OB会員の先生方からの便り

 12.OB 会員の先生からの便り
光洋会赤間病院(宗像市)
院長 城 戸 優 光(昭和 56 年入局)
2 年振りの近況報告です。
4 年間勤めた新小倉病院を辞し、4 月に光洋会赤間病院の院長に就任しました。
赤間病院は 150 床のケアミックス型の内科の病院で、間もなく創立 50 周年を迎
えます。宗像市内では唯一の日本医療機能評価機構の認定を受けています。常勤
医は私も含め 5 名で、呼吸器、循環器、消化器、腎・糖尿病の専門医がいます。呼吸器は産業医大呼吸
器内科の支援を受け、月曜から土曜日まで毎日外来診療を行っています。急性期から慢性期まで診る、
地域密着型の病院です。近くに福岡教育大学があり、若い人もよく受診します。自宅に近く通勤が大変
楽になりました。姉妹病院として、津屋崎中央病院があります。こちらは、7 年前にギリシャのミコノ
ス島のホテルをイメージして改築された、白い建物に青い窓枠のおしゃれな療養型の病院です。院長を
募集していますので、興味のあるかたはどうぞご連絡ください。ご案内致します。
体調は問題無く、趣味の庭仕事、温泉巡り、国内外の旅行は続けています。
2011 年の秋はイギリスの湖水地方、ハドリアヌスの長城、ダラム大聖堂、ファウンテンズ修道院、
「嵐
が丘」 のブロンテ姉妹の住んだハワースなど北部イングランドを 7 泊 8 日で訪れました。
2012 年 3 月は改装後のオルセー美術館やオランジェリー、ルーブルの両美術館を訪ねました。その
後レンタカーで、ロワール地方のシャンボールなど 10 近くの古城をめぐりました。ナビがあってもパ
リ市内で車を運転するのは大変です。
2012 年 10 月はフランクフルトからモーゼル川を遡りボッパルトでライン川の大蛇行を観てルクセン
ブルグからベルギーのアルデンヌ地方の古城を訪ね、世界一小さい町デユルビーからワーテルローの古
戦場を訪ね、ブリュッセルからブルージュへ、大聖堂で有名なアミアンと、7 泊 8 日でパリ経由で帰国
しました。
今年の春は、パリからセーヌ川沿いにモネ記念館のあるジベルニーを経て、ルーアン大聖堂近くで一
泊、アルセーヌルパンの 「奇巌城」 のモデルになったエトルタの海岸を観て、ブブアンノージュ、サン
セヌリルシェレなどの 「世界一美しい村」 を訪ねたあと、モンサンミッシェル、サンマロ、ベルヌーイ
スルエブルなどノルマンデイ―地方の田舎を 7 日間レンタカーで旅しました。数日前に 50 年振りの大
雪が降ったとのことで、まだ所々に雪が残って、観光客もまばらでしたが、お陰でゆったりと旅するこ
とができました。
この秋は、ブルターニュ地方のデイジョンやボーヌ、リオンでワインとフランス料理を堪能する予定
です。飛行機、レンタカーなどの交通の手配から宿の予約まで全て手作りの旅です。
今年の 11 月で 70 歳となります。余生を楽しんでいます。
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重症心身障害児施設 久山療育園重症児者医療療育センター(糟屋郡久山町)
センター長 宮 﨑 信 義(昭和 58 年入局)
新しい制度と障害児者医療の御紹介
私は昭和 58 年 4 月から 63 年 3 月まで第 2 内科・呼吸器科にお世話になりまし
た。それから早くも 30 年間経ちました。
「欅会会報」などで教室及び産業医大の
働きを伺う機会がありますが、いずれも発展されていることをうれしく思っています。
これまで「重症心身障害児施設」と称されていた療育病院ですが、適用される法律が医療法の他に福
祉では「療養介護事業」(18 歳以上)と「医療型障害児入所事業」(18 歳未満)に分離されることとな
りました。通所事業も同様に、「生活介護事業」
(18 歳以上)と「児童発達支援事業」
(18 歳未満)にな
りましたが、いずれも一体的に運営していきます。
「病院であり、家庭であり、学校である」という
運営方針を支えるのは、やはり医療がしっかりし
ていなければなりません。特に呼吸器・消化器・
循環器・神経系を主とした合併症及び障害に対す
る総合診療的な役割だと考えています。重症心身
障害児(者)の 80%以上は成人ですが、特に医療
度の重度化が顕著になり小児神経科医の他にも内
科医や他科の診療が求められています。以下に医
療的ケアの重症な対象児者に対する医療内容の概
観表を呈示して見ました。同門の先生方の関心が
寄せられますと幸いです。最後に教室の発展と皆
様のご健勝をお祈り致します。
[ 医療度・医療処置 ] 入園児者(2013 年 3 月現在)
医療重点病棟(42 床)
療育重点病棟(52 床)
計
17名
(内、経口摂取併用 4 名)
1名
18 名;
経口併用 6 名
胃瘻造設術
9名
2名
11名
喉頭気管分離術
又は喉頭全摘術
3名
3名
6名
気管切開のみ
3名
0名
3名
合 計(%)
医療ケア
合 計(%)
超重症児者
6 人(10.2%)
超(準超)重症児者
13人
(22.0%)
人工呼吸(NPPV) 3(2)
5 人(8.5%)
気管切開
8人
(13.6%)
喉頭気管分離・喉頭全摘術
4 人(6.8%)
経管栄養(経鼻)
24人
(40.6%)
胃瘻
11人(18.6%)
腸瘻(%)
2 人(3.4%)
経管栄養
[ 医療度・医療処置 ] 通園児者(2013 年 3 月現在)
医療ケア
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大島郡医師会病院(鹿児島県奄美市)
院長 櫻 井 修 吾(昭和 58 年入局)
大島郡医師会病院の近況を報告いたします。
昨年、一昨年は医師確保には大変難渋させられました。医師会員そして皆様の
努力および協力により、最悪の事態は免れ、ようやく充足した状況にはあります
が、今後もさらなる努力が必要な状況です。皆様には大変、ご心配をおかけした
と思っています。
現在、内科、整形外科の先生方には、大変がんばって戴いており、また、専門外来として、リウマチ、
膠原病外来、糖尿病、内分泌外来、耳鼻科をはじめとして、物れ(認知症)、神経内科、皮膚科などの
先生方にも定期的な診療をお願いし、継続しております。今年度は、設備の旧式化に伴い、エコー装置、
CT 装置、および内視鏡装置一式を一新する予定で、医療はより充実するものになると思っています。
勉強会などは大島郡医師会、県立大島病院での講演会、消化器カンファレンス、症例検討会など活発に
行われています。昨年は何十年ぶりかで、気分転換でヨーロッパ(ミュンヘン)観光に行って来ました。
いい所ではありましたが、住めないなというのが実感でした。
当地は離島であるがためにといっていいかは別にして風光明媚です。海も格別なようでスキューバダ
イビング、釣りなどを皆さん楽しんでおられるようです。一方、それなりに繁華街もあります。利便性
の問題はなく、インターネット、鹿児島、大阪、
東京への直行便などの利用で不自由は感じませ
ん。そして昨年 4 月から福岡~奄美間に直行便
が就航することになり、福岡が大変近くなりま
した。皆さん是非来られてください。歓迎いた
します。私は元気でやっております。尾辻教授
はじめ産業医大 2 内科の先生方のご活躍は耳に
しております。教室員そして同門の先生方の今
後ともますますのご発展を遠方より祈念いたし
ます。
琉球大学 大学院 医学研究科 薬理学(沖縄県西原町)
教授 筒 井 正 人(昭和 63 年入局)
皆さん、こんにちは。産業医大 5 回生の筒井です。琉球大学に赴任して 4 年に
なりました。琉球大学での近況をご報告させていただきます。
皆さん、文部科学省が昨年 6 月、大学改革実行プランを発表したのは御存知で
しょうか?これは 10 年前の遠山プランが名前を変えて実行に移されたもので、
国立大学の再編・統合を大胆に進め、民間的発想の経営手法と競争原理を導入するものです。これによ
り、研究業績が無い医学部は、研究に関する運営交付金が無くなることになりました。国が予算が無い
ために「選択と集中」をせざるを得ないことが背景にあります。この改革の一環として、昨年、国立大
学医学部の「ミッション(社会的使命と目標)の再定義」が行われました。
「ミッションの再定義」とは、
分かりやすく言えば、国立大学医学部を、医師を養成する大学と研究を担う大学に再定義するものです
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(昔の医専の復活です)。琉球大学医学部は幸い研究のミッションも担えることになりましたが、他の医
学部の中には研究のミッションが無くなってしまったところもあるそうです。
この大学改革は 3 年後に再評価されます。そのため、現在、琉球大学医学部では大学院を改組してミッ
ション達成のための最善の研究教育システムを構築しようとしています。私は、大学院を扱う学務委員
会の委員長として、改組に取り組んでいます。この状況に危機感を抱いた琉球大学医学部は、生き残り
をかけて、教授の中で最年少の松下正之教授(48 歳、生理学)を医学部長に選出しました。私は、松
下教授から依頼され、4 月から副医学部長を拝命しています。
研究面では、第 2 内科の古野先生、田村先生、尾辻先生との共同研究である「創薬に有用な急性心筋
梗塞モデルの開発」を行っています。夏までには論文化する予定で研究を進めています。昨年、ATVB
の論文査読が評価され、Exceptional Editorial Board Member として表彰されました。世界の 180 人の
ATVB Editorial Board Member の中で 2 人が表彰され、AHA 学会時の dinner party で Certificate と
AHA の帽子とウインドブレイカーをいただきました。一方、Circ J の Best Reviewers Award 2012 に
も選出されました。こちらは Circ J に顔写真入りで掲載されたので、御存知の方もいらっしゃると思
います。
今年 6 月 28 日~ 29 日、沖縄県医師会館で、第 13 回
日本 NO 学会学術集会を開催させていただくことにな
りました(写真)。第 2 内科からは亀崎先生や古野先生
が参加してくれます。会長として精一杯頑張りたいと
思います。
最後になりますが、一緒に研究をしてくれる大学院
生を募集しています。第 2 内科の大学院に進学し、産
業医大で研究をしていただいて構いません。私が定期
的にそちらに伺いますし、電話やメールで丁寧に指導
させていただきます。これまで、矢寺先生、柴田清子
先生、古野先生とそうやって研究をしてきました。尾
辻教授のご了解をいただいています。現在、遺伝子改
変マウスを用いて、一酸化窒素(NO)、硫化水素(H2S)
、
一酸化窒素(CO)を含めたガスバイオロジー研究を展
開 し て い ま す。 興 味 が あ る 先 生 は、 気 軽 に 098-8951133 か [email protected] までご連絡下さい。
どうぞ、宜しくお願い申し上げます。
発展は、今でも祈念しておりますし、微力ではあり
ますが、次世代の育成に何らかの貢献ができればと思っ
ております。
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医療法人 行橋クリニック
内科 松 本 美 香(平成 11 年入局)
第 2 内科の先生方、お元気でご活躍のことと推察いたします。この度、教室だ
より寄稿の機会をいただき、大変嬉しく思っております。
私は現在父が開業したクリニックで、透析医療に従事しております。当院は 4
月に開院 35 周年を迎えました。当初は患者数 11 名でしたが、今では 200 名を越
えております。最初の 11 名の患者の中で、お一人がご健在なのが喜ばしい限りです。月水金は朝 7 時
から夜 11 時まで、火木土は夕方 5 時まで血液透析を行い、腹膜透析も受け入れております。13 床の入
院設備があるので、肺炎や腹膜炎など重篤でない感染症治療、肺水腫、高 K 血症などの緊急事態にも、
かかりつけ患者であれば 24 時間体制で対応しています。休日昼夜を問わず呼び出しがあるため、自宅
はクリニックと同じ敷地にあります。病院に勤務していた頃は、携帯電話の着信にビクビクしていまし
たが、今はクリニックからの内線電話にビクビクしています。
同門の先生方もご存知の通り、透析患者は合併症が多く、特に循環器疾患が多く見られます。そのた
め病診連携が不可欠です。特に新行橋病院ハートセンター長村里先生や北九州総合病院副院長高水間先
生には、よく助けていただいております。透析患者を受け入れる病院は限られており、心強く思ってお
ります。また、田村先生をはじめ腎グループの先生方には、いまだに治療の相談に乗っていただいたり、
学会発表させていただいたりと、大変お世話になっております。困った時や迷った時にいつも力になっ
て下さるので、本当にありがたく思っております。さすがに最近は大学へ足を運ぶ機会が減ってしまっ
たのが残念です。
他大学出身ですが、地元である産業医科大学第 2 内科に入局して、本当によかったと実感しています。
腎臓疾患だけでなく、循環器疾患も学べたことが、日常の診療で非常に役に立っています。大学を離れ
たものの、今でも同門の先生方に支えられていることを、深謝しております。人口 19 万人の医療圏で
ある京築地区は、腎臓専門医が少ない(穴井先生と私だけ)のが現状です。腎臓病の予防や進行抑制が
専門医の本来の業務ですが、現実は CKD ステージ 5 の診療に追われる毎日です。第 2 内科から多くの
専門医が育つことを切に願っております。
最後になりましたが、教室のますますのご発展を祈念しております。今後ともどうぞよろしくお願い
申し上げます。
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大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学
ハートセンター 特任助教 南 口 仁(平成 22 年入局)
産業医科大学第 2 内科学の皆様、お元気ですか。ご無沙汰しております。早い
もので北九州を離れ大阪に戻って 1 年半以上が経過しようとしております。今年
の春は、北九州では何ともなかった花粉症(ヒノキ ?)に悩まされておりましたが、
なんとか回復してきております。
大阪大学では、小室一成教授が東京大学の教授となられ 2013 年 1 月より正式に東京大学へと異動さ
れ教授不在の時期が続いております。トップがいなくなって少し全体的にざわついた雰囲気はあります
が、臨床の不整脈部門は今までと変わりない日々を過ごしております。2012 年度の不整脈関連診療実
績はカテーテルアブレーション 60 例、電気生理検査 18 例、ペースメーカ植込み 57 例、ICD 植込み 11
例、CRTD 植込み 24 例、ILR 植込みは 1 例でありました。ようやく念願の CARTO3 を購入しました。
大阪大学の基幹病院である桜橋渡辺病院から私の同期の増田先生が帰局し、積極的に心房細動アブレー
ションにも取り組んでいます。今年度のアブレーション件数は 100 例をこえる勢いであります。また香
港が中心となっておこなっている脊髄ペーシングの臨床治験にも参加しました。今後新たな自律神経へ
の介入を目的とした心不全治療のブレークスルーとなるかもしれません。引き続き奥山先生中心に難治
性高血圧に対する腎動脈アブレーションもおこなっております。臨床研究に関しては、大阪に戻っては
じめておこなった仕事であります、CRT の AV dyssynchrony に注目した研究が”American journal of
cardiology”に accept されました。学会では日本循環器学会近畿地方会の YIA や日本循環器学会総会
のシンポジウムで発表する貴重な機会もありました。
2012 年 6 月にハートセンター(病院)の助教となりました。以後学生教育(クリニカルクラークシッ
プ)に携わる機会が非常にふえています。尾辻先生が常々いわれているかと思いますが、教員として教
育にも力をいれるようにしております。医学生に対してはどんな分野であれ世界をめざす高い志をもっ
てもらえるよう指導しています。また、最近は以前と違って大阪でも若い先生(レジデント ・ 研修医)
が不整脈に興味をもつようになり、非常にうれしい限りであります。技術面だけでなく学術面において
も皆で切磋琢磨してレベルをあげていきたく思っています。今後ともご指導・ご鞭撻の程よろしくお願
いいたします。
大阪大学医学部附属病院循環器内科病棟にて 不整脈グループ
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