VOL.23 CHEMOTHERAPY NO.9 Pipemidic 第4報 acidの 2765 毒性学的研究 サ ル に お け る亜 急 性 毒 性 試 験 仙 田 博 美 ・矢 寺 成 次 ・藤 本 勝 造 ・大 西 久 美 雄 ・辰 巳 熈 大 日本製薬株式会社総合研究所 Pipemidic acidの 毒 性 試 験 の 一 環 と して,そ の 亜 急 性 毒性 をサ ル を用 い て 検 討 した。 実 1.実 験 方 験 動 物 お よび飼 育 条 件 ア カゲ ザ ルMacaca 後,約5週 (シ ア ン メ トヘ モ グ ロ ビ ン法),ヘ mulattaを 重3.2∼4.2 用 い,輸 管 法)お 入 検疫 間 予 備飼 育 してか ら実 験 を 開 始 した 。 飼 育 は 個 別 ケ ー ジ(80×80×80cm)に 収 容 して 行 な い,飼 (オ リエ ソ タル 酵 母 製 サ ル用 固型 飼 料AB りん ご1日1個)と 2.投 料 150g/dayと e.剖 マ トク リッ ト値(毛 細 よび 白血 球 百 分 比(塗 抹 法)を 測 定 した 。 検 な らび に病 理 組 織 学 的 検 査 ペ ン トバ ル ビ ター ル麻 酔 下 に放 血 致 死 させ,外 景 お よ び 内景 を精 査 し,主 な臓 器 の重 量 を測 定 した 。病 理 組 織 学 的 検 査 は パ ラフ ィ ン切 片,ヘ 水道 水 を与 え た 。 マ トキ シ リ ン ・エ オ ジ ン 染 色標 本 を用 い て 以下 の臓 器 につ い て実 施 した 。 与 方 法 お よび実 験 群 検 体Pipemidic 液 学 的 検査 び 白血 球 数(ト ー ア ・ ミク ロセ ル カ ウ ン ター),血 色素 量 法 東 南 ア ジ ア産 の 推 定 年 齢2.5∼4才,体 kgの d.血 血 液 生 化 学 分 析 用 の血 液 の一 部 を用 い て赤 血 球 数 お よ 大 脳 皮 質 と間 脳(視 交 叉 を通 る横 断),延 acid trihydrateは0.5%ト ラガ ン 形 体 を通 る横 断),脊 髄(胸 髄 第1節),腋 ト水溶 液 に 懸 濁 し,投 与 液 量 を 体 重1kg,1日 あた り 視 神経,眼 4mlと な る よ うに 濃 度 を 調 整 した 。 投 薬 は1日 量 を2 分 して午 前9時 と午 後5時 に経 鼻 胃内 投 与 した 。 実 験 群 は対 照 群 とPipemidic mg/kg/day(い acidの100,400お よび1,600 ず れ も無 水物 換 算 量)投 の動 物 数 は雄2,雌1,合 計3頭 与群 で,各 群 と し,投 薬 期 間 は30日 球,蝸 牛 縦 断 面,気 下 腺,食 直 腸,肝(外 右),膀 臨 床 推 定 用 量 を20mg/kg/dayと 後 縦 隔,腸 3.検 査項 目 a.一 般 症 状 お よび体 重 よび 第3週 目に モ ン キ ー ど の検 討 を 行 な っ た。 の う, 髄(大 腿 骨)お よび 験 成 績 般 症 状 お よび 体 重 サ ル の 挙 動,摂 餌 量,飲 2.尿 水 量 な どに 対 す る 影 響 は な 所見 測 定 項 目 の うち,尿 量,尿 蛋 白,pHお の 所 見 はTable 中 に 排 泄 され たPipemidic 前腕 正 中 皮 静 脈 か らヘ パ リ ン処 理 下 に採 血 してそ の血 漿 を分 析 した 。 採 血 は 投 薬 開始 前15お よび7日,投 開 始 後7,18お よび29日 に 行 な い,オ ーを用 い て ,血 糖,Ca++,無 機 燐,尿 ー トア ナ ライザ 素窒 素,ク 薬 レア チ ニ ン,総 コ レス テ ロ ール,総 蛋 白,ア ル ブ ミン,総 ビ GOT, GPT, Na+, K+お よびC1- よび潜 血 反 応 1に 示 す とお りで あ る 。 尿蛋 白 量 が検 体 投 薬 群 で 投薬 開 始 後,明 液生化学検査 リル ビ ン, LDH, 巣,精 ンパ 節(顎 下, 体 重 に 対 す る影 響 も全 く認 め られ な か った(Fig.1)。 と投薬 第1お 尿蛋 白,尿 糖,電 解 質,潜 血 反 応,pHな を 測定 した。 巣,卵 腺,リ く,嘔 吐 性 も認 め られ な か っ た 。 検査 チ ェア を用 い て,雄 ザ ル か ら24時 間 尿 を 採 取 し,尿 量, c.血 胱,精 腎,胸 間 膜 お よび浅 鼠 径),骨 実 1.一 注意 して観 察 し,体 重 は毎 週2回 測 定 した 。 投薬 開 始 前1週 底腺部 骨 格 筋(大 腿 部)。 サ ル の 行 動,嘔 吐 性,摂 餌 量,糞 便 の性 状 な どは 毎 日 b.尿 道,胃(胃 側 左 葉,右 葉 お よび胆 の うを含 め た 内側 右 葉),膵,脾,腎(左 子 宮,下 垂 体,甲 状 腺,副 した と きの5,20お 右 中葉),心 脈(動 脈 弓,腹 部 大 お よび 幽 門腺 部),十 二 指 腸,空 腸,回 腸,盲 腸,結 腸, とした 。 な お,こ の 投与 量 は尿 路 感 染 症 に 対 す る本 剤 の よび80倍 量 に 相 当す る 。 窩 部 の神 経 束, 管,肺(左 (左右 の心 耳 と心 室,心 室 中 隔),動 動 脈 お よび腋 窩 部),舌,顎 髄 と小 脳(菱 らか に 増 加 した が,こ れ は尿 acidの 未 変 化 体 がLOWRY 法 に よ る尿 蛋 白 測定 時 にpseudo-reactionを 起 こ した こ とに よ る もの で あ った 。 そ の 他 の 測定 項 目に 異 常 は 認 め られ な か った 。 3.血 液生化学所見 総 コ レス テ ロ ール の 軽 度 の 減 少 が1,600mg/kg群 の 7日 目お よび18日 目の 検 査 で 認 め られ た 。 そ の 他 の 項 目 に お い て も経 日的 に 変 動 の み られ る もの が あ った が,薬 2766 CHEMOTHERAPY 物 に よる と思 わ れ る 特 異 な 変 Fig,1 Body weight pipemidic 化 は なか っ た(Table2)。 SEPT. changes acid for in 1 each monkey treated month 4. 血 液 学 的所 見 いず れ の 測定 値 に も対 照 群 と投薬 群 との 間 に大 差 は なか った。 5. 剖 検 な らび に 病 理組 織 学 的所 見 臓 器 重 量 で は 投 薬 群 で肝 の 実 重 量 と体 重 比 の 軽 度 増大 が み られ た が,dose response は な か っ た 。肺 重量 の 増大 が 12例 中4例(No.3,10,6,8) に 認 め られ た が,こ れ は 誤 嚥 性 肺 炎 に よる もの で あ っ た 。 そ の他 の臓 器重 量 に薬 物 に よ る と思 われ る異 常 は な か っ た (Table3)。 剖 検 時 の 肉 眼 的所 見 お よび 病 理 組織 学 的所 見 で は上 述 の 誤 嚥 性肺 炎 の ほ か,腸 結節 虫 の 寄 生 に よ る リンパ組 織 の反 応 性 変 化 な どが 数 例 に み られ た が,本 剤 の投 与 に よる と思 わ れ るsystemicな 変化はい ず れ の臓 器 に も認 め られ な か った 。 Table1 Urine analysis in monkeys treated with pipemidic acid for 1 month with 1975 VOL.23 No.9 Table2 CHEMOTHERAPY Blood biochemical analysis in monkeystreated acid for 1 month (1) 2767 with pipemidic 2768 CHEMOTHERAPY Table2 Bloud biochernical analysis in monkeys acid for 1 month (2) SEPT. treated with pipemidic 1975 VOL.23 CHEMOTHERAPY NO.9 Table 3 Organ weights in monkeys treated with pipemidic acid for 1 month 本 剤 の ラ ッ ト1)お よび イ ヌ2)に お け る亜 急 性 な らび に 総 括 な ら'びに 考 察 ア カ ゲザ ル にPipemidic 2769 よび 慢 性 毒 性 試 験 で は 本 剤 投 与 に よ る と思 わ れ る重 篤 な 変 化 月 間,経 鼻 は な ん ら認 め られ な い 事 実 と今 回 の 実 験 成 績 か ら,本 剤 そ の結 果,一 般 症 状,体 重 お よび 尿 所 見 に 異 常 は なか そ の毒 性 は きわ め て低 い と考 え られ る。 これ らは本 剤 を 1,600mg/kg/day(1日2回 acidの100,400お に 分服)を1ヵ 胃 内投 与 して,そ の亜 急 性 毒 性 を検 討 した 。 った 。1,600mg/kg投 薬 群 に お け る 変 化 と し て肝 重 量 の 軽度 増加 と総 コ レス テ ロ ール の 軽 度 減 少 が 認 め ら れ た 。 しか しな が ら,肝 重 量 の 増 加 にdose な い こ と,血 中 のGOT, GPT活 responseが 性 に異 常 は な く,ま た 病 理 組 織学 的 に も肝 に特 異 的 障 害 像 は 認 め られ な か っ た こ とか ら病的 意 義 は ない と考 え られ る。 そ の 他 の血 液 学 の毒 性 には 種 族 差 が な く,ま た い ず れ の種 族 に おい て も ヒ トに 適用 した場 合 に お い て もそ の毒 性 の低 い こ とを 予 測 させ る もの で あ る 。 稿 を 終 わ るに あ た っ て,本 実 験 遂行 に 終 始協 力 され た 中 野 幸 穂,深 川 清 二,殿 井 哲 史,近 藤 澄 子 の 諸 氏 に 深 謝 し ます 。 (本 研 究 期 間 は昭 和48年1月 文 的 所 見,血 液 生化 学 所 見,剖 検 な らび に 病 理 組織 学 的所 見 に本 剤 の 投 与 に起 因 す る と思 わ れ る変 化 は な か った 。 1) か ら同 年6月 で あ る。) 献 仙 田博 美,藤 本 勝 造,矢 寺 成 次,大 西 久 美 雄,辰 CHEMOTHERAPY 2770 巳 煕:Pipemidic 報,ラ 毒 性 学 的 研 究,第2 久 美 雄,辰 ッ トに お け る 亜 急 性 な ら び に 慢 性 毒 性 試 験 。 Chemotherapy 2)仙 acidの SEPT.1975 田 博 美,松 23 (9) 岡 信 男,矢 : 2740∼2747, 寺 成 次,藤 1975 IV. SUBACUTE 煕:Pipemidic 毒 性学 的 23 (9 : 2748∼2764, 1975 西 STUDIES acidの ヌに お け る亜 急 性 な らび に慢 性 毒 性 試 験 。Chemotherapy 本 勝 造,大 TOXICOLOGICAL 巳 研 究,第3報,イ ON TOXICITY PIPEMIDIC STUDIES ACID IN MONKEYS HIROMI SENDA, SEIJI YATERA, SHOZO FUJIMOTO, KUMIO OHNISHI and HIROSHI TATSUMI Research and Development Division, Dainippon Pharmaceutical Co., Ltd. Pipemidic acid (PPA) was orally administered to male and female monkeys twice a day at doses of 100, 400 and 1, 600 mg/kg/day for 1 month. Abnormalities possibly due to PPA were not observed with regard to body weight gain, appearance, hematological analyses and biochemical analyses of plasma and urine, except for a slight increase in liver weight and a slight descent in the plasma total cholesterol level in the group of 1,600 mg/kg/ day. The increase in liver weight was not dose-related nor was it accompanied by abnormalities in plasma glutamic oxaloacetic transaminase and glutamic pyruvic transaminase levels, and histopatho. logic changes of liver. PPA seems to have little toxic effect upon monkeys by the oral route.
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