Ⅷ 「Uターン者の採用」について

Ⅷ
「Uターン者の採用」について
∼Uターン者の採用に積極的な企業は約 2 割∼
はじめに
和歌山県の高等学校卒業者の県外大学・短大への進学者割合は、平成 18 年は 87.8%で全国 1
位となっている(和歌山県統計課)
。また、高等学校卒業者の県外への就職者割合も比較的高い率
を示している(全国 15 位、近畿圏では最も高い。和歌山県統計課)。今後、和歌山県が活力を取
り戻し維持していくためには、若年層の労働力確保、県内定着が不可欠であり、県外進学者や県
外へ就職した人の中から、一人でも多く和歌山へUターンしてもらうことが重要である。そこで、
県内企業のUターン者の採用状況について調査・分析を行った。
①平成 17∼19 年の間で、新規または中途採用による正社員の採用について
全産業では、
「採用した」と回答した企業が 57.8%となっており、
「採用していない」
(42.2%)
と回答した企業を上回っている。
産業別に見ると、サービス業では「採用した」が 63.9%と他の業種より割合が高くなっている
が、逆に、商業では、「採用した」が 49.6%と低くなっている。建設業、製造業では 6 割近い企
業が「採用した」となっている。
全産業
236
172
408
採用した
採用していない
合計
0%
20%
建設業
28
20
48
40%
製造業
52
35
87
60%
商業
64
65
129
80%
全産業
(n=408)
57.8%
42.2%
建設業
(n=48)
58.3%
41.7%
製造業
(n=87)
59.8%
40.2%
商業
(n=129)
サービス業
(n=144)
49.6%
サービス業
92
52
144
100%
50.4%
63.9%
36.1%
採用した
採用していない
②Uターン者の採用について
(①の問で「1.正社員を採用した」と回答した会社からの回答)
全産業では、採用者の中にUターン者が「含まれている」は 23.0%と少なく、8 割近い企業は
「含まれていない」となっている。
産業別に見ると、建設業では「含まれている」の割合が 28.6%と高いのに対して、製造業では
19.2%と低くUターン者の採用が少なくなっている。
含まれている
含まれていない
合計
全産業
54
181
235
建設業
8
20
28
- 20 -
製造業
10
42
52
商業
15
49
64
サービス業
21
70
91
0%
全産業
(n=235)
20%
40%
60%
23.0%
建設業
(n=28)
100%
77.0%
28.6%
製造業
(n=52)
80%
71.4%
19.2%
80.8%
商業
(n=64)
23.4%
76.6%
サービス業
(n=91)
23.1%
76.9%
含まれている
含まれていない
③Uターン者を採用したときのメリットについて
(②の問で「1.Uターン者が含まれている」と回答した会社からの回答)
全産業では、
「郷土への愛着があり定着率が高い」が 27.8%と最も多く、次いで「特にメリッ
トはない」(25.9%)、「土地勘や地元に関する知識が豊富」(22.2%)の順となっている。
産業別に見ると、全ての業種で「郷土への愛着があり定着率が高い」が比較的高い割合となっ
ているが、商業では「土地勘や地元に関する知識が豊富」が最も高くなっている。一方、サービ
ス業では「特にメリットはない」が最も多くなっている。
全産業
親戚知人等の人的つながりを有している
土地鑑や地元に関する知識が豊富
社内や仕事先でコミュニケーションが取りやすい
郷土への愛着があり定着率が高い
特にメリットはない
その他
合計
0%
10%
全産業
(n=54)
11.1%
建設業
(n=8)
12.5%
製造業
(n=10)
商業
(n=15)
サービス業
(n=21)
10.0%
6.7%
14.3%
20%
30%
22.2%
10.0%
40%
50%
10.0%
60%
商業
1
1
1
3
3
1
10
70%
1
6
2
3
2
1
15
80%
30.0%
25.9%
28.6%
20.0%
13.3%
38.1%
土地鑑や地元に関する知識が豊富
郷土への愛着があり定着率が高い
その他
- 21 -
5.6%
10.0%
0.0%
親戚知人等の人的つながりを有している
社内や仕事先でコミュニケーションが取りやすい
特にメリットはない
100%
12.5%
30.0%
13.3%
サービス業
3
3
0
6
8
1
21
90%
37.5%
12.5%
40.0%
14.3%
製造業
1
2
1
3
1
0
8
27.8%
7.4%
25.0%
建設業
6
12
4
15
14
3
54
6.7%
4.8%
0.0%
④今後、Uターン者の採用について
全産業では、
「Uターンか否かはこだわらない」が 77.0%と最も多くなっている。次いで「で
きれば採用したい」
(15.8%)、
「ぜひ優先的に採用したい」
(3.9%)の順となっており、合わせる
とUターン者の採用に積極的な企業は 2 割近くになる。逆に「採用したくない」とする企業は合
わせると 3.3%と比較的少ない。
産業別に見ると、Uターン者の採用について積極的な企業の割合は、建設業で 28.5%となって
おり、商業の 12.4%の 2 倍を超えている。
全産業
14
57
278
3
9
361
ぜひ優先的に採用したい
できれば採用したい
Uターンか否かはこだわらない
できれば採用したくない
採用したくない
合計
0%
10%
全産業
(n=361) 3.9%
建設業
(n=42)
商業
(n=105) 3.8%
サービス業
(n=137) 4.4%
30%
40%
製造業
4
8
29
1
0
42
50%
15.8%
60%
0
17
57
0
3
77
70%
80%
商業
4
9
88
0
4
105
90%
サービス業
6
23
104
2
2
137
100%
77.0%
2.5%
0.8%
9.5%
製造業
(n=77) 0.0%
20%
建設業
19.0%
69.0%
2.4%
22.1%
74.0%
0.0%
8.6%
83.8%
75.9%
16.8%
ぜひ優先的に採用したい
できれば採用したくない
できれば採用したい
採用したくない
- 22 -
0.0%
1.5%
Uターンか否かはこだわらない
0.0%
3.9%
3.8%
1.5%
Uターン者の採用実績別にみると、
「含まれている」の区分では、「ぜひ優先的に採用したい」
が 9.4%、「できれば採用したい」が 32.1%となっているのに対して、
「含まれていない」の区分
では、
「ぜひ優先的に採用したい」が 3.4%、
「できれば採用したい」が 15.5%と低くなっている。
また、「含まれている」の区分では、
「採用したくない」が 0%となっている。Uターン者の採用
実績のある企業は今後も採用を前向きに考えていると見られる。
合計
含まれている
含まれていない
合計
0%
含まれている
(n=53)
ぜひ優先的 できれば採用 Uターンか否 できれば採用 採用したくな
かはこだわら したくない
に採用したい したい
い
53
5
17
31
0
0
174
6
27
139
2
0
227
11
44
170
2
0
10%
20%
9.4%
含まれていない
3.4%
(n=174)
30%
40%
50%
60%
32.1%
70%
58.5%
15.5%
79.9%
ぜひ優先的に採用したい
できれば採用したい
できれば採用したくない
採用したくない
- 23 -
80%
90%
100%
0.0%
0.0%
1.1%
Uターンか否かはこだわらない
⑤Uターン者の採用を増やすために会社として効果的と思われる対策について【2 つまで回答】
(④の問で「1.優先的に採用、または2.できれば採用」と回答した会社からの回答)
全産業では、
「知人の紹介等を活用する」が 36.8%と最も多く、次いで「インターネットで企
業PRをする」(29.4%)、「採用人数を増やす」(16.2%)の順となっている。
産業別に見ると、全ての業種で「知人の紹介等を活用する」の割合が高い傾向が見られるが、
その中でも商業では 58.3%とかなり高くなっている。一方、サービス業では項目が分散しており
大きな違いは見られない。
全産業
11
4
6
9
25
20
4
10
5
68
採用人数を増やす
Uターン者専用の採用枠を作る
福利厚生制度の充実を図る(快適な独身寮の確保等)
社員が出身校を通じて勧誘する
知人の紹介(コネクション)等を活用する
ホームページの充実を図りインターネットで広く企業PRをする
賃金を上げる
有効な対策はない
その他
合計
70
建設業
製造業
4
0
1
4
4
2
0
1
1
12
商業
2
0
1
2
6
5
1
4
1
16
1
0
0
0
7
5
1
0
1
12
サービス業
4
4
4
3
8
8
2
5
2
28
%
58.3
60
50
41.7
40
37.5
36.8
33.3 33.3 33.3
30
20
10
0
31.3
29.4
28.6 28.6
25.0
16.2
13.2
8.8
16.7
14.7
5.9
7.4
14.3
12.5 12.5
8.3
8.3 8.3
6.3
6.3 6.3
5.9
0.0
全産業
(n=68)
0.0
建設業
(n=12)
0.0
製造業
(n=16)
8.3
8.3 8.3
0.0 0.0
0.0
0.0
商業
(n=12)
採用人数を増やす
Uターン者専用の採用枠を作る
福利厚生制度の充実を図る(快適な独身寮の確保等)
社員が出身校を通じて勧誘する
知人の紹介(コネクション)等を活用する
ホームページの充実を図りインターネットで広く企業PRをする
賃金を上げる
有効な対策はない
その他
- 24 -
14.3
14.3
10.7
17.9
7.1 7.1
サービス業
(n=28)
⑥Uターン者の採用を増やすために行政等に対して希望する施策について
(④の問で「1.優先的に採用、または2.できれば採用」と回答した会社からの回答)
全産業では、
「Uターン者採用に対する補助金交付や助成金制度の新設」が 42.2%と最も多く、
次いで「ハローワークが県外在住者向けに就職先を斡旋する」(28.9%)、「就職フェア等の開催」
(22.2%)の順となっている。
産業別に見ると、建設業とサービス業では「Uターン者採用に対する補助金交付や助成金制度
の新設」の割合が高いが、製造業では「就職フェア等の開催」が 41.7%と高くなっている。
全産業
19
13
10
3
45
Uターン者採用に対する補助金交付や助成金制度の新設
ハローワークが県外在住者向けに就職先を斡旋する
就職フェアのようなイベントを県市町村・企業等が中心になって開催する
その他
合計
0%
全産業
(n=45)
10%
20%
40%
50%
42.2%
建設業
(n=9)
33.3%
商業
(n=6)
33.3%
製造業
4
3
1
1
9
60%
商業
4
3
5
0
12
2
2
1
1
6
70%
90%
100%
22.2%
33.3%
25.0%
11.1%
6.7%
11.1%
41.7%
33.3%
50.0%
サービス業
9
5
3
1
18
80%
28.9%
44.4%
製造業
(n=12)
サービス業
(n=18)
30%
建設業
0.0%
16.7%
27.8%
16.7%
16.7%
5.6%
Uターン者採用に対する補助金交付や助成金制度の新設
ハローワークが県外在住者向けに就職先を斡旋する
就職フェアのようなイベントを県市町村・企業等が中心になって開催する
その他
おわりに
県外への進学者が、卒業後、大都市圏と比較して企業数・職種・求人数ともに限定される県内
の企業に就職するために戻ってくる割合は高くないと考えられる。このような状況の中で、Uタ
ーン者の採用を増やしていくことは企業だけでなく地元にとっても大きな効果が期待できる。
今回の調査では、ここ 3 年間でUターン者を採用した企業は 23.0%となっており、Uターン者
を採用している企業数は多いとは言えない。また、今後のUターン者の採用についても「Uター
ンか否かはこだわらない」と回答した企業は 8 割近くになっており、採用時にUターン者である
ことが特に有利に働くというわけではない。
一方で、Uターン者を積極的に採用したいとする企業は全体では 19.7%、ここ 3 年間でUター
ン者の採用実績のある企業だけを見ると、そのうち 41.5%の企業が積極的に採用したいと考えて
いる。これらの企業のUターン者に対する採用意欲とUターン者をマッチングさせていくことが
必要である。今後、Uターン者に対する企業側の情報発信の充実をはかり、より多くの人材が地
元で働けることを期待したい。
- 25 -