資料 2 下水道経営サポート検討会 関係用語集 【Ⅰ.基本的な考え方】 ■地方公営企業法 地方公営企業法は、地方公共団体の経営する企業(公営企業)の組織、財務、身分を規定する、地方 自治三法(地方自治法、地方財政法、地方公務員法)の特例として制定されたものである。 ■一般会計繰出基準 一般会計繰出基準とは、一般会計が負担すべき経費について、一般会計から繰り出す際の基準とな るものである。この基準は、総務省より毎年出される『平成○○年度の地方公営企業繰出金について』 により設定される。 【Ⅱ.下水道経営の現状と課題】 ■資本費原価 地方公営企業法を適用していない場合の資本費原価は、有収水量当たりの地方債元利償還費の単 価である。一方で、地方公営企業法を適用している場合の資本費原価は、減価償却費と地方債利息の 合計を有収水量で除した単価である。 ■減価償却費 減価償却費は、固定資産の取得価額を耐用年数にわたって期間配分した費用のことである。これは、 その年度の収益(下水道使用料)の獲得に役立ったと考えられる部分(処理場や下水道管渠を1年使っ たことによる価値磨耗)を貨幣換算して、費用として表す。 ■財政力指数 財政力指数は、地方公共団体の財政力を示す指標として用いられ、基準財政収入額を基準財政需要 額で除した数値の過去 3 年分の平均値で算定される。財政力指数が高いほど自主財源の割合が高く、 財政力が強い団体ということであり、1.0 を超える団体は、普通地方交付税の交付を受けない。 ■事業の進捗率 事業の進捗率は、全体計画に対する進捗状況を表すものである。事業の整備状況を表す普及率とは 異なる。 ■類型団体 類型団体は、処理区域内人口、有収水量密度、供用経過年数で分類した団体のことである。 1 【Ⅲ.現状分析・課題把握のための経営指標】 ①債務償還年数 ■法非適用事業者 法非適用事業者は、地方公営企業法の財務規定を適用していない事業者のことである。官公庁会計 方式が用いられている。 ■法適用事業者 法適用事業者は、地方公営企業法の財務規定を適用している事業者のことである。企業会計方式が 用いられている。 ■地方債残高 地方債残高は、各事業者の年度末の地方債の残額を用いることとする。法非適用事業者は、『決算統 計ハンドブック』(総務省)の「24 地方債に関する調」の 01 行(12)の合計を使用する。 ■総収益及び総費用 法非適用事業者は、『地方公営企業年鑑歳入歳出決算及び建設改良費に関する調』の収益的収支 における総収益と総費用の数値を用いる。 法適用事業者は、『損益計算書』における総収益と総費用の数値を用いる。 ■他会計補助金(資本的収入) 他会計補助金(資本的収入)は、『地方公営企業年鑑』の資本的収支における他会計補助金の数値 のうち、一般会計繰出基準で認められた一般会計繰入金を示す。 ■資産減耗費 資産減耗費は、固定資産除却費とたな卸資産減耗費に分類され、資産の滅失・紛失・価値の下落を 反映させる費用である。 ■各種引当金繰入額 各種引当金繰入額は、将来の現金支出の可能性が高い場合に、見積もり計上する費用である。貸倒 引当金繰入額や賞与引当金繰入額などが該当する。 ■繰延収益 繰延収益は、償却資産の取得又は改良に伴い交付される補助金、一般会計負担金などを 「長期前 受金」として負債(繰延収益)に計上した上で、減価償却費に見合う分を順次収益化したものである。 ■各種引当金戻入 各種引当金戻入は、積み立てた引当金と実績値を比較して、引当金の方が多額の場合に、引当金を 取り崩すことで発生する収益である。例えば、貸倒引当金戻入は、前年度以前に引当処理を行った貸倒 引当金額(回収不能見積額)が、実際に発生した貸倒金額(回収不能額)より多額の場合に、余分に引 き当てた部分を取り崩す際に計上される。 2 ②⑤経費回収率 ■汚水処理費 汚水処理費は、資本費と維持管理費から構成される。 地方公営企業法を適用していない場合の資本費は、地方債元利償還費であり、地方公営企業法を適 用しない場合の資本費は、減価償却費と地方債利息を表す。 一方で、維持管理費は、下水道施設を維持管理していくために必要な費用のことで、維持管理に係る 人件費や、処理場の民間業者への維持管理業務委託費、電気代、薬品費、修繕費などが含まれる。 ■使用料収入 使用料収入は、『地方公営企業年鑑歳入歳出決算及び建設改良費に関する調』(法非適用事業)もし くは、『損益計算書』(法適用事業)の、営業収益の下水道使用料(千円)を表す。 ■発生主義 発生主義は、現金の収入や支出に関係なく、収益や費用の事実が発生した時点で記帳するという考 え方である。地方公営企業法の適用により採用される。なお、現金の収入や支出の時点で記帳する現 金主義は地方公営企業法を適用していない場合に採用される。 ③水洗化率(接続率) ■処理区域内人口 処理区域内人口は、下水道を使える区域に住んでいる人口を表す。『地方公営企業年鑑施設及び業 務概況(その1)に関する調』の現在処理区域内人口(人)を用いる。 ■水洗便所設置済人口 水洗便所設置済人口は、水洗便所を設置・使用している人口を表す。『地方公営企業年鑑施設及び業 務概況(その1)に関する調』の現在水洗便所設置済人口(人)を用いる。 ④管渠の平均年齢 ■各年の管理延長 各年の管理延長は、管渠の改築延長や除却を考慮した後の管渠延長のことである。国土交通省が全 国の事業者に対して毎年実施している『下水管路に起因する道路陥没事故及び管渠延長に関する実態 調査』で提出が求められる、年度末の管理延長を用いる。各年の管理延長は、前年度末の管理延長か ら廃止された管渠を控除し、改築延長と新設延長を加算して求められる。 ■総延長合計 総延長合計は、国土交通省が全国の事業者に対して毎年実施している『下水管路に起因する道路陥 没事故及び管渠延長に関する実態調査』にて、各事業者が提出する管理延長の累積値を表す。 3 ■ライフサイクルコスト(LCC) ライフサイクルコストは、通称 LCC(Life Cycle Cost)のことで、下水道施設の生涯期間に要する総コス トのことである。下水道施設の企画・設計、建設から維持管理・補修、改築・更新、廃棄まで全ての費用 が含まれる。 ■処分制限期間 処分制限期間は、補助金の対象となった資産について、補助目的を達成できないうちに処分するのを 防止するために定められている期間である。 ⑥有収水量当たりの維持管理費 ■維持管理費(汚水分) 維持管理費(汚水分)は、汚水処理費のうち維持管理費部分を表す。『地方公営企業年鑑業務概況 (その2)に関する調』の、維持管理費の内訳にある汚水処理費を用いる。 ■年間有収水量 『地方公営企業年鑑施設及び業務概況(その1)に関する調』の、年間有収水量(㎥)を用いる。 ■有収水量密度 有収水量密度は、処理区域面積 1 ヘクタール当たり年間有収水量のことで、年間有収水量(千㎥)を 現在処理区域面積(ha)で除して求められる。 ⑦施設利用率 ■晴天時処理能力 晴天時処理能力は、『地方公営企業年鑑施設及び業務概況(その1)に関する調』の現在晴天時処理 能力(㎥/日)を用いる。 ■晴天時処理水量 晴天時処理水量は、『地方公営企業年鑑施設及び業務概況(その1)に関する調』の現在晴天時平均 処理水量(㎥/日)を用いる。 4 【Ⅳ.下水道の経営改善施策】 ■再生可能エネルギーの固定価格買取制度 再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイ オマス)を用いて発電した電気を、指定された買取期間に渡って、一定価格で電気事業者が買い取るこ とを義務付けた制度である。 ■補助対象財産 補助対象財産とは、補助金などの交付を受けて取得し、又は効用の増加した、「補助金等に係る予算 の執行の適正化に関する法律施行令」で定める財産をいう。 ■補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律 「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(昭和 30 年 8 月 27 日施行)は、補助金等の交 付の申請、決定等に関する事項その他補助金等に係る予算の執行に関する基本的事項を規定すること により、補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止その他補助金等に係る予算 の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図ることを目的として、制定された法律である。 ■財産処分 財産処分は、補助対象財産を、補助金などの交付に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、担保に 供し、取り壊し、又は廃棄することなどをいう(『水管理・国土保全局所管補助事業等に係る財産処分承 認基準について』(平成 24 年 3 月 15 日国水総第 484 号)より)。 ■PFI PFI は、Private Finance Initiative の略で、公共事業や公共施設の建設、維持管理、運営等を民間企 業に委ね、その資金や経営ノウハウ、技術ノウハウを活用する手法を指す(PPP/PFI の活用に関する 検討会資料『PPP/PFI 手法の整理とコンセッション方式の積極的導入のための展開について』より)。 ■コンセッション方式 コンセッション方式は、施設の所有権を移転せず、民間事業者にインフラの事業運営に関する権利を 長期間にわたって付与する方式である。平成 23 年 5 月の改正 PFI 法において、「公共施設等運営権」と して規定された(PPP/PFI の活用に関する検討会資料『PPP/PFI 手法の整理とコンセッション方式の 積極的導入のための展開について』より)。 ■広域化・共同化 広域化・共同化は、自治体相互間又は自治体内で施設、組織、情報の相互融通を行うことで、利用効 率を高めるとともに、無駄を省き、コストの縮減を図るために有効な手段である。 以上 5
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