食品成分の抗酸化能の遺伝子改変酵母を用いた測定法 O2

バイオテクノロジー・化学・機能性食品ステーション−1
食品成分の抗酸化能の遺伝子改変酵母を用いた測定法
理学部
生物化学科 分子遺伝学研究室
田村紗矢佳(修士1年)、池田正五(教員)
Keywords:機能性食品・抗酸化作用・遺伝子改変酵母・SOD1
1.研究目的
O2
生体内で生じた種々の活性酸素種(ROS)は、DNA や
タンパク質・脂質などを酸化し、がんをはじめとした様々
な生活習慣病の原因となる(図1)。生体内では SOD な
活性酸素種
ROS
抗酸化性
食品
どの ROS 消去系酵素が働いて ROS の攻撃から細胞を守
SOD
酸化
DNA
タンパク
脂質…etc
っている。また食品素材中にも抗酸化作用を持つものが
存在することがよく知られている。
本研究では、生細胞を用いた抗酸化機能の簡便で敏感
突然変異
発がん
生活習慣病
な測定系の開発を、ROS 高感受性酵母細胞(出芽酵母の
SOD1 欠損細胞株)を用いて試みる。
図1
本研究の概念図
2.主な研究方法と結果
(1)出芽酵母の SOD1 欠損株はパラ
コートなどの ROS 発生剤に対して高感
受性であるのみならず、メチオニンに
WT
メチオニン+
SOD1
欠損株
対する栄養要求性を示す。これは ROS
がメチオニン合成経路に対して毒性効
果を示すためである。培地に抗酸化成
メチオニン -
分(ビタミン C)を加えることで、濃度
0
依存的に SOD1 欠損株のメチオニン要
求性が抑制された(図2)。
15mM
30mM
ビタミン C濃度
図2
メチオニン要求性抑制試験
(2)SOD1 欠損株は野生株よりも高浸
透圧(2.2 M ソルビトールや 1.6 M NaCl)において生育抑制を受けやすい。これは浸透圧スト
レスによる ROS 発生が原因である。上記と同様にビタミン C の添加により生育の回復がみら
れた。今後これらの系を利用して、食品成分の抗酸化能の測定法を開発し、機能性食品の生
物学的評価を行う。
本研究は文部科学省「社会連携研究推進事業」の一環として行ったものである。
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