一般社団法人 日本電機工業会 2016年度事業計画 Ⅰ はじめに 1.事業計画概括 2016 年度は、引続き良好な企業業績や雇用環境が継続し、景気全体としても緩 やかな回復基調を辿ると期待しておりますが、中国をはじめとする海外経済の減速 が長期化するようであれば、日本経済の回復ペースが遅れることが懸念されます。 一方で、年度後半以降は、2017 年 4 月の消費税率引き上げを見越した需要増によ る景気押し上げ効果が見込まれます。電機産業を取り巻く環境について、重電分野 は、国内の電力・民間設備投資が下支えとなることで底堅さが期待され、また、白 物家電分野は、消費者の省エネルギーに対する意識の底堅さに伴う買替え需要とと もに、年度後半の消費税率引き上げを見越した需要増が見込まれます。 このような中、2016 年度の重電・白物家電機器を合わせた電気機器の国内生産 は、5 兆 6,303 億円、前年度比 102.8%となる見通しです。 JEMA は、電機産業の持続的発展に向け、エネルギー・革新戦略具体化や原子力 の重要性に関する意見発信、成長戦略では国内市場活性化とグローバル市場の需要 取り込みのための戦略的施策に関する意見発信、更に新たなモノづくり、サービス 産業の創出としてスマートマニュファクチャリング推進等を展開して参ります。 1.1 エネルギー・革新戦略 将来的電源構成の検討やエネルギーベストミックスにおける原子力再稼働の重 要性、核燃料サイクルの重要性、電力システム改革での制度設計に関する提言 1.2 事業分野別 (1)重電事業 ①インフラシステム輸出促進:COP21 パリ協定の影響による海外企業の事業 変化動向調査、イランの電力市場・参入機会調査、メキシコ電力市場調査 フォロー・更なる深掘り継続 ②重電産業の将来展望研究:電力システム改革に伴う電機業界市場・市場創出 に関する情報収集や講演会開催 ③産業システム・機器効率化:2015 年 4 月適用開始を受けたトップランナー モーター普及促進・啓発継続/始動電流対応を盛込んだ電気協会「内線規程」 11 月発行、トップランナー変圧器の普及啓発・普及実績把握/ユーザー業界 団体との意見交換継続 ④電気協同研究:2015 年度から 2 件検討継続、1 件新規対応(水力発電所主 要機器の技術提出書記載・審査要領) ⑤PCB 処理:合理的処理推進策に向けた環境省、METI、経団連への協力と 情報発信 ⑥電機業界スマートマニュファクチュアリング:課題分析と具体策の検討、国 内外関連団体との連携 (2)原子力事業 ①原子力事業の重要性(既設発電所寿命延長、新増設等)やエネルギーミック スに関する意見提言と核燃料サイクルの理解促進/新規制基準に則した JEM 改訂発行 ②原子力情報の会員企業等への継続的発信:エネルギーミックスや原子力安全 向上、エネルギー政策、核燃料サイクル廃棄物最終処分等に関する講演会 への協賛継続 ③放射線利用医療機器輸出の継続的な要望:国・関係機関フォローアップ継続 (3)家電事業 ①省エネトップランナー制度:冷蔵庫(新 JIS が使用実態に適応確認モニタ リング測定、カタログ表示切替啓発対応) ②家電リサイクル/使用済み小型電子機器リサイクル:意見具申継続と円滑な 制度運営への対応 ③国際標準化:エアコン微燃性冷媒規格化推進、電子レンジの安全規格(電波 漏洩試験測定器変更提案等) 、冷蔵庫内容積測定方法への取組み継続、省エ ネ等国際標準化・普及基盤構築支援事業推進(各国試験能力の向上支援/マ レーシア国内規格発行) (4)新エネルギー事業 ①再生可能エネルギー導入目標、固定価格買取制度運用、規制緩和等に関する提言 ②太陽光発電:1,000V 対応等の大型化・信頼性の向上対応、モジュール火災 試験 JIS 化、PV-OMC 活動対応 ③風力発電:日本の設置環境を考慮した国際規格提案・JIS 整合(小型風車設 計要件 JIS 化) 、導入拡大等に向けた提言、IECRE 等の国内外認証制度構築 ④燃料電池:規制緩和活動のフォローと新規提案項目の検討、燃料電池の新た な活用形態課題検討 ⑤分散型電源:複数入力、高圧三相等、系統連係技術拡大に応じた技術基準策定 (JEM 規格「PV システム用大容量 PCS の等価ミニモデル設計指針」発行) (5)地球環境保全 ①地球温暖化防止:低炭素社会実行計画(フェーズⅠ2020 年目標)2015 年度 実績取りまとめと評価ならびに 2020 年以降の国際枠組みへの対応、政府の 新たな温暖化対策目標・計画への提言 ②化学物質対策の推進:RoHS2 指令適用除外項目延長申請と禁止物質追加対 応、事業所関連 VOC 排出抑制自主的取組み推進(2015 年度調査の実施) 、 水銀条約批准に向けた国内整備対応 ③循環型社会構築:LCA 簡易評価手法の確立、ErP 規制水準・適用除外整合 対応、産業廃棄物削減「自主行動計画」2015 年度実績フォローアップ調査 (6)国際標準化の推進 共通技術基盤強化 ①国際標準化推進:高効率モーター、PDS、FL-net、新しい電磁両立性 EMC 規格、太陽光・風力・燃料電池、スマート家電(HEMS)等、エアコン(微 燃性冷媒規格化) ②電気用品安全法の体系見直しへの協力 ③高電圧試験分野の適合性評価・認証活動:国家標準とトレーサビリティの取 れた仕組み詳細策定 ④理科教育支援:教員養成課程の大学支援等更なる普及拡大 (7)主要共通課題への取組み ①大学生向け電機業界説明会の開催による人材確保支援を促進 ②経済連携:WTO 環境物品自由化交渉推進への協力、EPA/FTA・通商投資 ルール適正化への提言 ③税制改正:2017 年度税制改正への要望提出 2.電機業界の動向(2016 年度の見通し) 2016 年度の重電・白物家電機器を合わせた電気機器国内生産は、5 兆 6,303 億 円、前年度見込比 102.8%となる見通しです。重電機器分野の国内生産は、3 兆 7,626 億円、前年度見込比 101.6%となる見通しです。白物家電機器分野の国内生産は、 1 兆 8,677 億円、前年度見込比 105.4%と 2 年連続で増加の見通しです。 【電気機器の国内生産*1】 (生産額:億円、対前年度比%[2016年度は対前年度見込比]) 2014年度 2015年度 2016年度 国内生産実績 国内生産実績 国内生産見通し (2016年3月発表) 重 電 機 器 38,993 (105.4%) 白物家電機器 (国内出荷額*2) 16,818 (94.0%) (21,255) (87.8%) 電気機器合計*3 55,811 (101.7%) 34,957 (89.6%) 37,626 (101.6%) 18,302 (108.8%) (22,475) (105.7%) 18,677 (105.4%) (22,939) (105.0%) 53,259 (95.4%) 56,303 (102.8%) *1 国内生産の実績・見通し値は、METI 生産動態統計をベースに JEMA が策定し ました。 *2 白物家電機器の国内出荷の実績・見通し値は、JEMA 統計、(一社)日本冷凍 空調工業会統計をベースに、JEMA が策定しました。 *3 端数四捨五入のため、積上げ値と合計値が一致しない場合があります。 Ⅱ 事業分野別 事業計画 1.重電事業 世界規模での低炭素社会構築への動きや、重電ビジネスのグローバル化に加え、 国内ではエネルギー政策の見直し等、 重電産業の事業環境は大きく変革しています。 こうした中、JEMA は、中長期的な視点から、わが国の重電産業の持続的発展と、 世界の中での地位向上に貢献できるよう取り組んでいきます。 2016 年度は、わが国重電産業のあるべき姿についての議論をさらに押し進め、重 電産業の歩むべき方向性についての具体的な検討を深めてまいります。 具体的には、 重電産業の持続的発展と低炭素社会構築へ貢献するため、インフラシステム輸出促 進や産業用システム機器の高効率化の取組みとして、トップランナー機器の普及促 進等へのテーマにも取り組んでいきます。 1.1 重電産業の持続的発展と低炭素社会構築への貢献 (1)インフラビジネスに関する取組み 電機業界が更なる成長を遂げる上で、インフラシステムの輸出促進は喫緊の課 題となっています。 インフラ輸出促進に向けた会員企業支援活動として、海外諸国における発電、 送配電等の社会インフラ最新整備状況調査や、 発電・送配電事業者、 監督官庁、 業界団体との交流によるニーズ調査を通じ、日本メーカーが優位に立つ技術・ 製品の PR を実施します。 日本政府の政策と一体となったインフラ輸出促進を図るため、経済産業省 (METI)と連携するとともに、在外公館のインフラプロジェクト専門官に対 し、日本の発電・送配電技術を理解いただくための情報提供活動を、引続き行 います。 (2)重電産業の将来展望に関する研究 電力システムに関し、今後のわが国の持続的な成長にはこれまで以上に必要不 可欠であると同時に、大きな変革が求められています。 そのため、国内外の政策動向や電力ビジネスの変化を見極めながら、電機業界 が更なる成長を遂げる上で、業界として何が課題であり、またどのような対応 が必要となるか、引続き検討を進めます。 1.2 産業用システム機器の高効率化の取組み (1)トップランナーモーターに関する取組み 既に 2015 年 4 月より産業用モーターの出荷について「トップランナー基準」 の適用が開始されています。2015 年度に引続き、省エネルギー推進のための 普及啓発活動とトップランナーモーターへの置き換えを促進するために関連 団体(産業機械、工作機械等)との意見交換を含めて、幅広い活動を行います。 (2)トップランナー変圧器に関する取組み 既に 2014 年 4 月より変圧器の出荷について第 2 次トップランナー基準の適用 が開始されています。2015 年度に引続き、トップランナー変圧器 2014 の普 及啓発活動と関連団体との意見交換を行います。 (3)定置用蓄電システムに関する取組み (一社)電池工業会(BAJ)と協力して、定置用リチウムイオン(LIB)蓄電 システムの適正処理対応、普及・啓発活動等を推進します。METI および資エ ネ庁からの課題に対して、データ提供を実施します。 1.3 重電産業の共通課題に関する取組み (1)統計データの把握と活用 重電産業に係る内外の統計データの把握に努め、分析を加えた統計情報を会員 企業に提供するとともに、一般向けには、これらの重電業界の現況を正確に伝 えることを目的に統計情報を発信します。また、日本のエネルギー需給構造の 変化を的確に捉えた重電機器の統計データ把握の検討を行います。 (2)インフラシステム分野に関する取組み 一貫した方針として、電気設備管理の責任を担う電気主任技術者へ向けたアプ ローチを主軸とし活動を行います。パンフレット、講演活動を通じて、安心・ 安全な保全について周知を行うと供に、老朽設備の更新需要の掘り起こしをね らいます。 (3)PCB 処理検討への対応 2010 年度より微量 PCB の処理が開始されていますが、濃度に見合った合理 的な処理方法を実現することにより、処理容量を増加し、処理コストをさらに 低減することが必要です。 このため JEMA では、機器メーカーとして、ユーザー等へ情報を提供すると とも、日本経済団体連合会(経団連)PCB 対策 WG*4および環境省 PCB 廃 棄物適正処理推進に関する検討委員会*5への参画ならびに METI・環境省と連 携した検討等の活動を通じて、合理的な処理推進策、課題解決策の検討に積極 的な協力を引続き行っていきます。 *4 PCB 対策 WG:経団連 環境安全委員会 廃棄物・リサイクル部会の下部組織と して 2006 年 7 月に設置。 *5 PCB 廃棄物適正処理推進に関する検討委員会:環境省 廃棄物・リサイクル対 策部長の委嘱で 2011 年 10 月に設置。 1.4 重電・産業技術への取組み強化 (1)電力系統設備に係る技術検討 電力技術委員会を通じて、以下の電力系統設備に係る技術課題について検討を 行います。 ①監視制御用計算機システムの保守指針に対する検討 電力系統設備用監視制御用計算機システムについては、近年汎用技術を用い た機器の導入が加速してきており、保守のあり方についてもそのような状況 を踏まえたものとする必要があります。そこで、電力系統設備用監視制御用 計算機システムの保守指針に対する検討を実施し、JEM-TR改正へ反映する とともに、具体的な保守指針について、電気協同研究会へ提案を実施します。 ②電気協同研究会の活動への参画 高度成長期に導入された高経年機器や配電設備等の設備について、経年劣化、 保全、新たな技術等に対する調査研究、およびその成果の提供を行うことを 目的とし、電気協同研究会に参加して、電気事業連合会(電事連)と協調し ながら活動を行います。 (a)変電機器の耐震設計の最適化(2014年12月~2017年9月) (b)電力系統監視制御システムの開発における課題と対策検討(2015年5月~ 2017年9月) (c)水力発電所主要機器の技術提出図書審査要領(2016年4月~2019年3月) (2)産業設備の信頼性・製品安全の確保 産業設備の信頼性と製品安全の確保のため、下記のテーマについて活動を行 います。 ①制御システムセキュリティへの対応 2014年度に改正された経済産業省告示「ソフトウエア等脆弱性関連情報取 扱基準」および(独)情報処理推進機構「早期警戒パートナーシップガイド ライン」の発行を受け、制御システムの脆弱性情報の取扱い手順を分かり易 く解説したJEMA会員企業向け「業界ガイドライン」を発行しました。また、 システムコントロールフェア(SCF)2015において、JEMAを幹事とした 制御システムに関連する9団体で作る「制御システムセキュリティ関連団体 合同委員会」主催のシンポジウムを開催し、ユーザーへの普及啓発活動を行 いました。また、電力分野におけるセキュリティ対策については、日本電気 技術規格委員会(JESC)で検討中の「電力分野におけるセキュリティ対策 ガイドライン」の策定にベンダー側の立場から参画する一方、そこで得られ た知見を、2011年に発行した監視制御用計算機システムにおけるセキュリ ティ対策のガイドラインであるJEM-TR 249の改定に反映していきます。 ②モーターの高効率化によるモーター保護機器への対応 2015年度からトップランナーモーター規制が施行され、モーターの高効率 化による始動電流・突入電流増大のためにモーター保護機器(電磁接触器、 配線用遮断器、サーマルリレー等)の不要動作が懸念されています。これら の機器の不要動作を回避するため、ユーザー向けの注意喚起文書や機器選定 表を2016年度も継続して発信していきます。 また、日本のトップランナーモーターの始動電流を考慮した、電磁接触器の 開閉試験・寿命試験の条件について、国際規格(IEC 60947-4-1)への日本 意見反映を図ります。 (3)スマートマニュファクチャリング関連技術*6(Industrie 4.0*7、IoT*8)への対応 IT技術の緩みない進化を電機業界のビジネスに取り込み、グローバルな競争力 を強化して行くため、2015年にスマートマニュファクチャリング特別委員会 を発足させ、電機業界に対する提言書を作成します(2016年3月)。また、2015 年11月にはJEMA機関誌「電機」のスマートマニュファクチャリング特集号を 発行しました。2015年12月には、SCF2015で本委員会主催のセミナーで中間 報告を実施しました。提言書で提示された2030年の製造業の将来像を検討し、 その課題の分析からJEMAとして取り組むテーマを定め、今年度から具体的な 活動につなげます。製造業のサービス化へ対応するための業界に共通な課題を 分析し、それらの課題を解決するための戦略を検討して行きます。さらに、ド イツやアメリカの関係団体とJEMAの交流を深め、最新の情報を収集して提供 して行きます。 *6 スマートマニュファクチャリング:工場内の設備等にインターネット通信の技 術を取り入れて工場の生産性の向上や新しいビジネスの創造を目指す技術の総 称。 *7 Industrie 4.0:ドイツの国策による産業力強化のための戦略を表す言葉。イン ターネットを利用することにより第 4 次産業革命を目指すもの。 *8 IoT:Internet of Things(人が利用する従来のインターネットから、モノが接 続するインターネットへ進化し、モノの情報がビジネスに活用される仕組み。) (4)SF6 ガス排出量調査 地球温暖化ガスの一つとして大気中への排出が厳しく管理されているSF6ガ スについて、産業界が設定した自主行動計画に沿った排出抑制状況を確認する ために、JEMAでは電気絶縁機器分野における排出量調査を継続して実施しま す。 (5)可搬形発電機の燃費算定方法の確立と効率クラス策定への意見提案 国土交通省が推進する、低燃費型建設機械指定制度に対して、JEMA取扱製品 で対象となる可搬形発電機の燃費測定方法策定に向けた具体的検討を実施し、 国土交通省の取組みに協力するとともに、可搬形発電機の燃費基準値や効率ク ラスの策定に向けた、意見・提案を行います。 (6)省庁、他団体規程の改正作業への参画 需要場所における電気工作物の設計、施工、維持、管理の基準として(一社) 日本電気協会「内線規程(JEAC 8001-2011)」の改正作業について、2016 年度も引続き、JEMA 取扱製品への影響を調査するとともに、同協会主催の 検討委員会の委員として参画することで、内線規程の改正作業に協力します。 1.5 電機産業におけるスマートグリッドに関する取組み 電力系統において情報通信技術を活用し、安定的かつ高効率・経済的に運用して いくことを目指したスマートグリッド分野の開発・実証事業と標準化活動に対し、 JEMA はそのハードやソフトを提供する電機業界として、引続き積極的に参画し ます。また、JEMA の各部のスマートグリッド関連事業の情報共有、全体状況の 把握・ベクトル合わせを行うスマートグリッド統括室では、会員会社の共通課題 への対応検討や、標準化関係の関連委員会での情報共有およびウェブサイトによ る情報発信等を進めます。 1.6 システム コントロール フェア 2017(SCF2017) 「システム コントロール フェア 2017」は、2017 年 11 月 29 日(水)~12 月 1 日(金)の 3 日間、東京ビッグサイトでの開催を計画しています。本展示会は、 FA 分野をはじめとする広く産業界の最先端技術・情報が集う場を提供し、出展 者、来場者、主催者間相互のバリューコミュニケーションの創造を実践します。 なお、前回に引続き、 「計測展 2017」と同時・同一会場で開催を予定しています。 また、2016 年 12 月には、出展者募集を開始します。 2.原子力事業 福島第一原子力発電所事故から5年が経過しましたが、福島では未だ約10万名の 方々が避難生活を続けています。いち早い福島復興に向けた支援と廃炉作業の着実 な推進が依然として原子力産業界の最重要課題です。 一方、2015年度は再稼働に進展が見られ、川内1、2号機、高浜3、4号機が営業運転 再開を果しました。伊方3号機も新規制基準への適合が認められており、早期の再 稼働実現が期待されます。また、エネルギー政策においても、2015年7月に国から 示された「長期エネルギー需給見通し」では、2030年の電源構成に占める原子力発 電の割合は20~22%とされました。このような状況において、JEMAは、「エネル ギー自給率が約6%しかないわが国にとっては、安全を前提とした原子力発電を基 幹電源の一つとしたエネルギーミックスは国力の発展のために不可欠」との立場に 立ち、2016年度の事業を行います。また、医療分野・製造業分野での放射線利用 のニーズが益々高まっており、JEMAは、放射線利用医療機器等の更なる普及・輸 出促進活動を進めていきます。 2.1 新原子力政策への対応および安全向上・人材育成への取組み (1)エネルギー基本計画とそれを具現化する原子力政策に対する提言発信 JEMAとしては、環境への負荷低減・エネルギーセキュリティの確保・経済効 率確保・国力の継続的維持発展等の観点で原子力および核燃料サイクルは非常 に重要と考えています。2015年7月に国から示された「長期エネルギー需給見 通し」では、2030年時点の電源構成に占める原子力発電の割合が20~22%と されており、その実現に向けてJEMAとしても必要な意見発信を継続してまい ります。 また、2016年度には、3年ごとに内容を見直すとされている「エネルギー基本 計画」の次回改定に向けた議論が始まるものと考えられます。JEMAとしての 意見が次期「エネルギー基本計画」にも反映されるよう、着実に取り組んでま いります。 なお、意見発信に際しては、電気事業者と連携を取りながら、既設発電所の運 転期間延長や新増設に関する意見も含めて発信していくことが重要です。 (2)新規制基準に対応したJEM規格改定 2013年7月に施行された新規制基準に則して、JEM規格・ガイドライン*9の改 定案を作成しました。再稼働プラントでの実績が出た段階で規格内容の再確認 を行い、発行する予定です。 *9 JEM規格・ガイドライン:原子力発電所用ポンプ・バルブ・計測制御機器の試 験検査に関する規格。主要変更点は、シビアアクシデント対応の「重大事故対 応設備」を含めること。 (3)核燃料サイクル・最終処分に関する理解促進と提言 わが国は、核不拡散条約加盟国かつ非核保有国の中で唯一、フロントエンドか らバックエンドまでの核燃料サイクルに関する技術の保有・事業の実施を、国 際的に認められた国です。 エネルギー自給率が約6%しかないわが国にとって、千年単位でのエネルギー 源が確保できる核燃料サイクルの意義は極めて重要です。また、今後の原子力 発電の動向によらず、既に相当量の使用済燃料を保管しているわが国にとって 最終処分に係る技術開発も大変重要です。これらの重要性についての理解促進 活動と提言発信を継続します。 (4)原子力損害賠償制度(国際法/国内法)の検討 福島廃炉での国際協業やわが国原子力技術の海外展開が現実化したことから、 わが国でも原子力損害賠償に関する国際的枠組みが重要となり、2014年12月 の 国 会 で 「 原 子 力 損 害 の 補 完 的 保 障 に 関 す る 条 約 ( Convention on Supplementary Compensation for Nuclear Damage : CSC)」加盟が批准さ れ、2015年4月15日に発効しました。 一方、福島原子力事故の損害賠償については、現在なお進行中ですが、損害額 が賠償措置額を極めて大幅に上回る場合がありえることが顕在化し、民間の保 険は成立しないことを示唆しました。原子力を国策として進めるのであれば、 民間負担に上限を設けるべきとの意見もあり、2015年1月から原子力委員会で 原子力損害賠償法見直しについて有識者による検討が行われています。 JEMAは、日本エネルギー法研究所の研究会等を通じ、国内法・各国の原賠法 の情報を入手するとともに、電気事業者等関連機関と連携をとり、メーカーの 意見発信を行います。 (5)厳しいビジネス環境の中での技術の維持と人材育成への取組み 再稼働の遅れや建設の長期中断は、原子力に係る技術の維持や人材の育成を著 しく難しくします。JEMAは、技術の維持に関する国の積極的関与の必要性に 関し意見発信を継続するとともに、産・学・官で構成する「原子力人材ネット ワーク」活動やシニアネットワーク(SNW)が実施している工学系および教育 学部系学生との対話集会等の人材育成活動を引続き支援してまいります。 (6)放射線管理手帳の高度化等に向けた検討 福島第一原子力発電所廃炉に向けた各段階の作業に対応した適正な放射線管 理業務の遂行および国際放射線防護委員会(ICRP)新基本勧告に対する法制 化動向への対応を継続して参ります。 また、作業者の個人線量記録の高信頼性と合理化をめざし、将来の放射線管理 手帳の高度化(ICカード等での電子化等)に向けた検討をJEMAにて2016年 度から開始します。これにより2017年度より始まる放射線影響協会の検討会 にてJEMAは積極的な関与を行う予定です。 2.2 福島復興支援への取組み 福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策については、東京電力/原子力損害賠 償・廃炉等支援機構(NDF)/国際廃炉研究開発機構(IRID)/日本原子力研 究開発機構(JAEA)研究開発拠点(モックアップ試験施設、放射性物質分析・ 研究施設、廃炉国際共同研究センター)にて、中長期ロードマップの下、メー カー各社がそれぞれの役割を果たすため、必要な技術開発を含めて鋭意取組みを 進めています。JEMAは、それぞれの機関の有機的な連携の下、メーカー各社の リソースが有効に使われるよう、METI・文部科学省を含め関係各機関に要望を 継続して発信していきます。 一方、JEMAは、オフサイトの復興支援活動を継続して実施してきており、2011 年度はJAEAの除染業者向け教育ビデオ作成事業支援、2012年度は福島県から委 託されたNPO法人の除染活動拠点運営費用の一部負担、2013~2015年度は福島 県・地元自治体が主催した帰還支援イベント「ふたばワールド2013~2015」に人 的・資金的支援を行いました。また、2013年度からは、双葉町村の若手職員によ る勉強会において、(一社)日本原子力産業協会(原産協)と共同で事務局活動 を行っています。2016年度も、環境省・復興庁・福島県・諸機関の事業内容を調 査の上、支援活動を見える形で継続します。支援事業の候補としては下記があり ます。 ①「ふたばワールド2016」支援 ②双葉郡町村で計画中の海外視察支援 ③双葉町村若手職員の勉強会支援 2.3 国際化への取組み JEMAは、わが国の成長戦略を支えるインフラシステム輸出の一分野としても位 置づけられた原子力産業の海外展開に資するため、二国間協定・人材育成等の基 盤整備に関する提言を継続してまいります。 また、(一社)原子力国際協力センター(JICC)が実施している新規導入国に 対する技術支援事業(国の補助金による事業)に対し、メーカーからの職員出向 派遣や支援対象国・内容に関する要望発信を継続して行います。 国際協力銀行(JBIC)/日本貿易保険(NEXI)による公的信用付与に係る「原 子力関連プロジェクトにかかる情報公開指針(仮称)」の取りまとめに向けた議 論にも参画し、実ビジネスの観点に立った意見を発信していきます。 先進国へも含めた日本からの原子力技術発信への協力として、東京大学がMETI の補助金で進めてきた原子力教科書の英文化について、2016年度も支援を継続し ていきます。 なお、2018年に予定される日米原子力協定の更改については、電事連とも連携を 取り、関係機関の動向を調査していきます。 2.4 加速器事業への取組み 医療分野・製造業分野での放射線利用のニーズは益々高まっており、特に加速器 を利用したがん治療装置のニーズが国内外で注目されています。国内メーカーの がん治療用設備の海外展開も実績を出しつつあります。JEMAは、この分野に対 応して、「放射線利用医療機器輸出対応特別委員会」を設置し、具体的な検討と国 への要望を取りまとめ、2015年1月に国の取りまとめである内閣官房健康・医療 戦略室に要望書を提出しました。2016年度は、日本機械輸出組合・NEXI・JBIC・ 日本貿易振興機構(JETRO)等を含めた関係機関との意見交換を継続するとと もに、国の対応状況のフォローアップや追加での要望提出を行う予定です。また、 国際リニアコライダーの日本への誘致について、その状況を継続して調査・確認 していきます。 2.5 業界動態分析と活用への取組み 受注・売上・従業員数に関する原子力統計・加速器統計調査を継続実施します。 原子力統計について2013年度から追加した、福島事故および再稼働の遅れや建設 中断等の原子力政策の影響を調査するための内訳「廃炉」・軽水炉プラントメー カー3社の従業員年齢分布・新規採用者数について、継続調査します。なお、支 援要請等の目的で、これらのデータを国等に開示する場合には、改めて統計参加 会社の同意を得ることとします。加速器統計について2013年度から追加した、内 訳「医療用加速器」についても継続調査します。 2.6 原子力に関する情報発信への取組み JEMAは、原子力安全向上や核燃料サイクル・最終処分に関する教訓・知見、技 術開発・現場作業で得られる情報を、いち早く広く国民・世界に発信するため、 関連団体等が主催する各種シンポジウムを積極的に共同開催する等、JEMAの貢 献が見える形での参画を行います。また、会員企業を対象とした有識者による講 演会等を定期的に開催する計画です。 一方、METI等が従来進めてきた「原子力エネルギー安全月間(5月)啓発事業」 および「原子力の日(10月26日)記念事業」は、2016年度も実施が見送られる と想定されます。JEMAは、2015年度に引続き、政府・電事連等の関連機関・団 体と連携を取って、会員企業向けに原子力広報クリアファイル等の作成を行いま す。 2.7 原子力関連団体等との連携 原子力発電に対する理解促進と信頼性を取り戻すためには、電事連、原産協、(一 社)原子力安全推進協会、関連学協会との連携を一層確実なものとする必要があ ります。JEMAは、これら原子力関連団体等との情報交換の場を設け、原子力産 業界全体の活性化への取組み、人材の育成、安全文化の醸成に向けた取組み等を 進めていきます。 3.家電事業 白物家電の2015年度の国内出荷は、天候不順や2015年の夏の台風の影響があった ものの、2014年の消費増税後の低調傾向を脱し前年同期を上回っています。消費者 の白物家電に対する省エネ製品・高付加価値製品への買替え傾向も継続しています。 2016年度は、生活必需品という白物家電の特徴である買替え需要を主体にした堅 調な需要が見込まれ、併せて雇用・所得環境の改善、国内景気の維持が期待されて います。 このような背景のもと、家電事業は、冷蔵庫の新測定基準等、地球環境保全への 貢献、国際整合の意味も併せ持つ電気用品安全法の体系見直し等標準化の牽引、会 員企業のグローバル化を支援する国際化への対応等に取り組みます。 3.1 地球環境保全への貢献 (1)地球温暖化防止への取組み ①省エネルギー法トップランナー制度への取組み 冷蔵庫の省エネ法の新目標値が2016年3月に告示されたことに伴い、5月に 各社冷蔵庫の消費電力量等の表示を新JISで測定した数値に切り替えます。 この切替えが円滑に進むよう2015年度に引続き啓発等を行っていきます。 また、新目標値に採用された新JISの測定方法が使用実態に適応しているこ とを確認するためのモニタリング測定を2016年度下期から再開します。さ らに各社冷蔵庫の省エネ性能の確認のために新JISの測定方法による自主 買上げ試験も2016年度下期から行います。 ②省エネ家電製品の普及促進 スマートライフジャパン推進フォーラムへの参画、家電製品協会が制作す る「スマートライフおすすめBOOK」の見直しおよび展示会への出展や情報 提供等の協力を行い、省エネ家電製品普及促進の啓発に取り組みます。 (2)循環型社会の構築への取組み ①2014年度に、家電リサイクル法の見直し検討が終了し報告書がまとめられ ました。2016年度も、年1回開催予定のフォローの審議会が予定されていま す。引続き循環型社会構築を推進するため、着実に実績を上げている家電 リサイクル制度が今後も円滑な運用が行えるよう、関係団体とともに、製 造事業者の課題に取り組むとともに、この審議会で業界意見の具申を行い ます。 ②2013年度から始まった小型家電のリサイクル制度については、実施状況報 告の審議会が毎年度開催されています。2016年度は当初目標達成状況も含 めた実施状況報告の審議会が開催される見込みです。JEMAは引続き、本 制度が円滑に運用されるよう対応していきます。 3.2 標準化の牽引 (1)国際標準化の推進 ①JEMAが国内審議団体となっているIEC/TC61(家電機器の安全技術委員 会)、IEC/SC61B(電子レンジの安全)、IEC/SC61D(エアコンの安全)、 IEC/SC59M(冷蔵庫の性能)等の国際会議に出席し、安全性や省エネ性等、 日本の優れた技術力を規格に反映するよう努めます。日本提案として電子 レンジについては、電波漏洩試験の測定器の変更提案等、エアコンについ ては微燃性冷媒が規格に採用されるよう活動します。また、スマート家電 に関しては、エネルギーマネジメントシステムに繋がる白物家電の規格案 作成に協力していきます。 ②欧州電動工具協会(EPTA)が主催する、JEMA・EPTA・米国電動工具協 会(PTI)の会合に代表者を派遣し、各国の電動工具の振動・粉塵、充電池 の安全性や砥石の品質に関する規格・基準・法規制の改正動向ならびに各 国市場への影響について情報交換・働きかけを行うとともに、IECでの日 本意見反映や日本メーカーの欧米での事業拡大に資するよう努めます。 (2)省エネルギー等国際標準化・普及基盤事業 METIが推進する省エネルギー等国際標準化・普及基盤事業に応募し、ASEAN 各国が独自に進めている省エネ規制強化に対応するために2015年発行のIEC 規格の測定方法を各国に広め、測定方法の統一化を図る事業を継続して、推 進します。具体的には、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア等の 試験機関と連携を深めて、新IEC規格による冷蔵庫の消費電力量測定の研修や 測定試験を行い、試験能力の向上を促進させるとともに、各国政府、標準化 団体とも連携し、新IEC規格を各国国家規格へ採用するよう働きかけます。活 動の結果、2017年にタイ、マレーシアがASEAN国内で初めて新IEC規格に基 づいた国内規格を発行予定していることから、新IEC規格に基づいた規格が発 行されるよう両国に支援を行います。 (3)国内標準化の推進 電気用品安全法・技術基準体系見直しへの対応と製品設計のグローバル化を 目指して、家電製品の安全JISを最新のIEC規格に整合化させる作業を継続し て行っていきます。 また、掃除機の総合的な性能評価を可能とする測定方法の作成とそれに基づ く性能表示の実施や、洗濯機の製品JISの改正作業および洗濯乾燥機の新規 JIS原案の検討も行っていきます。 3.3 家電製品の安全確保の推進 (1)安全に関する国内法規への対応 METIで検討中の電気用品安全法・技術基準体系の見直しにJEMAとして改定 作業へ参加し、電気用品安全法の対象範囲の見直しに引続き協力していきま す。 また、製品事故の未然防止のため、(一社)日本電気協会では電気用品安全 法・技術基準の改正が定期的に検討されています。JEMAは同協会と連携しな がら火災ややけど等の事故防止対策のために基準改正の検討と意見反映を行 い、更なる製品安全設計を目指します。 (2)家電製品からの VOC*10に対する取組み (独)製品評価技術基盤機構(NITE)が主催する、化学物質吸引事故におけ る原因物質究明等を目的とした委員会(製品からの VOC 放散による事故原因 究明技術強化に関する委員会)に引続き参加し協力していきます。 *10 VOC:Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物) 3.4 家電業界の成長戦略の推進 (1)新たなる付加価値創造の推進 スマート家電に代表されるような消費者にとって魅力的な付加価値の検討や、 それらに向けて必要な標準化等の取組みや2016年度から始まるECHONET Lite*11の接続性の第三者認証制度を通じたスマート家電の普及等を通し、新 たなる家電業界の成長戦略の推進を図っていきます。 また、HEMS*12に対する取り組みを、新エネルギー部をはじめとする関連部 門と連携して取り組んでいきます。 *11 ECHONET Lite:スマートハウスを実現する日本発の通信プロトコル *12 HEMS: Home Energy Management System (2)グローバル展開の支援 会員各社のグローバル事業展開に対応し、ASEAN地域でJEMAの分科会(イ ンドネシア、タイ、ベトナム)を設立、支援の仕組みの強化を図っています。 2016年度は、各国の省エネ規制や安全・性能の認証制度を整理するとともに、 日系メーカーの意見反映のため、日本人商工会やJETRO事務所との連携、 JEMA家電部各技術委員会との密な活動、日系の試験機関・支援機関との情報 交換を進めグローバル事業の円滑なる活動に対応します。 3.5 国際化への対応 (1)中国の工業会との連携 ①中国家用電器協会(CHEAA*13)との連携 中国家用電器協会との第 15 回定期交流会を日本で開催し、日中両国家電業 界の最新動向等に関する情報および意見の交換を実施するとともに、引続 き両国団体の機関誌交換等によるタイムリーな情報入手を図ります。また、 同協会主催の「中国国際家電博覧会」を後援するとともに視察を行い、中 国家電業界のトレンドを探ります。 *13 CHEAA:China Household Electrical Appliances Association ②順徳国際家電博覧会への対応 2016年8月に、 中国家電産業の集積地である順徳近辺の有力地場企業が揃う 「順徳国際家電博覧会」が開催されます。JEMAでは、この博覧会を後援 するとともに視察を行い、中国家電業界のトレンドを探ります。 (2)韓国の工業会との連携 韓国電子情報通信産業振興会(KEA*14)との第 9 回定期交流会を韓国で開催 し、日韓両国家電業界の最新動向等に関する情報と意見の交換を実施します。 *14 KEA:Korea Electronics Association (3)その他の家電工業会との活動 日本、欧州、米国・カナダ、メキシコ、豪州、中国、韓国の家電工業会が加 盟する世界家電工業会(IRHMA*15)の第 4 回会議を日本で開催し、省エネ、 スマート家電、各国安全規制の情報交換と意見交換を実施します。 *15 IRHMA:International Roundtable of Household Appliance Manufacturer Associations (4)IFA 視察団の検討 海外の家電関係展示会で白物家電の展示を取り入れるものが増えたことを背 景に、JEMA は 2014 年度より IFA*16に視察団を派遣してきました。引続き 2016 年度も世界の白物家電の最新動向を探るため、9 月にドイツで開催され る IFA へ視察団の派遣を検討します。 *16 IFA:Internationale Funkausstellung Berlin 3.6 広報活動・消費者啓発の推進 (1)広報活動 一般消費者、マスコミ、消費者団体、流通団体等からの家電品に関する問合せ に対応するとともに、JEMA 家電部門の活動を広く理解してもらうため、調 査報告書、国内出荷実績概況や、啓発活動に関するリリース等の広報活動を積 極的に行います。 (2)消費者啓発の推進 消費者に家電製品に関する正しい知識や事故防止のための安全な使い方を理 解頂くため、次のような啓発を、JEMA ウェブサイトを中心に来訪者が増加 するような方策も検討しながら実施します。特に消費者啓発は、冷蔵庫の JIS 測定方法の改正内容について、ウェブサイト等を活用し、正しい知識の啓発や 幅広い周知に務めます。また安全啓発は、ウェブサイト活用のほかチラシの作 成・配布等を行い、扇風機・暖房器・洗濯機では全国自治体の広報誌への掲載 依頼も行います。さらに暖房器・洗濯機では、全国電機商業組合連合会の消費 者懇談会でのチラシ活用依頼を行うほか、加えて暖房器で、同連合会加盟の地 域店によるチラシ活用の依頼も行います。 ① 消費者啓発 「冷蔵庫(6 月 22 日、冷蔵庫の省エネ普及啓発)」「換気の日(11 月 9 日、換気の必要性についての啓発)」「オーブンレンジ(10 月 1 日、オー ブンレンジの普及啓発)」「IH クッキングヒーターの日(11 月 1 日、IH クッキングヒーターの普及啓発)」「炊飯器(正しい使い方の啓発)」 ②安全啓発 「扇風機(5 月~7 月、長年使用の扇風機の長期安全使用の啓発)」「掃除 機の日(5 月 30 日、掃除機の安全・長期使用の観点での純正紙パック使用 の啓発)」「洗濯機(7 月~9 月、ドラム式洗濯乾燥機・脱水槽事故未然防 止のための啓発)」「暖房器(9 月~11 月、3 月~4 月暖房器の正しい使い 方としまい方、火災事故防止の啓発)」 3.7 CSR 推進の支援 会員各社の CSR 推進を支援するため、引続き家電製品の表示に関する適正化の 推進を行います。 3.8 白物家電業界の発展に資する市場調査の実施 (1)東南アジア新興国の白物家電市場調査 わが国の家電産業は、グローバル化の動きを一層加速しており、海外各地の生 活様式や国情に合わせた製品の開発が望まれています。そのような中、東南ア ジア諸国連合(ASEAN)は加盟国 10 カ国、人口 6 億人、GDP2 兆ドルを超 える一大経済圏となりました。しかしながら、同域内での人種、宗教、経済力 等各国間の差は大きく、今後、経済・消費構造の変化が予想される中、同地域 に進出する企業にとり国別、産業別の事業環境を理解することが不可欠です。 このような事情を踏まえ、とりわけ今後、急速な市場拡大が期待される ASEAN 後発加盟国(カンボジア、ミャンマー、ラオス)の白物家電市場の現 状と将来展望等を調査分析します。 (2)白物家電の世界需要調査(2009~2015年) 会員各社のグローバル化対応の基礎資料とするため、世界各国の公式統計(生 産・輸出・輸入、販売統計)を収集・分析し、主要 62 カ国・地域別に需要実 績(台数)をまとめます。 (3)海外における知的財産保護、模倣品対策調査 会員各社の海外における知的財産保護と模倣品対策のため、各種情報の収集を 継続して行います。2016 年度は、今まで現地調査を実施してきた中国、タイ、 インドネシア、ベトナムの情報の取りまとめとして ASEAN 地域の知財の中 心国シンガポール(仮)の現地調査を検討します。 (4)業界自主統計の実施 業界動向を迅速に把握するため、業界自主統計(国内出荷統計等)を継続して 実施し、官庁統計(生産動態統計、貿易統計)も取りまとめて、JEMA ウェ ブサイトに掲載します。 4.新エネルギー事業 2015 年度は、 長期エネルギー需給見通しにおいて再生可能エネルギーの新たな導 入目標が示されるとともに、固定価格買取制度については、大規模太陽光発電への 入札制度の導入や既認定設備も含む認定制度の見直し等、法改正を伴う大幅な見直 しの方針が決まり、わが国の新エネルギー関連政策は大きな転換点を迎えようとし ています。 JEMA では、これらの政策動向や新エネルギーの導入状況等を注視し、会員各社 の意見集約による政策・施策への提言や今後の活動計画への反映等を行っていきま す。また、国際・国内標準化の推進、認証制度の構築、大量普及時の系統連系の技 術課題への対応等においてメーカー団体としての役割を果たすとともに、新エネル ギー講演会や JEMA 機関紙 「電機」 等を通じた情報発信にも積極的に取り組みます。 4.1 新エネルギーの普及拡大 (1)太陽光発電システム ①再生可能エネルギー特措法により急拡大した国内の太陽光発電市場につい て、JEMA としては特に安全性、高信頼性の観点から現状の認証基準や業 界基準の問題点を抽出し、市場や国内産業が継続的に発展するために、 JEMA 新エネルギーロードマップや提言に反映させる活動を推進いたしま す。また、電力自由化後に固定価格買取期間終了の開始が迫る 10kW 未満 の太陽光について、売電市場への影響や住宅用太陽光市場の影響等の検討 を開始して、自家消費型へのシフト等の対応策を検討し、JEMA 新エネル ギーロードマップや提言に反映させる活動を推進します。 ②新規委託事業を獲得し、PV モジュール、システムの認証に係る国際標準の 枠組みや規格内容の改定等に対し、PV メーカー意見の取りまとめ、実証 データを持つ試験/認証機関との協力関係を強化しながら、日本意見の提 案、さらには日本からの新規規格提案に繋げて参ります。また、国際規格 に整合した JIS 開発を推進し、PV の安全性や信頼性向上に資する基盤整備 に努めていきます。 ③太陽光発電システムの普及拡大に不可欠な大容量システム(750~1,500V 対応)の安全性基準やアレイ支持物設計荷重標準、モジュールの火災試験 といった安全性に係る JIS 原案を作成していきます。 (2)風力発電システム ①2012 年度に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施行されましたが、 風力発電システムについては運転開始までのリードタイムが比較的長いこ ともあり、充分な導入効果が得られるためには今後の制度内容と運用がさ らに重要になると考えられます。これを踏まえ、規制適正化をはじめとす る国内風力発電導入促進のための課題を検討し、JEMA 新エネルギーロー ドマップや提言に反映する活動を推進します。 ②わが国に設置する風車の信頼性向上および国際競争力強化のために大形風 力発電システムの IECRE(再生可能エネルギー機器規格試験認証制度)構 築に向けた活動に取り組みます。 ③わが国の環境に合致した洋上および陸上風力発電の規格の整備を推進しま す。IEC/TC88(風力タービン)に参画して国際標準に反映します。 ④風力発電関連製造産業の発展に向けた活動に取り組みます。一環として、 2010 年度より実施している風力発電の関連機器産業統計調査を関係団体 と協調して継続し、世界市場における国内電機メーカーの活動支援に向け たデータベース構築や広報活動に取り組みます。 ⑤風力発電の産業競争力強化に資する国内試験場・認証基盤整備の検討、海外 の試験場の調査を推進します。 (3)燃料電池発電システム 家庭用(エネファーム)および事業用燃料電池の普及環境整備を推進します。 規制緩和への取組みでは、水素ステーション用の改質器の大気汚染防止法適用 除外に関連団体と連携して取り組むとともに、新規提案項目の抽出を行います。 また、HEMS や ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)等、燃料電池の新たな活 用形態の課題について検討を行います。国際標準は、技術的にも先行している 日本の技術開発および市場展開の成果を IEC/TC105(燃料電池)における国 際標準審議に反映させ、2016 年度は特に定置用小形に関しては国際認証のた めの基準開発を進めます。また、燃料電池技術を応用した水電解モードでの水 素貯蔵システムの性能評価方法および家庭用小型燃料電池システムのライフ サイクルアセメントの国際規格作成を進めます。 (4)太陽熱発電システム IEC/TC117(太陽熱発電)では国際規格開発のためのプロジェクトチームが 設置され、太陽熱発電用語、蓄熱システム、フレネル型太陽光集光システム等 の原案審議が進められています。国内委員会では研究成果を基に開発した集 光・集熱装置の性能評価方法を国際標準化提案するため、プロジェクトチーム に専門家を派遣して審議を進めています。2016 年度は、プロジェクトチーム における IEC 国際標準化の審議に専門家を派遣し、蓄熱・集光技術・熱変換・ 発電技術等、日本企業の得意とする分野を中心に、国際標準化活動を推進しま す。 (5)分散型電源システム 分散型電源は、普及に伴い、系統に影響しない系統連系技術要件が必要とされ ています。そのニーズに対応し、低圧単相から高圧三相まで、様々な分散型電 源の系統連系技術要件をメーカーや電事連等の意見を反映させて整備します。 また、より効率よく成果を出すために委員会体制の見直しを行います。 ①単相に関しては、EV 蓄電池や出力抑制、逆潮流時の電圧上昇抑制制御等系 統連系技術要件の応用や運用の課題に対応していきます。 ②高圧三相については、ミニモデル試験方法の JEM 規格やグローバル認証に 対応した FREA-G(Fukushima Renwable Energy Institute-AIST)の試 験場整備、国際標準化、認証体制整備等を関連団体と連携し、普及環境整 備を進めていきます。 ③遠隔出力制御に関しては現地実証試験結果から通信を含んだ広義の PCS (出力制御機能付 PCS)の要求仕様を完成させて、JET 認証をまとめるた めに提案を行います。 ④EMC については、IEC/TC82 において PV 用 PCS の EMC 規格である IEC 62920 を正式に発行するとともに、CISPR/B において、直流ポートを 持つパワーエレクトロニクス機器の電波妨害測定法の提案を行います。 (6)HEMS システム 2015 年度に新設した HEMS 専門委員会と太陽光発電分科会および蓄電池分 科会において、社会的に必要とされる HEMS の共通課題について、その実現 課題に取り組みます。2016 年度は、再生可能エネルギーの出力制御下におけ る HEMS 活用、および異なるメーカーのコントローラ・機器を接続する場合 の課題を検討し解決策の提案を行います。 5.地球環境保全 2016 年度、JEMA は環境と経済の両立の視点に立ち、地球規模での持続可能な 社会実現に貢献するため、地球温暖化防止対策、化学物質対策、循環型社会構築、 生物多様性への対応等、主要テーマについて取組みを推進します。 地球温暖化防止対策では、電機・電子 4 団体*17を中心に、2013 年度から推進し ている新たな自主取組み低炭素社会実行計画*18を継続して推進します。同計画は、 2020 年度までのフェーズⅠ計画に加え、2030 年度まで継続して取組みを進める フェーズⅡ計画も策定しており、JEMA はその舵取り役を努めて参ります。 化学物質対策は、各国の製品含有物質規制に対する会員への的確な情報提供と積 極的なロビー活動を行うとともに、国内における「化学物質の審査および製造等の 規制」、「水質・土壌関連規制」の見直しにおいて政府への意見提出や業界の対応 を検討していきます。また、循環型社会構築に向けて、製品のライフサイクル CO2 評価手法(JEM 規格)を開発しましたが、2014 年度からの 3 カ年計画で検討して いる「合理的かつ簡易な算定ツール」の開発に取り組みます。同時に、欧州の環境 影響統合評価手法 (環境フットプリント) 試行事業にも事務局として参画しており、 デファクト開発の主導的な役割を担います。そのほか、生物多様性保全について、 業界として会員の取組みに資する指針を策定しました。同指針を踏まえて、中期活 動ロードマップの中で、引続き、会員の取組みの支援を進めていきます。 運営面では、電機・電子 4 団体での共同委員会運営による活動のより一層の効率 化と政策提言力の強化も引続き図ります。 *17 電機・電子 4 団体:JEMA、(一社)電子情報技術産業協会、(一社)ビジネ ス機械・情報システム産業協会、(一社)情報通信ネットワーク産業協会 *18 低炭素社会実行計画: ①生産プロセスのエネルギー効率改善/排出抑制に関する「業界共通目標」 -エネルギー原単位改善率 年平均 1% フェーズⅠ:基準年度(2012 年度)比で 2020 年度に 7.73%以上改善 フェーズⅡ:基準年度(2012 年度)比で 2030 年度に 16.55%以上改善 ②排出抑制貢献量の算定方法確立と、毎年度の業界全体の実績公表 5.1 地球温暖化防止の取組み推進 (1)電機・電子業界自主取組み「低炭素社会実行計画」の推進 2013 年度以降、ポスト京都の中期的な対応について、産業界は自主取組みを 推進する方向を堅持するとして、経団連および各業界では、新たな産業界の取 組み(「低炭素社会実行計画」)を開始しています。電機・電子業界も当業界 における低炭素社会実行計画の毎年度の実績についてフォローアップ調査を 実施し、生産プロセスの原単位改善、製品・サービスによる削減貢献実績につ いて分析・評価を行い、政府審議会へも進捗を報告しています。 実行計画は、2020 年以降の国際枠組みを視野に入れて、経団連および各業界 は、低炭素社会実行計画について、フェーズⅠ(2020 年度)の目標を継続す る方向で、フェーズⅡ(2030 年度)の目標も策定しており、政府審議会での 確認を経て、新たな地球温暖化対策計画の産業部門対策に位置付けられていま す。2016 年度においても、2015 年度実績のフォローアップ調査を実施し、生 産プロセスの原単位改善、製品・サービスによる削減貢献実績について分析・ 評価を行い、政府審議会へも進捗報告を行います。その中で、業界としても、 参加企業のカバー率向上や先進的な省エネ技術導入の評価とその取組みにつ いても検討を進める他、フェーズⅠ(2020 年度)目標達成への中間レビュー として、現目標の進捗を踏まえより適正な内容とすることも視野に入れて検討 を実施していきます。 そのほか、低炭素技術・省エネ製品による CO2 排出削減/貢献ポテンシャル について、対外情報発信の強化と効果的なアピール方法等を検討します。 (2)政府による中期目標検討への対応、意見発信および政策提案 国際社会は、2015 年末の「国連・気候変動枠組条約第 21 回締約国会議 (COP21)」において、2020 年以降の将来枠組みとして「すべての国が参加 して中長期の排出抑制に係る国別貢献を実施する」パリ協定を採択しました。 各国は、それに先立って約束草案(2030 年の目標等)を提出していますが、 日本政府もパリ協定が採択されたことを受けて、エネルギーベストミックスを 踏まえた新たな温暖化対策計画の策定(約束草案の「2030 年に 2013 年比で 温室効果ガス排出量を 26%削減」を具体的に推進する法定計画)を進めてい ます。 こうした政府による検討に対して、引続き、電機・電子業界として、関連省庁 等からのヒアリングへの対応や意見提出等の活動を実施していきます。この中 で、革新技術を利用した製品の普及促進・需要創出政策の継続、事業の国際競 争が阻害されないこと等、経済と環境の両立に資する中期目標や政策措置とな ることを要望していきます。さらに、低炭素技術・省エネ製品等の国際展開と して政府が推進する二国間クレジット制度等、環境配慮・省エネ製品の価値を 高める制度の構築に関して、JEMA は、引続き、政府への協力や業界の取組 みを推進します。 (3)低炭素・省エネ製品普及促進への国際協調、標準化の取組み パリ協定の採択内容においても、政策措置の MRV(測定・報告・検証)方法 論の確立が重要視されています。こうした中で、IEA(国際エネルギー機関) 「電気・電子機器のエネルギー効率改善実施協定」、国際省エネ協力パート ナーシップ「SEAD:高効率機器普及促進イニシアチブ」の活動があります。 JEMA は、引続き、政府に協力してそれらの国際枠組みに参画し、各国の省 エネ政策評価に業界としてデータ提供や専門的な意見を発信する等の貢献を するとともに、日本提案の省エネ測定・評価方法の国際標準実現に向けて、そ れらの活動との連携も進めます。 また、低炭素・省エネ製品による CO2 排出削減量貢献を明確にし、国内外に 積極的にアピールしていくために、電気・電子機器の温室効果ガス排出量算定 に関する 2 つの国際標準規格開発(電気・電子機器のライフサイクルにおけ る温室効果ガス排出量算定方法、温室効果ガス排出量削減/貢献量の算定方 法)を IEC/TC111(環境)へ提案し、JEMA は国際主査を務めて国際標準開 発を進め、それを発行することができました。2016 年度においても、これら 2 つの国際標準に基づく算定について、国内外での普及啓発を進めます。 5.2 化学物質対策の推進 (1)欧州・中国・その他地域の製品化学物質規制等への対応 欧州の改正 RoHS 指令(RoHS-Ⅱ)*19の中で、適用除外項目の継続を希望す る場合は 2015 年 1 月までの延長申請が必要となります。電機・電子 4 団体で も、国内や欧州の関係団体と連携して、適用除外項目の中で代替が困難な用途 /技術範囲を明確にして延長申請の手続きを実施しました。2015 年度は、延長 申請提出後の質疑応答対応やロビー活動を継続してきましたが、さらに、同指 令ではフタレート類の 4 物質が使用制限物質に追加されました。こうした状 況を踏まえ、2016 年度においても、既に延長申請済みの項目に加えて、追加 された 4 物質の影響調査とそれに基づく除外用途申請も視野に入れて、引続 き、業界の主張が反映されるように取組みを進めます。 なお、重電・産業機器の改正 RoHS 指令対応として、工業・産業用監視制御 機器については、2017 年 7 月から、その他の電気電子機器については、2019 年 7 月から追加されることが決定しています。今後新たな規制対象物質が追 加されるという情報もあり対応方法を検討します。 また、REACH 関連の新 SVHC(高懸念物質)追加やナノマテリアル等の動 向も注視していきます。一方、中国では、電子電気製品汚染制御管理弁法(中 国版 RoHS)が 2016 年 1 月に公布、7 月に施行される動きにあります。対象 も欧州 RoHS に準じて拡大されることことになり、その対応も継続して検討 を進めてまいります。動向を注視していきます。その他、米国や各国の化学物 質規制動向の把握と情報収集を強化するとともに、ストックホルム条約規制対 象物質への過フッ素化合物(PFOA)追加提案や水銀条約に基づく日本の国内 法制(適正回収・分別のための業界毎の表示ガイドライン策定等)の動向にも 対応していきます。 *19 改正 RoHS 指令:EU における電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用 制限に関する指令。2011 年 7 月 1 日(2011/65/EU)に改正され、RoHS Ⅱ と称される。 (2)国内外の事業所関連化学物質法規制への対応 政府においては、「化学物質の審査および製造等の規制(化審法)」、「水質・ 土壌関連規制」の見直しや改正の検討を進めており、電機・電子 4 団体でも それらの内容に関して業界への影響を調査し、必要な意見提出を進めます。ま た、会員の生産拠点が置かれている各国の化学物質関連法規制の調査・分析を 進めており、それに関する勉強会やセミナー開催等を企画し、引続き、会員へ の情報提供を推進します。 (3)事業所関連揮発性有機化合物(VOC)に関する自主的取組みの推進 電機・電子 4 団体の VOC 排出量削減の取組みとして、業界では、2015 年度 実績の把握・評価まで自主的取組みを継続して推進することを表明していま す*20。2016 年度は、その最終年にあたる 2015 年度実績について、会員企業 へのフォローアップ調査を行い、その進捗状況と総括評価を政府審議会にも 報告し、引続き、業界の努力をアピールします。 *20 VOC 自主行動計画:2010 年度の排出抑制対象物質の大気への排出量を 2000 年度(基準年度)比 30%削減することを目標について、55%の削減により目 標を達成。2013 年度以降は、新たに、2015 年度に少なくとも 2010 年度の排 出量を超えないことを目標に、取組みを継続。 5.3 循環型社会構築への取組み推進 (1)環境配慮設計促進(製品のライフサイクル CO2 評価)と標準化の推進 JEMA では、循環型社会構築に向けて、環境配慮設計において製品の環境負 荷低減を定量評価するライフサイクル CO2 評価手法の業界標準(JEM 規格) を開発してきましたが、JEMA 取扱製品について同評価手法の展開を促進す るために、3 カ年計画(2014 年度~2016 年度)で合理的かつ簡易な評価手法 確立と汎用性の高い部品の二次データベース開発を含む算定ツールの開発に 取り組んでいます。2016 年度は、その最終年として、簡易評価手法や算定 ツール等の策定を行います。重電・産業機器のライフサイクルアセスメント (LCA)への対応として、ライフサイクルアセスメントに関連して、電子回 路基板の CO2 排出量算出方法について精査を進めます。また、欧州規制委員 会で開発されつつある環境フットプリント(従来の手法に加え、評価対象とす る環境物質を広げるとともに、製品の原材料調達から生産、廃棄されるまでの 環境負荷評価の他に、企業や団体の組織活動全体にかかる環境負荷評価にまで 概念を広げた手法)について、対応を検討していきます。 (2)欧州エコデザイン規制(ErP 指令*21)等への対応 環境配慮設計の実施の義務化を進めている欧州エコデザイン指令(ErP)指令 や、米国や中国・アジア地域、豪州等の環境配慮設計や省エネ規制動向を注 視し、日本政府とも調整し、電機・電子業界としての意見提出、ロビー活動 等を積極的に進めます。 また、欧州委員会がデファクト化を検討している環境影響統合評価手法(環 境フットプリント)試行事業(2013 年 11 月~2016 年 12 月)にも事務局と して参画しています。試行期間の中で、2016 年度はその最終年として、日本 企業が対応出来る実効的な「製品カテゴリー算定ルール」や「コミュニケー ション手法」を提案する等主導的な役割を担います。 *21 ErP 指令:エネルギー関連機器のエコデザイン枠組み指令。 (3)産業廃棄物対策自主行動計画の推進 電機・電子 4 団体の産業廃棄物自主行動計画*22について、会員の 2015 年度 実績についてフォローアップ調査を実施し、2015 年目標達成の総括評価結果 等を経団連、政府へ報告するとともに、経団連とも連携して業界努力のア ピールに取組みます。また、2015 年度に、新たに 2020 年度に向けた新目標 の策定を行いました*24。2016 年度は、2017 年度以降の新たな目標に関する フォローアップの準備を進めます。 *22 電機・電子 4 団体の産業廃棄物自主行動計画:最終処分量を 2015 年度までに 3.6 万 t 以下かつ最終処分率を 2%以下とする。 *23 電機・電子 4 団体の産業廃棄物自主行動計画(2020 年度に向けた新目標): 最終処分量を 2020 年度までに 2.5 万 t(2000 年度実績 14 万 t から 82%削減) かつ最終処分率を 1.8 以下とする。 (4)事業所における廃棄物適正処理推進への取組み 事業所の廃棄物ガバナンス、遵法リスク管理の向上に向けて、電子マニュフェスト 活用の現状確認と課題抽出を行い、関連機関とも連携して活用促進の方策を検討 していきます。また、2015 年度は、産業廃棄物の「見える化」を推進するために、事 業所から排出された産業廃棄物を処理業者へ引き渡した後の再資源化状況の実 態調査も進めました。これらの調査結果も踏まえ、2016 年度においては、再資源 化促進に向けて業界として取り組むべき課題の抽出等を進めていきます。 (5)使用済み小型電気電子機器のリサイクル等への対応 2013 年 4 月に施行された「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する 法律」については、2015 年度末からその進捗レビューや追加的な措置の必要 性等について検討が開始されました。引続き、業界に期待される役割を踏ま えつつ、実効性のある業界意見の提案を実施していきます。 5.4 生物多様性への対応 電機・電子 4 団体では、業界の内外で生物多様性保全への取組みについて普及啓 発を推進する中で、2011 年~2014 年にかけて、生物多様性保全事例集の作成・ 公開、生物多様性保全の社内教育・啓発ツール「Let's Study Biodiversity(LSB)」 開発・公開、さらに、愛知目標と電機・電子業界の関連性評価を踏まえた「電機・ 電子業界における生物多様性の保全にかかわる行動指針」を策定しました。2015 年度は、行動指針に基づき、電機・電子業界としての進捗状況を把握するため、 会員企業へのアンケート調査を実施し、合わせて会員企業の取組事例データベー ス構築を検討する等、ボトムアップ活動の充実をめざした取組みを継続していま す。 また、フロントランナー支援として、名古屋議定書(ABS:遺伝資源へのアクセ スと利益配分)批准を想定した影響因子の特定、評価検討のためのプレスタディ や改正 ISO 14001 における生物多様性評価に係る有識者を招聘してのセミナー 開催も実施しました。 LSB や行動指針は、「国連生物多様性の 10 年日本委員会(UNDB-J)」が推奨 する連携事業としても認定され、環境省「事業者団体向取組ガイドライン」案の 中でも取組みのモデル事例として非常に高い評価を頂いています。2016 年度は、 さらに取組み事例データベースの公開、名古屋議定書批准による ABS の影響評 価、国際的な情報発信強化(国際自然保護連合世界会議での活動アピール)等、 業界として今後も更なる取組みの推進を図っていきます。 6.国際標準化の推進 グローバルな事業展開において標準化は、益々重要な戦略の一つとなっています。 政府の日本再興戦略も踏まえて、 日本の技術を取り入れた国際規格の実現を目指し、 IEC 上層会議への積極的活動、欧州規格への日本提案活動、JEMA における国際標 準化活動の体系化を推進するとともに、 各分野の事業戦略に基づいた活動を通じて、 国際標準化活動の強化を図っています。 6.1 IEC 上層活動等への積極的な対応 IEC 上層会議の標準管理評議会(SMB)、戦略グループ(SG)、市場戦略評議 会(MSB)等の対応は、IEC 活動推進会議(IEC-APC)を中心に SMB 対応委 員会、SG 分科会等で国際標準化戦略の審議が行われており、JEMA は電機業界 の意見を集約することで、国際標準化戦略指針等への反映に向けた活動を行って います。 また、風力発電をはじめとする再生可能エネルギーのシステムレベルの国際認証 制度(再生可能エネルギー機器規格試験認証制度[IECRE])の検討が IEC にて 開始されたことに伴い、その国内対応委員会の事務局を JEMA が担当し、風力、 太陽光、海洋エネルギー分野の共通的なシステム認証制度の構築や運用に対する 日本としての対応審議を進めています。 さらに、新市場創造や企業の競争力強化に資する標準化に関して、官民が連携し て取り組むべき具体策として 2014 年に METI が策定した「標準化官民戦略」に 基づき、国への意見発信や業界としての取組みを推進しています。特に「認証基 盤の強化」に関しては、METI の「グローバル認証基盤整備事業」として 2016 年度から試験運用が開始される大型パワコン・大型蓄電システムに関する評価試 験施設の有効活用について検討するため、2015 年度に JEMA 内に設置した大型 分散電源認証基盤利用促進協議会において、今後の認証基盤構築に向けた活動を 推進していきます。 6.2 欧州規格への日本提案活動 電気・電子分野に関する欧州規格は、欧州の地域標準化機関である CENELEC*24 で審議が行われており、この CENELEC 規格が、そのまま IEC 規格に採用され ることが多く見られます。このため、欧州との協力関係を強化し、欧州域内の標 準化活動状況を把握するとともに、CENELEC 規格に日本の意見を反映させて いくことが国際標準化戦略上重要であり、太陽光発電・環境関連規格に関しては、 CENELEC の委員会組織に継続参加し、意見交換を行います。 *24 CENELEC:欧州電気標準化委員会 6.3 重電・産業分野の国際標準化活動 (1)可変速駆動システム(PDS)に関する国際標準化活動 これまで、モーター単体でのエネルギー効率基準値の評価試験方法は IEC で 規定されていましたが、インバータ単体および PDS(インバータを含むモー ターシステム)での効率基準値の評価試験方法は IEC 化されておらず、2013 年度から METI の国際標準化事業として IEC/SC22G(PDS)へ規格提案を 行っています。規格の策定にあたり、国内のモーター、インバータメーカー のみならず、測定器メーカーの協力も得て実証試験を実施し、日本で行われ ている簡便で低コストな評価試験方法、日本の電源電圧(200V 級)に合わせ た効率基準値の採用を目指します。また、PDS を諸外国へ輸出する際、機能 安全に関する IEC 規格に基づいた各国の国内規格の試験条件による認証取得 が必須となります。海外認証機関での認証取得を容易にし、認証取得費用お よび機器開発費用の低減を図るため、IEC 規格の改正作業の際、海外認証機 関が行う試験条件を明確化するための意見提案を行います。 (2)インバータ駆動モーターに関する国際標準化活動 次期各国効率規制での採用が予想されるインバータ駆動時のモーター単体の 効率基準値および試験方法の規格に対し、日本から提案している PDS の効率 基準値の評価試験方法の規定内容と矛盾しないように日本から提案を行いま す。また、インバータ駆動モーターの耐電圧評価試験の IEC 規格の改正に際 し、日本メーカーが使用している試験条件が反映されるように意見を提案し ます。 (3)低圧開閉装置および制御装置に関する国際標準化活動 2015 年度からトップランナーモーター規制が施行され、モーターの高効率化 による始動電流・突入電流増大のため SC121A 機器(電磁接触器、配線用遮 断器、サーマルリレー等のモーター保護機器)への影響が懸念されています。 誘導機技術専門委員会、制御装置技術専門委員会および配線用遮断器技術専 門委員会等の関連委員会間で情報交換を行い、SC121A 機器の試験条件、寿 命評価条件等に関する IEC/SC121A への対応方法について継続して検討して いきます。さらに、現在欧州より提案されているデータセンター等の直流回 路用に適用するブレーカ・漏電ブレーカ(IEC/SC23E)の国際標準案につい て、日本のメーカーの実態を踏まえた提案を行います。 (4)FL-net に関する国際標準化活動 JEMA が推進する産業用オープンネットワークである FL-net の国際展開に 向け、2015 年度には FL-net のプロトコル仕様、ケーブル敷設仕様に関して IEC/SC65C(工業用ネットワーク)への新規提案(NP)*25が可決され、2018 年 10 月 IEC 化に向けて、今後 CD、CDV、FDIS*26と文書を作成提出して行 きます。同時に国際認証制度の確立のため、各種ドキュメントの英文化を進 めて行きます。 FL-net の普及拡大のため、 外部団体の実証試験等に FL-net の採用を提案し、 ユーザーの拡大に努めます。 *25 NP:New Work Item Proposal(新業務項目提案) *26 CD:Committee Draft(委員会原案) CDV: Committee Draft for Vote(投票用委員会原案) FDIS:Final Draft International Standard(最終国際規格案) (5)電磁両立性(EMC)に関する国際標準化活動 IEC では、産業機器に関する EMC 規格である CISPR 11(工業、科学および 医療用装置の高周波エミッション限度値および測定方法)、および可変速駆 動システム(PDS)・無停電電源装置(UPS)の製品 EMC 規格の改正作業 が行われています。これらの規格は、欧州 EMC 指令の対象規格となっている ほか、諸外国でも規制としての適用が進んでいる重要な規格であり、所管し ている CISPR/B、SC22G(可変速電気駆動システム)、SC22H(UPS)の 国際会議に出席し、日本意見を提案しています。また、SC77A(低周波 EMC) では、現在、照明器具等一部の機器を除いて規定がない 2~150kHz の EMC の規格への取込み検討が行われています。パワーエレクトロニクス機器の海 外向け製品設計に影響を及ぼす内容であるため、日本のメーカーの実態を踏 まえた提案を行います。 6.4 家電分野の国際標準化活動 JEMA が国内審議団体となっている白物家電や電動工具に関する IEC 等の国際 会議に出席し、安全性や省エネ性等、日本の優れた技術力を規格に反映するよう 努めています。具体的な内容については、3.家電事業に記載します。 6.5 新エネルギー分野の国際標準化活動 JEMA が国内審議団体となっている太陽光発電システムや風力発電システム、燃 料電池等の新エネルギー分野に関する IEC 等の国際会議に出席し、日本意見を 国際標準に反映するよう努めています。具体的な内容については、4.新エネル ギー事業に記載します。 6.6 環境分野の国際標準化活動 環境分野では、日本が提案・国際主査を務める製品の温室効果ガス排出量算定や 削減貢献量算定の手法(IEC/TC111)等について国際標準化の作業を進めていま す。具体的な内容については、5.地球環境保全に記載します。 6.7 スマートグリッド関連国際標準化活動 スマートグリッドについては、地球環境問題への対応や電力供給信頼性の観点か ら世界的にも関心が高まっています。IEC においても標準管理評議会(SMB) の下に、スマートグリッドに関するシステム規格策定のためのスマートエナ ジー・システム委員会(SyC スマートエナジー)が設置され、TC57(電力シス テム管理および関連する情報交換)等の関連 TC/SC と連携した活動が開始され ています。 これら国内外の対応は、日本工業標準調査会(JISC)スマートグリッド戦略専門委 員会や、SyC スマートエナジー国内対応委員会、スマートコミュニティアライア ンス(JSCA)等が取り組んでおり、JEMA からも関連する委員会に継続して出 席し、業界意見集約と国際提案作業に協力しています。 また、日本として国際標準化戦略を実行するために取り組むべき「国際標準化重 要アイテム」のうち、関連するアイテムの標準化活動に積極的に参画しています。 (1)重電・産業分野のスマートグリッド関連の国際標準化活動 IEC/TC120 において、系統安定化・負荷平準化に寄与する電気エネルギー貯 蔵システム(Electrical Energy Storage[EES] Systems)に関する国際規格 の策定が進められています。JEMA としても、電気エネルギー貯蔵システム の用語、環境等の規格原案策定・審議に対し、電機業界としての意見反映等 に協力していきます。 (2)家電分野のスマートグリッド関連の国際標準化活動 HEMS やデマンドレスポンスに関連する活動として、IEC/TC59(家電機器 の性能)内のスマート家電を検討する WG15(日本がコンビナー)にて、エ ネルギーマネジメントシステムにつながる白物家電の規格案作成に協力して います。 (3)新エネルギー分野のスマートグリッド関連の国際標準化活動 太陽光発電システムの国際標準化を進める IEC/TC82 では、パワーコンディ ショナーの EMC(電磁両立性)試験方法に係る日本提案規格に関して、日本 がプロジェクトリーダーを務め、規格制定に向けた審議を継続して推進して いきます。また、CISPR(国際無線障害特別委員会)における直流ポートの 電波雑音に関する国際ルール作りにも参画していきます。また、IEC/TC82 における村落電化の議論にも参加するとともに、大容量パワーコンディショ ナーに適用する試験方法等、国内研究機関が進めるプロジェクトの状況等に も留意しつつ、審議の進捗を JISC へ随時報告し、業界の情報共有に努めます。 風力発電の国際標準化を進める IEC/TC88 では、WG21(系統連系風車の電 力品質特性の測定および評価)において系統連系する際の電力品質に関する 基準を審議しており、継続して専門家を派遣します。また、WG27(風力発電 のためのシミュレーションモデル)において、風車単体および風力発電所の シミュレーションモデルの規格化を推進しています。さらに、風力発電所の 遠隔監視制御システムの規格(IEC 61400-25)に対するスマートグリッド対 応のため、IEC/TC57 との合同作業グループ(JWG25)を設置して規格の改 正を進めています。 燃料電池の国際標準化を進める IEC/TC105 では、スマートグリッドに係る標 準化の調査グループ(AHG4:幹事 JEMA)を設置して、HEMS/BEMS 等の エネルギーマネジメントシステムやグリッドとの接続要件整備を進めるため、 関連委員会*27の活動状況を調査しており、AHG4 の報告を受けて TC105 で の定置用燃料電池分野においては、規格見直し作業の中で条件整備を進めて います。AHG4 では引続き、活動状況調査を継続しています。 *27 IEC/TC57/WG17(分散形電源の EMS)、TC8/WG6(電力系統のシステム管 理)、PC118(ユーザーインターフェース)、TC59/WG15(家電機器のスマ ートグリッド接続と EMS) 、 TC61/MT23 (家電機器の EMS における安全性) 、 TC120(電気エネルギー貯蔵システム) (4)他団体の活動への参画 ISO/TC268/SC1(スマートシティ)国内委員会、JSCA 国際標準化 WG 等の 関連する委員会に参画して審議に協力します。 6.8 国際標準化のための広報・人材育成活動 標準化活動をより強化していくために、国内外の規格審議状況等の情報共有や標 準化、国際会議出席のための人材育成が必要であり、これらの活動を継続して 行っていきます。 (1)国際標準化人材育成研修支援・広報活動・表彰制度への取組み (一財)日本規格協会(JSA)主催の国際標準化研修プログラム等を活用し、 標準化活動に必要な知識やノウハウの習得を図るための人材育成支援を継続 的に行っていきます。IEC-APC では、IEC 事業概要の冊子を毎年発行してお り、見直しに協力しています。また METI・IEC-APC では標準化に係る功績 者の表彰制度があり、JEMA からも候補者の推薦を行い、候補者の受賞を目 指します。 (2)標準化ウェブサイトの充実 IEC 規格の発行状況、規格案の検討状況をはじめとする標準化動向等の情報 発信をするとともに、継続して標準化ウェブサイトのコンテンツの充実化を 図っていきます。 6.9 JEMA における国際標準化活動の体系化 JEMA は METI から依頼を受け 30 を超える IEC/TC/SC 技術専門委員会の審議 団体として協力しています。これらの標準化活動については、分野ごとの背景・ 課題を明確化して国際標準化活動の体系化を図り、スマートグリッドに関連した 活動も含め、JEMA としての標準化活動の進め方の方針のまとめを行うとともに、 TC/SC の活動内容をウェブサイトで公開します。 また、国際標準化活動の戦略策定に際しては、IEC で活動している専門家にも参 加頂き JEMA の IEC 基準認証戦略 WG での検討、国際標準化活動の共通的な課 題の解決・情報の共有のための情報交換会を継続して行います。 7.共通技術基盤強化 社会基盤を支える共通的な要素技術、技術インフラ等共通技術基盤の強化は、わ が国の優れた技術の維持・発展ならびに産業競争力強化のために重要です。 国内標準化活動、認証事業をはじめとした適合性活動、技術者・技能者の育成・ 確保について、その課題を整理・選別した上で、電機業界の技術基盤強化に向けて 活動を強化していきます。 7.1 国内標準化活動の推進 グローバル化が進む中で、国内標準化活動も国際標準化活動との整合が重要と なっています。強制法規関連省令の改正審議についても、国際標準化の動向を踏 まえて業界意見集約と積極的な委員会活動への参画に努め、整合化・性能規定化 (民間規定化)作業に協力します。 (1)国内強制法規の性能規定化への対応 METI、厚生労働省で取り組んでいる電気関係の電気設備技術基準、電気用品 技術基準、労働安全衛生規則等については、国が詳細の仕様規定を決めてい るために、新技術・新製品に対して迅速に対応できない課題があります。こ の課題を解決するために省令の性能規定化の検討が開始され、安全原則の明 確化、JIS や民間基準の活用、国際基準との整合性の確保を可能とする体系見 直しが行われています。このため JIS 等の引用促進を働きかけるとともに、 引用される JIS の制定・改正を継続して推進します。 電気用品安全法については、整合規格となる JIS の作成計画に基づき、原案 作成した低圧ヒューズ、誘導機および小形の配線用遮断器・漏電遮断器の JIS 原案について、技術基準としての採用手続きを行います。また、対象品目の 大括り化が検討されており、従来は品目ごとに指定されている対象範囲が拡 大され、一定要件を満たす機器は産業機器等も新たに規制対象となる見込み です。電気用品安全法の対象になるか曖昧な機器について、対象を明確化す る活動に協力します。 (2)他団体への協力 日本電気協会の電気技術規格委員会では JESC 規格の制定・改正作業が行わ れており、これらの審議に参画します。また、(一社)電気学会、(一社) 日本電線工業会、(一社)電池工業会、(一社)日本電子部品信頼性セン ター等で原案作成が進められている JIS・団体規格の作成に協力しています。 このほか、審議団体で作成した JIS 原案を審議する JSA 規格調整分科会に参 加し、より品質の高い JIS の発行に協力しています。 (3)JEM 規格類の整備 業界標準として関連団体、ユーザーに広く活用してもらうために JEM 規格類 の制定、改正作業を継続して行います。重電産業技術分野では、高調波抑制 対策技術指針の改正を受け、JEM-TR 182(電力用コンデンサの選定、設置お よび保守指針)に高調波抑制効果のあるリアクトルの設置を推奨する内容を 盛り込むための改正や、普及が進みつつある蓄電システムの用語に係る規格 の策定、無停電電源装置の性能判定基準の規格改正等を行います。また、(一 社)日本配電制御システム工業会講習会や(公社)日本電気技術者協会関東 支部外部講習会・技術交流会で、上記重電産業機器に関する JEM 規格類の情 報等、JEMA 関係製品群の最新技術情報を広く発信し、早期浸透を図ってい きます。 (4)JIS 制定への協力 IEC 活動を通じて得た知見を基に、 JEMA 取扱製品の国際規格に準拠した JIS 原案を作成し、会員企業のグローバルな事業展開を支援しています。重電産 業技術分野では、高圧受電設備関係(高圧限流ヒューズ、継電器等)、高効 率変圧器に寄与する鉄基アモルファスの材料規格・測定規格について、IEC 規格に整合した JIS の制定・改正を行います。 7.2 適合性評価活動の推進 適合性評価は、製品の規格・基準に適合しているかどうかの安全確認や企業間取 引、消費者の製品選択等、国内外の様々な場で重要な役割を担っています。グ ローバル化が進む中で、国が定めた認証機関および JEMA 適合性評価活動によ る評価結果の信頼性向上が求められています。このため、国際的な認証制度との 整合、 JEMA 認証事業の維持向上等、 適合性評価活動を継続して推進しています。 (1)国および適合性評価関連組織との連携 国や国内の適合性評価係関連組織に対し、規格・基準作成活動への参加するこ とで認定・認証基準の動向を把握し、電機業界の意見を提案し適合性評価制度 の改善に努めています。 ①適合性評価の規格・基準作成活動への参画 適合性評価の規格を担当している国際組織(IEC/CAB:適合性評価評議会、 ISO/CASCO:適合性評価委員会)等のISO/TC176(品質マネージメント) 国内委員会等に出席し、ISO 9001(JIS Q 9001:品質マネジメントシステ ム要求事項)ファミリーシリーズ等の適合性評価関連規格の改正に関して周 知します。 ②認定活動への支援 認証機関の適合性を評価する認定機関での認定審議および認定基準の改正 に対して、国際規格と整合した、市場ニーズとバランスのとれた制度となる ように改善提案を継続して行います。 ③認証活動への支援 電機業界の要望の反映、公平性・透明性のある活動となるよう、改善活動を 継続します。品質マネジメントシステムの認証では、会員企業のための内部 監査員養成セミナーを継続して行います。 (2)高電圧・大電流試験分野の適合性評価活動の実施 ①大電流試験分野 日本短絡試験委員会(JSTC)では、大電流試験の試験所認定制度の確立に 向けて、次の活動を行います。 (a)基準分流器を用いた国際比較試験 アジアの基準分流器を用いた北米・アジア地域の試験所との第2期比較試 験について、追加申請があった中国・韓国・メキシコの5件の比較試験を 実施します。また、2017年開始予定の、第3期比較試験に向けての準備を 開始します。 (b)国際短絡試験協会(STL)国際会議への参加 大電流試験分野での国際機関である国際短絡試験協会(STL)の運営委員 会(5月)・技術委員会(11月)に参加し、STLの運営・技術的課題につ いて、IEC規格文書のあいまいな解釈を明確にする提案を行う等、日本意 見を反映していきます。 (c)アジア大電力試験所会議の運営 インド・韓国・中国・日本によるアジア大電力試験所会議を主催し、基準 分流器の国際試験結果の論文作成を主導するほか、短絡試験に係る最新の 標準化・技術動向を紹介します。 (d)試験証明書の発行 国際的に通用するJSTCとしての試験証明書の発行を継続し、日本の試験 技術の認知度向上に務めます。 ②高電圧試験分野 日本高電圧インパルス試験所委員会(JHILL)では、高電圧試験の試験所 認定制度の確立に向け、次の活動を行います。 (a)高精度の標準確立の研究 JHILLが維持・管理しているインパルス高電圧標準測定システムについ て、高電圧試験所での精度確保を容易にし、試験結果の向上を図るための 研究を継続します。 (b)インパルス高電圧標準測定システムの性能維持・向上 JHILLが維持・管理しているインパルス高電圧標準測定システムについ て、長期的な安定性を確認するための性能試験を行います。 ③高電圧・大電流試験の国家標準に関連した仕組みの構築 IECにて「国家標準とのトレーサビリティの取れた測定」が規定され、最近 海外ユーザーからこの証明を要求されることがあります。そのため、現在日 本国内ではこの証明ができない高電圧インパルスの測定等について、関係機 関と調整を行いながら、標準の種類ごとに、順次、国家標準とのトレーサビ リティが証明できる仕組み(JCSS校正)の構築に取り組みます。2016年度 には、高電圧の交流・直流について、現地試験によるJCSS校正の実現を目 指します。 (3)FL-net の認証事業の実施 JEMA が推進する産業用オープンネットワークである FL-net は 1998 年の認 証事業開始以来、PLC(プログラマブルコントローラ)を中心に 31 社 104 機 種が認証機器として正式登録されています。2012 年 12 月から始まった最新 バージョン FL-net Ver.3 では従来の Ver.2 と上位互換性を保ったまま、これ までの PLC 等の制御装置同士の接続に加え、上位の情報系(一般パソコン、 工場管理サーバ等)および下位のデバイス系(インバータ、サーボ、センサ 等の産業機器)との混在が可能な産業用オープンネットワークとなりました。 JEMA は今後も FL-net の認証事業を推進し、主に自動車業界や公共系システ ムへの更なる普及を図っていきます。 7.3 中長期的な技術者・技能者の育成・確保に向けた取組み 将来にわたる電機業界の人材の育成と確保のための活動を継続していきます。 (1)理科教育支援の推進 JEMA では、将来の電機業界の人材確保のための育成を目的に、小学生高学 年を対象とした理科教員の支援活動を行っていきます。継続して小学校 6 年 生の単元「電気の利用」にあわせた理科授業「JEMA プログラム」の普及展 開スキームによって、基本的に 4 つの分類「全国理科研究協議会(全小理)、 各地の教育委員会(センター)、CSR、大学)」の関係者に事業説明の PR を実施し東京および 3 支部地区でのセミナーを展開していきます。また、2014 年度に新たに作成した電磁石、オームの法則の実験についても必要に応じセ ミナーに取り組みます。 ①教育委員会および理科部主任会等への理科セミナーの開催 東京都教育委員会研修等教育委員会の事業計画に取り込まれたセミナー計 画や、理科部主任会等のセミナーを中心に開催していきます。また、必要に 応じテクニカル講師およびセミナー講師候補の新規養成のための講座を開 催します ②教員による理科セミナーの開催(自立研修) リーダー教員育成プログラムを受講したリーダー層の教員による自立研修 の開催や、「教員免許更新講習」へのJEMAプログラム適用等、教員自身に よるセミナー開催をサポートしていきます。 ③教員を目指す大学生向けセミナーの開催 2014年度に開発した教員を目指す大学生向けプログラムによるセミナーを 開催します。 ④Web 一般公募理科セミナーの開催 東京本部1回、大阪支部1回、名古屋支部1回、福岡支部1回の開催を計画し ています。教育委員会・理科部会主催による理科教育セミナーを実施してい ない地域の教員を対象として公募していきます。 ⑤研修大会等による活動紹介 文部科学省主催の小学校各教科等教育課程研究協議会での教員による活動 報告、教育研究会理科部主催の研修大会でのJEMAによる活動紹介等、教育 委員会等と連携した広報・啓発活動をしていきます。 (2)セミナー講師等の育成 テクニカル講師およびセミナー講師候補の新規養成のための講座を開催しま す。また、講師を目指す人材が自主的な学習ができるようにするため、講師 用講座の DVD を作成し、活用を目指します。 (3)中期的なセミナー用テキスト等の見直し 2020 年には、学習指導要領の見直しが行われることになっており、これに伴 い、現在使用しているテキスト等についての見直し検討を開始します。 (4)理科教育支援サイトの充実 理科教育支援サイトにて、「理科セミナー活動レポート」や「電気を語ろう」 等を随時掲載することによって、理科教育支援についてのコンテンツの充実 を図ります。また、教育関連先へ支援サイトのリンクを張ることによって、 JEMA と会員企業の取組みを広く情報発信していきます。 (5)その他 実験機材の貸し出しの要望があり、申し込みがあった場合には、JEMA プロ グラムの普及のために機材の貸し出しを行います。また、機材のメンテナン スを適宜実施します。 8.主要共通課題への取組み 8.1 広報活動 JEMAの意見や提言を積極的に発信するとともに、電機業界の動向、JEMAの事 業活動、電気機器に係る情報等をタイムリーかつ分かりやすく社会に情報発信で きるよう、広報活動の強化を推進していきます。また、大学等へ電機業界の理解 を深めるための活動を推進していきます。 (1)JEMAウェブサイト ウェブサイトを JEMA 広報媒体の中核に位置付け、電機業界の動向や諸課題 への取組み、製品使用の安全啓発等について、会員各社をはじめ、ユーザー・ 消費者、電機産業に係る各機関、関連業界・企業等、各方面の関係者等広く 社会に対し、正しく、早く、わかりやすい情報発信を行います。特に 2016 年 度は、 JEM 規格や各種啓発パンフレット等の JEMA 活動成果物を頒布してい るオンラインストアについて、さらに使いやすいサイトづくりを進めます。 (2)JEMA機関誌「電機」 わが国のエネルギー政策や成長戦略への電機業界の取組み等をテーマとした 特集記事を掲載することにより、会員会社をはじめとする幅広い読者に対し、 役に立ち、読み応えのある機関誌を発行します。また、国内外の地球温暖化 対策の動向、再生可能エネルギーの技術開発の動向と普及拡大の施策、電気 機器の省エネ基準の改定等とそれらへの電機業界の取組みや、会員企業のグ ローバル化の動向、JEMAの国際標準化の取組み等、様々なテーマについても タイムリーで掘り下げた情報を発信します。 (3)記者発表、プレスリリース等 11月に上期の電気機器の国内生産実績と白物家電の国内出荷実績を主要テー マに、また、3月に次年度の生産見通しをテーマに加え、電機業界の国への要 望等盛り込み、会長記者発表を行います。 また、対外的にアピールが必要と思われるJEMAの提言や意見、事業活動成果 等についても、随時、積極的にプレスリリース等を行います。 (4)年刊誌「JEMA2016」 国内外の各方面に対し JEMA 活動を紹介することを目的に、JEMA の事業活 動成果と今後の取組み、理念、ビジョン、取扱い製品等、さらに電機業界の 最新動向を取りまとめた年刊誌「JEMA 2016」を発行します。 8.2 グローバリゼーションの取組み 日本企業がグローバルビジネスを展開する中、関係官庁と連携し、通商投資環境 整備に取り組むとともに、電機産業の諸課題対応に向けた連携強化を目指し、海 外工業会とのネットワーク構築推進にも取り組んでいきます。 (1)通商投資環境整備への取組み WTO 環境物品自由化交渉や環太平洋経済連携協定(TPP)、東アジア地域包括 的経済連携(RCEP)、各 FTA/EPA の経済連携協定交渉に関して意見具申を 行い、関税撤廃を含む通商投資環境整備の課題解決を図っていきます。 また、主要国の不公正な貿易政策に関して、関係団体と連携を図りながら、情 報収集と会員企業への情報発信、課題解決への貢献を進めていきます。 (2)海外工業会とのネットワーク構築推進 通商投資環境整備や電機産業の課題解決に向けて、各国の産業界との連携・協 調行動が重要となってきており、海外工業会・諸団体とのネットワーク構築を さらに強化していきます。2016 年度も、引続き、台湾で開催見込みのアジア 電機工業会連盟(FAEMA)に参加し、電力・重電関連の諸課題について情報 交換を行います。また、これ以外の海外工業会との情報交換等を実施し、協力 体制構築も推進していきます。 8.3 中堅企業、変圧器製造を主要事業とする会員企業への取組み JEMA 中堅企業ならびに変圧器製造を主要事業とする会員メーカーの経営者を 対象に、電機業界に求められている様々な課題とその取組みについて情報提供し、 また、企業経営に参考となる講演会の開催を企画します。 (1)中堅企業経営研究会の取組み 中堅企業の経営に資するために、経営者を中心に構成する研究会において、 時宜を得た講演会を企画するとともに、工場・施設の視察等を実施します。 また、会員の意向を踏まえ、経営者の国際情勢把握の一助として、海外の企 業訪問による投資環境の実態調査や先端施設等を視察します。 (2)変圧器事業課題研究会の取組み 国内の各地域に拠点展開し変圧器製造を主要事業とする会員メーカーの経営 者向けに、変圧器事業の海外展開に向けたグローバルな統計情報や、重電業 界の動向、わが国のエネルギー政策の動向、電機業界の地球温暖化防止の取 組み等について、事業推進上、考慮しなければならない電機産業を取り巻く 諸課題とその動向について情報提供するとともに、相互に企業経営上の共通 課題やその取組み等について意見交換を行うことによって、各社の経営に資 する研究会を開催します。 8.4 展示会への出展効果を高めるための活動 会員企業の展示会責任者の会合において、新製品・新技術等の出展効果を高める ために、会員各社が出展する展示会情報をデータベース化して情報交換するとと もに、来場者への効果的な情報発信やプレゼンテーションの方法について意見交 換を行います。また、JETROや展示会主催団体と連携を図るとともに、METI が推進する展示会統計に係る認証制度をはじめとする展示会産業活性化方策に、 出展者の視点から意見具申して参ります。 8.5 税制改正に係る要望 JEMA は、電機産業の活性化や国際競争力強化を図るため、2016 年度も税制や 会計制度等のあり方について一層の問題意識を持ち、電機業界の実情を踏まえた 整備・見直しとタイムリーな施策の実行を求めて意見や要望を積極的に発信して いきます。2017 年度税制改正要望については、2016 年度に引続き、経済活性化、 企業競争力強化につながるものを優先して業界として幅広く意見を伺い、法人実 効税率の 20%台前半への更なる引下げ、研究開発促進税制拡充、外形標準課税 拡大反対、温暖化対策税の廃止を含めた見直しや税収の目的外使用反対等、具体 的要望項目を取りまとめ、政府等への積極的な働きかけを実施します。 8.6 業務監査の推進 部門別監査を中心とする内部業務監査を 2016 年度も引続き実施し、会員企業・ 外部組織から、より信頼・評価される JEMA 事務局の体質づくりを目指します。 9.表彰事業 9.1 電機工業永年功績者表彰 電機工業永年功績者表彰は、永年にわたり業界の発展に貢献されました会員の経 営幹部を称える JEMA の表彰事業として 1961 年度(昭和 36 年度)から行って きました。第 56 回目を迎える 2016 年度(平成 28 年度)表彰でも、これまでの 企業経営を担い、業界を導いて来られた方々を表彰します。 9.2 電機工業技術功績者表彰 電機工業技術功績者表彰は、業界の技術の進歩、発展に対する技術者の功績を称 える JEMA の表彰事業として 1952 年度(昭和 27 年度)から行ってきました。 第 65 回目を迎える 2016 年度(平成 28 年度)表彰では、「最優秀賞」「優秀賞」 「優良賞」「奨励賞」を授与し、功績を称えます。 9.3 政府等、他機関表彰への会員の応募推薦 METI 等の関係省庁および関係団体・機関等が主催する各種表彰事業について、 2016 年度 (平成28 年度) も広く会員会社に積極的な応募を呼びかけるとともに、 会員からの申請に応じて各社の功績内容を推薦します。 10.3支部の活動 本部の基本方針に基づいて JEMA の役割・機能を各地域に展開し、本部と連携し て地域の電機業界の発展、消費者生活の向上に貢献するため、地域に立脚した事業 活動を積極的に実施していきます。また、厳しい経営環境に対応し、各種の委員会 や研修会・講演会等を通じて会員企業の経営の一助となるよう活発に活動していき ます。 さらに、関係行政機関や関係諸団体との連携により、各種イベントへの参画や会 議・セミナーに協賛し、啓発活動の取組みを強化していきます。 10.1 大阪支部 (1)地球環境保全への取組み 近畿経済産業局、関係行政機関と連携し、地球環境保全の視点に立って、エネ ルギー政策も踏まえ、低炭素社会実現に向けた各種委員会活動を推進していき ます。 新エネルギーは、 引続き太陽光発電システムの普及を推進していきます。 省エネ対応の白物家電機器については、省エネ・節電プレゼンツールにより普 及促進活動を実施していきます。また、JEMA ウェブサイトに掲載中の省エ ネ・節電パンフレットも内容を充実させていきます。 (2)家電製品安心・安全への取組み 家電製品の安心・安全の取組みを「消費者安全の視点」で、関係行政機関と連 携し、近畿地区(福井県含む)、中国地区、四国地区を対象として進めていき ます。各地方自治体の消費生活センターと連携を図り、 相談員に対して、 JEMA が行う最新情報を反映した啓発セミナー用の「動画を用いたプレゼンツール」 により、製品安心・安全啓発活動を実施していきます。また、消費生活セン ター相談員の方々により適切な対応をいただくために制作した教育資料「家電 製品のお客様相談窓口対応事例 Q&A 集」 の改訂を行います。 あわせて、 JEMA ウェブサイトに掲載および各消費生活センターへ配備中の安全啓発パンフ レットを活用し、家電製品使用時の安全啓発・周知活動を実施します。 (3)技術標準化の推進 船舶電機関連および建設電気関連の技術標準化を推進し、JEM 規格・技術資 料の改定、制定に結びつけるため各委員会で活動を推進します。具体的には規 格「船用交流配電盤」「船用電気機器の電線導入口と端子間の最小寸法」「船 用制御器具番号」「船用電気器具および導体の配置と色別」、技術資料「建設 工事用受配電設備点検保守チェックリスト」「建設用電気設備の接地工事指 針」等の改定を完了するため取り組んでいきます。 (4)会員企業への支援および地域行政機関、関係諸団体との連携 会員企業の経営の一助となるよう、近畿経済産業局、NITE、各地方自治体、 関係諸団体と連携し、経済情勢や設備投資、貿易関連、新エネ・環境対応等に ついて、講演会やセミナーを通じて情報提供していきます。 また、JEMA が取り組む小学校教員向けセミナー「理科教育支援プログラム」 、 および電気系大学生大学院生に電機産業の概要や魅力を紹介する「業界説明 会」の地域定着を図っていきます。 10.2 名古屋支部 (1)地域会員企業への情報提供と共通課題の検討 本部や中部経済産業局等の関係機関・団体と連携を図り、地域に係る行政・経 済・社会情勢の動向や JEMA の取組み等の最新情報を会員へ適宜提供すると ともに、地域の会員企業が抱える「エネルギーと環境」、「グローバル対応」、 「人材育成」等の重要共通課題について、研修会や企業研究会および委員会活 動を通じて検討を行います。 (2)地域の電機産業や社会への貢献活動 当地域における電機産業のプレゼンス向上のため、名古屋大学等の東海地区の 主な大学の理系学生を対象に、電機産業の概要と将来展望を紹介する電機業界 説明会を引続き実施します。また、地域社会への取組みとして、本部・関係行 政機関と連携を図り、各地の消費生活センターとの情報交換会等を通じて、家 電製品の安全な使い方や省エネに関する啓発活動を行います。技術者人材育成 支援事業として、本部・会員企業および教育機関と連携し、新学習指導要領に 準拠した JEMA プログラムによる小学校教員向けセミナーの更なる普及展 開・定着化を図っていきます。 10.3 福岡支部 (1)地域会員企業への課題解決支援 九州地域経済情勢・金融状況や設備投資の動向、エネルギー・ものづくり等に 関する最新の技術情報、JEMA 各部事業活動報告等を、委員会・講演会・交 流会を通じて提供していきます。また、小学校教諭や教育学部生を対象とした JEMA 理科教育支援セミナーの実施推進、大学に対する電機業界説明会の実 施推進活動を展開します。 (2)消費者啓発事業の推進 各消費生活センター、公民館、消費者団体等が主催する講座で「家電製品の安 全な取扱いと省エネに関する知識」の啓発講演を実施します。また、講演は九 州経済産業局や NITE と連携して進めます。 (3)関係行政・地域関連団体等との連携推進 九州経済産業局、NITE 九州支所、自治体消防局等関係行政と常に緊密な連携 を図り、会員各社の経営に資する最新情報を提供します。また、日本電気協会 九州支部や九州電気保安協会等、地域関連団体主催行事への参加、および当支 部公開行事への参加依頼や講師派遣要請等を通じて相互に交流を深めます。 以 上
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