社会福祉法人 No.119 長野県社会福祉協議会 特集 テーマ 里山の自然・私たちの生活 平成23年1月20日発行〈昭和51年12月1日発刊〉 里山 さ ぞ う と き や ま がもつ役割 NPO法人 雑木林 クヌギやコナラなどの広葉樹が 主で、さまざまな種類の木が入 りまじって生えている林。 信州フォレストワーク 保たれます。 内の民有林(国有林を除く森林)の約半 人工林 自然環境の保全 分を占めているのが人工林です。現在、 人工林は植えてから 50 年程度経ってい 家や家具をつくるための 木を育てる林。県内では 主にスギやヒノキ、カラ マツなどの針葉樹。 かんばつ るものが多く、県内でも間伐を中心とし た森林整備を行う必要があります。 けれども、森林所有者の高齢化や担い手 えだ う 中島正博さん が不足し、枝打ち、除伐、間伐など、適切な NPO 法人信州フォレストワーク 理事/環境省環境カウンセラー っているところが多くあります。 間伐材を使ったクラフト講座 森林を再生するため、森林ボランティアによ 多様な動植物 の生育の場 る活動を行っています。 水源の保持 たな だ 里地里山って、どんなところ? 上田市立 じんこうりん 周辺の雑木林や人工林、草地などを含む場所のことを指します。 日本では森林を利用し、木を伐っては植え、育 てることを繰り返しながら、住宅用建材、家具、 紙、木炭など、生活の中にさまざまな形で木を 使う、木の文化を生み育んできました。木は繰り 返し再生産が可能となる資源です。 平地では田畑をつくり、以前はその周辺の雑木林から薪や炭、 その他生活に必要な衣類や道具の材料を得ていました。 message 野生動物による被害が なぜ増えたんだろう? 里山の野生動物と 共存していくために ご とうみつあき ちゅうさんかん ち い き イノシシ捕獲用の ワナにかかった ツキノワグマ。 後藤さんが麻酔で 眠らせ、離れた山に 帰されました。 さく ただいま電気柵を設置中 ちゅうさん か ん ち 最近、長野県内の中山間地では、イノシシ・シカ・サル・クマといった野生 動物による農業被害が深刻です。また、動物たちが住宅地や通学路に出没して 大騒ぎになることも増えました。こうした動物たちから人や田畑を守り、追い 払ったり、捕獲したりする防除対策が全国的に急がれています。 そ から生きるために行ってきました。狩猟によって動物の命を奪うことは、山菜 採りや魚釣りと同じことです。私たち人間は、動 か こうさく ほう 参加した 生徒より 「作業を終えた後、林が明るくなりました。これで 木が大きくなり、キノコなども出るようになるかと 思うと、大変だったけれど、活動してよかったです」 ちょボラ・ワンポイント 1 ●クマの食糧となる木の実(ドングリなど)が 山で不作の年は人里に出没することが多い。 野生動物の被害を防除するためには? 里山を守るためにの巻 里山の森の現状を知ろう 里山がいまどんな状態にあるのか、 地域の人の話を聞いたり、実際に出 かけたりしてみよう。 2 ●里山の森林を手入れする 野山へ出かけたときは ゴミは必ず持ち帰ろう 4 動物たちにゴミをあさられること がないようにしよう! さく ●田畑のまわりに電気柵などを設置する 物・植物といったほかの命をもらって生きていく 2010 年で 5 年目を迎えた森林学科では、「NPO 法人 やまぼうし自然学校」の方を講師に迎え、地元の森を 元気にしようと、学校の近くにある「龍願寺」裏の山 したくさ が かんばつ の下草刈りや間伐作業をしました。 考えられる要因 ●狩猟する人が少なくなり、野生動物が増え、 人間に対する恐れや警戒心が薄くなった。 特に捕獲の場合は、狩猟者がいなければできません。狩猟は人間がはるか昔 森林整備のボランティアに 参加してみよう (人材・調査管理など) ●被害対策の体制 を整える ことができます。それをしっかりと理解した上で、 獣害の現場でのきちんとした防除体制、突発的な 出没に対して捕獲できる体制を整える。 「命」というものと真剣に向き合い、人間と野生動 物がほどよい関係で共存していくために、みんな 野生動物の生態を子ども たちに伝える後藤さん 知恵を出していく必要があると思います。 か 「丸子コスモス大学」は、総合的な学習の時間に、森林 体験、国際理解・交流、おやき作りなど地域住民と生徒 が一緒になって学習や校外で体験学習を行っている学校 です。4 学部 17 学科で構成され、地域の達人や人生の 先輩を大学の講師に迎え、生徒が企画運営をしています。 ●中 山間地 域 の過 疎化や高齢化により耕 作放 き ち 棄地が増え、炭焼きや森林整備などで人が里 山に入ることも少なくなり、動物たちの行動 範囲が広がった。 ワイルドライフサービス代表/ 長野県クマ対策員/ハンター イノシシに荒らされた田のまわり 私たちも里山整備活動をしています 丸子北中学校 「丸子コスモス大学」森林学科 里山に森林があることで、水を 蓄え、災害防止や水源の保全等 の役割を担っています。 「里地里山」とは、田んぼや畑の耕作地と人々が暮らす集落、 いや 棚田保全・癒しの森づくり 洪水の防止 さとやま 後藤光章さん 森林教室 かんばつざい 信州フォレストワークは、荒廃した里山の ぞうきばやし 森林整備や こんな活動を しています なかじままさひろ じょばつ 手入れが不十分なため、暗く貧弱な森林にな ち みんなの森づくり入門講座 に広い森林面積があります。そのうち、県 じ ん こ う り ん 伝統文化の保全 さと Volunteer Report 里山に人が入り、 森林に手を加えること によって豊かな森が 長野県土の 78%は森林で、全国で 3 番目 木材資源の生産 ばやし 里山の森を元気に! 森林整備 ボランティアで リフレッシュ空間 大気の浄化 ぼらっちくん 3 ●狩猟する人を増やす など 里山にすむ鳥獣たちの 生態を学ぼう 野山の動物や鳥は、何を食べ、どんな 生活をしているのか、調べてみよう。 ◎協力:NPO 法人信州フォレストワーク、上田市立丸子北中学校、後藤光章さん ◎参考文献: 『みんなでかんがえよう!生物多様性と地球環境1』京極徹/岩崎書店、 『日本の野生動物(1)身近に体験!動物がすむ里山とは?』熊谷さとし/偕成社 私たちの学校では、 こんな活動をしています。 各校のボランティア・地域活動の紹介 長野市立 中条中学校 お年寄りの方とつながる大切な手紙 長野市 各校のボランティア・地域活動の紹介 飯山市立 城南中学校 飯山市 「ありがとう」が、みんなの笑顔の瞬間 と こ い わ 配食サービス事業を通じて 「常岩の里ながみね」との交流を通して 手紙をとってお いてくださって いるんですね。 気持ちいいなぁ。 押してくれて ありがとう。 アルミ缶1個の重さは約16g。車いす 購入には約 700kg、約4万個以上の アルミ缶が必要です。 車いす、早く 購入できると いいなぁ アルミ缶回収 配食サービスを受けている方へのインタビュー お手紙をいつも いただけて うれしいよ。 配食サービスに生徒の手紙を添えて 中 たくさん集まる と重いなぁ。 配食サービス の手紙 れまでの手紙をうれしそうに見せてくださる方もいます。 条地区では、一人暮らしのお年寄りの方に住民 こんなに手紙を大切にしてくださっていることを全校に とのふれあい等を目的とした食事を配達するサ 伝えたいと思い、生徒会総務でインタビューを行ってそ ービスを行っています。 この配食サービスに関わって、本校生徒会では生 徒が書いた手紙を食事につけて送るボランティ の様子を文化祭で発表しました。 今 このような体験がもとになり、福祉委員会のもう一 年度、新生中学としてスタートした城南中学校 つの活動であるアルミ缶回収の目的を、「『ながみね』の では、福祉委員会を中心にボランティア活動を 方に使ってもらえるよう車いすを購入する」としました。 行っています。その活動の中に、障害者支援施設である お年寄りの方と直接会って話したり、あい さつしたりすることはできないのです てもらえます。1日に 3000 個 以上持ってきたクラスも…。 交流ウォーク ていただいています。また配食サービスで受け取ったこ 1kg を40円で業者に引き取っ 夏休み前に全校集会を開き、全校のみんなに協力をもと めました。結果、4万個以上のアルミ缶が集まり、念願 「常岩の里ながみね」の方々との交流があります。 5 月には「ながみね」の方が企画した「交流ウォーク」 の車いすを購入することができました。 ア活動を行っています。手紙は毎週木曜日の が、手紙という形でつながり喜んで に参加し、施設から菜の花公園まで一緒にハイキ 文化祭「城南祭」では、「ながみね」の 配食に添えて送っています。お年寄りの方 もらえるのは、とてもやりがいがあ ングをしました。「ながみね」の方が乗った車い 方々をお招きし、車いす贈呈式を開き に読んでいただく手紙なので、文字は大き ります。現在、私たちは、お年寄 すを押しながら、お話をしたり、きれいな千曲川 ました。「ながみね」の方から、 「ありが く丁寧に書くように心がけています。 りの方との心の交流がもっと深まる や菜の花や新緑を見たりして楽しみました。菜の とう」という言葉をお聞きしたとき、み 手紙を読んでくださったお年寄りの方から ようにと、私たちの顔写真を手紙に 花公園では、おいしいカレーをみんなで食べたり、 んなが笑顔になった瞬間でした。 「手紙をいただいていつもうれしい」とおっしゃっ 貼って届ける取り組みを考えています。 福祉体験教室(南佐久郡川上村) 夏休みボランティア (王滝中学校・木曽郡王滝村) ブイブイ 楽しいゲームをしたりして交流を深めました。 チャイルドライン 「だれかに話したい」 そんなとき……。 ★ 子ども(18 歳まで) なら誰でもかけていい「子ども専用の電話」です。 スナップ ★ 何でも話せる電話です。 困っているとき、悩んでいるとき、この電話にかけてみて。 ★ ちょっといいにくいことでも、名前は言わなくていいので安心して。 ★ あなたの気持ちを大切に、どんなことでも、いっしょに考えます。 ★ どんなことでも、あなたの話を聞かせてください。 しめ縄作り体験 ぼらん ちゃん ▲12月12日、第5回を迎えた福祉体験教室『しめ縄作り体験』。 本年度も、川上村老人クラブ連合会の皆さんのご協力のもと、 指導していただきながら村内の各公共の施設に飾るしめ縄を 作りました。受講生の皆さんも、持ってきたわらを使い真剣 に棒しめ等を作り、良き伝統に触れることができました。 社協と学校との花壇整備共同作業 ▲保健福祉センターの駐車場に250本の マリーゴールドとサルビアの花の苗を 植えました。夏の暑い中、中学生 20 名 近くが参加。きれいな花が咲くように と願いながら植えました。 保育士さんのお手伝い ▲保育園のプールで園児の見守り のお手伝いをしました。中学生の お兄さん、お姉さんが来てくれて 園児たちも大はしゃぎ! ★このコーナーでは、ボランティア・地域活動に参加した子どもたちの生き生きとしたスナップ写真を募集しています。ご応募は長野県社会福祉協議会(右記)まで。 城南祭での車いす贈呈式 みんなに カードが届くよ。 フリーダイヤルで かけてね! フリーダイヤル 0120-99-7777 あなたのまちの い ボランティアセンターへ行こう! るか どこにあ いひとは わからな で! こちらま ●発行/お問い合わせ● 社会福祉法人 長野県社会福祉協議会 〒380-0928 長野市若里7-1-7 県社会福祉総合センター内 TEL.026-226-1882 FAX.026-291-5180 電子メール [email protected] ホームページ http://www.nsyakyo.or.jp/v-info/ 社団法人 信濃教育会 〒380-0846 長野市旭町1098 TEL.026-232-6994 ホームページ http://www.shinkyo.or.jp/ やまびこだよりは、長野県社会福祉協議会 地域福祉推進グループのホームページ から PDF ファイルとしてダウンロードできます。どうぞご利用ください。 http://www.nsyakyo.or.jp/v-info/ この新聞の発行には、皆さんの赤い羽根共同募金が役立てられています。
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