2009年 5 月 業種別動向

広島県中小企業団体中央会2009年5月分情報連絡一覧表
(食料品)
●食料品
県内大手醤油製造業者が、量販店との取引で採算の改善が見込めないという理由から、6
月末で廃業の予定。
(繊維・同製品)
●衣服・その他の繊維製品
倒産が1件発生。
(木材・木製品)
●木材・木製品
平成21年4月の全国新設住宅着工数は、66,198 戸、前年同月比 32.4%減少となり、5 ヶ
月連続で前年実績を下回った。4月としては昭和40年以来、最低の水準となった。利用関
係別では、持ち家 22,971 戸で前年同月比 15.8%減少、貸家は 26,262 戸で前年同月比 33.0%
減少、分譲住宅は 14,191 戸、前年同月比 54.3%減少といずれも3月に比べ減少幅が広がっ
た。こうした状況下にあって、5月の木材・建材製品の荷動きは、住宅着工数の減少から小
売業等の需要も少なく、依然として低調に推移している。特に梅雨時期を控え、在庫の増加
を警戒しつつある。また、価格も総体的に弱含みである。
(印刷)
●出版・印刷・同関連
印刷業だけでなく、印刷機械、インク、フィルム等の製造・卸売業といった関連業も以前
にも増して景況は厳しい状況になっている。
(化学・ゴム)
●工業用ゴム製品
自動車関連業種は、1~5月で自動車メーカーの在庫調整局面が終了し、自動車の売れ行
きに沿った生産に戻りつつある。しかしながら、前年同月の実績と比較すると、30%~35%
減の仕事量であり、月次決算において黒字化できない状況。また、GM倒産の件で今後も予
断を許さない一方、原油価格も上昇しつつあり、さらに原材料価格も上昇しており、収益環
境が改善したとは言い難い。
●プラスチック製品製造業
新しい年度に入り、受注の好転を望んでいたが、依然として厳しい状況が続いている。こ
の状態での景況感が当面続く(最低1年)と予測される。また、自動車関連業種においては、
5月は4月より少し生産が上向いているため、一時帰休も減少している。6・7月と徐々に
生産が上向く予定である。
(窯業・土石製品)
●窯業・土石製品
出荷状況(24工場)
21年5月
2,913㎥(前年同月比79.2%)
21年4月
3,283㎥
20年5月
3,678㎥
不動産業の倒産、金融危機による影響、設備投資の急減等により、厳しい状況が当分の間
続くことが予測される。
(一般機器)
●一般機械器具
三菱重工業(株)広島製作所において、遠心圧縮機、駆動用蒸気タービン、ギアドコンプレ
ッサ、機械駆動ガスタービン、ゴム・タイヤ機械、タンクドーム、クリーンルーム、電子線
照射システム、有機ELパネル製造装置、放射線治療装置及び航空機・ヘリコプター等の操
業は横ばいで推移。三菱日立製鉄機械(株)においては、製鉄機械装置等の操業は若干下降
気味。三菱重工鉄構エンジニアリング(株)の橋梁関係も若干下降気味の操業。このような状
況に対応して、協力会社各社の操業にばらつきがあるものの、先行きの仕事量はある程度確
保されている。
売上推移において、前月比は 5%減少、前年同月比では 60%減少となった。これ以上は売
上が落ちないと予想される実績まで落ち込んだが、上がる気配もない。また、在庫調整が終
了した得意先も出てきたが、受注は無く、生産にも影響しない状況。
多少明るい予想も出ているが、現実は依然として厳しい状況が続いている。
(電気機器)
●電気機械器具
売上推移は、前月比は横ばい、前年同月比では 30%減少となった。世界的な不景気の波に
より、親会社の業績も悪く、受注が激減しており、景気回復の兆しが見えない。先行受注分
もどこまでもつのか不安である。前月と同様、ワークシェアリングを行っている組合員もあ
るが、ワークシェアリングも限界に達するような厳しい状況である。また、依然として円高
の影響も大きく、為替の安定を切に望む。輸出が特に落ち込んでおり、採算ラインが厳しい
状況の中で、親会社も受注活動を自粛する傾向にあり、業績回復には時間が掛かると予測さ
れる。
(輸送用機器)
●輸送用機械器具(自動車)
5 月のマツダ車生産台数は、完成車 49 千台で、4 月の実績比では 3 千台、4 月当初の 5 月
の生産計画と比較すると、2 千台上乗せになっており、国内外の在庫がほぼ適正状態となっ
たように思われる。6 月の生産計画は 68 千台で、前年同月比ではまだ 70%程度の生産台数だ
が、休業日もなくなり、上昇傾向になってきた様子。
5 月の全メーカー国内販売について、全需要(軽自動車を含む)は、292 千台、対前年 81.0%
と 10 ヶ月連続で前年割れとなった。登録車は 189 千台、対前年 80.6%と 10 ヶ月連続の前年
割れ、軽自動車も 114 千台、対前年 81.6%と 7 ヶ月連続で前年割れとなった。マツダ車の販
売状況(軽自動車を含む)は、総台数で 13 千台、対前年 67.1%(シェア 4.3%)となり、台
数、シェア(前年 5.2%)ともに前年実績を下回った。登録車のブランド別実績では、イン
サイトが牽引するホンダ(104.5%)のみが前月に引き続き前年実績を上回ったが、1 万台を
超えるプリウスを販売したトヨタ(76.9%)をはじめ、日産(90.9%)、三菱(85.9%)、
マツダ(65.6%)が軒並み前年実績を下回った。但し、4 月の前年同月比率と比較すると、
各メーカーいずれも上昇している。
また、海外におけるマツダ車販売状況(4 月分)は、世界的な不況の影響から、アメリカ
において全需が 34.3%減少(18 ヶ月連続)する中、マツダ車も 32.1%減少(9 ヶ月連続)、
カナダにおいては全需が 17.9%減少する中、マツダ車も 10.1%の減少(5 ヶ月連続)となっ
た。一方、欧州においては、全需が 25.0%減少する中、マツダ車も 36.1%減少(6 ヶ月連続)
となった。その他の国におけるマツダ車は、中国、台湾での販売は上昇したものの、10.6%
の減少となった。好調な中国やスクラップインセンティブ(廃車代替補助)の効果が期待さ
れる欧州などにおいて底打ち感はあるが、日米市場の先行き不透明さから、復活というには
程遠い。
東友会加盟各社も当面我慢の時期と捉え、この時期に合理化活動などで体力を養い、6 月
に販売される新型アクセラに期待しているのが現状である。
●輸送用機械器具(造船)
中手・大手の 2,500 総トン以上の建造許可の 21 年 5 月分は、5 隻 297,400 総トン(前月 11
隻 447,140 総トン、前年同月 11 隻 404,429 総トン)であった。なお、5 隻の内訳は、全て貨
物船である。業況については、前月の状況と大きな変化はない。
●団地(輸送用機械~船舶)
自動車関連業種等の輸出企業は受注減少により収益状況が悪化。このため、1社が廃業し
た。なお、雇用調整助成金を申請している企業は4社となっている。
(卸売業)
●卸売業(総合)
「雑貨」においては、「改正薬事法」が6月1日からスタートし、「大衆薬」は新たな競
争段階に入ったが、大手小売業者が店舗スペースや商品構成の見直しを実施しており、雑貨
売場を食い込む等その影響が懸念される。また、マスク・除菌関連商品等「新型インフルエ
ンザ」関連商品の売れ行きが好調であったが、メーカー欠品等から未入荷の商品があり、全
体の売上にはあまり貢献していない。
「食品」においては、概ね売上が横ばいであったが、失業率の増加・メーカーや流通業者
の利益圧縮等から、デフレ気味で推移しており、中には前年同月比で減収となっている企業
もある。淘汰されないように、従来以上に消費ニーズを捉え、他社との「差別化」をより鮮
明に打ち出すことが求められている。
「繊維」においては、一部の小売店で好調なところもあるが、それは少数であり、総体的
には依然として厳しい状況が続いている。有力小売業者と取引のある業者は、全商品値下げ
要請を受ける等、取引条件も厳しさを増している。
「資材」においては、新年度に入り、官公庁・民間ともに設備投資が停滞している状況が
継続、価格競争が一段と厳しくなり、安値受注を余儀なくされ、収益状況に大きく影響して
いる。商品的にはエコ関連商材の販売に注力している。
●卸売業(資材)
売上が低迷し、新年度に入っても厳しさは変わらない。5月に入って見積・商談物件とも
に減少し、価格も競合になり、下降気味である。工事業者も危機感が強く、新規需要開拓の
ため、太陽光発電機についての勉強会や研修会を希望する会社が増えてきている。オール電
化商品も積極的に拡販している。
●卸売業(畳・敷物)
新年度に入り、組合員企業の営業努力の結果、若干販売量に変化が現れている。一方、市
場(消費者ニーズ)は安価な商品を求めている傾向が見受けられる。新築住宅着工数の減少、
マンションの売れ行き不振に加え、畳替えの需要も減少しているので、見通しは下降のまま
「横ばい」だが、今年の後半よりこれらの需要の勢いが戻る可能性も予想される。
(小売業)
●各種商品小売業
上旬は帰省客が多く、オードブル・寿司セット等単価の高い食材が売れた。中旬はその反
動で食材の買い控えがあったが、暑さが続き、アイスクリーム・飲料等が前年実績以上の売
上になった。下旬も田植えシーズンに入り、パン・飲料等が例年実績を超える伸びとなった。
●家庭用電気機械器具小売
販売実績は前年同月比 94.3%となった。商品別では、液晶テレビ前年同月比 115.3%、プ
ラズマテレビ同 110.7%、ブラウン管テレビ同 30.9%、DVDレコーダー同 74.8%、冷蔵庫
同 111.1%、洗濯乾燥機同 117.5%、掃除機同 96.7%、ジャー炊飯器同 96.1%、電子レンジ
同 90.6%、エアコン同 95.2%、IHクッキングヒーター同 98.9%となっている。政府が景
気対策の一環としてスタートさせたエコポイント制度などで、省エネ家電製品の買い替えの
促進に繋げることにより、低迷している消費を活気づけ、景気の下支えになることを期待し
たい。
(商店街)
●商店街(各種商品小売業)
定額給付金に合わせて発行したプレミアム商品券の効果により、前月比で売上が若干増加
した。しかし、新型インフルエンザ、高速道路料金値下げ等の影響で来店客数は増加なし。
その他、組合員が廃業等で5名減少した。
(サービス業)
●自動車整備業
車検台数は前月比で 20%減少、前年同月比では 10%減少。車検場収入は前月比で 19.5%
減少、前年同月比では 35%減少。重量税・登録印紙の売上は前月比で 25%減少、前年同月比
では 35%減少となった。車検台数等、いずれも前年同月比で実績が大幅な減少となり、今後
の動向を注視する。
●広告業
売上について、ほとんどの組合員が悪化という回答であり、非常に悪い状況。仕入材料の
値下げ傾向が見受けられるものもあるが、需要そのものが増加しないとプラス要因にはなら
ない。
●情報サービス
景況感は依然として悪く、人材派遣や作業外注の契約終了等IT人材の稼働率が下がって
いる模様。今後の業界の見通しについては、下降とみなす企業が多いが、一部の企業は横ば
いと回答している。
(建設業)
●工事業
平成21年5月における工事受注件数は、前月比は 23%減少、前年同月比では 21%減少と
なった。
売上高は前年実績を若干上回ったものの、業界の景況感は悪く、景気回復の兆しは見えて
こない。
売上について、前月比は 56%、前年同月比では 51%となった。今年度においては、過去5
年間における5月単月の平均実績比では 43%の売上となり、最悪の状況。特に内装クロス工
事が減少しており、職人の仕事がない状態が続いている。この状況は材料の卸売を行ってい
る事業所にも大きな打撃となっており、当分の間厳しい状況が続くのではと懸念される。
神辺町と福山市との合併時の入札制限の特例措置の期限が切れたため、今年度4月から競
合相手が増えた。そのため、落札に努力しても相場が底入れする気配がなく、厳しい状況。
(運輸業)
●道路貨物運送業
5月はゴールデンウィークが明けた5/11から多少荷動きが活発になったようだが、荷
物と空車の割合は1対10から1.3対10に上昇した程度であった。このような状況では
前年の売上実績を確保できるレベルには程遠い。さらに荷物の奪い合いのような状況が継続
し、運賃の下落も続いている。この環境で荷物を運んでも利益が上がるという保証はなく、
経営環境は厳しくなるばかりである。月末になっても予想したほど飲料水・ビールが動かず、
苦労している事業所が多かった模様。また、軽油価格は先月より上昇に転じている。5月は
4月比2~3円/L高、6月は市場情報によると、さらに6円/L上昇する様子。昨年8月
に最高値155円/Lとなったが、値上げ幅がそこまでないにしても、昨年の4月から5月
に6円/Lアップしていることを思うと、今後の値動きが非常に気掛かりである。企業体力
も底にきている中で、益々信用不安が高まりつつある。
5月は休日が多く稼働日が少ないので、例年業績が悪いが、今年度の貨物量は最悪になっ
ている。大半の運送事業所は、平日も車庫が満車の状態。貨物量が少ないので、運賃は下が
る一方であり、燃料代にもならないので、稼働しない方が良いのではという状況。
●水運業
輸送量が減少している。また、船舶が老朽化しているが、代替建造ができない状況。船員
の高齢化及び不足も深刻である。
(その他)
●証券業・商品取引業
設備投資や雇用情勢等、依然として好転しないことが影響し、会員権の相場も横ばいにな
るのではと思われる。