① フリーカメラマン浅見裕子さんに辺野古の今をきく ②

2006 年度 ジェンダー関連プログラム活動報告
目次
①
②
③
④
フリーカメラマン浅見裕子さんに辺野古の今をきく
「つながりをとりもどす」野本律子さん講演会
名古屋YWCA女性委員会企画
4 月例会 参考映画:「ハッシュ!」
フリーカメラマン浅見裕子さんに辺野古の今をきく
日時:2006 年 6 月 18 日(日)14:00~
場所:名古屋 YWCA4 階 401
6 月 18 日(日)、名古屋在住のフリーカメラマン浅見裕子さんによる講演会が開催された。前半では琉球朝日
放送制作「海にすわる辺野古六〇〇日の闘い」が上映された。その後、浅見裕子さんに辺野古で写真を撮り続けた
理由や活動する意義などをお話して頂いた。
浅見さんは写真を撮り続けた原動力は「辺野古で闘っている人が私たちの良心を突き動かし、若い人もお年寄
りも人の心をつかんで離さない」ところにあると言う。そして、辺野古の人々が反対運動を続ける理由として「ベ
トナム戦の時も、イラクの時も、アフガンの時も、沖縄から米軍機が飛んで行ったという強い加害者意識」、「沖縄
戦では三人に一人が亡くなっていて、生き残った人が戦争を準備してはいけないと伝えたいという願い」、「辺野古
の豊かな自然を守りたい」
、
「安心して安全な暮らしがしたいという人間として当然の権利」と説明された。
遠く感じられる沖縄の辺野古だが、辺野古の運動とは実は米軍再編に対する反対運動である。米軍再編はアメ
リカの世界戦略の一環であり、それにより日本の自衛隊も一緒に戦う準備がとられるようになるという点で、日本
全体の問題であるということが強調された。
今では精力的に活動されている浅見さんも「始めは何をしたらいいのか分からなかった」と言う。しかし、実
際に沖縄の反対運動に参加することによって抵抗することの勇気をもらい、非暴力の重要さを知ったと伝えられた。
「負け組」
「勝ち組」という言葉が面白おかしく使われ「人間の尊厳」の重要性が薄れている現在だが、沖縄の
おばあ、おじいたちは「大丈夫さぁ。あきらめないことさぁ。勝つまでがんばればいい」と、ひとりの人間が持っ
ている力を思い出させてくれる。
「ひとりの人間ができること」
、普通の主婦であった浅見さんにできることは、みんなに伝えることだった。
「話
を聞いて終わりにしないで欲しい。生活の場で、継続してできることで行動して欲しい」
「つながりをとりもどす」野本律子さん講演会
日時:2006 年 10 月 15 日(日)13:30~16:00
場所:名古屋 YWCA ビッグスペース
10 月 15 日(日)
、女性ネット SayaSaya 共同代表の野本律子さんによる講演会が開催されました。41 名の方
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が参加されました。前半では野本さんご自身の体験や、今までの活動の内容、今後どのような支援が必要とされて
いるのかお話していただきました。後半では、参加者から寄せられたご質問に対しヒントやアドバイスなどをいた
だきました。DV 当事者にとっても、DV 支援に関わるものにとってもエンパワーされる講演会でした。
参加していただいた方からは下記感想をいただきました。(一部抜粋)
自分のコミュニケーション方法について、自分についてもっと知る必要があると感じます。
新しい人間関係をつくるにもあせらずにじっくり丁寧に恐れず進めていこうとおもいました。
ご自身の経験から当事者の方々にいつどんな支援が必要となるのかについて、きめ細やかな配慮をされてこられた
ことが感じられました。
とても元気のでる支援の具体例をお聞きし、DV ボランティアとして助かる気持ちになりました。
DV から脱し、回復、自立への過程において多くの援助が必要であることを改めて感じました。
被害を乗り越えて力強く活躍をしている方のお話を聞けたのは本当に良かったと思います。自分の今後を考えるの
にとても参考になりました。
もっと社会に DV の問題を知ってもらい、DV は犯罪という意識をもってもらいたい。
子どものサポートの必要性を感じた。親子関係の難しさを感じました。
野本さんのストーリーをお聞きして、大変な時期を通りながら、ここまで歩まれていることにしみじみ感動し、尊
敬の念を抱かずにはいられない。私も仲間に助けられながら私のストーリーを築いていこうと思えた。
予防への自助グループまでトータルでサポート出来ている団体は少ないと思います。
今回のような情報が支援するものに共有できればうれしいと思います。
公的機関でのサポート、予算的保証等実現するといいと思います。
また DV の活動にどのようなことを期待されるかもアンケート用紙に書いていただきました。
聞いてもらうこと。理解してもらうこと。
実感をもって知らせること。現実を知る人を多く支援システムに参加すること
名古屋にもステップハウスを作りたいと思います
就労、経済的自立に向けた支援
子どもとの関係性や心のケアについての支援
様々な回復プログラム、回復の場(エンパワーされる場)
DV 被害者の状況に合った支援ができるよう、DV についてよく理解しているスタッフの養成が必要
安心して語れる場所の必要性
子どもを大学に行かせるための「あしながぼきん」のようなものを作りたい
DV 法がもっとよいものとなるように
被害者支援のための加害者プログラム強化
女性・人間として自信を持つことができるような活動
シェルターの数が増えたり、支援する人がもっともっと身近に増えてくえること
自分で気づいていない被害者がたくさんいると思います。一般の人も精神的な DV があることを知る機会をもてる
キャンペーン、活動を広く行ってもらえるとうれしいです
最後にこの度名古屋 YWCA 女性委員会のメンバーにより設立された「まちかどサロン」には下記のような期待が寄
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せられました。
シェルター。被害者と共に活動してくれる人が必要。
地方での対応
カウンセラーを育てるしくみ
DV の支援システムを地域で確立すること
被害者同士が出会って癒される、集う場を小さくても開き続けてほしい
自分の不安を聞いてもらえること
子どもサポートを是非お願いしたいと思います。
友だちがほしい
広い範囲での認知
地域に「居場所がある」と参加者の方が思えること
女性の権利40か条が広がるといいと思います。
まずは安全や安心を提供できたり、素直な自分の気持ちを表現できる場であったりすると素敵だと思います。
まだまだ始まったばかりのまちかどサロンですが、ひとりでも多くの DV 被害女性がまちかどサロンで、ひとと出
会い、お話することによって、ひととつながること、ひとを信じる気持ちを取り戻すことができるよう、静かに、
でも強く、活動していきたいと思っています。
まちかどサロンに、ご関心をお寄せいただいた方は、お気軽に名古屋 YWCA までお問い合わせください。
名古屋YWCA女性委員会企画
沖縄「基地問題と豊かな文化を感じる旅」報告
2006 年 8 月 21 日(月)から 24 日(木)
名古屋YWCA 女性委員会委員長(市川まゆみ)の報告
神戸YWCA 松本光代さんの報告
名古屋 YWCA 女性委員会委員長 市川まゆみ
「公的暴力と私的暴力が現実の問題として沖縄では日常的に起こっている」2006 年1月に日本 YWCA で行われ
たプログラム「ネットワークをひろげよう!脱暴力と女性の人権」での高里鈴代さん(沖縄YWCA会員、基地・軍
隊を許さない行動する女たちの会)のお話に大きな衝撃を感じ、名古屋 YWCA 女性委員会では 8 月 21 日~24 日に
沖縄研修を実施しました。
名古屋YWCA女性委員会では女性に対する暴力について取り組んでいます。私たちは、暴力は構造的な支配-
被支配の関係であり、ドメスティクバイオレンス、セクシャルハラスメント、性暴力のような個人的な暴力と、戦
時下や紛争下などの女性への公的な暴力は共通するものと考えています。これまで、暴力被害者の支援や、一般へ
の啓発活動として女性への暴力についての講演会やワークショップなどを実践してきました。今回の沖縄研修では、
文献や資料から学ぶのではなく、実際に沖縄の地に触れて戦争や基地から女性がどのように被害を被ってきたかを
心で感じるのが大きな目的でした。
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1日目に訪れた「佐喜眞美術館」では、丸木位理・俊夫妻の「沖縄戦の図」の説明を受けながら、住民の住まい
の場が戦場になる悲惨さに心を痛めました。
2 日目の「辺野古の基地移設反対テント」では平良修牧師の説明のなか、真っ青な美しい海と基地との境界の鉄
条門の対比に違和感を覚え、反対運動をされている方の熱意に感銘しました。
3 日目には普天間基地を一望する「嘉数の高台」で映像や新聞から見るものとは違う戦争や基地から被る被害の
現実を感じました。基地は女性だけではなく、沖縄の住民に大きな影を落とし、暮らしを脅かしていることを実感
できました。また、改めて沖縄の地で高里さんより軍人からの女性への暴力などのお話をお聞きし、人ごとではな
く私たちの問題としてこれから取り組む必要があると決意しました。
沖縄の豊かな文化や自然を感じることも今回の研修の目的でありました。沖縄 YWCA 大城美代子さんには紅型染
めを教えていただき、また沖縄YWCAとの交流会では地元の料理を堪能することができました。最終日には首里
城や南部のひめゆりの塔などを見学し、牧志市場では沖縄の珍しい食品の買い物を楽しむことができました。
悲惨な過去をもつ沖縄。いろいろな大きな問題が生活の中にある沖縄。美しい海の沖縄。豊かな文化な沖縄。お
いしい沖縄料理。名古屋から 14 名、関東から 5 名、関西から 3 名、年代も 20 代から 80 代と幅広く、感じたこと
は 22 人 22 色だと思います。一人ひとりが感じたことを心に刻み、ネットワークを広げることができた研修であっ
たと思います。
神戸YWCA 松本光代さん
8 月 21 日(月)快晴。那覇空港に東京、横浜、京都、名古屋から集まった方々と初対面。神戸からの参加が一人と
いうことで、緊張していた私に皆さん優しくお声をかけてくださり、「さすが YWCA!」とほっとしながらバスに
乗り込みました。でも不安は残ります。神戸 YWCA の平和基盤委員会に所属して二年目になり、多くの会員から平
和についての学びの場を与えてもらっているものの、勉強不足を感じている日々です。そんな私がまず驚いたのは
バス運転手の伊良波良英さんの「はい、左手に見えるのが基地ですね」の声。それが一度ではありません。日本に
ある米軍基地の 75%を抱え、沖縄の土地の 10.5%を占める、という現実を感じました。
軽いカルチャーショックの中、佐喜眞(さきま)美術館へ。沖縄は喜びの地であり、お祝いの言葉が多くあります。
いただいたお弁当の名前も「かりゆし弁当」
。美味しくいただきました。そして、丸木位里・俊夫妻の共同制作「沖
縄戦の図」について美術館員の方に説明を受けました。
「空襲が戦争ではない。住まいの場が戦場になり、人を殺し
ている人の瞳を見ながら自身も殺される苦しみ。また生き残り、そこで暮らし続けなければならない苦しみ。その
尋常でない空間が三カ月、四カ月も続く。人は人でいられなくなってしまう・・・。」戦争をとめることができなかっ
た、尊いいのちがすり抜けていってしまった悲しみ、苦しさが伝わってきました。沖縄の絵を描くのだからと、丸
木氏は実際に経験した方からお話を伺って製作に臨んだということですが、一筆一筆を自身のからだとこころに問
いながら、刻み込みながら製作された様子をひしひしと感じました。
そして普天間基地が一望できる屋上を案内してくださった美術館員の方が言われたことが、今も私の脳裏から離
れません。
「昨年イラクの写真家の方が訪れ、屋上を案内しようとした際、彼は『基地を見ることはできない。あな
たたちにとっては騒音のもとかもしれないが、私にとっては私の愛する人が、今飛び立つその機によって傷つけら
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れるかもしれない恐怖のもの。あなたたちに今できることは一機でも飛ばさせないことです』と言った。米軍はい
ろいろな面で生活を脅かすけれど、日本を守るためにあるものだと思っていた。だけど、私たちは人を殺すものを
送っている、と加害性について気付かされた」と強い眼差しで話してくださいました。そこから私の基地への視点
が変わったように感じます。
宿泊したコザの街には、花街が点在していました。これは後日沖縄 YWCA 高里鈴代さんによると、米軍の起こす
事件を抑えるためベトナム戦争以降に作られたそうです。翌日朝の散歩を楽しんでいたとき、アーミー服に身を包
んだ米兵がゴミだしをし、基地に向かっていく場に出くわした時、言いようのない不安がありました。沖縄の女性
は、この街で暮らしている・・・高里さんが訴える、基地のそばに住む女性擁護の必要性を実感させられました。
辺野古では、美しい、だけでは表現できない豊かな海の前の「命を守る会」テントで、平良修牧師、富田晋さん、
金城祐治さんより辺野古だけではなく、基地問題を訴え続ける意思を教えてもらいました。基地の街で生計を立て、
生きている生の声です。そしてテントを訪れた金城さんの姪御さんの「基地は生まれた時からあった。基地縮小と
生活を維持するため、と今まで取り組んできたことが効をなしていないなら、今、私たちが何か行動しなければい
けないと感じた」が、私のこころに残っています。チビチリガマの入り口に立ったとき、言いようのない悲しみが
私を襲いました。ここでいのちを落としあわなければいけなかった人々を、私たちは忘れてはいけない。
もちろん沖縄を大好きになる旅でもありました。世界遺産中城(なかぐすく)城では石垣の美しさ、木々と海原の雄
大さに圧倒されました。
城内のグミの木の実の恩恵にも預かり、思わずうふふ、と微笑んでしまうことも。沖縄 YWCA
大城美代子さんの指導の紅型体験は楽しい中にも、学びがありました。そして感動と感謝の出来事。名古屋 YWCA
会員の指導のもと、生まれて初めて沖縄のきれいな海で「浮く」ことができました。
力を抜いて、ゆったりと、でも諦めることなく、今回の旅で得た多くのことを活かしていきたいと思います。
8 月 21 日(月)佐喜眞美術館の屋上にて。
8 月 21 日(月)世界遺産の中城城にて。
8 月 21 日(月)
沖縄の典型的な裕福な農家「中村家」前にて。
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8 月 22 日(火)
沖縄 辺野古にて。
「命を守る会」
平良修牧師から説明を受けました。
8 月 23 日(水)
米軍施設楚辺通信所 通称「象のオリ
嘉数の高台にて。沖縄YWCAの高里鈴代さんより基地と女性の問題に
かかわるお話を伺いました。
8 月 23 日(水)沖縄の「紅型」も体験しました。
日本全国からの参加者の交流会
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2006 年 4 月例会 参考映画:「ハッシュ!」
日時:2006 年 4 月 22 日(土)16:00~
場所:名古屋 YWCA2 階 201
4 月例会にて参考にした「ハッシュ!」では、
「孤独な女性朝子から子どもを作ろうと持ちかけられた
ゲイカップル勝裕と直也の揺れ動く関係」と、
「家父長制を内面化した勝裕の兄と義姉、
勝裕に思いを寄せる同僚女性等との葛藤」
、
最後に「勝裕、直也、朝子の3人で子どもを持つことに決めたこと」
などを描いています。
お茶を飲みながら感想を語り合いました。
普通のカップルは閉じた関係だがこの3人の関係は開いている
彼らには力関係を感じない
生き方の対比(自由に生きる朝子、家父長制にしがみつく義姉、既存の愛の形に執着する同僚)
自由な朝子を嫉妬し攻撃した義姉も夫が死ぬとすぐに家を売り自由に暮らし始めた
家父長制を内面化していたように見えたのは逃げられぬ状況への適応にすぎない
「家は更地になったらこんなに狭い」と言う勝裕の台詞は家制度そのものへの言葉
自分から目をそらさない直也と自分に向き合えない勝裕、ゲイが長続きしにくいのは人目を忍ぶから
テレビで面白く描かれたゲイしか知らなかったが初めて実際の姿を知った
息子がゲイなら受け入れられるか
子どもが欲しい動機が不明
この映画のテーマは家族の多様なモデルだ
そして、こんな家族の形もありだよねと最後にうなずき合ったのでした。
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