2016.06.30 ニ ッ セ ン ケ ン 分 室 「 思 い つ き ラ ボ 」 N o.67 「レアメタル」でもある「レアアース」だから ややこしい・・・ ちょっとお知 らせをしたいのですが ニッセンケンのホームページにもリンクが あった 「発 光 システム研 究 会 」ですが研 究 会 の解 散 にともない筆 者 が担 当 し て い た 研 究 会 コ ラ ム “ こ ぼ れ 話 ” も 終 了 と な り ま し た 。 2009 年 5 月 か ら 2016 年 3 月 までホームページ用 と冊 子 用 で 250 話 ほど原 稿 を書 いてきた のですが一 意 の訪 問 者 が毎 月 2000 から 3000 ほどの数 字 があがっていま した。一 意 の訪 問 者 とは 1 か月 の間 に複 数 回 アクセスしてもカウントは 1 回 だ け と い う 数 字 で す 。 正 会 員 数 は 30 社 く ら い の 研 究 会 な の で ほ と ん ど が きっかけは検 索 から入 ってきた読 者 となります。内 容 は防 災 関 連 や蓄 光 素 材 にかかわるものが中 心 には なっていますが 検 索 ではよく利 用 されていたサイトだったと思 っています。その中 でいくつかはこの思 い つきラボでも紹 介 しておきたい原 稿 もあるので リメイクして掲 載 していきたいと思 っています。 というわけで今 回 のテーマは検 索 数 の多 かった「レアメタルとレアアース」のお話 です。レアメタル レアアー スとも言 葉 自 体 はよく耳 にはしているのですが その使 い方 が気 になることがたびたびあります。「レアメタ ル」というものは もともと学 術 的 な定 義 はなく 国 際 的 にも共 通 の規 定 もないのですが 日 本 では経 済 産 業 省 が産 業 発 展 に重 要 な原 材 料 として 31 品 目 47 元 素 を「レアメタル」として指 定 しています。 レ ア メタ ルとレ ア ア ース この段 階 で引 っ掛 かるのが 31 品 目 47 元 素 ・・・単 純 に 47 元 素 でいいのではと思 ってしまいますが 31 品 目 とは 30 の元 素 と希 土 類 元 素 17 元 素 ということになっています。希 土 類 元 素 17 元 素 が 1 品 目 として数 えられて 31 品 目 となっています。理 由 があってこのような表 現 になっているのでしょうが なにか 引 っ掛 かります。この希 土 類 元 素 が「レアアース」のことです。元 素 周 期 表 を作 り上 げる上 で化 学 的 性 質 が似 ていることで レア アース エレメント(rare earth element)という区 分 をし それを日 本 語 表 記 として 「希 土 類 元 素 」に訳 されたのですが報 道 では 「希 土 類 」より通 じやすいのか「レアアース」が多 く使 われて います。 例 えば ニュースで「今 後 需 要 が高 まる レアメタルやレアアース の問 題 について・・・」や「レアメタルとレ アアースについて考 える・・・」などと並 列 に扱 う表 現 が流 れます。「レアメタル」の中 に「レアアース」は含 ま れているから ダブった表 現 になっているのでは・・・と余 計 なことが気 になります。どちらも「レア」ということ ばで始 まっていることも 耳 馴 染 みがいいので並 列 で使 われても違 和 感 を感 じにくいのでしょうが この「レ ア」も微 妙 な違 いがあります。元 素 区 分 でレアアースエレメントと区 分 されたのは これらの元 素 は単 一 元 素 として分 離 しにくく そのため自 然 界 では単 独 で存 在 しにくいことから 「レア 希 (まれ)」なものとの意 味 を持 っています。 けっして埋 蔵 量 が少 ないからという意 味 ではないのです。元 素 の研 究 とともに古 くからある用 語 なのです。 一方 レアメタルは産 業 の発 展 とともに流 通 量 の少 ない金 属 という意 味 合 いで 「レア 希 少 (きしょう)」と 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp 2016.06.30 して使 われています。もちろん新 しい用 語 です。新 しいとはいえ 1983 年 (昭 和 58 年 )に「レアメタル備 蓄 制 度 」というものを当 時 の政 府 が 供 給 が不 安 定 になることを懸 念 して創 設 したことで使 われることになっ た言 葉 なのです。創 設 時 は バナジウム(V) クロム(Cr) モリブデン(Mo) マ ンガ ン( Mn ) コ バ ル ト( Co) ニ ッ ケ ル( Ni ) タングステン(W)の 7 種 類 が対 象 で国 内 消 費 量 の 60 日 分 を常 時 備 蓄 することを目 的 につくられた制 度 です。 2009 年 (平 成 21 年 )に ガリウム( Ga) インジウム(In) に な っ て いま す 。 こ の ほ か に ス ト ロン チ ウ ム ( Sr) の 2 種 類 が加 わって 9 種 類 が備 蓄 対 象 元 素 ニオブ(Nb) タ ン タ ル (Ta) 白 金 (Pt) レアアースの 5 種 21 元 素 が備 蓄 の検 討 元 素 になっています。さらに 17 種 類 の流 通 量 の少 ない元 素 を加 えて「レア メタル」という呼 称 がつけられたのです。 一 方 「レアアース」という言 葉 は 1907 年 までに 17 種 類 のレアアースのうち 14 種 類 が発 見 されており これらのものが近 似 した性 質 であることが判 明 していてこの頃 から「レアアース」という分 類 がなされるよう になったと考 えられているとのことなのです。「レアメタル」と「レアアース」の言 葉 が使 われはじめた時 期 に はこれだけの時 間 差 があるのです。 折 角 ですので 31 品 目 47 元 素 を掲 載 しておきます。今 回 の原 稿 は 「レアメタル」と「レアアース」の使 い方 が気 になっていたので取 り上 げてみました。思 いつきラボにしては珍 しいという意 味 で「レア」なコラムになりました。 原 稿 担 当 :竹 中 (元 素 番 号 元素記号 直 (チョク) 元素名) 3 Li リ チ ウ ム 4 Be ベ リ リ ウ ム 5 B 22 Ti チ タ ン 23 V 24 Cr ク ロ ム 25 Mn マ ン ガ ン 27 Co コ バ ル ト 28 Ni ニ ッ ケ ル 31 Ga ガ リ ウ ム 32 Ge ゲ ル マ ニ ウ ム 34 Se セ レ ン 37 Rb ル ビ ジ ウ ム 38 Sr ス ト ロ ン チ ウ ム 40 Zr ジ ル コ ニ ウ ム 41 Nb ニ オ ブ 42 Mo モ リ ブ デ ン 46 Pd パ ラ ジ ウ ム 49 In イ ン ジ ウ ム 51 Sb ア ン チ モ ン 52 Te テ ル ル 55 Cs セ シ ウ ム 56 Ba バ リ ウ ム 72 Hf ハ フ ニ ウ ム 73 Ta タ ン タ ル 74 W 75 Re レ ニ ウ ム 78 Pt 白 金 81 Tl タ リ ウ ム バナジウム タングステン ホウ素 83 Bi ビ ス マ ス 希土類元素(レアアース) 21 Sc ス カ ン ジ ウ ム 39 Y イットリウム 57 La ラ ン タ ン 58 Ce セ リ ウ ム 59 Pr プ ラ セ オ ジ ム 60 Nd ネ オ ジ ム 61 Pm プ ロ メ チ ウ ム 62 Sm サ マ リ ウ ム 63 Eu ユ ウ ロ ピ ウ ム 64 Gd ガ ド リ ニ ウ ム 65 Tb テ ル ビ ウ ム 66 Dy ジ ス プ ロ シ ウ ム 67 Ho ホ ル ミ ウ ム 68 Er エ ル ビ ウ ム 69 Tm ツ リ ウ ム 70 Yb イ ッ テ ル ビ ウ ム 71 Lu ル テ チ ウ ム 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp
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