微細ファイバを用いたピコリットル液滴の形成実験

日本流体力学会年会 2006
AM06-07-003
微細ファイバを用いたピコリットル液滴の形成実験
Picoliter droplet formation using a thin fiber
○ 植村 豪, 東理大院, 千葉県野田市山崎 2641, E-mail: [email protected]
ヨハン シャーダール, KTH, SE-100 44 Stockholm, Sweden
モーテン シャーンストラム, KTH, SE-100 44 Stockholm, Sweden
河村 洋, 東理大, 千葉県野田市山崎 2641, E-mail: [email protected]
グスタフ アンベリ, KTH, SE-100 44 Stockholm, Sweden
ヨハン レラーデ, KTH, SE-100 44 Stockholm, Sweden
Suguru UEMURA, Dept. of Mech. Eng.,Tokyo Univ. of Science, Noda-shi,Chiba 278-8510, Japan
Johan SJÖDAHL, KTH Analytical Chemistry, SE-100 44 Stockholm, Sweden
Mårten STJERNSTRÖM, KTH Analytical Chemistry, SE-100 44 Stockholm, Sweden
Hiroshi KAWAMURA, Dept. of Mech. Eng.,Tokyo Univ. of Science, Noda-shi,Chiba 278-8510, Japan
Gustav AMBERG, KTH Mechanics, SE-100 44 Stockholm, Sweden
Johan ROERAADE, KTH Analytical Chemistry, SE-100 44 Stockholm, Sweden
In this study, we employed a new technique using thin fibers to generate and transfer picoliter droplets. When the fiber
is dipped in aqueous solution and subsequently pulled up, a droplet is formed at the end of the fiber. To avoid
evaporation effects, the whole process is carried out under a covering layer of liquid fluorocarbon. With this technique,
an aqueous picoliter sized droplet can be maintained for minutes to hours. In order to understand the nanofluid
dynamics occurring at the fiber ends, we examined the snap off process and observed influence of withdrawal speed
and fiber diameter upon the droplet volume. Initial experiments show that the droplet volume is strongly dependent on
the fiber diameter but not on the withdrawal speed. We also observed that the fiber sidewall wettability is an important
parameter influencing droplet dynamics.
1.緒言
近年,創薬や生命科学,分析化学の分野において,微小液滴ハ
ンドリングへの関心が高まっている(1) - (3).これは試薬の使用量を
減少させ,化学反応速度の向上,高生産性と省スペース化の実現
が期待されているためである(4).生命科学や材料科学において新
しい化学物質の開発を行う場合,
膨大な種類の試薬を組み合わせ,
それらの化学反応を調べる必要がある.従来は化学反応を長時間
待たねばならず,反応に伴って生じる大量の生成物の処理も問題
となっている.試薬の使用量を減らせば反応速度が速まり,開発
期間が短縮でき,さらに反応生成物も減少するため,環境負荷の
低減やコストダウンにつながる.
また分析化学の分野においても,
試薬体積の減少によって質量分析の検出精度が飛躍的に向上した
結果が得られており(5),マイクロ・ナノスケールにおける質量分
析の実現が期待されている.このように化学反応のマイクロスケ
ール化は重要な課題となっており,液滴の微小化とそのハンドリ
ングに関する研究が盛んに行われている.
微小液滴の形成にはいくつかの手法が存在するが,その大半は
キャピラリーやインクジェットといったノズルを用い,基板上に
液滴を形成する手法である(6).ノズルを用いると高速で連続的に
液滴形成が可能であるが,圧力制御システムが複雑になる他,ノ
ズル先端への付着物や目詰まりが生じる場合がある.その結果,
一定の体積で液滴が形成されないため,液滴体積の再現性が問題
となっている.
本研究ではノズル式の問題を克服し,液滴体積の再現性を高め
るため,微細ファイバを用いた微小液滴の形成を試みた.この手
法ではファイバを液膜に浸した後,液膜から引き上げてファイバ
端面に液滴を形成する.ノズルを用いた場合には前述のような欠
点と問題が生じるが,本手法ではファイバの移動のみで液滴が形
成できるため,複雑な圧力制御システムが不要となり,目詰まり
も発生しない.さらにノズル式では内径よりも大きな粒子を流体
中に混入できないが,ファイバを用いた本手法では粒子を混入し
た流体のハンドリングも可能であり,液滴形成技術の応用範囲が
広がることが期待される.
実験ではファイバ端面に形成される液滴体積の測定と,液滴の
分離過程の観察を行った.液滴分離に関する研究はこれまでにも
多数あるが(7) - (12),マイクロスケールにおける知見や液滴体積に注
目した実験は少ないため,
ファイバ直径,
ファイバ引き上げ速度,
及びファイバの濡れ性が液滴形成に及ぼす影響について調べた.
また高速度カメラを用い,
液滴分離の瞬間とその過程を観察した.
2.実験
2.1.実験装置
Fig. 1 に実験装置を示す.実験に用いたファイバは直径 55, 110,
220 µm の石英ガラス製である.ファイバは自動送り微動装置に取
り付けられており,速度,及び移動距離をあらかじめ設定し,垂
直方向に移動させることができる.
試験流体には純水を用い,直径約 8mm のプラスチック製の小
型容器中に保持した.この時,界面の曲率がほぼ 0 になるよう,
Motorized linear stage
Optical fiber
Liquid fluorocarbon
CCD camera
Pure water
(a)
(b)
(c)
Fig.1 Experimental setup and procedure: (a) initial state (b)
submersion (c) withdrawal. The photographic insert shows a
pendant droplet formed after retraction of the fiber.
1
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容器中の水量を調節した.さらにこの小型容器は 1 辺 40mm の立
方体のガラス容器中に設置し,液体フルオロカーボン(3M 社製,
フロリナート FC-75)で満たした.これは液滴の蒸発を防ぐためで,
空気中では微小液滴は 10 - 20 秒程度で蒸発してしまう.フルオロ
カーボンの自由表面から水-フルオロカーボン界面までの深さは5
mm とし,各実験における静水圧を一定に保った.
実験の観察には CCD カメラと倍率 5 倍,又は 20 倍のレンズを
用い,ガラス容器の側面から液滴形成の様子を撮影した.また液
滴分離の瞬間とその過程の観察を行う際は,高速度 CCD カメラ
(MotionPro HS-4, Redlake 社製)を用いた.
10000
V [pL]
1000
100
10
10
2.2.実験方法
液滴体積の測定では液滴を 10 回形成し,体積の平均値とばら
つきを調べた.実験ではファイバを水中に浸し,5 - 10 秒待った
後にファイバを引き上げて液滴を形成した.これはファイバを浸
した際に発生する対流の影響を無くし,各実験における条件を揃
えるためである.
本実験のスケールは毛管長よりも十分小さいため,液滴形状は
表面張力によって支配され,部分球形となる.さらに液滴とファ
イバ端面の接触部分は円形であると仮定し,式(1)に示す部分球の
体積を求める公式から液滴体積 V を算出した.
 h 2 w2 

V = πh +
8 
 6
100
D [µm]
1000
Fig. 2 Droplet volume dependency on fiber diameter. The error bars
represent ±1 standard deviation (n = 10).
3.2.濡れ性及び引き上げ速度の影響
ファイバ表面の濡れ性が液滴体積に及ぼす影響を調べるため,
接触角θE ≈ 0°, 60°, 75°, 110°の4種類のファイバを用い,実験を行
った.ファイバ引き上げ速度 U は 100 µm/s とし,ファイバはいず
れも D = 110 µm を用いた.
それぞれのファイバ端面に形成された液滴の側面図を,Fig.3
に示す.接触角が約 0°と,約 60°のファイバを見ると,接触角が違
うにも関わらず同形状の液滴が形成されている(Fig. 3 (a), (b)).コ
ンタクトラインがファイバのエッジ部分で固定されているため,
液滴がファイバ端面を全て覆い,
部分球形状となっている.
一方,
接触角が約 75°及び 約 110°のファイバでは,液滴はファイバ端面
を全て覆っておらず,接触角 0°,60°のファイバよりも小さい液
滴が形成されている(Fig. 3 (c), (d)).ファイバ端面を覆っていない
理由は,コンタクトラインがファイバのエッジ部分から離れ,
Dewetting が発生したためである.このように接触角の大きい疎水
(1)
ここで h は液滴高さ,w は液滴がファイバ端面と接触している円
の直径であり,側面から観察した画像より計測した.
実験ではファイバの濡れ性も変化させ,液滴体積に及ぼす影響
を調べた.以降,接触角θE については,ファイバを水-フルオロカ
ーボン界面に浸した場合の水とファイバ表面がなす角を指す.表
面に化学処理を施していないファイバでは,接触角θE は約 60°で
ある.濡れ性を変化させるため,酸化ナトリウム水溶液,及びジ
メチルクロロシランを用いた.水酸化ナトリウム水溶液中にファ
イバ浸すと表面が親水化するため,ほぼ 0°の接触角が得られた.
一方,
ジメチルクロロシラン にファイバを浸すと表面が疎水化す
るため,約 75°の接触角となった.また前処理として水酸化ナト
リウムに浸した後にジメチルクロロシランに浸した場合は,約
110°の接触角を得た.なお不純物の付着を防ぐため,ファイバは
全て実験前にエタノールに浸して超音波洗浄を行った.
a)
b)
c)
d)
Fig.3 Droplets formed on different surface -treated 110 µm diameter
fibers. Equilibrium contact angles (θE); a) 0°, b) 60°, c) 75°, d) 110°.
Fiber retraction speed; 100 µm/s
3.実験結果及び考察
3.1.ファイバ直径の影響
ファイバ直径D と液滴体積V の関係を調べるため,
直径55, 110,
220 µm の3種類のファイバを用い,液滴形成実験を行った.接触
角θE は約 60°,ファイバ引き上げ速度は全て 100 µm/s である.Fig.
2 はそれぞれのファイバにおいて形成された液滴体積をプロット
したグラフである.液滴体積はファイバ直径の三乗に比例し,V =
1.29×10-4[pL/µm3] ×D3 なる関係が得られた.また液滴体積の誤差
がCV値で 1 - 2 %と低く,液滴体積の再現性が非常に良いことも
分かった.これらの結果より,本実験でパラメータとしたファイ
バ直径の範囲においては,液滴分離のメカニズムは定性的に同じ
であるため,液滴体積がファイバ直径とよい比例関係を示したと
考えられる.このため,以降の実験においてはファイバ直径をパ
ラメータとせず,D = 110 µm のファイバのみを用いて実験を行っ
た.
V [pL]
200
θE ≈ 0°
θE ≈ 60°
θE ≈ 75°
θE ≈ 110°
100
0
100
101
102
103
104
105
U [µm/s]
Fig. 4 Droplet volume dependency on fiber retraction speed using
different surface treated 110 mm diameter fibers. The error bars
represent ±1 standard deviation (n = 10).
2
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性表面のファイバを用いると,Dewetting を伴った液滴形成が観察
された.
Fig.3 (c)及び(d)に見られるように,Dewetting が生じると液滴は
必ずしもファイバ端面中央には形成されなかった.ファイバは実
験前に洗浄しているが,端面上に固着したわずかな不純物や,フ
ァイバエッジ部分の欠陥などが液滴の形成位置に影響していると
考えられる.しかし液滴の形成位置に関わらず,液滴体積はほぼ
一定値をとり,非常に良い体積の再現性が確認された.
Fig. 4 は液滴体積 V と引き上げ速度 U 及びファイバの濡れ性
(接触角θE)の関係を示している.引き上げ速度 U はそれぞれのフ
ァイバにおいて 10, 100, 1000, 10000 µm /s に設定し,実験を行った.
Fig. 4 の U = 100 µm/s における各ファイバの体積は,Fig. 3 に示し
た液滴と一致している.θE ≈ 0°, 60°で最大体積,θE ≈ 110°で最小体
積の液滴が形成されており,Fig. 3 において述べたように液滴体
積は接触角によって著しく影響を受けている.体積の誤差は 1 –
2 %程度で,いずれの濡れ性,引き上げ速度においても液滴体積
の再現性は非常に高かった.一方,それぞれのファイバにおいて
引き上げ速度 U をパラメータとして実験を行ったが,液滴体積は
速度に依存しておらず,いずれのファイバにおいてもほぼ一定の
値を取っている.本実験でパラメータとした速度域においては,
液滴体積は速度の影響をあまり受けないと言える.
3.3.液滴分離過程の観察
Fig. 3 及び Fig. 4 で示した通り,液滴形状と体積がファイバの濡
れ性に強く依存しており,液滴分離の際のメカニズムに違いがあ
ることが予測された.そこで,異なる液滴形状が形成される瞬間
を捉えるため,高速度 CCD カメラを用いた観察を行った.
Fig. 5 はθE ≈ 60°のファイバにおける,液滴分離の瞬間の連続写
真である.Fig. 5 a - e は分離直前の約 0.1 秒間を示しており,ファ
イバで引っ張り上げられた液柱が変形し,くびれが生じていく過
程が分かる.このくびれは Fig. 5 e において最も細くなり,ファイ
バ端面からくびれ部分までの形状が円錐形となっている.これは
ロッド間に保持した液柱の崩壊(7)(9)(10)や,ペンダント液滴の分離時
に見られる界面形状(7)と類似しており,分離のメカニズムが共通
していると考えられる.Fig. 5 f ではくびれ部分から液柱が崩壊し
てファイバ端面に液滴が形成され,サテライト液滴の出現も確認
できる.サテライト液滴は液滴の分離時に常に出現しているが,
分離後約 15 ms 程度で液膜に吸収される場合や,フロリナート中
を漂い続ける場合など,その挙動は不安定であった.これは液滴
分離後の対流の影響によるものと考えられ,今後トレーサ粒子を
混入した可視化実験が必要である.分離後にはファイバ端面に液
滴が形成され,Fig. 5 g - j では液滴分離の反動で液滴が振動してい
る様子が見られる.この時の液滴の振動数を測定したところ周波
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
(h)
(i)
(j)
Fig. 5 Image sequence showing the transient snap-off event. Temporal resolution: 1/44000 s, fiber diameter 110 µm,
retraction speed 100 µm /s, contact angle θE ≈ 60°
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
(h)
(i)
(j)
Fig. 6 Image sequence showing the dewetting time progression and the snap-off instance using a hydrophobic fiber. Temporal
resolution: 1/60002 s, fiber diameter 110 µm, retraction speed 100 µm /s, contact angle θE ≈ 90°
3
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100
a [µm]
a [µm]
100
50
0
-40
-30
-20
t [ms]
-10
0
4.結言
微細ファイバを用いた,微小液滴の形成実験を行い,ファイバ
直径,引き上げ速度,濡れ性が液滴体積に及ぼす影響について調
べた.液滴体積はファイバ直径の三乗に比例し,非常に良い体積
再現性を示した.一方,引き上げ速度を変化させた実験において
は,液滴体積への明確な影響は見られなかった.また同一直径の
ファイバの場合,濡れ性によって液滴形状が異なることが分かっ
た.高速度カメラを用いた観察の結果,液滴分離の瞬間において
ファイバエッジ部分の接触角が Dewetting 発生の有無を決定付け
5.謝辞
本研究の一部は日本学術振興会特別研究員奨励費,及び科学研
究費補助金を利用して行われた.記して感謝する.
50
0
-40
-30
-20
t [ms]
-10
0
Fig. 7 Time progressions near snap-off of the smallest diameter (a) of
the liquid bridge using hydrophilic (left) and hydrophobic (right) 110
µm diameter fibers.
数は 11.4 kHz で,分離から約 400 µs 間で振動が減衰し,液滴は静
止していた
一方,疎水化(θE ≈ 90°)したファイバの液滴分離過程を Fig. 6 に
示した.Fig. 6 a - d では既に Dewetting が生じており,コンタクト
ラインがファイバ端面を滑っている様子が見られる.液柱のくび
れた形状も見られるが,親水性ファイバにおいて観測されたよう
にくびれ部分のみが細くなるのではなく,Dewetting の進行と同調
して細くなっている.Fig. 6 e では Dewetting が突然止まり,液柱
のくびれ部分は急激に進展,その後 Fig. 6 f において液柱が一気に
崩壊する様子が捉えられている. Fig. 6 g – j を見ると分離後の液
滴は静止しており,親水性ファイバで見られたような振動は発生
していない.
Dewetting 発生の有無による液滴の分離過程を比較するため,
液
柱の最小直径 a の時間変化を測定し,Fig. 7 に示した.時間軸は
液滴が分離した瞬間を零点としている.親水性ファイバ(θE ≈ 60°)
では Dewetting が発生しないため,最小直径 a の変化は液柱のく
びれ部分の減少を示している.液滴分離の 25 – 30 ms 前にゆるや
かに減少し始め,5 – 10 ms 前付近から急激に液滴分離に至ってい
る.これはファイバの上昇に伴う液柱の伸張に界面張力が耐えら
れず,液柱が崩壊していく様子を示している.
一方,疎水性ファイバ(θE ≈ 90°)では最小直径 a の変化はファイ
バ端面上の Dewetting の進行とくびれの進展を示している.測定
開始点である液滴分離の 30 ms 前から最小直径 a はほぼ一定値を
取っているが,液滴分離の約 5 ms 前に突然減少を始めている.こ
の最小直径 a の減少が Dewetting の発生を示しており,その後液
柱は急速に崩壊に至っている.親水性ファイバでは液柱崩壊がゆ
るやかに進んでいるのとは異なり,疎水性ファイバでは Dewetting
を引き金として一気に液柱崩壊が進んでいる点が特徴的であると
言える.
以上のように,接触角θE ≈ 60°, 90°のファイバを用いた液滴の形
成過程を比較すると,Dewetting 発生の有無が液滴分離における大
きな違いであり,液滴体積を予測する上でも重要な基準となって
いる.注目すべきはファイバと水の接触角θE だけではなく,後退
接触角θR によって Dewetting の発生が決定付けられている点であ
る.Fig. 5 は接触角が 60°のファイバを用いているが, Fig. 5 e に
おける分離の瞬間では約 40°と,接触角よりも小さい値をとって
いる.この角度は接触角よりも小さいが,後退接触角よりも大き
いためコンタクトラインがファイバエッジ部分で固定され,
Dewetting が発生していないと考えられる.また Fig. 5 j の液滴を
見るとファイバエッジ部分における接触角が約 60°であり,後退
接触角よりも角度が大きいため,液滴分離後には Dewetting が生
じないことが分かる.一方,接触角 90°のファイバでは引き上げ
に伴ってエッジ部分の接触角が後退接触角よりも小さくなり,液
滴分離の前に Dewetting が生じる.その結果,微小な液滴がファ
イバ端面上に形成される.したがって液滴分離の際には Dewetting
が発生する臨界接触角が存在し,液滴体積を支配していると考え
られる.
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