全建総連 支援対策本部ニュース(No.37)

2011 年 4 月
25 日
全建総連 支援対策本部ニュース(No.37)
全建総連 東日本大震災支援対策本部
岩手班からの報告
岩手県連は大震災による津波で
道具が流された組合員のために全
国から寄せられた大工道具類を4
月 22 日に事務所前駐車場で点検・
整理し、翌 23 日に宮古方面、釜石
方面、陸前高田・大船渡方面に分か
れて、組合員を集め「大工道具引渡
式」を行いました。この行動には岩
手県連の齋藤会長、工藤・小松・菅
原・菊池副会長、八幡平建設職組合
の伊藤武美組合長、花巻建築業組合
建築大工道具類の支援 引渡式
の小原光男組合長、江刺建築組合の
菊池吉助組合長、岩手県連の佐藤(豊)書記次長、盛岡建労の藤原書記長・鈴木書記、
全建総連の金田主任書記ら 12 人が参加しました。引き渡した大工道具の主なものは、
丸鋸 52 台、インパクトドライバー30 台、発電機5台、コードリール 15 台等でした。
岩手県連の齋藤会長が参加した陸前高
田・大船渡方面では、地元ローカルネットテ
レビ「岩手めんこいテレビ」「NHK」「時事通
信社」「盛岡タイムズ」が取材に来ました。
まず陸前高田第一中学校のプレハブ仮設
住宅に入居している組合員の菅野年男さん
(大工)と熊谷拓也さん(内装)を訪問しま
した。菅野さんは以前、全建総連の前島教宣
部長が取材をした組合員です。熊谷さんは本
人が留守で奥さんが応対してくれました。熊
報道各社も取材に集まる 復興支援に期待
谷さんは「4月 10 日から今の仮設住宅に入
った。4人家族で広さは3人程度であるが、抽選に当たるとは思わなかった。避難所
に比べ足を伸ばせるだけでも良くなった。プレハブなのでエアコンやストーブをつけ
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ても今日のような日は寒い。このように仕事道具や生活物資を本当に無料でいただい
て良いのだろうか。組合に感謝したい」と、冷たい大雨の中にもかかわらず、私たち
が出発するまで見送ってくれました。
次に大船渡市役所を訪れました。大船渡市
役所では以前に市にボランティア協力の申
し入れを行った時にお会いした大船渡市議
会の村上健一市議が出迎えてくれました。市
役所内ではブルーシートを敷き、大工道具類
を並べました。大船渡市在住の組合員8人が
集まりました。
引き渡し式では岩手県連の齋藤会長が「今
日は津波によって大事な大工道具を流され
ブルーシートに並べられた大工道具を選ぶ
て困っている仲間のために、全国の仲間によ
って寄せられた大工道具類を配布するため
に来た。プロが使う大工道具ばかりだ。ま
だまだ大工道具を失った仲間がいる。今日
は第一弾でこれからも大工道具類の配布は
続ける。みなさんから仲間に声をかけてほ
しい」と挨拶しました。
次に大船渡市生活福祉部保健福祉課の志
田修一課長から「当地は気仙大工の地だ。
今まで伝統を守ってきた。しかし今回の大
震災で大工道具等が流されてしまった人が
全国から寄せられた大工道具の数々に感謝の声
ほとんどだ。復興にはみなさんの力がぜひ
必要だ。一日も早い復興に全力をつくした
い」と述べました。
それから組合員は、大工道具類を思い思いに手にしました。短時間で選定が終わり、
車等に積み込みました。最後に組合員を代表して佐藤国雄さん(大工)が「自分は何
もかも地震による津波で失った。使い慣れた大工道具類が流されたことが一番ショッ
クであった。その時は放心状態が続き何も考えたくなく、仕事をやめようと思ってい
た。今日大工道具類を手にして仕事を続け頑張りたいという気持ちになれた。使い慣
れた大工道具類は職人の世界では貸し借りはない。にもかかわらず今回持参してくれ
た大工道具類の中には新品もあるが、使い慣れた大工道具類もあった。これには驚い
た。仲間はありがたいし、組合は素晴らしい。しかしまだ大工道具類を失った仲間も
いる。このような大工道具の配布はこれからも続けてほしい。私たちも声をかける。
一日も早い復興が恩返しと思っている」とお礼の挨拶がありました。
また地元ローカルネット「岩手めんこいテレビ」がスーパーニュースで 17 時 50 分
頃から、この大工道具引渡式を放映しました。宮古方面にも地元新聞紙「岩手日報」
が取材に来ました。
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4月 24 日付の岩手日報でも大きく取り上げられました。
宮城班からの報告
22 日、建設埼玉・山崎委員長、小山田
書記次長、笠原国保事務長の3人が宮城
県連の復興支援のため、見舞金と支援物
資(マスク、歯磨きセット、作業着等)
を手に駆けつけました。
山崎委員長は「今朝、埼玉を出発して
女川、石巻を目で見てきた。本当に言葉
が出なかった。今日は組合員の心がこも
ったものを持ってきた。少しでも役に立
てていただけたらと思う」とあいさつ。
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山崎委員長(中央)から八木副本部長に見舞い金を手渡す
これを受け八木副本部長(県連副会長)は「全
国の仲間から支援をいただき、大きな力となって
いる。復興に向けてなんとしてもがんばってい
く」と強い決意が、日下副本部長(県連幹事長)
からは「感謝しても感謝しきれない。長い時間を
かけてでも、必ず恩返しさせていただく」と感謝
の言葉が述べられました。
建設埼玉からの支援物資
栃木県や茨城県では大震災
による瓦屋根の被害が多く、
「工事は半年先だとか2年先
だとか言われている、何とかな
らないか」との声が国会議員に
も寄せられました。
栃木県選出の民主党の田城
参院議員(比例)、石森衆院議
員(栃木2区)、茨城県の藤田
参院議員(茨城県選挙区)の呼
びかけに対し、兵庫県「淡路瓦」
栃木県庁の災害対策本部で意見交換(北関東住宅復興支援会議)
の工業組合から、北関東の瓦屋
根被害の復旧に支援したいとの話に。
「淡路瓦」は陶器瓦の「3大産地(三州瓦、石州瓦、淡路瓦)」のひとつです。関
東地方で多く使われている「三州瓦(愛知県)」は、今回の被災住宅で多くみられる
「和瓦」の棟瓦は生産量が少なくなっており、また被災住宅は 30 年~40 年前に建築
された住宅が多く、(当時流行だった)瓦の色は現在では特注扱いになっていること
もあって、「瓦がない」ということになっているようです。
淡路瓦工業組合の福原理事長、道上理事、竹澤事務局長と、兵庫県産業労働部工業
振興課・角課長、南あわじ市産業振興部・興津次長の5人が 20 日に茨城県、21 日に
栃木県を訪問し現地視察と意見交換を行いました。
20 日午後には茨城県連を訪問し、古澤委員長、飯島副委員長、久保住対策部長、小
野事務局長と意見交換を行いました。
21 日午前 10 時から、栃木県庁の災害対策本部の会議室で、意見交換(北関東住宅
復興支援会議)が行われました。
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栃木建労と全建総連にも参加要請があったため、栃木県の関係者(県災害対策室・
高木室長、工業振興課・丹羽課長補佐、県建築士会・福田事務局長、県瓦工事業組合
連合会・幸田会長)とともに、栃木建労の仲島書記次長と全建総連の山下組織部長が
参加しました。議員側は秘書が3人参加しました。
意見交換では、
「淡路瓦」側からは、
「今回の被害が大きいことから、産地が分担を
して復旧に協力していこうと、三州瓦と石州瓦と話をしている。修繕に余り時間がか
かっては『瓦離れ』につながるのではないかと心配している。どうすれば受け入れて
もらえるのかを話し合いたい」と表明がありました。
県瓦工事業組合の幸田会長から「私の事業所は 700 件の修理依頼を抱えている。最
も多く依頼を受けている業者は 1300 件、県内のすべての屋根工事業者が 200 件以上
の依頼を受けているだろう。震災後、電話は鳴りっぱなし、携帯にも知らない人から
どんどん電話がかかってきた。体調を崩し入院した同業者もいる。被災者の中には『瓦
はもう嫌だ』という人もいるし、人が集まれば『瓦が足りない』という話が出る。全
瓦連(全日本瓦工事業連盟)ではホームページで『屋根工事応援者募集掲示板』を立
ち上げ、応援が必要な業者が登録する仕組みをつくっている。うちの会社は募集をし、
岐阜県や山梨県から応援に来てもらっているが、栃木県で6社、茨城県で3社しか募
集をかけていない。応援を頼みたくても、工事金額が合うかどうかが心配。ビジネス
ホテルは一杯だし、もっと安い宿舎がないのか。瓦がないのは、震災後に問屋が大量
ロットで発注をかけたので不足しているという話もある」と現場の状況を報告しまし
た。
その後に出された意見では「被災者の安心のためにも、地元の施工者が手がけるこ
とが大切」
「被災者の支援の拡充が必要、国にも県にも申し入れたい」
「瓦不足にかこ
つけて悪徳業者が出てきている」
「日本の建築文化を残すため、瓦のアピールが必要」
「瓦屋根の断熱性能等の評価が低い。業界としてアピールすべき」「応援者(施工)
の宿舎の提供を県などに依頼できないか」。全建総連からは、阪神淡路大震災の支援
職人の取り組みや中越地震の住宅支援隊の取り組み等を報告しました。
意見交換の中で結論は見えてきませんでしたが、議員サイド(秘書)から、モデル
ケースを動かし、課題をひとつひとつ改善する中で進めるしかないだろう、というま
とめがあり、意見交換は終了しました。
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