しておきますので、鑑賞の参考にしてください。
■簡略作品解説
2 幕のドランマ・ペル・ムジカ《ゼルミーラ Zelmira》は、ロッシーニがナポリで初演した最後のオペラで、続
く《セミラーミデ》を持ってイタリアで活動に終止符を打ちました。台本は、アンドレア・レオーネ・トット
ラ(Andrea Leone Tottola,1765-1831 頃)がドルモン・ド・ブロワ(Dormont De Belloy,1727-1775)のフラ
ンス語による悲劇『ゼルミール Zelmire』
(1762 年)に基づいて作成し、1822 年 2 月 16 日、ナポリのサン・
カルロ劇場で行われた初演も大成功を収めました。
■登場人物
ポリドーロ Polidoro(バス)……レスボスの王
ゼルミーラ Zelmira(ソプラノ)……ポリドーロの娘
イーロ Ilo(テノール)……トロイアの王子。ゼルミーラの夫
アンテーノレ Antenore(テノール)……ミティレーネの王子。レスボスの王座を熱望する。
エンマ Emma(コントラルト)……ゼルミーラの友人
レウチッポ Leucippo(バス)……アンテーノレの腹心
エアーチデ Eacide(テノール)……イーロの腹心
3
大祭司 Gran Sacerdote(バス)……ジョーヴェの司祭の長
他に、司祭たち、レスボスの民、ミティレーネの戦士たち、イーロの家来たち、ゼルミーラの小さな男の子
■あらすじ
第 1 幕 古代のレスボス島。ミティレーネの支配者アゾールを殺害したアンテーノレは後継者となる野望を抱
き、ゼルミーラを父王ポリドーロ殺しの犯人に仕立てようとレウチッポと相談する。だが、ゼルミーラは地下
墓所にポリドーロを匿っていた。何も知らぬゼルミーラの夫イーロが凱旋し、妻と再会するが、アンテーノレ
からゼルミーラがポリドーロを殺したと信じ込まされる。わが子をエンマに託したゼルミーラは、アンテーノ
レの戴冠式で襲われたイーロを救うが、彼女は夫を殺そうとしたと誤解され、囚われの身となる。
第 2 幕 嘆き悲しむイーロは、墓所から現れたポリドーロの話を聞いて妻に対する誤解を解き、アンテーノレ
を倒すべく、兵を挙げようと船に戻る。ポリドーロは捕らわれ、娘と共に死を覚悟し、エンマはイーロに助け
を求めに行く。やがてイーロの軍勢が突入して 2 人を救出すると、アンテーノレとレウチッポを捕らえる。ゼ
ルミーラは父が玉座に戻った悦びを高らかに歌う。
(2012 年 9 月 18 日 水谷彰良)
▼ご感想、ご意見をお待ちしております▼
9 月 17 日のリニューアル例会に出席なさった方、いかがでしたか? 管理人個人としましては、日本ロッシー
ニ協会設立までの経緯をうかがうことができ有意義でしたし、また、急ぎ足ではありましたがROFの歴史を第
一回公演から近年の公演まで一度にざっと振り返ることができたのはうれしいことでした。なかなか家ではでき
ないことですし、裏話なども聞くことができて楽しかったです。例会の内容や会場について、出席された方のご
感想、ご意見を下記のメールアドレスまでお寄せください。今後の参考にさせていただきます。
メールアドレスはこちらです。[email protected]
★★★HP管理人より★★★
☆ガゼッタ第 2 号で取り上げた ROF の《セビーリアの理髪師》DVD ですが、PAL 仕様ということで、日本で(と
いうか自分の家では)観れないと思い、購入しませんでした。ところが、ご自宅のごく普通の日本製DVDプレ
ーヤー及び PC で鑑賞できたという方がいらっしゃいますので、皆さんの中でもご自宅の DVD プレーヤーで観れ
る方がいらっしゃるかもしれません。とりあえず情報として掲載いたします。また、ペーザロでの音楽祭期間中
の限定販売と思われますので、購入希望の方は、来年 8 月に現地での在庫販売に期待しましょう。
☆すでに多くの方がチェックしていらっしゃると思いますが、ROF のホームページが、来年の公演に向けて、演
目と日程だけとは言え衣替えしています。 http://www.rossinioperafestival.it
☆今回の管理人の目に留まった情報は…
9 月号のアメリカの雑誌オペラニュースに 2 ページの記事(1ページは全面写真)が掲載されているテノールの
Saimir Pirgu(サイミール・ピルグと発音するのでしょうか。サイミールは現地で本人がそう呼ばれていたので
合っていると思います)。2002 年ROFの若者公演《ランスへの旅》でベルフィオーレを歌ったアルバニア出身
のリリック・テノールです。この年から毎年かかさず《ランスへの旅》を観ていますが、当初、体を張って(?)
歌う彼のベルフィオーレがかなり衝撃的でした。2003 年の本公演《アディーナ》にもアリ役で出ていましたが、
2006 年の《結婚手形》ではランカトーレの相手役として抜擢されていました。今やアメリカ進出。今月はサンフ
ランシスコ・オペラ(テバルド役)
。すでに《ジャンニ・スキッキ》のリヌッチオ役でメトデビューを果たし来年
3 月にはドミンゴがジェルモンの《ラ・トラヴィアータ》でアルフレードを歌うとのことです。大活躍ですね。
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◆ガゼッタ第 3 号追加号 ◆
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ガゼッタ第 3 号の追加(bis)をお届けします。
大阪では 9 月 23 日(日)15 時サンケイホールブリーゼ(大阪 西梅田)
、 東京では 26 日(水)19 時東京オペ
ラシティコンサートホール・タケミツメモリアルで開催される「エヴァ・メイ ソプラノ・リサイタル」の演奏曲
目の事前告知です。
前回の来日リサイタル(2010 年 7 月)の曲目は前半をイタリア古典歌曲、後半をモーツァルトのオペラ・アリ
アで構成しましたが、今回は前半を忘れられた作曲家ゴルディジャーニの《トスカーナ民衆歌集》とロッシーニ
《音楽の夜会》
《老いの過ち》の歌曲、後半はドニゼッティの喜歌劇の楽曲をメインにプログラムが組まれていま
す。筆者はプログラムの解説など執筆していますが、主催・東京プロムジカとは関係なしにロッシーニ作品の多
いリサイタルであること、チラシに書かれた曲目をより詳しく正確にお知らせしたいと考え、急遽ガゼッタ第 3
号の追加(bis)を発行することにしました。
以下、題名に原語を添えて曲目を掲げます。
「イタリアのシューベルト」と呼ばれたルイージ・ゴルディジャー
ニの《トスカーナ民衆歌集》は、間違いなく日本初演で録音も絶無の作品で、世界的にもほとんど歌われること
4
がありません(面白いかどうかは別問題ですが…)。個々の曲目解説は当日のプログラムをご覧ください。なお、
リサイタルの詳細は東京プロムジカのサイトでご確認ください。http://www.tokyopromusica.jp/
◎演奏曲目
ゴルディジャーニ《トスカーナ民衆歌集》より“ちょっとご覧”
“我田引水[誰もが自分の水車に水を引く]
”
“黒
さくらんぼと洋梨”
“どうか煩わさないで[眠れる犬はそのままに]
”
“トスカーナの女”
L.Gordigiani : «Canti popolari toscani» ~ “Guardate un po’ ” “Ognuno tira l’acqua al suo mulino”
“Ciliegie nere e pere moscatelle” “Lascia stare il can che dorme” “La donna di Toscana”
ロッシーニ《音楽の夜会》より“アルプスの羊飼いの娘”
“別れ”
G.Rossini : ‹Les soirées musicales› ~ “La pastorella dell’Alpi” “La partenza”
ロッシーニ《老いの過ち》より“黙って嘆こう”
“フィレンツェの花売り娘”
G.Rossini : ‹Péchés de vieillesse› ~ “Mi lagnerò tacendo” “La fioraja fiorentina”
ロッシーニ《音楽の夜会》より“ゴンドラに乗って”
“踊り”
G.Rossini : ‹Les soirées musicales› ~ “La gita in gondola” “La danza”
ロッシーニ《老いの過ち》より“さらば人生よ”
G.Rossini : ‹Péchés de vieillesse› ~ “Adieux à la vie!”
ドニゼッティ:歌劇《ベトリー、またはスイスの山小屋》より“この飾らず質素な隠れ家で”
G.Donizetti : «Betly, ossia La capanna svizzera» ~ “In questo semplice, modesto asilo”
ロッシーニ:歌劇《なりゆき泥棒》より“そのときが近づく”
G.Rossini : «L'occasione fa il ladro» ~ “Vicino il momento”
ドニゼッティ:歌劇《リータ、またはぶたれた亭主》より“清潔でお洒落ね、この愛らしい宿屋は”
G.Donizetti : «Rita, ou Le mari battu» ~ “È lindo e civettin questo caro alberguccio”
ドニゼッティ:歌劇《シャモニーのリンダ》より“この心の光”
G.Donizetti : «Linda di Chamounix» ~ “O luce di quest'anima”
ドニゼッティ:歌劇《連隊の娘》より“みながご存知”
G. Donizetti : «La fille du régiment» ~ “Chacun le sait”
(2012 年 9 月 22 日 水谷彰良)
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◆ガゼッタ第 4 号◆
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ガゼッタ第 4 号をお届けします。本号では、ロッシーニ財団が刊行した《小ミサ・ソレムニス》自筆楽譜ファ
クシミリ(限定 300 部)を紹介します。
▼ロッシーニ《小ミサ・ソレムニス》自筆楽譜ファクシミリ発売!▼
◎Rossini: Petite Messe solennelle. (Facsimile del manoscritto.,Fondazione G.Rossini)
ロッシーニ《小ミサ・ソレムニス》
(自筆楽譜ファクシミリ版、ロッシーニ財団)
今夏ペーザロを訪れ、全集版の新刊が無いのを残念に思った筆者に、思いがけない朗報が飛び込みました。そ
れがロッシーニ財団による《小ミサ・ソレムニス》
(1863 年。2 台ピアノとハルモニウム伴奏版)の自筆楽譜ファ
クシミリ版の出版です。ロッシーニ財団による自筆楽譜ファクシミリ版はこれが初、でも価格 300 ユーロ(約 3
万円)はちと高いのでは、と二の足を踏んでいたら、居合わせたドイツ・ロッシーニ協会の事務局長レート・ミ
ュラーから、
「限定 300 部、買わないと後悔するぞ!」と言われました。もちろん即購入を決断。
現物は 37.5×29.5 cm のフォリオ版で、全集版と同じこげ茶色の布装ですが、同じ布装の外箱に収納されていま
す(図版参照)
。内容は 2 頁分の簡単な解
説と約 130 頁の楽譜複製で、詳しい解説や校訂ノートは後日出版される全集版に譲るとのことでした。正式には
「310 部限定コピー」とうたわれていますが、最初の 10 部(ナンバーI~X)は財団と関係者用なので、市販は 1
~300 の番号を振った 300 部限定コピーとなります。
5
筆者は帰国直前の 8 月 21 日、明らかに出遅れで購入したのですが、なんと奥付コピーナンバーは 5 番! マニ
[註]。奥付には「2011 年 12 月」とありま
ア垂涎の一桁台でした(Copia N.05.番号のみハンコ押し。図版参照)
すが、ロッシーニ財団の出版物は奥付が実際の刊行期日ではなく、今回は頒布元の宣伝パンフ PDF に 2012 年 7
月 30 日とあり、出荷は 8 月に入ってと思われます。このパンフレットはネットに掲載されており、4 頁分の写真
も見ることが出来ます。説明文と一緒にご覧ください。
http://www.mgbhalleonard.com/downloads/Petite_Messe_Rossini.pdf
[註]出遅れで入手したのに 5 番のコピーだったのは、筆者がロッシーニ財団で購入したからでしょう。書店にはもっと後の番
号のコピーが出荷されています。
《小ミサ・ソレムニス(小荘厳ミサ)
》は 1863 年に 71 歳のロッシーニが作曲した宗教曲の大作で、12 人の歌
手(4 人のソリストと合唱パート)、2 台ピアノとハルモニウム伴奏のオリジナル・ヴァージョンの初演は 1864
年 3 月 14 日にパリのピエ=ヴィル伯爵邸で行われました(作品は同伯爵夫人ルイーズに献呈)
。その後ロッシーニ
自身による管弦楽伴奏ヴァージョンも作られています。どちらの自筆楽譜もロッシーニの遺言でペーザロ市に遺
贈され、現在はロッシーニ財団に所蔵されています。
複製されたオリジナル・ヴァージョンの自筆楽譜にはロッシーニの筆で「私の最後の老いの過ち」と記され、
終曲の末尾に神に向けた言葉が次のように書かれています──「神様、これでこの貧しく小さなミサ曲はお終いで
す。私が作曲したのは宗教音楽(la Musique Sacrée)でしょうか、それとも単にひどい音楽(la Sacrée musique)
でしょうか? 私はオペラ・ブッファのために生まれました。それをあなたはよくご存知ですね! 少しの知識、
僅かなハート、それがすべてです。祝福され、私を天国に受け入れてくれますように。G.ロッシーニ。パシー、
1863 年」
。
興味深いのは、晩年のロッシーニがこの作品を熟考し、推敲を重ねた痕跡のあることです。若き日の彼は速筆
で、脳裏に湧き出る音楽を一気呵成に書き写すという感じで筆を進め、カットは斜線で示し、変更と書き直しは
訂正部分を塗りつぶして上下の空いた段に書き直しました。ところが《小ミサ・ソレムニス》では書き損じ部分
のインクを丹念に削り落とし、その上に新たな音符を書いています。第 1 曲「キリエ・エレイソン」は、冒頭の
1小節をそっくり削って書き直しています。
「クリステ・エレイソン」の後の「キリエ」の再帰部分も同様です。
自筆楽譜の複製を見ると他にも気づく点が多々あるのですが、これについては別な機会に書かせていただきます。
付記:
どうすれば簡単に入手できるか、とのお尋ねにはうまく答えられません。入手方法の一つとして、宣伝パンフ
(図版参照)を作成した MGB HAL・LEONARD の通販を挙げておきます。
《小ミサ・ソレムニス》を表示しま
したのでご覧ください。現時点で在庫ありです。
http://www.mgbhalleonard.com/catalog/product_info.php?products_id=85002&language=en
(2012 年 9 月 27 日 水谷彰良)
★★★★HP管理人より★★★★
☆☆☆☆今週の注目は?☆☆☆☆
2005 年東京でチェネレントラを歌ったアラスカ出身のメッゾソプラノ、ヴィヴィカ・ジュノー。今月、フラン
スのルーアンとヴェルサイユでカルメンに初挑戦するのがフランスとアメリカのオペラ雑誌でニュースになって
いました。11 月と 12 月は、バロックのコンサートでスイスとフランスを回るようです。健在のようですね。
☆☆☆☆テレビ放送☆☆☆☆
クラシカ・ジャパンが、8 月の初放送に続き、10 月 1 日から 7 回にわたり、ROF2010 のシジスモンドを放送
予定です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆ガゼッタ第 5 号◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ガゼッタ第 5 号をお届けします。今月から毎月 3 回を目安に随時発行させていただきますので、ご了承くださ
い。本号は食欲の秋にちなんだ話題です。
▼「ららら♪クラシック」&食欲の秋にフォアグラ・ロッシーニを食す!▼
9 月 23 日に NHK・E テレで放送された「ららら♪クラシック」をご覧になった方も多いでしょう。この日のテ
ーマは「食欲の秋~美食と音楽家~」
、司会はいつもの石田衣良さんと加羽沢美濃さん、ゲストは Il Devu と書い
て「イル・デーヴ」と読ませるオペラ歌手ユニットでした。イル・デーヴ 5 人の当日の体重合計は 493 キロ、体
重が 90 キロを切ったらクビになるとか。メンバーは、望月哲也、大槻孝志、青山貴、山下浩司、ピアニスト河原
忠之さん、確かに太っています。美人歌手、イケメン・テノールの次はデブユニット、じゃなかったイル・デー
ヴですか……
番組ではコース料理「美食と音楽家」と題して、ワイン「ベートーヴェン《フィデリオ》序曲」
、メイン肉料理
「ロッシーニ《ロマンティックなひき肉》」「シューマン《きみにささぐ》」、コーヒー「バッハ《コーヒー・カン
タータ》から」の4曲が、作曲家のエピソードと共に紹介されました。ロッシーニの考案した「トゥルヌド・ロ
6
ッシーニ」
(ロッシーニ風フィレステーキ)もフレンチのシェフ・井上旭さんによって見事に調理され、150 グラ
ムのフィレ肉にフォアグラとトリュフをふんだんに使い、なんとも美味しそうでした。続いて晩年のロッシーニ
ならではの風変わりな題名のピアノ曲《ロマンティックなひき肉》を、加羽沢美濃さんが演奏しました。司会の
石田衣良さんがロッシーニの奇抜な着想を絶賛してくれたのが嬉しかったです。最後に「取材協力」として、加
藤浩子さんとぼくの名前が出ていました。番組詳細はこちらをご覧ください。
https://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20120923-31-08148
「ららら♪クラシック」を観て思い出したのが、2011 年 12 月、表参道
に再上陸したハンバーガー・チェーン「ウェンディーズ」です。目玉のジ
ャパンプレミアム新商品「フォアグラ・ロッシーニ」はテレビ・ニュース
でも報じられたので、ご存知の方も多いでしょう。値段はメニューで一番
高い 1,280 円。一度食べたいと思いつつそのままになっていたので、六本
木店まで買いに行きました。で、意気揚々と「フォアグラ・ロッシーニ!」
と注文して待つと「フォアグラ・バーガーお待ちのお客さま~」の声が。
それってぼく?……そうなんです。この一言がすべてを語っていました。
メニューの名称はフォアグラ・ロッシーニでも、お店にとっては単にフォ
アグラ・バーガーなんですね……当たり前ですが。
ウェンディーズのサイトの写真はこちら。http://wendys.co.jp/wendys/view/s.php?a=115#menu01
ぼくの写した写真とは印象がずいぶん違いますね(笑)
。
フォアグラはソテーではなくテリーヌ。意外に大きいのが 3 つ、ビーフパティに乗っています。味は濃厚かつ
本格的と思って調べたら、トリュフ・ソースとマデイラ・ソースも使っているとのこと。パティの下には薄い輪
切りの玉葱と香草も。要するに調味したフォアグラのテリーヌを乗せたハンバーガーなのです。とはいえお昼に
いただいた筆者はそれなりに満足しました。
そこで思い出したのが、ファミリーレストラン「デニーズ」で毎年冬の限定特別メニューとされる「牛フィレ
肉のロッシーニ風」です。最初に登場したのは 10 年ほど前でしょうか。そのときは「三大珍味」というふれこみ
でキャヴィアも使われていましたが、食べに行って数えたら 8 粒しか乗っていません。そもそもキャヴィアはロ
ッシーニ風に不要な素材、なんだかなあ……と思っていたら、ここ数年は「フォワグラと牛フィレ肉のロッシー
ニ風」と名称が変わり、より本格的になりました。今年も「冬のとっておき。スペシャルメニュー」として登場
するようです。価格は 1,480 円。デニーズのサイトに載っていました。説明文と共にご覧ください。
http://www.dennys.jp/dny/menu/dennys/meat/meat-101202-005.html
こう書くと、
「水谷はファミレスでロッシーニ風を食べている」と言われそうですね。
だてに『ロッシーニと料理』の著者ではないので、20 年以上前からヨーロッパや国内
の高級フレンチで何度も食べています。筆者の協力でホテルがロッシーニ料理フェアを
開催し、海外取材した本格的な TV 番組も作られました。その話をすると長くなるので、
今回はウェンディーズとデニーズにとどめましょう。
オマケとしてイタリアのカネッラ社(Canella)のカクテル=アペリティーヴォ
「Rossini」にもふれておきます。同社は何 10 年も前からカクテル「Rossini」を発売
していましたが、数年前に新鮮なイチゴのピュレをスプマンテに加えた発泡カクテルを
新製品として発売しました。名称が同じなので紛らわしいですが、イチゴの発泡カクテ
ルは 750ml、従来のカクテルは 200ml なので間違うこともないでしょう。アルコール
度数はどちらも 5%です。
カネッラ社のサイトでの紹介は http://www.canellaspa.it/index.php/rossini-cl-75?lang=en
楽天市場での紹介は http://item.rakuten.co.jp/wine/c/0000000946/をご覧ください。白桃のピュレとスプマンテ
を使った発泡カクテル「ベッリーニ」の説明も載っています。
飲んで美味しいかって?……ぼくはセッコが好きなので、甘めのカクテルは苦手です。一度飲んだだけで、ど
ちらも未開封のボトルをロッシーニ・コレクションに加えました。
こういうのは全部「話のタネ」でありまして、そのためには実際に食べ、飲まないと話にならないのです。でも
ロッシーニ・ファンなら、試さずにはいられませんね。
(2012 年 10 月 3 日 水谷彰良)
★★★★★HP 管理人の今週の注目は?★★★★★
今年の ROF の《ブルスキーノ氏》でソフィア役を歌い、会場からブーイングが出たキューバ出身のソプラノ、
マリア・アレイダ(昨年のROF若者公演の《ランスへの旅》ではフォルヴィル伯爵夫人)
。ROFのアーチスト
の経歴を載せた冊子には、今後の予定として武蔵野でのコンサートが書かれていました。そのコンサート、12 月
20 日(木)
、午後 7 時より武蔵野市民文化会館小ホールで行われます。カバリエとフレー二の愛弟子、超絶技巧の
コロラトゥーラとクリスマス・ソングの夜とのこと。
チケット予約開始は 10 月 4 日(木)
。詳細は、武蔵野文化事業団のサイトをご覧ください。
http://musashino-culture.or.jp
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