技術・製品の紹介 監視・防犯カメラシステム 1. ②動画画像を最大 30 フレーム/秒で伝送可能. はじめに 現在,社会問題となっているテロ・ストーカー・通り魔 等の犯罪増加に対する防犯対策,寝たきりや一人暮らしの ③音声の双方向伝送や各種制御装置のコントロールが 可能. 老人などの介護支援,製造現場・医療現場での遠隔監視な ④監視画面をシステムに応じ自由にレイアウトが可能. ど,監視カメラ設備の必要性は年々高まっている. ⑤異常時の認識および警報発生前後の動画録画が可能. 従来の監視・防犯カメラシステムがカメラとモニター ⑥画像データ量が少ないため,ネットワークがオーバー を同軸ケーブルで結ばなければならなかったのに対し, フローすることなく,データ欠損が生じにくい. 今回商品化したシステムは,ローカル側に㈱九州エレク ⑦ライブサーバーから監視用パソコンまでは通常の LAN トロニクスシステム社製の小型エンコーダである「ライ システムと同じ考え方で接続や機能拡張が可能. ブサーバー(図1)」を設置することにより省配線・省 スペース・高機能・高拡張性を可能にしたものである. 3. システム概要 3.1 2. ライブサーバーの導入 監視カメラ設備に求められる機能として, ①専用の通信設備を必要としないインターネットに よる遠隔監視 基本システム ライブサーバーを使った基本システムを図2に示す. カメラは,WEB カメラよりも画質の優れた従来の アナログカメラを使用し,ローカル側機器は全てライ ブサーバーに取り込む. ②携帯端末等による遠隔監視 ライブサーバーの入出力点数(標準仕様:各 4 点)を増設 ③多数のポイントの同時監視 すれば制御盤を介して高度な ON/OFF 制御が可能になる. ④双方向の情報交換(警告・報告・指示) ⑤デジタルで長時間録画・瞬時再生 ⑥セキュリティへの対応 などがあげられる. 3.2 システムの比較 本システム,従来のアナログカメラシステム,WEB カ メラを使用したシステムとの比較を表1に示す. これらの機能は WEB カメラを使用することにより,機 能的に満足できるものが普及している. 当社が開発を進めた目的は,これらの機能を全て満足し, 性能および拡張性をさらに向上させることである. そのため,以下のメリットによりライブサーバーを導入 した. 3.2.1 画像圧縮とセキュリティ 本システムは,独自の KAM 圧縮方式(非公開圧縮方式) を採用しているので,従来の MPEG 方式や JPEG 方式と 違い,圧縮技術が優れていることはもちろん,外部から侵 入して画像閲覧することは不可能であり,セキュリティも 格段に向上している. ①独自の動画圧縮伝送技術(KAM 圧縮)および差分伝送 方式により画像データ量が少ない. VIDEO IN :1 点, VIDEO OUT :2 点 SOUND IN:1 点, SOUND OUT:1 点 カメラ制御:1 台, 入出力:DI4 点,DO4 点 図1 ライブサーバー外観 30・監視・防犯カメラシステム 図2 基本システム TAKADA TECHNICAL REPORT Vol.16 2006 表 1 システム比較表 項 画 目 質 本システム 動 画 Web カメラシステム 従来のアナログカメラシステム 動 画 準動画(静止画の連続) 画像圧縮 KAM 圧縮 MPEG MPEG 画像の鮮明さ 細部まで鮮明 鮮 拡大すればぼやけてくる 専用ソフト必要 セキュリティ (非公開圧縮技術) カメラ操作,音声,センサー, ローカル制御機能 扉等の操作信号 LAN 環境が整っていれば 拡張性(カメラ増設) 増設は簡単 同軸ケーブル・制御・電源線 接 続 (LsBox−カメラ間:短い距離) LAN,インターネット 携帯端末への発信 監視場所 記 録 動きセンサー 3.2.2 可 能 明 セキュリティなし ネットワーク侵入で閲覧可 カメラ操作はできる カメラ操作はできる 増設はできるが,周辺機器の LAN 環境が整っていれば 増設も必要.工事も大きく発生. 増設は簡単 同軸ケーブル・制御線・電源線 LAN,インターネット 不可能 可 能 LAN・インターネット環境さえ 特定場所(監視室) あれば世界中どこでも監視可能 差分伝送方式のため大容量を ビデオと同じ 必要としない LAN・インターネット環境さえ あれば世界中どこでも監視可能 加工せずに記録するためロスも 多い ソフト変更により可能 機種によっては可能 別途センサー等が必要 拡張性 従来のアナログ方式ではカメラ 1 台追加する場合,同 4. 画像圧縮および伝送方式 4.1 KAM圧縮とMPEG圧縮との比較 軸・電源ケーブルの長距離布設や,周辺機器の増設が必要 MPEG 方式(固定ビットレート方式)は,図3に示すよ になる.本システムでは,カメラからライブサーバー(カ うに画面一律に同じ大きさのブロックで圧縮するもので, メラ 1 台に対してライブサーバー1 台必要)まで 3m程度 ブロックデータの小さい箇所から省略し,ブロックデータ の短いケーブルを布設し,ネットワークに接続するだけで の大きい箇所を鮮明に見せる.また,図4に示すように圧 増設が可能である.LAN ケーブルを使用するため,工事 縮後のデータ量が常に一定であることから,動きの激しい 費用も大幅に削減できる. 映像は粗く圧縮され,ぼかした映像になる. また,携帯端末(PDA,ザウルス等)での映像閲覧やカ KAM 方式(可変ビットレート方式)は,MPEG 方式とは メラ操作が行える拡張機能も備えている. 異なり,変化の少ない箇所は大きいブロックで,変化の多 3.2.3 い箇所は小さいブロックで圧縮し,小さなブロックは忠実 記録容量 画像を記録する際,最も問題となるのが記録容量である. に再現し,大きなブロックは簡略圧縮する.このため,細 本システムは,差分伝送方式を採用し,最低限の録画 かく変化する煙なども鮮明に再現できる.また,映像は高 データだけを都度記録していくため,他のシステムに対 画質のまま保持し,フレームレートを落とすようにしてい して 13∼25%の記録容量で十分である. る. 3.2.4 センサー機能 映像や音声を遠隔地に送る場合,MPEG 圧縮方式では, 従来のアナログ方式では,画像を見て録る機能のみであ エンコーダーから強制的に決められたデータを送信する ったが,ネットワークを利用したデジタルシステムでは, ためにネットワークの容量を超えると送れなくなり,デー 画像センサー(動き検知)等の付加機能の使用が可能であ タ欠損が生じる.そのため,WEB カメラでは,通常 1∼2 る.これらの機能は,モニターに映し出された画像上での 台のカメラ接続に留め,数十台のカメラ接続をする場合は, 処理のため,様々な応用が考えられる. 常に送信データ以上のネットワーク容量を確保するため 例えば,服の色での検知,指定したエリアへの侵入者検 に,専用回線を用いていた. 知,速度による検知等であり,検知前後の録画も可能であ 一方 KAM 圧縮方式は,クライアント側(表示パソコ る.本システムでは,この画像センサーは標準機能として ン)から映像データをその都度リクエストする仕組みで, 装備している. 一つのリクエストが完了するまで次の映像要求を出さな TAKADA TECHNICAL REPORT Vol.16 2006 監視・防犯カメラシステム・31 KAM 圧縮方式 MPEG 圧縮方式 変化の少ない所は大きいブロックで, 変化の少ない所は大きいブロック で,変化の多い所は小さいブロッ 変化の多い所は小さいブロックで圧縮 クで圧縮 画面一律に,同じ大きさのブロッ 画面一律に クで圧縮 同じ大きさのブロックで圧縮 b.データ変化部のみ 録画した画面 a.通常画面 図3 KAM方式とMPEG方式の比較 図5 録画画面 a.30分割 b.6分割 図6 図4 分割画面 圧縮後データ量の比較 いために,ネットワークがオーバーフローすることはな く,データ欠損は生じない. WEB カメラの使用帯域は 8∼10Mbps だが,KAM 方式 のライブサーバーは 0.6∼3Mbps である.よって,LAN ケーブル 1 本に WEB カメラ 5 台に対して,本システムは 30 台の接続が可能である(100Mbps 回線). 図7 したがって,カメラ 1000 台程の大型監視カメラシステ 全画面表示 ムであっても少ない回線でシステムを構築できる. 4.2 差分伝送方式のメリット 通常,映像を録画する場合,背景など動きのない部分も 全て録画している. 表示画面の操作,録画,再生,カメラ制御および ON/OFF 制御は全てパソコン上のマウスで操作可能であ る. 本システムでは,差分伝送方式を使用しており,背景な 図8は,カメラ選択,カメラ操作,門扉開閉操作,マイ ど動きのない部分は最初だけ録画し,それ以降は動きのあ ク操作,スピーカー操作,映像表示方法切替え,警報履歴 る部分,つまりデータ量が変化した部分のみを録画してい 表示を 1 画面で監視操作する場合の画面例である. く(図5).そして再生時に,それぞれを合成して通常の 図9では,カメラ 2 台を 1 画面で切替えて表示させて 画面にする.よって,必要最低限のデータしか録画しない いる.照明の ON/OFF,門扉開閉操作外部センサーの ため,記録容量が少ないのである. ON/OFF 表示,音声操作で監視操作画面とした場合であ る. 5. 監視画面の製作 このように,監視画面はお客様のニーズに応じて様々な 監視画面としてパソコンを用いるシステムである. ケースの監視システムとして自由にレイアウトを変更で 必要に応じて無制限の分割表示(図6)や全画面表示 きるものである. (図7)が可能で,1 画面にそれらを交互に表示させるこ ともできる. 32・監視・防犯カメラシステム システムの拡張性だけでなく,監視画面自体の汎用性も ユーザーにアピールできる. TAKADA TECHNICAL REPORT Vol.16 2006 このため,運転音が無いので,病院や介護施設など静寂 を要求されるところで使用できる. ④使用温度は,−10℃∼+50℃と広く,屋外でも使用 できる. ⑤映像の遅延時間は圧縮から再生まで 100ms で,小型機 器では最小クラスである. ⑥メンテナンスやバージョンアップがネットワーク上か ら行える. ⑦録画映像から静止画(JPEG)を切り出して,確認作業 等を行うことができる. ⑧複数の相手を指定して同じデータを送信するマルチ 図8 監視操作画面例(1) キャスト機能と単一のアドレスを指定して特定の相 手にデータを送信するユニキャスト機能を有し,ネッ トワーク上で利用できる. 7. 今後の課題 インターネットを経由した際のトラフィック状況,ライ ブサーバーの性能をより引き出すための周辺機器(マイ ク・スピーカー等)の選定条件,不特定多数のカメラとの 相性など,様々な検証が必要である. また,近年クローズアップされてきたセキュリティの強 化やプライバシーの保護などの課題が残されている. これらの課題は,今後の開発の中で解決していく. 図9 監視操作画面例(2) 8. 6. その他の特徴 ①エンコード/デコードの両機能を有し,NTSC 出力端子 に直接テレビを接続して閲覧できる. ②16 個までの FA プログラムを組み込むことが可能で, まとめ ただ画像を見て録画できればいいというニーズに応え るのであれば,カメラとモニターを繋いだだけの従来のシ ステムは,画像も滑らかな分テレビ感覚で監視はできる. しかし,今後求められるのは文中でも挙げたとおり遠隔 スタンドアロンで動作する. 監視,遠隔制御,双方向のデジタル情報交換,セキュリテ 遠隔操作する場合,例えば,無人駅に設置した機器が回 ィ機能などである. 線障害によるネットワーク切断を起こした場合,すぐに 現在,これらの機能をさらに強化したシステムを開発中 FA プログラムが作動し自動的に予備回線へ切り替わる. であり,他社と比較しても一歩先を進んでいると確信して このようなスタンドアロンによる安全確保は必須とい いる. える. ③小型(132W×180D×44H),軽量(800g),消費電 力 10w,密閉タイプ,FAN レスで可動部がない. TAKADA TECHNICAL REPORT Vol.16 2006 古賀 善崇(電気計装部) 資料提供 ㈱九州エレクトロニクスシステム 監視・防犯カメラシステム・33
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