特集 2 未曾有の好況、躍動する プロジェクト貨物輸送 原油高背景にプラント建設集中、輸送需要拡大 需給逼迫、船社とフォワーダーの関係に変化 国際海上貨物輸送は、不振が目立つ定期コンテナ輸送事業、中 国向けの資源輸送が好調なバルク輸送事業の二極化に目が行きが ちだが、重量物/プロジェクト貨物の輸送事業が今、かつてない好 況に沸き立っている。原油高を背景とするプラントの建設ラッシュ で輸送需要が急増しているほか、新興経済国の台頭や鉱物資源の 高騰に伴い、金属関連のプラントや採鉱機械、途上国向けの発電 所、交通インフラなどの輸送需要も拡大基調で推移。船腹需給は 逼迫した状態にある。こうした需給環境下で、スペース確保を優先 する荷主がフォワーダーを通さずに直接、キャリアと輸送契約を結 ぶケースが増えた。一方のフォワーダーは、海上輸送部分以外、例 えば両端部分のコーディネートなどきめ細かいサービス、グローバ ルなネットワークを駆使したバックアップ体制を武器に、荷主への アプローチを強めるなど、船社とフォワーダーとの関係にも変化が 出始めている。躍動するプロジェクト輸送ビジネスの現状と今後を 追う。 (西 拓也、岬 洋平、深沢義仁) CARGO AUGUST 2008 23 未曾有の好況、 未曾有の好況、躍動するプロジェク 躍動するプロジェクト貨物輸送 ト貨物輸送 かる資材輸送も活発だ。鉄道(地下鉄を プラント建設ラッシュ 2.2 倍) と大幅な増益を計上している。た 表 3-1 日本企業のプラント成約実績の推移 (単位=件、億㌦、%) 成約額 含む)整備に付随する車両やレール、橋の だ、千代田化工建設は、カタールにおける 資材、ブルドーザーやクレーン車などイン 労働者の逼迫による労務費の高騰、生産 1998 年度 903 103.0 ▲ 14.2 36.7 プロジェクト貨物、重量物輸送における フラ整備に必要な重機輸送など。このほ 性の悪化という特殊要因もあり、減収を余 1999 年度 577 80.4 ▲ 21.9 27.8 主な輸送品目として代表的なものは、原 か、世界的に環境問題への対応が進む中 儀なくされた。 2000 年度 634 153.7 91.2 56.3 油・石炭・ガス処理プラント、石化プラント、 で、風力発電に用いる大型風車や潮の干 各社の受注残高、および地域別シェアを 2001 年度 643 124.4 ▲ 19.1 51.1 ニッケルやアルミ精製プラントなどプラント 満を利用した発電システム整備に関連す みると、地域区分の違いはあるものの、中 2002 年度 913 139.7 12.3 68.0 東とアジアでバランスする日揮、カタール 2003 年度 1005 188.8 35.1 85.5 2004 年度 1061 193.7 2.6 87.6 2005 年度 927 257.7 33.0 130.7 2006 年度 1076 178.5 ▲ 30.7 52.3 2007 年度 1159 238.0 33.3 92.4 件数 対前年比 ひっ ぱく る資機材の輸送なども、プロジェクト輸送 部品が挙げられる。エネルギー・素材需要 の拡大により、中東・北アフリカ、中南米、 のカテゴリーに入る。変り種としては、原 のLNGプロジェクトに力を入れ中東比率 ロシア・中央アジアなどの資源国を中心に 油価格高騰に潤う中東諸国において、海 の高い千代田化工、中東やアジアだけで 石油精製・ガス・石油化学関連プラントの 水を淡水化する施設に関連するプロジェ なく中南米のプロジェクト受注比率の高い 建設ラッシュが続く。また、プラント建設と クト輸送なども挙げられる。 TECとそれぞれ特色を持つが、プロジェ 並行して、電力供給源となる発電所の建 プラント市況が堅調に推移する中、日本 クト案件は中東、北アフリカ、中南米、ア 設が急ピッチで進み、これに伴う重量物輸 のエンジニアリング御三家のうち、日揮と ジア域内に集中していることがわかる (表 送需要が伸びる。 海外調達額 表 3-2 2002 年度 全体 139.7 生活関連・環境プラント 14.4 情報・通信プラント 9.3 交通インフラ 26.8 エネルギープラント 31.3 発電プラント 25.4 化学プラント 18.5 鉄鋼プラント 6.2 一般プラント 7.8 東洋エンジニアリング(TEC)は 2008 年3 1、2参照)。今後はベトナムやインド、南 ている」と、発電プラント成約増加の背景 月期業績で、それぞれ経常利益が 468 億 米ベネズエラ、ロシア・CI S (独立国家共同 を説明する。国内での新規発電プラント 発途上国における交通インフラ整備にか 円(07 年 3 月期比 41.8 %増) 、160 億円(同 体)諸国などの新興国におけるプロジェク 需要が期待できないこともあり、重電メー トが拡大するとみられる。 カーは海外営業に注力しているようだ。 2003 年度 188.8 6.2 5.7 13.9 65.7 64.7 14.5 9.7 8.5 (単位=億㌦) 2004 年度 193.7 4.4 6.7 29.9 63.3 52.9 18.1 10.6 7.7 2005 年度 257.7 6.3 7.1 53.7 100.1 52.6 26.1 7.6 4.2 2006 年度 178.5 5.6 9.7 26.7 38.1 55.1 24.0 8.5 10.3 2005 年度 257.7 79.5 12.4 29.5 133.7 4.5 10.4 4.4 7.3 14.5 3.3 2006 年度 178.5 64.1 12.7 18.7 46.8 14.5 10.3 2.6 23.1 11.2 5.9 2007 年度 238.0 2.2 17.9 12.3 25.3 109.1 44.5 20.7 6.0 (経済産業省まとめ) 表 3-3 日本企業のプラント成約実績の地域別推移 全体 アジア うち中国 うち ASEAN5 カ国 中東 アフリカ 中南米 大洋州 北米 西欧 その他 (経済産業省まとめ) 一方、安定的な輸送需要はないが、開 日本企業のプラント成約実績の機種別推移 特集 2 2002 年度 139.7 63.2 18.5 16.6 24.5 16.7 7.7 0.2 12.2 5.9 9.0 2003 年度 188.8 75.9 17.9 42 61.2 3.5 6.8 0.8 6.7 6.9 27.2 (単位=億㌦) 2004 年度 193.7 98.7 33.8 42.6 71.2 7.1 9.0 3.4 9.8 12.0 2.6 2007 年度 238.0 71.7 10.7 21.9 65.6 21.6 15.2 2.9 27.7 21.8 11.4 (経済産業省まとめ) 火力発電は建設から稼働までの時間が 発電プラントに注目 表 1 エンニジアリング 3 社が受注した主なプロジェクト プロジェクト 日揮 千代田化工建設 東洋エンジニアリング 発注者 納期 の成約で日本からの輸出は全体の3割ぐ 重量物/プロジェクト貨物輸送の好況 2011 年前半 経済産業省がこのほどまとめた調査報 どで需要が根強い。一方、水力発電はダ らい。あとは韓国・中国が半分、残りが欧 は果たしていつまで続くか。輸送関係者の サウジアラビア大型原油処理設備 サウジアラムコ 2011 年前半 告「2007 年度海外プラント・エンジニアリン ムの建設も含めれば3∼4年の建設期間 米」と話す。ただ、エンジニアリング会社 間では、少なくとも10 年までは続くという クウェート大型製油所建設 クウェート国営石油会社 グ成約実績について」によると、日本企業 が必要。しかし、地球温暖化防止のため、 が荷主となるケースに比べ、重工企業が 見方が支配的だ。重量物船は隻数が少な の 07 年度海外プラント・エンジニアリング CO2 削減抑制が世界的な傾向となる中、 かかわる輸出では、タービンや環境関連 いうえ、船腹が手配できなければ工期に 成約実績は、06 年度 33.4 %増の 238 億㌦ 欧米を含め、成約が拡大している。地熱 資材など技術力で他国に勝る製品の出荷 大きく影響するため、輸送商談が始まるの と、過去最高だった 05 年度実績(257 億 発電、風力発電プラントも同様の理由で輸 をベースに日本からの出荷比率が高い、 は1∼2年前と一般的な貨物と比べかなり 2010 年夏 ㌦)に次いで2度目の 200 億ドルの大台超 出が増加傾向にある。特に地熱発電のプ という。 早い。なかには5年以上先の輸送案件を インドネシア石油精製・石油化学統合 プルタミナ 2010 年中頃 えとなった。中でも顕著だったのが、発電 ラントは世界市場でも日本メーカーがほぼ ベネズエラ大型肥料製造設備 ベネズエラ石油化学 2010 年第 2 四半期 プラントの成約額の伸び。96 %増の 109 億 独占しているという。 ― サウジアラビア大型石油化学プラント サウジ・ポリマー 2011 年中期 カタール パール GTL プロジェクト シェル 2010 年末 カタール大型ガス処理プラント エクソンモービル 2009 年 カタール大型 LNG プラント カタールガス 3& 4 カタール大型 LNG プラント ラスガス 3 ― ブラジル ガス処理設備拡張 ペトロブラス 2009 年第 1 四半期 ㌦と、ほぼ倍増の勢いで、機種別でシェア タイ エチレン/ポリエチレン設備 PTT ポリエチレン 2009 年 10 月末 でも45.8 %と最大となった。成約と実際の インド大型エチレン設備 インド国営石油会社 2009 年第 3 四半期 輸送には1年以上のタイムラグがあるため、 日揮 東洋エンジニアリング 売上高 6,036(24.5%) 5,510(▲ 9.4%) 3,274(46.3%) 経常利益 191(▲ 48.0%) 468(41.8%) 160(2.2 倍) 2,587 4,023 2,686 中東(43.4%) 、アジア(21.1 %) 、アフリカ (2.6%) 西南アジア・中東・アフリカ (25.0%) 、東南アジア(15.2 %)、中南米(37.8%)、ロシ ア・中央アジア(3.7%)、中 国(2.8%) 中 東( 6 5 . 0 % )、ロ シ ア (3.0%) 、アジア(3.0%) CARGO AUGUST 2008 決めるケースもある。プロジェクト自体も 船腹需給の逼迫は続く 相当前に決まるため、需要をある程度先 まで読みやすい。現在は 09 ∼ 11 年ごろ 韓国・中国台頭、海外調達拡大 資源国のプラント建設向けの資機材輸 の輸送商談が行われていることになるが、 送を中心に、プロジェクト貨物の輸送需要 その感触からも、輸送関係者は重量物船 プラント・重量物輸送の前回のブームは は高く、今後もこうした傾向は続く。その の需要は当面は堅調とみている。 今から 20 年以上前、中東の石油精製プラ 一方で、最近は船腹の逼迫が顕在化して こうした船腹需給の逼迫は、フォワーダ ント建設が盛んだった 80 年代にさかのぼ いる。 「各キャリアはベルトコンベアのよう ーとキャリアの関係にも変化を及ぼし始め 火力・地熱など発電プラントで高いシェ る。当時は、各資材の積み地は日本が全 に船を回しているが、それでも輸送需要 ている。かつて、専門性の高い重量物輸 アを誇る富士電機システムズの米山直人 体の8割強を占めていた。しかし、現在の には追いついていないのが実情」 (重量物 送は、フォワーダーの差配に委ねられるケ 取締役発電プラント事業本部長は「世界的 ブーム下では、当時と大きく様相が異なっ 輸送フォワーダー) という。プラント関連貨 ースが多かった。しかし、最近では船腹 なエネルギー需要が伸びている。発展途 ている。確かに、日本からはプラントの制 物を輸送する重量物船(一般貨物船を含 の確保を優先する荷主が、フォワーダーを 上国では火力発電の需要が強いが、先進 御室をはじめ基幹部分の輸出はあるもの む) は 70 年代後半∼ 80 年代後半の建造船 通さず、キャリアと直で交渉するケースが 国でも環境意識の高まりから、自然エネル の、主な積み地は韓国、中国、欧州、米国 が多く、これらの船が今後大量にリタイア 増えている。こうした環境の変化を踏ま ギーを利用した発電プラントの需要が伸び など海外が大半を占める。プロジェクト輸 すれば、船不足にさらに拍車がかかるこ え、フォワーダー各社は、船社では手が回 急激な変化とはならないが、09 年度以降、 (単位は億円、数字は 08 年 3 月期業績) 千代田化工 24 電力需要が急増する東南アジア、中東な ソナトラック 表 2 エンジニアリング 3 社の業績・受注残 地域別比率 (日本除く) 送にかかわる物流事業者は「プラント1つ アルジェリア原油・ガス処理設備 ※各社発表をもとに作成 受注残 とになる。 他の発電プラントに比べて短いことから、 発電プラント関係の出荷が期待できそうだ (表3参照) 。 CARGO AUGUST 2008 25 未曾有の好況、 未曾有の好況、躍動するプロジェク 躍動するプロジェクト貨物輸送 ト貨物輸送 りきらない両端部分のコーディネートなどき ールを輸送できる特殊重量物船の需要が タリングやチポルブロック、現代商船など め細かいサービスで生き残りを目指してい 高まっている。かつて、重量物船の船上ク が新たに参入している。 る。また、日本で受注したプロジェクトに レーンのつり能力はせいぜい数百㌧まで もかかわらず、日本を基点としない 3 国間 だったが、現在は 1000 ㌧を超える重量物 輸送が増えているマーケットの実情を踏ま を取り扱うことができるクレーンを搭載す え、グローバルなネットワークを駆使した る超重量物船も登場している。このほか、 バックアップ体制をセールスポイントにし ある程度、積み地で組み立てたモジュー て、荷主から輸送契約を勝ち取る外資系 ルをそのまま仕向地まで海上輸送できる フォワーダーも目立つ。 特集 2 量物船の自社運航を 整備を進めた。 ところが、80 年代後半になると原油価 再開し、 「商船三井プ 格低迷で産油国のプロジェクトが停滞し、 ラント輸送」のトレー IJPS プロジェクトも頓挫。さらにプラザ合 ドネームの下、アジ 意後の円高で日本からのプラント輸出が ア/中東水域を中心 減少し、日本出しの貨物を基盤としてい にサービスを展開。 た邦船社の重量物船事業は行き詰まった。 超重量物輸送には参 重量物輸送の場合、バルカーやコンテ 東京海事が 84 年に倒産し、川崎汽船は重 入せず、中型の重量 モジュール船の整備を優先するキャリアも ナ船などの一般貨物輸送と異なり、貨物 量物船をすべて処分し、同事業から完全 物輸送に特化してい 出てきた。 の形状やサイズがその都度異なる。このた 撤退。商船三井は保有する重量物船をす くが、運航水域を従 超重量物輸送とともに重量物船のもう1 め、貨物の積み付けプランの作成、荷役 べて海外船社のプールに投入し、オーナ 来のアジア・中近東 つの潮流となっているのが、リックマース、 の現場監督などを行う専門の技術者の存 ー業のみ残してオペレーター業からは撤 から、欧州、米国な 日之出郵船などに代表されるライナー/ 在が不可欠となる。今後、少なくとも4∼ 退した。重量物船専業の日之出汽船は事 ど遠洋まで拡大する で、最近、特徴的なのが貨物の大型化と セミライナー船社。これらの船社は、鋼材、 5年はプロジェクト貨物の輸送需要は右肩 業を継続してきたが、その経営は厳しか ことを検討している。 キャリア間のすみ分けの進展である。 雑貨、建機、バルク貨物などの一般貨物 上がりの成長が続くとみられ、キャリア各 った。郵船は 01 年、昭和海運との合併で 川崎汽船は 07 年、 と組み合わせて重量物/プロジェクト貨物 社は重量物船の船隊整備を加速している。 傘下に入った日之出汽船に重量物/プロ ドイツのSALに 50 %出資し、同社との共 レーンのキャパシティも900 ㌧つりまで大 プラント部品は年々大型化しており、プラ を輸送。このため、運航船は、クレーンの 需要を満たす船腹供給のメドが立った今、 ジェクト輸送を含むグループの在来船事業 同事業という形で重量物船事業に再参入 型化する。BBCは船隊をライナー、不定 ントの中核設備であるリアクター、プレッシ キャパシティーの大きさよりも、多様なカー 専門的な知識を持つ人材の確保・育成へ を集約。 「日之出郵船」として再スタートを を果たした。SALでオフショア仕様の 期、定期貸船に3分の1ずつ投入する考え ャー・ベッセルでは 1000 ㌧を超えるものが ゴに適した汎用性の高さを重視している。 の取り組みが事業拡大の鍵となる。 切り、合理化による生き残りを図った。 2000 ㌧つり型船4隻を建造。超重量貨物 で、現在は米ガルフ/南米、極東/南米 増加。なかには 2000 ㌧を超えるリアクター 重量物/プロジェクト貨物は需要の波が 次項からは、具体的にキャリア、および 一時、重量物/プラント輸送事業の縮 輸送とオフショア関連事業を強化する。こ 間、欧州/南米間などでライナーサービス も出現している。また、プラント建設現場 大きい分野だが、多目的船であれば、需 フォワーダーによるプロジェクト輸送の現状 小を余儀なくされた邦船社だが、需要の れにより、再び大手3社がそろって重量物 を行なっている。 の労働力不足、環境問題などでプラントの 要が落ち込むリスクをある程度分散する を紹介する。 高まりを受け、再び事業の強化に乗り出し 事業を手掛けることになった。 モジュール化が進んでおり、巨大なモジュ ことができる。この分野には、BBCチャー 人材の確保が最重要課題 おう か 貨物の大型化が進展 プロジェクト貨物、重量物輸送の分野 リファイナリーの生産能力向上に伴い、 好況を謳歌するプロジェクト輸送で、最 大の課題は人材の確保である。 各社は船隊整備を積極化している ンマーク)の重量物/プロジェクト輸送部 た。日之出郵船は重量物対応型の多目的 船を中心に船隊整備を推進。在来貨物 BBC、ベルーガが船隊整備加速 量物/プロジェクト貨物を輸送する一方、 次に、海外キャリアへ話題を移そう。重 ア・プロジェクト・チャータリング」 (APC、 巨大な貨物を輸送する特殊なモジュール 量物/プロジェクト輸送の需要をにらみ、 シンガポール)を設立。アジア・中東地域 船を増強している。商船三井は 03 年に重 爆発的な勢いで船隊を急拡大させている の集荷を共同で行っている。クリッパー・ 重量物輸送の分野でかつて世界をリー のが、ドイツのBB プロジェクトは多目的/重量物船を約 40 ドした邦船社。マーケット低迷で一時は重 Cチャータリング 隻運航している。 量物船事業の縮小・撤退を余儀なくされた と、ベルーガ・シ ブーム再来に沸き立つ邦船 需要拡大で各社船隊整備を加速 邦船 3 社、事業戦略は三者三様 ベルーガ・シッピングは 95 年、海運界に すい せい ッピング。 が、需要の高まりを受け、大手3社が再び 事業の強化に乗り出している。その戦略 重量物/プロジェクト輸送分野の需要拡大を受け、邦・外船各社は輸送力の更 門クリッパー・プロジェクト (旧クリッパー・ エリート・キャリアーズ) と合弁会社「アジ (ブレークバルク)のライナーサービスで重 キャリアの働き BBCは 04 年、クリッパー・グループ(デ は三者三様だ。 彗星のごとく現れたニールス・ストルバー BBCはドイツ船 グ氏が若干 35 歳で設立した新興船社。98 主ブリーズ・シッ 年に多目的を買船してオペレーター業を 重量物/プロジェクト輸送の前回のブー ピングなどが 97 年 開始。2000 年に 300 ㌧つり型重量物船2 ト貨物の仕向地が多様化する中、各社は今後、新造船の竣 工をにらみながら、サ ムは、70 年代から 80 年代の前半まで。原 に 設 立 。運 航 船 隻を新造し、この頃から重量物船ビジネス ービスネットワークの拡大を目指す。重量物/プロジェクト輸送のブーム再来を受 油高を背景に産油国で多数のプロジェク 隊を急拡大し、現 に傾注している。 け、川崎汽船は昨年、ドイツの重量物船専業船社、SALに 50 %出資し、同社との トが計画され、日本からのプラント輸出も 在は多目的船・重 ベルーガでは 80 ∼ 500 ㌧つり型の多目 共同事業という形で重量物船事業に再参入を果たした。これにより邦船 3 社がそ 増加した。当時、邦船社では日本郵船、 量物船を 140 隻運 的重量物船 45 隻を運航し、ワールドワイド ろって重量物/プロジェクト貨物を手掛けることになったが、モジュール船を利用 商船三井、川崎汽船、日之出汽船、東京 航している。運航 に不定期配船。新造発注残は 800 ㌧つり する超重量物貨物の輸送までカバーする日之出郵船、中型重量物輸送に力を入れ 海事が重量物船を運航。I JPC (イラン・ジ 船隊は 11 年ごろ 型「P1シリーズ」 、1400 ㌧つり型「P2シリ る商船三井と、3 社の描く戦略は三者三様だ。 ャパン石油化学プロジェクト)など大型プ に 150 ∼ 160 隻と ーズ」を含め 40 隻で、船隊規模は 11 年に なる見通しで、ク 85 隻に拡大する予定。チャレンジ精神旺 なる強化を目指し、船隊整備を加速している。中東、アジア、中南米とプロジェク しゅん こ う ロジェクトをにらんで、各社は重量物船の 近年、貨物の大型化が加速している 26 CARGO AUGUST 2008 CARGO AUGUST 2008 27 未曾有の好況、 未曾有の好況、躍動するプロジェク 躍動するプロジェクト貨物輸送 ト貨物輸送 Focus 特集 2 リ ッ ク マ ー ス ・ リ ニ エ 展開する。その一つが、重量物の船積み手法などを3 “定時性”武器にプロジェクト輸送強化 独自技術「RICOSYS」で差別化 D表示するシミュレーションシステム「R I COSYS」 であ る。一定の貨物情報を入力すれば、バースにおける荷 役、当該貨物を船積みした後のラッシングまで、一連の ドイツの海運大手リックマース・グループの多目的船 AD 川崎汽船 大していく戦略だ。 流れを全てPC画面上で見ることができる。これは同社 独自の技術で、他社との差別化に一役買っている。 運航部門、リックマース・リニエは、重量物・プロジェク 旺盛な輸送需要に対応するため、船隊整備にも力 ト貨物の輸送事業を展開するキャリアの中でも、異彩 を入れている。7月初頭にリックマースグループは2万 リックマースにとって重要マーケッ トの一つである日本 を放つ存在だ。同社の運航するサービスの最大の特 4000重量㌧型多目的重量物船4隻プラス・オプション では、従来の代理店方式を改め、06年に現地法人を 設立した。リックマース・ジャパンとして営業活動を本格 徴は 「定時性」 。定期コンテナ船サービスのように、荷 4隻 を 中 国 の 無 湖 新 聯 造 船( Wuhu Xinlian 主は決まった間隔で寄港する同社のサービス船のスペ 「これまで、あまりお付き合いが無かったよ Shipbuilding、安徽省) に発注したことを明らかにした。 化した結果、 ースを活用し、定期的に当該仕向地に貨物を運ぶこと リックマース・リニエが運航し、既存航路または新規航 うな顧客からも仕事を依頼されるケースが増えた」 (川 ができる。 路に投入する予定だ。納期はファーム4隻が2010年 淵欣昭CEO) という。また、リチャード・スティンコームC 同社は現在、自社船を投入したサービスとしては欧 12月∼11年9月、オプション4隻が12年。新造船は OOは 「リックマース本社の日本サイドの代表として、迅 州からアジア、北米の主要港をカバーする東回りの世 350㌧つりクレーン2基、100㌧つりクレーン1基を 速な判断、そしてきめ細かい対応が可能となり、顧客の 界一周航路と、欧州/中東/インド亜大陸間の定期 と強調する。 搭載し、 2基の併用で最大700㌧までつり上げ可能。 信頼を勝ち取ることができた」 航路を展開する。このほか、日本のイースタン・カーラ 全長175m、幅26.5mで、可変式のツイ イナーとの協調配船の形で、北米から日本を含むアジ ンデッキ構造を持つ。航海速力は18ノッ ア向けサービスを提供。さらに他の在来船社と提携す トで、電子制御エンジンなどの環境負荷 る形で、例えばアントワープからアルジェリア、シンガポ 低減設備を備える。 ールから豪州など、世界一周サービスでカバーする各 今回発注した2万4000重量㌧型のほ 地域の主要港と、同社のサービス船が直接寄港してい か、 1万9000重量㌧型6隻、 1万7000型 ない仕向地を結ぶサービスを実施している。プロジェク 4隻を09∼11年に中国造船所で建造す ト関係の重量物など、同社が手掛ける貨物の仕向地 る計画だ。 が多様化する中、今後も 「スケジュールの信頼性が高 重量物・プロジェクト貨物の輸送は、熟 く、輸送にかかるノウハウを蓄積した高品質なサービス 練技術者の蓄積したノウハウが物を言う を提供する」 という同社のサービス・ポリシーに合致す 世界だが、 リックマースはこれに I T (情報技 る他の船社との提携を進め、サービスネットワークを拡 術) を組み合わせた独自のアプローチを 盛で、大型のたこを利用して風を補助とし 受け船隊・サービス強化を進めており、マ て取り込み、燃料を節約する「スカイセイ ーケットにおける影響力を増している。 シミュレーションシステム「R I COSYS」 この分野の代表的な船社が、ドイツの海 運大手リックマース・グループの多目的船 ルズ・システム」を世界最初に最初に導入 している。 両社とも、ドイツのKGファイナンスを活 用した資金調達、中国造船所での連続建 造によって、短期間での大量建造を可能 にしている。 影響力増す定期サービス船社 鋼材などの一般貨物とともに重量物/ プロジェクト貨物輸送を輸送する在来(非 コンテナ) ライナー船社も、需要の高まりを 大型の凧を利用するベルーガの重量物船 CARGO AUGUST 2008 29 未曾有の好況、 未曾有の好況、躍動するプロジェク 躍動するプロジェクト貨物輸送 ト貨物輸送 特集 2 運航部門リックマース・リニエ。同社は在 ービスを提供。また、米国ヒューストンで 輸送し、復航で銅鉱石などのバルク貨物 り型多目的重量物船の運航を開始し、韓 来貨物輸送では極めて珍しい定時サービ 自前のインダストリアル・ターミナルを保有 を輸送している。クレーン・キャパシティー 国船社として初めて重量物/プロジェクト スをうたい事業を拡大してきた。同社はさ し、物流の拠点としている。船隊の新造整 は大きくないが、汎用性の高い豊富な船 貨物輸送に参入した。今年7月に 200 ㌧ らに、昨年から在来ターミナルへの投資を 備も進めており、500 ㌧つり・1万重量㌧型 隊を運航。中古買船を中心に船隊整備を つり型がもう1隻加わり、さらに 10 年以降 加速しており、これまでにアントワープ港、 「E−クラス」 4隻と、800 ㌧つり・1万 2000 進め、運航規模は今年中に 46 隻に拡大す に 640 ㌧つり型4隻の引渡しを受けること ハンブルク港、ジェノア港のターミナルへの 重量㌧型「F−クラス」 4隻が今後竣工す る予定。さらに、3万 4000 重量㌧型ツイン が確定している。当面は極東/中東間で 出資を決めている。在来・プロジェクト貨 る予定だ。 デッカー6隻を 2009 ∼ 2010 年納期で中国 サービスを行い、将来的にはサービスエ リアをワールドワイドに拡大していく考え。 物の定時輸送を掲げるリックマース・リニ 米国船社TBSは、ツインデッカーとハン の南通亜華造船に発注している。TBSは エとして、港湾へのアクセスを長期的に確 ディバルカーによる南米発着の在来定期サ ブラジル国内での陸上輸送・通関など、プ 保するのが狙いだ。 ービスを展開。主要航路は極東/南米、 ロジェクト貨物のロジスティクスサービスに 中国/ポーランドの合弁船社チポルブ 北米/南米、南米/西アフリカなど。南米 も力を入れている。 ロックは、640 ㌧つり型4隻を含む多目的 向けにプロジェクト貨物、建設機械などを このほか、現代商船が 07 年に 200 ㌧つ 重量物船 22 隻を運航し、極東/地中海/ 欧州、極東/米ガルフ、米ガルフ/欧州間 などでライナーサービスを展開している。 フォワーダーの動き 米国を拠点とするインターマリンは、最大 500 ㌧つりの多目的重量物船 30 隻を運航 し、北米/南米・カリブ海間、極東/イン 各社は今後、サービス網の拡充に重点を置く ド/中東間などでライナー/レギュラーサ 専門性生かし荷主へのアプローチ強化 大手顧客集中する日本の拠点整備加速 重量物/プロジェクト輸送のマーケットで船腹需給が逼迫する中、荷主が直接、 船社と交渉するケースが増えているが、重量物/プロジェクト貨物を取り扱う国内 外のフォワーダーは、これまで蓄積したノウハウ、高い専門知識を有する人材の確 保、海上輸送部分以外の輸送支援などを武器に、荷主へのアプローチを強める。 高い専門性、広範な人脈を要する重量物/プロジェクト輸送に参入しているフォ ワーダーは限られている。外資系フォワーダー各社は世界有数のエンジニアリング 会社、重工企業など大手顧客が集中する日本で拠点整備を加速し、営業活動を積 極化している。 専門的知識が必要な重量物輸送 一貫輸送を提供できるのが特長だろう。 日通では東京国際輸送支店営業第2部内 に重量物だけでなく、展示会輸送、液晶設 備輸送も担当する「プロジェクトカーゴセン ター」を設置。重機建設部門の営業部隊 と連携しながら、プロジェクト貨物の集荷 営業にあたっている。一般的には、世界各 限れらたプレーヤー CARGO AUGUST 2008 地でクレーンなどのアセットを持つことは、 FH バートリングは 05 年末にそれぞれ日本 プロジェクト輸送の波動性を勘案するとリ 現地法人を立ち上げている。リックマー スクが高いといわざるを得ない。したがっ ス、ベルーガといった海外船社も同時期に て、揚げ地での実際の輸送については 人脈が要求されるプロジェクト輸送だけ 日本法人を設立している事実と合わせ、 ALE( Abnormal Load Engineering)、 に、得意とするフォワーダーも限定される。 海外プレーヤーにとっても、大手の顧客が マモートのような重量物陸送の世界的大手 日系企業では日本通運、山九、上組、辰 集中する日本市場への取り組みが重要に や、現地の重量物輸送企業と連携するケ 巳商会など、世界的にはパナルピナ/パ なってきているのが分かる。 ースが多い。 荷役・輸送に対する専門性や、広範な 30 して挙げられる。また、ドイグロは 07 年、 ンプロジェクト、DBシェンカー、キューネ& 日系企業の場合は、日通、山九、宇徳 ナーゲル、ドイグロ、FH バートリングなど などを筆頭に、国内に重機・機工部門を が、エンジニアリング大手や重電メーカー 持つことが多い。アジアの一部でもクレー の輸送案件に入札する大手プレーヤーと ン、トランスポーターなどアセットを持って 独・仏など地域特性 重量物/プロジェクト輸送マーケットで CARGO AUGUST 2008 31 未曾有の好況、 未曾有の好況、躍動するプロジェク 躍動するプロジェクト貨物輸送 ト貨物輸送 荷主と船社が直接交渉 コンテナ輸送と同様、プロジェクト輸送 ら押し付けられていた、という不満も強か イレクトに行うケースが増えているため、 ったようで、荷主からの直接交渉の動きは 海上部分に関してはフォワーダーは単に船 歓迎している。 積み手配、書類作成を担うだけ。ブロー 一方、荷主の中でも特に重工メーカー、 鉄道輸送の活用広がる 重量物貨物ではその貨物の特性上、長 でも工場から最終目的地のサイトまで、海 ゼネコンなどは、海上部分でもフォワーダ フォワーダーとしての主体性を持てず、ドキ 距離輸送には海上輸送を利用するのが一 上、陸上をつないだ一貫輸送を提供する ー起用が一般的で、すべての荷主が船社 ュメンテーションなど荷主のバックオフィス 般的だが、極東から中央アジアやロシア・ のがフォワーダーの役割であり、腕の見せ と直接交渉を望んでいるわけではない。 機能を肩代わりするだけというありさまに、 CIS 諸国向けでは鉄道輸送も利用されて 所。大きなプロジェクトであれば、資材の しかし、フォワーダーと船社の立場は、現 調達先は 30カ国にも及ぶケースもあり、フ 在は船社有利という色合いが鮮明に見て ォワーダーの活躍の場は広がっているよう とれる。 に思えるが、実際に取材した大手フォワー ダーの顔色はさえない。理由はいくつかあ フォワーダーの役割とは るが、その1つがすでに述べられた、船 一貫輸送の提供がフォワーダーの役割 カレッジ(船積み手数料) も縮小している。 特集 2 腹需給の逼迫と、それに伴う船社との役 プロジェクトの波動性から、ロジスティク 「まるで人材派遣業者」と自嘲気味に話す 関係者もいた。 おり、ここでもフォワーダーの出番は多い。 同地域のプロジェクト動向を見ると、ロ 日本で 30 年以上にわたりプロジェクト輸 シア、カザフスタンなど資源国向けでは中 送を展開し、外資プロジェクトフォワーダー 東などと同じく石化プラント関連が堅調。 の老舗である西濃シェンカーは「海外での また、全体的には日本のゼネコンなどを中 ネットワーク、経験ある人材。的確な情報 心に交通インフラの輸送需要も多い。旧 提供。フォワーダーにはフォワーダーの役 ソ連時代のインフラが老朽化しているだけ ス部隊を社内に抱えておきたくない、とい 割がある」 (河野博章プロジェクト部長) と、 でなく、中央アジアの各国政府が他国に はまた地域的な特性もある。日系企業で い」 と語るように、アフリカの一部地域など 折からの海運市況高騰により、在来船 うエンジニアリング会社側の思惑もフォワ 安易に“人材派遣”化を受け入れる業界 までまたがる交通インフラを自国内で完結 は先に挙げた企業群に加え、ロシア・CIS 現場レベルは言わずもがな、事務方も英 などプロジェクト貨物を輸送できる船舶の ーダーに影響を与えている。 「プロジェクト の動向に対しては懐疑的な見方を示す。 するシステムに改善したいと考えているこ 諸国では日新、近鉄ユーラシアエクスプレ 語が通じない地域がある。仏コングロマリ 需給がタイトになっており、大手フォワーダ 輸送に対する一定の知識を持ったスタッ また、パナルピナ日本法人のパスカル・ト とも大きい。また、資源関連では「特に日 ス (KEE)、東洋トランス、東海運など、地 ットのボロレ・グループ傘下の SDV、サガ ーといえども、貨物のサイズ・出荷のタイミ フを、プロジェクトが続く期間だけ確保し ラン GM は「 (荷主・船社の) ダイレクト交渉 本製の高度な技術を用いた油井管の需要 域によって強みを持つフォワーダーが加わ など仏系フォワーダーがこれら地域では力 ングによっては船社からスペースの確約を たいが、常時は必要ない」。こう考える荷 は当たり前の話。パナルピナはフォワーダ が高い」 (東海運) という。 ってくる。 を発揮している。SDV の日本法人 SDVジ 得るのが困難な状況が発生している。定 主に対して、フォワーダーは数人からなる ーとして海上輸送だけでなく、コンサルテ KEE によると、 「ロシア鉄道(TSR) は元 欧州の重量物船社が多く拠点を置くド ャパンによると 「北アフリカなどの難しい地 曜日スケジュール配船が当たり前のコンテ チームを荷主の事務所に常駐させ、プロ ィング、さらにドア・ツー・ドア輸送の実行な 来軍事目的に整備されたこともあり、 (広軌 イツ・ブレーメンやハンブルク近郊には、パ 域では、日本のフォワーダーからの業務の ナ船と違い、プロジェクト輸送では必要な ジェクトの期間中、船積み手配などの機能 ど、付加価値サービスを提供している。海 で)長尺、重量物の輸送に適している。ト ンプロジェクト、FH バートリング、ドイグロ 依頼も多い」 (宇佐美謙プロジェクトマネー タイミングでの船積みができなければ、プ を代行している。フォワーダーが荷主の事 上部分にしても、われわれが持つ貨物量 レーシングも精度が高く、素晴らしい」 (石 といった世界的プロジェクトフォワーダーが ジャー) という。SDV はフランスが旧宗主 ロジェクト全体に遅れが生じ、大規模な損 務所に常駐するのは日本出し貨物が多か に対する船社の提示運賃は、荷主の個別 橋修一営業部長) と、輸送インフラとしての 本拠を置き、邦船社と日系荷主・日系物 国だったインドシナ半島でも存在感を示し 害が発生する。このため、大手エンジニア った 80 年代から見られた光景だが、最近 交渉に比べて競争力がある」 と語る。フォ 水準は高いと指摘する。ウズベキスタンな 流業者がそうであるように、船腹確保など ており、ベトナム初の本格製油所プロジェ リング会社などは近年、海上部分だけは はこの傾向が特に顕著になっているよう ワーダーの腕の見せ所は大いに残ってい どへはロシア鉄道による TSR 以外にも で密接な関係を構築している。また、日系 クトのズンクァットのタワーリアクター輸送な 直接船社と交渉する傾向が強まっている。 だ。さらに当時と違い、船積みは荷主がダ る、と言える。 CLB(チャイナ・ランドブリッジ) 、イラン・バ のあるフォワーダーが「仏語圏は特殊なマ ども手掛けている。 船社側も、これまでは全体の受注額から ンダルアッバス港経由、黒海港経由などの 逆算したレート (低運賃) をフォワーダーか 輸送ルートがあるが、TSR 以外はいずれ 割の変化だ。 ーケット。わが社は手を出さない、出せな も2回以上の積み替えが必要となる。大型 貨物の特性上、積み替え頻度が上がれば カーゴダメージも発生しやすい。KEE は現 在、ウズベクスタン向けで鉄道新線プロジ ェクトを輸送中だが、レール、信号、橋梁 など約2万㌧を日本から極東ロシアにチ ャーターした船舶で輸送し、TSR に接続 しているという。KEE は日系フォワーダー として唯一、中央アジア(タシケント)に駐 在員を置いている。プロジェクト輸送は政 情を含めて難しい地域が多いため、人員 を配置することで情報収集やトラブル解決 に効果を発揮しているという。 付加価値サービスで生き残り図る 32 CARGO AUGUST 2008 CARGO AUGUST 2008 33
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