FM放送電波の形 その1 モノラル放送

No56
Shu-chan の
FM放送
放送ネットワーク
道しるべ
中仙道(本庄宿)
< F M 放 送 電 波 は ど ん な 形 ? ・・・作 り 方
(その1モノラル放送)>
FM放送の電波の形がどうなっているか?・・・と、その形の電波をどのよ
うにして作るかをお話ししましょう。
わが国では、FM放送に関しては、ステレオ放送としての周波数割当基
準が採用されています。これを全国に普及させるためには、全国的に統一
した送信の標準方式を規定する必要があり、旧郵政省令にて「超短波放送
に関する送信の標準方式」として定められています。
まず、今回は、その中のモノホニック放送の標準方式を解説いたします。
ステレオ放送に関しては次回とします。
FM放送の周波数は 76 から 90 MHz(FM補完中継局分を含めると 95
MHz)の間にあり、この 14 MHz(19 MHz)のなかに FM 放送用のチャ
ンネルは 100 kHz 間隔で 76.1~89.9 MHz(94.9 MHz)までの 139(189)
あります。1 つの放送局は
この 139 のいずれかのチャンネルを使用しま
す。
(図1 参照)
76.0MHz
139 チャンネル
100kHz
100kHz
76.1MHz
76.3MHz
76.2MHz 76.4MHz
90.0MHz
100kHz 100kHz
89.7MHz
89.9MHz
89.8MHz
FM補完局用
50 チャンネル
95.0MHz
100kHz 100kHz
94.9MHz
94.7MHz
94.8MHz
図 1 FM放送のチャンネルの様子
モノホニック放送とは、音声信号のみにより直接主搬送波を変調して放
送を行うもので次のように規定されています。なお、次回に述べるステレ
オ放送に関しても、このモノホニック放送の基準は適用されます。
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・
主搬送波の変調形式は周波数(FM)変調とします。
・
主搬送波の周波数を変化させる最大範囲(「最大周波数偏移」といいま
す。
)は、±75kHz とします。
・
音声信号の最高周波数は、15 kHz とします。
・
音声信号の高周波数部分については、プリエンファシスという手法に
より強調します。
(これはシステム上の雑音による影響を少なくするため
です。
)この強調の程度は、時定数 50μs(ハイパスフィルタに近い特性)
と決められています。
1 つのチャンネルを使ってFM放送を行う場合、その付近の周波数のエネ
ルギーの様子は 図2 「FM 放送の使用周波数帯域」のようになります。
100kHz
-100
-75
100kHz
-50
50
中心
中心
82.5MHz
下側隣接周波数
10
0kHz
82.4MHz
割当幅
82.45MHz
75
100
下側隣接周波数
82.6MHz
82.55MHz
エネルギーの 77.5 パーセント
図2
FM 放送の使用周波数帯域(82.5 MHz の例)
この図では、NHK東京FM放送 82.5MHz を例に示しています。
82.5MHz の 周 波 数 を 中 心 に 、 電 波 法 で 割 り 当 て ら れ た 周 波 数 の 幅
82.45MHz から 82.55MHz まで、100 kHz 離れた下側隣接周波数の
82.4MHz、上側隣接周波数の 82.6MHz との関係を示しており、NHK東
京FM放送 82.5MHz のエネルギー77.5%を占める周波数の幅をも示して
います。
FM放送電波は、図 3「FM変調波を作る様子」に示すように、変調波と
いう情報としての電気信号を搬送波という高い周波数の電気信号に乗せて
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アンテナから電波として送信します。電気信号の乗せ方は、周波数(FM)
変調といって、文字通り搬送波の周波数を変化させて変調するのです。こ
の周波数(FM)変調波を被変調波といいます
変調波
搬送波
図3
(FM)変調波
FM変調波を作る様子
FM放送波の占有周波数帯域は、振幅変調のような変調周波数より、む
しろ、搬送波の周波数偏移をどの程度の大きさにするかにより決定されま
す。FM変調波には、搬送波の上下に変調周波数に応じた周波数成分が無
数に生じます。100%変調時には
図2「FM 放送の使用周波数帯域」に示
すように±75kHz に大部分の側波帯が存在し、残りが±100kHz までの間
にあります。したがって、同一チャンネルまたは隣接チャンネルを割り当
てる場合、所定の混信保護比が十分得られるよう 2 局間の距離を十分離す
など配慮する必要があります。
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