第5学年2組 算数科学習指導案 授業者 T1 教諭 髙橋 康 T2 教諭 山口

第5学年2組
1
2
単元名
算数科学習指導案
授業者
T1 教諭
髙橋 康
T2 教諭
山口 沙織
児童数 男17名 女9名 計26名
面積の求め方を考えよう(平行四辺形と三角形の面積)
単元について
1)単元について
本単元は,学習指導要領第5学年の内容「B量と測定(1)基本的な平面図形の面積
が計算で求められることの理解を深め,面積を求めることができるようにする 。」を受
けて設定したものである。
子供たちは,これまでに平面図形の面積については,4学年で,長方形,正方形の面
積の求め方を中心に,面積の概念とその単位の理解から面積公式を導いている。
本単元では,これらの既習内容や公式をもとにして,平行四辺形,三角形などの基本
図形の面積や公式について学習する。
面積学習の基盤を,まず,平行四辺形におき,その面積を等積変形により長方形に帰
着することによって求めていく。次に,三角形の面積は,等積変形や倍積変形により,
既習の長方形や平行四辺形の形に帰着してその面積の求め方を工夫して求めていく。平
行四辺形の面積の公式が確立してからは,平行四辺形に変形し帰着して面積を求めると
いう順序で学習を進めていく。
学習の目的は公式を覚えて使うことにあるのではない。どのような考え方からすでに
求め方が分かっている図形に帰着するか,また,つくり出した公式がどんな公式をもと
にして導き出されたかという筋道をはっきり理解することが重要である。この理解が確
実でないと,公式を忘れた場合,自力でつくり出すことができない。また,公式を覚え
ていても,公式の見方や自在に活用する力などが伴って伸びていかないことにもなるか
らである。
なお,台形や曲線でかこまれた形の面積の求め方については,発展的な学習に位置づ
けている。
2)児童の実態
算数の学習では,学習内容や子供の実態に応じて,これまでに学級を2つにわけたコ
ース選択,あるいは集団間等質の少人数やTTでの学習を展開してきた。コース選択の
学習では,自己診断テストの結果から子供たちが自分で考え,教師と相談しながら「じ
っくりコース(既習内容を確かめながらの補充的な学習 )」「どんどんコース(習熟の
程度にそった発展的な学習)」のいずれかを選択して学習してきた。
意識調査の結果より ,「算数は好きですか」の質問に対して ,「好き 」「どちらかとい
えば好き」と肯定的に回答した子供は9名と少なく ,「あまり好きではない 」「好きで
はない」と回答した子供は17名いた。算数の学習が好きではない理由として ,「分か
らない 」(7名)と回答した子供が一番多く,次に「計算が難しい 」(4名 ),「つまら
ない」( 3名),
「算数は苦手」
(2名),
「まちがったら恥かしい」
( 1名)の順であった。
また,領域別の学習内容についての質問では ,「あまり好きではない 」「好きではな
い」と回答した子供が,「数と計算」(13名)「 量と測定」(12名)「 図形」( 15名)
「数量関係」(16名)で,各領域ともに多かった。
「問題が分からないとき,どうしていますか」の問いに対して ,「ヒントをもらい自
分で考える 」(16名 )「自分で最後まで考える 」(10名)との回答が多く,最後まで
ヒントをもらいながらも自分の力で問題を解決しようと意識している子供が多い。
反面,5名の子供が分からない問題を「そのままにしておく」と答えている。
レディネステストの結果から,1マスを1平方センチメートルとして面積を考えたり,
長方形や正方形の面積を公式で求める方法については,ほとんどの子供が覚えており,
長方形や正方形の求積についておおよそ理解していることが分かった。1平方メートル
は何平方センチメートルか等の単位の換算についてはほとんどの子供が解答できなかっ
た。また,未習事項である平行四辺形の求積ができた子供は16名いたが,問題に平行
四辺形の底辺の長さと高さの長さが記されており,正方形や長方形の求積と同様に2つ
の長さの積を求めればよい程度の解答であったと思われる。
CRT学力調査の結果は,4観点とも全国平均を下回っており,特に「数学的な考え
方」
「 数量や図形についての表現・処理」では「全国と比較して努力を要する」結果で,
領域別にみても,「Ⅱ量と測定」「Ⅳ数量関係」が大きく下回っている状況にある。
3)指導にあたって
研究テーマを受け,以下のような手立てを講じながら,本単元の指導にあたる。
(1)発展的な学習や補充的な学習など,個に応じた指導のための教材開発の工夫
・ 平行四辺形や三角形の一人一人の求積活動の思考の手助けや,子供の求積方法を
全体に分かりやすく説明できるように,図形を操作できる教材を工夫し指導にあた
る。
・ 子供の理解を深めるために,一人一人の子供の学習状況を診断テストで確認し,
補充的な学習(等積変形や倍積変形の作業を繰り返しながら面積を求める)や,発
展的な学習(台形などの面積を既習の図形の求積と関連づけて求める)を行う。
・ 課題に対して,それぞれの子供のつまずきに対応できるように,既習内容を掲示
した算数コーナーを活用したり,具体的な助言をしたりしながら自力解決できるよ
う工夫していく。
(2)個に応じた指導方法・指導体制の工夫
①問題解決的な学習の展開
・ 子供の学習意欲を喚起させるために,興味や関心を高める課題提示の仕方を工
夫する。
・ 面積の求め方が未習の図形の面積の求め方を考えさせるために,具体物を使った
等積変形や倍積変形の操作活動の時間を十分確保し,既習の図形の面積の求め方に
帰着して求めことが理解できるようにする。
・ 見通しをもった操作活動ができるように,どのような図形に変形できそうかあら
かじめ予想を立てさせたり,発表しあったりすることで,解決の見通しをもった活
動ができるようにする。
②学習内容や子供の実態に合わせた指導形態の工夫
・ 子供の多様な考えをもとに,平行四辺形や三角形の求積方法に気づかせるために,
一人一人の子供に適切な支援をより多く行えるようTT指導を行う。
T1とT2の役割を次のように考え,互いに連携しながら指導にあたる。
T1…学習の進め方の説明を中心とした全体指導と,個の解決状況を把握しな
がら全体に広めたり,子供の必要に応じた個別指導にあたる。
T2…子供の解決状況を把握し,必要に応じて疑問やつまずきに答えることが
できるようにする 。(主に習得不十分と思われる子供を中心にあたる 。)
・ 子供の理解を深めるために,単元の終盤に,習熟の程度に合わせたコース選択学
習を取り入れ,個人の選択を加味した少人数指導を計画の中に位置付ける。
③算数的活動の工夫
・ 平行四辺形や三角形の面積公式がどのようにして導き出されるのかを理解させる
ために,等積変形や倍積変形にするなどの具体的な操作活動を充分に行わせ,「底
辺」と「高さ」が図形のどの部分にあたるのかを考えさせる探求的な算数的活動を
中心に展開していく。
(3)評価を生かした指導の工夫改善
・ 適切な支援計画を組み立てていくために,算数科に対する子供の内面をつかむ意
識調査や,単元指導における前提条件が分かるレディネステストを行い子供の実態
を把握する。
・ 単元全体を見通しながらの指導や評価に生かすために,指導計画の中に1時間1
観点を基本とした評価規準を明示し,単元を通して4観点が網羅されるように配慮
する。また,評価規準に照らし合わせた学習中の子供の様子を的確に把握するため
に座席表を活用し,その時間に「努力を要する状況」の評価になった子供に対して
は,次時以降で特に個別に支援し,学習内容の定着が図れるようにする。
・ 子供が学習内容の見通しをもって意欲的に学習に取り組めるようにするために,
「 ふり返りカード」を活用し,学習意欲を高めさせるとともに自己評価を記入させ,
教師がそれに対する励ましを朱書きする。
また,指導者側の学習過程や指導方法,学習支援の方法が適切であったかの判断
材料とする。
3
単元の目標
1)単元目標
既習の図形の面積の求め方をもとに考えたり活用したりしながら,平行四辺形や三角
形の面積の求め方を理解し,それらの面積を求めることができる。
2)単元の評価規準
(1)【関】算数への関心・意欲・態度
○既習の正方形,長方形に帰着すると,平行四辺形,三角形の面積を求めることがで
きるよさに気づき,進んで活用しようとしている。
(2 )【考】数学的な考え方
○既習の図形に変形するなどして,平行四辺形や三角形などの面積の求め方を工夫し
て考える。
(3)【表】数量や図形についての表現・処理
○平行四辺形,三角形などの面積の公式を使って面積を求めることができる。
(4)【知】数量や図形についての知識・理解
○平行四辺形,三角形などの面積の求め方を理解している。
4
次
指導と評価の計画(11時間扱い)
時
主な学習活動
1
第
一
次
平
行
四
辺
形
の
面
積
の
2
本時3/11
指導形態
・平行四辺形の面積の求め方を TT
既習の図形に帰着して考える。 学級一斉
・長方形に等積変形する平行四
辺形の面積の求め方を説明す
る。
・面積を求める公式を考え,公
式を作るには等積変形した長
方形のどこの長さが分かれば
よいか考える。
・「底辺」
「 高さ」の意味を知る。
・平行四辺形の面積を求める公
式をまとめ,公式を適用して
面積を求める。
学習活動における評価規準
( 評価方法)
【関】平行四辺形の面積を既習
の図形の求積と関連づけ
て工夫して求めようとし
ている。 ( 行動・発言)
【知】平行四辺形の面積の求め
方を理解している。
(ノート)
求
め
方
第
二
次
三
角
形
の
面
積
の
求
め
方
3
本
時
・高さが平行四辺形の外にある
場合の面積の求め方を考える。
4
・高さが8㎝の平行四辺形で,
底辺の長さが1㎝ ,2㎝,…,
5㎝と変化するときの面積の
大きさを調べる。
・平行四辺形の辺の長さを□㎝,
面積を○㎝2として面積を求め
る式を考える。
・三角形の面積の求め方を考え TT
る。
学級一斉
5
6
7
・面積を求める公式を考え,公
式をつくるには,倍積変形し
た平行四辺形のどこの長さが
分ればよいかを考える。
・三角形の面積を求める公式を
まとめ,公式を適用して面積
を求める。
・高さが三角形の外にある場合
の面積の求め方を考える。
8
・「練習」をする。
TT
学級一斉
第
三
次
9
・「 たし か め 」,「 チャ レ ンジ」
をする。
学級少人数
コース選択
ま
と
め
10
・発展的な課題と補充的な課題
のいずれかを選択して学習す
る。
・ワークテストに取り組む。
テ
ス
ト
11
TT
学級一斉
【関】高さを表す垂直の足が平
行四辺形の外にある場合
でも工夫して平行四辺形
の面積の公式を適用しよ
うとしている。
(ノート・行動・発言)
【考】2つの数量の関係を,□
や○を用いた式で表して
数量の関係をとらえてい
る。 (発言・ノート)
【考】倍積変形にして平行四辺
形にする考えをもとにし
た三角形の面積の求め方
を考えている。
( 行動・ノート)
【知】三角形の面積の求め方を
理解している。
(ノート)
【表】高さを表す垂線の足が三
角形の外にある場合の三
角形の面積を求めること
ができる。 ( ノート)
【表】平行四辺形,三角形の面
積をいろいろな考え方で
求めることができる。
( 診断テスト・ノート)
【関】平行四辺形,三角形の求
積方法を活用して問題を
解決しようとしている。
( ノート・行動・発言)
【表】いろいろな四角形や三角
形の面積を求めることが
できる。
( ノート)
5
本時の学習
1)本時のねらい
(1)高さが平行四辺形の外にある場合でも,平行四辺形の面積の公式は適用できること
を理解する。
2)本時の指導
前時までに子供たちは,平行四辺形の高さは,底辺に垂直な直線などの長さであると
学習している。高さが図形の外にある場合も学習しているが,高さが外側にしか求めら
れないような図形の場合,その高さを用いて面積公式にあてはめて求める学習は初めて
である。
本単元の1時間目に平行四辺形を長方形に等積変形し面積を求める学習を行っている
が,その時よりも子供にとって分かりにくいものであると考える。
そこで本時では,具体物を使った操作活動などを取り入れながら,どんな平行四辺形
でも面積の公式が適用できることをつかませたい。
「つかむ」の段階では,課題提示の工夫として,T1が本時で子供が操作活動で使う
具体物を拡大した高さが外にある方眼のない平行四辺形の色つきシートを提示し,面積
を求める公式を確認した後に,T2が方眼の上に色つきシートを重ね,底辺に垂直な直
線が向かい合う辺と交わらないことに着目させ,操作活動のイメージをもつことができ
るようにしたい。
「見通す」の段階では,高さが平行四辺形の内側にあるような形にかえれば面積が求
められるのではないかといった予想を立てさせ,発表させることにより全体に広め,各
自が見通しをもって課題解決に取り組むことができるようにさせたい。
「解決する」の段階では,操作活動などによって三角形を移して高さが内側にある平
行四辺形にしたり,長方形にしたり,2つの平行四辺形に分けたり,底辺の延長線上か
ら高さを求めるなど,具体物を使った等積変形などの操作活動が十分できる時間を確保
したい。また,つまずきの見られる子供に対しては,個別に助言をしたり,既習内容を
掲示した算数コーナーを活用しながら自力解決できるようにさせたい。
その後,それぞれの考えを発表させ,それぞれの考え方の根拠をもとに求積方法が全
体に明らかになるようにしたい。
「まとめる」の段階では,公式が適用できることを確認しながら高さが外にある平行
四辺形も面積の公式が使えることを確認したい。
「ふりかえる」の段階では,適用問題を解決させるとともに,本時の学習への取り組
みを振り返えらせ,次時の学習内容を知らせたい。
3)準備物
教師…平行四辺形図(拡大シート),方眼台紙,図形操作用色つきシート
ふり返りカード,座席表,評価表,算数コーナー掲示物
子供…筆記用具,ノート,カッター,はさみ,定規,教科書
4)学習過程
段 学習活動と
階
予想される子供の反応
1 問題を把握する。
つ
か
右の平行四辺形A
の面積を求めま
しょう
B
C
D
学習
○教師の支援
※評価規準(評価方法)
形態
T1
T2
一斉 ○高さが,外にしかな ○T1に注目するよう
い平行四辺形の色つ
に声掛けをする。
きシートを提示し, ○方眼の上に平行四辺
辺BCを底辺とした
形の色つきシートを
ときの高さをどのよ
重ね,底辺に垂直な
うにして求めたらよ
直線が向かい合う辺
いのかに着目させる。 と交わらないことに
着目させる。
む
○今までの勉強を思い出しな
がらやろう。
2
5
分
高さが外にある平行四辺
形の面積の求め方を考えよ
う。
見 3
通
す
5
分
4
解
決
す
学習課題を把握する。
○高さが底辺の外側に ○T1の説明で課題を
ある平行四辺形はど
つかめたかどうか確
一斉
のようにして面積を
認し,つかめない子
求めたらよいかの意
供には声掛けをし,
識化を図る。
意識化を図る。
解決の見通しをたてる。
一斉 ○自分で考えた方法を ○自分の考えに自信が
○切り取って図を移して,高
発表させる。
もてるよう励ます。
さが平行四辺形の内側にあ
○各自の予想をもとに ○自分の考えがもてな
るような形に変えて面積を
いろいろな方法で解
いでいる子供には,
求めてみよう。
決できることを確認
形を切ったり,線を
○2つの平行四辺形に分けて
する。
引いたりするとよい
面積を求めてみよう。
○図形の分解,合成な
などの助言をする。
○底辺をのばした線の上に垂
どの作業は,見通し
直な線をDと結べば高さが
をもってから行うよ
分かるかもしれない。
う助言する。
課題についての見通しをも 個別 ○机間指導をして子供 ○自力解決ができない
とに,自力解決をする。
の考えを把握する。
でいる子供には友達
○高さが内側にくるように図
○調べた結果を自分の
の見通した方法で解
形を切り取り,移してから
言葉でノートに書か
決するよう助言する。
面積を求める。
せる。
○算数コーナーを手が
○2つの平方四辺形に分けて
○1つの考え方ができ
かりに,既習の活動
それぞれの面積を足して求
た子供にはその他の
を想起させた上で解
める。
方法で解決するよう
決するよう促す。
声掛けをする。
○底辺をのばした線の上に垂
○辺BCと向かい合う
直な線をDと結び高さを求
辺との間に高さがな
めて面積を求める。
いか着目させ,既習
○調べた結果を自分の言葉で
の図形に帰着して
ノートに書く。
考えてみるよう促す。
○発表する子供を決め
る。
【関】
※高さを表す垂直の足が平行四辺形の外
にある場合でも工夫して平行四辺形の
面積の公式を適用しようとしている。
(ノート・行動・発言)
る
25
分
努力を要する状況(C)への
指導の手立て
高さを求めることができな
いでいる子供には,助言をし
たり,算数コーナーを活用し
たりして指導をする。
5
それぞれの考えについて発 一斉 ○それぞれの考え方の ○自分の考えを自信を
表する。
根拠を明らかにして
もって発表できるよ
○高さが分かれば平行四辺形
発表するよう助言す
う励ます。
の面積を求める公式を使っ
る。
○自分の考えと比べな
て答を出すことができる。
○それぞれの考えを認
がら聞いているかど
め称賛する。
うか観察し,机間指
導をする。
ま 6 学習のまとめをする。
と
め
高さが平行四辺形の外に
る
ある場合でも公式を使って
2
面積を求めることができま
分
す。
7
適用問題を解決する。
個別 ○問題を解き終えた子 ○問題につまずいてい
○平行四辺形の面積を,公式 ペア
供には,つまずいて
る子供には,公式を
をもとにして求める。
いる子供に,解き方
確認させ,解き方の
の方法をアドバイス
方法をアドバイスす
するよう話す。
る。
8
次時の学習内容を知る。
一斉 ○振り返りカードをも ○振り返りカードへの
○振り返りカードで自己評価
とに自己評価させる。 記入を確認する。
をする。
○次時の学習内容を伝
○次時の学習内容を知る。
える。
ふ
り
か
え
る
8
分
一斉 ○子供たちの発表をも ○まとめの記入を確か
とに求め方を説明し, める。
まとめをノートに書
かせる。
5)板書計画
面積の求め方を考えよう
自
問
A
D
子供の求積方法図
右の平行四辺形の
面積を求めましょう
B
課
C
高さが外にある平行四辺形の面積の求
め方を考えよう。
○公式を使って面積を求める。
式 4×6=24
答え24 c ㎡
ま
高さが平行四辺形の外にある場合
でも公式を使って面積を求めること
ができます。