看護実践学会誌 Journal of Society of Nursing Practice, Vol.27, No.1, pp.9〜17, 2014 研 究 報 告 外来化学療法中の乳がん患者に対する タクティールケアの効果 The effects of tactical care for breast cancer patients receiving outpatient chemotherapy 坂井 恵子 1 ),松井 優子 1 ),酒井 桂子 1 ),小泉 由美 1 ) 河野 由美子 1 ),岡山 未来 1 ),我妻 孝則 2 ),久司 一葉 3 ) Keiko Sakai 1 ),Yuko Matsui 1 ),Keiko Sakai 1 ),Yumi Koizumi 1 ) Yumiko Kono 1 ),Miki Okayama 1 ),Takanori Wagatsuma 2 ),Kazuyo Kyuji 3 ) 金沢医科大学看護学部, 2 )金沢医科大学病院, 3 )福井県立大学看護福祉学部 1) School of Nursing, Kanazawa Medical University, 2 )Kanazawa Medical University Hospital 3) Faculty of Nursing and Social Welfare Sciences, Fukui Prefectural University 1) キーワード タクティールケア,乳がん患者,外来化学療法,効果,ケア Key words tactile care,breast cancer patient,outpatient chemotherapy,effect,care 要 旨 外来で化学療法中の乳がん患者11名を対象に、タクティールケア介入による安全性と効果を検証した。 研究デザインは準実験研究デザインで、介入日(実験群)と非介入日(対照群)の 2 条件下において、脈 拍数・血圧の前後の変化はpaird t-testで、体表温度は目的変数を体表温度、説明変数に個人、ケア、時間 を投入した線形混合モデルによる検定を行った。また、不快反応の出現の有無は観察、主観的反応は質問 調査票により検討した。介入方法は、治療のクール日程にあわせて、両足に20分間のタクティールケアを 実施した。 安全性の評価として、介入日と非介入日で、脈拍数・血圧の前後の有意差はなく、また、有害事象の悪 化や不快反応の出現はなかった。効果として、主観的反応は、「気持ち良かった」「安心できた」「眠くな った」「癒やされた」「温かくなった」など効果があったと評価していた。体表温度は、手関節部、外踝部 が、非介入日よりも介入日に有意に上昇した。 以上の結果より、タクティールケアの介入は、外来化学療法中の乳がん患者に対するケアとして、安全 性と心理的・身体的効果があり、がん看護のケアとして有効であることが示唆された。 ―9―
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