2014 年度

根本山ふるさといきものふれあいの里
根本山自然観察センター年報
平成 26 年度(2014 年度)
根本山自然観察センター
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目
次
1. 根本山自然観察センターの概要
(1) 名称等
(2) 施設の概要
(3) 組織と人員配置
(4) 運営
(5) 自然観察路と自然観察ゾーン
(6) 利用状況
2. 平成 26 年度事業報告
(1) 事業一覧
(2) 環境教育事業
(3) 環境保全・管理事業
3.根本山ふるさといきものふれあいの里の自然環境資料
(1)根本山ふるさといきものふれあいの里におけるアカボシゴマダラ初記録
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1.根本山自然観察センターの概要
(1)名称等
1)名称
根本山ふるさといきものふれあいの里
2)所在地
真岡市根本山自然観察センター
〒321-4311 栃木県真岡市根本 56 番地 11
3)設置の目的
根本山ふるさといきものふれあいの里の自然環境を保全するとともに、その自然
の中で動植物の観察や自然体験等の環境教育活動をとおして、自然保護思想の普及
を図る。
4)設置の経緯
事業名:根本山ふるさといきものふれあいの里整備事業
昭和 63 年 12 月
基本計画策定委員会の発足
平成元年 9 月
整備事業計画書の提出、承認
平成元年 10 月~
整備事業(3 ヶ年)
平成 2 年 4 月
ネイチャーセンター準備室発足
平成 3 年 4 月
根本山自然観察センター発足
平成 4 年 3 月 27 日 根本山自然観察センター竣工並びに根本山ふるさといきもの
ふれあいの里開園記念式典
5)面積
約 22ha(市有地約 18.1ha、民有地約 3.4ha)
6)管理地の環境
根本山は、真岡市と益子町に跨る標高 60~165mのほぼ独立した台地で、市中心
部から東に約 5 ㎞のところにある。ほぼ南北に伸びる主尾根から東西に細かい枝尾
根が発達し、やや急峻な地形が多い。東側のふもとには小貝川が流れる。
かつては、植林されたヒノキ林が広い面積を占め、暗い印象の林が多かったが、
毎年、間伐や草刈等の整備を行い、今では、見通しのよい明るい林が増えた。明る
くなったヒノキ林の林床には、カタクリ、チゴユリ、ハイチゴザサ、キバナアキギ
リなどが生育する。また、毎年夏には、コナラ、クヌギ、アカマツが混じる雑木林
でヤマユリが群生し、これを見に訪れる人も多い。
平成 11 年度と 15 年度に、約 9,300 ㎡のヒノキ林を伐採し、コナラとクヌギを植
栽した林相改良地(オトシブミの林とスミレの小道)も、順調に若い雑木林へと生
長している。スミレの小道では、コナラ、クヌギ、オニグルミのほか、アカマツが
実生から育ち、樹高 3m ほどに育った。そこには、スミレ、センブリ、リンドウ、
ヤクシソウなどが咲き、ベニイグチなどの菌類も発生するようになっている。
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しかし、管理地全体では、アカマツ成木の立ち枯れが目立つようになった。枯れ
たアカマツを伐採しつつ、幼木を育て、速やかなアカマツ林への更新を目指してい
る。
谷津田跡の水辺は、少しずつ池を造成し、今では 9 つの小さい池がある。泥さら
いやアメリカザリガニの駆除、草刈を継続的に実施し、メダカやタガメ、シオヤト
ンボ、オニヤンマなどのトンボ類が安定して見られるようになっている。また、ニ
ホンアカガエルやシュレーゲルアオガエル、アズマヒキガエルも繁殖している。
林に挟まれた谷筋にある草地には、ユウガギク、ヒヨドリバナ、アキノキリンソ
ウ、ススキ、タチカモメヅルが生育し、キバネツノトンボやムカシヤンマが見られ
る。
(2)施設の概要
1)自然観察センター(延べ床面積 437.24 ㎡)
管理区域の管理運営を行なうとともに、根本山の自然に関する情報の収集、提供
をし、主催事業を実施する中心施設である。
・展示室
・レクチャールーム
・事務室
・研究室
・図書コーナー
・トイレ
・倉庫
図書コーナー
2)野外施設
・駐車場
ふもとの専用駐車場(乗用車 20 台、大型バス 3 台)
自然観察センター前(乗用車 9 台)
・あずまや 4 ヶ所
・屋外トイレ 3 ヶ所
(3)組織と人員配置
1)組織
真岡市役所-産業環境部-根本山自然観察センター
2)平成 26 年度の人員配置
職
名
所長 1 名
(環境課課長兼任)
主な事務分掌
総括管理
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(環境課課長兼任)
次長 1 名
次長事務、施設の総括管理運営、環境保全管理、事業計画
常勤嘱託 1 名
庶務経理、予算管理、広報、行事運営補助等
常勤嘱託 2 名
自然観察指導、行事及び展示の企画運営、環境保全管理、
(自然観察指導員) 動植物調査、広報等
(4) 運営
1)開館時間
2)休館日
午前 9 時~午後 4 時
毎週月曜日(祝日の時は開館)、祝日の翌日、年末年始(12 月 28 日~翌年
1 月 4 日)
3)行為の禁止
動植物の捕獲・採取・移入、ペットの置き去り
バーベキュー、たき火、花火などの火気の使用
自然観察路への車両の乗り入れ等
(5) 自然観察路と自然観察ゾーン
自然観察路は、根本山自然観察センターを起点に総距離約 3km ある。環境別に 15
の自然観察ゾーンを設定している。
根本山ふるさといきものふれあいの里及び周辺図
1)コナラやクヌギを中心とした雑木林
昆虫の林、クヌギの丘、コナラの丘、オトシブミの林、スミレの小道
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2)雑木とアカマツが混生する林
シジュウカラの林、マツボックリの林
3)間伐された明るいヒノキ林
ヒグラシの林、サシバの谷、ヒヨドリの林
4)池と湿地
トンボの水辺
5)沢沿いの草地
オニヤンマの沢、チョウの谷
6)開けた草地
タンポポとバッタの広場、もみじの広場
(6)利用状況
1)自然観察センター入館者数と内訳
月
別
利
用
内
訳
地
域
別
内
訳
入館者数
個人利用
団体数
団体人数
市
内
市
外
県
外
4月
1,099
1,072
1
27
702
291
106
5月
757
578
6
179
610
144
3
6月
967
472
9
495
829
110
28
7月
738
565
6
173
531
167
40
8月
815
616
7
199
618
177
20
9月
354
310
1
44
247
99
8
10 月
590
225
8
365
221
359
10
11 月
679
361
10
318
483
176
20
12 月
185
121
4
64
118
61
6
1月
254
191
3
63
186
59
9
2月
258
212
4
46
181
68
9
3月
359
292
2
67
239
102
18
7,055
5,015
61
2,040
4,965
1,813
277
合
計
2)団体利用内訳
内
訳
団体数
幼稚園
小中学校
子ども会
・公民館等
3
18
13
一
般
主催行事
6
21
合
計
61
校外学習、自然観察を目的として利用する団体が多い。ほとんどの団体が、自然観
察指導員による自然観察ガイドの案内・解説を希望している。
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3)利用団体
5 月 13 日(火)真岡市立大内中央小学校 2 学年
5 月 16 日(金)真岡市立長田小学校 1 学年
5 月 22 日(木)真岡市立東沼小学校 2 学年
6月
5 日(木)真岡市立真岡西小学校 2 学年
6月
8 日(日)真岡市
寺久保子ども会育成会
23 名
59 名
7名
164 名
80 名
6 月 11 日(水)真岡市立真岡東小学校 2 学年
99 名
6 月 12 日(木)真岡市立西田井小学校 2 学年
26 名
6 月 12 日(木)真岡市立中村東小学校 2 学年
24 名
6 月 17 日(火)真岡市立長沼小学校 2 学年
20 名
6 月 20 日(金)茨城県坂東市
神大実分館
15 名
6 月 24 日(日)真岡市立山前小学校 2 学年
22 名
6 月 26 日(木)益子町立田野小学校 2 学年
45 名
7月
2 日(水)真岡市立亀山小学校 2 学年
46 名
7月
6 日(日)日光市
maru
7月
6 日(日)真岡市
きらきらママサークル
18 名
7月
8 日(火)益子町
七井幼稚園ひよこクラブ
64 名
7 月 26 日(土)茨城県つくば市
5名
地形教室
16 名
8 月 12 日(火)市貝町
青葉学園赤羽学童クラブ
28 名
8 月 13 日(水)市貝町
青葉学園赤羽学童クラブ
19 名
8 月 21 日(木)真岡市
ひかり幼稚園わんぱくクラブ
31 名
8 月 27 日(水)真岡市
さくら幼稚園家庭教育学級
46 名
公認しらゆりこども園
199 名
10 月 1 日(水)宇都宮市
10 月 5 日(日)真岡市
ボーイスカウト真岡第 1 団ビーバー隊・カブ隊
10 月 23 日(木)市貝町立小貝小学校 1 学年
10 月 25 日(土)真岡市教育委員会スポーツ振興課 トレッキング教室
18 名
31 名
7名
10 月 29 日(水)真岡市立大内西小学校 1 学年
22 名
10 月 30 日(木)益子町立田野小学校 1 学年
50 名
10 月 31 日(金)真岡市立大内東小学校 1 学年
18 名
11 月 1 日(土)真岡市教育委員会スポーツ振興課 トレッキング教室
8名
11 月 6 日(木)真岡市立大内中央小学校 1 学年
26 名
11 月 12 日(水)真岡市立西田井小学校 1 学年
23 名
11 月 14 日(金)真岡市立久下田小学校 1 学年
77 名
11 月 15 日(土)上三川町
25 名
11 月 21 日(金)真岡市
萌丘東幼稚園・萌丘東保育園
11 月 28 日(金)宇都宮市
12 月 4 日(木)真岡市
12 月 6 日(土)宇都宮市
12 月 21 日(日)益子町
上三川町草木ウォッチング会
うつのみや環境行動フォーラム
NPO 法人いろは企画
宇都宮大学
雑草と里山のフィールド演習
森のようちえん
1 月 17 日(土)宇都宮市 とちぎ YMCA
94 名
5名
8名
13 名
15 名
18 名
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3 月 29 日(日)小山市
栃木県ウォーキング協会
60 名
2.平成 26 年度事業報告
(1)事業一覧
1)環境教育
①主催行事
・根本山しぜん体験教室
・里山の生き物調査
・はじめての里山遊び(初心者向け自然観察会)
・ゴールデンウィーク限定クラフト「どんぐりの木に絵を描こう」
・野鳥のクラフト、ザリガニつり等の常設プログラム
②普及活動
・利用団体への自然観察ガイド
・講師派遣
6/18 西田井小学校 4~6 年生
11/7 真岡西小学校 3 年生
地域を学ぶ会
総合的な学習の時間
・展示資料作成、展示資料保守管理
・観察用具(双眼鏡、虫眼鏡、図鑑等)の無料貸し出し
山前南小学校
6 月双眼鏡 15 名
中村東小学校
6 月と 1 月に双眼鏡各 40 台
西田井小学校
6 月に双眼鏡 12 台、スコープ 1 台、
図鑑 12 冊
③自然情報の提供・収集
・園内イラスト地図(見どころマップ)による自然情
報の提供
・図書資料の収集
・標本類の保管
2)施設維持管理
・施設、備品の維持管理
・館内床清掃、警備等施設管理業務委託
・案内、解説看板設置
・トンボの水辺木道一部修繕
・観察センターベランダ一部修繕
3)環境保全管理
・管理地下草刈り、落ち葉かき等業務委託
・間伐、枯木、竹伐採業務委託
・サクラ天狗巣病切除業務委託
・水辺管理(水量管理、泥さらい、ヨシ抜き取り等)
・動植物調査
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4)広報
・ホームページの更新
・市広報(広報もおか、市政こよみ、ウィークリーニュースもおか、市
政情報番組)
・取材(エフエム栃木
(2)
とちぎいいものがたり)
環境教育事業
1)根本山しぜん体験教室
大人から子どもまで幅広い年齢層を対象に、里山の自然に親しみ、自然環境への
興味・関心を高めることをねらいとしている。毎回、午前中 2~3 時間で実施して
いる。
(太字は新企画の行事)
実
施
日
内
容・テーマ
参加者
04 月 27 日(日) 野の花で生け花をしよう
27 名
05 月 17 日(土) 水辺の生き物をすくってみよう
25 名
05 月 25 日(日) 葉っぱを食べる虫を観察しよう
31 名
06 月 07 日(土) リスのくらす林づくり
雨天中止
06 月 22 日(日) キケンな虫や草をおぼえよう
雨天中止
07 月 13 日(日) オオムラサキを観察しよう
24 名
07 月 20 日(日) 夜の里山探検
雨天中止
08 月 17 日(日) 夏休みクラフト~竹でぶんぶんごまを作ろう~
12 名
08 月 24 日(日) セミのぬけがら調べ
26 名
09 月 15 日(祝) さおを作ってザリガニつりをしよう in 鬼怒水辺観察セ
44 名
ンター
10 月 18 日(土) 木の実のクラフト ~飾れる標本を作ろう~
11 月 15 日(土) 秋の花とタネを観察しよう
20 名
8名
11 月 22 日(土) 葉っぱのクラフト~クリスマスボードを作ろう~
30 名
12 月 14 日(日) 落ち葉のプールを作って遊ぼう
28 名
01 月 11 日(日) カブトムシのすみかづくり
32 名
01 月 24 日(土) 根本山でバードウォッチング
13 名
02 月 18 日(水) おとなのクラフト ~おひなさまを作って飾ろう~
5名
02 月 19 日(木) おとなのクラフト ~おひなさまを作って飾ろう~
1名
03 月 27 日(金) 根本山ミステリーウォーク
7名
合
計
19 回
333 名
2)里山の生き物調査
根本山の動植物調査に協力してくれる人を広く募集し、年 1 回実施している。
実
施
日
内
02 月 07 日(土) 女王バチを探せ!
容・テーマ
参加者
31 名
-8-
3)はじめての里山遊び
これから自然観察を始めたいという親子を対象に、気軽に里山の自然に親しむこ
とをねらいとして新しく企画した。実施時間は、土日の午後 2 時~3 時とし、季節
ごとに年 4 回実施した。
実
施
日
内
容・テーマ
参加者
05 月 11 日(日) どこでも草花遊び
34 名
08 月 10 日(日) 夏の虫とり遊び
37 名
11 月 30 日(日) 落ち葉のステンドグラス
22 名
02 月 14 日(土) 冬の生き物探し
合
9名
計
4回
102 名
行事参加者の感想(抜粋)
・ いつもは見過ごしている草花を採集し、花器を作って活けることができたので、大
人も子どもも楽しめました。
(野の花で生け花をしよう)
・ 初めて草花遊びをしました。いつも見るだけだった草花が楽しく観察できました。
(はじめての里山遊び どこでも草花遊び)
・ オオムラサキを近くでたくさん見られて驚きました。(オオムラサキを観察しよう)
・ 普段使わない道具で、切ったり穴を開けたりするのがおもしろく、自然素材で作る
楽しさも味わえた。
(夏休みクラフト~竹でぶんぶんごまを作ろう~)
・ 実際に虫をとって観察したのが初めてで楽しかった。解説を聞きながら観察できた
のもよかった。また来たいです。
(はじめての里山遊び 夏の虫とり遊び)
・ おもしろくて分かりやすい解説を聞きながら、いろいろな植物を覚えることができ
ました。
(秋の花とタネを観察しよう)
・ バードウォッチングの方法を丁寧に教えてもらい、質問もしやすかったので初心者
の私でも、いろいろな種類の野鳥が見られました。(根本山でバードウォッチング)
・ 探検感覚で歩きながら、根本山や生き物の話が聞けるのがおもしろく、春の日差し
を浴びながら歩くのも気持ち良かった。
(根本山ミステリーウォーク)
・ 最初に調査であることの説明があり、やるべきことが分かったので探しやすく、キ
イロスズメバチの女王蜂が見つかった時は親子で感動しました。
(里山の生き物調査
女王バチを探せ!)
各行事の報告
毎回終了後に、ホームページとセンター内の掲示板に行事の様子を報告している。
4 月 27 日『野の花で生け花をしよう』
根本山では、サクラの季節が過ぎると、ハルジオンやタンポポ、スミレなどが一面に
咲き、野の花のお花畑が見られます。よく見ると、似たような花でも、色や形がいろい
ろあってかわいい。いわゆる“雑草”と呼ばれる植物は、いつも見ているのに、名前を
知らなかったり、
「あれ?こんな花、あったっけ?」と初めて気づいたりもします。今回
-9-
は、そんな身近にある植物に目を向け、花を摘み、そして、竹の花器に生けて楽しみま
した。
まず、参加者 27 名全員で、田んぼの見える丘へ、花摘みに出かけました。昨年は、5
月に入ってから実施したこの行事。今年は 2 週間早くしたことで、見られる花に違いが
ありました。昨年、綿毛になっているのが多かったタンポポは、まさに今が花盛り。あ
ずまやの周りは、黄色いお花畑になっていました。この時期、根本山で咲いているタン
ポポは、ほとんどが在来種。街の中にあるセイヨウタンポポとの違いを観察しました。
昨年たくさん咲いていたオオジシバリやニガナは、今回はまだ咲かず、代わりにオニ
タビラコ、チゴユリ、タチツボスミレが見られました。特に、タチツボスミレのお花畑
は見とれるほど。誰かれとなく、
「うわぁ、きれい。」
「摘んじゃうのが、かわいそうにな
っちゃうね。」と、言葉が出ていました。そう言いながらも、薄紫色のきれいな花を少し
だけ摘んで、皆さんうれしそうでした。
観察をしながら花を摘み、1 時間ほどで、バスケットは花と葉っぱでいっぱいになり
ました。後半は、センターへ戻って、生け花の時間です。根本山流の生け花は、難しい
流儀はいっさいなし。自分の好きなものを選んで、自由に飾ってください。花器も、好
きな太さのマダケを選び、節を挟んで 6cmくらいの長さに自分で切って、手作りまし
た。
生け花をしている時、小さい女の子だけに限ら
ず、男の子も家族で参加したお父さんも、真剣な
表情で取り組んでいる姿が印象的でした。また、
家族やお友達と笑顔で話しながらやっている様子
も見られ、大人も子どもも楽しめたようです。完
成した生け花は、おなじみのハルジオンやタンポ
ポに、名前は分からないけどよく見るシダの葉っ
ぱやイネ科植物を添えて、ちょっとかしこまった
花に変っていました。ぜひ、家に飾ってくださいね。これからも、身近な植物に親しむ
ことで、季節を感じ、日々を豊かに過ごせればいいなと思います。
5 月 11 日
はじめての里山遊び『どこでも草花遊び』
外を歩くのが気持ち良いこの時期、道を歩けば様々な草花が見えてきます。今回はそ
んな草花で遊びました。
車道沿いで見つけたのはハルジオン。花を横か
ら押しつぶすと、黄色い管状花の束が舌のように
出てくるので、女の子たちが「てへぺろぉ~。」と
言いながら遊んでいました。ヤエムグラは、葉の
裏に微小なトゲがあるので衣服にくっつきます。
男の子が「シールみたい!」とシャツの腕に貼り
つけて遊んでいました。日当たりのよい観察路に
は、ニガナのお花畑ができていました。花をとっ
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て高いところから手放すと、クルクルまわりながら落ちるので、大人も子どもも土手の
上から飛ばして遊びました。コウゾリナの葉には剛毛があり、服にマジックテープのよ
うにつきます。子どもたちは、自分の服に名前やハートの形など様々な作品を作って、
見せ合いながら盛り上がりました。
5 月 17 日『水辺の生き物をすくってみよう』
この時期、トンボの水辺にはどんな生き物がいるのか、25 名の参加者たちが、池や水
路に散らばり、約 1 時間、自由に生き物をすくって、それぞれのバケツや水槽に生き物
を集めてもらいました。
水辺をのぞいて、まず見えたのがメダカ。群れ
で泳いでいるところを一気にすくい上げると、数
匹が網に入り、子どもたちが「とれた!」と大喜
び。また、水の中に沈んだ竹筒を持ち上げ、中の
泥を出してみると、アメリカザリガニが出てきま
した。それを小学生の男の子たちが慎重に手でつ
かんでいました。
水草の根元や底に溜まった落ち葉をすくうと、
隠れた生き物が見つかりました。「魚みたいな虫がいた。」と不思議そうに言う女の子、
ナミフタオカゲロウの幼虫でした。「小さいゲンゴロウがいた。」と驚く男の子、コシマ
ゲンゴロウとシマゲンゴロウでした。
「タガメがとれた!」と大興奮のグループもありま
した。
最後にみんなで集まって、それぞれの水槽を見てみると、他にもニホンアカガエルと
シュレーゲルアオガエルのオタマジャクシ、トウキョウダルマガエル成体と卵塊、シオ
カラトンボの成虫と幼虫、コミズムシ、マツモムシなど、たくさんの生き物が採集でき
ました。
里山の水辺は雑木林と同じように人の手が入ることで、さまざまな生き物が暮らせる
場所になっています。季節を変えてぜひトンボの水辺をのぞいてみて下さい。
5 月 25 日『葉っぱを食べる虫を観察しよう』
葉っぱを食べる虫と言えば、なんとなくイモムシを思い浮かべるかもしれませんが、
それだけではありません。実際はどんな虫たちがいるのか!30名の参加者たちが、汗
ばむ晴天の中、いろいろな葉っぱを見て歩きました。
はじめに行ったのがスミレの小道。ここは高さ 2~4メートルほどの雑木林で、一部
が草地になっています。みんなの手には透明カップが。これは虫を入れてじっくり観察
するためのものです。するとさっそく「2 匹見つけた! これ何ですか?」と女の子が興
味ありげに見せてくれたのは、コイチャコガネとカシワクチブトゾウムシでした。これ
らはコナラやクヌギの葉っぱが大好きです。取り囲んでみていた男の子や、お母さんた
ちから「小さくてかわいい!!」と声が上がりました。葉っぱを探していると次々と見
- 11 -
つかり。他には、チャミノガ、クルミハムシ、アゲハモドキ?の幼虫がいました。実は
これ・・・その時はアゲハモドキと思ったのですが、後で調べてみたらクルミマルハバ
チの幼虫だと分かりました。白い綿毛を体中につけた、おもしろい幼虫なので、興味が
ある方はクルミの葉っぱを探してみてください。
そこからチョウの谷を抜けて、歩きながらエノキの葉っぱをチェック! すると葉っぱ
の表面に体長4、5㎝はあるオオムラサキの幼虫が 4 匹見つかりました。お父さんが「き
れいな緑色ですねー」と、まじまじと見ていました。
「チョウ(成虫)になった姿が見て
みたいなー」と男の子が言うと、女の子が「夏、ここに来れば見られるよ!」と楽しげ
に話していました。
タンポポとバッタの広場では、それぞれが虫と
り網で草地をすくいました。するとあちこちから
「バッタがいたよーっ!」と驚いた声が。透明カ
ップを持ち寄って見ると中には、ナキイナゴ、ヒ
ナバッタ、ショウリョウバッタの幼虫がたくさん
入っていました。これらはイネ科の植物がたくさ
んある、日当たりの良い草地が大好きなのです。
こうして葉っぱをいろいろ探して見ると、それら
を食べる虫も見られました。オオカマキリの幼虫、ヨコヅナサシガメ、キリギリス類の
幼虫など、またそれらを食べる、ニホンアマガエルがいたり、ホトトギスのさえずりも
響いていました。こうして葉っぱを食べる虫を観察することで、生き物のつながりも知
ることができました。
7 月 13 日『オオムラサキを観察しよう』
根本山のオオムラサキは、毎年 6 月下旬頃から、まずオスが羽化し始め、少し遅れて
メスが出てきます。7 月上旬は、羽化してまもない、きれいなオスとメスの両方が見ら
れる時期。大きな期待を胸に、参加者 24 名と昆虫の林へ出かけました。
歩いて数分、ニイニイゼミが盛んに鳴く昆虫の
林に到着。セミしぐれの中を入って行くと、すぐ
に、樹液にいるオオムラサキを見つけました。翅
を閉じ、翅裏のクリーム色が遠くからでも目立ち
ます。「えっ、あれなの?」「思っていたより大き
い!」一同、目の前にいるオオムラサキに目を奪
われました。
そこには、カナブンやコガタスズメバチ、オオ
スズメバチも来ていました。根本山のような豊か
な雑木林には、スズメバチもいて当たり前。もちろん、細心の注意は必要です。近づき
過ぎず、静かにしていると、オオムラサキが口吻を伸ばし、カナブンの横から樹液を吸
おうとする様子を見ることができました。思わず、オオムラサキがんばれ!と、応援し
たくなります。
さらに奥へ進むと、「わぁ、こっちにもいっぱいいる。」一本の木に6匹のオオムラサ
キが集まっていました。ここでも、カナブンらと樹液を巡る争奪戦の最中でした。また、
- 12 -
ほかの樹液には羽化したてと思われるきれいなメスの姿も。時々、大きな翅をパッと広
げ、その一瞬の写真を撮った人も大勢いました。きっと、このオオムラサキたちは、こ
れから交尾、産卵をし、次の世代に命をつなぐことでしょう。
この日、昆虫の林で見たオオムラサキは 10 匹以上。今年は、目の高さや足元近くで樹
液が出ていて、オスもメスも間近で見ることができました。
今でこそ、昆虫の林で普通に見られるようになったオオムラサキですが、21 年前に発
行された「真岡市の動植物」という報告書では、根本山にオオムラサキの記録はありませ
んでした。自然観察センターができ、樹液が出る雑木林を手入れし、同時に幼虫の食樹
であるエノキを育てた結果、オオムラサキが自らやってきて生息するようになったので
す。しかし、全国的にみると、手入れのされた里山が少なくなり、オオムラサキは、絶
滅が心配されている昆虫のひとつ。今の子どもたちが大人になった時、オオムラサキが
普通にいるような里山が、あちこちにあるといいなと願うばかりです。
8 月 10 日
はじめての里山遊び『夏の虫とり遊び』
夏は大型昆虫が出始める時期です。そんな昆虫
たちを観察しようと予定していましたが、当日は
あいにくの雨。そこで室内で昆虫のペーパークラ
フトを実施しました。
子どもたちがフワフワ飛ぶセミやチョウのクラ
フトを追いかけたり、飛距離を競ったりしている
と、女の子が「雨がやんだよ!」嬉しそうに声を
あげました。これはチャンスと、急きょ、網を持
って外へ。広場に出るとすぐ、男の子が手のひらほどもあるショウリョウバッタをつか
まえて、嬉しそうに見せてくれました。観察路では、オニヤンマが地面すれすれをゆっ
くり飛んでいて、子どもたちが数人で追いかけました。残念ながら逃げられてしいまし
たが、子どもたちは大興奮でした。ヒノキ林では全員がヒグラシをつかまえていました。
「ギー、ギー」と元気に網の中で鳴くヒグラシを、優しく手にもって観察しました。
8 月 17 日『夏休みクラフト~竹でぶんぶんごまを作ろう~』
今回は、これまで参加者に書いてもらったアン
ケートの中から、
「ぶんぶんごまを作りたい!」と
いうリクエストに答えて企画しました。ぶんぶん
ごまは、厚紙に穴を開けてひもを通し、ぐるぐる
回して横に引っ張ると、ブーンブーンと音が鳴る
おもちゃです。紙だと簡単に作れますが、それで
は根本山らしくない。ここはやはり、里山で採れ
る材料にこだわり、竹とコナラを使って根本山特
製のぶんぶんごまを考えました。参加者は、ものづくりが大好きな大人と子ども 12 名で
した。
最初に、太い竹を幅 1.5cm でふたつ切り、取っ手の部分を作ります。竹は、数日前に
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センターそばの竹林で切り出してきたモウソウチクで、根本山のクラフトでは、おなじ
みの竹です。直径 10cm 前後の太い竹を、同じ幅になるよう丁寧にノコギリを引きます。
でも、ちょっとくらい曲がっても大丈夫。それはそれで愛着がわくものです。
次に、一番大事なところ、ひもを通す厚紙の部分は、コナラの板で作ります。コナラ
は、今年の初めに憩いの家近くの雑木林で間伐したもの。直径 3~5cm の枝を、厚さ 1cm
の輪切りにして用意しておきました。ひとり一枚好きな板を選び、表と裏に、ポスター
カラーで自由に絵を描きます。子ども達は、大好きなカブトムシやトンボ、チョウチョ
を伸び伸びと描き、きれいな色で仕上げていました。
絵が描き終わったら、電動ドリルで穴あけです。板の中心を決めて、左右対称にふた
つ開けます。ドリルの刃を板に垂直に当てて開けるのがコツ。最後に、開けた穴にたこ
糸を通して結び、竹の取っ手をつければ、完成です!
早速、自分で作ったぶんぶんごまを回してみました。初めてやる子ども達の中には、
すぐにはできなくて、練習も必要でした。でも、何回かやっているうちに、勢いとリズ
ムに乗ってひもを引けるようになり、ブーンブーンといい音が鳴っていました。みんな
が描いた絵は、回るとどんなふうに見えたかな。
8 月 24 日『セミのぬけがら調べ』
セミのぬけがらは種類によって大きさや形が違います。根本山にはどんなセミがいる
のか、ぬけがらを集めて調べてみました。
ぬけがらは、触角の形を虫眼鏡で調べること
もあるので、壊さないように集めなければなり
ません。そこで牛乳パックを使って採集用のバ
スケットを作りました。子どもたちはがんばっ
て牛乳パックを切り、ホチキスで力いっぱいと
めていました。
バスケットを手に、センター前の広場や車道
沿いの桜並木を探すと、「あった。」とうれしそ
うな声が。見るとツツジの枝やソメイヨシノの葉にアブラゼミのぬけがらが付いていま
した。高い枝にあるぬけがらは虫取り網を伸ばしてとりました。
薄暗いヒノキ林では、幹や落ちた枯れ枝にヒグラシのぬけがらを発見。
「さっきより小
さいかな?」と違いに気づいた親子もいました。クモの巣にかかったヒグラシの成虫を
捕まえた小学生の女の子もいて、
「 ギッ、ギッ」と鳴くヒグラシをそっと指で持ちながら、
透明な翅や、針のような口吻を観察していました。
雑木林では、ニイニイゼミのぬけがらがたくさん見つかりました。泥だらけなので他
のぬけがらとの区別は簡単です。幼稚園児の女の子が、バスケットに集めたニイニイゼ
ミのぬけがらを、「こんなに採れたよ。」と見せてくれました。
約 40 分で集めたぬけがらは 397 個でした。見分け方の資料を見ながら調べると、ニイ
ニイゼミ 53 個、ヒグラシ 305 個、アブラゼミ 19 個、ツクツクボウシ 20 個でした。ヒグ
ラシやニイニイゼミのぬけがらを初めて見たという大人もいて、環境によって見られる
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セミが違うようです。あなたの家の周りにはどんなセミがいる でしょうか。ぜひ探して
みてください。
9 月 15 日『さおを作ってザリガニつりをしよう
in 鬼怒水辺観察センター~』
今回は、広々とした水辺でザリガニつりをやろう!と、鬼怒水辺観察センターに出か
けました。ここは、鬼怒川沿いにある市の施設。トンボの池とオオバンの池と呼ばれる
エリアに分かれ、水辺に暮らすさまざまな生き物が観察できるところです。参加者は、
ザリガニのえさとバケツを持って、朝 9 時集合。総勢 44 名で賑やかに始まりました。
まずは、マイさおづくりです。アズマネザサを取りに行き、剪定ばさみで適当な長さ
に切って、先にたこ糸をつけます。そして、たこ糸にえさのスルメをしっかりつければ、
出来上がり。準備ができた人から、目の前に広がるトンボの池に下りて、ザリガニつり
開始です。
水の中をのぞき込むと、赤くて大きなザリガニ
があちこちで動いています。根本山にいるのと同
じアメリカザリガニですが、なぜかこっちの方が
大きくて、これは釣りがいがありそうです。最初
のうちは、動き回っていた子どもたちでしたが、
そばにいる大人にザリガニのいる場所や引き上げ
るタイミングを教えてもらって、だんだんとうま
く釣れるようになっていました。
最後に、ザリガニを手に取ってよく観察しまし
た。ハサミの大きさや色もいろいろです。オスとメスの違いは、大きさや色で区別する
のではなく、腹側の腹脚や産卵孔を見ます。たくさんのザリガニの中に、おなかにぶど
う色のつぶつぶをたくさん抱えたメスが 1 匹いました。「なにコレ?」「えっ、もしかし
て卵?」そう、これがアメリカザリガニの卵です。母ザリガニは、直径約 1mm の小さい
卵を数百個産み、子ザリガニになるまでお腹に抱えて大切に育てます。アメリカザリガ
ニが増える原因のひとつは、この愛情深さもあるかもしれませんね。
ザリガニの大きさも測ってみました。一番大きかったのは、真岡市の上野さん家族が
釣ったオス。ハサミの先から尾までの長さが 16cm もありました。ハサミが大きく、真っ
赤でかっこいいザリガニでした。
お天気にも恵まれ、鬼怒水辺で過ごした時間はあっという間でした。また鬼怒水辺観
察センターで楽しい行事ができたらいいなと思っています。
10 月 18 日『木の実のクラフト~飾れる標本を作ろう~』
秋の涼しさが感じられるようになり、根本山も実りの季節を迎えました。いろいろな
木がある根本山では、その分、木の実もたくさんできます。今回は、里山の木の実を観
察し、それらを集めてすてきな標本を作りました。自然観察をしながら、ものづくりも
楽しめる、ちょっと欲張りな秋の行事です。
始めのあいさつもさっと済ませ、参加者 20 名と木の実探しに出発。まずは、どんぐり
を見つけましょう。この時期、根本山で拾えるどんぐりは、3 種類。その中で、もっと
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も人気があるのが、クヌギです。丸くて、大きなクヌギのどんぐりは、昆虫の林にたく
さん落ちていました。ピカピカに光った大きなどんぐりを見つけると、うれしくなるの
は、大人も子どもも一緒。もじゃもじゃの殻斗がついたクヌギを見つけると、
「 かわいい!」
と言って、目を輝かせていました。
そして、細長いどんぐりもあります。それは、コナラとシラカシ。どんぐりの形は似
ていますが、殻斗や葉っぱの形が違います。幅が広く、丸みのあるコナラの葉っぱは、
冬になると枯れて落ち葉になります。シラカシは、
冬でも細長い葉っぱが緑色のままで、枝について
いるのが特徴です。コナラよりもどんぐりができ
る時期が少し遅いので、晩秋まできれいなどんぐ
りが拾えますよ。他にも、コーヒー豆のようなエ
ゴノキの実、ハンノキのさや(果穂)、ヒノキやス
ギの実(球果)も拾って、1 時間ほどで、ビニー
ル袋の中は木の実でいっぱいになりました。
標本は、レクチャールームで作りました。種類ごとにコルクシートに並べた木の実と、
木の名まえを書いた色紙を接着剤で貼りつけていきます。飾りや仕切りにするコナラの
細い枝は、どこを切って、どう並べようかな。色紙は何色にする? それぞれのセンスと
アイディアが光ります。幼児のたどたどしいひらがなで木の名前を書いた標本は、笑顔
を誘うかわいさ!今しかできないすてきな標本が出来上がりました。
木の実の名前や特徴を知って作ることで、作る楽しさだけでなく、知る楽しさも感じ
てもらえたようです。ぜひ家に飾って、今年の秋を楽しんでくださいね。
11 月 15 日『秋の花とタネを観察しよう』
11 月中旬は、根本山の紅葉が一番きれいな時季
です。淡い黄色のアオハダ、オレンジ色のウリカ
エデ、真っ赤なイロハモミジなど、今年もきれい
に色づきました。そして、木の実やタネもたくさ
ん出来ています。また、雑木林の片隅で、春とは
趣の違う花を、ひっそりと咲かせていることも。
秋の植物は、見どころがいっぱいです。
というわけで、今回は、根本山を歩きながら、
秋の植物を見て、触って、食べて、たっぷり観察しました。当日は、穏やかな秋晴れ。
笑顔と好奇心あふれる 8 名の参加者と、楽しい時間を過ごしました。
ホオノキの大きな落ち葉を踏みしめて、チョウの谷へ下りて行くと、南向きの斜面に
シキザクラが咲いています。シキザクラの花は、淡いピンク色でソメイヨシノより小ぶ
り。年に 2 回、春と秋に咲き、今がちょうど見頃です。「わぁ、きれい。」澄んだ秋空を
背景に、アカシデやモミジなど里山の紅葉と、シキザクラのお花見を一遍に楽しむこと
ができました。
チョウの谷の沢沿いには、ノハラアザミやセイタカアワダチソウがありました。花も
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まだ少し咲いていましたが、ここでは、タネに注目。どちらも綿毛のタネを作って、タ
ネの散布を風にまかせるタイプの植物です。ノハラアザミのタネを虫眼鏡で拡大して見
ると、綿毛(冠毛)が細かく枝分かれしているのが分かります。
「ホントだ。鳥の羽にそ
っくり。」と、大人もびっくり。より遠くへ飛ばすための工夫なのか、アザミもよく考え
たものです。
ガマズミやクコの赤い実を食べ、ユズやカラタチの黄色い実も観察しました。ガマズ
ミは、子ども達にはちょっとすっぱかったかな。生のクコの実は、大人たちが興味津々。
うっすら甘くて、ちょっと苦味もあって、みんなで食べて健康を願いました。これらは、
鳥や哺乳類に実を食べてもらって、フンと一緒にタネを遠くへ運んでもらうタイプの植
物です。タネを運んでもらう相手によって、実の大きさや味を変えたり、赤や青の色で
誘ったり、植物ってすごい!と感心してしまいます。
賢かったり、やさしかったり、ちょっと意地悪だったり、植物の個性が見えてくると、
植物観察がますますおもしろくなりました。そして、身近にある木や草も、それだけで
生きているのではなく、私たちヒトも含めた多くの生き物と係わりを持って生きている
ことに気づきます。里山に生き物が多いわけも、そこにあるのです。
11 月 22 日『葉っぱのクラフト ~クリスマスボードを作ろう~ 』
今回は里山の常緑樹の葉っぱを使ったクリスマスボード作りです。これはぶら下げて
よし、立てかけてもよしの手作りインテリア。大人と子ども合わせて30名の参加者た
ちが、楽しい作品を作りました。
まずは、ビニール袋とはさみを持って材料集めか
らスタート。スギの枝先をたぐりよせ、葉っぱを
はさみで切ろうとすると、太くて堅いものと、細
くて柔らかいものがあるのが分かり、大人も子ど
ももチクチクする葉っぱをつまんだり、なでたり
して好きな葉っぱを選んでいました。ヒイラギモ
クセイはクリスマスの雰囲気にぴったりです。子
どもたちがトゲトゲの鋸歯を見て「痛そうな葉っぱ。」と言いながら、枝の奥に手を伸ば
して、慎重に切り取っていました。そのほかにもヒサカキやキヅタの葉っぱ、ヘクソカ
ズラやヒノキの実など、自然素材の材料をたくさん集めることができました。
そしてクリスマスボード作りは、赤の画用紙付きのパネルに、接着剤で葉っぱなどをつ
けていきます。ヒイラギモクセイは反り返っていてつけにくいので、子どもたちはボン
ドを多め使ったり、ようじで上手に穴をあけて葉柄を刺したりなど、葉っぱの形や特徴
を考えて工夫しながら作っていました。
大人たちはクリスマスのイラスト集を参考に、半分に切った葉っぱにシラカシのドング
リをつけてベルにしたり、葉っぱをリング状に並べてリース風にしたりと、凝ったデザ
インで作っていました。
子どもたちが、「これアンパンマンなんだよ。」「こっちはクリスマスツリーだよ。」とニ
コニコしながら話すと、大人たちが「わぁ、かわいいねぇ。」と目を細めていました。里
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山の自然素材を巧みに使った、このクリスマスボード。お家に飾れば、見る人を必ず楽
しませてくれるでしょう。
11 月 30 日
はじめての里山遊び『落ち葉のステンドグラス』
この時期は里山の紅葉が見ごろです。そんな葉っぱを集めて、ステンドクラス風のシ
ートを作りました。
それぞれがセンター周辺に散らばり、紅葉した
葉を採集していると「黄色と緑色が混じった葉っ
ぱがきれいだよ。」とか「同じ木にもオレンジとか
赤とか、いろいろな葉っぱがあるよ!」など、あ
ちこちから楽しそうな会話が聞こえてきました。
ステンドグラスは透明粘着シートに採集した葉を
貼って作ります。幾何学模様に隙間なく貼る大人
たち、花や魚、自動車や飛行機の形に貼る子ども
たち。みんな素敵なステンドグラスができました。ベランダに出て、作ったステンドグ
ラスを太陽に透かして見ると鮮やかに映え、みんな「すごいっ、赤とか黄色に光ってる!」
と顔を見合わせて嬉しそうに話したり、写真を撮ったりしていました。
12 月 14 日『落ち葉のプールを作って遊ぼう』
「落ち葉って、ふっかふかだね。」大きな落ち葉の山(プール)へ、勢いよく飛び込ん
でいく子ども達。彼らの笑い声は、雑木林中に響いていました。そばで見ている大人達
も目を細め、元気な子どもの姿を微笑ましく思うのは、今も昔も変わらないんだろうな。
毎年冬に実施している「落ち葉のプール」は、大人から子どもまで、いつも人気のある
行事です。今回もたっぷり 2 時間、昆虫の林で楽しい時間を過ごしました。
根本山の落ち葉かきは、参加者全員で協力して、
落ち葉を1ヵ所に集めるところから始めます。道
具の使い方の説明を受けた後、各自できることを
受け持って、作業開始。広い昆虫の林のあちこち
から、
「ザッ、ザッ」と熊手の軽快な音が聞こえて
きます。熊手を使えない小さい子も、ダンボール
箱に入れて運び、しっかりお手伝いしてくれまし
た。
遠くから落ち葉を運ぶ時は、大きなブルーシートを使いました。
「せーの!」の掛け声
で、落ち葉をたくさん乗せたシートを数人で囲むように持って、移動させます。落ち葉
の山のてっぺんまで上がり、シートをひっくり返すと、落ち葉のなだれが発生!「きゃ
あぁぁ!」悲鳴を上げて、子ども達は喜んで落ち葉に埋もれていました。落ち葉の中か
らムクムクッと出てくると、笑顔がいっぱい。ずっと落ち葉の中で遊んでいられそうで
すね。
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かつて、落ち葉かきは、田畑に使う堆肥づくりが目的でしたが、根本山では、生き物
で賑わう雑木林を作るため。落ち葉をかくと、地面に日が当たって、まず、いろいろな
植物が芽を出します。そして、その植物を食べる昆虫が来て、さらに昆虫を食べる野鳥
などが集まり、秋には木の実を食べる哺乳類もやってきます。みんなで遊んだプールも、
いずれ小さな生き物によって分解されて堆肥になり、カブトムシの幼虫のすみかになる
んですよ。
つまり、生き物の食べ物がたくさんある豊かな雑木林は、落ち葉かきから始まるって
こと。落ち葉かきをやった私たちと雑木林の生き物は、つながっています。このつなが
りが、ずっとこれからも続くといいなと思います。
1 月 11 日『カブトムシのすみかづくり』
カブトムシの幼虫のすみかは堆肥場の中です。そこで腐葉土をたくさん食べて終齢幼
虫で越冬します。根本山ではそんな腐葉土を作るために、落ち葉を集積した堆肥場があ
ります。今回はそこを掘ってカブトムシの幼虫を観察してから、新たに別の堆肥場を作
りました。
場所は昆虫の林です。ここには6年前に作った堆肥場があり、毎年落ち葉を入れてい
るので腐葉土になっています。その表面の落ち葉をスコップでかき分けてみると、白い
幼虫の体の一部が見え、
「あっ、いた!」と女の子が声をあげました。その周りをさらに
掘ると、丸々としたカブトムシの幼虫が10匹出てきました。大人も子どもも代わる代
わる手のひらにのせて、「こんなに大きいんだぁー」と驚いていました。
昆虫の林には、まだまだたくさんの落ち葉があ
るので、みんなで協力して新たに堆肥場を作るこ
とにしました。まずは囲いを作るために、手分け
して木杭を運んできて、それを大人の男性と男の
子が協力して木槌で打ち込み、根元を子どもたち
が中心になって埋めてしっかり固定しました。そ
して落ち葉かきです。熊手はもちろん、ブルーシ
ートや収穫袋も使って落ち葉を集めて、囲いの中
に入れると、あふれそうなくらいの大きな山になりました。そして仕上げに、子どもた
ちが落ち葉の山に入って、飛び跳ねたり落ち葉をかけ合ったりして遊び、中には落ち葉
に潜って遊ぶ子もいて、それを見ていたお母さんたちが「カブトムシの幼虫みたいだね。」
と顔を見合わせて楽しげに笑っていました。そうしてしだいに落ち葉の山が調度いい高
さに踏みしめられ、立派な堆肥場が完成しました。
夏に樹液に来るカブトムシを見ると、体の大きさに差があるのに気付きます。遺伝も
多少ありますが、幼虫時代にたくさん腐葉土を食べられたどうかも大きく関係していま
す。この堆肥場から大きなカブトムシが出てきて、夏に樹液で出会えるかもしれません
よ。
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1 月 24 日『根本山でバードウォッチング』
今回は、冬の自然観察の定番、バードウォッチングを実施しました。鳥を見てみたい!
というやる気満々の 13 名が集まり、期待いっぱいで始まりました。さあ、今日はどんな
鳥は見られるかな。
センターを出てすぐ、私たちを出迎えてくれたのは、ウソでした。「ウソ?」「わぁ、
コレ見たかった!」参加者の反応はそれぞれ。ウソは、街の中では見られない、知る人
ぞ知る鳥なのです。丸みのある体つきが可愛らしく、特にオスは、頬から喉にかけての
紅色が目立ちます。ウソに憧れているバードウォッチャーは、少なからずいるでしょう。
この日は、車道脇のソメイヨシノの枝先で、花芽を食べるオス1羽とメス 4 羽を見るこ
とができました。小山市から来た女性たちは、初めてウソを見たようで、
「ほんと、かわ
いい。」と手を叩いて喜んでいました。
もみじの広場周辺では、ジョウビタキやエナガ、コゲラ、シジュウカラの群れを観察。
林縁のガマズミにジョウビタキのメスが止まり、双眼鏡で見て、そして図鑑も見て、オ
スとの違いを確認しました。参加者の中には、
「うちの庭に来ているのは、ジョウビタキ
だったんだね。」と、気づいた親子も。コゲラが幹を叩く音に耳を澄ましたり、ミヤマホ
オジロが地面に降りて何かついばんでいるのを見たり、手には取れなくても、里山の鳥
たちがぐっと身近に感じられたと思います。
それから、プクプクプクと鳴きながら飛ぶシロ
ハラや、ジェージェーと騒がしいカケスたちを見
ながら歩いていると、目の前の木から、大きな白
い鳥がふわっと飛び立ちました。
「 えっ、あれ何?」
「ノスリ?」
「あっ、フクロウだ!」ほとんどの参
加者が、あまりの突然のことに呆然と見ていただ
け。フクロウは、沢の草地を横切り、あっという
間にヒノキ林の中へ消えてしまいました。
この日、約 2 時間で観察できた鳥は 15 種。フクロウやミヤマホオジロ、ウソ、さらに
はヤマシギも全員で見られたのは、本当にラッキーでした。バードウォッチングを通し
て、鳥のかわいさや健気さに気づき、そして、鳥が暮らす里山の環境の大切さも、いっ
しょに気づいてほしいなと思います。
2月7日
里山の生きもの調査『女王バチを探せ!』
根本山の生き物をみんなで調べよう!と、8 年前から実施している“里山の生きもの
調査”。観察会ではなく、参加者全員で生き物を調べ、きちんと記録を残すことを目的に
しています。今回は、スズメバチの女王バチを探す調査です。寒い季節にも関わらず、
大人と子ども合わせて 31 名が集まってくれました。調査を始める前に、レクチャールー
ムで目的と方法、スズメバチについて勉強しました。根本山には、6 種のスズメバチが
生息しています。夏は樹液でよく見かけますが、冬にどこにいるのか、これまで根本山
では観察したことがありません。図鑑などで調べると、あまり日の当たらない林の、朽
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ち木や土の中で、女王バチだけが越冬しているら
しいのです。そこで今回は、朽ち木に絞って調べ
ることにしました。みんなで根本山初記録を目指
します。
講義後、知識とやる気が揃ったところで、昆虫
の林の南側のヒノキ林で調査開始。小さいスコッ
プを使って、横たわっている朽ち木を丁寧に崩し
ていきます。ヒノキの朽ち木は、湿り気もあって
いい感じ。ここなら、スズメバチも快適かも。ワクワクしながら探す調査は、まるで宝
探しです。しかし、そう簡単には見つからない。林の奥の方まで、諦めずに探し続けま
した。開始から約 40 分経った頃、小学生の男の子が、ついにスズメバチを発見しました!
それは、きれいなキイロスズメバチ。寒くて動けない女王バチに近づいてよく見ると、
翅はたたんでおなか側に寄せ、体は細かい毛に覆われ、露が光っていました。
次に、マツボックリの林へ移動して、アカマツの朽ち木を調べました。ここでは、腐
って柔らかくなった樹皮を剥がし、ボロボロと崩れる幹の中で、キイロスズメバチを 2
匹見つけました。それらは、材を削って内部に掘り進み、切り口から 10cm と 6cm のとこ
ろで、小さな部屋を作って入っていました。どちらの朽ち木も、日の当たるところだっ
たのが予想外でした。
約 2 時間探した結果は、ヒノキとアカマツの朽ち
木で、キイロスズメバチが 3 匹見つかりました。根
本山初記録達成です。その他、ゴミムシダマシの幼
虫、オサムシの仲間、マイマイカブリ、ウバタマコ
メツキなど、さまざまな虫が見つかりました。スズ
メバチだけでなく、里山の生き物にとって、薄暗い
林も朽ち木も、住処として大事なものだと再確認で
きました。
最後に、調査に協力してくれた皆さん、どうもありがとうございました。またひとつ、
根本山の生き物について知識を深めることができました。その一方で、今回見つけられ
なかったオオスズメバチはどこにいるんだろう?と、探究心は尽きません。まだまだ根
本山の生き物調査は続きます。
2 月 14 日
はじめての里山遊び『冬の生き物探し』
冬はあちこちに生き物が隠れています。そんな生き
物を探しに雑木林へ。
みんなで枝先を見て歩くと、チャミノガやイラガの
繭が見つかりました。ためしにつまんで引っ張ってみ
ると、取れないようにしっかりついているがわかりま
した。コナラの冬芽を見ていた大人は「こんなに小さ
な中に芽があるんですね。」と感心しながら触っていま
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した。枯れ草の中を探しているとツチイナゴが飛び出しました。
「冬でもバッタがいるん
だね。」とみんな意外そうでした。堆肥場を掘ってみるとカブトムシの幼虫を発見。男の
子が手の上にのせ「大きくて、重いよ。」と驚いた様子でまわりの参加者に見せていまし
た。エノキの落ち葉には、夏に見られたオオムラサキの幼虫がいるはずです。みんなで
1 枚 1 枚めくって探すと「あっ、いたっ!」とあちこちから声が。冬の生き物探しはま
るで宝探しでした。
2 月 18・19 日『おとなのクラフト ~おひなさまを作って飾ろう~』
この行事は日常の用事に邪魔されることなく、落ち着いて自然素材を使ったクラフト
を楽しんでいただくのが目的です。今回はおひなさま作りです。両日合わせて 6 名の参
加者が集まりました。
作り方はシンプルです。マジックくらいの太さ
の枝を 7~8 ㎝に切り、そこに枝を輪切りにしたも
のや、マツボックリの鱗片で装飾品を作ります。
顔はポスターカラーで描きました。
まずは材料選びから。
「 私は太めの枝にしようか
な。」、「この枝のまっすぐな所が使えるかなぁ?」
と、それぞれアイディアが膨らみます。材料が決
まったらノコギリを手に、好きな席について作り
始めると、部屋がギコギコとノコギリの音でにぎやかになり、
「斜めに切れちゃった!」、
「腐っているところがある!」と言って、何度か切りなおす方もいました。
そしてポイントは顔です。おひなさまのイラスト見本を参考にしながら、ポスターカ
ラーで目や髪を思い思いのデザインで描き、装飾品を木工用ボンドで慎重に接着してい
きました。この時は一転して、部屋が静まり返り、みなさんじっくり集中していました。
それぞれが完成してくると、お互いの作品に目が行きました。
「顔がかわいい!」、
「扇
子や袖がきれい!」、
「こんな顔の描き方もあるんですねぇ。」とそれぞれ感心している様
子でした。
みなさんの個性豊かなおひなさまは、それぞれの場所で見る人を楽しませてくれるで
しょう。来年度、おとなのクラフトは、また別の内容で実施しますので、ぜひお楽しみ
に。
3 月 27 日『根本山ミステリーウォーク』
今回はコースが当日まで分からないミステリーウォークです。7 名の参加者が集まり、
わくわくドキドキで出かけました。
まずは、昆虫の林で隠れたオオムラサキの幼虫を探しました。ポイントはエノキの下。
みんなで落ち葉を 1 枚 1 枚めくって探すと、葉っぱについた幼虫を発見!1枚の落ち葉
に2匹いることもありました。女の子が虫メガネで幼虫の顔を見ると「ウサギみたくて
かわいい!」と声をあげていました。やわらかい幼虫の体で凍えることなく冬を乗り越
- 22 -
えるなんて、これぞミステリーです。
別の場所では、細かく砕かれた骨の塊を発見。そ
の大きさから「ネコのウンチかな?」、「動物の食べ
跡かな?」とそれぞれ推理しました。棒でつっつい
て分解してみると小鳥の骨というのが分かり、フク
ロウのペリット(口から吐き出された不消化物)で
はないか、ということになりました。里山を歩くと
不思議なものや分からないものが見つかります。そ
れを慎重に調べたり、推察したりするのも楽しみの
一つです。
林縁の草木をよけながらヒノキ林へ入ってみると、中は木や草がほとんど無く、地面
はふかふかでした。少し歩くとけもの道を発見!木の間を縫うように通っていて、別の
けもの道と交差している所もありました。近くには人知れず咲くヒメカンスゲやシュン
ランも見つかり、まさに探検気分でした。
少し行くと、タヌキのため糞(タヌキ一家のトイレ)があり、1 畳ほどの広さに糞が
集中していました。タヌキたちがけもの道を通り、ため糞で縄張を主張していたのかと
思うと、動物たちの暮らしが目に浮かぶようでした。
そこからトンボの水辺に抜け、オニヤンマの沢に行くとカタクリが咲いていました。
日陰で観察路から外れた場所にあるので、探さないと見つかりません。慎重に忍び足で
近づくと、次々と花が見つかり、男性の方が「これは分かりにくいなぁー」としみじみ
言っていました。車道沿いではオオカンザクラやヒサカキの花が見ごろになっていて、
一足先にお花見も楽しむことが出来ました。みなさんもぜひ 根本のミステリーを探しに
来て下さい。
4)ゴールデンウィーク限定クラフト「どんぐりの木に絵を描こう」
園内で間伐したコナラとクヌギの枝を輪切りにした板に、絵を描くクラフトを実
施した。5 月 3 日(土)~5 日(月・祝)の 3 日間限定で、大人と子ども合わせて 73 名
が参加した。
板に絵を描く子ども達
参加者が作った作品
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5)常設プログラム
天候に関わらず年間を通して室内で実施するプログラムとして、野鳥のクラフト、
生き物ぬりえなどがある。野外でできるプロ
グラムはザリガニつり、草花を入れて楽しめ
る万華鏡の貸し出しを行なっている。
ザリガニつりは、トンボの水辺のアメリカ
ザリガニ駆除も兼ねて実施している。つり竿
は無料で貸し出し、えさとザリガニを入れる
容器は、参加者に持参してもらっている。春
から秋にかけて、親子での利用が多い。
ザリガニつり
6)展示資料作成
根本山の動植物について紹介した写真パネルや模型を展示している 。26 年度に
職員自らが作成した展示は次のとおりである。
・四季の動植物写真展示(秋の展示をリニューアル)
・初夏から梅雨に咲く花写真展示
・樹液すごろく
・どんぐりのクラフト展示
どんぐりのクラフト展示
樹液すごろく
(3)環境保全・管理作業
里山の多様な生物が生息できる雑木林・草原・水辺などの環境を守り、維持する
ための環境保全・管理を計画的に実施している。
昆虫の林 (雑木林)
タンポポとバッタの広場 (草地)
草刈:春 1 回、夏 1 回、秋 1 回
草刈:春 1 回、夏 1 回、秋 1 回
落ち葉かき:冬 1 回
クリのイガ拾い:秋 1 回
オトシブミの林 (雑木林)
もみじの広場 (草地)
草刈:夏1回
草刈:春 1 回、夏 1 回、秋 1 回
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クヌギの丘 (雑木林)
コナラの丘 (雑木林)
草刈:夏 1 回
草刈:夏 1 回、秋1回
落ち葉かき:冬 1 回
ヒグラシの林 (ヒノキ林)
ヒヨドリの林 (ヒノキ林)
草刈:夏 1 回
草刈:夏 1 回
樹木園 (いろいろな樹木の植栽地)
トンボの水辺 (池と湿地)
草刈:夏 1 回、秋 1 回
草刈:春 1 回、夏 2 回
樹木剪定:春 1 回
落ち葉かき:冬 1 回
落ち葉かき:冬 1 回
泥さらい:冬 1 回
枯木伐採:冬 1 回
車道沿い
観察路・あずまや
草刈:春 1 回、夏 2 回、秋 1 回
草刈:春 1 回、夏 2 回、秋 1 回
ツツジ剪定:春 1 回
ツツジ剪定:春 1 回
ハギ剪定:冬 1 回
桜天狗巣病等枝の剪定:冬 1 回
アジサイ剪定:秋 1 回
アジサイ剪定:秋 1 回
落ち葉かき:冬1回
枯木伐採:冬 1 回
オニヤンマの沢 (沢沿いの草地)
チョウの谷 (沢沿いの草地)
草刈:春 1 回、夏 1 回
草刈:夏1回
スミレの小道 (雑木とアカマツの混生林)
シジュウカラの林(雑木林とアカマツの
草刈:夏 1 回、秋 1 回
混生林)
落ち葉と刈草かき:夏 1 回、冬 1 回
草刈:夏1回
マツボックリの林(雑木とアカマツの混生
林)
草刈:春 1 回、夏1回、秋 1 回
落ち葉かき:春1回、冬 1 回
枯木伐採:冬 1 回
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3.根本山ふるさといきものふれあいの里の自然環境資料
(1)根本山ふるさといきものふれあいの里における アカボシゴマダラの初記録
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根本山ふるさといきものふれあいの里における アカボシゴマダラの初記録
自然観察指導員 木村有紀、相田英明
2015 年夏、根本山ふるさといきものふれあいの里において、要注意外来生物アカボシ
ゴマダラを初めて確認したので報告する。成虫と幼虫いずれも確認し、繁殖しているこ
とも明らかになった。記載項目は、観察日、観察場所、発育段階、確認者の順に示した。
2015.7.19
サシバの谷ヒノキ林内
成虫 1
相田(写真図 1)
7.20
自然観察センター建物周り
7.29
自然観察センター北ヒノキ林の林縁のエノキ
8.28
自然観察センター北ヒノキ林の林縁のエノキ(樹高約 2m と約 3m70cm)
幼虫 2
成虫 1 採集し、標本作製
成虫 1
相田(写真図 2)
相田
木村(写真図 3)
その後、8.28 に採集した幼虫 2 匹を飼育した。それぞれ 9.10 と 9.11 に蛹化し、9.17
と 9.18 に羽化した。木村、相田(写真図 4、図 5)
図 1.アカボシゴマダラ
図 2.アカボシゴマダラ標本
図 4.蛹
図 5.羽化したアカボシゴマダラ
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図 3.採集した幼虫
平成 26 年度(2014 年度)
根本山ふるさといきものふれあいの里
根本山自然観察センター年報
平成 27 年 11 月 20 日発行
編集・発行
根本山自然観察センター
〒321-4311 栃木県真岡市根本 56-11
TEL0285-83-6280
FAX0285-83-4624
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