平成26年度 豊川市国民健康保険 特定健康診査等事業報告(PDF

平成26年度 豊川市国民健康保険特定健康診査・特定保健指導事業報告
1
平成 26 年度特定健康診査・特定保健指導の実施方法
(1)特定健康診査受診券・特定保健指導利用券発券方法
ア 特定健康診査受診券
年度当初に被保険者に対して一斉に受診券を発送しました。年度途中で国民
健康保険に加入した被保険者には、届出月の 2 か月後の月の初旬に発送しまし
た。
イ 特定保健指導利用券
特定健康診査結果に基づき階層化を実施した対象者(当該年度 75 歳は除く)
に対し、特定保健指導利用券を発送しました。
(2)特定健康診査実施方法
ア 特定健康診査実施方法
個別方式・集団方式で実施しました。集団方式は、胃・肺・大腸がん検診と
同時に受診できる「ミニドック」と市内公共施設を巡回する「地域巡回健診」
の2種類を前期・後期の 2 クール制で行いました。受診率向上を目的に、例年
は 11 月で終了する地域巡回健診を 1 月に追加日程で3回行いました。(表1)
個別方式は、5月から2月まで年間を通して受診できる体制で行いました。
(表1)
医療機関独自で実施している人間ドックを受診した場合に、特定健診分の費
用を控除する取り扱いを平成 25 年度から継続して実施しました。
平成 26 年度から重症化予防を目的に血清クレアチニンを必須項目に追加し
ました。
表1 平成26年度 特定健康診査実施方法
豊川市医師会
実施機関数
会場数等
46医療機関
豊川市民病院
1医療機関
ミニドック
名古屋公衆医学研究所
8会場・延49回
6月~11月
地域巡回健診
名古屋公衆医学研究所
32会場・延106回
5月~1月
集団人間ドック(JA組合員)
JAあいち健診センター
4会場・8回
7月~12月
実施方法
個別方式
集団方式
医療機関健診
委託機関
- 1 -
実施時期
5月1日~2月14日
イ
特定保健指導実施方法
委託方式と直営方式で実施しました。直営方式では、利用者が希望する相
談日に相談できる体制で実施しています。(表2)
表2 平成26年度 特定保健指導実施方法
実施方法
実施機関
実施機関数
実施時期
動 機 付 : 12医 療 機 関
豊川市医師会
委託方式
積 極 的 : 11医 療 機 関
豊川市民病院
直営方式
1医療機関
4月~3月
豊川市保健センター
2
特定健康診査・特定保健指導の計画目標及び実績
平成 26 年度の特定健康診査の受診者は 10,541 人(33.9%)、特定保健指導の終了者
は 204 人(15.4%)でした。平成 25 年度より特定健康診査は 2.6 ポイント、特定保健
指導は 0.6 ポイント増加しています。
しかし、特定健康診査、特定保健指導共に目標値を下回っており、県平均でも、特
定健康診査で 4.3 ポイント、特定保健指導で 0.8 ポイント下回っています。
(表3、図1、図2)
表3 計画目標及び実績(法定報告値)
区分
目標値
対象者数
特定健康診査 受診者数
受診率
県内国保
目標値
対象者数
特定保健指導 終了者数
実施率
県内国保
(人・%)
平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
50.0
60.0
65.0
35.0
42.0
30,816
31,011
31,091
31,350
31,076
8,807
8,506
9,562
9,798
10,541
28.6
27.4
30.8
31.3
33.9
35.6
35.8
36.6
37.3
38.2
40.0
43.0
45.0
25.0
34.0
1,403
1,267
1,394
1,395
1,323
224
205
182
206
204
16.0
16.2
13.1
14.8
15.4
12.2
14.2
16.6
15.9
16.2
- 2 -
図1 特定健康診査受診率年度推移
図2 特定保健指導実施率年度推移
3
特定健康診査受診者の状況
平成 26 年度の特定健康診査受診者の傾向をみると、受診率は年齢が上がるにつれて
高くなり、性別では女性のほうが男性より高くなっています。この傾向は過去の受診
よんまる け ん し ん
傾向と同様です。本市では 40 歳時にがん検診が無料で受診できる 4 0 健診を実施して
いることから、男女ともに 40 歳から 44 歳までの人の受診率が県平均より高い傾向に
あると思われます。(表4、図3、図4)
小学校区別での受診率は、一宮東部、長沢及び萩小学校区で高く、小坂井西、金屋
及び天王小学校区で低い傾向がみらます。(図5)
受診方法別受診者数では、集団健診は横ばい、医療機関健診は年々増加傾向にあり
ます。
(図6)
男女ともに 60 歳以上の人が県平均との差が大きくなっており、退職後に健診受診
の習慣が継続していない可能性が高く、この世代への健診受診の必要性についての啓
発が課題です。
また、地区で受診率に違いがみられることから、その原因を分析し、勧奨方法や啓
発方法について工夫します。
- 3 -
表4 性別・年齢階級別特定健康診査受診率(法定報告値) 年齢
40~44歳
45~49歳
50~54歳
55~59歳
60~64歳
65~69歳
70~74歳
合計
性別
男性
女性
男性
女性
男性
女性
男性
女性
男性
女性
男性
女性
男性
女性
男性
女性
(%)
平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
14.7
14.2
17.0
16.6
19.8
19.3
17.6
20.2
21.2
24.2
18.0
14.2
17.2
16.3
17.6
20.6
19.0
20.7
20.0
23.6
14.8
13.7
18.4
18.4
19.6
27.7
24.5
25.7
25.9
27.6
19.0
17.2
17.4
18.6
21.2
29.5
25.7
28.6
28.0
31.7
23.9
21.6
23.1
23.4
25.5
32.9
31.3
33.1
33.6
37.4
30.1
29.8
33.9
34.0
35.9
37.5
35.6
38.6
38.7
40.3
30.7
32.0
34.5
35.8
39.0
32.5
32.7
39.7
40.0
42.1
25.0
24.3
27.2
27.9
30.6
31.8
30.3
33.9
34.3
36.9
図 3 平成 26 年度 年齢階級別受診率
図 4 平成 26 年度 年齢階級別受診率
(男性・法定報告値)
(女性・法定報告値)
図 5 平成 26 年度 小学校区別特定健康診査受診率(法定報告値)
- 4 -
図6 平成 26 年度 受診方法別特定健康診査受診者数(年度途中資格異動者含)
医療機関健診負担金無料化
受診券 4 月一斉発送
医療機関独自の人間ドック併用
受診勧奨1月に追加
受診開始
※グラフ内の数値は受診実人数
4
特定健診受診結果
(1) 健診有所見者の状況
健診の結果で判定基準以上の者(有所見者)の割合をみると、HDL コレステロ
ール、LDL コレステロール、HbA1c、拡張期血圧、クレアチニンの項目で県平均よ
り多くなっています。特に HbA1c は、昨年度同様 20 ポイント以上上回っている
状況です。しかし、BMI、腹囲、中性脂肪の摂取エネルギーの過剰を示す項目
では、県平均を下回っており非肥満型の高血糖者が多い特徴がみられます。
図7 平成 26 年度 有所見者の状況(年度途中資格異動者含)
- 5 -
(2) メタボリックシンドローム該当者の状況
健診受診者のうち、メタボリックシンドローム該当者は 1,738 人(16.5%)、予
備群該当者は 863 人(8.2%)でした。メタボリックシンドローム該当者及び予備
群該当者は過去 3 年間横ばい傾向です。(表5)
性別では、該当及び予備群ともに女性より男性の方の割合が高く、年齢階級別
でみると該当者割合では加齢とともに増加がみられます。県平均と比較すると、
男女ともに該当者割合は低い状況となっています。(図8、図9)
表5 メタボリックシンドローム該当及び予備群該当者(法定報告値)
メタボリックシンドローム該当者
年度
性別
愛知県割合
人数
割合
平成24年度
平成25年度
平成26年度
男性
女性
合計
男性
女性
合計
男性
女性
合計
1,190
574
1,764
1,180
571
1,751
1,207
531
1,738
29.6
10.4
18.4
28.2
10.2
17.9
26.6
8.8
16.5
図 8 平成 26 年度 メタボリックシンドローム
28.9
11.5
18.9
28.4
11.1
18.5
28.3
10.9
18.3
(人・%)
メタボリックシンドローム予備群該当者
人数
494
210
704
620
284
904
635
228
863
愛知県割合
割合
12.3
15.6
3.8
5.6
7.4
9.9
14.8
15.9
5.1
5.7
9.2
10.1
14.0
15.9
3.8
5.7
8.2
10.0
図 9 平成 26 年度 メタボリックシンドローム
該当者割合(法定報告値)
予備群該当者割合(法定報告値)
- 6 -
(3) メタボリックシンドローム減少者の状況
平成 25 年度の健診結果でメタボリックシンドローム該当と判定された人のうち、
平成 26 年度の健診でメタボリックシンドローム該当でなくなった人数は 383 人
(24.2%)で、県平均の 22.7%より高い減少率となっています。男性より女性の方
の減少率が高い傾向は、過去2か年の傾向と同様です。(表6)
表6 メタボリックシンドローム減少者(法定報告値)
年
度
平成 24 年度
平成 25 年度
平成 26 年度
性
別
人数
割合
(人・%)
愛知県割合
男性
176
19.4
20.9
女性
119
26.7
26.1
合計
295
21.8
22.7
男性
244
22.0
21.6
女性
153
29.1
26.9
合計
397
24.3
23.4
男性
233
21.7
20.9
女性
150
29.5
26.1
合計
383
24.2
22.7
(4) 生活習慣の状況
問診票から健診受診者の生活状況をみると、運動面で「日常生活において1日
1 時間以上の身体活動」をしていると答えた人は県平均より 18.3 ポイント高く
なっています。食事面では「夕食後に間食を取る」と答えた人の割合が県平均を
3.4 ポイント上回っています。(図 10)
図 10 平成 26 年度 質問項目別集計(評価対象者)
- 7 -
5
特定保健指導の実施
平成 26 年度の特定保健指導対象者は 1,323 人(12.5%)、利用者は 258 人(19.5%)
で、報告期限(H27.8 月末)までに保健指導が終了した者は 204 人(15.4%)でした。
(表7)
指導途中で脱落した人は3人で、その内訳は服薬開始が1人、国保資格喪失が2人
となっており、「本人意向」で脱落した人はいませんでした。
特定保健指導の対象となる人は、県平均を上回っている状況です。特に 65 歳以上で
その差が拡大しています。(図 11、図 12)
平成 25 年度特定保健指導対象者だった人が平成 26 年度に特定保健指導対象者でな
くなった割合は 20.3%でした。改善率を特定保健指導利用者と未利用者で比較する
と利用者は 32.5%、未利用者は 18.0%で、利用者の改善率が高くなっています。
(図 13)
昨年度までは利用者の改善率が減少している傾向がみられていましたので、保健指
導内容の見直しの検討が必要と思われます。
表7 特定保健指導実施者(法定報告値)
(人・%)
年度
支援方法 対象者数 対象者率 利用者数 利用者率 終了者数 実施率
動機付支援
1,029
10.8
165
16.0
148
14.4
平成24年度 積極的支援
365
3.8
37
10.1
34
9.3
計
1,394
14.6
202
14.4
182
13.1
動機付支援
1,037
10.6
182
17.6
174
16.8
平成25年度 積極的支援
358
3.7
39
10.9
32
8.9
計
1,395
14.2
221
15.8
206
14.8
動機付支援
969
9.2
201
20.7
156
16.1
平成26年度 積極的支援
354
3.4
57
16.1
48
13.6
計
1,323
12.5
258
19.5
204
15.4
図 11 平成 26 年度 特定保健指導対象者率(法定報告値)
- 8 -
愛知県実施率
19.1
9.4
16.6
18.1
9.4
15.9
18.0
10.5
16.2
図 12 特定保健指導対象者の改善率(法定報告値)
6
特定健康診査未受診者及び特定保健指導未利用者対策
(1) 平成 26 年度は特定健康診査未受診者に対して、はがきと電話による受診勧奨を実
施しました。電話での受診勧奨では、対象者 2,417 人のうち 1,244 人(51.5%)に
電話が繋がり、そのうち 219 人(17.6%)が受診に至りました。はがきでの受診勧
奨では、1月に受診勧奨をした 15,081 人のうち、441 人(2.9%)が受診に至りまし
た。(表8)
電話での受診勧奨時に受診意思がなかった、あるいは確認できなかった 430 人の
未受診理由をみると、一番多い理由は「治療中」によるものでした。受診率向上の
ために、医療機関との連携を強化していく必要があると思われます。
表 8 平成 26 年度 特定健康診査受診勧奨実施方法等
実施方法
実施時期
対象者
(人・%)
対象人数
4 月に受診券を発行した者の
はがき
8月
うち 5~7 月に健診を受診して
25,706
いない者
電話
12 月~
2月
平成 23 年度及び 24 年度に受
診歴がある未受診者
受診者数
受診率
-
-
※1
※1
2,417
219
9.1
15,081
441
2.9
4 月に受診券を発行した者の
はがき
1月
うち、過去に受診歴のある未受
診者
※1 後期日程で受診予定をしている人も多く、受診勧奨による効果判定は困難なため、未掲載と
します。
- 9 -
表 9 平成 26 年度 特定健康診査未受診理由
(電話勧奨時に受診意思がなかった者あるいは確認できなかった者)
未受診理由
他で受診済み
人
数
20
治療中
270
忙しい
20
特に理由なし
50
その他
45
把握できず
25
合
計
430
(2) 特定保健指導未利用者に対して特定保健指導利用券を送付した約 1 か月後に、手
紙による利用勧奨を実施しました。しかし、勧奨後に利用に至った者は数人で、勧
奨の効果はあまりみられませんでした。
特定保健指導を利用しない理由をアンケート調査したところ、積極的支援及び動
機付け支援ともに「自分で生活改善を行う」と答えた人の割合が多い結果でした。
現在は個別形式による保健指導を行っていますが、生活改善の具体的なイメー
ジが湧くような、運動や栄養などの実技を行う集団形式での保健指導の実施につい
ても検討が必要です。
表 10 平成 26 年度 特定保健指導未利用理由
未利用理由
生活習慣病で治療中
動機付け支援
合計
割合
14
36
50
10.8
生活習慣病以外で治療中
8
33
41
8.9
過去に指導を受けたことがある
8
26
34
7.4
自分で生活改善を行う
48
137
185
40.0
忙しい
10
19
29
6.3
2
31
33
7.1
90
372
462
100.0
生活習慣を変える意思はない
合計
7
積極的支援
(人・%)
平成 28 年度実施に向けて
(1) 特定健康診査未受診者対策
未受診者対策は、はがきと電話による勧奨を継続して行います。勧奨方法や
対象によって勧奨効果が異なるため、年齢や過去の受診歴など対象者の特性に
応じた受診勧奨を実施します。
- 10 -
(2) 特定保健指導未利用者対策
特定保健指導対象者のうち保健指導を利用する人が少ない理由の一つとして、
自己流で生活習慣の改善に取り組んでいることが考えられます。しかし、HbA1c
の有所見率が県平均を大きく上回っており、特定保健指導対象者の割合は、依然
として高いといえます。
受診者が健診結果を正しく理解し、受診後に適切な保健行動をとれるよう支援
する必要があります。個別での保健指導に加え、集団で「運動」や「食事」の実
技を学べるプログラムの実施について検討します。また、平成 27 年度から実施し
ている集団健診での健診結果の説明についても、継続して実施します。
(3) 重症化予防対策
HbA1c の有所見者が若年から中高年までの年齢層で高いことから、集団全体へ
のアプローチとして、リーフレットを使った啓発事業を保健部門、介護部門と連
携して実施します。
併せて、医療機関の受診が必要な受診者に対し、電話等での受診勧奨を実施し
ます。
- 11 -