Technical News 株式会社 住化分析センター TN248 ● ミクロ金属組織の分析 Analysis of metal micro structure [概 要] 金属や合金の特性(硬さや伸びなど)はその組成(添加物の種類や量)や熱処理や加工によるミクロ 的な組織の変化と密接な関係があります。そのため、実用金属材料においては、諸特性を知る上で組織 の変化を把握することが重要になってきます。ミクロ的に金属組織を観察することや元素分布を調査す ることは、材料研究において非常に重要です。以下に分析例を紹介します。 [手 法] 金属組織観察法 鏡面研磨、エッチング(ケミカル、電解) 電子線マイクロアナライザー(EPMA) 使用装置:EPMA-1610 [事 例 ①] 真鍮(Cu-Zn 合金)の金属組織観察とカラーマッピング Cu-Zn 系合金は、亜鉛(Zn)の濃度が 33%より増加すると、α(アルファ)相の他に、およそ 40%から 50%の亜鉛を含む体心立方格子をもったβ(ベータ)相が現れます。左下の写真は真鍮(Cu-Zn 合金)をケ ミカルエッチングにより金属組織を露出させたものです。組織の大部分を占めるα相の結晶粒と、やや濃い 色のβ相の結晶粒で構成されていることがわかります。亜鉛濃度が増加すると、このβ相の占める面積が増 加します。又、この組織には所々の粒界に黒色の析出物が存在していました。EPMA のカラーマッピング(右 下の図)により、β相はα相より亜鉛濃度が高いことや析出物には鉛(Pb)を多く含んでいることが確認さ れました。 β相 α相 析出物 α相 β相 反射電子像 10μm Cu 10μm 10μm Pb 10μm 析出物 20μm 光学顕微鏡写真(ケミカルエッチング処理) Zn EPMA によるカラーマッピング [事 例 ②] ジュラルミンの金属組織観察とカラーマッピング ジュラルミンはアルミニウム合金の一種でアルミニウム(Al)の他に銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、マン ガン(Mn)、珪素(Si)等を含有し、これらの添加元素とアルミニウム(Al)との中間相の析出により、強 度を強くさせています。ゆえに、これらの中間相の分布を調べることは材料研究として重要です。以下にジ ュラルミンの金属組織写真と添加元素のマッピングの像を示しました。光学顕微鏡写真では結晶方位の違い が色の違いとして現れています。又、ところどころに小さく観察されているものは中間相(析出物)です。 EPMA のカラーマッピングの結果では、マグネシウム(Mg)は均一に固溶していますが、銅(Cu),マンガ ン(Mn), 珪素(Si)は局所的に分布していました。これらの局所的に分布している元素はアルミニウム(Al) と化合し、中間相として析出し、材料強化に担っていると考えられます。 20μm 20μm 光学顕微鏡写真(ケミカルエッチング処理) 反射電子像 Mg 100μm Al 100μm Cu 100μm 100μm Mn 100μm Si 作成: 千 100μm EPMA によるカラーマッピング 作成:千葉(RO0506) 4-SO-(39) 分析・測定・調査の総合分析会社 株式会社住化分析センター これ以外にも技術資料をご用意しています:http://www.scas.co.jp/analysis/ 当社ホームページはこちらから:http://www.scas.co.jp/
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